著者
福田 貴三郎 村瀬 健太郎 中村 覚 稗方 和夫 笈田 佳彰 松本 滋 岡田 伊策
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1240-1249, 2018-04-15

パッケージソフトや既存システムの仕様変更において,改修・カスタマイズの対象となる機能の規模の見積りや,それにともなう作業全貌の把握には,システムの全体構成や個々の機能の詳細に関する知識が不可欠であり,豊富な経験と高度なスキルを有するベテランSEのノウハウが必要である.また設計情報に加え,作業プロセス間の依存関係に基づく影響波及範囲の推定も求められる.本研究では,設計情報と作業プロセス間の暗黙的な依存関係を可視化し,パッケージソフトや既存システムの改修・カスタマイズによる影響波及範囲の特定を支援するシステムの開発を行った.また,実際の情報システム開発プロジェクトにおける事例を用いた評価実験により,従来の手法に比べドキュメントベースでより網羅的に影響波及範囲を抽出できることを確認した.
著者
西村 桂一 前田 樹海 中村 きよみ
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.91-97, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
12

わが国では, 栄養学の観点から類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめ, 食育や食事療法などに活用されている。一方, 中医営養学においては, 食味すなわち食品の持つ味そのものが何らかの効能を持つと考えられており, 食味に基づいて食品はいくつかのカテゴリーに分類されている。この考え方は, 五行論, すなわち中国の5要素理論に由来しており, これらの5要素は臓腑ならびに食味と関連がある。本研究の目的は, これまで研究が皆無であった中医営養学の「食味」と「日本食品標準成分表」との関連性を明らかにする。『食物性味表』 (日本中医食養学会編著) 記載 (類推食品を除く) の379品中291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し, 「食品群」と「食味」との関連性をFisherの正確確率検定で解析した。その結果, 解析対象の食品の約半数が「甘」であった。統計的に有意な関連性が示されたのは, 「甘」と「砂糖及び甘味類」, 「甘」「酸」と「果実類」, 「鹹」と「藻類」であった。これらの情報は健康作りへの活用が期待される。
著者
山田 惠子 堀口 雅美 中村 眞理子 谷口 圭吾 片岡 秋子 片倉 洋子 石井 貴男 和泉 比佐子 大日向 輝美 武田 秀勝 傳野 隆一 松嶋 範男 門間 正子 安川 揚子 旗手 俊彦 今井 道夫
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌医科大学保健医療学部紀要 = Bulletin of School of Health Sciences Sapporo Medical University (ISSN:13449192)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-26, 2010-03

生命倫理の問題や情報開示などの保健医療職に求められる倫理性を理解し、保健医療職の倫理性について自己の考えを明らかにすることができる力を養うことを目標にした保健医療総論IIIが、全学科共通必須科目として3年生を対象にして行われている。平成21年度はNHKスペシャル『トリアージ 救命の優先順位』を教材として、様々な役割にたった討議型グループ学習が行われた。新しい試みとして、グループ学習に先立ち、ビデオ鑑賞の感想文、倫理的思考問題など、個人単位で参加する学習を行った。グループ学習は、司会者、被災者、被災者の家族・遺族、医師、看護師、病院職員・救急隊員・救急救命士、ボランティア・一般市民、国・地方自治体の8グループに別れて学習する役割別グループ学習(A)と、異なる役割との話し合いを行う役割混成グループ学習(B) から構成され、A→B→Aの順にグループ討議が行われた。倫理的思考問題と学生によるレポート結果の解析から、役割混成グループ学習の導入は「視野の広がり」、「相手や自分の役割の理解」を助ける上で有効な方法であることが示された。
著者
中村 俊夫 太田 友子 山田 哲也 Nakamura Toshio Ohta Tomoko Yamada Tetsuya
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.26, pp.150-155, 2015-03

