著者
下野 謙慎 勝江 達治 佐藤 満仁 野口 航 吉原 秀明 坪内 博仁
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.121-125, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

破傷風は破傷風菌による感染症で,開口障害や頸部硬直などの症状を呈し,呼吸不全や全身痙攣を来たすと致死的なことがある。呼吸不全や全身痙攣は筋強直により生じ,破傷風患者の治療において重要である。今回,筋強直の緩和のため漢方薬である芍薬甘草湯を破傷風患者3例に投与し,芍薬甘草湯を投与しなかった破傷風患者3例と臨床経過を比較し,芍薬甘草湯の効果を検討した。破傷風患者6例全例が,抗破傷風ヒト免疫グロブリンおよびペニシリンの投与を受けていた。芍薬甘草湯非投与群の3例は呼吸不全を生じ,人工呼吸管理に至ったのに対し,芍薬甘草湯投与群の3例では筋強直の改善が得られ,呼吸不全には至らなかった。芍薬甘草湯は,破傷風患者の筋強直に対し有効な治療法である可能性が示唆される。
著者
西田 幸典 佐藤 啓造 藤城 雅也 根本 紀子 足立 博 岩田 浩子 米山 裕子 李 暁鵬 松山 高明 栗原 竜也 藤宮 龍祥 浅見 昇吾
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.168-182, 2018 (Released:2018-09-11)
参考文献数
27

今日の在宅看取りは,地域の診療所医師が大部分を担っているが,2040年をピークとする多死社会の看取り体制として,それが適切に機能するかの問題がある.そこで,本研究は,診療所医師の在宅看取りにおける負担軽減策として,看護師による死亡診断および死亡診断書の作成について,多死社会を担う若年層の認識を踏まえて,その是非を法医学的観点から考察するものである.研究方法は,質問紙調査(対象:医学生242名,一般学生402名)と看取り制度に関する文献調査である.質問紙調査の結果は,看護師による死亡診断について,看護師のみが死亡に立ち会う状況で是認する割合が高く,死亡診断について研修を受けて試験に合格した看護師が良いとする割合が高かった.また看護師による死亡診断書の作成について,看護師のみが死亡に立ち会う状況で是認する割合が高く,死亡診断書の作成について研修を受けて試験に合格した看護師が良いとする割合が高かった.しかし,死亡診断を是認する割合は,死亡診断書の作成を是認する割合よりも高かった.一方,医療制度改革の潮流には,①医師の働き方の見直しとしてタスク・シフティングの提案,②看護師の特定行為の創設,③地域包括ケアシステムの推進,④欧米における看護師による死亡確認の現状がある.本研究では,上記の調査結果と医療制度改革の潮流を踏まえ,診療所医師の負担軽減策の一つとして,看護師による死亡診断を,①特定行為の一つとする方法と ②保健師助産師看護師法の「診療の補助」とは別の新たな枠組みとする方法を提案する.一方,看護師による死亡診断書の作成については,原則として時期尚早と考える.しかし,診療所医師の負担軽減および死後のエンゼルケアやグリーフケアの実施の観点から,末期がん患者のような特定の患者に限定し,かつ,死亡診断書の作成プロセスの一つである異状死でないとの判断までであれば検討の余地があると考える.ただし,これを実現するためには,異状死の判断を適切に行い得る程度の知識と技術を担保できる教育システムが必要不可欠であると考える.
著者
梶田 学 真野 徹 佐藤 文男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.148-167, 2002-03-20 (Released:2008-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
5 8

