著者
脇坂 季繁
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

私たちの研究室では片麻痺モデルマウスに対してヒトiPS細胞から分化させた神経細胞の移植研究を行ってきた。Reelinは個体の発生過程において神経細胞の移動と運動皮質の層構造形成の制御を行う蛋白質として同定された。我々の実験系では脳内の炎症細胞と移植細胞はともにReelinを産生した。移植細胞はReelinの受容体を発現して移植細胞はReelinを受け取り損傷部皮質まで遊走しそこで神経ネットワークを再構築した。損傷部皮質まで移動した神経幹/前駆細胞は移動の過程で皮質運動神経への分化を伴った。片麻痺モデル動物への神経細胞移植ではReelinが組織学的な修復と機能回復に重要に関わる事が示された。
著者
加藤 雄二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ゴシック的要素を扱った作家たちとその作品について、国際的な視野をもって学会発表、研究会活動、論文執筆活動を行った。2008年度には国際メルヴィル学会、フォークナー学会で研究発表を行い、外国人研究者とセミナーを開催した。2009年には日米のエドガー・アラン・ポー学会で研究発表を行い、論文を執筆した。2010年にはホーソーン学会、ディキンソン学会でゴシックを再検討した。ConradとMelvilleに関する論集に寄稿した。2011年にはメルヴィル学会、アメリカMLA全国大会に参加し、海外の研究者と成果の発表を行った。
著者
鈴木 郁郎
出版者
東京工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脳組織モデルのin vitro再構成技術として、PDMSマイクロチャンバにより細胞体位置を制御し、コラーゲン繊維配向技術により神経突起の方向を制御した3次元培養技術を開発した。構築した3次元脳組織モデルは、生体組織と同等の細胞密度および活動電位の伝播スピードを有し、顕著な薬剤応答を示すことがわかった。また、カーボンナノチューブ微小平面多電極アレイを開発し、マウス線条体脳スライスよりドーパミンのリアルタイム検出に成功した。開発した脳組織モデルの3次元培養技術および神経伝達のリアルタイム計測技術は、創薬スクリーニングにおける評価系としての応用が期待できる。
著者
高橋 義行 小島 勢二 ブストス イッツエル
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

化学療法に抵抗性で予後不良な急性白血病に対して、HLAハプロ一致造血幹細胞移植が試みられている。移植後に白血病細胞がヒト主要組織適合抗原であるHLAを失うことが6番染色体による異常で起こり、それが再発のメカニズムの一つであることを解明できた。HLAを失った白血病細胞はNK細胞に攻撃されやすくなっており、移植後にドナーからのNK細胞を輸注することが再発予防につながる可能性が示唆された。
著者
久保 健一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本中世の兵糧に関わる史料を収集して、存在形態、地域的特徴、時期的変遷等を多角的に検討した。その結果、ほぼ日本列島全域において、兵糧には、実際に食糧として消費される「モノとしての兵糧」の側面と、交換手段・利殖手段として用いられる「カネとしての兵糧」の側面があること、兵糧はこれらを示しながら、時代が下るにつれ、いよいよ戦争の中で重みを増していき、戦国社会においては、いわば戦争経済の中心となることを明らかにした。これらは戦争論・社会経済史の発展に寄与する成果と考える。
著者
近藤 和雄 飯田 薫子 谷 真理子 岸本 良美
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

健常成人を対象に、高脂質食、高糖質食を摂取させた試験において、血清脂質、血糖値の変動とともに、一過性の血管内皮機能の低下や、高感度CRP等の炎症指標の上昇が認められた。果実由来のポリフェノールを同時摂取させた場合、いくつかの指標において改善が認められた。培養細胞を用いて、脂肪酸やグルコース、LPS刺激下でポリフェノールを作用させた場合、炎症性サイトカイン等の発現が抑制され、NF-κBやPKC経路の関与が示唆された。本研究より、食後の血糖や血清脂質の増加により惹起される炎症に関して、食品に含まれるポリフェノールが予防的に働く可能性が示された。
著者
石田 肇 弦本 敏行 分部 哲秋 増田 隆一 米田 穣 太田 博樹 深瀬 均
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

