著者
加藤 正 渡邉 一弘
出版者
東北薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

世界的に注目されている疾病であるインフルエンザ、痴呆症および臓器移植時に使用する新規治療薬としての可能性がある天然物の全合成研究を行った。抗インフルエンザA ウイルス剤であるスタキフリン、痴呆症等の治療薬となりうるスキホスタチン、および免疫抑制剤であるカンデラリドA-C の計5種類の天然物において、世界に先駆けてこれらの初めての全合成を達成した。この研究結果は、新規治療薬の開発における基礎となる成果である。
著者
足立 研幾
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、レジーム間相互作用の研究において、まったく扱われてこなかった安全保障分野におけるそれを研究した先駆的業績といえる。対人地雷禁止レジーム形成以後の、通常兵器分野におけるレジーム間相互作用の実証分析に基づき、管轄が直接交錯しないレジーム間でも相互作用が見られること、またそうした相互作用は、国家のみならず、NGOなど非国家主体の行動によっても促進されていることなどを明らかにした。
著者
上村 史朗 斎藤 能彦
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

慢性腎臓病(CKD)は心血管病(CVD)の独立した危険因子であるが、CVDの発症に係わる分子機序は明らかではなかった。本研究では動脈硬化進展作用を有する胎盤成長因子(PlGF)およびその内因性阻害因子である可溶性Fms-like tyrosine kinase 1; 可溶性FLT-1)に着目し、CKD患者における可溶性FLT-1関連分子の動態および動脈硬化病変の進展に寄与するメカニズムの解析を行なった。その結果, CKDの進展に伴う腎での可溶性FLT-1産生低下および血中可溶性FLT-1濃度の低下が, CKD患者における冠動脈病変の重症度を規定する重要な因子であることが判明した. さらにCKD合併動脈硬化マウスモデルを用いた実験により, リコンビナント可溶性FLT-1蛋白の持続投与が動脈硬化病変の進展を抑制することを明らかにし, 可溶性FLT-1が新しい創薬標的分子になる可能性を示した.
著者
孫 晶
出版者
名古屋工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

はじめに,サプライヤーリスクマネジメント諸問題を対象とした国内外の文献・実態調査により,サプライチェーリスクを明確化し,問題の体系化を行った.次に,サプライチェーンビジネスの戦略決定に不可欠な,品質・コスト・納期・環境・安全における効率的な評価基準算出方法を提案し,サプライヤー最適経営評価法則及び新たな統括理論を検討した.また,環境負荷軽減を目指し, Win-Winの視点からリュース部品のサプライヤーの最適な物流構築モデルを提案し, LP(LinearProgramming)手法を使って,サプライヤー業者全体の利益を最大にする物流構造の最適解空間とその条件を導くことができ,さらに,提案したモデルを使って,自動車業界のリバースチェーンにおける需要変動に対する最適物流構造の変更方策を考察した
著者
山根 聡 長縄 宣博 王 柯 岡 奈津子 古谷 大輔 山口 昭彦 大石 高志 シンジルト 吉村 貴之 小松 久恵
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では、地域大国の比較研究を中心軸に捉えつつ、異なるディシプリンながらも、地域大国の周縁的存在を研究する点で一致する研究者によって、地域大国のマイノリティとしてのムスリム、移住者、特定の一族など、周縁に置かれるがゆえに中心(大国)を意識する事例を取り上げた。この中で国際シンポジウム主催を1回、共催を2回行った。また国際会議を3回、研究会を25回以上開催し、この期間内に発表した論文も60点を超えた。2013年度には成果を公刊する予定であり、異なる地域を研究対象とする研究者の交流が、研究分野での未開拓分野を明らかにし、今後の研究の深化に大きく貢献することができた。
著者
上田 博史 橘 哲也
出版者
愛媛大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