南西諸島の中部に位置する沖縄島には亜種リュウキュウウグイスC.d.riukiuensis(Kuroda1925)のみが留鳥として繁殖分布すると考えられてきた。しかし,我々の調査により沖縄島に生息するウグイスには上面が褐色の褐色型と灰オリーブ褐色の灰緑色型の二型が含まれていることが判明した。これら二型間の生息時期及び形態の違いを明らかにし,分類学的扱いを検討するたあに沖縄島で捕獲調査を行った。その結果,褐色型が留鳥,灰緑色型が渡り性の越冬鳥であること,褐色型の方が灰緑色型よりも翼差が短く,鼻孔前端嘴峰長が長いなど13の形態形質中9形質に有意差が認められること,翼式にも型間で明確な違いがあること,多変量を用いた解析でも形態的な差が明確に認あられることなどが明らかになった。両型の測定値から作成した線形判別関数式(正判定率雄100.0%,雌96.9%)を用いてリュウキュウウグイスのタイプシリーズ(14標本)の判別を行った結果,全て灰緑色型に判別されたことに加え,測定値と羽色の類似性から灰緑色型はリュウキュウウグイスと同定され,越冬期のみに沖縄島に生息する渡り性の亜種であること,分類学上異名(synonym)の問題を持っていることが示された。一方,羽色の類似性から褐色型は絶滅したと考えられている南大東島の固有亜種ダイトウウグイスC.d.restrictaと推測され,線形判別関数式を用いてダイトウウグイスのタイプシリーズ(2標本)の判別を行った結果,いずれも褐色型に判別された。測定値や羽色の比較でも両者は良く一致した。以上のことから,褐色型はダイトウウグイスと同定され,南大東島のみでなく沖縄島にも留鳥として分布し,沖縄島では絶滅を免れていることなどが明らかとなった。
著者
佐藤 守男
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.260-177, 2009-05-29
著者
淺間 一 佐藤 雅俊 嘉悦 早人 尾崎 功一 松元 明弘 遠藤 勲
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.249-254, 1996-03-15 (Released:2010-08-10)
参考文献数
9
被引用文献数
11 33

A new driving mechanism for holonomic omni-directional mobile robots is designed, which enables 3 DoF (degrees of freedom) motion control in two dimensional space by three correspondent actuators in a decoupled manner without redundancy. The kinematics of the omni-directional mobile robot is also analyzed to prove that driving motion by the actuators is decoupled by the developed mechanism into 3 DoF motion of the robot. A prototype of the omni-directional mobile robot with the driving mechanism is developed including a parallel link suspension mechanism. Finally, the performance of the prototype robot is shown through experimental results, by which the working of the designed mechanism is verified.
著者
亀井 宏一 宮園 明典 佐藤 舞 石川 智朗 藤丸 拓也 小椋 雅夫 伊藤 秀一
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.179-186, 2011-11-15 (Released:2012-10-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

免疫抑制薬内服患者への生ワクチン接種は添付文書上では禁忌とされている。しかしながら,免疫抑制薬内服患者はウイルス感染症で致命的となるリスクが高く,接種が望ましいという意見もあり,予防接種ガイドラインでは禁忌にはなっていない。今回われわれは,免疫抑制薬内服中で,麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜについて酵素抗体法で (-) か (±) を示した腎疾患または膠原病患者に,当院倫理委員会承認後に患者毎に十分な説明を行い,生ワクチン接種を行い,抗体獲得率と有害事象について前向きに検討した。40名 (1~24歳) に,55接種 (MRワクチン22接種,水痘ワクチン18接種,おたふくかぜワクチン15接種) 施行した。抗体獲得率は,麻疹 (90%) と風疹 (93%) は高く,水痘 (44%) およびおたふくかぜ (43%) は低かった。2名に発熱,1名に発疹,1名にネフローゼの再発を認めたが,重篤な有害事象はなかった。免疫抑制薬内服中でも生ワクチン接種が有効である可能性が示唆された。
著者
佐藤 奈月 加藤 弘通
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.19-26, 2020 (Released:2021-10-15)
参考文献数
12

