著者
埴原 和郎
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.265-269, 1974-02-28 (Released:2009-08-21)

In this paper, the author discussed man's adaptation to the cold and formation of the northern Mongoloids in the light of human adaptability to the climatic conditions.It is widely known that the mammals generally show several adaptations to the climate, among which the most effective factors seem to be the light and the temperature. For instance, in the field of mammalian ecology, the rules proposed by GLOGER, BERGMANN and ALLEN are generally accepted, and they can be also applied on microevolution of the human populations to some extent. Thus, it is said that the Caucasoids have adapted to the cold and moist climate with low radiation of ultraviolet rays, and the Negroids to the environment with high temperature and excessive radiation of ultraviolet rays. In parallel to this, the Mongoloids are regarded as having adapted to the very low temperature and dry weather.However, adaptation in this direction has likely occurred in or just after the latest stage of the Upper Paleolithic, because the Mongoloids from this stage such as the Upper Cave Men show almost no evidence of adaptation to the extremely cold temperature.In this respect, the modern Mongoloids living in the arctic areas may be regarded as the people who acquired their adaptability to the cold in relatively recent stages of evolution. On the other hand, we can find some other populations who retain more or less archaic characters of the Mongoloids in peripheral areas of the Asian and the American Continents, and even in the sub-arctic areas.For instance, the Ainu has so far been attributed their origin to the Caucasian stock. Several recent findings on their blood composition, dermatoglyphics and dental characteristics, however, show close affinity to the Mongoloids.On the other hand, the Ainu still shows unique characteristics in quite rich beard and body hairs, relatively thin subcutaneous fat, partially projected facial bones, etc., and these characteristics do not show high degree of adaptability to the cold climate.On the basis of these fact, it is quite likely that the Ainu might be one of branches of the Mongoloid stock who has less experience to live under the extremely cold environment, and still retains some archaic characters compared with the neighbouring populations. Naturally, this hypothesis should be checked by several other data from the fields of anthropology, prehistory, geology, and other related sciences.
著者
村上 優
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.201-205, 2000-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
8

近年薬物依存・乱用の状況は深刻さを増しており, とくに覚せい剤は第三次乱用期を迎えているといわれる. 一方, 臨床の現場で出会う薬物依存は覚せい剤や有機溶剤が主であるとしても, 依存している薬物は多様となってきている. 精神科以外の一般科でも遭遇する医師の処方する薬物や, 薬局で市販されている薬物への乱用・依存について論じた. 薬物関連問題を表現する用語として乱用, 急性中毒, 依存, 慢性中毒があり, ただしく使い分けるべきである. 睡眠薬, 抗不安薬および鎮静剤の依存は, 不眠や不安, または鎮静を目的として使用する薬物は大別すると, プロム剤, バルビツール酸剤, 非バルビツール酸剤, ベンゾジアゼピン系剤(BZ系剤と略)に分けられる. なかでもBZ系剤はその効果と安全性より広く用いられるようになった. BZ系剤の依存については高容量依存と常用量依存, さらにはアルコールやその他の薬物との併用による依存と3型に分類して検討をすべきである.
著者
奥田 健次
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-12, 2006-08-31 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
5

研究の目的:高機能広汎性発達障害をもつ不登校児童の保護者に対して登校行動を形成するための行動コンサルテーションによるサービスの効果を検討した。研究計画:被験者間マルチプルベースラインデザインと基準変更デザインの組み合わせを用いた。場面:大学附属の心理相談室とプレイルームにて実施した。対象者:2名の高機能広汎性発達障害をもつ不登校児童とその保護者を対象とした。介入:それぞれの不登校児童について直接的な行動観察と、保護者や学校からの聞き取りによる生態学的アセスメントに基づいて、トークン・エコノミー法と強化基準を段階的に変更していく支援を実施した。行動の指標:登校から下校までの学校活動への参加を、学校参加率として測定した。結果:介入後、両名とも学校参加率が増加し、介入2以降、100%の学校参加率が続いた。結論:トークン・エコノミー法を利用した行動コンサルテーションによる支援において、対象児童や対象児童の母親、学校場面の生態学的アセスメントに基づく支援プログラムの作成と実施が重要であることが示された。
著者
道上 達広 長谷川 直 春山 純一
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.225-232, 2015-09-25 (Released:2017-08-25)

月や火星には深さ・直径共に数10mから100mにおよぶ縦孔が近年,探査機によって多数観測されるようになった.また縦孔の中には,地下空洞に開いた「天窓」であることが確実なものもある.こうした縦孔は,科学的に多くの興味があるとともに将来的に人類が月や火星に進出したとき,長期滞在に適する基地として有望な場所でもある.月の大きな縦孔については,地下空洞の天井に隕石衝突が引き金となって形成された可能性が示唆されている.本研究では,月に見られる楕円形の大きな縦孔が,隕石の斜め衝突によって形成された可能性を,実験的研究によって明らかにした.
著者
高倉 祐樹 中川 良尚 橋本 竜作
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.316-320, 2022-09-30 (Released:2022-11-24)
参考文献数
13