オホーツク文化人集団は 55 歳以上で亡くなる個体がかなり多い。オホーツク文化集団は、船上の活動などが腰椎の関節症性変化発症に関与した。久米島近世集団は、男女とも腰椎の関節症の頻度が高い。四肢では、オホーツク文化人骨では肘関節、膝関節で高い傾向を示した。沖縄縄文時代人は、目と目の間が平たいという特徴がある。成人男性の平均身長が約 153cm と、南低北高の傾向がみえる。北東アジア人の大腿骨骨体上部の形状が扁平形状であることを示した。四肢骨 Fst は頭蓋や歯の値より 2-3 倍大きい。SNP の解析により、アイヌ人と琉球人は一つのクラスターをなし、アイヌ・琉球同系説を支持した。
著者
助川 たかね
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1.米国・欧州・アジアの有力専門職大学院で開発・出版された当該分野のケース教材800本のデータ分析によるベストセラー・ロングセラーケースの共通要因・構造の発見2.米国・アジア有力大学のケース開発者,利用者および出版社に対する聞き取り調査を基にした,ケースの開発,出版,活用方法の調査・分析3. 1)と2).の結果に基づく,メディア・エンタテインメント業界の高度職業専門人材育成に向けたケース教材の開発(開発中も含む)
著者
佐藤 英一 松下 純一 北薗 幸一
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

構造用複合材料における材料設計の目的は、望みの力学的性質すなわち製品の応力方向へ高い強度や靱性を得ることである。近年、形状記憶合金繊維の形状記憶ひずみにより生じる内部応力を利用して複合材料の力学的性質を改善する試みがなされているが、強化方向が繊維の方向で決められてしまうことは、通常の繊維強化複合材料と変わりがない。本研究は、方向や大きさの制御が可能である内部応力の起源として「磁歪」に注目し、等方的な磁歪粒子強化複合材料に磁化熱処理を行うことにより、選択方向を強化した異方性複合材料を創製することを目的とした。モデル材料系には、分散粒子には超磁歪材料Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_2(Tafenol-D)、マトリクスにはAl, Pb, Snを選んだ。はじめに押し出しによる粉末法により、Al/Tafenol-D, Pb/Tafenol-D複合材料を作製し緩和プロセスを観察したが、磁化熱処理中にひずみの緩和は観察されなかった。押し出しでは粒子を分散させるのに加工度が不十分であると考えられたので、繰り返し圧延接合法(ARB法)によりSn/8vol%Tafenol-D複合材料を作製した。水冷電磁石にオイルバスを設置し、最大0.8T、453Kでの磁化熱処理を施し、緩和プロセス中のひずみ変化を測定した。磁場負荷により複合材料に生じた瞬間ひずみは、予想通り、磁場方向に伸び、垂直方向に縮みの方向であり、その大きさも予測値と一致していた。瞬間ひずみの発生後、磁化熱処理中にひずみは指数関数的に減少するのが観察された。その緩和時間は、粒子径と拡散係数から予測される値とほぼ一致しており、緩和時間のアーレニウスプロットから緩和の活性化エネルギーが求められた。以上より、選択方向強化複合材料創製の要となる磁化熱処理中の緩和プロセスを直接観察することができた。
著者
大木 直子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

調査1年目として主に、選挙区定数ごとの女性の政治参加の実態を調査し、定数の増減と女性の立候補、当選の状況を考察した。また、調査2年目として主に、女性候補者リクルートメントに関する聞き取り調査を実施した。それらの調査の結果、①定数が大きければ大きいほど、女性の当選率は上昇傾向にあること、②選挙区定数が5以上の場合、全候補者に占める女性割合はほとんど変化がないこと、③政令指定都市と東京23区ではその他の自治体と比べて全候補者に占める女性割合が高いものの、当選率はより低いこと、④都道府県議選への立候補には所属政党の有無や選挙区内の候補者選考過程におけるジェンダー・バイアスが影響することを確認した。
著者
久松 洋介
出版者
東京理科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

