著者
大北 全俊
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

HIV感染症を主とするpublic healthに関する事象について、その隠れた政治哲学的枠組みを明確にするとともに、今後の議論のための哲学的・倫理学的枠組みを構築することを目的とする研究である。結論として、public healthに関する哲学的・倫理学的議論の枠組みとは、個人と集団それぞれの位相、および規範的な議論の位相とpublic healthの権力作用を記述する位相、これらを多層的に併せ持つものであることを明確にした。
著者
中岡 成文 西川 勝
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

対話を中心とした社会的・自然的過程で生じる個人や集団の存在論的変化(自己変容)に着目し、養生論、高齢者ケア論(尾崎放哉論を含む)、G.バタイユ論を中心に、自己変容・臨床哲学と対人援助との関係を明らかにした。これらは対人援助の哲学的・倫理学的基盤に、また現代社会における援助実践に、大きくかつ具体的な示唆を与える。その成果はとりわけ、大阪大学大学院の授業(とくに双方向的形式のそれ)において、臨床倫理事例検討会・倫理カフェにおいて、ALS患者との交流・福祉ものづくりにおいて、公表された。
著者
長谷川 元洋
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

学校の個人情報保護への対策の実態調査を行い、社会的に個人情報保護に関する意識が高まった後も学校の個人情報保護対策が十分ではないことを指摘した。また、児童・生徒の個人情報を適切に扱うことは、児童・生徒に対し、自分の個人情報を悪用されないための教育を行うためや、児童・生徒、保護者、学校教育への協力者と真の信頼関係を作るために必要であることを指摘した。また、ネット上の問題事例を取り上げ、それに対する学校の対応を法的側面と教育的側面から検討した。
著者
西川 芳昭 根本 和洋 大井 美知男 新海 尚子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

農村・農家レベルの現地聞き取り調査及び実証調査,ならびに,保全・管理の実施および支援組織レベルの聞き取り調査を実施した.結果として,農家が参加して実現しているようなローカルな遺伝資源管理事業であっても,実は数多くの地域内外の関係者と水平・垂直のネットワークを構築していることが明らかにされた.カナダのNGOのように,そのような関係性を意識的に強化・発展させる活動も始まっていることが起きらかになった.今後,具体的にどのような要素が,そのような組織制度の持続性・発展性を担保するか・または制限・阻害するかについて明らかにしていくことが必要であると結論した.
著者
森沢 正昭 小笠原 強 林 博司
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

61年度の研究により単一の成功まで精製されたニジマス精子の運動関始の〓絡的な引き金をひくと考えられている15Kタンパン質について精製タンパク質及び15Kタンパク質の抗体の精子運動装置,軸系の運動性に対する影響について調べた. その結果,強い界面活性剤処理によって運動性も乗った軸系が15Kタンパク質を添加することにより運動性を回復すること,15Kタンパン質の抗体は15Kタンパン質のリン酸化を抑制すると同時に軸系の運動性も阻害することが明らかとなり,15Kタンパク質のリン酸化が真に粒子運動開始機構の重要なステップであることが示唆された. 一方,Protein kinaseの非特異的阻害試薬は15Kタンパク質を含む軸系上の全てのリン酸化タンパク質のリン酸化を抑制し,同時に軸系の運動も抑えること,Tyrosine kinaseに特異的な阻害試薬は15Kタンパク質のリン酸化のみを抑え,軸系の運動も抑えることなどから,CAMPは直接Tyrosine kinaseを活性化するのではなくCAMP→普通のProtein kinaseの活性化→tyrosline kinaseのリン酸化と活性化→15Kタンパン質のリン酸化という過程を経て精子運動開始が起ると考えられる. 更に種々のProteaseがCAMP無しで独果に精子運動開始を誘起すること,protease阻害試薬,基質が精子運動性を抑制する事からproteaseの精子運動開始への寄与が強く示唆された. 現在,上記三要因の軸系タンパクのリン酸化に対する影響について調べており,その結果の解析が3サケ科魚粘で精子運動開始機構の全貌が解明されることが期待される. 又,海産無稚動物,哺乳類についても15Kタンパク質の検索を行い,ウニ等では本タンパン質の存在が確認された. K^T/Ca^<Zr>→CAMP→Protein kinase→154タンパク質のリン酸化→Proteaseの関子というカスケードが多くの動物に共通の精子運動関始機構であることが明らかとなることはそう遠い将来ではないと考えられる.
著者
松下 光子 米増 直美 大井 靖子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

