著者
丸藤 哲 澤村 淳 早川 峰司 菅野 正寛 久保田 信彦 上垣 慎二 平安山 直美
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.765-778, 2010-09-15 (Released:2010-11-09)
参考文献数
43
被引用文献数
1

外傷急性期の凝固線溶系の変化に関してEducational Initiative on Critical Bleeding in Trauma(EICBT)から新しい病態概念である「Coagulopathy of Trauma」と「Acute Coagulopathy of Trauma-Shock(ACoTS)」が提唱された。しかし,これらの診断基準は存在せず,両者の本態は従来から独立した病態として存在する線溶亢進型DIC(disseminated intra vascular coagulation)に一致する。診断基準がないことが同概念と線溶亢進型DICおよび類似病態との鑑別を不可能としている。これらの理由により「Coagulopathy of Trauma and ACoTS」は,独立した疾患・病態概念ではなく定義不能な臨床状態として位置づけることが可能である。このような曖昧な概念を外傷急性期の凝固線溶系変化の病態生理解明のために使用すべきではない。外傷急性期の凝固線溶系異常は線溶亢進型DICで説明可能であり,線溶亢進型DICは従来どおり正しく線溶亢進型DICと呼称されるべきである。
著者
久保田 蘭
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2005年度日本地球化学会第52回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.305, 2005 (Released:2007-02-28)

八丈島は伊豆七島の最南端に位置する火山島で、南東部に東山火山(三原山)、北西部に西山火山(八丈富士)と呼ばれる成層火山が繭型に連なる。八丈島の地質は、一色(1959)によりその全容が報告されているが、両火山の噴出物から形成される土壌に関する研究はあまり行われていない。一方、成立年代の古い東山ではスダジイ林に覆われ、成立年代の新しい西山にはスダジイ林はほとんど見られずタブノキ林に覆われおり、はっきりとした植生分布の相違が見られるのである。そこで本研究では、土壌の構成鉱物および化学組成を中心に分析し、東山と西山の違いについて明らかにするとともに、土壌の化学的・物理的性質を加味した上で、植生分布との関係を考察することを目的とする。
著者
入江 正洋 山下 高範 久保 千春 木原 廣美 中野 博 川村 治子 十川 博 手嶋 秀毅 中川 哲也
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.930-934, 1992-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1

症例は19歳の女性. 気管支喘息として約1年10ヵ月, ステロイド剤を含む治療を受けたが, 改善しないため当科に入院した. 患者はアレルギー疾患の家族歴を有し, アストグラフでも気道過敏性があるように思われたものの, 喘鳴出現時に1秒量やPaO2の低下はなく, 気管支拡張剤の吸入でも呼吸機能に変化はみられず, 喘息は否定的であった. また, 患者の喘鳴は喉頭部で最も著明に聴取され, 多くは吸気性の呼吸困難を伴い, フローボリューム曲線は, 吸気時の流速が低下していた. さらに, Laryngos-copy では, 声帯の内転位固定と後方の僅かな間隙が認められ, 以上の所見より Vocal cord dysfunction と診断された. 本症例の喘鳴は, 不幸な生育歴を背景とする転換反応に起因するものと考えられ, 心身相関の理解やセルフコントロールの習得を中心とする心身医学的治療によって, 薬剤不要な状態にまで改善した.
著者
松林 宏明 高岸 洋一 本同 宏成 久保 貴資 中田 俊隆
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学講演大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.197-197, 2007

原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、アルコール異性体の構造力測定を行った。そこから、液体構造の相転移のメカニズムを探った。<BR>マイカ/液体アルコール系の固液界面の液体構造は、その温度によって変化する。しかしその転移メカニズムはまだわかっていない。そこで我々はAFMを用いてアルコール異性体の構造力を測定し、アルコール分子の構成要素、炭素鎖(疎水性)と水酸基(親水性)がそれぞれがどのように転移に影響を及ぼすか、考察した。
著者
押領司 将人 大久保 宏貴 川越 得弘 金城 政樹 普天間 朝上 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.134-137, 2018

