著者
高木 秀雄 柴田 賢 内海 茂
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.15-31, 1989-01-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
38
被引用文献数
5 5

Various metamorphic rocks such as amphibolites (garnet-cpx amphibolite, schistose amphibolite, kyanite-bearing amphibolite), pelitic and basic schists (epidote amphibolite), and ultramafic rocks (spinel lherzolite, pyroxenite, hornblendite) are exposed in the Yoshimi Hills, to the east of the Kanto Mountains. Schistose amphibolites, which have the largest exposure in the Yoshimi Hills, and pelitic schists were moderately suffered mylonitization. The chemical composition of metamorphic minerals such as garnet, cpx and hornblende in the garnet-cpx amphibolite, and garnet in the schistose amphibolite suggests that these rocks were formed under the amphibolite to the granulite facies. The garnet-biotite temperature after Pigage and Greenwood (1982) estimated on the pelitic shcists is more than 800°C, considerably higher than the temperature (610°C) estimated on the pelitic schists in the highest metamorphic grade zone of the Sanbagawa belt in the Shikoku region. K-Ar ages of hornblende are 63.5 Ma for the garnet-cpx amphibolite and 61.0 Ma for the kyanite-bearing amphibolite, whereas K-Ar age of muscovite for the pelitic schist is 34.1 Ma. Form these age data, even though taking a possibility of rejuvenation into consideration, it is difficult to correlate the metamorphic rocks of the Yoshimi Hills to the metamorphic rocks of the Kurosegawa belt. Considering the occurrence of tectonic blocks of various amphibolite masses in the Sambagawa belt in the Shikoku region, it is possible to correlate the metamorphic rocks of the Yoshimi Hills to those in the Sambagawa belt. However, further study is necessary before we come to decide the belongings of the metamorphic rocks in the Yoshimi Hills.
著者
高木 元
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, 2005-10-01

人文科学系基礎学の研究業績は、多くの場合経済的な見返りが期待できない。のみならず、短期間に個人で完璧な成果を挙げることの困難な課題が多い。したがって活字媒体での公表のみならず、インターネット上に webサイトを確保して、そこにアーカイブし公開することの意義は大変に大きい。著者自らが日々新たな知見や情報によって自らの記述の更新が可能だからである。しかし、一般に個人サイトの維持は有限である。千葉大学で始まった学術成果リボジトリは、書誌情報を添加して固定的なurlで持続的に保存されるという点で劃期的であるが、機械可読テキストの最大の長所である適時の更新、ないしは更新履歴の保存に対応していない点などの課題も残している。In most cases, scholarly work in the humanities does not result in economic compensation. Furthermore, there are many subjects for which it is difficult to produce thorough results. There is thus a great significance and potential in making public the results of one's work not only through the medium of print but also by means of maintaining a website and creating a public archive on the internet. This allows the author him or herself to modify and update even on a daily basis their work by adding new information. There are, however, normally limits to maintaining a personal website. The institutional repository begun at Chiba University is in many ways truly revolutionary in that it allows for a continuous preservations of fixed URLs to which have been added bibliographic data. Two important problems, however, remain: the ability to cope in a timely manner with revisions and updates - which, after all, is the great advantage of electronic text - and the preservation of a history of updates.
著者
大滝 周 川嶋 昌美 高木 睦子 津川 博美 福岡 絵美 浅野 和仁
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.82-87, 2017 (Released:2017-08-17)
参考文献数
19

