著者
下光 利明 柳本 卓 岡本 誠
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.20-039, (Released:2021-02-26)
参考文献数
29

A single yellowtail specimen (514.0 mm standard length), collected in the open ocean of the central North Pacific (31˚38.3'N, 163˚24.5'W), was identified as Seriola aureovittata Temminck and Schlegel, 1845, following morphological observations and genetic analysis. Commonly believed to be distributed in coastal areas off East Asia, the species may occupy a wide range of habitat in the western and central North Pacific (supported also by previous fisheries records). Seriola dorsalis (Gill, 1863), a very similar congener, is distributed in the eastern North Pacific, the two species being considered separated by the East Pacific Barrier.
著者
岡野 由利
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.91-97, 2016-06-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

スキンケア化粧品の基本的な機能は皮膚の保湿である。皮膚の乾燥が肌荒れだけではなく,皮膚の老化の一因となっていることは,われわれは経験的に知っている。角層には水分を保つ機構が存在するが,その詳細が解明され始めたのは,20世紀の半ばになってからであった。市場の化粧品のコンセプトはこの皮膚科学の発展を商品に応用したものが多い。そのため,過去においては,天然保湿因子(NMF)と皮脂を模して,水分と保湿剤,油脂を含有する製剤がスキンケア商品として用いられてきた。皮膚科学の発展に伴い,セラミド,NMFを配合した製品,顆粒層に存在するタイトジャンクションに注目した素材を配合した製品,角層細胞の成熟に注目した製品が開発され,上市されてきた。さらに,過去には死んで剥がれ落ちると考えられていた角層が,スキンケア行為によって濡れてゆっくりと乾くことにより,バリア機能が向上し,皮膚の状態が健全に保たれることも報告された。本稿では,保湿にかかわる皮膚科学の進歩と関連したスキンケアコンセプトの変化について歴史的な変化も含めて述べる。
著者
有馬 貴之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.353-374, 2010-07-01 (Released:2012-01-31)
参考文献数
46
被引用文献数
8 3

本研究の目的は,東京の上野動物園と多摩動物公園を調査地として,来園者の空間利用を比較し,それぞれの空間利用の特性を明らかにすることである.来園者に対してアンケート調査とGPS調査を行った結果,空間利用に影響を与える要素として,経験と目的,主体年齢,利用形態という三つの来園者属性と,敷地形態,土地起伏,動物展示,休憩施設,水辺・緑地という五つの空間構成要素が抽出された.市街地型動物園である上野動物園では,休憩施設が来園者全体の空間利用に最も影響を与えていた.つまり,上野動物園は動物の観覧以外にも休憩の場所としての多様な用途を担っていた.一方,郊外型動物園の多摩動物公園では,動物展示が来園者全体の空間利用に最も影響していた.したがって,多摩動物公園は,動物を観覧する場所としての重要性を強く備えていた.
著者
山住 勝広
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.50-60, 2014 (Released:2015-04-25)
参考文献数
49
被引用文献数
3

今日,人間の活動は,文化的に多様な組織の間でのネットワークや協働など,新しい形態に向けて,急速にパラダイム転換している.本論文では,活動理論と拡張的学習の理論にもとづき,時や場所,あるいは階層レベルを横断するような,仕事の現場における新しい学習の形態について検討した.そのさい,ノットワーキングと呼ぶことのできる新しい協働のパターンに注目し,その中での学習と主体性の形成に焦点化した事例の分析を行った.
著者
松井 直人
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.1-26, 2022 (Released:2023-04-20)