<p>50歳男性,ゴルフ場整備員.芝刈り機のエンジン部に約1時間,右前腕を挟まれて受傷した.右前腕熱圧挫傷・コンパートメント症候群の診断で,他院にてデブリドマン・筋膜切開術を施行された.受傷11日で,前腕近位の皮膚が壊死し尺骨が露出したため治療目的に当院を紹介された.2回のデブリドマン後,受傷1か月で露出した尺骨を腕橈骨筋弁で被覆し,植皮術を施行したが,感染が持続し筋弁は壊死した.受傷後2か月,尺骨の病的骨折を来したため露出した尺骨(7cm)を切除し創外固定器を装着した.感染が沈静化した受傷後5か月で遊離血管柄付き腓骨皮弁移植術を施行した.皮弁は完全生着し,骨癒合が得られた.術後1年10か月,肘関節伸展-15°屈曲135°,前腕回外55°回内60°,手関節伸展40°屈曲60°,full grip可能で原職に復帰し趣味のゴルフやバスケットボールを楽しんでいる.</p>
著者
高橋 謙 大久保 利晃
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.237-243, 1995 (Released:2009-03-27)
参考文献数
17

本稿は,特に安全衛生に関連した最近の国際労働条約を取り上げ,その特徴を明らかにした上で,総括を試みた.同分野に関連し, 1960-93年の期間中に採択された条約数は13である.これらの条約は,異なる目的をもって安全衛生分野の各領域を網羅しているため,対比的に記述した.条約は批准される必要があるため,日本の批准状況をILOおよびOECD加盟諸国と統計的に比較した.日本は, 1993年6月現在,このうちの3条約を批准したが,この水準はILO加盟国平均をわずかに上回るが, 24のOECD加盟国中11位の批准割合であった. ILO条約のうち,日本の批准割合の相対的水準は,安全衛生分野の方がそれ以外の分野よりも高かった. ILO条約は,引用や参照によって相互に関連しているため, 155号(労働安全衛生)や148号(作業環境)条約などの基本的条約の批准努力が安全衛生分野における他条約の批准を容易にすることが考えられる.
著者
小野 俊朗 平松 竜一 久保田 尚浩 依田 征四 高木 伸友 島村 和夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.779-787, 1993 (Released:2008-05-15)
参考文献数
24
被引用文献数
7 5

ブドウ'ピオーネ'の無核果栽培において,同一園で毎年着色が良好な樹と不良な樹を用いて,着色に違いが生じる原因を新梢生長や果実発育の面から検討した.新梢伸長,新梢当たりの葉面積および葉のクロフィル含量には着色良好樹と不良樹の間に差はほとんど認められなかった.単位面積当たりの収量は着色不良樹よりも良好樹でわずかに多かった.果粒肥大にも両者に大きな差はなかったが,不良樹では果粒軟化日が良好樹よりも約5日遅かった.果皮色は,果粒軟化後から成熟時まで常に着色良好樹で優れ,とくに軟化後2~3週間以降の差が顕著で,成熟時のアントシアニン含量は着色良好樹が不良樹の約2倍であった.屈折計示度は,成熟期間をとおして着色良好樹で高く,とくに果粒軟化後約3週間以降に両者の差が大きく現れた,果肉の糖含量の変化もほぼ同様であったが,その組成比には良好樹,不良樹間に差がなかった.
著者
大久保 圭介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17211, (Released:2018-05-25)
参考文献数
30
被引用文献数
4

The Caregiving System Scale (CSS: Shaver, Mikulincer, & Shemesh-Iron, 2010) was recently developed measure designed to assess the individual differences in the caregiving internal working model. The purpose of the present study was to translate the CSS into Japanese (CSS-J) and evaluate its validity and reliability. To accomplish this, we conducted four studies. In Study 1 (n = 600), we translated the CSS and replicated its two-factor model based on confirmatory factor analysis. After that, in Study 2 (n = 315), we examined the correlations between the CSS and other variables for criterion-related validation. In Study 3 (n = 229), we determined that previous helping success or failure experiences influenced a person’s current anxiety and avoidance levels, as measured by the CSS-J. In Study 4 (n = 31), we examined the test-retest reliability of the CSS-J among some participants from Study 3. The results of these four studies confirmed the validity and reliability of the CSS-J. We concluded that the CSS-J is useful for studying the various aspects of helping and attachment theory.
著者
國枝 和雄 各務 達人 大久保英嗣 津田 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.1185-1199, 1994-06-15
参考文献数
12
被引用文献数
2

