著者
横田 ちゑ 長田 謙一 三宅 晶子 忽那 敬三 田中 健夫 山内 正平 内村 博信
出版者
千葉大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本研究においては特に次のテ-マが取り扱われたーー1.浦安における住宅の変化と近代化 2.ベルリンの斉藤佳三・1923 3.北海道と関西の和洋折衷建築 4.日本のダダイスト達 5.イデオロギ-としての技術 6.ベルリンの日本未来派 7.柳瀬正夢ーー未来派からプロレタリア美術へ 8.ブル-ノ・タウトにおけるユ-トピア幻想と革命 9.大船田園都市株式会社の新鎌倉住宅地 10.ト-マス・マンの政治論 1918ーー1923 11.映画『新しき士』におけるファシズム思想 12.1920年代日本におけるジャズ・イメ-ジ 13.近代社会における自己認識と映画ーージガ・ヴェルトフをめぐって 14.近代文化の問題としての二分化これら具体的テ-マの研究とともに、近代化の概念そのものについての議論がなされたーー日本においては、19世紀半ばの西欧受容以前に、既に様々な領域で独自の発展がなされていた(都市文化の成立・合理化・産業化)。これらの、そしてまたその後の状況を考えるなら、まさにそこで進行しつつあったプロセスが、極めて合目的的・功利的に西欧の技術とモノを受容したと言える。本来西欧における近代化は、歴史的にVerburgerlichungーーそれは市民・個人に基礎を置くーーの過程をも内包していた。しかし文化構造の転換とともに、近代化のプロセスはその重心を個人から大衆へと移してきた。ここにおいて、市民や個人の思想なしに都市化・合理化・産業化を加速度的に進展させていくプロセスを、より正確に規定する必要が出て来る。特に、このプロセスは日本においても西欧においても、あるいはむしろ日本においてよりドラスティックに進行しつつあるだけになおさらである。そしてこのプロセスを、モノから機能や情報が抽出されていく過程として促えるなら、それは、すべてが商品になっていき、情報と資本のネットワ-クに組み入れられていくポストモダンへと通じていると言えよう。
著者
柳井 重人
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究で,千葉市を対象に,(1)地区の環境特性に対応させた個別的なヒートアイランド対策のあり方,(2)ヒートアイランドが住民の屋外活動での快適感や健康に及ぼす影響,(3)ヒートアイランドが環境意識や生活行動に及ぼす影響を把握することを目的に実施した。第一に,土地利用や緑地分布等の環境特性と移動観測による気温分布に係わるデータをGIS上でデータベース化し,多変量解析の手法を用いて地区の類型化を行った。その結果,調査対象地域は7つに類型化され,それぞれの類型の地理的な分布はもとより,環境特性と気温分布との関連性に基づいた,地区スケールでのヒートアイランドの個別対策の方向性が示唆された。第二に,住宅地の街路や公園内の温熱環境を,不快指数(DI),SET*,WBGTの3種の指標に基づいて検討した。その結果,夏季日中の屋外空間は,総じて不快であり,熱中症予防の観点からは運動にも適していないこと,公園内の樹林地についてのみ夏服で胡座安静の状態であれば,不快のレベルには達しないという状況にあることなどが把握され,地域住民の野外活動において,蒸し暑さのような不快感や熱中症予防の面でのリスクが存在すること,緑陰の配置によりそれらが緩和される可能性があることが示唆された。第三に,臨海部よりの市街地中心部に位置し日中から夜間にかけてヒートアイランドが形成される地区と,郊外部に位置し夜間や早朝に低温域が形成される地区で住民意識調査を実施した。その結果,両地区間で,夏季の気象に係わる認識の程度,クーラーの使用時間,屋外行動の頻度などの差異が把握されたほか,ヒートアイランド対策に関しては,一般に,公園や街路樹の整備,木陰の創出,郊外部の樹林地の保全など,緑地の整備や保全を中心に認識が強いことが把握された。
著者
荒野 泰 上原 知也 遠藤 啓吾
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

