著者
山腰 修三
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.64, pp.150-163, 2004-01-31

This article reconsiders critical communication theory with reference to the theoretical turn of Stuart Hall's communication model. The focus is on three aspects: social and political change in post-war UK; neo-Marxist concept of "discourse" and "ideology": Hall's political project as New Left. During the late 70's to early 80's, Hall had changed his communication theory dramatically in order to stand against the political project of Thatcherism. I examine that Hall's perspective had changed from "encoding/decoding" model, which leads to "semiotic democracy," to "struggle over meaning," which can be connected with new theoretical trends.
著者
尾上 剛士 薄井 宙男 八幡 真弓 吉江 祐 山本 康人 市川 健一郎 野田 誠 斉藤 壽一 磯部 光章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.2547-2549, 2006-12-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
2
被引用文献数
1

症例は42歳, 女性. 進行する浮腫, 全身倦怠感にて来院. 心エコー上右心負荷所見が強く当初原発性肺高血圧症を疑った. 入院後急性増悪しショック, 急性腎不全となったが右心カテーテル所見より脚気心が疑われビタミンB1投与により速やかに循環動態が改善した. 健康に関心が強く健康食品を中心とした食生活を送っていた事がビタミンB1欠乏の原因と考えられ, 偏った健康知識が致命的となりかねなかった教訓深い症例と考えられた.
著者
奈良岡 聰智 小林 和幸 笹部 剛史 萩原 淳 小宮 京 大石 眞 赤坂 幸一 村井 良太 大山 礼子 葦名 ふみ 内藤 一成 伊東 かおり 原口 大輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、衆参両院事務局などが所蔵する膨大な未公開資料群の本格的活用を通して、近現代日本の政治史を「議会政治」という観点から再検討した。具体的な成果は、以下の3点に要約される。①「議会政治」の展開過程、議会事務局・議会官僚の役割を多面的に検証した。②新出史料「河井弥八日記」を翻刻出版した。③イギリスの制度を参照しつつ、議会関係資料の保存・公開体制のあり方について検討を行った。
著者
後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.114-117, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
6

実験経済学の観点からは価値誘発理論に基づいて,適切なインセンティブを設計する必要がある.しかしながら,通常の紙面およびWebを利用したアンケートでは価値誘発理論を満たす調査を実施することは困難である.しかしながら,クラウドソーシングを利用すれば,低費用かつ短時間で十分な量のデータを収集することが可能である.その上で,適切な設計を行うことにより価値誘発理論を満たした実験の実施が可能であることを示唆する.本研究においてはクラウドソーシングを利用したオンラインアンケートを実施した.その結果の概要を報告すると同時に,今後の課題について報告する.
著者
木村 暁
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

昨年度に続いてウズベキスタンでの史料調査(2008年8-9月と2009年2月の二期)を行いながら原典史料の分析に取り組み、ブハラ王権の権威とイデオロギー、あるいは統治機構にかかわる以下4本の口頭発表を行った。(1)「ブハラにおける非チンギス裔の即位:年代記『ハンヘの贈物』が映し出す伝統への挑戦」では、王朝年代記がブハラにおける新興の非チンギス裔マンギト朝政権の支配をイランのナーディル・シャーによるブハラ支配(1740-47年)の事実に結びつけて正当化した点を明らかにした(2)「イスラーム都市としてのブハラ:そのイメージと意識化の史的展開」では、このマンギト朝政権がスンナ派正統主義的イデオロギーに依拠してイスラーム王権としての性格を強めるのと並行して、首府ブハラの聖なる都としてのイメージが普及・定着していくプロセスを跡づけた。(3)「ブハラの法廷証言」では、ブハラ・アミール国治下で作成されたイスラーム法廷文書をつぶさに読み解く作業を通じて、売買や権利放棄など日常的に見られる法的行為の処理のあり方を具体的に示すと同時に、ロシア帝国の直轄地に組み込まれたサマルカンドも視野に収めながら法廷台帳や行政文書など他史料も併用することで、カーズィーの司る法廷における文書業務をアミール国の文書行政のより大きな枠組みのなかに位置づけた。(4)「ムッラー・カマールッディーンの弁明書:その史料的性格と可能性について」では、サマルカンドのカーズィーがテュルク語で著した手稿本(目下出版を準備中)について、それがロシア統治下のムスリム社会の諸問題に内在的な視点から光を照らす、きわめて重要な史料であることを指摘した。以上の各テーマについては論文を随時発表していく予定である。
著者
新宅 純二郎 二又 俊文 吉岡(小林) 徹 許 經明 瀬川 晶子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-60, 2017-02-17 (Released:2017-02-25)
参考文献数
7

