著者
田中 大喜 村木 二郎 松田 睦彦 湯浅 治久 鈴木 康之 井上 聡 高橋 典幸 黒嶋 敏 貴田 潔 神野 祐太 渡邊 浩貴
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、13世紀後半~14世紀にかけて顕著になった、西遷・北遷と呼ばれる東国武士の西国や東北地域の所領への移住の実態について究明する。その際、西遷・北遷東国武士と在来諸勢力とを相互規定的な関係にあるものと捉える観点から、両者の多様な諸資料を広く収集・分析し、文献史学・考古学・美術史学・民俗学・歴史地理学による地域総合調査として進めていく。本研究の成果は、報告書や展示等を通して社会に発信していくと同時に、様々な研究分野に利活用できる調査情報公開のシステム作りも進め、調査データの社会資源化を図る。
著者
盛田 伸一 西澤 精一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

現在,生細胞の局所のラマンスペクトルを計測できるようになっている.生細胞に光を当てラマン散乱スペクトルを計測できるようなバイオラマン顕微鏡を開発し,数理解析することで,造血細胞HL60・HeLa細胞の内部状態について実験的な知見を得ることができた.細胞を顕微鏡ステージで飼育しながらラマン計測を行った.造血細胞HL60において,未分化状態から分化・アポトーシスに移行するダイナミクスは,未分化細胞の内部状態に依存することが,ラマン計測により明らかになった.任意の分化状態へ誘導しようとする再生医療の観点からも,得られた情報は重要である.複雑で大量なラマンスペクトルを数理解析する新規な方法を開発した.
著者
孫 媛 井上 俊哉 西澤 正己
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年,各種の大学ランキングが発表されてマスコミを賑わし,社会的に大きな影響力を持っている。しかし,大学ランキングでは大学を一元的に順序づけるため,大学の順位にのみ目が向けられがちである。また,論文数や論文の引用数などから算出されるビブリオメトリックス指標に大きく依拠しており,教育面の比重が軽い。本研究は,大学の研究活動だけでなく学修・教育活動をも重視して,それらを捉える指標を探索的に検討し,大学を多元的に評価・診断するための方法について提案を行った。
著者
清水 邦義 中村 崇裕 大貫 宏一郎 松本 雅記
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

霊芝キノコのゲノム編集について、霊芝特異的プロモーターの単離、ターミネーターの単離、霊芝ゲノム編集用ベクターの構築等の実験を行ってきた。その中で、ゲノム編集に用いるプロトプラストの遺伝子導入効率の低さと、遺伝子発現効率の低さは新規キノコ作成において、ボトルネックとなっていた。この状況に変化をもたらしたのは、刑部らのキノコゲノム編集に関する論文であった(Scientific Reports (2017)。これまで、ある一定の形質を有するプロトプラストを用いると効率が上がることが判明していた。よって我々は、霊芝プロトプラストを用いたゲノム編集には、菌糸体を用いた予備的実験の中で、細胞融合・ゲノム編集を効率的に行うためには扱い易いプロトプラストの採取が必須という結論に至り、セルソーターにより最適なプロトプラスト採取の条件を探索している。我々はこれまでに、霊芝子実体の有用成分のLC/MSを用いた網羅的解析技術を確立しており、新規の菌糸体の作成に成功すれば霊芝トリテルペノイドの数十種類を同時に同定できるシステムを構築している。また、我々はこれまでに、ゲノム編集に必要なプロモーター、ターゲット遺伝子(コーデイングシーケンス)、ターミネーター領域のDNAを霊芝特異的遺伝子としてPCR法により探索し、有望領域を決定した。ターゲット遺伝子としてP450遺伝子群のコーディング領域をゲノム編集している。但し、これらの遺伝子セットが実際に作動するかは未定であるのでキノコゲノム編集で使用された遺伝子も併せて探索している。
著者
青木 栄一 北村 亘 村上 裕一 河合 晃一 曽我 謙悟 手塚 洋輔
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(1)研究代表者、研究分担者、連携研究者が参加するグループウェアを十二分に活用し、研究活動に関する情報共有や連絡調整を行った。また、研究会を年度内に3回開催した。第1回(5月)では今年度の研究活動の方針を決定し、前年度に実施したサーベイ調査の分析作業を今年度の研究活動の柱とした。第2回(8月)では分析結果の報告を行った。第3回(11月)では研究成果の公表方針の打ち合わせ、分析結果の報告を行った。(2)研究課題に関連する先行研究をレビューし、必要な文献を収集した。第1に、国内外の官僚制に関する書籍、論文を収集した。第2に、国内外の教育・科学技術行政担当機構に関する書籍、論文を収集した。(3)文部科学省の課長以上の幹部職員全113人に対するインタビュー形式のサーベイ調査(中央調査社への委託、一部留置式、回収率約7割)の分析を行った。政策過程に関する認識、弘道、各関係者との接触態様に関する分析結果が得られた。これは本課題研究の中核に位置づけられる成果であり、本年度の研究実績として特に強調したい。(4)『文部科学省 国立大学法人等幹部職員名鑑』を用いて、文部科学省幹部職員のキャリアパスの電子データ化を行い、一部分析作業に着手した。さらに、文部科学省から地方政府への出向人事のデータベースを構築し、分析結果の一部を学内紀要に投稿した(印刷中)。(5)庁舎配置からみた旧文部省と旧科学技術庁の大臣官房における融合の状況、科学技術行政に関する聞き取り調査等を行った。
著者
鐘ヶ江 秀彦 谷口 仁土 石橋 健一 大槻 知史 城月 雅大 熊澤 輝一 豊田 祐輔
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、人工環境ならびに社会環境に着目し、逆都市化におけるコンパクトシティの自然災害への脆弱性を補完し頑強性を保つための要件を検討した。その結果、災害発生時の地域経済の回復力(レジリエンス)は、地域からの人口移動が発生しないことに左右されることを明らかにし、人口移動に影響を与える社会関係資本に着目したレジエントなコンパクトシティ戦略について考察した。特に人工環境においては経済指標の時系列分析に基づく間接被害額の推定を行い、被害額と人口移動の関係性を明らかにした、社会環境ではレジリエントな都市を地域コミュニティから実現していくための方策を検討した。
著者
小田 寛貴 池田 和臣 坂本 昭二 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

