著者
谷川 東子 高橋 正通 今矢 明宏 稲垣 善之 石塚 和裕
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.149-155, 2003-04-05
被引用文献数
3

アンディソルとインセプティソルにおける硫酸イオンの現存量を調査し,以下のことを明らかにした。1)吸着態硫酸イオンが主体であるPO_4可溶性Sは全Sの約30%を占める主要な画分であり,その含有率はアンディソルでは16〜880mg S kg^<-1>と高く,インセプティソルでは10〜296mg S kg^<-1>と低く,明瞭な差があった。また欧米の土壌の既報値に比べ,本邦のアンディソルが含有する吸着態硫酸イオンは著しく多く,全Sに占める割合も高かった。2)溶存態硫酸イオン(Cl可溶性Sおよび水溶性S)は両土壌でPO_4可溶性Sよりも含有率が有意に低く,全Sの10%に満たなかった。そのため硫酸イオンはほとんど吸着態で存在していることが明らかになった。3)両土壌におけるPO_4可溶性Sの断面プロファイルは,表層で低く50cm〜1m深で最大値に達する特徴を持っており,とくにメラニューダンドでは最大値に達してからも,高い含有率が下層で維持されていた。4)PO_4可溶性Sは,硫酸イオン吸着能を持つ鉄やアルミニウムの酸化物,とくに腐植複合体画分を除いた非晶質酸化物やアロフェンといった非晶質粘土鉱物,さらに結晶質鉄酸化物の存在に影響を受けていると推察された。溶存態硫酸イオンのうち,交換性硫酸イオン含有率もまたこれらの土壌因子に影響を受けていることが示された。5)メラニューダンドの下層では,硫酸イオン吸着能が著しく高く,その高い硫酸イオン吸着能が水溶性硫酸イオン含有率を低く維持していることが推察された。6)表層から1m深まで積算したPO_4可溶性Sの現存量は,アンディソルでは870〜2670kg S ha^<-1>,インセプティソルでは91〜1440kg S ha^<-1>であった.溶存態硫酸イオンの現存量はPO_4可溶性Sに比べ著しく低く,表層から1m深までの積算で,Cl可溶性Sはアンディソルで17〜103kg S ha^<-1>,インセプティソルで13〜144kg Sha^<-1>,水溶性Sの現存量はアンディソルで23〜56kg S ha^<-1>,インセプティソルで26〜91kg S ha^<-1>であった。
著者
高橋 百合子 三浦 正江
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
pp.2016003, (Released:2016-12-10)
参考文献数
20

In this study, we focused on self-control from two aspects, from a behavior tendency, self-restraint and self-release. With university students as subjects, we developed new scales to measure them.By factor analysis, a Self-Restraint Control Scale consisted of “Pro-social and pro-goal self-restraint” and “Restraint of desire and impulse,” while a Self-Release Control Scale consisted of “Active distraction and rest” and “regulation of over impulse-restraint.” The internal consistency was (α = .68-.75, α = .81-.83), and the test-retest reliability was (r = .68-.80, r = .70-.75); constant reliability was indicated. Moreover, by the correlation with former measures, constant validity was indicated.From this study, the behavioral content included in the self-control was clarified, and the viewpoint helpful for understanding the self-control was demonstrated.
著者
大谷 栄治 倉本 圭 今村 剛 寺田 直樹 渡部 重十 荒川 政彦 伊藤 孝士 圦本 尚義 渡部 潤一 木村 淳 高橋 幸弘 中島 健介 中本 泰史 三好 由純 小林 憲正 山岸 明彦 並木 則行 小林 直樹 出村 裕英 大槻 圭史
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.349-365, 2011-12-25
被引用文献数
1