足部保温は,臨床の現場や日常生活の中で血流改善や温熱作用による鎮痛効果,リラックス効果などのさまざまな目的で活用されている.しかし,足部保温の体温変動に及ぼす影響について言及している論文は見当たらない.そこで今回,足部保温の1つとして看護の現場で多用されている足浴が体温の変動に及ぼす影響について明らかにすることを目的とし健康な女性を対象に研究を行った.被験者の両下肢を40℃に設定した足浴器(高陽社製,足湯器 冷え取り君FB-C80)の湯に膝下20cmまで15分間浸漬,深部温度と外殻温度を測定した.最初に足浴による保温が体温に及ぼす影響を調べるために,深部温度および外殻温度の体温測定を行った.その結果,深部温度は,保温終了5分後,10分後もほぼ一定の状態で経過した.一方,外殻温度は足浴に伴い上昇し,その後,一定の状態での経過あるいは温度の低下がみられた.次に,保温終了5分後の深部温度および外殻温度について比較を行った.その結果,深部温度と外殻温度に有意な差が認められた.これらの結果より足浴が体温に及ぼす影響として,深部温度の変化はみられないが外殻温度の変化がみられることが示唆された.
著者
澤山 英太郎 高木 基裕
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.155-162, 2014 (Released:2014-09-03)

本研究は,マダイ人工種苗で見られる吻部の異常を示す形態異常について遺伝的要因を明らかにすることを目的とした。60日齢における吻部異常個体の形態的識別を行った。吻部の異常を有する個体は全体の3.4%で,その中でも下顎短縮は最も高い割合で確認されたため,下顎短縮個体についてマイクロサテライトDNAを用いた多型解析と親子鑑定を行い,正常個体の値と比較した。ヘテロ接合体率やアリル頻度においては正常個体と下顎短縮個体で違いは見られなかった。また,親子鑑定を実施したところ,正常個体には9個体のメス親魚と16個体のオス親魚からなる43家系が,下顎短縮個体には9個体のメス親魚と15個体のオス親魚からなる40家系が関与しており,正常個体と下顎短縮個体で出現家系に有意な偏りは確認されなかった。以上の結果から,本下顎短縮個体は遺伝的な要因よりも,何らかの後天的な要因が強く影響しているものと推測された。
著者
地理ゼミ生 三浦 駿平 川畑 維吹 斎藤 優史 前園 太一 松田 信太朗 小島 隼 熊谷 暦太 高木 大成 高橋 航大 星 穣司 安藤 希 大内 星李 亀谷 伶央 佐藤 豪 浅川 俊夫
出版者
東北福祉大学教職課程支援室
雑誌
教職研究
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.45-61, 2020-03-31

「地誌」授業で、2016年度から世界の10か国及び日本の10都県の位置について、受講生がどの程度認識しているか調査してきた結果を、①高校での地理科目履修状況との関係、②正答率の経年変化、③誤答の傾向に分けて分析・考察した。①では、世界の地理認識について正答率が低い国で地理科目履修者の正答率が未履修者を上回る傾向がみられる。②では、変化パターンから、調査した10か国は、正答率が上昇傾向、低下傾向、調査年により上昇・低下、ほぼ一定の4グループに、10都県は、上昇傾向、調査年により上昇・低下、ほぼ一定の3グループに分けられる。③では、世界の地理認識について、正答の国に近接またはその国が属する地域の国を誤答、名称の似た地域・国を誤答、全く別の地域の国を誤答という三つの誤答パターンが、日本の地理認識については、隣接または正答の県が含まれる地方の県を誤答、全く別地方の県を誤答という二つの誤答パターンが認められる。
著者
京兼 隆典 弥政 晋輔 澤崎 直規 東島 由一郎 後藤 秀成 大城 泰平 渡邉 博行 田中 征洋 高木 健裕 松田 眞佐男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.622-631, 2009-06-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
19
被引用文献数
2 6