本稿は、2016年8月にフィンランドとドイツで実施した調査にもとづいたものである。前半では「ヨーロッパの産学連携」と題して、フィンランドのイノベーション基盤とドイツの産学連携で重要な役割を果たしているフラウンホーファー研究機構について紹介する。後半では「変貌するレガシー欧州企業」と題して、欧州を代表する大企業の戦略転換や組織改革について紹介する。まず、フィンランドのノキアが、端末部門のマイクロソフトへの売却など大規模なリストラの後どのように高収益企業に変貌しつつあるかについて紹介する。また、ドイツのシーメンスが、全社R&D組織を中心にして、Industry 4.0やIoT時代にどのように取り組もうとしているかについて述べる。
著者
ぴろり、
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.421, pp.98-99, 2007-04-13

はじめまして。私ぴろり、がお届けする「ぴろり、の土木日記」の記念すべき第1回目は,2008年開業予定の東京急行電鉄東横線と東京メトロ副都心線が合流する,新しい渋谷駅の現場に行ってきた。 工事事務所とヤードは,東急文化会館の跡地にある。まず事務所で東急電鉄の方から新しい渋谷駅についての説明を聞き,現場に向かった。
著者
Takuya KAWABATA Hans-Stefan BAUER Thomas SCHWITALLA Volker WULFMEYER Ahoro ADACHI
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2018-017, (Released:2017-12-27)
被引用文献数
6

In the preparation for polarimetric radar data assimilation, it is essential to examine the accuracy of forward operators based on different formulations. For this purpose, four forward operators that focus on warm rain condition are compared with both each other and actual observations with respect to their performance for C-band dual polarimetric radars. These operators mutually consider radar beam broadening and climatological beam bending. The first operator derives polarimetric parameters assuming an exponential raindrop size distribution obtained by the models and is based on fitting functions against scattering amplitudes. The other three converters estimate the mixing ratio of rainwater from the measured polarimetric parameters. The second converter uses both the horizontal reflectivity (ZH) and the differential reflectivity (ZDR), the third uses the specific differential phase (KDP), and the fourth uses both KDP and ZDP, respectively. Comparisons with modeled measurements show that the accuracy of the third converter is superior to the other two. Another evaluation with actual observations shows that the first converter has slightly higher fractions skill scores than the other three. Considering the attenuation effect, the fitting function and the operator only with KDP are found to be the most suitable for data assimilation at C-band.
著者
真鍋 祐子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.293-309, 2001-03-30

本稿の目的は,政治的事件を発端としたある〈巡礼〉の誕生と生成過程を追うなかで,民俗文化研究の一領域をなしてきた巡礼という現象がかならずしもア・プリオリな宗教的事象ではないことを示し,その政治性を指摘することにある。ここではそうした同時代性をあらわす好例として,韓国の光州事件(1980年)とそれにともなう巡礼現象を取り上げる。すでに80年代初頭から学生や労働者などの運動家たちは光州を「民主聖地」に見立てた参拝を開始しており,それは機動隊との弔い合戦に明け暮れた80年代を通じて,次第に〈巡礼〉(sunrae)として制度化されていった。しかし,この文字どおり宗教現象そのものとしての巡礼の生成とともに,他方ではメタファーとしての巡礼が語られるようになっていく。光州事件の戦跡をめぐるなかでは犠牲となった人びとの生き死にが頻繁に物語られるが,それは〈冤魂〉〈暴徒〉〈アカ〉など,いずれも儒教祭祀の対象から逸脱した死者たちである。光州巡礼における死の物語りは,こうしたネガティヴな死を対抗的に逆転評価するなんらかのイデオロギーをもって,「五月光州」のポジティヴな意味を創出してきた。すなわち光州事件にまつわる殺戮の記憶の物語りに見出されるのは,自明視された国民国家ナショナリズムを超え,それに対抗する代替物としての民族ナショナリズムを指向する政治的脈絡である。光州をめぐるメタファーとしての巡礼は,それゆえ,具体的には「統一祖国」の実現過程として表象される。そこでは統一の共時的イメージとして中朝国境に位置する白頭山が描出されるとともに,統一の通時的イメージとして全羅道の「抵抗の伝統」が語られる。
著者
野澤 一博
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.24-49, 2018 (Released:2018-03-16)
参考文献数
21

