著者
尾谷 雅比古
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.155-183, 2008-03-18

This paper discussed about, how the modern Japanese Government established the Protection of Mounded tomb system through enactment of the law. The Modern Protection of Mounded tomb system was divided into three stages by the law. The following results were, 1. Formation Stage (1968_1894), this period begins with Meiji Restoration to the Sino-Japanese War. The Government prescribed the Tomb of the emperor, uncertain 13th Tomb of the emperor, and focus was Tombs of the emperor and imperial family system. 2. Development Stage (1895_1904), this period begins with the Sino-Japanese War to the Russo-Japanese War. The Tombs of the emperor and imperial family system had an effect on a campaign for the Preservation of Mounded tomb by Civilian research group, was begun to carry out another way. 3. Establishment Stage (1905_1919), this period begin with Russo-Japanese War to enacted Act of Preservation of Historic site, Scenic beauty and Natural monument, 1919. The Modern Protection of Mounded tomb system determined the new line, was effected by establishment of the Modern Emperor Nation system, raised Nationalism and imperialism. The Modern protection of Mounded tomb system had two-way government, Tombs of the emperor aud imperial family system and Scenic beauty system, until the Act of Protection of cultural property was established 1950. I declared that a number of the Tomb, out of government subject, was disregarded by the Imperial Household Agency, they were paid attention to only the Tombs of the emperor aud imperial family system.
著者
佐古 仁志
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.30, pp.257-265, 2020-03

本稿では,心理学と哲学の〈あいだ〉でなされてきたインゴルドの思索の変遷を,彼の「移動」にまつわる研究に注目し,展開する。特に,インゴルドが西洋近代思想の特徴と主張している「反転の論理」の要点が「〔存在するものの〕知覚」と「〔存在しないものの〕想像」の区別・対立にあること指摘する。そのうえで,「反転の論理」を反転させようとするインゴルドの試みが,たえず生まれては消えながら波を形成する波頭のように,生きることをたえざる世界との調整あるいは世界の形成に見る生成の人類学とでも呼ぶべきものであること,さらには,パースの連続主義と結びつけることで,身体性認知科学の方へと展開しうるということを提示する。
著者
正木 義男 古川 朋靖 渡辺 道隆 市川 銀一郎
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.891-897, 1999-07-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

はじめに: 鼻副鼻腔手術後のガーゼ抜去時に患者が失神様の発作を起こすことがある. この状態は神経原性失神の1つである三叉・迷走神経反射が原因と言われている. 三叉神経が刺激されることにより, 迷走神経が反応して心拍数, 血圧が急激に低下する現象であるが, 我々は疼痛や緊張で上昇するアドレナリン (Adrenaline, 以下Adr. と略す) に着目し, ネコ10匹を使用して迷走神経反射におけるAdr. の効果を調べた.目的: 迷走神経刺激時にAdr. が脳血流に及ぼす影響を調べる.対象と方法: 実験には成猫10匹を用いた. 頸部で迷走神経を露出し, 末梢側に白金電極を装着した. さらに頭部を30度挙上した. コントロール群 (迷走神経を1分間電気刺激). Adr. +神経刺激群 (Adr. を30秒間静注した後, 迷走神経を1分間電気刺激) の2群に分け, 刺激前後の前庭神経核, 下オリーブ核, 小脳室頂核の脳血流量, 及び心拍数, 動脈圧を比較した. 脳血流の測定には水素クリアランス法を使用した.結果: コントロール群, Adr. +神経刺激群ともに刺激前と比較し, 刺激後は有意に脳血流量が低下した. さらに, 両群の脳血流量の変化を比較したところ, いずれの部位においてもAdr. +神経刺激群の方が, コントロール群と比較し有意に脳血流量が低下していた. 心拍数, 動脈圧についてはコントロール群は刺激後有意に低下したが, Adr. +神経刺激群では, より大きな脳血流量低下があったにもかかわらず有意な変化はなかった.考察: Adr. +神経刺激群ではAdr. のβ2作用で末梢欠陥抵抗が低下し, 迷走神経を電気刺激した際に, より大きな脳血流量低下が起きたのではないかと考えられた. この結果より疼痛や緊張で上昇したAdr.が, 三叉・迷走神経反射による脳血流量低下を増強しているのではないかと考えられた.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
早川 正祐 竹内 聖一 古田 徹也 吉川 孝 八重樫 徹 木村 正人 川瀬 和也 池田 喬 筒井 晴香 萬屋 博喜 島村 修平 鈴木 雄大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者 概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活か しつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。
著者
古賀 竣也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43086, (Released:2020-06-01)
参考文献数
30

研究の目的は,統計的リテラシーにおける批判的思考態度の構造を明らかにすること,および統計的リテラシーのスキルに関係する批判的思考スキルは何かを明らかにすることである.まず,質問紙調査を実施し,「数値やデータへの関心」,「懐疑的・複眼的な見方」,「他者との関わり」の3因子から構成される態度に関する尺度を開発した.次に,統計的リテラシーのスキルを測定するテストと,複数の批判的思考スキルを測定するテスト,作成した尺度を含めた質問紙調査を実施し,これらの相関を検討した.その結果,統計的リテラシーの得点と全ての批判的思考スキルの得点に正の相関がみられた.また,統計的リテラシーの得点と尺度の得点には有意な相関がみられなかったことから,統計的リテラシーにおける批判的思考態度を有していても,統計情報を適切に解釈できるとは限らないことが考察された.
著者
伊勢田 知子 松前 祐司 岩崎 晴美 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1Supplement, pp.291-294, 2000-07-01 (Released:2009-09-03)
参考文献数
7