「月惑星探査の来たる10年」検討では第一段階で5つのパネルの各分野に於ける第一級の科学について議論した.そのとりまとめを報告する.地球型惑星固体探査パネルでは,月惑星内部構造の解明,年代学・物質科学の展開による月惑星進化の解明,固体部分と結合した表層環境の変動性の解明,が挙げられた.地球型惑星大気・磁気圏探査パネルは複数学会に跨がる学際性を考慮して,提案内容に学会間で齟齬が生じないように現在も摺り合わせを進めている.本稿では主たる対象天体を火星にしぼって第一級の科学を論じる.小天体パネルでは始原的・より未分化な天体への段階的な探査と,発見段階から理解段階へ進むための同一小天体の再探査が提案された.木星型惑星・氷衛星・系外惑星パネルは広範な科学テーマの中から,木星の大気と磁気圏探査,氷衛星でのハビタブル環境の探査,系外惑星でも生命存在可能環境と生命兆候の発見について具体的な議論を行った.アストロバイオロジーパネルでは現実的な近未来の目標として火星生命探査を,長期的な目標として氷衛星・小天体生命探査を目指した観測装置開発が検討された.これらのまとめを元に「月惑星探査の来たる10年」検討は2011年7月より第二段階に移行し,ミッション提案・観測機器提案の応募を受け付けた.
著者
倉元 綾子 高橋 桂子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第56回大会・2013例会
巻号頁・発行日
pp.58, 2013 (Released:2014-01-25)

【目的】家庭科は生活課題を取り扱うことから,問題解決能力(現実の領域横断的な現状に直面した場合に,認知プロセスを用いて,問題に対処し,解決することができる能力。問題解決の道筋が瞬時には明白でなく,応用可能と思われるリテラシー領域あるいはカリキュラム領域が数学,科学,または読解のうちの単一の領域だけには存在していない。PISA)の育成に大きな役割を果たすことが従来から指摘されてきた。また,平成20年度学習指導要領改訂では家庭科に「生活の課題と実践」が加わったことから,問題解決型の授業がますます重要視されてきている。本報告では,韓国・家庭科における実践的推論プロセスにもとづく授業の導入について明らかにする。【方法】ユ・テミョン,イ・スヒ著『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』(2010年,ブックコリア)および韓国教育課程に関する文献資料などを分析した。【結果】(1)韓国の家庭科では,2007年の教育課程改正以後,問題解決型学習,プロジェクト学習,実習中心学習,特に実践的推論プロセスの本格的導入が進められている。(2)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』は,新教育課程に向けて,プログラム開発・実行・評価など家庭科教員の教授能力を高めることを目的としている。(3)同書は,第1部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の理解,第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計,第3部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の実際から構成されている。(4)第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計は全5章から構成されている。授業の中心的観点の明確化,実践的問題の開発,シナリオ製作,授業における質問の開発,評価のための質問項目の開発などを具体的に扱っている。実際に授業を開発し実施するうえで訓練を必要とする部分についても多様な事例を用いて具体的に説明している。(5)第2部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 授業の観点(教育プロセスを重視した授業設計,教師の授業観点,実践的問題を中心とする授業と能力形成を中心とする授業の事例),第2章 実践的問題開発(教育プロセスを基礎とする実践的問題の構成,子どもの個人・家族・家庭生活の実態を基礎とする実践的問題の構成,米国の実践的問題を中心とする教育プロセス),第3章 実践的問題のシナリオ製作(直接製作した実践的問題のシナリオ,新聞資料を活用した実践的問題のシナリオ,写真資料を活用した実践的問題のシナリオ,映像資料を活用した実践的問題のシナリオ),第4章 質問の開発(三つの行動体系と関連した質問,推論段階にともなう質問例,実際の授業での質問の構成例),第5章 評価のための質問項目の開発(評価における二者択一的観点,二者択一的評価ツール)。(6)同書第3部 実践的問題中心家庭科授業の実際は2つの章から構成されている。第2部を基礎にして,実践的問題を中心とする授業の中心的要素が授業過程全体を通してどのような役割を果たしているのか,授業を作る過程を通じて実践的問題を中心とする授業を理解するようにしている。さらに,実際に授業を開発し実施する過程の理解を助けるために事例を通して具体的に説明している。(7)第3部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 実践的問題を中心とする授業のプロセス(実践的問題を中心とする授業の準備,実践的問題を中心とする授業の流れ),第2章 実践的問題を中心とする授業の開発と実施(授業の観点,実践的問題の開発,実践的問題を中心とする授業の実施)。(8)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』の実践編は豊富な事例と具体的な説明を用いて,実践的推論プロセスにもとづく授業に取り組むことができるようにしている。
著者
小林 達明 高橋 輝昌 保高 徹生 近藤 昭彦 鈴木 弘行
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

