著者
久光 正
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-6, 2008-02-10 (Released:2010-11-25)
被引用文献数
2
著者
山口 迪夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.606-609, 1989-12-20 (Released:2017-07-13)

従来, 食品学や栄養学の領域でいう「食べ物の酸性・アルカリ性」は, 食品自体が酸性であるか, アルカリ性であるかというより, 食べ物が体内で代謝された後, 生体に対して酸性に働くか, アルカリ性に働くかを意味する場合が多かった。これがいわゆる「酸性食品・アルカリ性食品」の理論といわれてきたものである。この理論に従えば, 食品自体が酸性であってもアルカリ性食品になる場合がある。そして, 酸性食品かアルカリ性食品かを決めるのは, その食品のミネラル組成, すなわち陽性元素と陰性元素の各合計量(当量)でどちらが多いかである。しかし, 近年になりその理論の栄養学あるいは生理学的意義は次第に科学的根拠を失い, 現在の教科書や専門書からは「酸性食品・アルカリ性食品」の言葉が完全に消え去ろうとしている。
著者
片桐 恭弘 石崎 雅人 伝 康晴 高梨 克也 榎本 美香 岡田 将吾
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.97-109, 2015-03-01 (Released:2015-09-15)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Conversational interactions contribute not only to the sharing of information and establishment of consensus but also to the construction and sustenance of mutual trustamong conversational participants in our daily lives. The interrelationship betweentrust and conversational interactions has not been studied extensively in cognitive sci-ence. One reason for this lack of research is the fact that a study of social emotions suchas trust requires real fields, since social emotions in their natural, non-artificial formsare not readily observable in laboratory settings. We introduce a notion of concernalignment to describe the surface conversational processes toward mutual trust forma-tion. Focusing on medical communications as our research field, we collected healthguidance conversations between nurses and patients who were diagnosed as havingmetabolic syndrome, and we provide a qualitative analysis of the structure of conver-sations in terms of a set of dialogue acts we propose for the description of concernalignment processes. We demonstrate that the idea of concern alignment enables us tocapture and elucidate both the local and the global structures of mutual trust formationin conversational consensus-building processes. We also discuss underlying mechanismsconnecting concern alignment and mutual trust.
著者
高橋 敏
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.41-51, 2017 (Released:2018-06-20)