3'-Iodohippuryl-N^ε-maleoyl-L-lysine (HML)で標識した抗体Fabフラグメントは腎臓の刷子縁膜酵素の作用で,ヨード馬尿酸を遊離して,腎臓での放射活性を投与早期から低減する.本薬剤設計を細胞滞留性の官能基を有するヨード化合物あるいは放射性金属核種へと展開するため,グリシルリジン以外の配列のペプチド結合について刷子縁膜小胞を用いて検討を行った.その結果,リジンをアスパラギン酸,チロシン,フェニルアラニンに変換したペプチド配列は,速やかに馬尿酸を遊離した.とりわけ,チロシンおよびフェニルアラニンが速やかな遊離を示したことから,タンパク質への結合部位の導入の可能なチロシンについてさらに検討を行った.その結果,グリシルチロシン配列は,シラスタチンにより大きく阻害を受けることから,腎刷子縁膜に存在する金属酵素のなかでもヒトにおいてもその高い発現が知られているジペプチーダーゼによる開裂を強く受けることが明らかとなった.次いで,チロシンのフェノール性水酸基にタンパク質との結合部位を導入した化合物を合成し,放射性ヨウ素標識後に抗体Fabフラグメントとの結合した.本標識抗体は,血液中でも安定に存在し,グリシルチロシン配列は,血液中で安定な構造を維持することが確認された.さらに,実験動物に投与したところ,投与早期から,腎臓への放射活性の集積を大きく低減した.本研究成果は,刷子縁膜酵素を利用した標識薬剤の開発において,ヨード馬尿酸以外の標識化合物を遊離する標識薬剤の設計の多様性を示すことを示すものであり,本薬剤設計のさらなる応用への可能性を強く示すと考えている.
著者
宮本 太郎 坪郷 實 山口 二郎 篠田 徹 山崎 幹根 空井 護 田村 哲樹 田中 拓道 井手 英策 吉田 徹 城下 賢一
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の主題は、福祉雇用レジームの変容が政治過程の転換をどう引き起こしたか、また政治過程の転換が、逆にいかに福祉雇用レジームの変容を促進したかを明らかにすることである。本研究は、国際比較の視点を交えた制度変容分析、世論調査、団体分析などをとおして、福祉雇用レジームの変容が建設業団体や労働組合の影響力の後退につながり、結果的にこうした団体の調整力に依拠してきた雇用レジームが不安定化していることを示した。同時にいくつかの地域では、NPOなどを交えた新たな集団政治が社会的包摂をすすめていく可能性を見出した。
著者
岩坪 美兼 太田 道人
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

わが国には、400品種以上のサクラ品種が知られている。わが国のサクラは,二,三,四倍体からなることが知られていたが,それらのほとんどが二倍体であることが判った。なお。シラユキ系里桜のウスズミ(薄墨),オキナザクラ(翁桜),カリギヌ(狩衣),それにシラユキ(白雪)は全て三倍体であった。また,松前に存在,もしくは松前で育成されたタカサゴ系のサトザクラは,チョウジザクラが片親になった雑種群として知られているが,これまでに染色体数が判明した品種は,タカサゴ(別名;ナデン,ムシャザクラ;高砂),ベニユタカ(マツマエベニユタカ;紅豊,松前紅豊),マツマエハヤザキ(ケチミャクザクラ;松前早咲,血脈桜)すべて三倍体であった。片親がシナミザクラ(四倍体)と考えられているマザクラ群のサトザクラのアマヤドリ(雨宿),アリアケ(有明),オオヂョウチン(大提灯),クルマドメ(車止),コマツナギ(駒繋),シロタエ(白妙),センリコウ(千里香),タイハク(太白),ダイミン(大明),マザクラ(真桜),マンゲツ(満月),ワシノオ(鷲の尾),それにカンヒザクラ群の染色体数が判明じたツバキカンザクラ(椿寒桜),ハツミヨザクラ(初御代桜),ミョウショウジ(明正寺),それにケイオウザクラ(敬翁桜)は,すべて三倍体であることが判明した。それに対してしかし,ヤマザクラ(オオヤマザクラを含む)群,カスミザクラ群,オオシマザクラの影響が認められるサトザクラ群,それにエド系のサトザクラ群には,三倍体が全く見つからなかった。シナミザクラを祖先とする三倍体グループを除いて,サクラの核群を比較すると,三倍体が多い群,僅かに存在する群,全く見つかっていない群が存在し,グループにより三倍体の出現率に違いが認められた。