本研究の目的は,高校生がインターネット上で新しい知り合いをつくるきっかけについて男女差の観点をまじえて明らかにすることで,先行研究で女性に調査されてきたつながりのきっかけが女性特有のものであるのかを再検討することにあった.そのために,高校6校の1129名を対象とした質問紙調査の自由記述データを分析した.その結果,男女ともに共通の趣味が知り合うきっかけになっていたが,男性はゲームが出会いのきっかけになっており,女性は同じ学校の者と知り合う者がいることが明らかになった.以上を踏まえた実践的示唆として,インターネットが現実の人間関係の補完になっている可能性があるなど,インターネットで他者と出会うことの積極的意義を検討する必要性について議論した.
著者
佐藤 潔
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.44-48, 2017-03-31 (Released:2018-03-31)
参考文献数
6

When our skin is exposed to the solar light, perceptible skin reactions are induced by ultraviolet A ray (UVA) and ultraviolet B ray (UVB). UVB causes erythema after several hours followed by pigmentation called delayed tanning after a few days. On the other hand, the skin exposed to UVA exhibits grayish brown colored pigmentation immediately after UVA exposure without causing erythema. The pigmentation persists more than several hours and the color gradually changes to brown. This persistent pigmentation is called persistent pigment darkening (PPD) reaction. To indicate the UV protection level of sunscreen, SPF and PA labeling are used. SPF stands for “Sun Protection Factor” and PA stands for “Protection Grade of UVA.” The number of SPF means the number of times longer that you will be protected from getting erythema, which is mainly induced by UVB, with sunscreen than you will be without sunscreen. PA grade is determined based on the protection level of PPD reaction induced by UVA. In the case of PA labeling, the degree of protection is labeled as PA+, PA++, PA+++ or PA++++ on a sunscreen product. The more plus (+) mark means the more protection level against UVA. The current test methods related to UV protection are harmonized globally. Global standard ISO24444 is adopted as Japanese standard test method for SPF measurement and ISO24442 is adopted as Japanese standard test method for UVA protection measurement.
著者