TRAILは、細胞膜上に発現するデスレセプター(DR)に結合し、がん細胞選択的にアポトーシスを誘導する。本研究では、Ir錯体にDR結合性ペプチドを導入した化合物を設計・合成し、がん細胞に対する細胞死誘導活性評価とイメージングを行った。その結果、Jurkat細胞を用いた染色実験で、DR5結合性ペプチドを導入したIr錯体由来の緑色発光が、DR5を発現する細胞膜上で観察された。さらに、フローサイトメーターを用いて、Jurkat細胞、Molt-4細胞、K562細胞に対するIr錯体の結合量を評価した結果、DR5発現量と相関性が示唆された。現在、細胞死誘導活性の向上を指向し、化合物の最適化を検討している。
著者
吉川 順子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

ジュディット・ゴーチエは19世紀後半から20世紀初頭に文学作品を通してフランスに日本文化を伝えた作家である。本研究はその日本関連作品の全体像を構築し、第一作小説『簒奪者』の生成過程の解明を進めた。その結果、日本に関連する行事に触発された執筆、日本の神話や文学への関心、同時代的な問題の投影、身近な資料の駆使といった特徴を見出すことができた。これにより、各作品の源泉調査および時代背景との関連性の考察を行っていくための基盤が作られた。
著者
庄司 興吉 佐久間 孝正 矢澤 修次郎 古城 利明 犬塚 先 元島 邦夫 武川 正吾
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

上記研究課題のもとに、1992年から94年にかけて、関西国際空港の建設と開港をめぐる大阪地域の動向調査を中心として、東京都中野区、墨田区および秋田県稲川町における住民意識調査、ならびにパイロット・スタディーとして日本の「周縁」沖縄・離島地域の調査研究を行った。それらを、大阪地域の調査結果を中心として、報告する。大阪調査の全体をつうじて明らかになったのは、首都圏の場合とは対照的に意識的に民間主導で進められてきた関西地域浮揚策の、政治的文化的に個性豊かな積極面と技術的経済的に経営困難な消極面とのコントラストである。これは、関西のめざす「双眼型国土形成」が東京一極集中の流れに抗して行われねばならぬ以上、かなりの程度まで不可避の矛盾であるが、われわれが調査したかぎり、この矛盾を根本的に解決する展望は経営者団体や自治体あるいはそれらの協議機関にも現れていない。そのため関西地域の自己浮揚策は、しばしば「イベント型の連続」などといわれるような、一回生起的で不安定な側面をもたざるをえなくなっている。今年1月になって阪神地域が大震災に見舞われたが、この事件が関西地域の長期的浮揚策にいかなる影響を及ぼしていくか、なお今後が注視されなければならないであろう。日本全体の社会構造と社会意識については、世界経済の情報化と円高のなか構造改善を要求されている企業システムと、高齢化と少子化による社会問題をかかえる家族・生活体とを基礎に、やみくもに「国際化」しようとする文化装置のかたわら、「国際協力」などについて確固とした道が見いだせず、ますます混迷の度を深めていく政府システムの姿が鮮明になってきた。これについては、これからなお検討を加え、研究成果を刊行する予定である。
著者
大森 巍
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