福島第一原発事故による放射性Cs汚染に対する除染作業による里山森林生態系の反応を3年間継続測定した。137Csの初期沈着量は500kBq/m2だった。137Csの林冠から林床への供給は、2013年7kBq/m2だったのが2014年4.4kBq/m2に減少したが、2015年には4.7 kBq/m2に増加した。これは137Cs動態が平衡状態に移行しつつあることを示す。林床の137Cs蓄積量は有機物層除去で79%、リター除去で43%減少した。林冠から林床への137Cs供給はそれぞれ38%と33%減少した。処理効果は見られたが、有機物層下層の除去は可給態Csの減少にあまり貢献しなかったと考えられる。
著者
池田 達昭 村岡 誠 向井 直樹 高橋 英幸 高松 薫
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.783-791, 2006-11-10

本研究では,同一の競技チームに所属し,日常的に同様な筋力トレーニングを実践している集団を対象にし,1RMの個人差の小さい等質的な集団であるか否かを確認した上で,(1)1RMと3種の%1RMにおける繰り返し回数およびI-N slopeとの関係を検討すること,(2)N_<total>とI-N slopeの相違を神経-筋機能と筋の組織化学的特性の面から検討することを目的とした.検討に際して,1RMの個人差の大きい異質集団を対象とした著者らの先行研究(池田・高松,2005)との比較を行った.上述の目的を達成するために,健康な男子大学生サッカー選手(1年生)15名(年齢:18.8±0.4歳,身長:174.3±3.4cm,体重:66.1±2.9kg)を対象として,等尺性最大膝伸展力(Isom.max)とIsom.max発揮中における力の発揮速度(RFD),動的最大膝伸展力(1RM)と1RMの90%,70%,50%での負荷強度における繰り返し回数(N_<90>,N_<70>,N_<50>),大腿四頭筋の筋断面積(CSA)および筋の組織化学的特性を測定した.なお,本研究における1RMの変動係数は,著者らの先行研究と比較して低値を示したこと,およぴ,2つの研究における1RMの分散は異なることが認められたことなどから,本研究の被験者は1RMの個人差の小さい等質集団であることを確認した.本研究における主な結果は以下の通りである.(1)著者らの先行研究では1RMとN_<90>,N_<70>,N_<50>およびN_<total>との間にいずれも有意な負の相関関係が認められたが,本研究では1RMとN_<90>との間にのみに有意な負の相関関係が認められた.(2)著者らの先行研究ではN_<total>とI-N slopeとの間に有意な正の相関関係が認められたが,本研究では2つの指標間に密接な関係は認められなかった.(3)本研究では,N_<total>とRFDとの間に有意な負の相関関係が認められ,I-N slopeと%Fiber area (TypeI)との間に有意な正の相関関係が認められた.以上の結果から,1RMと3種の%1RMにおける繰り返し回数,N_<total>およびI-N slopeとの関係は,対象とする被験者の1RMの個人差の大きさによって影響を受けること,N<total>とI-N slopeは,それぞれ繰り返し回数に関わる異なる能力を評価していること,などの可能性が示唆された.
著者
立浪 良介 高橋 恭兵 大場 達也 丹保 好子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.147-153, 2009 (Released:2009-01-01)
参考文献数
32
被引用文献数
2 6