中村 尚世 石川 大樹 大野 拓也 堀之内 達郎 前田 慎太郎 谷川 直昭 清水 珠緒 福原 大祐 中山 博喜 江崎 晃司 齋藤 暢 平田 裕也 内田 陽介 鈴木 晴奈 佐藤 翔平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101334, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】膝前十字靭帯(ACL)再建術後に荷重制限を設けている施設が多い.しかし,全荷重開始時期に関しては各施設で異なり,未だ統一した見解はない.我々は術後4週にて全荷重を開始し術後リハビリテーション(リハ)を慎重に行うことで良好な術後成績を得たことを報告(2005年本学会)した.さらに,術後3週にて全荷重を開始するも変わらず良好な術後成績を得られたことを報告(2007年本学会)した.そこで今回,更に全荷重開始時期を1週早め,術後3週群と2週群で術後成績を比較検討したため,以下に報告する.【方法】2002年12月~2011年6月までに膝屈筋腱を使用した解剖学的2ルートACL再建術を行った596例のうち,同一術者にてACL再建術のみが施行され,12ヶ月以上経過観察が可能で,再鏡視し得た110例を対象とした.半月板縫合術を同時に施行した例,50歳以上の例,後十字靭帯損傷合併例,ACL再断裂例は除外した.2004年1月より3週で許可した68例(男性45例,女性23例,31.3±8.4歳:3週群)と,2008年4月より術後全荷重を2週で許可した42例(男性24例,女性18例,31.0±7.9歳:2週群)で術後成績を比較検討した.但し,術後リハプログラムでは全荷重開始時期以外はほぼ同一とした.検討項目は,術後6,12ヶ月での膝伸筋の患健比(60°/s),受傷前と術後12ヶ月時のTegner activity score,術後12ヶ月時の膝前方制動性の患健側差,再鏡視時の移植腱の状態,入院期間とした.なお,膝伸筋力は等速性筋力測定器Ariel,膝前方制動性はKT-2000を用いて測定した.再鏡視時の移植腱の状態については,移植腱の太さ,緊張,滑膜被覆の3項目を総合し,Excellent,Good,Fair,Poorの4段階で評価した.統計処理に関しては,術後6,12ヶ月での膝伸筋の患健比(60°/s)と,Tegner activity scoreは,それぞれ反復測定による二元配置分散分析,χ²検定を用いた.また,術後12ヶ月時のKT-2000患健側差 ,再鏡視時の移植腱の状態,入院期間はMann-WhitneyのU検定を用いた.統計学的検討にはSPSS Statistics 17.0Jを使用し,有意水準は危険率5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の個人情報の取り扱いは当院の個人情報保護規定に則り実施した.【結果】術後6,12ヶ月での膝伸筋の患健比はそれぞれ2週群67.3±2.9%,82.9±2.6%,3週群70.2±2.2%,83.0±2.1%であり,筋力回復の変化量に有意差はなかった.受傷前と術後12ヶ月時のTegner activity scoreの平均値は,それぞれ2週群は6.26が6.26,3週群は5.91が5.88であり,両群にともに有意差はなかった.術後12ヶ月時のKT-2000患健側差は2週群0.13±0.7mm,3週群0.07±0.6mmであり有意差はなかった.再鏡視時の移植腱の状態は2週群はExcellent 31例(73.8%),Good 9例(21.4%),Fair 2例(4.8%),3週群は Excellent 41例(60.3%),Good 27例(39.7%)であり,有意差はなかった.入院期間は2週群22.4±5.6日,3週群25.7±3.2日であり,2週群で有意に短かった(p<0.05).【考察】矢状面断において脛骨は水平面に対し10°程度後方傾斜しているため,膝関節荷重時に脛骨は大腿骨に対し前方剪断力として働き,移植腱へのストレスが増大するとの報告が散見される.しかし,全荷重開始時期は各施設で異なり,可及的早期から5週程度で行なわれており,統一された見解はない.そこで当院では術後の全荷重開始時期を術後4週から開始し,3週,2週へと変更させ術後成績を比較検討してきた.全荷重開始時期を早めたことで術後早期の活動性が上がるため,膝伸筋の筋力回復とTegner activity scoreにおいては2群間に差があると仮定したが,本研究では有意差はなかった.KT-2000患健側差と再鏡視時の移植腱の状態においては2群間に差がなかったことから,術後2週で全荷重を開始しても膝関節の不安定性の増大や移植腱への悪影響がないことが分かった.また,入院期間に関しては2週群の方が有意に短かった.以上より,術後2週での全荷重開始が許容されることが示された.【理学療法学研究としての意義】ACL再建術に関する臨床研究の報告は多数存在するが,全荷重開始時期の違いによる比較検討されたものは少ない.ACL再建術後の全荷重開始時期を3週と2週で比較検討した結果,少なくとも膝関節の不安定性の増大や移植腱への悪影響がないことが分かった.また,入院期間は有意に短縮できることが分かったことからも本研究は有意義だったと思われる.
著者
佐藤 德
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.362-378, 2018 (Released:2020-01-18)
参考文献数
93