著者
西尾 勝 新藤 宗幸 三宅 博史 五石 敬路 高井 正 棚橋 匡 木村 佳弘 川手 摂 田中 暁子 萬野 利恵 畑野 勇 小石川 裕介
出版者
公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、「平成の市町村合併」が一段落した現時点において、「平成の市町村合併」がなにをもたらしたのかについて、多面的に把握するために、地域区分変更に関する国際比較を行うとともに、行政(職員数、職種別職員数、行政組織、施設)、財政(普通会計、特別会計、公営企業)及び住民負担、政治(議会議員及び首長の属性)について、それぞれデータベースを作成した。併せて、中央省庁、都道府県、市町村の合併事務担当者などにヒアリング調査を行った。「合併」の効果と喧伝された諸事項は、非合併自治体との比較ではあまり見ることはできなかった。また、行政と住民の距離感が開くなどの「合併の弊害」と想定された項目に対する定数特例や選挙区、地域自治組織などの諸措置は、措置自体の時限性や行政改革の帰結として、事実上剥落していった。以上の分析結果から、「平成の市町村合併」とは、「究極の行財政改革」を市町村に推進させるためのツールであった、と評価できる。
著者
中澤 秀雄
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者は平成12年度から13年度にかけて、「リスク社会における情報空間と社会的亀裂に関する比較都市研究」というタイトルで科学研究費を受けているが(課題番号13710119)、平成15年度から開始された本課題はその継続という性格を持っており、本年度が最終年度となる。本課題による成果は3点に要約できる。第1に新潟県巻町・柏崎市を対象とした地域社会研究が終了したことである。毎年1回の現地調査によって継続的に情勢をフォローしてきたが、平成15年度末に巻町民を対象としたサーベイ調査を実施した。これらのデータをもとに、地域情報空間の配置に関する比較研究の成果として、『住民投票とローカルレジーム』(ハーベスト社)を世に問うた(2005年11月)。これが最終年度にふさわしい成果としてまず挙げられる。第2に、メディア・社会情報研究と地域社会学を結びつけ、情報空間の地域間格差に関して理論的彫琢を行い、その成果を『講座地域社会学』(東信堂,2006年1月刊行予定)および『越境する都市とガバナンス』(法政大学出版局,2006年1月刊行予定)に執筆した論文に盛り込んだ。第3に、当初構想していた研究課題からさらに進んで、北海道野幌におけるまちづくり活動を暫定的に総括する論文(中澤・大國 2005)やサステナブル都市論を日本に適用する論文(中澤 2004)、地域間比較の視点のもとに持続可能な地域自治を探求する仕事(中澤 2005)も積み重ねてきた。この3年間において発表した著書・論文は(共著を含め)合計13編にのぼり、与えられた研究費に比して十分効果的に、研究課題の目的を達成したと考えている。以上の成果から明確化してきた今後の方向性は2つある。A.東京圏内、あるいは東京圏と非東京圏の亀裂の状況を、より総合的に明らかにすること。B.その亀裂状況をこえて、持続可能な自治のモデル(ビジネスモデルならぬガバナンスモデル)を探求していくこと。とくに後背地としての農村をプロデュースしながら存立基盤を作っていけるような都市のあり方を理論化し、同時に説得的な具体例を構築していくこと、である。
著者
幾原 雄一 溝口 照康 佐藤 幸生 山本 剛久 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 谷口 尚 北岡 諭