Methylglyoxal (MG), a highly reactive dicarbonyl compound, is a metabolic by-product of glycolysis. MG is often detected at high levels in the blood of diabetic patients. We examined whether MG was capable of inducing reactive oxygen species (ROS) production in bovine aortic endothelial cells (BAECs). The viability of BAECs decreased with time on treatment with 5 mM MG, and was almost completely lost at 24 h. In contrast, MG at 1 mM had little influence on BAEC viability up to 24 h, but induced the elevation of intracellular glutathione content at 24 h. Exposure of BAECs to MG caused a dose-dependent increase in oxidized-hydroethidine fluorescence intensity, indicating ROS production. In addition, aconitase inactivation, which is an indicator of intracellular superoxide, was observed in MG-treated cells. Finally, we found that MG at 5 mM increased the fluorescence intensity of BES-So, a specific probe for superoxide. Together, the results suggest that MG induces superoxide production in endothelial cells, and that the accumulation of ROS may be linked to cytotoxic effects.
著者
高橋 健太郎 泉 憲裕
出版者
岩手県林業技術センター
雑誌
岩手県林業技術センター研究報告 = Bulletin of the Iwate Prefectural Forestry Technology Center (ISSN:13411438)
巻号頁・発行日
no.13, pp.31-34, 2005-03

岩手県矢巾町のキリ健全木と岩手県岩泉町のキリてんぐ巣病罹病木において、寄生しているカメムシの種類を調査した。健全木上では4科10種、罹病木上では5科17種のカメムシが確認された。クサギカメムシ、エゾアオカメムシ、チャバネアオカメムシ、ハリカメムシ、ツマジロカメムシ、ツノアオカメムシ、モンキツノカメムシの3科7種が健全木、罹病木の両方で確認された。
著者
細川 幹夫 高橋 均
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.54-71,en213, 1976-09-30 (Released:2011-03-18)

Since about 1960, research on the problems of the socialization of individuals has come to the forefront of the field of Educational Sociology in America, in Germany and in Japan. We would like to discuss the reasons for this trend; in the first place, we would like to take up topics under the heading “the socialzaition of individuals”, historical studies on the conceptual origins, and the development in relation to the social, ideological and educational affairs, and the purposes of the research; and, in the second place, we would like to point out that there are two fundamental concepts concerning socialization. Seen from different viewpoints of human nature, these last are the Durkheimian sociological concept and the Dewey-Meadian socio-psychological concept. From the educational viewpoint, they may be divided into the following two: the concept of unconsciousfunctional socialization and the concept of intentional socializing education. In the third place, we would like to mention that in America the unification and harmonization of socialization and individualization were at the centre of disputes from the very beginning, and we will summarize the reasons for this in three points based on the following statement: Since 1950, research on the problems of socialization has come to dominate the field. Fourthly, we would like to take up the most seriousp roblem-that of the rigorous distinction between Sozialization and Personalisation, which exists in the German Pädagogische Anthropologie, Erziehungswissenschaft, Soziologie der Erziehung. In other words, we would like to take up the positive concept of socialization implying socialadaptation-internalization (as basic socialization, or primary education), its limitations (for human existence-conscience), and the issues involved (adaptation to present-day technology). Finally, we would like to consider the trends and issues as treated by Japanese educationalsociologists. 1) We clarify such agents of socialization as family, school and others, and make clear their characteristics; 2) We investigate the trends in the research areas of political, economic, ccupational, and moral branches of socialization, as examples in which the content of such research is examined; and 3) We take up the problem of research areas, and suggest the possibility of handling the problems of juvenile delinquency as part of the study of socialization.
著者
高橋 晴子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.665-674, 1992-11-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