In a joint action, two or more individuals coordinate their actions in space and time to create a change in the environment. Knoblich, Butterfill, and Sebanz (2011) distinguished between two types of coordination that can occur during a joint action: planned coordination and emergent coordination. In planned coordination, the agents’ behavior is driven by representations that specify the joint action outcome and one’s own part in a joint action. In emergent coordination, coordinated behavior occurs because of entrainment, common affordances, perception–action matching, or action simulation, independently of any joint plans or common knowledge. This paper reviews the current empirical findings on joint action as examples of “wisdoms” between individuals. The implications of these findings for research on social cognition are discussed.
著者
佐藤 勝彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.880-885, 1999-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
4

応用物理学研究者に興味あると考えられる宇宙物理学の2つの話題, (1) 中性子星などの超高密度天体の物理とその形成,および (2) 力の統一理論に基づいた宇宙の量子的創生論,および現在,初期宇宙研究のパラダイムとなっているインフレーション理論について解説する.
著者
及川 研 栗山 英樹 佐藤 精一
出版者
日本コーチング学会
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.119-128, 2011-03-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
18

The purpose of this study is to examine the effect of “sacrifice bunt” in baseball, executed when a runner is on first base with no outs. The offensive strategies studied are, “sacrifice bunt”, “base stealing”, “hit-and-run”, “hitting”, and “hitting after first attempting to bunt”. We recorded 846 official games of Japanese Professional Baseball in 2006, and selected 3994 cases to categorize the strategies and the results. The results are as follows:     (1) Following the bunts, the runner on first moved up to second base 81.6% of the time, but the base runner advanced only 40.7% after hitting.     (2) However, following the bunts,the runner on first reached home plate 37.6% of the time. This probability is almost the same as the one after hitting.     (3) The expected number of runs in one inning for each strategy was: 0.73 for bunting, 0.86 for hitting, and 0.95 for the “hit-and-run”.     There are possibilities that the effectiveness of five strategies are not the same as the result of (1) to (3), not in case of a league format and higher skill level. In this study, we didn’t discuss about each case with various situations, but examined many cases (3994) comprehensively. Based on our results we can see that it isn’t advisable to choose the “sacrifice bunt” in this situation. It seems that a more effective strategy for scoring runs is either hitting or executing the “hit-and-run”.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 斎藤 功 木下 和勇 瀬戸 新 佐藤 大道 柴田 和幸 安田 真理 堀岡 航 若狭 正彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節筋は中間広筋の深層に位置し,大腿骨遠位前面を起始,膝蓋上包を停止とする筋である。大腿四頭筋と合わせて大腿五頭筋と称されることもあるが,その作用は大腿四頭筋とは異なり膝関節伸展時に膝蓋上包を挙上するとされ,機能不全が生じると膝蓋上包の挟み込みにより拘縮の原因になると考えられている。変形性膝関節症(以下,膝OA)で多くみられる関節水腫は,膝関節筋機能不全の要因の1つとされているが,その関係は明らかにされていない。しかしそれにより関節拘縮など新たな障害を招く可能性があり,膝OAの病態を複雑化させる恐れがある。本研究の目的は膝OAにおいて膝関節水腫と膝関節筋機能との関係を明らかにすることである。【方法】膝OA患者60名81肢(男性15名,女性45名,平均年齢73歳)を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹,骨盤,下腿遠位部をベルトで固定し,膝関節は屈曲30°位とした。膝関節水腫および膝関節筋は超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製),14MHzのリニアプローブを用いてBモードで測定した。描写はいずれも上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で,膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節水腫は安静時の膝蓋上包の腔内間距離である前後径を計測し,Mendietaらの報告に基づき2mm以上のものを関節水腫と判定し,水腫あり群となし群に分けた。膝関節筋は最大等尺性膝伸展運動時の筋厚および停止部移動距離を測定した。筋厚は筋膜間の最大距離を計測し,安静時の値に対する等尺性膝伸展運動時の値の変化率を求めた。停止部移動距離は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし,等尺性膝伸展運動時の画像上でその点の移動距離を計測した。この移動距離は膝蓋上包が膝関節筋により挙上された距離と定義した。また膝関節屈曲,伸展可動域(以下,ROM)を測定し,膝関節の疼痛をVisual analog scale(以下VAS),膝OAの重症度をKellgren-Lawrence分類(K/L分類)を用いて評価した。膝関節筋筋厚,停止部移動距離の2群間での比較には,まず膝関節ROM,疼痛,重症度をt検定を用いて比較し,有意差のみられた項目を共変量とした共分散分析を行った。また膝関節筋筋厚および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との関係をPearsonの相関係数を求めて検討した。統計解析にはSPSS22を使用し,有意水準は5%とした。【結果】膝関節水腫あり群は50肢(平均年齢74歳),なし群は31肢(平均年齢73歳)であった。膝関節ROMは伸展(-10.85±5.10°vs -5.83±4.92°),屈曲(132.80±14.30°vs 142.33±6.92°)ともに水腫あり群がなし群に比べ有意に低値を示し(いずれもp<0.001),またVAS(48.17±23.07 mm vs 31.87±18.73mm),K/L分類(2.71±0.67 vs 1.83±0.83)は水腫あり群がなし群より有意に高かった(いずれもp<0.001)。これらの膝関節ROM,VAS,K/L分類で補正した共分散分析の結果,安静時の膝関節筋筋厚は2群間に有意差が認められなかったが,筋厚変化率(31.86±16.55% vs 61.95±18.11%)および停止部移動距離(4.74±2.08mm vs 8.03±2.21mm)は水腫あり群がなし群に比べ有意に低値であった。また膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との間に有意な負の相関を認めた(それぞれ,r=-0.592,r=-0.628)。【考察】膝関節水腫あり群ではなし群に比べ膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離が低値であり,また水腫の程度を示す膝蓋上包前後径といずれも有意な相関関係を認めたことから,膝関節水腫は膝関節筋機能に影響を及ぼし,関節水腫が重度であるほど膝関節筋の機能低下が大きいことが示唆された。これは関節水腫により膝蓋上包が伸張され,上方へ引き上げられる距離が短縮したため膝関節筋の十分な筋収縮が得られなかったと推察される。膝関節水腫は膝関節ROMや疼痛,膝OAの進行に影響を及ぼすだけなく,長期間の存在は膝関節筋の機能不全やそれに続発する膝関節拘縮の要因となり得ると考察した。【理学療法学研究としての意義】膝関節水腫は膝OAの症状や進行,膝関節筋の機能低下に影響を及ぼし,特に長期間の存在は拘縮など新たな二次的障害を生じる可能性があるため,理学療法施行時には関節水腫に対する早急な対応が必要であると考えられる。
著者
三角 好輝 佐藤 重明
出版者
Japan Society of Ion Exchange
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.136-141, 2003-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