It is well known that ages of ancient iron artifacts can be measured by using carbon contained in the iron artifacts. As a simple method of carbon extraction from iron artifacts, a normal quartz tube is used for metal iron combustion at the temperature of 1000℃ for about 15 hrs. We tested the quartz tube method of metal iron combustion successfully for metal iron in fine fragment forms and reported the results previously. In Japan, iron rust samples are commonly excavated from archeological sites of the Kofun period and after. We have tested to collect carbon from iron rust samples successfully by the quartz tube method of iron-rust combustion at 850℃ for 3 hr. We have experienced that quartz tubes were broken twice during combustion: at 900℃ for 8 hr and at 850℃ for 3 hr. 14C age, 524±25 BP, was obtained for an iron rust sample from a ruin of Fe manufacturing site worked at 1850s in Saga city, Saga Prefecture, Japan. The 14C age was too old compared with the estimated age of the site. 14C ages were also obtained for three rusty nail samples as 2949 -3244 BP. The results suggested a possibility of modern carbon contamination in considerable amount during rust process of metal iron that was produced by using coal as a heating fuel as well as material to reduce iron oxide ore.名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
芥子 育雄 鈴木 優 吉野 幸一郎 Graham Neubig 大原 一人 向井 理朗 中村 哲
出版者
電子情報通信学会
巻号頁・発行日
2017-04-01

LeとMikolovは,文書の分散表現を単語と同様にニューラルネットワークで学習できるパラグラフベクトルのモデルを提案し,極性分析ベンチマークを用いて最高水準の分類精度を示した.パラグラフベクトルを用いたツイートの極性分析における実用上の課題は,単語のスパース性を解消するパラグラフベクトルの構築のために大規模文書が必要なことである.本研究では,Twitterの文に対して評判情報抽出を適用する際,その出現単語のスパース性に由来する性能低下を解決するため,人手により構築された単語意味ベクトルを導入する.意味ベクトルとして,各次元が266種類の特徴単語に対応し,約2万語に付与されている単語意味ベクトル辞書を使用する.この辞書を用いて単語拡張したツイートをパラグラフベクトルのモデルで学習するという,単語意味ベクトルとパラグラフベクトルの統合化手法を提案する.これにより,単語がスパースでも特定分野の文脈情報を学習できることが期待される.この評価のため,クラウドソーシングを利用してスマートフォン製品ブランドに関する極性分析ベンチマークを作成した.評価実験の結果,約1万2千ツイートから構成される特定のスマートフォン製品ブランドのベンチマークにおいて,提案手法は,ポジティブ,ニュートラル,ネガティブの3クラス分類におけるポジティブ予測とネガティブ予測のマクロ平均F値71.9を示した.提案手法は従来手法であるパラグラフベクトルによるマクロ平均F値を3.2ポイント上回った.
著者
中村 ちよ
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大學附屬比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-35, 1984

