著者
三橋 亮太 水野 壮 佐伯 真二郎 内山 昭一 吉田 誠 高松 裕希 食用昆虫科学研究会 普後 一
出版者
[日本食品衛生学会]
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.410-414, 2013 (Released:2014-05-12)

福島県では福島第一原子力発電所事故が発生してから,イナゴの放射線汚染を懸念してイナゴ食(イナゴを採集し,調理して食べること)を楽しむ人が減少した。そこで2011年,2012年に福島県各地で採取したイナゴに含まれる放射性セシウムを測定したところ,134Csと137Csの合計放射能濃度は,最高で60.6Bq/kgであり, 2012年に設定された食品中の放射性物質の新たな基準値である100Bq/kgを下回ることが示された。さらに,イナゴは一般的な調理過程を経ることによって,放射能濃度が15.8Bq/kg以下,未処理時の1/4程度まで低下することが示された。
著者
高松 道生 柳沢 素子 町田 輝子 松島 松翠 飯島 秀人 中沢 あけみ 池田 せつ子 宮入 健三 矢島 伸樹 佐々木 敏
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.595-602, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

こんにゃくのコレステロール低下作用について検討し, その健康食品としての意義を明らかにする研究を行った。こんにゃくの成分であるグルコマンナンをチップ化して煎餅状に加工 (以下, マンナン煎餅) し, 総コレステロール200mg/dl以上の当院職員と正常範囲内の当院附属看護専門学校寄宿学生を対象に, 脂質代謝への影響を調査した。毎食後に煎餅を摂取し, 試験期間前後に脂質を中心とする血液検査を行ってマンナン煎餅の脂質代謝への影響を評価した。その結果, マンナン煎餅を摂取する事によって総コレステロール値の低下が認められ, 試験前総コレステロール値の高い群ほどその低下の度合いが大きかった。HDLコレステロールや中性脂肪への影響は認められなかった事から, マンナン煎餅はLDLコレステロールを特異的に低下させる作用を有するものと考えられた。血算や生化学などの検査値には変化を認めず, 腹満や下痢などの消化器症状が一部に観察されたものの, 重症なものではなかった。一方, 試験前後の体重に差はないものの試験期間中の総摂取エネルギーや脂質摂取は減少しており, マンナン煎餅を摂取することが食習慣に影響を与えた事が示唆される。以上から, こんにゃく (グルコマンナン) は直接・間接の作用でコレステロール, 特にLDLコレステロールを低下させ, マンナン煎餅が健康食品として意義を有するものと考えられた。
著者
山﨑 明 斎藤 彰一 高松 学 河内 洋 西川 雄祐 堀江 義政 安江 千尋 山本 安則 井出 大資 千野 晶子 五十嵐 正広
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1000-1003, 2018-06-25

疾患の概念 直腸肛門部に発生する悪性黒色腫は,直腸肛門移行部の上皮基底層に存在するメラノサイト由来と考えられている1).消化管原発の悪性黒色腫はまれであるが,直腸肛門部は食道と並び好発部位とされ,本邦における頻度は全悪性黒色腫の4.6%2),直腸肛門部悪性腫瘍の0.38%3)と報告されている.直腸肛門部悪性黒色腫の平均生存期間は8〜25か月,5年生存率は4.6〜15%と報告されており,予後不良な疾患である4).色調はメラニン色素を反映した黒色調を呈するものが多いが,肉眼的に黒色調を呈さない低色素性あるいは無色素性のamelanotic病変が6.6〜26.4%と報告されており2)3)5),診断が困難な場合がある.
著者
深尾 篤嗣 高松 順太 河合 俊雄 宮内 昭 花房 俊昭
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.42-50, 2013-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
35
被引用文献数
1

甲状腺疾患の心身医療においては,患者ごとに「ホルモンが先か?ストレスが先か?」を念頭に置きながら診療することが重要である.バセドウ病,橋本病ともに精神変調を合併しやすいことが知られている.今日,精神病像として多いのはともにうつ状態,神経症であり,甲状腺機能のみならず多様な心理社会的要因が影響している.近年,多くの研究により,バセドウ病の発症にライフイベントや日常いらだち事が関与していることが確認されている.一方,本症の治療経過に影響する心理社会的要因の研究により,増悪要因としてライフイベント,日常いらだち事,抑うつ,不安,アレキシサイミア,エゴグラムのAC,摂食障害が,反対に改善要因としてエゴグラムのAやFCが見い出されている.
著者
田中 裕 杉原 麻理恵 津曲 俊太郎 高松 伸枝 栗原 和幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1011-1015, 2017