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本終了研究では特定領域の成果報告会や国際会議を企画し,本特定領域によって構築された「機能元素の学理」の効果的な普及を行った.さらに,本特定領域で得られた知見を次代を担う若手研究者に引き継ぐためのプログラム(若手研究者向けセミナー,若手研究者海外滞在)も企画・運営した.また,班内の効果的な情報共有・打ち合わせのためのインターネット会議の実施や情報管理も本総括班が行った.平成24年度では以下のような総括班会議,成果報告会,シンポジウム等を行い,本特定領域で得られた研究成果の発信を行ってきた.・総括班会議の開催6月(東京)・特定領域最終成果報告会(公開)6/8(東京)【産官学から約200名の参加があった】・国際会議の開催(公開)5/9-11(岐阜)【国内外から約300名の参加があった】The 3rd International Symposium on Advanced Microscopy and Theoretical Calculations(AMTC3)・国際学術雑誌企画5月(AMTC Letters No.3)・最終研究成果ニュースレター冊子体の企画6月・特定領域特集号発刊(セラミックス)・若手研究者向けセミナー1月(名古屋)6月に開催した本特定領域の最終成果報告会においては200名近い参加があり,非常に盛会であった.また,5月に行われた国際会議においても世界中から第一線で活躍する研究者が一堂に会し,3日間にわたって活発な議論が行われた.また,次世代研究者の育成をめざし,研究者の海外滞在プログラム(米国オークリッジ国立研究所,英国インペリアルカレッジ)も行われた.また大学院生を対象とした第一原理計算,透過型電子顕微鏡,電子分光に関するセミナーも開催した.
著者
三浦 雄一郎
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,生育限界もしくは重篤な心肺奇形を合併した低出生体重児を救命するために,ヒト胎盤循環を模した体外式補助循環装置(人工胎盤)を開発することである.ヒツジ胎仔を用いた慢性実験モデルを作成し,試作膜型肺の性能比較を行い,出生後も生理的な胎児循環を維持できる人工胎盤の基本仕様を検討した.臓器への充分な酸素供給量を確保するためにはヒト胎盤と同様に血管抵抗の小さい膜型肺を並列化することが重要と考えられた.
著者
大柴 慎一郎
出版者
高野山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

当該研究は、弘法大師空海が編纂した現存する日本最古の漢字字書である『篆隷萬象名義』(高山寺本)の校訂研究を行ったものである。『篆隷萬象名義』は基本的に唐写本の『説文解字』と『玉篇』を一つにまとめた字書である。その中には小篆・古文・籀文・俗字などの字体・字形が含まれているが、その伝本である高山寺本(国宝)には多くの誤字脱字が存在し、使用するに堪えない。従って、本研究は原本『玉篇』残巻や『開成石経』などの資料を用いて『篆隷萬象名義』の校訂本を作成し、現代にこの日本最古の字書を復活させることを目指したものである。
著者
西村 英紀 高柴 正悟 苔口 進 江草 正彦 高橋 慶壮
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(1)ダウン症患者の末梢血好中球機能:ダウン症患者の好中球走化能を走化因子としてFMLP,IL-8,C5aを用い評価した。その結果,ダウン症患者由来好中球は用いたいずれの走化因子に対しても濃度依存性に走化性を示した。また至適走化因子濃度における遊走細胞数は同年代の健常対照と同程度であり,機能低下はなかった。すなわち従来報告されているような好中球の走化能に機能低下はなかった。(2)in vitroにおける組織修復機能:ダウン症患者の体細胞は,健常者に比べ,より急激な速度で老化(replicative senescence)することが知られている。これは,細胞の老化マーカーであるテロメアの短縮速度が正常細胞に比べ速いことに起因する。また,静止期に達した細胞では増殖因子による刺激に対して細胞増殖に必須の転写因子であるc-fosの発現が低下することが知られている.そこで,ダウン症患者の体細胞モデルとして老年者由来細胞を用い,塩基性線維芽細胞増殖因子に対する走化能を若年者由来細胞と比較した。細胞には歯周組織の再構築に最も重要であるとされる歯根膜線維芽細胞を用いた。生体の老化に伴って,歯根膜線維芽細胞の遊走能が低下した。また,走化したすべての細包がc-fosを発現しているのに対し,遊走しない細胞では。c-fosを発現した細胞とそうでない細胞が混在していたことから,c-fosが細胞の遊走に関与すること,また老化細胞における走化活性の低下にc-fosの発現低下が深く関与することが示唆された。以上の結果から,ダウン症患者に見られる重度歯周炎の成因には,従来報告のある好中球の機能低下よりも,生体の急激な老化現象がもたらす歯根膜組織の修復能力の低下が関与する可能件が示された。