二者択一の選択試験は,飼料原料の嗜好性や動物の栄養素摂取調節能力を調べるために有効な方法である.しかし,単飼したヒナに同じ飼料を2つの給餌器から与えると,試験開始直後,半数のヒナは右側の給餌器から(右利き),残りの半数は左側の給餌器から飼料を摂取する(左利き).右利きと左利き,あるいは同じ利き腕をもつヒナを2〜4羽群飼して改めて選択試験を行うと,単飼のとき右利きだったものが右側から,左利きが左側から食べるということはなく,常に連れ添って食べる.好みの給餌器の位置が群飼するとリセットされるということは,右利き・左利きが先天的な行動というよりは他の因子によって引き起こされている可能性を示唆する.特定の給餌器に対する固執は時間の経過に伴い消失するが,例外も存在する.単飼ケージは10〜12個が一つの棚に配置されているが,両端にあるケージで飼育されたヒナでは固執の解消が見られないことがある.両端に置かれたヒナの左右の一方にはケージが置かれていない.一般に,体重の等しいヒナを並べて選択試験を行うと,両端のヒナは隣人のいる内側の給餌器から摂食する.しかし,体重の大きなヒナを内側のケージに入れると,内側の給餌器からの摂取量は減少する.したがって,隣人との社会的な関係によって,好みの給餌器は変わるものと考えられる.このような行動は,塩酸キニーネを添加した嗜好性の低い飼料を選択させたときにも見られ,選択試験の精度を低下させることも明らかになった.本研究課題では,脳質内投与法を用いたヒナの摂食調節物質の検索も同時並行して行ってきたが,脳内のガラニンやノルアドレナリンが摂食促進作用をもつこと,また一酸化窒素の食欲促進作用が副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンと関連していることも明らかにした.
著者
堤 健智
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の中心はアメリカ合衆国内における法の研究であり、そこでは、非営利団体における団体と個人との間の責任分担がどのように変化してきたのかを示した上で、そのような変化がどのような理由に基づくものであるのかを明らかにすることが必要である。そして、そのような研究から得られる示唆について、日本法への応用可能性を検討することが次なる課題となる。このうち、アメリカ合衆国法の大きな方向性については、数々の困難にもかかわらず、一定の整理ができたものと考えられる。すなわち、判例法による/団体の免責から、制定法による/個人の免責へと変化しつつあるらしきことは示せたと考えている。しかし、その理由については、充分な根拠を持って示すことができなかった。とはいえ、それでも一定の仮説(団体と個人の資力バランスの変化)を立てることは可能であり、そのような仮説に立って日本国内における過去の紛争事例を分析することで、たとえば団体資力の強化が個人免責の前提にならざるを得ないであろう点などを示すことができたと考えられ、ここに本研究は一定の成果を上げたと評価できる。
著者
樋渡 雅人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、ウズベキスタンにおける地縁共同体(マハッラ)を題材に、社会ネットワーク分析(Social Network Analysis)手法を用いて、調査地のコミュニティ内の社会ネットワークの重層構造を、図示的、定量的に析出しつつ、コミュニティの内部構造に即した開発政策を検討することである。本年度は、現地における調査活動を本格化し、本研究の中核となるデータを収集した。本年度前半は、日本においてこれまでの研究成果の発表や既存データの分析を行ったが、10,11月には、ウズベキスタンのホレズム州のマハッラにおいて、昨年度以降、準備を進めてきた家計調査及び世帯間ネットワーク調査を実施した。230世帯の一集落(エラット)全体をカバーする全数調査を、現地の教師や大学生、20人近くの協力を得て行った。今回の調査の特徴は、各世帯個別の家計調査と併せて、世帯間の関係性を分析するためのネットワーク・データを体系的に収集した点にある。ネットワーク・データのクロス・チェックは予想以上に手間のかかる作業であったが、調査地の住民、とくに教師の方々の多大な協力を得て、質の高いデータの収集を完遂することができた。帰国後は、データの入力作業を進めるとともに、以前に収集したアンディジャン州のマハッラのデータとの比較などを進めている。なお、報告者の就職のため、特別研究員としての本研究は、最終年度を残して打ち切られることになったが、今回収集したデータの解析は今後進めてゆく。
著者
山口 拓 富樫 広子 松本 真知子 吉岡 充弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.126, no.2, pp.99-105, 2005 (Released:2005-10-01)
参考文献数
43
被引用文献数
2 11

高架式十字迷路試験は,抗不安薬をスクリーニングするための不安関連行動評価法として開発され,広く用いられている.また,薬効評価のみならず,遺伝子改変動物や疾患モデル動物の情動機能,特に不安関連行動の行動学的表現型を検索するためのテストバッテリーの一つとしても応用されている.本試験は特別な装置や操作を必要とせず簡便であるが,実験環境の設定条件が結果に大きく影響することから,その結果の解釈には注意する必要がある.重要な実験条件として,(1)実験動物の飼育環境および実験前の処置,(2)照明強度,(3)実験装置の形状が指摘されている.特に照明強度は,定量的に条件を変化させることが可能な設定条件の一つであり,目的に応じた条件設定を行うことによって感度よく不安水準を評価することが可能である.高架式十字迷路を不安誘発のためのストレス負荷方法として利用し,不安惹起中の神経生理・生化学的な生体内変化を自由行動下にて測定する試みがなされている.その一例として,皮質前頭前野におけるセロトニンおよびドパミン遊離の増加が,高架式十字迷路試験試行中の不安誘発に関連した脳内神経伝達物質の変化として部位特異的な役割を演じている可能性が考えられる.このように高架式十字迷路試験は,不安水準の評価法として薬効評価やモデル動物の情動応答を適切に,かつ,簡便に測定できる方法として有用である.また,不安関連行動中の行動変容と生体内変化を同時に解析することは,不安・恐怖・ストレスの神経科学的基盤の解明のみならず,不安障害に対する治療薬の開発に向けての新たな情報が提供されるものと期待される.
著者
福川 康之 高尾 公矢 川口 一美
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国の新しい高齢者問題のひとつである「孤独死」に着目し,地域における孤独死の発生状況や発生予防への取り組み,ならびに孤独死の関連要因を,事例検討,大規模調査,参与観察,郵送調査などの手法を用いて検討した.これにより,独居高齢者の対人ネットワークの特徴や地域性が明らかになった.またわが国の孤独死問題への取り組みの遅れとともに,地域ネットワークの活性化が孤独死予防に有効となる可能性を示唆する結果が得られた.
著者
立木 康介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