Pearces "Tom's Midnight Garden" und Endes "Momo" gehoren beide zum Genre der Phantasieliteratur. Sie haben Zeitprobleme als Hauptthema, aber ihr Wesenscharakter unterscheidet sich von der "time fantasy", die in der englischen Kinderliteratur ofters vorkommt. Diese Zeitphantasie funktioniert derart, dass die Hauptfiguren der Werke sich zwischen der Gegenwart und der Vergangenheit bzw. der Zukunft hin und her bewegen, und dass die dadurch entstehenden Ereignisse sich um so interessanter gestalten. Die Werke der oben genannten Autoren behandeln jedoch die "Zeit" selbst als Hauptthema. Sie stellen die innere, subjektive Zeit der physischen, objektiven gegeniiber und entwickeln daraus ihre Handlung. Die Hauptperson im "Tom's Midnight Garden" vergleicht die Zeit des alltaglichen Lebens mit der geheimnisvollen Zeit der Mitternacht, die die Erinnerungen einer alten Frau beherrscht. Dadurch wird versucht klar zu machen, was die Zeit eigentlich ist und wie sie tatsachlich wirkt. Pearce beabsichtigt in ihrem Buch, die unfassbare Zeitstromung zu verbildlichen und zugleich die innere Zeit zu verwirklichen. In dieser Hinsicht erinnert das Buch an Prousts "A la Recherche du Temps perdu". Das Zeitproblem, eines der grossten in der europaischen Literatur des 20. Jahrhunderts, ist durch dieses Werk meines Wissens zum erstenmal in die Jugenddichtung aufgenommen worden. Ende kontrastiert ebenso wie Pearce die Uhrzeit mit der psychischen Zeit, die mit dem menschlichen Herz wahrgenommen wird, und lasst die Romanheldin dariiber nachdenken, was das Wesen der Zeit ist. Es sei bemerkt, dass Ende sich zu diesem Problem mehr vom philosophischen und allegorischen Standpunkt aus verhalt. Er kommt dann zu der Erkenntnis : Zeit ist Leben. Damit erklart er die Uberwindung der physischen Zeit. In diesem Sinne steht er offenbar in enger Beziehung zu Rilkes Auffassung in den "Aufzeichnungen des Make Laurids Brigge". Die Gedanken, "Zeitkapitalist" und "Zeitbank", rufen mir jene Stelle von Nikolaj Kusmitsch in den "Aufzeichnungen" ins Gedachtnis zuriick. Die Einfuhrung des inneren Zeitbewusstseins in die Jugendliteratur kann nicht beziehungslos mit dem sich immer intensivisierenden materiellen und geistigen Druck der Leistungsgesellschaft auf einzelne Individuen sein. Dieser Zug verstarkt sich trotz des wirtschaftlichen Gedeihens besonders nach dem Ende des Zweiten Weltkriegs und diese Krise dringt sogar in das Leben der Kinder. Das Werk Endes gibt uns zu verstehen, dass es uber die physische Zeit hinaus eine durch das Herz empfundene Zeit gibt, und dass die richtige Erfassung dieser Zeit die Innewerdung des wahren Lebens bedeutet.
著者
田丸 恵理子 竹内 孝行 中村 新一 廣瀬 吉嗣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.409-420, 2009-01-15

人間の知的活動を支援するためには,思考の邪魔をしないインタフェースが必要である.これに対して,紙のように自然な「読み書き」を支援する新しいメディアの研究を,電子ペーパからのアプローチで進めている.ここで最大の技術的課題は,電子ペーパの技術的な特質からくる「表示の遅延時間」をどのように扱うかである.そこで,遅延時間がユーザに与える影響を理解するための評価実験を行った.その結果,対象に対して下線を引いたり円で囲んだりするマーキング行為と手書きで文字を書く行為とでは,それぞれ遅延時間に対する感度が異なり,受容性の度合いに差異が見られた.また,対象への注意の向け方,視線や身体の動きなどに関して,各々に特徴的な行動特性が抽出された.この差異を効果的に利用して遅延時間をマネジメントすることで,技術的制約を乗り越え,紙の良さを保持した新しいメディア・インタラクションを提供することが可能であることが示唆された.
著者
横田 和子 會田 久仁子 阿部 優子 加藤 雅子 石村 由美子 中村 恵子 津田 和加子 福永 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぎたい日本の家庭料理」の主旨に賛同し,福島県内における伝統料理,及び郷土の家庭料理について文献を元に把握するとともに,調理担当者からの聞き書き調査を通して,地域の気候や風土から発生し,現在まで伝え継がれている料理,これからも伝承したい料理について知ることを目的とした。<br />【方法】前報と同様に、聞き取り調査の結果を基に、本報は福島県内の「おやつ」について考察した結果について報告する。<br />【結果】会津地方では、たぐり飴、まんじゅうの天ぷら、凍み餅、かぼちゃとじゃがいもの煮しめ、はっとうが食されていた。中通り地方の県北では凍み餅、漬物、干し芋、あんぽ柿、県中ではかりんとう、みそかんぷら、花豆の煮物、県南では、凍み餅、みそおにぎり、いなごの佃煮、かしわ餅、干し柿が食されていた。浜通り地方の相双では凍み餅、豆餅、柿餅、よもぎ大福、かしわ餅、くるみ餅、いわきでは、干し柿、蒸したさつまいも、ドーナツ、蒸しパン、いり大豆、ようかん、ところてんなどが食されていた。県北と県南と南会津で見られた「凍み餅」は、寒冷地ならではの保存食として県全域の特に山間地で食されている食材で、主食としてだけでなく、おやつとして食されていることが分かった。また、みそかんぷらも県全域で食されているが、じゃがいもの小芋を有効利用した手作りのおやつとして利用されていた。その他にも、地域で収穫される野菜や果物が加工されておやつとして食されている。さらに、「あんぽ柿」「たぐり飴」「まんじゅうの天ぷら」「はっとう」などは、郷土料理として現在でも伝承されていることが分かった。
著者
古山 彰一 中村 尊 小林 龍也 藤島 政樹 間中 淳 入江 光輝
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.59-63, 2017 (Released:2017-08-02)
参考文献数
4