群馬県下には、今日なお上州(上野国)といわれた江戸時代の在村剣術から二五代にわたって受け継が れてきた古武道が確固として命脈を保っている。高崎市吉井町に現存する樋口家と馬庭念流である。兵農 分離の刀狩りで剣術はおろか武器を根こそぎ取り上げられた筈の多胡郡馬庭村に、百姓身分でありながら 道場を構えて根を下ろし、周辺農村から上州一円、北関東、江戸にまで門人を獲得し、最盛期には門人が 数千と豪語された一大流派を築いた。更に明治維新以降の近代化のなかで前代の剣術諸流派が剣道に収 斂・統一される趨勢のなか、脈々と今日まで継承されてきた。そこには江戸時代の上州という風土と社会 が深くかかわっているように思われる。本講は、北関東上州の一農村の田舎剣法から門人数千の一大剣術 流派に発展した馬庭念流を手がかりに二世紀半にも及ぶ未曾有の平和な江戸時代に、身分制度の厚い壁を 破って展開していった武芸について考えてみたい。 上州、関東においては、兵農分離は身分制度として断行されたが、刀狩りは実施されず、武器の所持、 剣術の継承は禁止されることはなく許容された。樋口家は中世以来の在地土豪の権益を失い、公的には百 姓身分になったが、私的な領域においては姓を名乗り、帯刀し、念流を伝授することは黙認された。要は 在地土豪の念流を継承する郷士と馬庭村百姓の二つの顔を持つことになった。 馬庭念流は、江戸時代初頭から四代に長命にして剣技・指導力に優れた当主に恵まれ、北関東を中心に 多くの門弟を集め、江戸にまで進出して道場を経営し、一大流派の結社に発展する。門人は百姓町人のみ ならず、高家新田岩松氏、七日市藩前田氏、小幡藩織田氏、支配領主旗本長崎氏の主従にまで門下の列に 加えている。 なかでも流派念流の結社としての勢力を誇示したのが有名神社の社前において秘剣を披露し、師匠以下 門人名を列記した大額を奉納する儀礼であった。上野四社から江戸神田明神・浅草寺、鎌倉八幡、伊勢外 宮・内宮、遠く讃岐金刀比羅宮にまで足を運び、大枚を投じ奉額している。 このような現象は念流だけではなかった。千葉・斎藤・桃井の江戸三大道場と謳われた民間剣術流派の 盛業に顕著のように、幕藩領主に囲い込まれ、正統とされた剣術が衰退し、民間の剣術がこれに代わって 勃興していったことと軌を一にしたものであった。いわば幕藩秩序そのままの武士が独占する伝統守旧の 剣術から民間の活性化された在村剣術が掘り起こされて、身分制度の枠を打破して、武芸として百姓町人 までが入門、習練する時代が到来したのである。まさに戦国乱世の殺人剣から幕藩領主の子飼いの指南の 剣術を経て、新たに自衛のため、修行のための武芸に生まれ変わろうとしていた。もちろん武芸の大流行 は、念流が江戸から勢力拡大を図る北辰一刀流千葉周作と伊香保神社掲額をめぐって一髪触発のところま でいったように、諸流派の競合・対立を引き起こすことも多々あった。しかし、大勢は総じて流派間の共 存と連携を深めていったことの方が事実である。幕府法令からは民間の帯刀、剣術は厳禁されているが、 時代の武芸熱は冷めるどころか高揚し、諸流派を渡り歩く武者修行の旅が一般化していく。これを可能に したのが諸流派間を結び、連携する一種のネットワークの形成であったように思う。そこには支配秩序に 直結する武士のみならず姓名、諱まで名乗る武士風体の百姓・町人が多く含まれ、身分制度の壁を越えた 一大武芸の文化ネットワークが広がっていた。 剣術、武芸の歴史といえば、権力争奪に絡む殺伐とした合戦、暗殺、仇討ち、テロといった殺人剣を類 推する向きが多いが、平和の時代を背景に自己鍛錬の武芸として定着していったことを見落としてはなら ない。近代剣道に転換する素地はつくられていたのである。
著者
大崎 園生 林 吉夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.60-69, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
10

児童期に虐待を受けた成人患者は心的外傷後症状に加え対人不信や関係の打ち切り, 他者への攻撃的感情などの人間関係上の問題を抱える. これらは外傷的人間関係の再演となり, さらなる心的外傷後症状を発生させるため, 外傷的人間関係を変化させ肯定的な対人関係を形成・維持するための介入が重要である. 本研究では虐待既往のある成人患者の臨床心理面接症例を検討した. 再体験や解離エピソードおよび希死念慮などの心的外傷後症状が認められ, あわせて外傷的人間関係の再演および自他についての否定的信念が顕著であった. ソクラテス式質問法による内省の促進および患者の外傷的人間関係のケースフォーミュレーションの共有によって, 肯定的な対人関係の形成・維持が可能になり, 心的外傷後症状も緩和されるとともに自他についての否定的信念も変化した. 虐待既往のある成人患者の心理面接において現在の生活における人間関係を扱う意義が示された.
著者
川端 悠士 小川 浩司
出版者
一般社団法人 山口県理学療法士会
雑誌
理学療法やまぐち (ISSN:27583945)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.4-10, 2023-02-28 (Released:2023-03-06)
参考文献数
33