The colors on picture books by Dick Bruna have been analyzed by using computer.Fundamental colors including red, blue and green specified by Bruna himself are revealed to be not pure fundamental colors. These picture books have taken reposeful colors that mixed one fundamental color to another fundamental one. The thread of narrative is made a development along the changes of these reposeful colors that increases the charm of picture books by Bruna.
著者
橋本 慎太郎 仁井田 浩二 松田 規宏 岩元 洋介 岩瀬 広 佐藤 達彦 野田 秀作 小川 達彦 中島 宏 深堀 智生 古田 琢哉 千葉 敏
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2013 (Released:2014-10-21)
参考文献数
32

PHITS is a general purpose Monte Carlo particle transport simulation code to analyze the transport in three-dimensional phase space and collisions of nearly all particles, including heavy ions, over wide energy range up to 100 GeV/u. Various quantities, such as particle fluence and deposition energies in materials, can be deduced using estimator functions “tally”. Recently, a microdosimetric tally function was also developed to apply PHITS to medical physics. Owing to these features, PHITS has been used for medical applications, such as radiation therapy and protection.
著者
田島 充士 古屋 憲章
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.260-278, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

ロシアの文芸学者・M. M. バフチンのダイアローグ(対話)論を教育実践研究に応用するトレンドは,筆者が専門とする教育 ‐発達心理学において,すでに定着している。実際,バフチンは中等学校の教員として教鞭を執っていたこともあり,教育場面においてみられる具体的な諸現象に対する,彼の議論の解釈力・説明力はかなり高い。しかしバフチンのいう「ダイアローグ」は,慣れ親しんだ仲間同士の会話というよりもむしろ,異質な文化的背景を持つ他者同士のコミュニケーションを志向する概念である。このダイアローグ概念の特殊性を理解せずに,具体的な事象の説明に適用しては,バフチン理論が本来持つ,豊かなポテンシャルを活かしきることはできないように思う。本論では,異文化交流の可能性を拓くという視点から,バフチンの議論を読み解く。また関連する実践研究にも触れ,教育実践の豊かさを理解する上での,バフチン論の魅力について紹介する。
著者
青野 真士 大古田 香織
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.580-584, 2020-10-10 (Released:2020-10-10)
参考文献数
46

本稿では,単細胞アメーバ生物・粘菌が環境に適応し最適な形状に変形する振る舞いに学び,「巡回セールスマン問題」や「充足可能性問題」といった組合せ最適化問題の解を,アナログ/ディジタル電子回路を用いて探索するユニークな計算システムを紹介する.「アメーバ型アルゴリズム」を実装するこれらの組合せ最適化マシンは,回路を流れる電流ダイナミクスの並行性や,デバイスの揺らぎからもたらされる確率的動作を活用し,そこそこ質の高い合法解を素早く確実に得る手段を提供する.その計算原理はさまざまな物理デバイスにより実装できるため,さらなる大規模化と小型・低消費電力化が可能であり,クラウドサービスのみならず,新たなIoTやエッジ計算応用への展開を期待できる.
著者
古澤 和行
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.126-126, 2011

サービス・イノベーションにとって重要なのは、サービスの提供者と受け手との間に生じる経験に対する意味をどのように変化させるのかという点である。本報告ではサービスにおけるアーティファクトについて考察し、アーティファクトがこれらの意味の生成と変化に対してどのような意義を持つのかを検討し、サービス・イノベーションに取り組む際のインプリケーションを提示する。
著者
山地 祥隆 古城 直道 樋口 誠宏 山口 智実 島田 尚一 田中 宏明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2009年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2009 (Released:2010-02-25)

