著者
西田 憲司 岩永 恭雄 二宮 晏 山形 邦夫 越谷 重夫 平野 康之 藤田 尚昌
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

ホップ代数が作用する環について研究した。特に環上の加群の伴う素イデアルの不変性を研究した。Auslander公式の一般化を行った。更に、その証明の過程で得られたExt群、転置関手、シジジーからなる短完全列がある種の双対関手で記述できることを観察し、それにより加群のlinkageに関する新しい定式化を得た。この結果を可換ゴレンシュテイン局所環に応用することによって、有限生成加群が極大コーエンマコーレーになるための必要充分条件はその加群のlinkage加群が極大コーエンマコーレーかつその加群が水平linkagedになることを示した。ハッセ原理をみたすある種のp群を全て決定した。また、Hecke環の可換性を指標を通して考察し、ある群Gがp-ベキ零群で、そのシロ-p-部分群Hの位数がpの場合にHecke環が可換であるための素数pに対する条件および群Gの構造を全て決定した。体上の有限次元多元環で自己入射的なものについて、反復多元環によるガロア被覆を持つ場合の性質を研究した。一般標準的なARクイバーを持つ自己入射多元環の決定や、自明拡大多元環上の加群と反復多元環上の加群の関係を研究した。可換な3不足群を持つ主ブロックにたいし、ドノバン、ブイグ予想を肯定的に証明した。有限群のモジュラー表現の現在最も重要な問題ブルエ予想についての成果を上げた。具体的には、有限群のシロー部分群が位数9の基本可換群の場合の主ブロックに対して、ブルエ予想を完全に解決した。その後、同じ位数9の群を不足群にもつ非主ブロックに対して、考えている群が特別の重要な幾つかの離散的有限単純群の場合に、ブルエ予想が正しいことを証明した。環Rの任意の剰余環が右アルチン的にならないこととR上の組成列を持つ任意の右加群が巡回加群になることが同値を示した。そして、この同値条件が有限正則拡大、森田同値で不変なことを示した。大きいglobal dimensionを持つタイル整環を半完全環内のneat idempotentに着目して研究し,新たな視点を得た。応用として特に,Jansen-Odenthalの例を概念的に改良した。構造系により定義される全行列代数について、フロベニウス全行列代数を詳しく研究し、ゴレンシュテインタイル整還との関係を決定した。
著者
五関 正江
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アルカリホスファターゼ (ALP) はリン酸エステルを加水分解する反応を触媒する酵素で、骨型ALPは石灰化との関連が深い。骨量は食生活等の環境因子と複数の遺伝因子によって決定される。本研究では、本酵素の遺伝子発現と加齢・老化や栄養因子との関連について検討を行い、リン酸代謝を含めたミネラル代謝等に関する有用な結果を示唆することができた。すなわち、実験実施計画に従って、骨量調節に関与するALPや骨代謝等への各種栄養因子(ビタミン、高脂肪食など)の影響を検討し論文に報告した。さらにヒトを対象とした栄養素等摂取状況と骨量測定、骨型ALP、遺伝子多型等との関連についても詳細な解析を行って論文に報告した。
著者
坂上 潤一 伊藤 治 生井 幸子
出版者
独立行政法人国際農林水産業研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