著者
小林 多寿子 桜井 厚 井出 裕久 小倉 康嗣
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

1970年代末のライフストーリー法リバイバル期より蓄積されてきた質的調査データは今、歴史的価値を持ち始め、調査資料の管理保存や二次利用をめぐってその扱い方が問われている。そこで質的調査研究におけるデータ実態と問題点を明らかにし、今後の活用可能性を検討するために、<リサーチ・ヘリテージ(調査遺産)>とアーカイヴ化という視点から質的調査データの経験的研究に取り組んだ。3年の研究期間中、質的調査者へのアンケート調査、アーカイヴの事例調査、社会学者の質的調査資料群調査という3種類の調査を実施し、その成果はフォーラムや学会シンポジウムでの報告、学会誌での論文発表や報告書の作成という形で研究成果を示した。
著者
後藤 弘志
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

マルティン・ゼールの美学を、主としてその著『現出することの美学』(2000)におけるカント、シラー、ニーチェ、アドルノらとの対決に依拠して、客観的認識か主観的感情か、感性的認識かイデア的認識か、美的対象は実在か仮象か、自然美の優位か芸術美の優位かといった、従来の美学思想の分類項目をすべて包括する美学として美学思想史上に位置づけた。これによってよき生の枠内における美的要素の意義について再検討する基礎を確立した。
著者
松田 毅
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

まず、ライプニッツによる「有機的物体」のモデルとしての「テセウスの船」のパズル解決、「実体形相の復権」、原子論との差異化のなかでの「自然の真の原子」としての「モナド」導入の意義を解明した。また、ライプニッツの場合、生物が「無限」を内包するだけでなく、「寄せ集め」から区別され、発生学の文脈では、発展的に「進化する自然機械」として把握される点も示した。さらに、生気論との対決から、その生物哲学の「機械論」と「目的論」の両立が生物全般に「拡張された予定調和説」として理解できる点も論証した。以上を通じライプニッツの生物哲学の従来問題とならなかった重要な局面に光を当てることができた。
著者
タック川崎 レスリー
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

第23回参議院選挙では、候補者の90%以上がホームページを持ち、85%がFacebookページを、候補者の72%がTwitterを利用していた。2013年4月の公職選挙法改正でインターネットが解禁となり、選挙運動の方法として、今後候補者のインターネットとソーシャルメディアの利用割合が高くなる可能性がある。第24回参議院選挙における候補者では選挙運動中のメディアチャンネルとしてのホームページやソーシャルメディアの利用は減少していた。この傾向は、候補者が選挙戦におけるメディア戦略にソーシャルメディアを統合し続けてはいるが、それだけに依存しているわけではないことを示唆している。
著者
宮下 浩輝 佐藤 靖史
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

血管新生抑制因子vasohibin-1は血管内皮細胞に細胞死を起こすのではなく、逆に抗細胞死・抗老化作用など内皮細胞の生存や恒常性維持に重要な役割を演じていること、その抗細胞死・抗老化作用は長寿遺伝子SIRT1を介していることを明らかにした。この研究をさらに進めることによって内皮細胞の老化によって生じる動脈硬化(心疾患や脳血管疾患の原因)を抑制できることが期待される。