啓蒙の時代を代表するカントとサドを西洋倫理思想の歴史的展開のなかに位置づけるジャック・ラカンの観点に依拠し、プラトン、アリストテレスから、エピクロス派、ストア派を経由し、18世紀のリベルタン思想にまで流れ込むヘドニズムの伝統と、カントとサドによってもたらされたその転覆の意義とが明るみに出された。
著者
大月 直樹 丹生 健一 白川 利朗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

HPV陽性扁平上皮癌の培養細胞株にE6およびE7に対するsiRNAを導入することにより、E6およびE7の発現が抑制され、p53およびRbの発現がmRNAレベル、タンパクレベルでともに増強し、結果として細胞の増殖は抑制され、アポトーシスが誘導されることがin vitroで確認された。現在in vivoでの実験を行い、解析中である。
著者
篠崎 賢二 羅 湘軍 有吉 秀文 黒木 英憲 白井 誠
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 : quarterly journal of the Japan Welding Society (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.286-293, 1999-05-05
被引用文献数
11

This study was carried out quantitatively to evaluate the hot cracking susceptibilities of various Ni-base superalloys and the effect of grain size on hot cracking susceptibility during laser welding. Ni-base superalloys used were Inconel 718,Inconel X-750,Inconel 617,Inconel 625,Nimonic 90 Waspaloy, Hastelloy X. The grain size of Inconel 718 varied from about 10 to 110 μm. In this study, the hot craking susceptibility was evaluated by a modified U-type hot cracking tester during CO_2 laser welding. Samples were solution heat-treated before welding and welded with laser powers of 3 and 5 kW and with a traveling speed of 0.5 to 3 m/min. The hot cracking occurring in the weldment during the bead on plate test was reproduced on the U-type hot cracking test. Consequently, the liquation cracking susceptibilities of various Ni-base superalloys decreased in the order of Waspaloy, Inconel 617,Inconel 718,Hastelloy X, Inonel 625,Inconel X-750 and Nimonic 90. Liquation cracking susceptibility of Inconel 718 increased with an increase in grain size.
著者
森口 愛 小正 裕 柿本 和俊 権田 悦通
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.857-866, 1999-10-10
被引用文献数
11

It was attempted to coat the refractory models by zirconia to improve a reactive layer of the pure titanium denture base cast using phosphate-bonded investment and to compare with a usual investing method.<BR>When the coating refractory models were used, the small residual investment on the casting plate removing from the mold was observed.<BR>The surface hardness of the castings prepared with TAIVEST was hardly different between the two samples. However, the surface hardness of the castings prepared with T-INVEST C & B was slightly greater control samples on the casting surface to a depth of about 30μm, but there was little difference between the samples for the depth.<BR>In the coating samples, the microstructure of the surface of the castings showed almost no evident chill layer. The control samples had a chill layer and a columnar crystal layer extending from the surface toward the interior.<BR>Use of the electron probe microanalyzer (EPMA) to determine distribution of various elements in the superficial layer of casting plates showed the reactive layer contained Si and P in control samples. In coating samples, it showed a small reactive layer contained impure elements though there was a high density of Zr of the surface layer of the castings.<BR>The results are suggested that it is possible to improve a reactive layer of the surface of pure titanium denture base cast using phosphate-bonded investment by coating of the surface of the refractory models.
著者
平井 啓久 香田 啓貴 宮部 貴子 遠藤 秀紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

調査地はインドネシア、タイ、マレーシア、バングラデシュの4カ国を対象におこなった。解析した種は8種である。西シロマユテナガザルの染色体ならびにDNAの解析を世界で初めておこない、第8染色体に逆位を発見した。テナガザル全4属のミトコンドリアゲノムの全塩基配列を用いて系統関係を解析し、新たな分岐系統樹をしめした。転移性DNA解析がヘテロクロマチンの研究に新たな洞察を与えた。音声や形態を新規の方法で解析し、新たな視点を示した。