テクネチウムおよびレニウム放射性同位体標識医薬品の合成を念頭において,テクネチウムおよびレニウム錯体の配位子置換反応を平衡論的および速度論的に検討した。テクネチウム錯体を用いて研究する際に問題となるテクネチウムの定量を,過テクネチウム酸イオンの還元・配位子置換反応による錯体合成の過程を必要としない過テクネチウム酸イオンをトリス(1,10-フェナントロリン)鉄(II)イオンとのイオン対抽出によってニトロベンゼンに抽出して,そのまま分光光度定量する簡便な方法を確立した。テクネチウム錯体で最近注目されているテクネチウム-ニトリド錯体についで,テトラクロロアルソニウム(TPA)イオンを用いての溶媒抽出法で検討した。テトラクロロニトリドテクネチウム(VI)酸イオンの加水分解反応機構を解明し,加水分解化学種の生成定数を求めた。Tc≡N結合のトランス位の置換活性度について,3,5-ジクロロフェノール(DCP)を用いて検討したが,有機相についてはニトリド基の著しいトランス効果は認められなかった。またDCPはTPAとのイオン対形成の為に,その協同効果も認められず,むしろニトリド錯体の抽出を阻害することがわかった。ビス(アセチルアセトナト)ニトリドテクネチウム(V)の塩基加水分解反応をアセトニトリル溶液中で速度論的に検討し,錯体へのアセトニトリルの置換に伴う水酸化物イオンの攻撃によって,アセチルアセトン錯体は分解するという機構を確立し,それぞれの速度定数を求めることができた。テクネチウム(III)錯体合成の出発物質として注目されているヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)イオンの過テクネチウム酸イオンからの生成反応機構を,ジメチルチオ尿素,ジエチルチオ尿素など一連の化合物を用いて速度論的に比較検討した。さらにヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)イオンとジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)との反応を速度論的に検討し,テクネチウム(III)-DTPA錯体の生成機構を確立した。ヘキサキス(チオウレア)レニウム(III)錯体の加水分解反応機構を,分光光度法により検討し,テクネチウム(III)錯体のそれと比較した。この結果からヘキサキス(チオウレア)レニウム(III)錯体のレニウム(III)錯体合成の出発物質としての可能性に関して考察した。これらの結果を基にテクネチウムに関する置換反応について,レビューし,「第1回テクネチウムに関する日ロセミナー」において発表した。
著者
神保 太樹
出版者
星薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、我が国では認知症の治療効果をはじめとして、匂いの持つ機能性(嗅ぐことによって心身に与えられる影響)に注目が集まっています。しかし、特に脳に対する機能性についてメディア等で広く知られている状態にも関わらず、匂いが脳のどのような部位に作用するかや、個々人の体質によって効果に差があるのかははっきりと分かっていません。そこで、脳機能イメージング技術を用いて匂いが脳のどのような場所に影響を与えるかを可視化しました。さらに匂いによく触れる機会がある人について、匂いが脳に与える影響が異なることも観察しました。この結果を活かし、匂いによる機能性がより有益かつ効果的に利用される為の一助となれば幸いです。
著者
岸本 宏子 羽石 英里 ERICKSON Donna エリクソン ドナ 細川 久美子 鈴木 とも恵 河原 英紀 竹本 浩典 榊原 健一 藤村 靖 新美 成二 本多 清志 中巻 寛子 長木 誠司 八尋 久仁代
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