燃料電池は熱電併給が可能であるため原燃料の利用効率が高く, 地球温暖化防止の切り札として期待されており, 中でも固体高分子形は反応温度が比較的低いため自動車や, 「電気の取れる給湯器」として開発が進められている。この発電セルにはフッ素系の陽イオン交換膜が用いられており, また天然ガスなどから水素を取り出す際に必要な純水の製造には, イオン交換樹脂などが用いられている。当社は, イオン交換樹脂に比べ頻繁な交換が不要である電気脱イオン法を燃料電池の水処理に開発適用してきた。当方式はメンテナンス頻度を少なくしたいとのユーザーの目標に合致した, 優れたシステムであり, 実用化を目指し開発を続けている。
著者
佐藤 千夏 向井 貴彦 淀 太我 佐久間 徹 中井 克樹
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.225-230, 2007-11-26 (Released:2011-12-02)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The geographical distribution of mtDNA haplotypes of non-indigenous smallmouth bass (Micropterus dolomieu) populations in Japan were examined utilizing nucleotide sequences of the mtDNA control region from 208 individuals collected from 20 localities. A total of three haplotypes (n, o and p), distinguished by a nucleotide substitution or an insertion/deletion of 294bp, were found in Japanese freshwater systems. In eastern Japan, most M. dolomieu populations had two haplotypes (n and p), the frequencies being similar among localities. On the other hand, haplotype n or p was fixed (or nearly fixed) in lakes and ponds in western Japan. These results suggested that the non-indigenous populations of smallmouth bass in Japan were initially established by an introduction into eastern Japan, the western Japanese populations being subsequently founded by relatively small num-bers of individuals.