西アフリカのギニアをモデルに、数年間の品種比較試験を通して、天水低湿地水田の収量形成要因の特定と環境型と遺伝子型の交互作用の解析を行い、対象地域の環境に適応した品種群を明らかにしようとした。その結果、収量形成に及ぼす最も重要な形質は、環境にかかわらず登熟歩合であった。全期間、サイト、品種の登熟歩合と収量の相関係数はr=0.743(P<0.001)となり、極めて高正の相関が認められた。さらに、収量は1穂籾数とも相関があり(r=0.419(P<0.001)、1穂籾数の増加は収量向上に影響を及ぼしていると考えられることから、対象の天水低湿地水田全般においては、穂数よりも穂重の特徴のある草型がより適性が高いと言えるが、収量は環境によって変動しており品種の環境への評価を詳細に進める必要があろう。次に、環境型・遺伝子型の交互作用を解析によって、異なる環境に対する品巣の一般適応性が明らかになった。そのような品種群は環境の良否にかかわらず講習を示す品種であり、本研究においては西アフリカで伝統的に栽培されているGambiakaとアフリカライスセンターで高収量を目的に育種されたアジアイネとアフリカイネの交雑種NERICAと呼ばれる系統のWAB1159-2-12-11-2-4などが、供試品種の中ではより一般適応性が高いと考えられた。これら品種はいずれも登熟歩合が高く、収量の回帰係数が1に近く、回帰の残差分散も小さい特徴を示した。
著者
中井 亜佐子 中山 徹 三浦 玲一 越智 博美 鵜飼 哲 河野 真太郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、モダニズム研究を地域および時代横断的に展開することによって、越境性と地域性の相互関係を分析し、従来的なモダニズムの時代区分を再検討しつつ、近代の時空間にかんする理論構築を行った。より具体的には、(1)英米の正典的なテクストを、精神分析的および歴史的観点から批判的に精読することによって、モダニズム・モダニティの理論構築を行う、(2)マイノリティや(旧)植民地地域の複数化されたモダニズムを研究し、近代の時空間を理論的、実証的に再検討する、(3)イギリス、北米のモダニズム研究者と研究交流を行い、新しいモダニズム研究のネットワークを構築する、という3点の成果を挙げることができた。
著者
高橋 和久 阿部 公彦 富山 太佳夫 丹治 愛 丹治 陽子 原田 範行
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究をつうじてわれわれは、大学教育のなかで教育目標の明確化(とくに就業力との関連で)が求められてきている現状を踏まえ、(1)かつて教養主義という名のもとにほとんど自明とされていた英文学教育の理念・目的を、学生の就業力養成と関連させながら再構築し、(2)その理念・目的を実現するための英文学教育の具体的な方法論と教材を開発するとともに、(3)そのような英文学教育の理念・目的と連動する英語教育の方法論と教材を開発したうえで、研究の成果を日本英文学会の活動をとおして発信することをめざした。
著者
三木 哲郎 上島 弘嗣 梅村 敏 小原 克彦 田原 康玄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

多因子疾患の感受性遺伝子に関する長期縦断疫学研究を行った。これまでの断面的解析から同定された肥満、2型糖尿病、高尿酸血症の感受性遺伝子が、これら疾患の新規発症とも関連することを明示した。断面解析からは、ATP2B1が高血圧感受性遺伝子であることを突き止めた。ノックアウトマウスを用いた検討から、ATP2B1は細胞内カルシウム濃度および血管収縮性の亢進を介して血圧上昇を来していることが明らかとなった。
著者
大村 嘉人 保坂 健太郎
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

博物館などに保管されているタイプ標本は生物の学名の基礎となっており重要な価値を持つ。一方、近年ではDNA情報が分類学的研究に重要な要素となっており、古いタイプ標本からのDNA情報の収集が困難であることが研究の足かせになっている。本研究では、①標本庫に収蔵されているタイプ標本のDNAが経年変化で断片化することを示し(きのこ類は約50年で230bp以下、地衣類は約15年で200bp以下)、②そのような古いタイプ標本のDNA情報を補完するために、新たな標本をタイプロカリティーから採集し、エピタイプ候補として選定した。標本庫の古いタイプ標本に参考となるDNA情報が得られ、標本の価値向上に貢献できた。
著者
柳 敏晴 西田 順一 橋本 公雄 藤永 博 堤 俊彦 松本 裕史 榮樂 洋光 手島 史子 中島 俊介
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

平成 22 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別項目収集及び整理検討と予備調査、プログラム別仮プログラム作成・実施と要因探索から、プログラム開発・モデル構築を試みた。平成 23 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別本調査実施と尺度の信頼性・妥当性の検討から進め、プログラム別修正プログラムの実施し、因果モデル作成を試み、プログラム開発とモデル構築を進めた。平成 24 年度は、対象者別プログラム評価への使用と妥当性検討から、効果測定尺度作成を試み、プログラム開発とモデル構築に挑戦した。
著者
石黒 真木夫 三分一 史和 越久 仁敬 岡田 泰昌
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