はじめに:消化管穿孔症例の初診時CT所見につき検討し,穿孔部位の診断,治療法の選択において参考となる所見の抽出を試みたので報告する.方法:2000年1月から2008年1月までに当院で経験した消化管穿孔症例180例を対象とし,CT所見と穿孔部位,治療法をretrospectiveに検討した.CT所見は客観性と普遍性を重視し,評価しやすい所見として腸管外free air(以下,FA)と腹水貯留に着目した.結果:FAの検出率は上部,小腸,大腸それぞれ97.0,56.0,78.6%であった.十二指腸水平部下縁より頭側のFAは,上部,小腸,大腸それぞれ97.0,52.0,66.1%で,上部で有意に検出率が高く,尾側のFAは18.2,24.0,58.9%で,大腸で有意に検出率が高かった.尾側で前腹壁腹膜から離れた深部に存在するFAは,上部,小腸,大腸それぞれ1.0,16.0,51.8%で,尾側深部FA所見で大腸穿孔と診断した場合の感度と特異度はそれぞれ51.8%,96.0%であった.腹水の所見は,貯留の程度,部位ともに穿孔部位を判定する手がかりとはならなかったが,上部穿孔の保存的治療成功群では,肝表面腹水5 mm以下かつ尾側腹水少量以下で,24時間後のCTで腹水の増量はなかった.考察:CTにおけるFAの存在部位は穿孔部位の予測に,腹水の量と経時的変化は上部消化管穿孔の保存的治療の適応を決定するうえで有用であり,CTは消化管穿孔の治療戦略を立てるうえで有用であると考えられた.
著者
澁谷 徹 丹羽 均 金 容善 高木 潤 旭 吉直 崎山 清直 市林 良浩 米田 卓平 松浦 英夫
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.21-26, 1997-12-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

大阪大学歯学部附属病院リスク患者総合診療室で管理を行った絞扼反射が強い患者37人について検討を行った。絞扼反射の程度を染矢の分類に従って, 軽症, 中等度, 重症の3つに分類し, 歯科治療時の管理方法と絞扼反射の有無を調べた。軽症2例, 中等度61例, 重症56例, 計119症例の管理を行った。管理内容は, (1) 笑気吸入鎮静法, (2) ジアゼバムまたはミダゾラムによる静脈内鎮静法, (3) 笑気吸入・ミダゾラム静脈内投与併用による鎮静法, (4) 笑気吸入・モルヒネ静脈内投与併用による鎮静法, (5) 笑気吸入・ジアゼパム・モルヒネ静脈内投与併用による鎮静法, (6) 全身麻酔の6種類であった。軽症2例はいずれも笑気吸入鎮静法で歯科治療が可能であった。中等度の症例では, 笑気吸入が最も多く61例中30例 (49%), ジアゼパムまたはミダゾラムの静脈内鎮静法が16例 (26%), 笑気・ミダゾラム併用が2例 (3%), 笑気・モルヒネ併用が10例 (16%) であった。また笑気・ジアゼバム・モルヒネ併用によっても歯科治療が不可能なために全身麻酔を行った症例が1例あり, 笑気・モルヒネ併用で治療は可能であったが, 患者が多数歯の集中的治療を希望したため全身麻酔を行った症例が1例あった。重症の症例はジアゼパムまたはミダゾラムによるものが最も多く56例中32例 (57%) で, 次に笑気が12例 (21%), 笑気・モルヒネ併用が11例 (20%) であった。笑気・モルヒネ併用のうち1例は治療不可能なために全身麻酔によっておこなった。

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著者
高木 芳光
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.61-64, 1995-01-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
1
著者
永井 成美 脇坂 しおり 高木 絢加 山口 光枝 森谷 敏夫
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.17-27, 2012 (Released:2012-02-27)
参考文献数
35
被引用文献数
5 1