<p>症例は12歳の女児.食物摂取後の運動負荷によるアナフィラキシー症状を繰り返したため, 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIAn)を疑い原因食物の精査を行った.症状誘発時に摂取頻度の高かった卵・乳・大豆と, FDEIAnの原因食物として頻度の高い小麦について, それぞれの食物摂取後の運動負荷試験を施行したが全て陰性であった.詳細な問診から4回のエピソードで温州みかんを摂取していたことや, 同じ柑橘類であるオレンジ・グレープフルーツの特異的IgEが陽性であったこと, スキンプリックテスト(skin prick test, SPT)が陽性であったことから温州みかんを原因食物として疑い, アスピリンを併用した温州みかん摂取後の運動負荷試験を行ったところアナフィラキシー症状が誘発されたため, 温州みかんによるFDEIAnと診断した.多数の柑橘類でSPT陽性を示したため柑橘類の完全除去を指示したところ, それ以後アナフィラキシー症状は認めていない.FDEIAnの原因食物として柑橘類も認識しておく必要がある.</p>
著者
高松 邦彦 村上 勝彦 伴仲 謙欣 野田 育宏 光成 研一郎 大森 雅人 中田 康夫
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.14, pp.22-29, 2021-03-31

教学IRにおいては、従来は説明モデルによる解析や可視化にもとづく意思決定支援が主要な機能であったが、近年では予測モデルにもとづく種々の予測に関してその重要性が高まっているといわれている。そこで本稿では、教学IRにおける機械学習の意義と可能性について、われわれの経験を題材として検討した。われわれの経験では、機械学習を用いることで、大学における中途退学や学力進捗を予測できる可能性があることが明らかになっている。このことから、いわゆる教学データを用いた機械学習により、今までなし得なかった教学上の種々の予測が可能となり、今後のわが国の教学IRが飛躍的に進展する可能性が示唆された。|In institutional research (IR) for education, the decision-making support based on the analysis and visualization by the explanation model was the main function in the past. However, the importance of various predictions based on predictive models is currently increasing in IR for education. Therefore, this paper examined the significance and possibility of artificial intelligence/machine learning (AI/ML) in IR for education using our experience as subjects. Our experience reveals that using AI/ML can predict dropouts and academic progress in university and college. Thus, it is suggested that using students' educational data, AI/ML could make various predictions in higher education that were not possible earlier, leading to dramatic progress in Japan's IR for education.
著者
高松 良幸
出版者
静岡大学
巻号頁・発行日
2010-03-31

平成19年度~平成21年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書
著者
後藤 一成 崔 鳥淵 大山 卞 圭悟 高松 薫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.383-393, 2003-07-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
1