本研究では,ダイヤモンドと被削材種間の標準自由エネルギー変化の計算,および拡散実験の結果により工具の摩耗メカニズムを推定した.その上で,炭素拡散により摩耗させる鉄,酸化物の還元により摩耗させる銅,炭化物の生成により摩耗させるアルミニウムの切削実験により,摩耗形態と耐摩耗性を調査した.その結果,明らかになった事柄について論じる.
著者
三谷 祐史 細江 浩典 安井 敬三 林 優子 小坂 香織 古野 泰大 犬塚 加菜 河合 潤也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに】リハビリテーション(以下リハ)病院入院時のFIMにおいて軽症群の自宅退院率が高いことは言われているが,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった症例について検討した報告は渉猟したがなかった。【目的】当院の脳卒中地域連携パス(以下連携パス)を調査し,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった要因について検討すること。【対象及び方法】対象は2011年4月から2015年3月に当院から,連携パスを用いてリハ転院し,リハ病院から連携パスを回収でき,かつ記載不備のなかった1189名のうち,リハ病院入院時FIM91以上の399例とした。それをFIM別に91-100(以下91群)101-110(以下101群),111-120(以下111群),121-126(以下121群)の4層に分け,さらにリハ病院からの転帰で自宅退院群(以下退院群)と非退院群に分け,それぞれの特徴を回収された連携パスを基に調査した。調査項目は,年齢,当院ならびにリハ病院の在院日数,リハ病院退院時FIM(以下退院時FIM),FIM利得,FIM効率とした。検定には分散分析を行い,多重比較にはTukey法を用いた。有意水準は5%未満とした。【結果】退院群/非退院群は343/56例で,それぞれ91群95/24,101群100/22,111群107/6,121群41/4であった。各項目の平均値は,91群,101群,111群,121群の順に,年齢(歳)が72.0/67.6,73.4/63.9,64.4/67.7,60.8/62.0。当院在院日数(日)が28.2/27.7,27.4/32.6,25.4/24.3,25.7/29.3。リハ病院在院日数(日)が64.8/67.9,52.9/62.4,48.9/55.8,38.3/61。退院時FIM(点)が110.2/107.6,116.2/113.9,121.3/119.5,123.6/124.5。FIM利得(点)が154/12.3,10.5/8.6,6.1/4.2,0.2/2.3。FIM効率(点)が0.27/0.19,0.22/0.19,0.14/0.11,0.03/0.04であった。同じ層内での退院群-非退院群間には全ての項目で有意差は見られなかった。退院群内では,当院在院日数に有意差は見られなかったが,91群121群間でそれ以外の全項目で有意差が見られ,91群111群間では年齢,当院在院日数以外の項目に有意差が見られた。その他,各群間で有意差が散見された。【考察】軽症患者の機能的転帰や予後については,概ねリハ病院入院FIMに準ずることが示唆された。軽症でも非自宅退院となった具体理由を見てみると,再発及び他院での治療を要する他疾患合併によるバリアンス例が全群で13例あった。それ以外では,91群,101群において,入院期間が60日上限の施設へと転出され,60日後に転院となった例が半数近くを占めていた。これらの症例は運動失調や失語症が残存する例,若年で職業復帰を目指す症例などが散見された。その他では,同居者なしや生保にて施設入所となった例,精神症状により転院となった例などが見られたが大きな傾向はつかめなかった。【結論】同程度のFIMであっても,合併症や症状,家庭環境などによって治療が長期化する傾向が見られ,転院先を考慮する必要があると考えられた。
著者
兼古 勝史
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Kyoei University (ISSN:24334367)
巻号頁・発行日
no.1, pp.61-72, 2017-09

2016(平成28)年4月の熊本地震において、地元熊本市のコミュニティFM局「熊本シティエフエム(FM791)」では、本震直後に停電のため放送できない状況に陥ったが、局スタッフの努力と機転により約40分後に放送を再開し、その後「命を守るための放送」から「命を繋ぐ生活情報」「前向きに生きていくための情報」と災害からの時間や地域の実情に応じて放送内容をシフトさせつつ、レギュラー番組とCMを停止して24時間の生放送を17日間に渡って続けた。その中で実施した、リクエストによる熊本市内各小学校の「校歌」の放送は、大きな反響を得、避難生活で不安を強いられていた市民の心の支えとなったといわれる。 本研究において、震災発生直後からの熊本シティエフエムの放送・対応を振り返るとともに、同局による「校歌」のリクエスト放送とその反響について、それを可能にしたこれまでの「校区」に密着した番組作りや取り組み事例等を合わせて検討することで、災害時における地域音声放送メディアが被災者の支援に重要な役割を果たすことが明らかになった。また「校歌」という地域の聴覚的文化資源について、"時間的な音響共同体"及び"記憶としての標識音"という概念で説明できる現象の存在が示唆された。
著者
古賀 敬太
出版者
大阪国際大学・大阪国際大学短期大学部
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU Journal of International Studies (ISSN:09153586)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.139-157, 2020-03-31

This article intends to analyze how Yoshio Onishi (1909-1975), interpreted Carl Schmitt's constitutional theory (Verfassungslehre) and adapted it to the analysis of both the Meiji Constitution and the postwar constitution. Especially we pay attention to Onishi's theory of constituent power and constitutional emergency power. He regarded constituent power as not unlimited, but limited by concrete order, especially it's idea and practical norm. And Onishi attempted to limit the enormous and unlimited legal power of Emperor by consulting Schmitt's views on constitutional emergency power in the Weimar Republic. But in the process of wartime system and total mobilization, which was seen in the National Mobilization Act (1938) and the movement of Great Politics Party(1940),he regarded Japan's critical condition as the normalization of exception and departed from his former position. After the world war Ⅱ, he returned to his original position and appealed to the importance of constitutional emergency power, which is not stipulated in the postwar Japanese Constitution. He also tried to legitimatize the radical transformation from imperial sovereignty to the sovereignty of people by appealing to the theory of Schmitt's constituent power. Especially he emphasized the legitimacy of constituent power and insisted that constituent power of people itself is not actual will, but is constrained by the legitimacy of the concrete order.