著者
糸井 充穂 宇田川 誠一 田近 謙一 田代 健治 大竹 伸一 阿部 建之
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、医学教育に必要でありながらカリキュラムの改正や削減で十分に時間を割くことができない理数系の基礎科目を一般教育で強化・充実をはかるために、物理学・数学及び生物学分野を融合した、視覚的・実質的な数理複合教材を開発した。具体的には、ハイスピードカメラを用いた物理学実験の試行やJAVAシミュレーションの視覚補助教材効果の検証と医学教育と関連した物理学実習項目の強化を行った。またこれらの教材の教育効果を追跡するため、研究期間を通してアンケート調査を行った。
著者
澤田 哲生
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の原子力開発の黎明期(1950年代)から、2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を経て今日に至るまで、原子力界の歴史と様々な変遷を湯川秀樹博士の遺した歴史資料などに基づいて分析した。その結果、「原子力ムラ」がどのようにして形成されて来たのかについて、その構造的仕組みを明らかにし、系統樹を作成した。また、同時に原子力ムラの癒着構造に関して、その原型を歴史資料の中から発見し、その意義を論じた。さらに、主に反原発・脱原発派との情報交換・情報共有および対話を通じて、原発の推進vs.反対という二項対立構造を乗り越えるための要件を見出した。
著者
市原 晋平
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

本研究は18世紀のハンガリー王国において「周囲からツィガーニと呼ばれた人々」(以下、ツィガーニ)が取り結びえた社会的諸関係の解明を企図し、とりわけ市場町ミシュコルツにおけるこの人々の状況を地域定的文脈や、より広範な社会的・政治的情勢と関連付けて検討することを課題としている。本年度は、博士論文執筆に必要な史料・文献の入手を目的とするハンガリーへの調査渡航(2016年1月27日~2月15日)を除けば、前年度までに入手した史料・文献の内容整理、その中で明らかとなった知見の公表に努めた。結果、研究報告2本と図書1点の成果を得た。研究報告では、まず日本西洋史学会大会(2015年5月17日)にて、18世紀半ばのミシュコルツにおけるツィガーニ集団の指導者、頭領の機能とその変化を、1767年の頭領の法的廃止という王国規模の政策の影響なども考慮しつつ、検討した。また、東欧史研究会・ハプスブルク研究会合同報告会(2015年10月18日)では、18世紀初頭のミシュコルツにおけるツィガーニ、とりわけ鍛冶師の経済活動を、地域の経済的状況やギルドなどその他の経済活動主体との関係の中で検討した。さらに、次年度にはジプシー/ロマ研究会(2016年4月16日)にて、ミシュコルツにおけるツィガーニによる「犯罪行為」について、18世紀ハンガリー王国で実施されたツィガーニに対する「同化」の試みと関連付けて検討する予定である。図書については、ハプスブルク家とブルボン家の宮廷を比較検討したJ. ダインダム『ウィーンとヴェルサイユ』の翻訳に参加し、18世紀当時ハプスブルク家領に属したハンガリー王国を、より広い枠組みから捉え直す重要性を再認識した。目標としていた年度中の博士論文完成には至らなかったが、以上の研究報告、調査などによって、本博士論文は完成に向けて大きく前進し、2016年度中に提出できる見込みである。それと合わせて、以上の研究報告を今後、論文の形で公表することを目指したい。
著者
仙石 愼太郎 Avila Alfonso 末松 千尋
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