室町幕府にとって、都市京都、及び京都を包含する山城一国の支配を実現することは、政権の存立基盤を維持してゆくうえで重要な意味を持った。そのため、当該地域の支配の様相を探ることは室町幕府論に不可欠な課題といえる。しかし、京都支配に比して山城国支配に関する研究は停滞著しく、基礎的な点を含め、改めて総合的な検討を行う必要がある。そこで本稿では、領域支配の担い手であった山城守護を通じた幕府の山城国支配の展開を論じるとともに、同国を拠点とした室町幕府の特質に迫ることを目指した。 本論では、幕府開創期から応仁・文明の乱前後を主な検討期間として山城守護の機構や支配方式の展開を跡づけた。14世紀中葉以降、山城国では幕府の軍事統括者であった侍所が所領問題の対処にあたっていたが、14世紀末に幕府による隣国大和国に対する統制の実現を契機に、侍所権限の分割と山城守護の新設が行われ、国内支配機構の充実が図られた。また、足利義満の権勢が確立すると、義満は将軍直臣(結城満藤・高師英)を山城守護に任じ、彼らを手足として諸勢力との取次や諸役の徴収を担わせた。その後、15世紀前半には在京大名が守護職を巡役で担当する仕組みが定着する。しかし、15世紀中葉を境に、畠山氏が独自に守護権を行使して国内支配を進めたことで、幕府による国内支配の体制は衰退へと転じた。 以上からは、①将軍の直臣か、あるいは大名かという守護就任者の属性の違いが、幕府による山城国支配の方式に大きな影響を及ぼしたこと、②幕府の山城国支配は国内寺社本所領の保護を基調とし、守護自身による恣意的な国内支配は、15世紀中葉以降に本格的に進展したことなどが明らかとなる。このような幕府の山城国支配の様態からは、公家・武家・寺社勢力が並立する同国を拠点としたことで、彼らの間の複雑な利害関係を丸抱えする形で政権を成り立たせることとなった幕府権力の特質が見て取れる。
著者
家入 章 対馬 栄輝 加藤 浩 葉 清規 久保 佑介
出版者
The Society of Japanese Manual Physical Therapy
雑誌
徒手理学療法 (ISSN:13469223)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.67-74, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
23

〔目的〕変形性股関節症(股OA)に対する徒手療法の効果について再調査することである。〔デザイン〕PRISMA声明を参考に作成したシステマティックレビュー。〔方法〕検索は,2022年3月31日まで実施し,MEDLINE/PubMed,Cochrane Library,Physiotherapy Evidence Database(PEDro)を使用した。対象は,40歳以上の股OA患者とした。〔結果〕4,630編の論文が特定され,適格基準を満たした13編の論文が選択された。本邦からの報告は無かった。12編はPEDroスケールで8点以上と高い研究の質を示した。徒手療法は,一般的治療や徒手療法を含まない治療と比べると股OAの痛み,身体機能,QOLの改善,質調整生存率(QALYs)の増加に有効であるとの報告が多かったが,効果を疑問視する報告も3編みられた。〔結論〕股OAに対する徒手療法の効果は他の治療と比べて明らかに効果があるとはいえない。本邦からの報告は皆無であるため独自の調査も望まれる。
著者
柳澤 渓甫
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
雑誌
JSBi Bioinformatics Review (ISSN:24357022)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.76-86, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
98

近年の薬剤開発コストの増大に対し、計算機を用いて化合物群から薬剤候補化合物を選抜しようとするバーチャルスクリーニングは、化合物選抜のための化合物の合成やin vitro実験を必要としないことからコストの大幅削減につながることが期待されている。特に、タンパク質立体構造情報を用いたバーチャルスクリーニングでは、タンパク質と化合物との物理化学的な相互作用を評価し、化合物を選抜する。このため、既知の活性化合物の情報を必要とせず、新規構造を持つ薬剤候補化合物の選抜が可能である。本稿では、薬剤開発におけるタンパク質立体構造を用いたバーチャルスクリーニング手法について一連の流れを示し、近年の動向および研究事例について紹介する。
著者
山本 耕平 太郎丸 博
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.165-180, 2015 (Released:2016-07-10)
参考文献数
41

本稿では,日本・イギリス・アメリカの社会学の相違を,定量的な比較を通して検討する.具体的には,1)どのような方法がもちいられるか,2)雑誌論文と一般書籍のどちらがより引用されるか(これを引用文化とよぶ),という二点を各国における実証主義の強さの相違を表すものとして比較する.日英米の学術ジャーナル各2誌において2012年に掲載された論文をすべてサンプリングし,それらの論文で用いられている方法を4つに,文献リストに挙げられている文献を4種類に分類した.このデータから,引用文献数と,引用文献中の雑誌論文および一般書籍の割合を比較した.用いられる方法の種類,引用文献数,引用文献中の雑誌論文比をそれぞれ従属変数とし,他の変数を独立変数とする分析の結果,1)方法についてはアメリカにおいて経験的研究,とくに計量への指向が強く,2)引用文献の数は米英日の順で多く,引用文献中の雑誌論文の割合は米英において日本よりも高いことが分かった.以上から,イギリスの位置づけは明確ではないが,実証主義はアメリカでもっとも強く日本でもっとも弱い,という相違が確認できた.
著者
高橋 泰城
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.17-30, 2013-12-20 (Released:2014-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

