著者
細井 俊希 澤田 豊 加藤 剛平 藤田 博曉 高橋 邦泰 黒川 幸雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.111-115, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

〔目的〕回復期リハ病棟入院患者の入院時と退院後の活動量を,活動量計を用いて計測し,退院前後での活動量の変化を客観的に明らかにした。活動量が低下した原因について聴取した。〔方法〕歩行可能な回復期リハ病棟入院患者8名を対象とし,退院前と退院後それぞれ約1ヶ月間の活動量を測定した。また,退院後に活動量が低下した原因について聴取し,ICF分類に基づき分類した。〔結果〕1日平均歩数は,すべての対象者で,入院期間中に比べ退院後に減少していた。また,すべての対象者が退院後に活動量が低下したと自覚しており,考えられる原因は,保健サービス,気候,家族の態度,屋内の移動,動機づけなどに分類された。〔結語〕退院時に対象者やその家族と退院後の目標について十分に話し合い,積極的にデイケアなどの利用を促すようなケアプランを立てることが,リハ回数や外出機会の増加にもつながり,退院後の活動量の低下を防ぐことができると考えられた。
著者
高橋 恵美子
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯学習基盤経営コース内『生涯学習基盤経営研究』編集委員会
雑誌
生涯学習基盤経営研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.19-42, 2016-03-22

本研究の目的は,学校司書の職務内容が文部省の見解ないしは文部科学省会議報告においてどのように変化してきたかを明らかにし,考察することにある。時期は1997年より2015年までを扱う。学校司書は,2014年6月の学校図書館法改正ではじめて法律に明記されることになったが,現実には1950年代においても法律に記載のある司書教諭より多数存在し,学校図書館活動を担う職員として実践を蓄積していた。さらに1997年の学校図書館法改正による2003年4月の司書教諭の全国的な発令までは,学校司書が実質的に学校図書館の活動を支えていた。こうした背景の中で,文部省の見解及び文部科学省会議報告で言及される学校司書の職務内容が,学校図書館現場の実態とどう異なっていたかを明らかにし,そのうえで学校司書の職務内容の変化についての考察を試みる。
著者
村上 進亮 高橋 浩之 加藤 隆史 光石 衛
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.6_93-6_98, 2013 (Released:2013-12-07)
参考文献数
9

In this study, the numbers of earned PhDs in various countries were analyzed with macroeconomic indicators. We found out a linear relationship between the number of earned PhDs and GDP. However, Japanese value is far less than this trend. With cluster analysis, the countries were divided into 7 clusters. Comparing to the countries in the same group, who are developed economies with huge manufacturing and service industries, Japanese value is once again smaller. Historical data showed that Japanese value has already been saturated in relatively lower level comparing to the countries like Germany, UK or Korea. All analysis showed that Japanese value is significantly less than other countries. This must be further analyzed and we should take measures if needed.
著者
田村 類 高橋 弘樹 生塩 孝則
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.2, pp.71-82, 2001 (Released:2004-02-20)
参考文献数
31

有機ラセミ結晶の新しい自然光学分割現象を見いだし,これを優先富化現象と命名した.ラセミ結晶が優先富化現象を示すための必要条件を明らかにし,その機構を解明することを目的として,優先富化現象を示す化合物の誘導体や類縁体を合成し,これらの化合物の分子 · 結晶構造と優先富化現象の相関関係,これらのラセミ結晶の形態(ラセミ化合物,ラセミ混合物,ラセミ混晶の別)について系統的な研究を行った.その結果,X線結晶構造解析と融点相図の作成により,優先富化現象を示す化合物のラセミ結晶の形態は,きわめて秩序の高いラセミ化合物型の鏡像体間の混晶,あるいは中程度の秩序を持つ鏡像体間の混晶であることが判明した.一方,優先富化現象を示さない化合物のラセミ結晶の形態は,きわめて秩序の低い鏡像体間の混晶であることが示された.また,溶液中での鏡像体の会合構造を保持したまま結晶化したと考えられる結晶構造を得ることができたので,この構造を基にして,優先富化現象と密接に関連する結晶多形転移の機構を提唱する.
著者
谷口 初美 福田 和正 王 岩 HINOUE Mitsuo 山内 和紀 市原 剛志 水野 康平 石松 維世 世良 暢之 濱崎 光宏 高橋 浩司 堀川 和美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.349-367, 2004-09-01
被引用文献数
4