本研究では,レジスタンス運動における代表的な負荷方法であるStrength-up type(S-type)の運動とBulk-up type(B-type)の運動と負荷特性の相違を,動作中の筋放電量(実験A)と運動後の成長ホルモンの分泌量(実験B)の両面から検討することを目的とした。実験A,Bともに,被験者には健常な一般成人男性8名を用い,S-typeの運動とB-typeの運動をそれぞれ異なる日に行わせた。運動には,実験Aでは片脚による膝伸展運動を,実験Bでは両脚による膝伸展運動を用いた。実験A,Bともに,S-typeの運動においては1RMの90%の負荷を,セット間に3分間の休息をはさんで5セット行わせた。これに対して,B-typeの運動においては,1-3セットは1RMの80,60,40%,4-6セットは70,50,40%,7-9セットの間には30秒間,3-4,6-7セットの間には3分間の休息をはさんで,合計9セット行わせた。両運動ともに,いずれのセットにおいても動作は可能な限り反復させた。主な結果は以下の通りである。(1)各セットにおける反復回数は,S-typeの運動では3-8回の範囲にあったが,B-typeの運動では8-24回の範囲にあった(実験A,実験B)。(2)各セットにおける大腿直筋,外側広筋,内側広筋の%mEMGを平均化した値は,S-typeの運動では等尺性最大筋力発揮時の値とほぼ同様の水準が維持されていたのに対して,B-typeの運動では,3セットごとにみるとセット数が進むにつれてて低下したが,9セット全体でみると徐々に増加する傾向が認められた(実験A)。(3)各セットにおけるFmeam/%mEMGは,s-typeの運動ではいずれのセットにおいても一定の水準が維持されていたのに対して,B-typeの運動ではセット数が進むにつれて大きく低下する傾向が認められた。(4)運動後の血清成長ホルモン濃度は,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して著しく上昇し,両運動間には運動後のいずれの時間においても有意差が認められた(実験B)。また,血中乳酸濃度も,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して高値を示した(実験A,実験B)。(5)運動後における大腿囲の増加率は,B-typeの運動がS-typeの運動に比較して有意に高値を示した(実験A,実験B)。(6)運動後におけるMVCおよびMRFDの減少率は,いずれもB-typeの運動がS-typeの運動に比較して有意に高値を示した(実験B)。上述の結果は,S-typeの運動とB-typeの運動における負荷特性には,神経系の改善と筋肥大に関連した要因から見てきわめて大きな相違があること,およびこれらの相違が両運動のトレーニング効果の差に影響を及ぼす可能性があることを示唆するものである。
著者
中野 紀和男 高松 真二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.15-22, 2001-07-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

従来. ヒスタミンは肥満細胞や好塩基球に蓄えられていたものが, アレルゲン-IgE複合体の刺激により放出され, 喘息などのアレルギーの原因物質となるなど, 生体にとってマイナス因子として作用すると言われてきた, しかし, 我々は最近, ヒスタミンにはマクローファージ(M&phi;)やTリンパ球によりヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)の誘導を経てデノボに生成される経路もあり, さまざまな生命現象を調節し, 生体の恒常性を維持するためのプラス因子として働くことを明らかにした. まず, 生体内にある各種M&phi;様細胞はエンドトキシンなどの刺激でヒスタミンを生成した. エンドトキシンで刺激された骨髄由来M&phi;によるヒスタミン生成はとくにGM-CSFおよびIL-3によって促進された. さらに脾臓M&phi;により作られたヒスタミンはIL-1生成の促進による免疫反応の調節を, 骨髄M&phi;により作られたヒスタミンはIL-6, M-CSF, G-CSFなどのサイトカイン類生成の調節による血球分化の制御を, さらに肝臓M&phi;であるクッパー細胞により作られたヒスタミンは肝細胞増殖因子の生成促進による傷害肝の再生と, 種々の生命現象の細胞間刺激伝達因子として働くことが明らかになった. 一方, ConAなどの免疫刺激を受けたCD4<SUP>+</SUP>およびCD8<SUP>+</SUP>Tリンパ球もHDC誘導性のヒスタミンを生成した. ConA刺激によるヒスタミン生成もやはりGM-CSFおよびIL-3によって特徴的に増強された. これらTリンパ球によって作られたヒスタミンはそれら細胞自身の増殖, 幼若化反応などの免疫反応を調節した. グラム陰性菌感染時にはM&phi;とTリンパ球の協調により作られたヒスタミンは免疫反応を調節する一方, アレルギーなど過剰な免疫反応が起った場合は, 末梢器官と脳との間の臓器間刺激伝達因子として働き, 視床下部-脳下垂体-副腎皮質系を刺激してグルココルチコイドを分泌した. グルココルチコイドはM&phi;およびTリンパ球によるヒスタミン生成そのものを阻害するのを初め, 種々の免疫反応を抑制し, 生体をアレルギーによる傷害から保護するものと考えられた.
著者
高松 勇
出版者
日本小児呼吸器疾患学会
雑誌
日本小児呼吸器疾患学会雑誌 (ISSN:09183876)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.77-88, 1999-12-01 (Released:2011-01-25)
参考文献数
43
被引用文献数
1