臨床現場に出て数年の初学者にむけ, 失語症状に対する分析的な視点と, 失語症状の長期的な回復を考慮した視点から, 失語症者本人とその家族への対応について述べた。第 1 章では, 失語症状のメカニズムを推定し, 治療的介入の手がかりを得るためには, 数量的な評価 (正答数) だけでなく, 質的な評価 (誤りの特徴) が重要であることを解説した。第 2 章では, 病棟で受ける失語症者と家族からの質問に, どのように答えるのか, 専門家として寄り添いつつ, 納得を得るための対応について解説した。
著者
南浦 涼介 石井 英真 三代 純平 中川 祐治
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.85-95, 2021-03-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
16

これまで多くの場合,評価という形で捉えられてきたものは,それが評定目的であっても,改善目的であっても,基本的には「個人」を対象にし,その能力の判定や形成を如何に目的に合う形でおこなうかという点では,発想は共通していた。しかし,近年のオルタナティブアセスメントの議論を見れば,評価は決して「個」を単位に「数値化・指標化」していくだけではなく,「共同体」を単位に「物語化」していく観点も見ることができる。 本稿では,こうした流れをうけて,評価という営みに教育としてどのような可能性があるのかを論じ,評価概念の再検討を試みる。そして評価について,1)実践共同体の関係性の構築を単位とすることができる点,2)事例をめぐる当事者間の対話による間主観性を生み出す物語の構築が重要である点,3)「評価する」という行為とそれをなす場の存在自体が,新しい学びやつながりを生み出す創発性を有する点,を論じていく。 また,具体的事例として学びの対象者が「外国人」であることから,個人の学習や発達の保障と個人をめぐる社会関係の構築や共同体への参加が不可分な関係にある日本語教育を事例とする。その事例から,上述の「共同体の実践の物語化」がいかにして評価の側面を生み出し,またそこにいかなる価値が見いだされるのかを具体的に見ていきたい。
著者
石井 知子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.23-38, 1956 (Released:2023-07-29)

The library movement in Meiji produced three same-titled works “Toshokan Kanrihô” by Chikuken Nishimura and Inagi Tanaka, which appeared at about ten year’s interval. Examining these, it may be concluded that European & American library techniques which were introduced since the beginning of Meiji had been transplanted here in Japan already by this time they were written. This article composes these works each other and discusses the Meiji library movement.
著者
山本 純子
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-34, 1991-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
28

“BUGEI-ZUFU-TSUUSHI” (in Korean, Muye-Tobo-Tongji) was published in 1790. SOUSYUTOU (Shangusudo) can be seen in this book. SOUSYUTOU was affected by KOUWA (Japanese prisoners of the Invasion of Korea by Toyotomi Hideyoshi) and the drillmasters of Ming China army in the process of its formation. This study attempted to analyze the political situation of a sword arts in Japanese Invasion of Korea from 1592 to 1598. The purpose of this study was to clarify the relationship of SOUSYUTOU with KOUWA and Ming China army.The results can be summarized as follows.1. In those days, a sword arts in Korea was less developed than Japan and China.2. The sword arts was introduced into Korea from Japan and China by KOUWA and Ming China army in KUNRENTOKAN (HullyonTogan).3. SOUSYUTOU was affected by KOUWA and Ming China army through the medium of KANKYO (a man of public functionary in Korea).
著者
小林 めぐみ 水野 大 吉田 宗平 佐々木 秀策 有末 篤弘 若林 剛
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.267-272, 2014-04-20 (Released:2014-04-20)
参考文献数
16

開腹手術を要した菓子昆布による食餌性イレウスの2 小児例を経験したので報告する.〈症例1〉1 歳11 か月女児.嘔吐と腹痛のため来院.身体所見で脱水を認め,腹部CT で腹水の貯留と広範な小腸の拡張からイレウスと診断した.保存的治療を行うも腹部症状の改善がみられず,開腹手術を行った.手術では広範な小腸の拡張の先端部に鶏卵大の内容物を認め,小切開にて昆布塊を回収した.〈症例2〉14 歳女児.嘔吐と腹痛のため来院.腹部CT でbubbly mass and impaction, small bowel feces sign を認めた.腹膜刺激症状を伴い,絞扼の危険性も危惧されたため緊急手術を行った.手術では回腸末端までの腸管拡張とメッケル憩室を認めた.憩室を切除する際に内容物である昆布を大量に回収した.2 例とも発症前に菓子昆布を食べたことが確認された.食餌性イレウスは,頻度が低いものの小児外科医が周知しておくべき疾患である.
著者
服部 倫卓
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.2_21-2_32, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
28

