著者
川端 猛夫 SOKEIRIK Y. S.- SOKEIRIK Y.S.
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

α位に分岐のない脂肪族アルデヒド間のクロスアルドール反応を目的とした触媒開発に取り組んだ。標的反応はアセトアルデヒドと3-アシルアミノプロピオンアルデヒド(RCONHCH_2CH_2CHO)とのクロスアルドール反応で、生成物は高脂血症治療薬リピトールの合成中間体となる。本触媒ではアルデヒドのエナミンへの活性化にプロリン骨格ではなく、ピペリジンを用いた。ピペリジンはプロリンのアミン部分であるピロリジンに比べて、生成するエナミンの反応性が低い。これにより反応性の高いアセトアルデヒドのみをドナーアルデヒドとして活性化できると期待した。一方、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドのアクセプターとしての選択的活性化は、触媒分子のピペリジン4位に組み込んだアミノ基による基質のアミドNH基との水素結合形成を介して基質のホルミル基が反応点近傍に配置された触媒側鎖のカルボン酸によりプロトン化を受けることで達成したいと考えた。想定通り、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドをアクセプターとし、アセトアルデヒドをドナーとするクロスアルドール反応が進行したが、過反応により脱水が起こり、アルドール縮合体が得られた。現在、脱水を起こさず、アルドール反応の段階に留めて制御する反応系を検討中である。また位置選択的ハロゲン化触媒の開発を目指し、スルフィド及びチオアミドを活性中心とする有機触媒を開発した。これらはオレフィン類のハロアミノ化の良好な触媒となることわかったが、位置選択性の獲得にはまだ至っていない。
著者
宮治 眞 長尾 正崇 藤原 奈佳子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

次の視点より検討した。1.判例データベースを用いて、35年間の最高裁判決から医療訴訟における事例を17例(医療側勝訴3例、医療側敗訴14例)抽出した。これを今回考案した1事例1頁の一覧性をもつフォーマットに要約し、事故防止を考慮した類型化を試みた。その結果、病状の進行が凡そ1ヶ月未満で比較的急性に進展する病態においては、慢性に経過した病態とくらべて、診療早期の「観察」による誤りや、その当時の医療慣行に従って診療することが、判断の誤りに基づく誤行為を招きやすい傾向であった。2.患者側の真摯な訴えはコメディカルスタッフにもインフォームドコンセントが適応されるべき課題か否かを検討した。その結果、コメディカルスタッフをどこまでの職種とするかについて、大きな差がみられた。3.病院の立地条件やコメディカルスタッフのインフォームドコンセントまで広げると、地域医療における医療管理も視野に入れる必要が考慮された。NPO法人「たすけあい」名古屋が地域に根付く過程を検討した。4.地域医療連携を視野にいれて、病院医療の立場から患者の安全をどのように担保していくかについて、本院の電子カルテシステムを日本医療機能評価機構の自己調査評価票に基づいて検討した。その結果、患者の安全医療の観点から電子カルテシステムをもっと見直すべきであること、システムの機能を拡大していくことが確認できた。以上を総括すると、「安全の医療」「安心の医療」「満足の医療」を「安全の生活」「安心の生活」「満足の生活」へ還元すべきことが示された。このことの基準は最終的には法律によって規定されるべきであると思われた。しかし、患者の真摯な訴えに代表される患者側の要請は、価値観を包含しており、法律と倫理の狭間の問題ともいえる。したがって、医療管理からみた場合、医療側が患者側の求める「満足の医療」「満足の生活」の垣根をどこまで共有できるかは、次の課題である。
著者
Paul Arnold
出版者
Mercvre de France
巻号頁・発行日
1955
著者
植村 八郎 寺島 司 杉田 明子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.325-335, 2009-05-31
参考文献数
12

1992年9月4日に関東北部で発達した雷雨は,突風と降ひょうにより主に農作物に多大の被害を発生させた.この雷雨を落雷位置データ,レーダーエコーおよび他の気象観測データを用いて解析した.解析には,主に10分間落雷位置データを取り扱った.落雷活動が活発なときには落雷位置が密集し団塊状に分布することが多い.これを本論文では落雷セルと仮称した.落雷セルの移動と,レーダーによる降水域の移動はよく一致し,さらに突風等被害の発生と落雷セルの通過との間に明確な関連が見られた.
著者
大江 真道
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