過疎地域において別居親族の週末介護を受け暮らす高齢者がその地域で生活し続けることを支えるために、週末介護を受けている高齢者のみ世帯の生活実態と援助ニーズを明らかにし、別居親族と高齢者という家族を支える援助システムのあり方を検討することを目的とした。本研究では、別居親族がほぼ定期的に通い生活を支援し、その支援を含め高齢者のみ世帯の生活が成立している状態を週末介護とした。一定地域に住む75歳以上高齢者のみ19世帯への訪問聞き取り調査と高齢者単独2世帯と夫婦4世帯の計6世帯への約1年間の継続家庭訪問援助を通した調査により、高齢者のみ世帯の生活および週末介護の実態と援助ニーズを明らかたし、援助システムのあり方を検討した。その結果、一定地域調査では、全世帯が別居の子どもと交流があり、子どもの訪問頻度は高齢者と子どもの状況により毎日〜盆正月連休の幅があった。子どもの支援は、経済的支援、心理的支え、地域社会の相互扶助機能維持への貢献という意味があった。高齢者世帯への支えは、子ども、兄弟、他親族、近所の人、地区役員、サービスにより其々特徴があった。継続家庭訪問調査では、子どもの通う頻度は様々だが、高齢者世帯の生活は子どもの支援を含め成り立っていた。必要な援助は、通う子どもの健康管理、サービスとのつながりを作る、地域の援助ネットワーク形成等であった。以上から、週末介護の実態として、「週末介護」よりも「通い介護」という方法を表す表現が適切、「通い家族」という家族のあり方が考えられた。「通い介護」・.「通い家族」を支える支援は、まず、ケアマネジャーによる通う子どもの健康管理への支援と別居家族を含む高齢者への支援・地域保健師と医療機関看護師による通う子どもへの支援が考えられる。介護等サービスは、生命維持、日常生活、健康管理等を担う。さらに、地域住民のネットワークによる見守り、助け合い等が考えられる。
著者
斉藤 了文
出版者
関西大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

今年度は、公開講演会を4回行った。羽原敬二(関西大学教授)、中里公哉(九州大学非常勤講師)、藤本温(名古屋工大助教授)、井上能行(東京新聞)、佐藤健宗(弁護士)、山田健二(北見工大)、張明国(北京化工大学文化法律学院STS研究所)、岡田佳男(雪印)の諸氏の講演である。これによって、研究課題に関する議論を深めることができた。そして、成果としては長い論文が一つ、事例報告が4つある。なお、著書として単著が一つ、編著が一つ、また著書の中での論文として一つが公刊された。また、中国の東北大学で、工学倫理を含めた国際会議に出席して講演を行った。これらによって、制度を手がかりとした、人工物に関わる失敗知識の位置づけに関しては、成果の公表の点でもある程度の成果をあげることができた。去年と今年の研究会を通じて、「制度を手がかりとした、人工物に関わる失敗知識の位置づけ」には、工学内の分野の違いによって、様々な問題領域があることが見取られた。例えば、航空機の分野、船舶の分野、食品の分野、原子力の分野、化学工学の分野、情報システムの分野、等々において、問題とされるポイントも異なり、それに対処する方法も異なっている。従って、単純に「テクノロジー一般」について語る方法は見つからない。ただ、各分野の基本概念を抽出することによって、ある程度の鳥瞰的な見通しを得ることは必要とされる。それを通じて、科学技術の失敗そのものだけでなく、それと深い関連を持つ科学ジャーナリズム、法律、国際関係などの社会技術の寄与も重要になる。これらをどのように整理するかが今後の課題となる。
著者
原田 憲一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原発性胆汁性肝硬変は中年女性の好発する自己免疫性肝疾患である。特に閉経後の女性に発症し、肝内の小型胆管が選択的に傷害を受け、消失する。胆管細胞はエストロゲン受容体を有しているため、胆管細胞に対するエストロゲンの関与について検討した結果、胆管細胞はエストロゲン受容体を介したエストロゲン作用の低下に加えて、エストロゲン関連受容体を介したエストロゲン作用の阻害も原発性胆汁性肝硬変の胆管傷害および消失に関与していることが明らかとなった。
著者
表 章 落合 博志 表 きよし 山中 玲子 木下 文隆 竹本 幹夫
出版者
法政大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