著者
堀井 亮
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

従来の経済成長モデルにおいては、財の量・質・バラエティーの少なくとの1つにおいて指数関数的増大がなければ定常的な経済成長が不可能である。しかし、本研究により(1)新しい部門が発展に従って継続的に発生する、(2)各部門の産出する財に対する消費者の限界効用の弾力性が消費量に対して一定以上の程度で逓減する、かつ(3)各部門の財価格が一定以上の速度で逓減する、という3つの条件があれば、新技術による部門数の線形な増加によって定常的な経済成長が可能になることが明らかになった。
著者
古谷 大輔 立石 博高 大津留 厚 小山 哲 中本 香 中澤 達哉 後藤 はる美 近藤 和彦
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、近世ヨーロッパ周縁部の国家編成に見られた地域統合の方法と論理に着目し、戦争・内乱などの背景に立ち現れる普遍的な秩序観や君主観の存在、そうした観念に基づいて実践された統治者と地域社会の交渉、その結果としての多様な結合関係を比較した。その結果、普遍的な秩序観や君主観を脊柱としながら複数の地域が集塊する、近世ヨーロッパに普遍的な国家の輪郭を、「礫岩国家」として結論づけた。
著者
島谷 弘幸 松原 茂 神庭 信幸 高橋 裕次 富田 淳 和田 浩 恵美 千鶴子 赤尾 栄慶 丸山 猶計 太田 彩 鍋島 稲子
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では日本、中国、韓国に残る装飾料紙を使用した書の作品について、その書の特徴の詳細を調査・データ化するとともに、料紙の科学的分析を行なうことを目的として、まずは国内外の関連作品のデータ収集を行ない、そのうち約200件の調査を実施した。それらの調査結果はデジタルデータで蓄積し、東京国立博物館での陳列に活用しながら、研究成果報告書を作成し公開している。
著者
富田 正弘 杉本 一樹 綾村 宏 増田 勝彦 永村 真 湯山 賢一 黒川 高明
出版者
富山大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

古代中世の文書料紙の歴史的変遷について、文献史料によって検討を加えてみると、檀紙・引合・杉原紙・鳥の子等の紙種が観察される。平安時代の文書料紙は、重要な公文書には紙屋紙が公紙として用いられていた。他方、軽微な文書や私文書などの料紙には、地方産の楮紙である檀紙が使用されていた。平安後期になると、檀紙が粗悪な紙屋紙を駆逐し、重要な公文書の料紙となるのである。鎌倉時代にはいると、京都においては、檀紙が公紙として発展し、大きく高檀紙と普通の檀紙とに分化する。後期には、普通の檀紙のうちから良質のものが引合と呼ばれ、上級貴族・僧侶の書状料紙として用いられた。鎌倉においては、幕府の下文・下知状等には御下文紙(後の鎌倉紙)が用いられ、他方幕府の御教書や武士の書状などには杉原紙が盛んに使用された。建武新政以後、関東武士が京都に大挙常住すると、鎌倉の紙使いが京に持込まれ、また武家が京都の紙使いの影響を受け、互いに混淆し合う。公家・寺社においては、高檀紙から大高檀紙・小高檀紙の種別が現れ、近世の大鷹檀紙・小鷹檀紙への繋がり見えてくる。武家では、幕府文書の料紙の主役から鎌倉紙が消え、その地位は普通の杉原紙に取って代られる。後期には、書礼様文書の料紙としては、公武ともに引合や鳥の子を使用し始める。高檀紙は、秀吉の朱印状・判物の料紙に繋がっていき、また、この時期に現れる奉書紙は、引合の系譜を引く文書と言われる。また、古代中世の現存の文書料紙から検討すると、料紙の縦寸法・横寸法・縦横比率・厚さ・密度・簀目本数・糸目巾の時代的変遷を跡付けることができた。また、これらの共通の画期が室町時代と確認され、杉原紙の普及との関係が浮き彫りにされた。これらの研究成果は、まだ中間報告の域を出ないが、今後もこの研究体制を維持し、別の形で研究を続けていくことにより、この試論的成果を検証・訂正したいと思う。