広く一般的に普及しているスマートフォンを用いた水質調査用アプリケーションソフトウエアの開発を行った.スマートフォンは,カメラ,GPS,ネットワーク通信機能を有しており,水質調査用デバイスとして多くの可能性を有する機器であり,世界中で一般的に普及している特徴を活かし,水質調査データをこのデバイスで広く取得する事を目的とする.実現に際してソフトウェア開発が必要となるが,OSとしては世界的に一般的なAndroidを用いる.さらに一般人に普及し,広くデータ収集を行う事が目的になるため,簡易な水質調査方法が必要とされるが,これは色情報を用いた手法を開発する.本報では色情報からフッ素濃度を算出する方法,人工知能を用いた色情報の抽出手法らを中心に議論を行う.
著者
前川 陽一 中村 亨 仲里 慧子 小池 隆 竹内 淳一 永田 豊 Maekawa Yoichi Nakamura Toru Nakazato Keiko Koike Takashi Takeuchi Junichi Nagata Yutaka
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学大学院生物資源学研究科紀要
巻号頁・発行日
no.37, pp.45-55, 2011-02
被引用文献数
1

By using the training ship Seisui-maru, we observed of detailed oceanic condition in the vicinity of Cape Shionomisaki, the tip of the Kii Peninsula in April, 2009 and in October, 2009. The sea level difference between Kushimoto and Uragami tide stations is used to monitor the flowing path of the Kuroshio, or to identify whether the Kuroshio is taking the straight path or the meandering path. It is shown that this sea level difference occurs in the narrow portion of about 7 km from off Cape Shionomisaki to off Oshima Island, and that the sea level difference is mainly created by the oceanic condition in the thin surface layer above 150 m. This indicates that the structure of the Kuroshio does not influence directly to the sea level difference between Kushimoto and Uragami. The sea level difference indicates whether warm and light Kuroshio Water is brought into shelf region to the west of Cape Shionomisaki or not, and whether the sea level difference between coastal waters to the west and to the east of Cape Shionomisaki. The success of this elaborated observation owe to improved facilities of the new training ship Seisui-maru2009 年 4 月と 10 月の 2 回にわたって, 勢水丸を潮岬周辺に派遣して, 従来に見られない詳細な海況の観測を実施した。黒潮の流路が直進路をとっているか, 蛇行路をとっているかをモニターするのに串本・浦神の検潮所間の水位差が用いられるが, この水位差は潮岬から大島の沖, 東西 7 km の部分で生じていることが示された。また, この水位差の殆どは, 僅か 100 ~ 150 m のごく表層の海洋構造によって作り出されたものであることが示された。串本・浦神の水位差には, 黒潮本来の構造が直接関与しているのではなく, 振り分け潮にともなう黒潮系水の潮岬西の沿岸域への侵入の有無, あるいはそれに伴って生じる潮岬東西の沿岸水の性質の違いを通してもたらされている。この微細海況観測成功には, 著しく向上した新しい二代目の勢水丸の能力が不可欠なものであった。
著者
竹澤 健一 片山 博仁 田中 広徳 田村 圭史郎 中村 みさ子 三宅 正一 室井 哲夫 百永 眞士 山岡 尚志 涌田 俊哉
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.78-86, 2006 (Released:2007-05-10)