1.本研究は、法政大学能楽研究所が調査・蒐集した全国各地の演能記録を基盤に、新たに探索した記録をも加え、催し単位の番組を所定の形式に調理してパソコンかワープロのフロッピーに収納し、それを国文学研究資料館が「連歌資料のコンピュータ処理の研究」で開発したシステムを利用して、データベース化することを目標としており、いわば能楽研究所と国文研究資料館が提携した共同研究である。初年度と2年目に基盤データの集積に力を注ぎ、20000番に近い番組のフロッピーへの収納を完了し、国文学研究資料館の大型コンピュータへの転移も終了した。2.資料数が予想以上に多く、当初意図した明治初年までの記録をすべて集成することを無理であることが明らかになったので、2年目の途中から江戸中期の享保5年(1720)までの分を優先することに方針を変更し、3年目にあたる本年度は、集めた資料の整理・分析に重点を移した。コンピュータによる曲名索引や演者名索引がその作業にすこぶる役立ったが、それを手掛かりに分析した結果、原資料に年月の誤りや人名の誤記がすこぶる多いことが判明し、それの修正に多大の労力を要した。3.その結果、3年目には、補助者に頼ったデータ集積は順調に進行して、番組集の種類では40余種、催し単位では3000回、曲単位では30000番にも及んでいるが、その整理は寛文年間までの分(1670年まで)をほぼ終了した段階である。その内の、主たる資料七種の整理結果を本研究の中間発表の形で公表することにし、グループ名義の別記の報告にまとめた。文字を7ポ大に縮小しても第一回分だけで90ページを越え、3回に分載する全体では200ページを越えるであろう。4.本研究は、科学研究費補助金の交付終了後も同じグループによって継続する。法政大学能楽研究所と国文学研究資料館と本研究参加者がその責任を負っている。最終成果の発表は数年先になるが、活字による公表は量的に無理なので、圧縮ファイル、またはCD-ROMによる頒布を考えている。
著者
平良 文亨
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

放射性核種の物質輸送は大気環境に依存し、地球規模で拡散すると考えられている。原子力ルネサンスが叫ばれる昨今、日本の西端に位置し原爆被ばく経験を有する長崎、1986年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の影響があった周辺地域及び1949年~1989年の間に450回以上の核実験が実施されたセミパラチンスクにおける現在の放射線被ばくリスクについて評価した。まず、長崎県内における環境放射能調査から、放射性核種が気流の影響を受け大気環境に依存した挙動を示すことが確認された。次に、チェルノブイリ原子力発電所の事故により放射能汚染のあった地域(ゴメリ、ミンスク、コロステン、ブリヤンスク等)で消費される食用キノコ類を採取後、ガンマ線の核種分析を実施し放射能レベルの解析及び実効線量を算出した結果、チェルノブイリ原子力発電所に近接する地域(ゴメリ、コロステン)では長崎の約1,400倍高いセシウム-137濃度を示し、公衆被ばくの年間線量限度の約6分の1であった。また、土壌の核種分析結果から、チェルノブイリ原子力発電所事故の影響が大きいとされるブリヤンスク及びゴメリ州(ゼレズニキ)における外部被ばくの実効線量が比較的高い傾向であった。一方、セミパラチンスク市内に流通する食用キノコ類及び土壌の人工放射性核種レベルは長崎と同程度のバックグラウンドレベルであったが、核実験場施設内では閉鎖後20年経過しているものの複数の人工放射性核種が検出された。以上から、チェルノブイリ原子力発電所近傍及びセミパラチンスク核実験場内では、人工放射性核種が大量に放出された当時に比べ低レベルであるものの、現在も人工放射性核種が環境中に存在.し放射線被ばくリスクが賦存していることが示唆される。今後も低レベル放射線による健康影響評価についてフォローする必要がある。
著者
麦倉 俊司 高橋 昭喜 松本 和紀 隈部 俊宏 隈部 俊宏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