不時の豪雨いわゆるゲリラ豪雨による冠水がイネ生育へ及ぼす影響を明らかにするために1、2、4、8日の冠水処理を生育時期別に行った。生育初期に生じた影響は生育とともに回復し、収量への影響は小さかった。生育後期では、籾の分化期、花粉の形成期、稔の前期の処理で影響が大きく、2日以上の冠水で収量が減少した。収量の減少は弱勢の籾の退化に因る籾数の減少に起因した。生育後期の長期冠水(8日)は通常出現しない遅発分げつ(分枝)を促進した。見かけの茎数は増えるが穂を形成することは無かった。このような分げつの出現は重心を高め、倒伏に弱い姿勢に導いた。以上の障害は水温が高い場合ほど顕著であった。
著者
加藤 丈佳 鈴置 保雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

半径 4km 圏内の 17 地点で観測した日射量データや、協力企業から提供を受けた中部地域の日射量データについて、観測地点間における短周期変動の独立性などを解析した。その結果、1/√N 則を適用することで、1 地点の観測データは半径 15~20km の範囲の空間平均日射変動特性を表せることを確認した。その結果に基づき、遷移仮説を応用して観測点周辺の日射変動平滑化効果を表すローパスフィルタ(LPF)を構築した。LPF を中部地域 61 地点の日射データに適用するとともに、住宅分布に基づく各観測点の重みを考慮して、中部地域全体の空間平均日射を算定し、 32 分周期以下の短周期変動特性や数時間にわたる大きな日射変動の年間発生回数等を統計的に評価した。また、日射変動特性の評価の一環として、翌日の空間平均日射量 1 時間値を予測する手法を開発した。さらに、スプライン補間によって観測地点間の任意地点の日射量を推定する手法や天空画像の解析によって一定範囲内の空間平均日射量をリアルタイムに把握する手法を開発した。
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.115-119, 2005-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15
被引用文献数
3

外来魚ブルーギルは日本全国の湖沼や河川に拡まっており, 水産有用魚種や生態系への影響が危惧されている。しかし日本の河川上中流域におけるブルーギルの生態についてはほとんど報告がない。著者らは長野県の千曲川の1支流である浦野川のAa-Bb移行型の河川形態区間で, 2003年の6月及び7月に75個体のブルーギルを電気ショッカーによって採捕した。すべてのブルーギルは岸から1m以内で採捕され, その空胃個体は75個体中8個体にすぎなかった。胃内容物充満度は平均0.63%で, 最大で2.86%に達した。ブルーギルは主にユスリカ科の幼虫を摂食し, そのほかカゲロウ科やトビケラ科の幼虫及び陸生昆虫を捕食していた。ブルーギルの食性は浦野川の在来魚の何種かといちじるしく重複していた。ブルーギルは河川の魚類群集に負の影響を与えると考えられ, 根絶される必要がある。
著者
中尾 博行 川端 健人 藤田 建太郎 中井 克樹 沢田 裕一
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.167-173, 2006-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Predation of eggs and larvae of bluegill (Lepomis macrochirus), by snails (Semisulcospira spp.and Sinotaia quadrata histrica) were examined during the bluegill reproductive period (July and August) in 2003 and 2005. At a littoral study site in the northern basin of Lake Biwa, population densities of snails were significantly higher in bluegill nests than in their surroundings, indicating deliberate aggregation of the former. Laboratory experiments to assess the degree of predation on bluegill eggs and larvae by snails showed a significant decrease in egg and larval numbers when established in aquaria together with Semisulcospira spp., and Sinotaia quadrata histrica, respectively. During experimentation, predatory behavior by snails was also directly observed, indicating that snails aggregating in bluegill nests probably predate eggs and larvae despite parental care of the latter.
著者
米倉 竜次 苅谷 哲治 藤井 亮吏 熊崎 博 斉藤 薫 熊崎 隆夫 桑田 知宣 原 徹 徳原 哲也 景山 哲史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.839-843, 2007 (Released:2007-10-03)
参考文献数
20
被引用文献数
4 5

岐阜県の椛の湖に定着した外来魚ブルーギルの生息個体数が,釣りによる駆除により抑制されるかを検討した。調査期間中,総計 15966 個体を駆除した。標識再捕法による個体数推定の結果,ブルーギルの生息数は 24231 個体から 10092 個体まで減少した。また,体サイズ分布の変化から,繁殖に寄与するであろう大型個体が減少することや新規加入が抑制されていることが示唆された。これらの結果から,釣りによる駆除はブルーギルの個体群を抑制するうえで有効であると考えられた。
著者
西山 晃生
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.205-220, 2007-03