異分野融合・学際研究の経営のために、業績、活動及びその関係性の可視化を事例研究を通じて試みた。業績に関しては、計量書誌学的アプローチを採用し、共著関係、共引用構造分析や書誌結合分析による事実記述的な手法論を動員し、マクロ・メゾ及びミクロレベルの視座を包含する経営ツールを提案した。活動に関しては、経営組織論的アプローチを採用し、参与観察をもとに、学際・融合研究の推進のうえで鍵となる活動の要点を特定した。業績と活動の関係性に関しては、研究プロジェクトにおける共通構造を抽出したのち、高生産性を発揮した事例の特殊構造を、分野、参画機関及び中心的研究者のネットワーク構造をもとに説明した。
著者
宮武 伸一 田代 弦 織田 祥史
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1.脳腫瘍細胞へのインターロイキン7遺伝子の導入:脳腫瘍細胞にウイルス発現ベクターに組み込んだインターロイキン7遺伝子を導入し発現させた。この腫瘍細胞を宿主マウスに移植すると,インターロイキンを導入されていない腫瘍細胞やネオ遺伝子のみを導入された。腫瘍細胞と異なり、生着せずにリジェクトされた、これは,腫瘍細胞から生成されるインターロイキン7が宿主マウスの免疫能を高めたことによると思われる。2.マクロファージの殺腫瘍細胞効果の,インターロイキンによる賦活:マウス脾臓より収集したマクロファージをインターロイキンやインターフェロンなどのサイトカインで処理すると,マウス腫瘍細胞に対する殺細胞効果の増加が確認された。3.脳腫瘍特異抗原を認識する放射性同位元素で標識したマウウスモノクローナル抗体による脳腫瘍組織のイメージング:我々の施設及び共同研究施設で開発したヒト神経膠腫特異抗原を認識する抗体をFab2のかたちに加工し,これを131-I及び111-Inで標識した。この標識抗体を,ヒト神経膠芽腫細胞U-87MGを移植したBalbnu/nuのヌードマウスに,尾静脈から投与した。その後の,臓器移行,排出をガンマカウンターやガンマカメラでしらべたところ,他の臓器に比較して腫瘍移行性が良好であり,腫瘍の放射性同位元素によるイメージングに充分使用できるものであると,判断された。4.今後の展望としては,サイトカイン遺伝子の導入をin vivoのレベルでできるだけ,腫瘍細胞に限定して行うために,腫瘍特異的発現ベクターの開発及び腫瘍特異的抗体を用いた標的化を考えている。
著者
尾池 和夫 JO 華龍 金 性均 慶 在福 全 明純 大倉 敬宏 久家 慶子 中西 一郎 入月 俊明 秋元 和実 山路 敦 鈴木 康弘 渡辺 満久 岡田 篤正 KIM Sung-kyun JUN Myang-soon JO Wha-ryong KYUNG Jai-bok
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

韓国南東部の梁山断層は,ほぼ北北東-南南西方向に約200kmにわたって走り,顕著な破砕帯を伴っている.この断層系において活断層変位地形を野外調査し,その主断層についてトレンチ掘削を実施した.この断層は河成段丘面群とその構成層を変位させ,東側の相対的隆起を伴う右横ずれの活断層であることを確認した(岡田ほか,1994).蔚山郡彦陽南方では,大規模な宅地開発が進められているので,その用地を利用して,主断層に伴われる地殻運動やそれ並行すると推定した副断層について多くのトレンチ調査を行った。こうした調査から,次のような事柄が判明した.彦陽南方の台地(高位面)は北東流していたかつての酌川川が形成した扇状地であり,初生的には北東へ傾いていたはずであるが,トレンチ地点付近では西方へ逆傾斜している.掘削調査の結果,高位面を構成する礫層が撓曲変形を受けていることが判明した.この高位面の撓曲による上下変位量は約5mである.いくつかの断層は認められたが,地表面まで切断するものは見当たらなかった.梁山断層の平均変位速度や高位段丘の形成時期を解明する必要があるので,梁山断層が通過する彦陽地域から太和江沿いに河成段丘面を追跡し,海成段丘面との関係を調べ,段丘面編年に関する資料を得るように努めた.それらの結果は,次のように要約される.河成段丘面はfH面群(fH1面・fH2面)・fH面群(fH1面・fM2面)・fL面群(fL1面〜fL3面)に,海成段丘面はm1面〜m3面に区分できる.海成段丘の旧汀線高度は,それぞれ53.3m・18.7m・3.4mである.fH面群やfM面群には赤色風化殻が形成されており,とくにfH面群で顕著である.fL面群の構成層は新鮮でほとんど風化していない.各河成段丘面は滑らかに蔚山湾周辺まで連続する.蔚山湾周辺では,fH2面は+10mの位置へ,fH1面は数mの位置へと連続してゆく.fL1面は下流部で沖積面下に埋没し,蔚山湾周辺での推定高度は-10mである.こうした資料からみて,fM1面が最終間氷期直前の氷期に,m2面が最終間氷期に形成された可能性が高い.fH面群はそれ以前の海面低下期に,m1面は最終間氷期以前の高海面期に形成されたと推定できる.南北〜北北西-南南東走向の蔚山断層系(延長約40km)は慶州市付近で梁山断層系に会合するが,この中央部に沿っても活断層変位地形の存在と,段丘堆積物を変位させる断層露頭が確認された.この特徴や関連現象について調べ,次のような事柄が判明した.蔚山断層系の断層線は著しく弯曲している.断層露頭表現や地形面の変形状態とから考えると,この断層の活動様式は典型的な逆断層である.第四紀後期に形成された地形面や堆積物が明瞭に変位を受けているので,蔚山断層は明らかに活断層である.この断層は高位段丘面を15m,中位段丘面を5m,上下方向へ変位させており,累積的な変位が認められる.断層崖や段丘面の変位方向からみて,東側の山地域が少なくとも第四紀の中ごろから継続的に隆起している.蔚山断層に沿って,明瞭な断層露頭が2ヶ所で観察された.末方里集落東方にある寺谷池北岸では,破砕した花崗岩が地形面を構成する礫層に,走向:ほぼ南北で,傾斜:25-30°Eの衝上面をもって接している.露頭上部では,上盤の花崗岩を被覆する礫層と砂礫層・腐植質層が急斜・逆転している.数本の断層が伴われ,幅数10cmの断層帯となっている.開谷里集落北東方の淵安川河床でも,やや風化した礫層の上に花崗岩が衝上している.末方里集落東方では,中位面を構成するシルト質層が液状化作用を受けて変形し,堆積直後の大地震発生を示唆する.その再来時間については,堆積物や地形面の年代解明を現在行っており,それらの結果を待って評価したい.こうした南北方向の逆断層性活断層の存在は,当域もほぼ東西方向の広域応力場に置かれていることを示唆する.これは北北東-南南西方向の梁山断層系が右ずれを示すこととも符号し,同じ応力場にあることを意味する.また,浦項市付近には,海成中新統が分布していることから,中新世以降の梁山断層の運動像を解明するために,地質調査を実施した.
著者
前島 郁雄 鈴木 啓介 田上 善夫 岡 秀一 野上 道男 三上 岳彦
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