磁気共鳴画像法撮影では、直径50 cm程度の非日常的かつ狭小な装置中で、30分間以上体動しないでいる必要がある。閉所恐怖症あるいは若年小児患者では安静が保てないため呼吸、脈拍モニター装着下で、鎮静薬、静脈麻酔薬で鎮静をはかって検査を施行されている。最近開発された密封ゴーグル型スクリーンとヘッドフォン装着下にDVDを視聴すれば、MRI装置の中にいるという視覚、聴覚情報を遮断でき、閉所恐怖症あるいは若年小児もMRI検査を完了する事が可能となった。本研究からDVDバーチャル・リアリティーによって、薬物などによる鎮静が不要な「患者にやさしいMRI検査」となりうることが検証された。
著者
小沢 修司 山森 亮 平野 寛弥 堅田 香緒里 鎮目 真人 久保田 裕之 亀山 俊朗 小林 勇人 村上 慎司 村上 慎司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、研究者と市民のネットワーク形成から生み出された議論を通じて、ベーシック・インカムに関する三つの目的を総合的に検討した。第一に、生存権・シティズンシップ・互酬性・公共性・フェミニズム思想といったベーシック・インカムの要求根拠を明らかした。第二に、ベーシック・インカムに関する政治的・財政的実現可能性を考察した。第三に、現行の年金や生活保護のような所得保障制度の問題点とベーシック・インカムにむけた改良の方向性を議論した。
著者
津曲 隆
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、学生ボランティアと地域住民という二つの活動システムの相互作用によって地域情報化に向かう変化を地域に起こす方法としてサービスラーニングに注目したものである。効果的な相互作用が生じる条件を検討した結果、両者をつなぎ、行動に制約を与える媒介構造が重要な役割を果たしていた。また、相互作用は継続的であることが重要であった。学生の継続的な活動によって地域住民の生活を可視化していくことが地域の変革の契機へと繋がっていた。これらの過程を説明する理論モデルをトポロジーを利用して構築した。
著者
三木 夏華
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ベトナムでは80年代後半のドイモイ政策を境に在越華人や華語教育に対する政策が大きく変化する。本研究ではベトナムで最も華人人口の多いホーチミンにおいて2009年から2010年にかけて華人の使用する中国語方言、特に広州方言中心に字音、語彙、語法などの調査を行った。その結果、在越二世、三世と代を重ねることに差異が現れることが分かったが、これは彼らが受けた華語教育などの言語生活における環境と深い関わりがあることが聞き取り調査により明らかになった。
著者
福岡 まどか
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、インドネシアにおいて1950年代以降に創作が始まり1960-80年代にかけて人気を呼んだコミックに焦点を当てている。伝統演劇であるワヤンの物語や表現方法と密接な関連を持つこのコミックはワヤン・コミックと呼ばれている。ワヤン・コミックの先駆者でもっとも影響力を持った作家であるR.A.コサシ(1919-2012)の作品を取り上げて、物語や表現方法の分析、実際のワヤン(影絵や人形劇)上演との関連についての考察を行った。文献調査に加えて2回の現地調査を行い、芸能上演の観察と記録、インタビュー調査などを通して伝統芸能とコミック相互の関連についての検討と分析を行った。
著者
錦戸 典子 山﨑 恭子 三橋 祐子 白石 知子 掛本 知里
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代社会が求める保健師に必要な専門能力と育成方策を明らかにすることを目的に、これまで研究が遅れている産業保健分野の保健師(産業保健師)を中心に検討した。一企業において産業保健師に求められる専門能力を明らかにするとともに、その向上を目指した育成プログラムを開発・試行し、実際に効果があることを検証した。また、より汎用的に産業保健師に必要な専門能力を明確化・構造化することを目指して、熟練産業保健師への個別インタビューならびにフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施し、支援過程に沿った各場面において産業保健師として必要な専門能力の詳細を明らかにした。