服装専門データベース「民博コスチュームデータベース<略称MCD>」の概要を紹介する。とくに, データ加工のための服装専門分類表および身装概念コード表 (シソーラス) の作成過程と問題点について述べる。分類表は, 生産から消費への流れを表す面と, 衣服, あるいは関連品それ自体を表す面の 2面からなるファセット分類である。身装概念コード表は, 服装専門分類表に基づき, 優先語を選ばす同類語をコード化した体系表示である。文献·画像資料のデータ加工については, この分類表とコード表の共有は可能であるが, 標本資料については, 分析の観点が異なることから, 標本独自のシソーラスに依っている。
著者
大坂 佳保里 蓮沼 良一 チェン メイ フェイ 青木 正敏 福永 淑子 高橋 良佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】米粉は様々な調理分野において利用されているが、乾式製粉法では米粉を微粒子化するための設備が高額で、米粉の値段も高い。しかしタイ、台湾の水挽き製粉法を利用すると、安価な微粒子米粉を製造することができる。著者らは水挽きに先だって浸漬する水温(5℃、10℃、15℃、25℃)により、製造できる米粉の微粒子径を制御できることを明らかにしている(2011年発表)。本研究では、日本米の浸水温度を同様に4段階に設定し、その粒度分布を詳細に調べるとともに、これを日本で販売されている微粒径乾式製粉米粉、タイおよび台湾の米粉の粒度分布と比べることを目的とした。さらに米粉の製品に関わる米粉の損傷度合などについての特性を明らかにすることも目的とした。【方法】まず、日本米を上記4種類の水温の水に12時間に浸漬した後、水挽き法により製粉し、水分を赤外線水分計によって12%前後に調整した。次いで、4種類の浸水温度の米を水挽きした日本米粉と一般に市販されている日本の乾式微細米粉、タイ米粉と台湾の米粉との粒度分布をレーザー回折式粒度分布機と測色色差計で測定した。さらに、米粉のデンプン粒の損傷状態を調べた。【結果】5℃の米粉の粒度分布ではもっとも細かい粒径が得られ、メジアン径は18μmであった。米粉のメジアン径は水温が高いほど粗くなり、25℃の場合は64μmであった。タイの米粉は37μm、台湾米粉は18μmであった。色相については浸漬水温の差は認められなかった。デンプン粒の損傷状態によって生地の様子は異なり、低温の浸漬水温の米粉ほどコシの強い米麺ができることが明かになった。
著者
太田 美鈴 高橋 由里 深水 啓朗 伴野 和夫 岩田 政則 日高 慎二
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.425-435, 2010 (Released:2012-03-09)
参考文献数
8

Very little information is provided with OTC drugs and unlike prescription products,they do not have package inserts or interview forms.The purpose of this study was to examine the stability of 5 acetaminophen-containing OTC drugs by observing temporal changes in their characteristic physico-pharmaceutical parameters (hardness,mass,elution,drug migration) when they were preserved under conditions in which temperature and humidity were altered.From the results,it was assumed that 3 of the 5 drugs were affected by temperature and humidity,and that it was difficult to maintain stability when they were taken out of their packages.In particular,the drugs seemed to be more adversely affected the higher the temperature was and changes in parameters were greater.Also,the results of an elution test conducted after 24 hours of storage suggested that there was deterioration in 3 of the products.In conclusion,our findings clearly showed that patients need adequate explanation on how to keep OTC drugs.
著者
宇根 有美 多々良 成紀 野村 靖夫 高橋 令治 斎藤 保二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.933-935, 1996-09-25
被引用文献数
1

2頭のオグロプレーリードッグ(Cynomys ludovicianus)に, 肺転移を伴う肝細胞癌と非腫瘍部の慢性活動性肝炎の同時発生と, 肝細胞の過形成が認められた. 過形成性の肝細胞は細胞質内に多数の好酸性, Orcein染色陽性の封入体を持っていた. 電子顕微鏡で, 細胞質内封入体に一致して鎖かたびらのような編み目状の構造物を観察した. これらの封入体の電顕像は, 肝癌に関連するヘパドナウイルスの封入体の形態と異なっていた. また, ヘパドナウイルス様の粒子も認められなかった.
著者
猿山 美彌 高橋 真吾
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.183-186, 2012

有給休暇(有休)取得を促進することは,経済システムに良い影響を与えるという研究報告がある.しかし日本の有休取得率は欧米に比べて非常に低い.その原因はいくつかあるが,主な原因の一つは"職場の雰囲気(規範)"であるとするアンケート調査は多い.職場の規範は組織文化の一種であり,組織ごとに異なっている.したがって,有休取得促進のための政策は異なる組織の状況を考慮する必要がある.本発表では,有休取得促進政策に関するモデル研究として,組織文化である組織の規範を考慮して有休に関する行動を選択するエージェントベースモデルを用いた社会シミュレーションにより,組織状況ごとに計画休暇制度の有効性について検証する.
著者
高橋 久光 セナン キャロル ハフフェイカ レイ C
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.22-27, 1993-03-01