音楽学の学際的な研究の試みとしてとりあげた「ソプラノの声の特性」の研究は、音声学、音響学、物理学、医学、声楽演奏、声楽指導、音楽学、音楽療法等の関係分野それぞれに、有益な収穫をもたらした。しかしそれにも増す成果は、研究の進行と共に個々の分野内の研究成果の枠を超えて、「学際的研究」としての総合的な研究への興味が高まって来た。そして、新たな研究代表者の下、本研究の成果を礎とした新たな研究へと発展的に継承されることである(基盤研究C25370117「歌唱時の身体感覚の解明:MRIによる発声器官の可視化と音響分析を中心とした試み」)。
著者
松村 多美子 DORIBAL T. SIMMONS D. ZHAODONG L. RAHMAN M.D. KANAKAMANI T OPENA M. HUNG T.B. BUDIHARDJO U NETTAVONGS K MILNE L. DINH D.N. TORRIJOS D.E 竹内 比呂也 谷口 祥一 永田 治樹 常磐 繁 内藤 衛亮 原田 勝 小野 欽司 猪瀬 博 LAHIRI A. YEE J. NEES J.M. DORJBAL T NETTAVORGS K NEES T.M. DORJBAL T. KANAKAMARI T 根本 彰 緑川 信之 山田 尚勇 CHEVAPRAPANA O ISMAIL M.S. SHRESTHA K. WIJASURIYA D
出版者
図書館情報大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究はアジア・太平洋地域諸国が参加し,ユネスコ総合情報計画/ASTINFOの枠組みにおいて実施する国際共同研究である。これらの諸国は情報インフラストラクチャはもとより経済的発展段階,分化・歴史・社会制度などきわめて多様性にとんでいることから,本研究を効果的に進めて行くために研究分担者が集まり全体的な実施計画並びに方法について討議を行う必要があった。そこで平成6年10月11-14日に図書館情報大学において第1回国際ワークショップを開催した。これには海外から,インドネシア,タイ,フィリピン,ベトナム,オーストラリア,ユネスコ地域アドバイザーが参加し,調査研究の全体計画と方法論を討議し,さらに平成6年度の具体的実施計画を策定した。この結果研究方法としては,1)質問紙による調査を各国の研究分担者を中心とするナショナルチームが実施する。2)質問紙調査データ集計処理は日本チームが行う。3)現地調査は日本からの派遣研究者と当該国の研究分担者及びナショナルチームが共同で実施する。4)このため各国に研究分担者を中心とし,関連情報機関を網羅する組織(ナショナルチーム)を設置する。この研究方法はその後の実施を通じてきわめて有効であることが立証され、成果報告の場においても高く評価された。また,質問紙調査の調査項目についても討議を行い本研究を通じて使用する質問紙(英語)を作成した。平成6年度にはベトナム,インドネシア、フィリピン,タイにおいてそれぞれ研究分担者と共同で主要な情報センター,国立図書館,大学・研究所図書館など中心的な役割をもつ情報機関を対象に訪問調査を実施した。また,情報政策に関連する政府機関で関係者と意見交換を行うことができた。ベトナムでは研究分担者を中心にベトナム研究班を設置し,Information Infrastructure and Servies in Vietnam:Stuational Reportを作成し,わが国の派遣研究者を加えてハノイ市で全国セミナーを開催し,国立情報センター,国立図書館,文書館,通信関係者など情報関係者が集まり活発な討議を行った。平成7年度には8月21-25日に図書館情報大学において,第2回国際ワークショップを開催した。これには海外からバングラデシュ,ニュジーランド,フィジ-,フィリピン,ベトナムが参加した。ここでは1年間の研究実績をレビューし,平成7年度の研究計画について最終討論を行った。また,既にを完了したフィリピンからナショナル シチューション リポートの報告があり,フィジ-,バングラデシュ、ニュージランドからはカントリーレポートの発表が行われた。現地調査はバングラデシュ,フィジ-,ニュージーランド,モンゴルについて実施した。バングラデシュではベトナムと同様にナショナル シチュエ-ショナルレポートがほぼ完成しており,全国セミナーを開催して討議を行った。また,アジア・太平洋地域で情報基盤整備が進んでいるシンガポールについて特にInformation2000の情報政策を中心に調査を行った。平成8年度には,10月8-11日に第3回国際ワークショップを開催し,これまでの各国における調査結果の分析に基づく,クロスカントリー アセスメントリポートの発表と討議を行った。また,3年間の研究実績の評価を行い,本研究の成果を広くアジア・太平洋地域に伝えるために平成9年度に国際シンポジウムを開催することが決議された。本研究の成果の主な点は,-新しい調査研究方法の確立-情報インフラストラクチャの実態と今後の対応をまとめたナショナル リポートの刊行(ベトナク,バングラデシュ,フィリピン,フィジ-などユネスコから出版)-各国の調査結果の分析に基づき地域レベルで考察を加えたクロスカントリー アセスメントリポートの刊行-各国における調査研究能力の開発に貢献-主な出版物・Proceedings of International workshop,11-14 Octoer 1994.ULIS,1994 (SISNAP Report 1)・学術情報ネットワークの基盤構造に関する調査研究-アジア・太平洋地域における- 平成6年度 研究報告 ULIS,1995 (SISNAP Report 2)・Proceedings of the 2rd International workshop,21-25 August 1995.ULIS,1995 (SISNAP Report 3)・Proceedings of the 3rd International workshop,8-11 Octoer 1996.ULIS,1996 (SISNAP Report 4)
著者
松井 龍之介 佃 和弥
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