One of the recent promising theoretical approaches to accounts of the violation of rationality (or generalize the concept of rationality) in human decision making is quantum decision theory. In this expository review article, I introduce 1) problems of rationality in quantum decision theory and 2) relationships between psychophysics, theoretical neuroscience including neuroeconomics, and quantum decision theory.
著者
木村 典夫 志田 勝義 前村 誠
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.178-179, 2013-12-14 (Released:2013-12-21)
参考文献数
5

A 70-year-old male visited our hospital complaining of diarrhea and hematochezia. Abdominal CT demonstrated multiple sigmoid colonic diverticula and inflammatory changes suggestive of diverticulitis. Colonoscopy revealed diverticula scattered in the sigmoid colon with localized mucosal edema and erosion. A colonoscope could not be passed through the sigmoid colon due to the presence of a stricture. Histological analysis of biopsy specimens showed areas of inflammatory cell infiltration, crypt abscesses and granuloma formation in the sigmoid colon, and normal rectal mucosa. We diagnosed the patient with diverticular colitis, and administered steroids and 5-aminosalicylic acid. Two months later, the inflammation and stricture were shown endoscopically to have improved.
著者
Yohsuke Ohtsubo Toshiyuki Himichi Kazunori Inamasu Shoko Kohama Nobuhiro Mifune Atsushi Tago
出版者
The Japanese Society of Social Psychology
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.25-32, 2022-12-25 (Released:2022-12-25)
参考文献数
25

Japan issued many political apologies after World War II, although these failed to foster intergroup forgiveness. One possible reason for these failures may be the presence of within-country opposition to government apologies. It has been suggested that some elements of political apologies may be intended to mitigate such within-country opposition. Two studies (total sample size=1,500) tested whether a statement that dissociates past injustice from the country’s present political system and a statement that praises the country’s present system would mitigate opposition to a political apology. The results did not support the mitigating hypothesis. Moreover, we tested whether these statements would be particularly effective in reducing the opposition of strong opponents (e.g., individuals high in Social Dominance Orientation). Although this effect was significant in Study 1, a preregistered study (Study 2) failed to replicate it.
著者
岩村 もと子 三宅 紀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.170, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】タケノコは和食の特徴である旬を感じさせる食材のひとつである。海外からの安価なタケノコの輸入の増加などにより、水煮タケノコの利用はあるものの、家庭での生鮮タケノコからの調理が少なくなってきている。各地で放置竹林も問題となっている。多くの調理書などではタケノコのあく抜きは米ぬかを用いた方法が示されているが、本研究ではタケノコの簡便なあく抜きの方法について検討した。【方法】日本におけるこれまでのタケノコのあく抜き法について文献調査を行い、アジアの国々についても、在留外国人に聞き取り調査を行った。次にあく抜き方法について検討を行った。タケノコは2015年4月、鎌倉市内の竹林で採取し、収穫3日後のものを用いた。10%米ぬか、0.3%重曹、50%牛乳、アルカリイオン水、1.75%そば粉(そば湯)を用いてゆで、ゆで汁に浸漬して冷却し、水洗い後15時間水に浸漬したものを試料とした。20歳代のパネル(女性31名)により、えぐ味の強さ、硬さ、色・香り・食感の好みなどの評価項目について5段階の評点法を用いて官能評価を実施した。【結果】文献調査の結果、日本でのあく抜き法として、何も添加せずにゆでる「湯煮」が長く行われてきたが、明治末期には婦人総合誌に米ぬかを用いた方法が記載されていた。また、アジアの国々においても「水でゆでる」「塩水でゆでる」が多かった。収穫後時間の経過したものはあく抜きが必要となるが、官能評価の結果、いずれの方法においてもえぐ味の強さに差は認められなかったが、色の好みおよび硬さについて有意差が認められ、重曹を用いた試料での褐色化および組織の軟化によるものと考えられた。米ぬかを含めていずれの方法によってもあく抜きが可能であることが示唆された。
著者
村田 哲
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.52-60, 2005-03-05 (Released:2011-03-28)
参考文献数
50
被引用文献数
3 2

Many studies have emphasized simulation theory as a core concept for the mirror neurons that are found in the ventral premotor area (F5) and inferior parietal cortex (PF) of the macaque. Imitation, social cognition, empathy and language are linked to mirror neurons. However, function of mirror neurons in the macaque is still missing, because such cognitive functions are limited or lacking in these monkeys. It is important to discuss these neurons in the aspect of motor function. I would suggest that mirror neurons in area PF might have a roll of monitoring of self generated action. This idea may provide neural correlate of self other distinction.