研究ノート0. はじめに1. 予備的考察2. クールノーの偶然論 2.1. 定義 2.2. 帰結 2.3. 問題点3. ベルクソンの偶然論 3.1. レヴィ=ブリュール批判 3.2. 根本的経験 3.3. 意図の後退 3.4. 問いへの答え結論Nous disons pour un evenement qu'il est le result d'un hasard, et pour un autre evenement, nous ne le disons pas. Alors quelle est la difference entre les deux? Dans quelle condition un evenement est appele fortuit? C'est notre premiere question. Et pouquoi nous avons idee de hasard plutot que nous ne l'avons pas? C'est la seconde question. Nous essayons de repondre a ces deux question, a l'aide de deux theories de hasard, celle de Cournot et celle de Bergson. Pour Cournot, un evenement est le resulat d'un hasard quand il est constitue par la rencontre de plusieurs series causales indepandantes. Cette definition est caracterisee par la realite objective de ces series. Ainsi Cournot se debarrasse de tous les elements subjectifs de l'idee de hasard. Mais c'est justement pour cela qu'il n'arrive pas a expliquer la formation de l'idee. Un evenement est appele fortuit quand nous cherchons saa raison et pourtant n'arrivons pas a la trouver. Selon Bergson Cette raison est d'abord supposee comme intention de la nature, puis perd ses contenus a. cause du developpement de la science. Ce processus meme est celui d'une formation de l'idee de hasard.
著者
郭 莉莉
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
no.12, pp.391-412, 2012

現在,アメリカとフランスを除く先進諸国は,軒並み低出生率を示している。日本でも「少子化対策」が時代のキーワードになって久しい。ひのえうまの1966年の合計特殊出生率1.58を下回り,1989年に1.57が記録され,「1.57ショック」と騒がれた1990年以降,日本政府によるさまざまな少子化対策はほとんど毎年行われてきたものの,効果が薄く,合計特出生率は1.30台の低い水準で推移してきた。次世代人口が縮小すると,公共財である年金,医療保険,介護保険などが危うくなる。一方,中国では,1979年から30年余り続けられてきた「一人っ子政策」により,現在でも出生率の低下が激しく,子ども数が急減した結果,子ども1人が両親2人と祖父母4人を扶養する負担を背負っている「421問題」が浮上した。併行して家族構造が空洞化しつつあり,大都市では高齢化も急速に進んできて,それに伴う介護問題が深刻になってきた。このように,「少子化する高齢社会」(金子,2006)の動向は,世界の先進国と中進国を問わず大きな社会問題になっている。近年,日本では少子化を克服した先進国フランスの実情が広く知られるようになったために,その改善方法に学ぶ気運が高まっている。国民負担率と出産文化の違いに代表されるように,少子化に悩んでいる日本と克服したフランスでは制度や国民性なども相違はもちろんあるが,フランスにおける育児家族への支援の優良事例を検討することは,日本で少子化対策を新たに創造するうえで参考になると思われる。支援学の観点からすれば,子育て支援には金子が提唱した自助,互助,共助,公助,商助の5類型がある(金子,2002)。本稿では,日中両国の少子化の現状,原因,影響などを考察したうえで,子育て環境として,家族からの支援(自助)と行政からの支援(公助)に焦点を当てて,論じてみる。日本と中国は東アジアに所属し,欧米と比べ婚外子率の低さに代表されるように,婚姻・家族をめぐる文化や生活習慣,共有するといわれる儒教的価値観などの面において,多くの共通点があるように思われる。日本の「少子化する高齢社会」の現象は,中国にとっても近未来に生じる可能性が高い。少子化対策に関して,20年余りの試行錯誤を重ねてきた日本の経験に鑑み,欧米諸国と比較するという国際化の前に,まず東アジアに日本の経験を正確に伝えるという国際化を図ることが先決であろう。
著者
村田 忠禧 須川 英徳 白水 紀子 村崎 恭子 任都栗 新
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

1)日本語、中国語、韓国語における情報交換を行なううえで、人名・地名等固有名詞に使用される漢字は翻訳不能なため、その互換性確保が大きな課題となる。本研究ではそのためにどのような漢字がそれぞれの言語の情報交換用漢字符号集で不足しているのかを具体的に明らかにすることができた。2)日本語と中国語における漢字の使用状況を政治演説、国語教科書、新聞、人名地名などの分野でかなり大量な素材を用いて分析した結果、それぞれの漢字符号集に含まれる漢字のうち、日本語では4,710字、中国語においては6,593字が使用されていた。日本語の場合にはJIS漢字符号集の約4分の3にすぎない。中国語の場合にはGB漢字符号集の漢字総数とほぼ等しい。JIS漢字符号集には現実の現代日本語で使用されることのない漢字がかなり多く、再考を要する漢字符号集であることが明らかになった。3)それぞれの言語の漢字情報を99.9%をカバーするのに、日本語の場合には約2,800字、中国語の場合には約4,300字が必要であるが、日本語も中国語もいずれをも99.9%カバーできるようにするためには4,700字以下の漢字集合でよいことが判明した。これは東アジアで漢字情報を共有化するうえの貴重なデータといえる。4)日本と中国での中学校の国語教科書における漢字使用状況を分析した結果、学校教育や外国語として日本語や中国語を学ぶ人への漢字教育を行なううえの役立つデータが集まった。5)漢字をそれぞれの言語特有のものと考えるのではなく、東アジア共通の文字体系として考えることが大切であり、日本語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国・朝鮮語の共同実態調査が必要であることが明確になった。
著者
林 正和 網野 比佐子 北 潔 村勢 則郎
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.87-90, 2011-04-15
参考文献数
8
被引用文献数
1