鎌倉時代以前の現存古写本は,極めて少ない.これは,室町以降,茶室の掛軸等にするため,古写本が数行毎に裁断されてきたためである.この古写本断簡を古筆切という.故に,古筆切の史料的価値は高く,同一の本を構成していた古筆切(ツレ)を蒐集することで,貴重な史料である元の写本を復元できる.ただし,問題点が一つある.古筆切には,後世の偽物や写しが大量に混在しているのである.そこで,14C年代測定により古筆切の書写年代を求め,さらに,顕微鏡観察によって原料・繊維幅・紙漉法等を求め,それらが等しいツレを蒐集することで,失われた古写本の一部分を復元することができる.本研究では,その方法の確立を行った.
著者
安部 正真 矢田 達
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

新規に整備を行ったイオン照射装置を用いて、小惑星模擬表層物質としての含水ケイ酸塩鉱物と無水ケイ酸塩鉱物に対して、太陽風を模擬した水素イオンの照射実験を行った。照射前後の反射スペクトル測定を行ったところ、水素イオンの照射によって、H2OおよびOHに関連する吸収バンドに強度変化が見られた。このことから、水素イオンがケイ酸塩鉱物と反応して水を生成することを示唆する知見が得られた。大気のない小惑星や月表層のケイ酸塩鉱物に水素イオンが貫入し、結晶構造を壊し、活性化した酸素に水素イオンが結合することにより、SiOHやH2Oが形成していると考えられる。今年度は照射する試料を変えて、イオン照射量とスペクトル変化の関係に関する知見を獲得した。微隕石衝突を模擬した宇宙風化実験の結果とも整合する結果が得られている。また、ケイ酸塩鉱物への水素イオンの貫入で形成されるOHやH2Oの温度安定性についての知見を得るために、照射装置のサンプルホルダーに加熱機構を付加する改修を行った。この結果は実際に月表面で観察された水に関する吸収バンドの生成メカニズムを考察するのに役立つと考えられる。また、微隕石衝突を模擬した実験による反射スペクトル変化の測定は主に、可視波長域で行われているため、その結果と比較できるように、本研究で用いているFTIRの観測波長域を可視域まで拡張した。可視域には0.7ミクロンの水質変成に関係する吸収バンドがあり、宇宙風化がこの吸収バンドにどのような変化を及ぼすかについての考察にも役立つと考えられる。これらの改修後の照射・加熱実験および反射スペクトル測定の実施と結果の考察については、来年度も引き続き行う予定である。
著者
丸山 剛史 白石 崇人 内田 徹 船寄 俊雄 笠間 賢二 釜田 史 山本 朗登 大谷 奨 井上 惠美子 亀澤 朋恵
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員(以下、初等教員)検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究である。府県比較に関しては、北海道、鳥取県、長野県、埼玉県、宮城県、山口県の道県を取り上げた。中央法令制定・改正過程の検討には『公文録』・『公文類聚』等の法令起草・成文関係史料等を用いる。本年度は学制発布から小学校教員検定等ニ関スル規則施行下の時期(1872-1900年)に限定し、検討を行った。検討の結果、次のことが明らかになった。1)府県比較に関して。北海道に関しては、資料調査により北海道道立文書館には初等教員検定関係の史料はほとんど残されていないことが判明したが、北海道教育会の機関誌に初等教員検定制度を活用した教員養成講習会に関する記事が掲載されているほか、合否判定基準等を記した検定内規も掲載されていることがわかった。