【目的】我々はこれまでに,腹壁電極から胃の活動電位(胃電図)を導出・解析する方法により胃運動を測定し,飲水(冷水・温水)が胃運動を一過性に増大させることや,胃運動の強さと食欲には関連がみられたことを報告している。本研究では,刺激味を有する液体が胃運動や食欲感覚へ及ぼす影響を検討することを目的として,香辛料(カレーパウダーとコンソメ)を含むスープ(Spice)と等エネルギー・等Na量で風味がないプラセボスープ(Control)を用いて比較試験を行った。【方法】若年女性12名に異なる2日間の朝9時に,SpiceまたはControlをランダムな順序で負荷した。ベッド上で胃電図,鼓膜温,心拍数をスープ負荷20分前から負荷40分後まで測定し,食欲感覚(空腹感,満腹感,予想食事量,満足感)は,負荷20分前,負荷直後,40分後の3回測定した。胃運動の強さは,胃電図から徐波,正常波,速波の各パワー値を計算し負荷前を基準としたパワー比を評価に用いた。【結果】Spice負荷後の胃運動は,徐波,正常波,速波パワー比ともにControlと比較して高い傾向が示された。Spice負荷後の食欲感覚は,満腹感と満足感でControlと比較して有意に高値を示した。鼓膜温,心拍数は両スープとも負荷後に上昇したが,鼓膜温(増加量)はSpiceでControlよりも有意に高値を示した。【結論】香辛料を含むスープ摂取後には,胃運動が増大する傾向があること,満腹感と満足感が高まること,負荷直後の体温が上昇することが等エネルギー・等ナトリウムのプラセボスープとの比較により示唆された。
著者
高木 健太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.474, 1968-06-20

広沢虎造の浪花節,特に石松の渡船の中での「神田の生れさ」というくだりは何回聞いても飽きぬようだつた。神田明神下の生れ,そこで育つたからだろうか。下町の気風が身に泌みこんでおつて,年をとつても上京して按摩をとらせながら,あんまに「旦那は江戸つ子でやすね」といわれるととても嬉しそうだつた。祖父は下山順一郎であつたが,私も想像しか出来ぬが,母方の姓を名乗つて高木となり,自分の父を知りつつ,名乗れぬような家庭事情に育つたので,何だか暗い影があつたような気もする。一高に入つて実父下山順一郎から植物学の講議を受けたが,出欠をとるとき,父の名だけは"高木"と呼び捨てにするので友人が妙だと思つていたという。 生母も他家に嫁し,父もなく,母方の祖父高木昇三郎に育てられたとか。この人の写真はいつも大切にしていた。負けてたまるかという気概はこの幼少の頃の悲しみに萠しているのかも知れない。環境による江戸つ子の勇み肌と家庭の事情による悲哀,孤独と生来の負けん気が一生を貫いたように今の私には見える。江戸は芯から性に会つていたらしく一高を出て,九大に入学するために,関門を船で渡るときは遠く島流しに遇つたようで涙を流したとか。
著者
速水 敏彦 Hayamizu Toshihiko 木野 和代 Kino Kazuyo 高木 邦子 Takagi Kuniko
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-8, 2004-12-27

A new construct "Assumed-Competence based on undervaluing others (AC is short for the construct)" was proposed to explain adolescents' behaviors in these days. AC was defined as the habitual feeling of competence that would be followed by one's criticizing or undervaluing others regardless of how much he/she had directly positive or negative experiences. To measure the individual differences of AC, the assumed-competence scale (ACS is short for the scale) consisting of 11 items was constructed. The purpose of this study was to examine the construct validity of ACS by showing the relations with several psychological constructs which have logical associations with AC. In the meanwhile, self-esteem (SE is short for it) mean true competence based on really positive and negative experiences. That is, SE could be clearly discriminated from AC. Thus, to make clear discriminating validity of ACS, SE was measured as well as AC when the relations with other psychologicl constructs were investigated. Seven psychological constructs we used here as criteria of validity were (1)locus of control, (2)public and private self-awareness, (3)loneliness, (4)sympathy, (5)emotion of anger. (6)pleasure and displeasure experiences (during lately three months) and (7)life satisfaction. Participants were 124 junior college students, 258 university students and 11 graduate students. Correlation coefficients between AC,SE and seven psychological constructs were calculated. The results were interpreted by focusing only significant correlations. Concerning self, although SE was related positively to internal control, AC was not, whereas positive relation between ACS and private self-awareness was shown. Next, regarding with interpersonal relationship, AS had positive relations to loneliness, that is, the persons whose AS are high thought that human could not understand each other and they were strongly aware of individuality. Also negative correlation was presented between AC and sympathy. In the meantime, SE had no relation to the variables of interpersonal relationships. In tern, emotion as a criterion of validity was examined. AC was related positively with trait-anger, expression of anger and displeasure experiences in academic and friendship situations. Furthermore, AC had negative relation to life satisfaction. On the contrary, SE was correlated positively with pleasure experiences and life satisfaction. Based on the results mentioned above, we judged ACS to have construct validity to some extent. Finally we suggested the possibility of classification of AC in the relation with SE.
著者
高木 治
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 2011