【目的】大腿骨転子部骨折例における歩行能力に影響を与える要因は,骨折型によって異なるのか否かを明らかにすることとする。【方法】対象は大腿骨転子部骨折例95例とし,骨折型によって安定型47例,不安定型48例に分類した。調査項目は年齢,性別,受傷前の自立度,認知症高齢者の自立度,骨折型,術式とした。また術後4週における疼痛,脚長差,関節可動域,筋力,杖歩行の可否を調査した。骨折型別に,従属変数を杖歩行の可否,その他調査項目を独立変数として二項ロジスティック回帰分析を実施した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,杖歩行の可否に影響を与える要因として,安定型骨折では受傷前の自立度と術側膝伸展筋力が,不安定型骨折では術側股外転筋力が抽出された。【結論】骨折型によって杖歩行の可否に影響を与える要因は異なり,安定型では術側膝伸展筋力の向上を,不安定型では術側股外転筋力の向上を図ることが重要と考えられる。
著者
大野 勘太 井上 由貴 友利 幸之介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.581-594, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
47

スコーピングレビューの手法に則って整形外科領域のリハビリテーションにおける目標設定に関連する文献を探索し,リサーチギャップの分析を行った.PubMed,Web of Science,Scopus,ProQuest,CINAHLを用いて検索を実行し,最終的に17編を適格論文として精読した.対象疾患は脊髄損傷が10編と最多であり,多様な整形外科疾患を網羅していなかった.介入研究においては,意思決定支援ツールが未使用の研究や,目標設定やその後の介入において合意形成のプロセスが不十分な研究も散見され,整形外科領域のリハビリテーションにおける目標設定に関するさらなる検証の必要性が示唆された.
著者
佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-25, 2011 (Released:2011-02-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2

「運動連鎖」と訳される2つの言葉,“kinetic chain”と“kinematic chain”のそれぞれを取り上げて,その概観を眺めた。“kinetic chain”に関しては,Open Kinetic Chain(OKC)とClosed Kinetic Chain(CKC)の2つのタイプに関する定義の歴史的流れを追いつつ,CKCの有利性についての文献的なレビューをした。“kinematic chain”に関しては,経験的に使われていたこの意味での「運動連鎖」に関する数本の論文を紹介しつつ,一概には経験と実験結果では一致していないことを説明した。
著者
中村 浩志
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.93-114, 2007-11-01 (Released:2007-11-17)
参考文献数
62
被引用文献数
8 22

このモノグラフは,日本に生息するライチョウLagopus mutus japonicusに関するこれまでの研究からわかっていることを整理し,今後の課題について検討を加えることを目的としたものである.日本に生息するライチョウの数は,20年以上前に実施された調査から3,000羽ほどであることを示し,分布の中心から外れた孤立山塊から絶滅が起きていることを示唆した.日本の高山帯には,ハイマツが広く存在するのが特徴であり,ライチョウの生息に重要であることを示唆した.ライチョウの食性に関する知見を整理し,今後は各山岳による餌内容の違い,また食性の量的な把握が必要たされることを指摘した.高山における年間を通しての生活の実態について,これまでの知見を整理し,まためた.春先の4月から秋の終わりの11月にかけてのライチョウの体重変化を示し,ライチョウの高山での生活との関連について論じた.ミトコンドリアDNAを用いた多型解析から,近隣の亜種との関係および大陸から日本に移り棲んで以降の日本における山岳による集団の隔離と分化に関する知見をまとめた.ライチョウを取り巻くさまざまな問題点について,最近の個体数の減少,ニホンジカ,ニホンザルといった低山の野生動物の高山帯への侵入と植生の破壊,オコジョや大形猛禽類といった古くからの捕食者の他に,最近では低山から高山に侵入したキツネ,テン,カラス類,チョウゲンボウといった捕食者の増加がライチョウを脅かしている可能性,地球温暖化問題等があることを指摘した.20年以上前のライチョウのなわばりの垂直分布から,温暖化の影響を検討し,年平均気温が3°C上昇した場合には,日本のライチョウが絶滅する可能性が高いことを指摘した.これまでの低地飼育の試みを評価し,野生個体群がまだある程度存在する今の段階から,人工飼育による増殖技術を確立し,増えた個体を山に放鳥する技術を確立しておくことの必要性を指摘した.
著者
米田 英嗣 間野 陽子 板倉 昭二
出版者
JAPANESE PSYCHOLOGICAL REVIEW
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.39-50, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
85
被引用文献数
1