培養液中の異なるZn濃度および遮光がトマトの生育, 窒素含有量および硝酸還元酵素の活性に及ぼす影響について検討した.Znの欠乏は, 草丈の伸長を抑制した.葉部の全窒素含有量はZn欠乏区, 微量区および標準区でほとんど差異が認められず, その傾向は茎部, 根部においても同様であった.しかし, 葉部の全窒素含有量に占める水溶性窒素含有量は, Zn欠乏区で高かった.葉部の硝酸還元酵素の活性は, 標準区で高く, Zn微量および欠乏区で低かった.その傾向は茎部および根部でも同様であった.なお, 根部の硝酸還元酵素の活性は, 葉部や茎部と比較して, 低かった.Zn欠乏作物の遮光実験下での植物体各部位の生体重および乾物重は, 各生育期間とも無遮光区で最も大きい値を示した.Zn欠乏作物の遮光実験下での葉部の硝酸還元酵素の活性は, 遮光によって低下し, 無遮光区で最も高く, 70%遮光区で最も低かった.根部の硝酸還元酵素の活性は, 4月12日と4月19日には無遮光区で高かったが, 他の部位と比較して, 全処理区ともその活性は低かった.
著者
高橋 照彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.133-169, 1995-03-31

本稿は,平安時代における緑釉陶器生産の展開と終焉を検討対象とし,生産地の拡散過程・生産体制ならびにその歴史的背景について考察することを目的としている。緑釉陶器生産の盛衰過程は6段階に整理され,巨視的にみれば3度にわたる生産地の拡散が認められる。このうち,本稿は第2次拡散以降について検討を試みることにした。まず,第2次拡散期である9世紀中頃には,山城・尾張において基本的にその生産国内の技術により,国内の範囲で生産地拡散が行われる。この背景には,公的用途に限定されない需要の増大が推測され,9世紀前半からの緩やかな変質を認めることができる。その一方で,長門ではおそらく在地の生産基盤の薄弱さなどのために,他地域のように十分な生産の拡大は達成できなかったとみられる。この時期の緑釉陶器の生産体制としては,在地の生産組織に依拠しながらも中央の介在による共通規範の設定が行われていたものとみられ,国衙による生産過程への一定の関与が推測される。第3次拡散では,旧来の生産国を越えて丹波・美濃・近江・周防・三河などの新たな生産地が成立する。ここに9世紀的な3国による生産が崩れ,より一層の在地的展開が起こったことになる。ただし,生産体制としては従来から指摘のある荘園制的な新たな生産に転化したとは考えられず,それ以前からの延長的側面が残存していたと判断される。特に10世紀前半代には,近江窯の成立を初めとして9世紀代の緑釉陶器生産・供給体制を再現するために国家的に生産の再編が行われた可能性がある。11世紀前半代には,緑釉陶器生産がほぼ終焉を迎えることになる。この段階では緑釉陶器の需要が消滅したとは言えないため,終焉の背景としては生産側の要因がより大きかったと判断した。その一因としては原材料である鉛の不足も確かに重要であるが,規定的な要件はむしろ他の手工業生産にもわたるような国家的な変動の中で旧来的な生産が維持できなくなったという生産体制自体の変質に求められると考えた。平安期緑釉陶器生産は,奈良時代の中央官営工房による独占的な体制から,国衙が関与しつつ在地の窯業生産に依存する生産体制へと変容したことが大きな特質であった。そして,その生産は中世への萌芽的様相を見せながら変質していくが,最終的には国家的な後ろ楯なくしては存立できない古代的な生産体制に留まっていたために,在地に技術が根付かなかったものと結論付けた。
著者
南部 優 高橋 和子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

規則と達成すべき目標を内包する体系化された法規範を形式的に表現し, その法規範およびそれに変更が加えられたときの 変更の妥当性を検証する手法について述べる. 本研究では規範に則しかつ目標を達成できるモデルが存在することを妥当性と考え, 義務と許可の概念を陽に扱うことのできる義務論理を使って検証の枠組みを与える. この手法を授業カリキュラムに関する規程に応用した例を示す.