熱硬化型のポリジメチルシロキサンをマトリクスとし、ネマチック液晶E7を分散することで5ミクロン径の液晶マイクロドロップレットを作製し、レーザー光照射によるフォトニックナノジェットの生成と外部電界による液晶分子の再配向に基づく動的制御を試みた。自作のレーザー走査型共焦点顕微光学系によりフォトニックナノジェットの観測に成功した。電界印加によるフォトニックナノジェットの動的制御も確認した。金属ナノ粒子を分散させた液晶によるメタマテリアルにおいて見られる特異な表面波についての理論的な解析についても併せて進めた。
著者
笹川 千尋
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.ピロリ菌のcag pathogenicity island(cag PAI)遺伝子群にコードされているIV型分泌装置の構造を解析するために、Agrobacterium tumefaciensのIV型分泌装置構成成分と相同性の高いcag PAI上のHP0532(VirB7),HP0528(VirB9),HP0527(VirB10),HP0525(VirB11),HP0524(VirD4)に着目して、それぞれの菌体における局在を、特異的なポリクローナル抗体を用いた蛍光免疫顕微鏡および免疫電子顕微鏡により観察した結果、ピロリ菌のIV型分泌装置は、赤痢菌やサルモネラ菌の菌体表面に存在するIII型分泌装置にみられる注射針のような構造とは大きく異なる不定形の突起物であることが示唆され、ピロリ菌の病原性に深く関与するIV型分泌装置の超分子的構造の概要が初めて明らかになった(Cell.Microbiol.(2003)5,395-404)。2.IV型分泌装置を介して分泌される菌体因子として唯一同定されているCagAタンパク質は、宿主細胞内でGrb2,SHP-2,Cskなどと結合して細胞運動能や増殖能を促進することが報告されており、CagAは様々なシグナル伝達分子を結合しうる多機能タンパク質であることが明らかにされている。今回新たにCagAの宿主内結合因子として、アダプタータンパク質Crkを同定した。ドミナントネガティブ体の過剰発現、もしくはsiRNAによるCrkのノックダウンの結果、CagAによって誘導される宿主細胞運動能亢進が抑制された。また、阻害剤等を用いた実験から、Crkによるシグナルカスケードの下流で活性化されるH-Ras,Rap1,Rac1の活性化がCagAに起因する宿主細胞応答に必要であることが示唆された(論文投稿中)。3.ピロリ菌感染と胃上皮細胞のアポトーシスを解析した結果、感染に伴い注入されるCagAによって、アポトーシスが抑制されることが明らかになった。阻害剤やsiRNAを用いた実験の結果、CagAによる宿主MAPKの活性化が、アポトーシス抑制能に関与することが示唆された(投稿準備中)。これらの結果から、ピロリ菌の胃粘膜長期定着を通じて、CagAタンパク質により引き起こされるシグナル伝達カスケードの亢進が、正常な胃粘膜におけるアポトーシスと細胞増殖のバランスを崩し、病態の発症と悪性化に寄与することが推察された。
著者
鈴木 敦夫 長谷川 利治 伏見 正則 尾崎 俊治 澤木 勝茂 佐々木 美裕 鈴木 敦夫
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の成果は3つテーマに関して得られた。具体的には,Iインフラストラクチャーの最適運用・設計に関する研究,その中に,I-1高速道路の最適運用に関する研究,I-2救急車の最適運用に関する研究,I-3ハブ空港の最適配置の研究,I-4配置の数学モデルに関する研究,I-5その他最適化手法の応用,派生研究として,IIセンサーネットワークに関する研究,IIIファイナンス工学に関する研究にまとめられる。IIは,都市内のインフラストラクチャーの維持管理にワイアレスセンサーを用いることができる可能性から研究を進めた。IIIは,都市の開発プロジェクトをリアルオプションと呼ばれるファイナンス工学の応用手法をもちいることで定量的に評価できる可能性から研究を進めた。Iでは,高速道路の交通量データの分析,災害時避難経路問題の解法、救急車の配置問題の解法の提案、競争化でのハブ空港の配置問題,都市内の商業施設の競争的な配置の問題の解法の提案を行った。災害時に地下街や大学キャンパスから避難する方法をシミュレーションの手法を用いて分析を行った。IIでは,都市内の配置問題から派生して,センサーネットワーク関連の配置問題に取り組んで成果を挙げた。センサーネットワークの問題は,例えば,都市のインフラのひとつである橋梁の保守などにも用いることができる。橋梁の要所にセンサーを配置し,亀裂などの崩壊の兆しを事前に感知して警報を発することなど広く応用が期待される。ここでは,効率的なセンサーの配置について研究を行った。IIIでは,金融商品の分析、特に転換社債のゲーム論的な分析を行った。今後は都市内のプロジェクトを金融派生商品として評価する金融手法の基礎となる研究成果である。