量子力学の世界観においては、それまで物理学の基本的な前提と考えられてきた、実在性・局所性・因果性という概念が破綻してしまう可能性がJ.S.ベルによって指摘された。この中で、実在性とは客観的なものであり、量子論的物体(素粒子)の実在に関しては、観測者(人間)の自由な意志による主観的な選択の余地はないはずである。ところが、量子論的物体が実在するかどうかを確認するには、何らかの方法で観測者が測定をすることが必要となるが、もし観測者に測定方法の選択に自由意志が存在するならば、量子論的物体にも観測結果を左右する自由意志が存在するという驚くべき結論が、コンウェイとコッヘンによって2006年に示された。これは、「自由意志定理」と呼ばれているが、その中では自由意志の存在が人間というマクロな生物から、非生物であるミクロな素粒子にまで拡張されることを示している。ここでは自由意志定理の意味と、そもそも自由意志とは何かについて考察をする予定である。
著者
山内 豊明 高木 美智子 藤内 美保
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:13456903)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.311-318, 2003-09-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

肥満などとの関連から、『早食い』は改善すべき食習慣の1つとされており、日常的に使用されていながら、その明確な定義はない。今回食べ方についてのイメージを聞き取り調査した。『早食い』については、48%が「全体の食事時間が短い」としその具体的な食事時間を2~20分と、44%が「一口あたりの咀嚼回数が少ない」としその具体的な咀嚼回数を2~30回、と回答していた。また『ゆっくりよく噛んで食べる』については、34%が「全体の食事時間が長い」としその具体的な食事時間を15分~1時間と、64%が「一口あたりの咀嚼回数が多い」としその具体的な咀嚼回数を10~100回、と回答していた。一方で具体的に咀嚼回数や時間を聞いても「思いっかない」と回答した者もいた。この結果、単に食事時間や一口あたりの咀嚼回数だけをイメージするとは限らないことが明らかになり、食べ方の指導時には対象者の認識のアセスメントが不可欠であると考えられた。
著者
細井 裕司 添田 喜治 西村 忠己 下倉 良太 松井 淑恵 中川 誠司 高木 悠哉
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我々人間の聴覚では 20 kHz 以上の超音波領域の音は聞こえないが、超音波振動として骨導に与えると音知覚が得られる(骨導超音波)。さらにこの骨導超音波は、音が全く聞こえない最重度難聴者でも聴取可能である。この現象を利用し、我々は最重度難聴者に音知覚を与える骨導超音波補聴器の開発を行っている。本研究では(1)未だ知られていない超音波聴覚メカニズムの解明、(2)骨導超音波補聴器の実用化研究という二つの課題に取り組んできた。そしてその研究成果から、骨導超音波の末梢の知覚器官は蝸牛の基底回転に存在すること、またそれは変調された可聴音ではなく超音波自体を聴取していること、その際外有毛細胞が関与している可能性は低いことなど、聴覚路上の末梢・中枢での超音波聴覚メカニズムが明らかになってきた。また語音で変調した骨導超音波のプロソディ(抑揚)が弁別可能であること、リハビリテーションによって言葉の聞き取りが改善されることなどの実用化研究も大きく進展した。