検定関係規則は「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定細則」等の名称により北海道庁令で規定されていたことも判明した。長野県に関しては、資料調査により長野県立歴史館に『長野県報』、検定関係文書が所蔵されており、特に検定関係文書はこれまで非公開文書が多かったが、問い合わせにより非公開文書のほぼすべてが公開されることになった。また、検定関係規則は長野県令により「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」、「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」等の名称により規定されていたことがわかった(他県に関しては文字数の制限により省略)。2)中央法令制定・改正過程の検討に関しては、国立公文書館には画期的な史料は見つけ出すことはできなかったが、府県教育会機関誌等に「小学校教員検定ニ関スル規則」制定過程に言及した記事があることがわかった。
著者
水口 幹記 洲脇 武志 喜多 藍 名和 敏光 佐々木 聡 高橋 あやの 清水 浩子 藤井 誠子 松浦 史子 田中 良明
出版者
藤女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、ベトナムと中国を中心対象地域に設定し、研究を進めていった。1、研究検討会の開催:国内において、計三回の研究検討会を開催した。特に第二回には、立教大学日本学研究所と「前近代東アジアにおける術数文化の伝播・展開―日本とベトナムを中心として―」と題した大規模検討会を共催した。ここでは、ベトナム(ハノイ国家大学)からファム・レ・フイ氏を招きご報告を頂いたほか、外部スピーカーもお招きし、広く意見交換を行い、一般聴衆へも本研究課題の意義を伝えることができた。この概要は『立教日本学研究所年報』に掲載予定である。2、『天地瑞祥志』研究会への参加・翻刻校注の刊行:毎月一度開催される『天地瑞祥志』研究会に参加し、本資料の輪読・校注作業が進展した。本年度は、本書第十六・第十七の翻刻校注が刊行でき、研究作業が大いに進展した。3、国内外調査:複数の研究班メンバーが共同でベトナム調査を敢行した。多くの漢籍を所蔵するハノイの漢喃研究院を中心に文献調査、史跡調査を行った。調査先は、漢喃研究院のほか、国会議事堂地下展示室・タンロン王城遺跡・ベトナム国立歴史博物館・文廟(以上ハノイ)・バクニン省博物館・陶おう廟碑・延応寺(以上バクニン省)などであった。特に、漢喃研究院の院長や研究員と懇談し、今後の協力を取り付けたこと、また、国宝に指定されている隋代の仁寿舎利塔銘を実見・調査できたことは、今後のベトナムの歴史と術数との関連を考える上で大きな収穫であった。また、現地の道教研究者とも意見交換を行うことができ、今後の研究の足がかりを得ることができた。その他、各研究班により、各地の資料館・図書館・文庫での調査が行われた。4、関連論文の翻訳:ベトナム語の論文としては、グエン・コン・ヴィエット「漢喃暦法の文献における二十八宿に関する概要」を日本語に翻訳することができ、研究班メンバー全員での共通認識形成に役立った。
著者
相馬 直子
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