本年度は、3年間の研究計画の最終年度であり、研究成果をまとめると以下の通りである。1.全国19地点の日記の天候記録をもとに、1771-1840年の70年間について、夏季4ケ月(6〜9月)の毎日の天候分布図を完成した。次に、北海道を除く全国を5つの地域に区分し、各地域毎に降雨の有無の判定を行なった。降雨の有無を1と0とで表現し、その組み合せから、全32タイプの天候分布型を設定して毎日の天候分布型の分類を行なった。その結果を天候分布型カレンダ-としてまとめた(成果報告書参照)。2.一方、現在の天候デ-タを用いて、上記と同様の方法で1975〜84年の10年間について、天候分布型の分類を行なった。気圧配置型については、吉野ほか(1967、1975、1985)による分類法を若干修正して用いることにした。各天候分布型に対応する日の気圧配置型を集計して、両者の対応関係を検討した。その結果、一つの天候分布型に対して必ずしも一義的に気圧配置型が対応しないことが明らかになった。3.最終的に、次の手順で気圧配置型の復元を試みることにした。(1)歴史時代の毎日の天候分布図を作成し、上述の方法で32通りの天候分布型に分類する。(2)現在の観測デ-タに基き作成した各天候分布型に対応する前線と高低気圧・台風中心位置の合成図を参考に、ワ-クシ-トを作成する。ワ-クシ-トには、想定される概略的な前線と高低気圧の中心位置を書き込む。この場合、連続性や高低気圧の移動速度等を考察する。(3)完成したワ-クシ-トをもとに、毎日の気圧配置性を吉野らによる分類法にしたがって復元する。本研究では、実際に1783年(天明の飢餓年)の6〜7月の気圧配置型の復元を試みた。
著者
清水 強志
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