In the revised “GMP Ministerial Ordinance on Drugs and Quasi-drugs” announced by MHLW in December 2004, “deviation control” was stipulated. In response to this, Manufacturer needs to prepare SOPs to control and handle deviations appropriately and any deviation has to be documented. When critical deviation is occurred, impact assessment on the quality has to be also performed. If the deviation may have quality impact, the deviation has to be notified to Licensed Marketing Approval Holder of the product. Therefore, manufacturing unit or quality unit in manufacturer is required to have sufficient knowledge and ability to execute root cause analysis, impact assessment and corrective action/preventative action (CAPA). In this article, by taking up the following three cases, how to handle deviations such as root cause analysis, impact assessment of quality and CAPA has been discussed. 1)  Deviation from the standard operating procedure in granulation process 2)  Deviation from the specification in pharmaceutical water 3)  Deviation from the humidity limit in stability chamber In each case, insufficient handling example is first introduced and then desirable way of thinking is shown along with appropriate example. Points to be considered are also discussed for a more appropriate handling.
著者
矢儀 真也 中村 雄一 山内 利宏
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.84-94, 2011-11-23

SELinux のセキュリティポリシは設定が難しいため,汎用的なポリシを利用することが多い.しかし,汎用的なポリシは,個々のシステムに必要のない権限を許可している可能性がある.また,ポリシが占有するメモリ使用量が多く,組み込み機器には適していない.これらの問題への対処として,不要なポリシを自動で検出し,削減する手法を提案する.提案手法は,SELinux が出力するログを利用して不要なポリシを検出する.また,システム管理者にポリシの修正を提案し,システムのセキュリティを向上させ,ポリシのメモリ使用量を削減できる.本論文では,SELinux のポリシの問題点と対処方法を示し,設計と評価について報告する.
著者
中村 彰宏
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究は、従来の化学的、物理化学的手法では煩雑な操作と時間を要した多糖類の分子構造を原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を用いて短時間且つ高精度に解析し、同時に多糖類の食品における物性機能を解析することで、分子構造と機能の相関図を作成するものである。本年度の研究では、世界で広く栽培される豆類を入手し、エンドウ豆、インゲン豆、並びにレンズ豆から豆類多糖類を抽出する条件の検討を行った。まず、豆を水浸漬して膨潤し、内皮を除去した後、ホモミキサーで高速撹拌して豆乳を得た。豆乳を遠心分離して多糖類を含む繊維質(細胞壁成分)を回収した。この食物繊維を原料にpH3-9の条件下で多糖類の抽出を行った。多糖類の抽出は、繊維に混在する蛋白質の性質の影響を受けるが、pH4-5, 110-120℃の高温加圧条件下で、繊維あたり30-45%の高収率で抽出できることを見出した。また、AFMを用いて抽出した豆類多糖類の分子構造の解析を行った。本年度は、エンドウ豆多糖類とインゲン豆多糖類のAFMによる構造解析の条件を確立し、分子構造に関する新しい知見を得た。エンドウ豆、インゲン豆ともに大豆と同じく多分岐構造を持つ。エンドウ多糖類は大豆多糖類と同程度の分子サイズであり、直径50nm、推定分子量30万であった。一方、インゲン豆多糖類は直径110nm、推定分子量120万の巨大分子であると推定された。更に、インゲン豆多糖類は巨大な多分岐多糖類に加え、直鎖構造を持つ多糖類も混在し、極めてヘテロな構成を持つことが明らかになった。現在、レンズ豆多糖類のAFMによる構造解析を進める同時に、これら豆類多糖類の物性の解析、並びに、食品での物性機能として乳酸菌飲料の乳蛋白質の凝集抑制と分散機能について解析を進めている。
著者
中村 潔
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.247-269, 2017-11-25