の有効性に関しては「結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症結核には高い有効性を認め, 肺結核は50%発病率が低くなる」というメタアナリシス結果が現在世界のBCG評価のコンセンサスとなっている。再接種の効果に関しては十分な根拠が無く世界の流れは否定的であり, 現状では初回接種の洩れ者対策として位置付けられる。安全性の評価では, 「最も安全性の高いワクチン」のひとつであると考えられるが, 一方で副反応調査の強化が必要である。わが国の現状では初回接種は中止できず, むしろ初回接種の充実が課題である。現在の課題は, 初回接種を充実しながら, 一方で副反応調査を強化して, 厳密にRisk-Benefitを評価できる体制を整備することが急務である。初回接種を充実強化すれば再接種廃止の時期が到来する。
著者
竹島 慎一 音成 秀一郎 姫野 隆洋 原 直之 吉本 武史 高松 和弘 高尾 信一 栗山 勝
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.791-797, 2014-10-01 (Released:2014-10-24)
参考文献数
30
被引用文献数
5 2

10年間で成人無菌性髄膜炎,男性203例,女性157例を経験した.毎年夏~秋に,数回の小流行をみとめた.2012年流行期の21例中17例(81%)で起因ウイルスを同定した.試料の同定率は,便71%,髄液67%,咽頭拭い液42%,血清5%であった.すべてエンテロウイルスで,エコーウイルス(E)9型9例,E6型4例,コクサキーA9型1例,3例はエンテロウイルス属まで同定できた.E9型とE6型の臨床的差異はなかった.10年間でムンプス髄膜炎14例,水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎8例,単純ヘルペスウイルス髄膜炎5例をみとめたが,散発的発症であった.流行性のものはエンテロウイルスが主であり良好な経過であった.
著者
図子 浩二 高松 薫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.147-154, 1995-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
22
被引用文献数
20 9

本研究では, 跳躍選手や球技選手が必要とするバリスティックな伸張―短縮サイクル運動の遂行能力を高めることに対して, 筋力および瞬発力を高めることが, どのような意味を持つのかについて, 健康な男子体育専攻学生99名を用いて検討した.バリスティックな伸張一短縮サイクル運動の遂行能力を評価するための指標として, RDJindexを測定した.また, 筋力を評価するための指標として, スクワット姿勢による最大脚伸展力 (Smax/BW) , 瞬発力を評価する指標として, 垂直跳の跳躍高 (CMJh) をそれぞれ測定した.なお, RDJindexは, 台高0.3mからのリバウンドドロップジャンプにおける滞空時間 (RDJta) から求めた跳躍高を踏切時間 (RDJtc) で除したものであり, できるだけ短い踏切時間によって高い跳躍高を獲得するための能力を評価するものである.本研究の結果は次の通りである.(1) RDJindex, Smax/BW, CMJhの相互間には, いずれも有意な相関関係が認められたが, 相関係数はあまり高い値ではなかった.このことは, 三つの指標は, いずれも脚の筋力およびパワー発揮に関する特性を表すものであるが, 相互の類似性は必ずしも高くないことを示唆するものである.(2) RDJindexを構成する要因であるRDJtcとRDJtaとの間には, 有意な相関関係は認められなかった.このことは, バリスティックな伸張一短縮サイクル運動の遂行能力が, 運動遂行時間の短縮能力と高い跳躍高の獲得能力の二つの独立した異なる能力によって決定されることを示唆するものである.(3) RDJtaとSmax/BW, RDJtaとCMJhとの間には, いずれも有意な相関関係が認められた.しかし, RDJtcとSmax/BW, RDJtcとCMJhとの間には, いずれも有意な相関関係は認められなかった.これらのことは, 筋力や瞬発力は, 高い跳躍高の獲得能力には関係するが, 運動遂行時間の短縮能力には必ずしも関係しないことを示唆するものである.(4) RDJindexが同じ値であっても, RDJtcとRDJtaには大きな個人差のあることが認められた.このことは, トレーニングの主なねらいが, 高い跳躍高の獲得能力にある者もいれば, 運動遂行時間の短縮能力にある者もいることを示唆するものである.本研究で明らかにしたバリスティックな伸張―短縮サイクル運動の遂行能力と, 筋力および瞬発力との関係は, 跳躍選手や球技選手などの筋力・パワートレーニング法に関する一つの有用な知見になるものと考えられる.