イメージングデータの事前処理として,画像強度の不均性やモーションアーチファクトなどの実用的な補正方法の開発を行った。そして,イメージングデータの分散や時間依存相互相関などの統計量マップを用いて脳幹内の呼吸活動生成部位におけるニューロンとアストロサイトを効率的に識別する方法を確立した。生理学的には遅い周期で活動し,ニューロンネットワークと弱く結合するアストロサイトネットワークの存在を示唆する結果や,呼吸バースト毎に活性化するニューロンの組み合わせが異なるという知見を得ることが出来,今後のニューロンネットワークの数理モデリング研究に新たなパラダイムをもたらす可能性のある成果を得ることが出来た。
著者
丸山 征郎 川原 幸一 伊藤 隆史 大山 陽子 橋口 照人
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

HMGB1 はDAMPsの代表的分子であるが、多くの壊死細胞、あるいは活性化上皮系細胞などからは生細胞からも放出されて、TLR-2, -4, RAGEに作用する。この場合、先行する刺激によって活性化状態(プレイミング)となっている細胞にセカンド刺激となって作用すると、一挙にinflammasome 活性化とNF-kB 活性化により、IL-1β, IL-18を産生放出して、生体防御的反応を惹起する。しかしこれはまたSIRS,DIC 等の原因ともなる。セカンド刺激としてはトロンビンやエンドトキシンなども活性を発揮する。
著者
瀬名波 出 小西 照子 平良 東紀 玉城 史郎 藤村 弘行 石川 正明 若井 謙介 大城 尚紀 小田 拓也 平岡 雅規 原田 周作
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では火力発電所や下水処理施設などから排出される二酸化炭素(CO2)を海藻を育てるための資源として再利用した。高濃度の CO2を海水に人工的に溶かし、それを海藻に与えることで藻類の光合成(成長速度)を飛躍的に高めた。通常の海水に比べて約 1.9 倍以上に成長が高まる結果を得た。また海藻を原料としたバイオエタノールの試作を成功させた。このようにCO2を減らし,また CO2を新たな資源として再利用する「炭素回生システム」研究開発を行った。
著者
関 平和 池本 良子 中木原 江利 本多 了
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

未利用資源の一つである竹チップの発酵過程における発生熱に着目し、伝熱理論と実験に基づいて、その熱の抽出・利用システムの適用可能性を検討した。まず、竹チップ層の発熱安定状態の発熱速度を求めた。次いで、竹チップ層内に埋設した配管への通循環通水による熱抽出の伝熱計算式を導いた。そして、抽出熱の蓄熱水槽、熱利用槽への熱供給を含めた総合システムを想定した小型システムによる伝熱実験により、伝熱計算モデルの妥当性を確かめた。さらに、実用的規模の竹チップ層を用いた発熱・蓄積・熱利用システムの実験を実施し、システムモデルの妥当性を確認した。
著者
大野 昭彦 藤田 幸一 三重野 文晴
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農家家計費調査(N=1100)および信用組合の財務調査(N=103)に基づいて、発展の程度に対応して貯蓄および借入動機が変化することを指摘している。特に貧困地域の信用組合の役割は、疾病治療を中心とする保険組合であり、生産向上を目的とする借入は限定的である。また、余裕金問題の発生も確認した。日本やタイの信用組合運動との比較もなされ、信用組合運動にも地域差があることが指摘されている。そして、その主要因として、地主の役割が挙げられている。またワークショップを開催して、中央銀行を含むラオスの信用組合担当者に研究成果を開示した。
著者
萩原 薫 神前 純一
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では欧州原子核研究機構の LHC 加速器の実験による新しい物理の発見を確実に実現するための物理解析ツールを開発した。グラフィックス・プロセッシング・ユニットの利用で多重ジェット生成過程を含む物理現象のシミュレーションの二桁近い高速化が実現され新しい物理現象に対するバックグランドの推定の高速化と精密化が可能となった。開発中のパートンシャワーとの接続により更なる精密なシミュレーションが期待される。
著者
八百 隆文 後藤 武生 藤井 克司 李 賢宰 小池 佳代
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高い発光強度が必要な照明等のLED構造は縦型LED構造が望ましいが、絶縁体であるサファイアを基板として用いるため縦型構造作製が難しい。この問題解決として、我々は金属バッファー層とケミカル・リフト・オフ(CLO)技術によりサファイア基板を剥離して縦型高輝度紫外LEDを開発した。即ち、サファイア基板上に金属バッファーを用いて高品質GaNのMOVPE成長が実現し、GaN上に近紫外(385nm帯)発光InGaN/GaN/AlGaNLED構造を試作した。発光層InyGa1-yN/GaN量子井戸(QW)層中のIn組成の精密制御ならびにLEDの構造の最適化によりLED特性の大幅な向上も実現した。要するに、CLO法による縦型高輝度深紫外発光LED開発のフィージビリティーを示した。
著者
松元 俊 佐々木 司
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