著者
神月 紀輔 東郷 多津 吉田 智子
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では教員を目指す学生を対象に次の研究を行った。多くの学生はICTを利活用するイメージが少なく,学習者の主体的な学びの形態にも慣れていないことが分かった。デジタルカメラを用いた模擬授業の動画撮影とその動画を利用した振り返りやLMSを利用した意見交換による学びの深化を意図した学習方法により,他者の意見をWeb上で参照でき,写真・動画や自ら作成した指導案などのリソースを他者と共有することで自らの学習の進捗を実感できるようになった。またデジタル教科書や電子黒板などを活用したICT活用を意図した授業づくりを行ったが,機器を使う程度にとどまった。しかし学習者の立場で学びを考える成果を得た。
著者
長谷川 珠代
出版者
宮崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日頃、誰かをケアし、ケアされている人が、お互いにアートを通して身体的・精神的なストレスを軽減することを目的としたヘルスケア・アートプログラムを実施した。平成19年度は『吹き矢』をプログラムに取り入れ、『呼吸』という生命活動をより効果的に行うことに加えて、アートの視覚的な楽しさ、身体的な爽快感を体験することを目的に行った。ボランティア16名を含めた62人の参加があった。吹き抜けの空間いっぱいに垂らした大きな布に絵の具の入った風船をぶら下げ、吹き矢の的にし、参加者が吹き矢を放つと風船が割れ、中の絵の具がはじけて布に様々な色彩や形が描かれたアート作品ができるようにし、視覚や聴覚を刺激しながら楽しめるよう工夫した。吹き矢は単純な動きではあるがゲーム性が強く、子どもから大人まで夢中になっていた。また障害の有無に関わらず、子どもから高齢者と幅広く楽しめ、プログラムによる開放感を高め、参加者からは「日常では経験できないような大きな作品を創り出すことで楽しさと爽快感が得られた」という意見が得られた。また、対象者同士の世代を超えた交流みられ、「他の家族とゆっくり話す時間が出来た」、「次も交流をしながら楽しみたい」等、人と人とがつながりを求める原動力になる効果も示された。また第11回日本在宅ケア学会にて、ケアする人へのヘルスケア・アートプログラム(HCAP)の実践報告を行い、参加者との意見交換などを通してケアする人へのケアやアートプログラムについて知見を得ることができた。平成18年度は最終年度にあたるため、平成16年度から平成18年度の科学研究費補助金にて行った『ケアする人を支えるヘルスケア・アートプログラムの開発と地域ケアシステムの構築』研究活動をまとめた報告書を作成し、関係者に配布した。
著者
高田 潤一 山口 しのぶ 廣瀬 幸夫 山岡 克式
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ラオス人民民主共和国ルアンパバーンでは,伝統的な建造物と植民地時代の建造物が融合した優れた街並みが1995年に世界遺産に指定された.しかし,2007年に行われた世界遺産センターの調査では,違法建築の急増による危機遺産化の懸念が示唆された.従来の手作業による建築許可・管理では十分な情報分析が不可能な状況である.本研究では後発途上国という条件を踏まえた世界遺産管理のための持続可能な地理情報システムの利用に関して研究を行った.
著者
常本 照樹 佐々木 雅寿 山下 龍一 桑山 敬己 長谷 川晃 辻 康夫 会澤 恒 山崎 幸治 本多 俊和
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

「先住民族の権利に関する国連宣言」は、世界の先住民族にとって共通に必要な権利を謳うとともに、個々の先住民族及び関係する国家の実情に応じた権利実現を認めている。2008年に国会及び政府はアイヌ民族を先住民族と認めたが、日本及びアイヌ民族の実情に応じた権利実現のあり方としては、憲法13条の「個人の尊重」を基本とし、個人としてのアイヌがアイヌとしてのアイデンティティの保持を積極的に選択できる社会の実現を目標とすべきである。