Cryopreservation of the nematode Caenorhabditis elegans in the adult stage is of importance as the nematode is a powerful model organism. In this study, we applied the protocol previously established for cryopreservation of the L4 nematode to the adult one. Survival rate of 84% was obtained as a result. When ice nucleation active bacteria, Pseudomonas syringae, was used for the simplification of ice seeding procedure instead of the use of a pre-cooled needle, survival rate of 82% was obtained after thawing. Moreover, a simple method of cryopreservation using a deep freezer and polystyrene foam was developed for a practical purpose. According to the observation under a cryomicroscope, eggs in the nematode body were found to freeze at ca. -20℃ when cooled at the rate of 0.2℃/min after ice seeding at -3℃ although the nematode body remained unfrozen down to -100℃.
著者
依藤 道夫
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.61-74, 2003

This paper is a study on Gabriel Garcia Marquez's great masterpiece One Hundred Years of Solitude, which is a very famous "magical realism" novel. Garcia Marquez is a Nobel Prize winning author of Colombia and he wrote novels, both long ones and short, the background of which was an imaginary village (town) "Macondo". It was very smilar to Aracataca, Garcia Marquez's hometown in northern Colombia. The images of not a few characters and episodes of this novel were from his real hometown. Thus One Hundred Years of Solitude, a very eventful and amazingly fantastic story, is based on Garcia Marquez's own memories of his native place. Realism and fantasy are mixed up in the world of this novel, and even supernatural phenomena are seen in its many pages. Readers can meet even ghosts and monster. The Buendia family history of 100 years is told generation after generation in this story and not a few queer or eccentric characters appear one after another. Most of them are possessed with deep solitude. Through the 100 years of the Buendia family Garcia Marquez tries to clarify the true and deep meaning of human solitude. This paper tries to analyze such a dynamic but fantastic and strange world of this novel and to pursue what Garcia Marquez wished to say on human solitude through the Buendia family by considering "magical realism" and William Faulkner's influence upon him.
著者
山本 真由美
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.7-13, 2008-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
8
被引用文献数
4 5

平成16年4月から平成19年3月までの3年間に, 市立砺波総合病院において入院治療を受けた患者のうち, 廃用による摂食嚥下障害が認められ, 摂食嚥下訓練が行われた廃用症候群患者30名を対象として, 摂食嚥下訓練の効果を調査し, その効果に影響する因子について分析した.摂食嚥下訓練として, 筋力向上訓練と嚥下機能向上訓練を行った.訓練前は全例が絶食状態だったが, 訓練により30名中23名 (76.7%) が摂食可能となりおおむね良好な効果が得られた.摂食嚥下訓練の効果に影響しうる因子として, 性別, 年齢, 発症・手術から訓練開始までの期間, 訓練期間, 認知症の有無, 入院前の身体機能, 退院時の身体機能, 入院前と退院時の身体機能の変化, 空嚥下の9項目について分析した.訓練効果に影響する因子は, 空嚥下の程度 (p=0.015) のみで, 空嚥下のできなかった患者では半数以上が経口摂取不能であった.摂食嚥下機能障害を早期に評価して, 特に空嚥下が起こらなくなる前の訓練介入が有効と思われた.
著者
小林 泰夫
出版者
一般社団法人日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.133-141, 1991-05-25
被引用文献数
1

Sporulation of Bacillus subtilis is induced by the deprivation of the nutrients in the medium. During sporulation more than 50 sporulation qenes (spo) are expressed sequentially. The sequential expression of spo genes is regulated mainly at the level of transcription, which is governed by the cascades of five sporulation-specific sigma factors, σ^H, σ^F, σ^E, σ^G, and σ^K. At the initiation of sporulation, the first sporulation specific sigma factor σ^H is activated, which then activates spoIIA operon encoding the second sigma factor σ^F. Expression of spoIIA and spoIIE operons is required for the activation of the pro-σ^E, the inactive precursor of the third sigma factor σ^E, which is required for the expression of the fourth sigma factor σ^G. σ^G is present only in the forespore, but its function is required for the activation of the pro-σ^K, which is present only in the mother cell. sigK gene encoding σ^K is construted by the mother cell-specific DNA rearrangement occurring during the middle stage of sporuation.