電車運転士,保健師に対してシフトワーク・チャレンジの練習問題を行った。その結果,職種,年齢階層,夜勤経験の有無にかかわらず,正答率の高い問題と正答率の低い問題の傾向は似ていた。また正答率は,夜勤経験のある者で無い者より高かったが,夜勤経験率が低い保健師の方が,夜勤経験率が高い電車運転士よりも正答率は高かった。この理由として夜勤経験の有無よりも,たとえば保健師ならば,日ごろの業務で夜勤者の健康管理を行っているという夜勤・交代勤務に対する関心の高さが正答率を上げていることが考えられた。これらのことから,シフトワーク・チャレンジは,有効なリスクコミュニケーションツールになり得ることが示唆された。
著者
村山 美穂 中村 美知夫 幸島 司郎 伊谷 原一 井上 英治 田中 正之 杉浦 秀樹 森村 成樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本課題では、絶滅の危機に瀕した野生動物の保全遺伝学を目指して、動物園や国内の野外ステーションとの連携を活用して、非侵襲的な DNA 採取法の開発に取り組むとともに、血縁や亜種判定の基礎となる多様性データを集積し、多数種、多数試料からなる詳細情報つきの DNA Zoo を整備した。またストレスや行動との関連が予想される遺伝子と性格評定などのデータとの比較により、ゲノム情報による野生動物の行動や繁殖の予測システムを構築した。
著者
渡邉 富夫
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

実感し共感するかかわりの場のヒューマンインタフェースの観点から、うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みを音声駆動型身体引き込みキャラクタInterActorや身体的インタラクションロボットInterRobotに導入したシステムを開発展開し、身体的インタラクション・コミュニケーションの引き込みに基づく共感インタフェースを研究開発した。本研究で開発した身体的コミュニケーション技術がゲーム大手の作品等に導入・実用化された。
著者
小林 英嗣 倉田 直道 上野 武 小篠 隆生 坂井 猛 小松 尚 鶴崎 直樹 斎尾 直子 遠藤 新 三宅 諭
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

地域・環境の再生を実現するために、関わる主体の関わり方、システム、実現組織のあり方という3つの分析視点を持ち、国内外の事例調査を行った。研究成果として、地域・環境の再生を実現に導くための共創の状態とは、既存の主体同士の中で実現されるものではなく、新たな主体同士の関わり方が必要であること、その中で、大学の果たす役割が非常に重要であること、また、活動の具体的な場所や地域の設定が重要であることが明らかになった。
著者
伊藤 徹 荻野 雄 昆野 伸幸 平子 友長 長妻 三佐雄 笠原 一人 平芳 幸浩 松隈 洋 西川 貴子 日比 嘉高 若林 雅哉 秋富 克哉 宮野 真生子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本語としての「主体性」の概念の成立と使用の歴史を、哲学、社会思想、文学、美術、演劇、建築など多様な分野において、追跡したものである。それによって、日本が近代化に伴って経験した人間理解の変化を、多様なアスペクトにおいて解明することができた。また海外の日本文化研究者との共同研究および出版事業を通じて、日本におけるテクノロジーの発展と文化との関係についての知見を国際的に発信することができた。