ウクライナ・ロシア危機を解明するための新たな分析視角として,両国の基幹産業である鉄鋼業を取り上げ,図表を駆使し比較検討する.世界の鉄鋼業界では,中国発の生産過剰・価格軟化が生じている.近代化が遅れ,コスト面での優位も失いつつあるロシア・ウクライナ鉄鋼業の立ち位置は,困難となっている.とりわけ,技術力が世界最低水準の上に,集積地ドンバスで内戦が起きたウクライナ鉄鋼業の行く末は,悲観せざるをえない.
著者
永田 賢二 杉田 靖司 佐々木 岳彦 岡田 真人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.876-880, 2014-12-05 (Released:2018-09-30)

あらゆる物理学の分野において,実験データから必要な情報を抜き出す作業は日常的に行われることである.特にデータの中から複数のピークを探し出し,その位置や広がりを評価することは,実に多くの場面で重要となる.実験データからピーク位置の情報をフィッティングなどで取り出すこと自体は,グラフソフトなどを使えばそれほど難しいことではない.ところが「いったい何個のピークがあるのか」ということを判断することは難しい.ほとんどの場合,何個のピークがあるかを判断するのは解析者の直感に委ねられる.しかし,時に何個のピークがあるか迷うデータに遭遇することもあるだろう.例えば,右下の図は複数のガウス関数の和にノイズを加えて生成した,人工的な実験データである.果たして何個のピーク(ガウス関数)があるのか,判断できるであろうか.データのみからピークの個数を決定することは,理論的にも難しい問題である.例えば,データとフィッティング関数の差(誤差関数)を最小化してピークの個数を決定しようとすると,ピークの数を増やすことでいくらでも誤差を下げることができてしまう.このようなノイズまでフィットしてしまう「オーバーフィッティング」の問題を避けるためには,誤差関数だけでなく,モデルの複雑さとのトレードオフを兼ね備えた関数を考える必要がある.また同様の問題として,実験データを多項式でフィットする問題を挙げることができる.n点のデータに対して,n-1次の多項式でフィットさせると,誤差なくすべてのデータをフィットさせることができるが,意味のないデータ解析であることは明らかであろう.このような,ピークの個数の決定や多項式の次数の決定の問題は,統計学の分野において「モデル選択」と呼ばれている.モデル選択の問題に対しては,赤池情報量規準やベイズ情報量規準といった情報科学の分野で開発されたモデル選択規準が広く使われており,多項式フィッティングの問題をはじめとして,様々なモデル選択で一定の成功を収めている.しかし,ピーク個数の決定については,モデルに内在する数理的な構造の複雑さにより,これらのモデル選択基準の適用により決定することが困難である.最近になって,ベイズ推定とモンテカルロ法を組み合わせた新しい手法が開発され,ピーク個数の決定に応用されるようになった.この手法は,ベイズ推定で記述される評価関数に現れる量を「分配関数」「自由エネルギー」などに読みかえることで,モンテカルロ法を適用するといった特徴を持っている.本稿では,なるべく専門性の高い内容は避け,ベイズ推定によるモデル選択の枠組みを概説し,実際に「右図は3つのピークが合成されている」と考えるのが最も自然であることを示す.
著者
洪 繁
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.125-139, 2017-04-25 (Released:2017-05-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

ヒトは,自身で栄養を作ることができない.生命を維持するためには,植物や他の動物を摂取し,消化管から体内に吸収できるレベルまで消化する必要がある.膵疾患では,消化酵素分泌機能が多かれ少なかれ障害されているため,補充療法が必要であることが多い.消化酵素製剤は,ブタ膵臓抽出酵素であるパンクレアチンと様々な微生物消化酵素の複合である.パンクレアチンは,アルカリ域でのみ活性を示すが,微生物由来酵素は酸性から中性,アルカリまで至適pH域が広く胃でも消化が期待できる.製剤に配合される酵素の種類により製剤間で消化活性に違いがあるが,これまで消化活性の違いに着目した報告は殆どない.そこで本稿では,日本と海外の消化力測定法の違いと,これまで殆ど顧みられることのなかった各々の医療用消化酵素製剤の特長,およびそれに応じた使い分けについて紹介する.
著者
妻木 勇一 小寺 真司 ネンチェフ D.N. 内山 勝
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.195-204, 1998-03-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

In our previous work we proposed two approaches to singularity treatment: one is based on a null space notation, and the other on an adjoint Jacobian. We call these approaches as the singularity-consistent approach. Both meth-ods guarantee the direction of motion in the whole work space, without producing an infeasible joint velocity. The performance has been experimentally verified with 3-DOF manipulators. In this paper, we apply the method to a real telerobot system with a non-redundant 6-DOF manipulator as the slave. We analyze the velocity relation at the singularities of this manipulator, and discuss several important implementation issues. The experimental results show that the 6-DOF manipulator can be operated safely with feasible joint velocity and without any error in the direction of motion.