明治二十七年七月二十五日、夏目金之助は伊香保温泉松葉屋旅館で小屋保治と対談。その直後、松島・瑞巌寺漂泊の旅があり、深い厭世に苦しんでいたことは周知のこととされる。帝国大学寄宿舎を出て、学友菅虎雄宅に寄食したが再び放浪。小石川区表町の尼寺法蔵院に下宿。菅虎雄の紹介で、鎌倉円覚寺塔頭帰源院で参禅。然し齋藤阿具宛書簡に、「遂に本来の面目を撥出し来たらず」とある。翌二十八年四月に、帝大での研究生活から離れ、高等師範学校・東京専門学校を辞職して愛媛県尋常中学校に赴任。すべてを捨てての松山行きとして、これまた周知の事実。こうした事に関連して、昨秋本学「国語国文学会」に報告した。以後書簡の順序を整理し、小屋保治の人物像に触れることにより、金之助の失意を理解する一助とした。その理由は、漱石作品の多数に失意を主題とするものが見られ、それらの原点として小屋保治と楠緒子の存在は無視することが出来ない。本稿は、これを裏付けるために金之助書簡の検討に加え、礒部草丘の一文にも触れることにした。
著者
内藤 昌 大野 耕嗣 中村 利則
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.180, pp.61-71,76, 1971-02-28 (Released:2017-08-22)

On this part of the paper, the Jurakutei-Castle has been studied from the viewpoint of the history of Japanese architecture by the use of the Folding-Screen Picture of the Jurakutei-Castle and the Rakuchu-Ezu (A.D. 1637, the oldest measured map of Kyoto) that has been discovered recently. And the contents are the following : Chap. 1 A short history of the Jurakutei-Castle from the construction to the ruin; Chap. 2 The planning on the Jurakutei-Castle; Chap. 3 The buildings in the Jurakutei-Castle; that is, Tenshu-kaku (donjon), Hiroma (main hall), Ohte-mon (main gate), and Buke-yashiki (Samurai's residence). As the result of this study, on the one hand the Shoin-style had been completed in this Jurakutei-Castle, and on the other hand the planning of this Jurakutei-Castle built on flat land seems to have been the model of another castle-town. The Jurakutei-Castle was exactly the symbol of the age.
著者
栗田 順子 長洲 奈月 髙木 英 渡邉 美樹 中村 裕樹 入江 ふじこ 本多 めぐみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.3-9, 2018 (Released:2018-02-10)
参考文献数
19

目的 2015年9月の関東・東北豪雨により,茨城県では常総市を中心に大規模な水害が発生し,多数の避難所が設置された。県では発災直後から「避難所サーベイランスシステム」を用いて,避難所における感染症の発生状況を把握したので報告する。方法 発災日の9月10日から,県庁保健予防課が中心となり,避難所サーベイランスを開始した。東日本大震災時のそれを参考として,情報収集項目は,報告日,市町村名,担当者名,避難所名のほか,急性下痢症,インフルエンザ,急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外),創傷関連感染症,麻しん等,破傷風,その他の発症者の有無と定めた。各市町村が避難所の有症状者の発生状況を把握し,管轄保健所を通じて県庁保健予防課に報告することとした。その後,発災日の夜にはウェブ上の既存の避難所サーベイランスシステムに避難所登録を完了させ,システム入力画面に合わせて報告項目および報告様式を変更した。結果 報告項目の変更等を行いながら,行政関係者がウェブ上のシステムへ入力された情報を共有できるよう体制を整え,一次避難所が閉鎖された12月8日まで避難所サーベイランスを実施・運用した。避難所開設期間中,咳,鼻水などの急性呼吸器症状を呈する避難者が継続的に発生した避難所や11月下旬に流行性耳下腺炎の発症者が報告された避難所がみられたが,大規模な集団発生は観察されなかった。発災当日からサーベイランスを開始したことで,避難所の感染症発生状況について迅速な情報収集が可能となり,市町村や保健所の担当者間で情報を共有することが出来た。結論 今回,ただちに避難所サーベイランスを立ち上げ,その後も継続的に避難者の健康状態を継続的に監視できたことは大きな成果であった。これは,県地域防災計画に基づいて策定された茨城県保健福祉部災害対策マニュアルに,避難所サーベイランスの実施が明記されていたことによるところが大きい。一方でその実施に当たっては,細かい手順を定めておらず,報告方法や項目が二転三転した。今後の茨城県の災害,あるいは全国での災害においても,実施要項の策定が必要であると考える。またそれらを関係者が熟知し避難所開設と同時に避難所サーベイランスが稼働できるよう防災訓練の項目に盛り込むことが必要である。