日本の大学IRの特徴の1つは教学データを重んじていることであり、多くの大学においてIR室を設置している一方で、分析手法イメージの欠如という大きな問題を抱えている。そこで、本研究は、日本の大学IR活動を促進し、日本の大学IRの実態と課題を把握する一方で、研究者の所属する大学を一事例にして「教学データの分析手法モデル」の構築および「成績に特化した学生アンケート」を開発することを目的としている。28年度、29年度においては、所属大学において、IR室への諸データの集積が進んでおり、個々のデータの分析を行うとともに、統合するためのデータ整理を中心に作業を進めている。具体的には、成績をはじめとする教務データ(入学時のプレイスメントテスト等含む)、学生アンケート、PROG(就業力テスト)、学修観テスト(新入生に対して行った精神的回復力、学習動機、協同作業等に関する調査)、3年生に大して行った「社会人として活躍する準備状況の自己点検票」などが挙げられる。30年度は諸データの統合を進め、分析を始めるが、集積されたデータにはすでに卒業生もいることから、固定値をもって当初予定していた「成績に関わる要因」の追求を始めている。他方、全国調査による実態把握に関しては、さまざまに活発化しているIR活動の動向把握を進め、他方、年末に別の研究者たちがIR全国調査を実施したことから連携体制を整え、現在、調査票の設計ならびに住所録の整理を始めている。
著者
川口 洋 出田 和久 加藤 常員
出版者
帝塚山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、人文系データベース構築事例のポータルサイト・データベースを構築して、人文系データベース協議会ホームページ(http://www.jinbun-db.com)から一般公開した。さらに、本システムに人文系データベースの構築事例を登録申請するためのアンケート回答者用Webアプリケーション、管理者用Webアプリケーションを開発した。国立国会図書館からD-Naviデータの提供を受け、人文系データベース協議会会員や関連学会会員の協力により、Webアンケートを行った結果、本システムには約2万3千件のデータベースが登録されている。
著者
蓮實 重彦 中地 義和 工藤 庸子 保苅 瑞穂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

1960年代から今日に至るまで、フローベールは、もっとも刺激的な批評装置を生み出す源泉でありつづけた作家である。とりわけ近年飛躍的発展を遂げた草稿研究と生成論的アプローチの領域では、プルースト、ランボー、ゾラ等とならんで、実質的踏査と理論的探究の両面においてもっとも充実した成果を見せている。本研究は、(1)フランス国立図書館とルーアン市立図書館に統合されたフローベール草稿資料のうち、マイクロ・フィルムあるいはコピーの形で入手することが可能なものをすべて購入し、日本国内の資料センターとしての機能を果たすこと(2)パリのCNR(国立科学研究センター)の活動に呼応して、研究教育センターとしての活動にとり組むこと、以上2点を目標としたものである。科学研究費補助金の交付を受けた2年間に達成した具体的な成果のうち主なものは以下の通り。1.『ボヴァリー夫人』『感情教育』『ブヴァールとペキュシェ』のマイクロ・フィルムをすべてA3版にプリント・アウトし、ナンバーを打つ(必要なフォリオを適宜参照するにはこの形式の資料を備えておくことが必要不可欠である)。現在マイクロ・フィルムは存在せず、A4版コピーのみ入手可能な『聖アントワーヌの誘惑』『サラムボー』『三つ物語』の草稿資料を購入し、内容を検討し分類整理してナンバーを打つ。以上で資料センターとしての物理的条件はほぼ整った。2.3500枚に及ぶ『ボヴァリー夫人』草稿の表裏のすべての内容を検討し、決定稿の該当ページとの対応を一覧表に作成した。これは草稿研究の基礎作業として極めて価値あるものであり、すでにCNRの研究グループから注目されている。現在は、若手研究者の積極的な参加と協力を得て、未完の問題作である『ブヴァールとペキュシェ』草稿の資料分析をすすめており、今後も大きな成果が期待される次第である。
著者
浜野 喬士
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

論文「肉食忌避・ベジタリアニズム・動物 : 倫理学的動物論と人間・動物関係論」(『叢書アレテイア』第14巻、2012年)では、現代ベジタリアニズムが、(1)動物倫理学的背景(2)環境倫理学的背景、(3)栄養学的背景を持つことを明らかにした。その上で、西洋思想史における肉食忌避の系譜が、ヘシオドス、プルタルコス、ポルピュリオス、ルソー、シェリーらにまで遡りうることを示した。論文「なぜ捕鯨問題は解決できないのか」(『日本の論点2012』、2011年)では、捕鯨問題を、ドイツおよびスイス憲法における動物の位置づけの変化を念頭に、環境問題、「動物の権利」論、応用倫理学から多面的に分析した。従来、捕鯨論において十全に扱われてきたとは言い難かった、問題の思想的背景について、哲学的および倫理学的方面から、1970年代以降の動向に焦点を当てつつ、論点を提示した。この作業を通じ、「人間・動物関係論」という総合的視点から、「動物の権利」や「人間中心主義批判」といったこれまで一般に用いられてきた枠組みを超えて、捕鯨問題を考察するための概念枠組みを示した。
著者
中井 孝幸
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