第一に、調査結果を国際学会で発信し、ダブルケアの国際比較研究を発展させるための重要なインプットを得ることができた。具体的には、国際的なケア政策研究者が集まった、”Transforming Care Conference:INNOVATION AND SUSTAINABILITY”(伊)と、ヨーロッパ社会政策学会の”50th Anniversary Conference of the Social Policy Association Social Inequalities: Research, Theory, and Policy”(英)である。特に、前者では、サンドウィッチ世代の国際比較研究をしてきた北欧の研究者や、家族ケアの実態分析をしてきたイタリアの研究者から大変有益なコメントを得て、その後の論文や発表にも活かされている。後者は、ヨーロッパの文脈でのケアの複合化に関する貴重なコメントを得た。第二に、学術雑誌(医療と社会、都市計画)への論文掲載とともに、日本大百科全書といったデジタルソースで調査研究の発信を行った。日本大百科全書でダブルケアという概念が掲載されるようになった。本研究で山下順子氏と開発した、狭義・広義のダブルケア概念が社会的に幅広く認知され、その実態がより明らかにされるようになっている。第三に、ダブルケア関連のシンポジウムや研究会を通じて、調査結果を幅広く社会へ発信し、当事者や支援者のネットワーキングを行った。本研究プロジェクトでは、深刻な財政難・少子高齢化に対応した、多主体連携の「自治型・包摂型の地域ケアシステム」を提示することを目指しており、シンポジウムや研究会を通じても大変貴重なインプットを得る機会となった。第四に、ダブルケアと仕事の両立に関する追加調査を、横浜市の地域ケアプラザや地域子育て支援拠点の協力を得て2018年3月から実施した。
著者
梅村 坦 庄垣内 正弘 三友 健容 吉田 豊 松井 太 鈴木 健太郎 李 肖 DESMOND Durkin-Meisterernst
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究対象は、ベゼクリク千仏洞から1980~1981年に出土した非漢字の古文献約600点であり、その大部分は未公開の断片類である。使用される文字はウイグル文字、ソグド文字、ブラーフミー文字を中心とし、言語は古ウイグル語、ソグド語、サンスクリット語、トカラ語、漢語などにおよび、形式には写本、印刷があり、内容は仏教文献を中心として契約や公文書、詩、手紙などの俗文献に至り、10~13世紀頃のトゥルファンの複合文化を浮き彫りにする第一級の資料群であることが判明した。
著者
樹林 千尋 阿部 秀樹 山崎 直毅 青柳 榮
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

エクアドル産ヤドクガエルから発見されたエピバチジンは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合することによってモルヒネの200倍の極めて強力な非オピオイド性鎮痛作用を示すことが判明し、本化合物が画期的な非麻薬性物質であることが確認された。しかし、エピバチジンの臨床応用についてはその毒性が問題となっており、エピバチジンのアナログ開発は毒性克服の観点から重要な課題となっている。エピバチジンの活性発現には、ファーマコフォーとして2-クロロピリジル基及び脂肪族2級アミンの存在が必要であると指摘されているが、これ以外に窒素原子間距離が活性と毒性の発現に深く関わっている可能性がある。そこでわれわれは、エピバチジンのシンN-N及びアンチN-N配座固定アナログを合成し、両者のnAChRに対する親和性を比較することにより、エピバチジン立体配座と鎮痛活性の相関性を明らかにする目的で本研究を行い、次の結果を得た。アシルニトロソ化合物のヘテロDiels-Alder反応を鍵反応としてエピバチジンの合成中間体であるアザビシクロケトン体を合成し、2-クロロピリジル基を導入後分子内環状エーテル化によりスピロ化合物とすることによりシンN-N及びアンチN-N配座固定アナログの合成を達成した。次いで、これらのアナログについて中枢性nAChR(ラット)に対する親和性を測定したところ、シンN-NアナログはアンチN-Nアナログよりも受容体親和性が少なくとも2倍以上高いことが明かとなり、エピバチジンの活性配座がシンN-N配座であることを示す最初の実験例を示すことができた。
著者
村上 哲明 林 蘇娟 大槻 涼 山本 薫
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

シダ植物には有性生殖を二次的にやめて、胞子を通して親と遺伝的に全く同一なクローンを生産する生殖様式(無配生殖)を獲得したものが少なからず存在する。しかし、シダの無配生殖種にも遺伝的な多様性が見られる。本研究では、無配生殖種であっても近縁な有性生殖種と交雑をする能力を高いレベルで(有性生殖種の約20%)維持していること、さらに遺伝的分離も数%程度起こして遺伝的に多様な子孫を生産していることを明らかにした。
著者
李 建志 島村 恭則 上水流 久彦 齋藤 由紀
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究代表者は、先住民に対する行政の問題と、日本陸海軍の将校たちの思想が、支配者の立場と支配される立場というかたちで交差することに気づき、朝鮮半島出身の陸軍幹部であった李垠などを中心に、この時代について分析することへと傾斜していった。その際、島村氏、上水流氏、齋藤氏との意見交換や研究会などでの密接な問題意識の共有と、その成果発表としての論文発表などが、相互にとってきわめて有効に働いたことはいうまでもない。研究代表者の成果に限っていうと近い将来に単行本として刊行される原稿を書きためていた。その分量は400字詰め原稿用紙にして1000枚にのぼっている。これは必ず出版する。
著者
斎藤 一郎 坪田 一男
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