本諭文では、分散トランザクションシステムIXIの設計と実現について述べる。IXIは分散アプリケーションの構築のためのプラットフォームである。すなわち、IXIは、分散アプリケーションの開発コストを軽減することを目的としている。分散トランザクションシステムとしては、Cammelot/Avalon,Argus,ISISなどがすでに開発されている。しかし、これらのシステムでは、(1)トランザクション処理に関する一貫性が強い一貫性(robust consistency)に限られる、(2)障害発生時に、システムが回復するまでサービスが停止する、などの問題点がある。そこで、IXIでは、(1)弱い一貫性(weak consistency)に基づく入れ子型トランザクションの実行機能、(2)代行プロセス機能とロギング機能、によってこれらの問題点を解決した。これによって、IXIでは処理効率・柔軟性、信頼性のいずれの点においても優れたアプリケーション構築プラットフォームを実現することができた。プログラマはIXIの提供するC言語ライブラリを用いてクライアントサーバ型のプログラムを記述することによって、分散アプリケーションを容易に構築することができる。本諭文では、IXIを構成する各部の処理の概要と特徴について説明した後、既存のトランザクションシステムと機能此較することによってその有効性を示す。
著者
大久保 圭介
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.14, (Released:2018-05-18)
参考文献数
26

本研究の目的は恋愛関係における自分磨き(self-improvement)に対する相互影響性を検討することである。アタッチメント理論に依拠して,恋愛関係にある参加者に対して,アタッチメントとケアギビングの傾向を測定し,Actor Partner Interdependence Model (APIM)の枠組みで分析を行った。結果より,アタッチメント回避が自身の自分磨きの成果に与える影響に加え,アタッチメントとケアギビングが相手の自分磨きの成果に与える影響がいくつか示された。さらに,女性の自分磨きの成果に対しては,女性のアタッチメント回避と男性のケアギビング過活性の交互作用効果も示された。したがって,恋愛関係においては,自分磨きの成果は男女のアタッチメントとケアギビングの相互的な影響によって規定されると考えられる。
著者
溝口 勲 三上 理一郎 工藤 翔二 小久保 雅子 今関 鎮徳
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染研究 (ISSN:21863687)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.485-492, 1976

During the summer of 1975, effects of photochemical oxidants and other factors on health of schoolchildren and students were investigated in Saitama Prefecture, northern suburbs of Tokyo metropolitan area. The levels of each air pollutant and meteorological foctor were divided to 4, 5, 6 or 8 ranks and ratios of ones who had acute complaints to person days were compared with each other.<BR>Oxidant concentration most closely related to the ratio. The incidences stepwise increased from 0.02% to 0.3%, 3% in accordance with the elevation of oxidants levels (-0.07 ppm, 0.12-0.19 ppm, 0.20 ppm-). The levels of SO<SUB>2</SUB>, NO<SUB>2</SUB>, SPM and visibility related to the incidences to some extent. When SO<SUB>2</SUB>, NO<SUB>2</SUB> and SPM levels exceeded 0.07 ppm, 0.10 ppm and 0.2 mg/m<SUP>3</SUP> respectively and visibility lowered 3 km in this region, the incidences clearly increased. High temperature and discomfort index, however, were not always connected with high incidences. In addition, the weather of days when high incidences were found was slightly cloudy, and in rainy or clear days such results were not at all seen.
著者
久保川 明輝 鍵山 恭彦
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.91-96, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
7

正しくNVH事象解析, 性能検証するためCAE信頼性向上に取り組んだ.自動車は量産品で各個体ごとに性能ばらつきがあるが, 全個体の共通要素を詳細にモデル化する観点でBIW CAEモデル手法を見直した.BIWモデルにプレス加工影響を反映すると実験結果との相関が改善し, 目的に見合ったモデル信頼性を達成できた.