1市6町が合併した東近江市の7図書館での調査から、各館が施設サービスに特徴を持っているため、各館のサービスをきちんと理解して6割近い利用者が複数の館を使い分けて利用するなど、従来までの近い・多いだけではない各館のサービスを熟知した「相対的な使い分け利用」が具体的に確認できた。ラーニングコモンズなどの設置が増えてきた大学図書館では、着座行為率(着座人数/滞在者数)が90%を超えるなど着座に対する要望が高く、座席選択は公共図書館では窓からの眺望などが理由として挙げられるが、大学図書館では集中して作業できることが優先されるなど利用意識はかなり異なることが分かった。
著者
下田 正弘 小野 基 石井 清純 蓑輪 顕量 永崎 研宣 宮崎 泉 Muller Albert 苫米地 等流 船山 徹 高橋 晃一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本研究事業は、永続的に利用可能な仏教学の総合的知識基盤を日本に構築し、世界の仏教研究におけるウェブ知識拠点(ハブ)を構築することで次世代人文学のモデルを提供することを目的とする。これを達成するため、(1)大蔵経テキストデータベース(SAT-DB)を継続的に充実発展させ、(2)有望な新規国際プロジェクトを支援し、連携してSAT-DBネットワークを拡充し、(3)人文学の暗黙的方法の可視化を図って人文学テクストの適切なデジタル化を実現するためTEIと連携してTEI-Guidelinesを中心とするテクスト構造化の方法を精緻化し、(4)ISO/Unicodeとの連携し、国内のデジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)に関する研究教育の環境向上を図り、人文学国際化を支援する研究環境を整備する。これらの成果はSAT大蔵経テキストデータベースにオープンアクセスのかたちで反映させることをめざす。本年度は、James Cummings(Newcastle University, UK)、Paul Vierthaler(Leiden University, NLD)を迎えた国際会議「デジタルアーカイブ時代の人文学の構築に向けて」をはじめ、国際会議とワークショップを3回主催し、国内外で招待講演を行うとともに、東大から2度のプレスリリースを行って、当初の研究計画を大きく進展させた。その成果は、次世代人文学のモデルとなる新たなデジタルアーカイブSAT2018の公開となって結実した。SAT2018は、直接の専門となる仏教研究者にとって実用性の高い統合的研究環境を提供するばかりでなく、人文学研究のための専門知識デジタルアーカイブのモデルになるとともに、人文学の成果を一般社会に利用可能なかたちで提供する先進的事例となった。
著者
大西 仁 望月 要
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

情報通信システムの応答遅延はシステムの使い勝手を悪くする一因である。本研究では、人間の認知・行動特性に注目し、その観点から(1)通信システムの応答遅延の影響を評価する、(2影響を減じる方法を開発することを目的とし、以下の成果を得た。(1)ユーザが気づかない程度の小さな遅延でもユーザの半ば無意識的な学習のパフォーマンスが低下することを示した。(2)遅延により生じた余計な間を小音量の雑音で埋めることにより遅延の影響を減じることができることを示した。(3)映像と音声の非同期が与える影響は、母語の自然発話とその他では大きく特性が異なることを示した。また、 映像と音声の非同期(ずれ)が与える影響の評価は、閾値(ターゲット)付近のずれで測定しないと、順応(なれ)の影響で測定値がずれてしまい、逆に順応の性質を利用すれば非同期の許容限が広がり、遅延量を減らすことができることを示した。
著者
杉田 真衣
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