シェーグレン症候群(Sjogren's synrome,SS)は唾液腺、涙腺の組織破壊を主徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。本症の病体系性の機序は未だに明かではないが最近,SS組織特異的自己抗原が120-kDのα-fodrinであると言う報告がなされ、自己免疫疾患であるSSの発症、病理に深く関与している可能性が考えられている。しかしながら、120-kD α-fodrin自体が生成される機構については殆ど明らかにされていない。一方、従来より本疾患においてEpsten-Barrウイルス(EBV)の著しい活性化が認められることが知られている。本研究は、これらの現象に着目して、EBV感染が120-kD α-fodrin産生を誘導するかについて検討を行った。その結果、本研究に用いたSS患者血清中には、EBVの再活性化の際に検出されるZEBRA抗原に対する抗体およびα-fodrinに対する抗体が存在することがイムノブロット法により確認された。また、EBVの活性化を誘導すると、細胞アポトーシスが惹起され、それに伴って120-kD α-fodrinの発現が認められた。加えて、120-kD α-fodrinの発現は、アポトーシス関連プロテアーゼであるカスパーゼのインヒビターを添加することにより抑制された。これらのことから、自己抗原である120-kD α-fodrinの形成機序の一つにEBVの活性化が示唆された。
著者
大浜 剛 大松 勉
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、停滞感のある抗がん剤開発の分野に対して、旧来の分子標的薬開発とは逆転の発想である「ホスファターゼを活性化する創薬」を提案するための基盤になることである。具体的には、最近申請者が発見した、重要ながん抑制因子であるホスファターゼPP2A、PP2A阻害タンパク質であるSET、および転写因子E2F1から構成されるシグナル伝達「SET/PP2A/E2F1軸」が、がんの悪性化を引き起こす分子機構と、イヌおよびヒトの腫瘍における役割の比較検証を行う。また、申請者が樹立した「発光反応によるタンパク質結合解析系」を用いて、PP2Aを活性化してSET/PP2A/E2F1軸を動かす刺激を同定し、抗がん効果を解析する。本年度は、ヒトおよびイヌの骨肉腫細胞株について、SET発現を抑制した細胞ET発現の低下が、がん細胞の表現型に与える影響について解析を行った。その結果、ヒトとイヌの骨肉腫細胞株では、SET発現抑制に対する反応性が大きく異なり、イヌ細胞ではSET発現抑制による抗がん効果が弱いことが明らかとなった。この点は、比較生物学的な観点から興味深く、より詳細な検討を行う予定である。ヒト骨肉腫細胞株に対するSET発現抑制の効果については、詳細な分子機構を解明するため、次世代シークエンサーを用いた網羅的な解析を行った。今後は、得られたデータをもとに、着目したシグナル伝達機構について、より詳細な検討を行う予定である。また、「発光反応によるタンパク質結合解析系」を用いた検討について、PP2AとSETの結合(PPI)を制御するシグナル伝達機構を明らかにするため、各種阻害剤ライブラリーを用いたスクリーニングを行った。これにより、PPIに影響を与える阻害剤が幾つか同定された。今後は、ヒット化合物についての詳細な検討を行うと同時に、新規化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを追加する予定である。
著者
白柳 弘幸 岡部 芳広 佐藤 由美 藤森 智子 林 初梅 槻木 瑞生
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

戦前の日本国は、台湾・朝鮮・樺太・関東州・満洲国・南洋群島・南方占領地に、地域によって初等教育機関のみの所もあるが、台湾と朝鮮には帝国大学も設置した。今回、それらの学校所在を明らかにした。また、校舎施設や一部教科の指導内容が戦後に引き継がれたことを台湾に於いて確認した。当地からの日本人引き揚げ後も、戦後復興のために残った日本人の大学教員や技術者がいた。その子弟たちが通った日僑学校や日籍学校と呼ばれた日本人学校が台湾・北朝鮮・満洲の主要都市にあり、教育内容等について明らかにした。