- 著者
-
谷 陽子
- 出版者
- 徳島市北井上中学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究では,生徒が科学技術に興味を持ち,科学する目・発想する心を育てる授業を展開した。その課程が,生徒の科学技術に対する興味を高め,将来にわたり科学技術と関わっていこうとする意欲の向上につながる効果について,明らかにすることを目的とした。技術・家庭科(技術分野)の授業で研究を進めた。研究方法として,最初の授業で生徒の実態を把握するために,科学技術に対する関心度についてアンケートを実施した。特に,プログラミングについてどの程度興味があり,知識があるのか調査を行った。第一段階として,プログラムの基礎を学習し,LEDを点滅させるプログラムを作成した。プログラム言語には,「HSP」(Hot Soup Processor)を利用した。第二段階として,LEDとスピーカを利用した卓上ライトを製作し,その作品をどのように光らせ,メロディを鳴らすのかを考え,プログラミングをした。自分が制作したプログラムを卓上ライトに記憶させ,スイッチを入れると自分がプログラムをした光り方でLEDが光ったり,メロディが流れたりするようにした。その後,アンケートを行い,生徒の変容を調査し,この授業実践の効果を検討した。その結果,生徒の科学技術に関する興味は,一連の授業を展開することで向上する傾向が確認できた。指導に関する自由記述では「プログラムに関する学習をして,クリスマスのイルミネーション,電光掲示板を見る目がかわった」と回答した生徒もいた。このような実践的・体験的な学習活動により,科学する目・発想する心を育て,今まで意識していなかった部分(プログラム)に着目し,科学技術に対する興味を高めることが可能であることが確認できた。