東京のノンエリート若年女性を対象とした経年的なインタビュー調査のデータの再分析を(1)消費文化、(2)親子関係、(3)「女性性」を売る労働との関わりの3点に注目して行い、高卒10年目における追跡調査を行った。それと同時に、東海・北陸地方のセクシュアルマイノリティの若者たちを対象としたインタビュー調査を行い、学校体験、学校から仕事への移行において直面した困難、その後の労働や生活の状況を明らかにした。
著者
杉田 由仁
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、タスクに基づくライティングテストに特化した「コンピューターによる自動評価採点システム」の開発を進めた。ライティング評価を予測する言語的特徴として抽出された客観的評価指標 (特徴量) により、総合評価を61~69%予測できる回帰式を作成することができた。しかし、予測精度をより向上させるために、1) Accuracy タスクの「言語的正確さ」の評価において、語彙や文法、スペル句読法などにおける誤りを特定し、統計指標化する方法を考案すること、2) Communicability タスクの「情報伝達効果」の評価において、課題との関連性を判定し統計指標化する方法を考案する必要性が示唆された。
著者
澤辺 智雄
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本年度に得られた成果は以下の通りである。I.ウニ・アワビ消化管由来アルギン酸分解菌の種構成と分解特異性エゾバフンウニ消化管から分離したアルギン酸分解菌はその一般性状からVibrio属と同定されたものが大半を占めていたが、代表株についてDNA-DNA相同性を測定した結果、少なくとも2菌種以上が混在していることが明らかとなった。一方、エゾアワビ消化管から分離したアルギン酸分解菌は非運動性のVibrio属類似細菌が主体をなしていた。これらの菌群は16SrDNA塩基配列による分子系統解析およびアルギン酸分解性Vibrio属標準株とのDNA-DNA相同性を測定した結果、Vivrio属の新種であることが明らかとなった。また、ウニ消化管由来アルギン酸分解菌のアルギン酸分解特異性はアルギン酸を構成するpolyMおよびpolyGいずれのホモポリマーとも分解する菌株が30%以上を占めているのに対し、アワビ分離株ではpolyGブロックに対する分解性の強い菌株が30-70%占めていた。ウニ自体はアルギン酸分解酵素を分泌しないことから、消化管内細菌がアルギン酸分解の大部分を担っていると考えられた。一方、アワビはpolyM特異的な分解酵素を分泌することから、アワビ消化酵素で分解されにくい部分を分解する消化管内細菌が定住していることが示唆された。II.アルギン酸分解酵素の特性ウニ由来アルギン酸分解菌代表株Ud10株は基質特異性を示さないNaCl要求性の強い酵素を誘導的に産生していた。一方、アワビ由来アルギン酸分解菌A431株はpolyG特異的分解酵素以外にも、基質特異性の異なる6種類以上の酵素を産生しており、その中でpolyMに強い特異性を示す分解活性画分およびpolyGに強い特異性を示す分解活性画分の部分精製物について酵素化学的性状を調べた。それぞれの画分の至適反応温度は40℃および30℃と異なっていたが、至適反応温度(pH7.5)および塩類の要求性(100mM NaCl)は同様の性質を示した。
著者
神崎 正哉 澁谷 由紀
出版者
神田外語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はTOEIC スピーキングテスト (TOEIC S)とTOEIC リスニング&リーディングテスト (TOEIC L&R)、WTC(話をしたいという気持ち)のレベルを測定する調査票、最小英語テスト(MET)、語彙レベルテスト(VLT)、語彙サイズテスト(VST)のスコア間の相関関係および被験者のTOEIC Sに対する反応を調べた。TOEIC SスコアはTOEIC L&Rスコアとの間に.52、WTC調査票スコアとの間に.39、METとの間に.53、VLTとの間に.58、VSTとの間に.33の相関があった(全てp < .001)。被験者のTOEIC Sに対する反応は概ね肯定的であった。
著者
北 泰行 土肥 寿文 藤岡 弘道
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

申請者らの有する独創的合成法を、興味深い生物活性を有するが微量しか得られず複雑な高次構造を有する天然物や生体機能分子を得るための、環境にやさしく持続的に使用可能な手法へと発展させ、創薬に役立つ化合物を種々合成した。これらの得られた新規化合物を基に、新しい作用機作を有する新規医薬品候補化合物の創生に向けた研究を、独自の薬物評価系を持つ他研究所や研究機関と共同研究の下で推進した。またさらに、我々の独自の手法を用い、有機機能性素子の合成へと展開し、その有用性を明らかにした。