This paper reviews the role of empathy in autism spectrum disorders and psychopathy. Empathy can be subdivided into two categories: cognitive empathy (i.e., the ability to identify the emotions of others) and affective empathy (i.e., the ability to share or match the emotions of the self with those of others). Individuals with autism spectrum disorders lack cognitive empathy, whereas individuals with psychopathy lack emotional empathy. The similarity hypothesis states that people empathize with other people who are similar to themselves in personality and in conditions such as developmental disorders or typical development. The similarity hypothesis predicts that individuals with autism spectrum disorders would emotionally empathize with other people with autism spectrum disorders, and individuals with psychopathy would cognitively empathize with other people with psychopathy. Finally, we attempted to interpret autism spectrum disorders and psychopathy as resulting from the neurodiversity of empathy.
著者
山岸 哲
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.54-59, 1962-04-01 (Released:2017-04-08)
被引用文献数
2

YAMAGISHI, Satoshi (Tenryu Low. Sec. School, Nagano Pref.) Roosting behaviour in crows. 1. Autumnal and wintry roosting behaviour in Nagano Prefecture. Jap. J. Ecol. 12,54〜59 (1962) The roosting behaviour of crows was observed in Nagano Prefecture, and the results are as follows : (1) In the daytime in autumn crows form small flocks in their habitat and feed there. Before sunset they gather at their regular assembling places, and then move to roost in groups. The group at the farthest assembling place from the roost move first, joining the nearest group, one by one, and at last all of the crows reach the roost. (Fig. 1) (2) There are three roosts in autumn in Upper Ina-gun and Lower Ina-gun ; in winter one of these three is used as their wintry roost, and the other two are canelled, being used only as their assembling places. Crows' number in each of these three autumnal roosts is about 900,and the number in one wintry roost is about 3,000. (Fig. 2) (3) The numbers of the above-mentioned wintry roosts are seven in Nagano Prefecture ; crows' number in each of them is 1,000〜3,000. Only ever-green woods are used as the wintry roosts, the main tree species of which is Japanese red-pine. (Fig. 3,Table 1) (4) In the future I intend to investigate on crows' roost in their breeding season and the actual organization of their society.
著者
竹内 謙彰
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.61-75, 1994-12-26 (Released:2017-09-10)

Maccoby and Jacklin (1974) suggested that males generally perform better than females in spatial problem solving. The major aim of this article is to demonstrate that such a difference in spatial ability acccording to sex is not determined innately by examining both biological and psycho-social factors. While there has been no decisive evidence that biological factors, such as genes and/or maturity speed except hormonal-level in a fetus stage, affect individual differences of spatial ability, there are some psycho-social factors which siginificantly correlate spatial problem solving performance. The possibility that the psycho-social factors, such as sex-typed personality traits, affect the process of learning and solving spatial tasks is discussed.
著者
吐合 大祐
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_293-1_315, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
63

選挙制度は政治家の再選戦略に影響を与えるのか。多くの先行研究が, 選挙区定数が議員の再選戦略の一環である選挙区活動や議会内行動に対し影響を与えると指摘してきたが, 実証的証拠は不十分である。本稿は, 「選挙区定数が大きくなるにつれ, 当選に必要な得票率が低下するため, 政治家はより特定の有権者から支持を得るために分配政策を志向すること」 を主張する。本稿は日本の都道府県議会を対象とし, 議員の関心分野を委員会所属から把握する。分析結果より, 選挙区定数の大きい選挙区から選ばれた議員ほど, 建設や公営企業などの分配政策を管轄する委員会へ, 定数の小さい選挙区から選ばれた議員ほど, 総務や財政などの一般政策を管轄する委員会へ所属する傾向にあることが示された。
著者
大谷 清孝 松本 典子 藤本 まゆ 稲垣 瞳 横関 祐一郎 橘田 一輝 開田 美保 狐﨑 雅子 中村 信也 横田 行史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.798-807, 2016-01-30 (Released:2016-03-16)
参考文献数
18