廃棄物処分場や不法投棄現場においてガス発生が多発している.硫化水素ガス発生予測の基礎となる土壌細菌叢の動態を量的,質的に評価するための遺伝子工学的検査法を構築することを目的に,従来の染色法,培養法による検証と共に,実験手法の確立を行った.全菌数測定にreal time PCR法を導入し,その有用性を明らかにした.Direct PCRにより増幅した16S rRNA遺伝子の塩基配列決定により,菌種の同定を行った.硫化水素ガス発生に関与するイオウの酸化または還元菌群の頻度を調べた結果,復旧作業中の不法投棄現場では,深層部の土壌で,無芽胞硫酸還元菌とイオウ酸化細菌群が高頻度に同程度検出された.埋立廃棄物処分場では,深層部に有芽胞硫酸還元菌やClostridium属菌が多く検出され,イオウ酸化細菌群はほとんど検出されなかった.硫酸還元菌については嫌気培養法により同様の結果を得た.理化学検査の結果,硫酸イオン濃度は不法投棄現場では深層部に,埋立処分場では表層部に高かった.廃棄物処分場や不法投棄現場では硫化水素ガス発生の潜在的危険性が示唆され,遺伝子工学的検査システムが土壌の微生物叢評価および処分場のガス発生予知に有用であると考えられる.
著者
高橋 孝次
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.32, pp.13-28, 2016-03

〈文壇〉からの孤立というイメージによって強く価値づけられてきた稲垣足穂だが、大正末から昭和初期にかけては、〈文壇〉という文学場において、「新時代」を代表する作家として登記された存在だった。本稿では作家自身の証言に依拠するのみでほとんど検証されてこなかった〈文壇〉時代の稲垣足穂の姿を当時の時評や合評、新たに発見された資料、同時代言説などから再構築することを目的とする。滝田樗陰と「中央公論」、佐藤春夫との破門問題、中村武羅夫と「新潮」、新感覚派と「文芸時代」といった稲垣足穂と〈文壇〉を繋ぐ人々との関わりを再検証し、当時の足穂がいかにして〈文壇〉での位置を獲得していったかを裏付ける。加えて石野重道と猪原太郎という二人の友人をめぐる「オリジナリティ」の問題を採り上げ、足穂の送った二つの抗議文と、それに対する〈文壇〉の反応から足穂の「新しさ」がどのように認知、受容され、消費されていったのかを明らかにする。
著者
松下 純子 後藤 月江 金丸 芳 遠藤 千鶴 長尾 久美子 有内 尚子 高橋 啓子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.42-48, 2014

日本の調理文化の地域性の特別研究のうち,平成21年から平成22年に「行事食・儀礼食」についてアンケート調査を行った。徳島県に10年以上在住する人を対象に,正月を除く年中行事について30歳未満,30歳以上50歳未満,50歳以上の年代区分に分類し検討した。人日,端午の節句,七夕,土用の丑,盂蘭盆,重陽の節句,春分の日,秋分の日,冬至,秋祭りでは,認知率および経験率の双方に年代区分で有意差がみられた。節分「巻き寿司・のり巻き」,土用の丑「うなぎの蒲焼き」は行事食としての喫食率が高かった。春分の日,秋分の日の「ご飯・だんご」,春祭り,秋祭りの「ご飯・すし」は,若い世代への伝承が薄れていることが推察された。全ての年代区分で年末のクリスマス,大みそかは行事として定着しており,「ケーキ」や「年越しそば」を多く食べていた。多くの行事食は以前には家庭で作ったが,現在は買う入手方法へ変化しており,特に50歳以上で顕著であった。
著者
菊地 和美 菅原 久美子 木下 教子 酒向 史代 坂本 恵 高橋 セツ子 土屋 律子 芳賀 みづえ 藤本 真奈美 村上 知子 村田 まり子 山口 敦子 山塙 圭子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】年中行事や通過儀礼を行うハレの日には、食事も日常とは区別され、各家庭や地域で独自の習慣がみられている。食生活が多様化する中、地域における年中行事や伝統食を大切にし、次の世代への継承にむけた取り組みが推進されるようになってきた。そこで、本研究は北海道の行事食と儀礼食について、親子間(学生とその親)からみた認知状況や摂食状況などの実態把握を行い、地域性を明らかにすることを目的として検討した。【方法】調査は日本調理科学会特別研究(平成21~23年度)に基づき、北海道に居住する親181名と子181名(計362名)を対象として、調査時期は平成21年12月~22年8月に実施した。データは単純集計および親子間によってクロス集計を行い、χ2検定により分析した。【結果】親子間で認知・経験が一致する回答は、行事食が74.0%、儀礼食は49.8%であった。行事食と儀礼食を認知している割合は親が子よりも多く、親子間で有意差がみられたのは盂蘭盆、お七夜、百日祝い、初誕生、厄払いであった(p<0.01)。行事食と儀礼食の経験がある割合も親が子よりも多く、有意差がみられたのは春分の日、端午の節句、盂蘭盆、土用の丑、お月見、秋分の日、出産祝い、お七夜、百日祝い、初誕生、成人式、結納、婚礼、厄払い、長寿であった(p<0.01)。北海道の正月料理のうち、親子間で「現在、家庭で作る」という回答が一致していたのは、たこ刺身が7組(親子間一致なし12組)、くじら汁が2組(親子間一致なし3組)、いずしが2組(親子間一致なし2組)であった。今後はさらに、北海道における特徴的な行事食・儀礼食の親子間による伝承を検討する必要性が示唆された。