地域経済活性化のために,新たな技術を導入するなどして,競争力を失った地域産業の再生を図る取組みが各地で行われている.北陸地方では繊維産業の競争力強化のために,県が中心となり国の助成事業を活用し,炭素繊維複合材の開発を積極的に行っている.本稿では,北陸地域で展開されている炭素繊維複合材開発の状況と政策展開を明らかにし,産地企業の新技術を用いた実用化の取組みについて分析する.炭素繊維複合材に関して,石川県では大学を中心に研究開発が行われており,企業間のつながりもあり実用化の動きに広がりが見られた.一方,福井県ではコア技術をもとに公設試が中心となり,実用化の展開が図られていた.炭素繊維複合材の開発は,従来産業である繊維産業産地の高度化というより,将来,航空機や自動車部品という全く違った産業のサプライチェーンの一部となる可能性がある.
著者
岸 啓 木下 健太郎 中原 子竜 奥谷 匠 田中 隼人 岸田 悟
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.269-269, 2010

rfスパッタ, オフアクシズ, GaドープZnO(GZO), 低温成膜, プラスチック基板
著者
野村 剛史
出版者
日本語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
no.158, pp.p1-14, 1989-09
著者
幸田 亮一
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.629-648, 2010-03-25 (Released:2017-05-24)

第二次大戦中に軍需生産を支え活況を呈したドイツの工作機械工業は,敗戦後,一転して危機の時代を迎えた。本稿の課題は,ドイツ工作機械工業が経験した困難の実態はいかなるもので,復興はいかにして可能だったのかを,旧西ドイツ地域を中心に,連合国の政策転換を踏まえつつ,個別企業の具体的動向を含めて解明することである。本稿の結論は以下のとおりである。第1に,戦災ならびに戦後のデモンタージュ(設備撤去)は,短期的には大きな損害を個別企業に及ぼしたものの,長期的に見ると過剰設備の除去と新市場の創出をもたらした。第2に,通貨改革と租税改革は直接的に,マーシャルプランは見返り資金という形で間接的に工作機械企業の復興を促した。第3に,立地の変化を見ると,ソ連占領地区から逃避・移転した企業により,西部ドイツ,西南部ドイツの比重が増大した。総じて,このような困難期を乗り越えることができたのは,東側から西側へ移転した複数のメーカーの事例が端的に示すように,長年にわたり築かれてきた知的・人的蓄積であったといえる。
著者
襌野 美帆
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.193-220, 1994-12-30

メキシコ,オアハカ州,ミシュテカ高地に位置するサン・マルティン・ウアメルルパン村からは,村が都市社会や国民経済に組み込まれていくなかで,1930年代半ばより,多くの人びとが首都をはじめとする都市部へと移住した。本稿では,サン・マルティンに在住する者と同村から都市部へと移住した者の双方の動態的な諸関係について,とくに社会組織の側面に焦点を当てて論述する。具体的には,サン・マルティンから首都への移住者を成員として取り込むかたちで近年創設された新しい組織である「公共施設整備委員会」と,同村の伝統的な組織である「テキオ」および「カルゴ」を記述の対象としてとりあげる。さらに,この都市に拡がる新しい組織と村の従来の組織の関係性について考察する。この考察を通して,サン・マルティンの人びとが,都市社会との関わりを必然の前提とする現代を生き抜くために,いかに「伝統」を資源としているかが明らかになるであろう。