本邦では同時接種の有害事象および安全性に関する報告が散見されるが, 乳児期のみの検討は不十分である。そこで, 乳児に対する不活化ワクチンの同時接種の有害事象を解明するために検討した。2012年7月から2013年6月の期間において, 不活化ワクチンの皮下接種を施行した生後2か月以上の乳児を対象とした。その対象の保護者に対して, 調査票を配布し, 接種後1週間の有害事象の有無を調査した。対象を接種本数から単独接種群と同時接種群に群分けした。主要検討項目として, 入院を要する重篤な有害事象の有無とし, その他の検討項目として接種児背景, 全身症状と局所症状の有害事象の有無を比較検討した。対象は合計66名, のべ162回であった。調査票の有効回答率は91% (88/97) であり, うち単独接種群は46名で, 同時接種群は42名であった。同時接種の内訳はインフルエンザ菌b型ワクチン (Hib) +7価肺炎球菌結合型ワクチン (PCV7) が14名 (32%) で最も多く, 次いでHib+PCV7+三種混合ワクチンが12名 (27%) であった。全例で入院を要する重篤な全身症状の有害事象は認めなかった。熱型推移では, 単独接種群と比較して同時接種群の方が接種後2日目の体温が有意に高かった (p=0.049)。その他の全身症状および局所症状では, 両群間において有意な差を認めなかった。乳児への不活化ワクチンの同時接種において, 接種2日目に発熱を認めることが有意に多いが, 入院を要する重篤な全身症状の有害事象を認めなかった。
著者
針間 克己
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.583-587, 2004-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

パラフィリアとは典型的でない性嗜好に対する医学的疾患概念である.典型的でない性嗜好の何が医学的な異常で何が正常なのか,何をもって医学的疾患とするのか.その境界線は,文化,時代の影響を受ける古典的には生殖に結びつかない性行動が異常とされた.その後, 1970年代のゲイムーブメントの影響を受けて,本人に苦悩があることをもって精神疾患とするようになった.しかし,2000年に出されたDSM-IV-TRにおいては,その行動が性犯罪となるものは,苦悩がなくても行動をもって精神疾患とされるように変更となった.すなわち現在では,パラフィリアは性犯罪グループと非性犯罪グループで診断基準が異なっだものとなっている.
著者
山口 直比古
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.467-472, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

病院には医療関係者のための図書室と,患者のための図書室の二種類の図書室がある。前者は医学図書館であり,主に医学情報を提供している。地域医療支援病院などの3割程度に設置されており,相互協力(ILLでの文献複写依頼)を中心に司書が一人で仕事をしている。後者は,患者・家族・市民のために医療・健康情報サービスを行っている。患者の立場に立ってインフォームドコンセントを支援する,という役割を担っている。全国に100以上の患者図書室が開設されている。それらの現状と問題点などを紹介する。さらに,一般市民に対する健康情報サービスが,公共図書館を中心に広がっているため,病院の図書室ばかりではなく,大学医学部図書館との連携・協力が求められている。
著者
岸 政彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.466-481, 2016 (Released:2018-03-31)
参考文献数
28

この論文で私は, 沖縄が語られるその語られ方の変化について書く. 具体的に取り上げるのは, 沖縄本島にあるA市の市史編纂室によって書かれる予定の, 新しい市史の取り組みである.この地域誌は, 行政が公式に発行する, いわばその地域の「教科書」である. それはその地域の, あるいは沖縄そのものについての「語り方」を規定する力を持っている.本論で特に, 沖縄本島にある「A市」の市史編纂室における新しい実践を考察の対象とする. A市史民俗編には, 古くから存在し, 沖縄的な伝統芸能や習慣を伝える集落だけではなく, 団地や建売住宅のニュータウンなども含まれることになっている. このことは, それまでの地域誌の民俗編が, 本来的な, 真正なる沖縄文化を記録し後世に伝える目的で書かれていたことを考えると, 画期的な試みであるといえる.本論ではA市の市史編纂室での聞き取り調査を通じて, 沖縄の語り方はどのように変わりつつあるのか, 語り方を変えるときに何が起きているか, それはどのようにして可能になるのかについて考える.