著者
堀内 孝次
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

山間山地地域を対象とした現地栽培調査から、作物栽培の生産基盤である地力維持方式として、対象全域で堆肥など多様な有機肥料に加えて化学肥料が補完的に施用されている。他方、"緑肥、野草、わら"の利用には地域差が存在しており、これらの地域特殊性は経営耕地規模や耕地の地形条件が大きく影響している。また、土壌の地力維持として微生物資材を用いることで有機性廃棄物である生ゴミ堆肥素材等の施用効果が高まった。
著者
石田 香織 井面 仁志 今井 慈郎 堀 幸雄 白木 渡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.135-138, 2009-02-28

耐震改修の急務が報道されつつも,防災教育の整備はその緒に就いたばかりである.防災教育の扱う範囲・対象は多岐にわたるものの,多くの危機管理マニュアルは抽象的で学習者にとって,理解が進まない現状も指摘されることが多い.大学など教育機関でも効果的な教材開発や効率的な実施手法が望まれている.本報告では,学生の観点から,危機管理マニュアルをより効率よく説明できるよう,マルチメディア化し,クラス単位での評価を行い,専用のWebサーバを立ち上げて公開すると共に,オンライン・アンケートによるフィードバックにより,定期的改良や年代や立場に対応した防災教育のための教材作成のアイデア収集もできる教材開発および実施手法の一例について述べる.
著者
西坂 崇之 政池 知子 矢島 潤一郎 矢島潤 一郎 足立 健吾 須河 光弘 堀部 恵子 龍口 文子
出版者
学習院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

新しい光学顕微鏡技術を用い、膜超分子モーター(主にFoF1-ATPase)の作動原理について、分子のレベルにおける解明を試みた。タンパク質の部分的な領域が機能する瞬間のダイナミクスが可視化され、化学反応と対応づけることもできた。さらにキネシン-微小管系におけるコークスクリュー運動の直接可視化にも成功した。これらの技術や成果は「1分子構造生物学」という新しい学問領域に発展する可能性がある。
著者
赤堀 雅幸 黒木 英充
出版者
上智大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

ユーフラテス川中流域ビシュリ山系で展開されている領域研究全体の調査と連携しつつ、人類学、歴史学による従来の部族研究を再評価し、通時代的、通分野的に適用可能な概念的洗練を行うべく、下記のような活動を展開した。1. 現地調査 : ビシュリ由系における第7次調査の一環として研究協力者である高尾賢一郎(同志社大学大学院神学研究科博士後期課程)が10月、第8次調査の一環として、赤堀、黒木および研究協力者、森山央朗(日本学術振興会特別研究員(PD))が3月に現地調査を実施した。黒木、高尾、森由はあわせてシリアでの文献調査に従事した。2. 比較対照調査 : 理論面での成果発表と比較対照調査を兼ねて、9月に赤堀がモンゴルで学会発表と騎馬遊牧民の調査を実施し、また連携研究者である錦田愛子(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・非常勤研究員)がレバノンで政治的な離散状況下での父系紐帯のありように関する調査を実施した。3. 文献資料の探索、収集、読込 : それらのうち厳選して購入した26冊については、設備備品として上智大学アジア文化研究所図書室他に所蔵することとした。なお、討画調書上には研究補助業務等に謝金を充てる予定であったが、上記研究協力者他大学院学生らの自発的な協力により支払いが生じなかったため、この分を別費目に充てることで、調査等を充実させることができたのは幸いだった。当該年度中にすでに複数の研究発表を実施しているが、平成21年4月には領域研究の合同研究会で赤堀、黒木、高尾が成果発表を行っており、11月開催予定の国際シンポジウムでも赤堀が発表するのに加え、その他複数の成果物刊行が決定しているなど、領域研究全体の最終年度である平成21年度においても、貢献を継続する予定である。
著者
河瀬 斌 山口 則之 清水 克悦 三谷 慎二 堀口 崇 荻野 雅宏
出版者
慶応義塾大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

【目的】低温による脳保護作用のメカニズムを検討し、脳のみの局所低体温法を確立する。【方法】(1)スナネズミ一過性前脳虚血モデルを用い海馬における遅発性神経細胞死を算出する一方で、オートラジオグラフィー法により蛋白合成能を、また免疫組織化学により各種蛋白の生成を、常体温と低体温とでそれぞれ比較した。(2)ラット一過性前脳虚血モデルを用い、線条体におけるdopamine・ adenosineとその代謝産物の生成を、虚血中低体温と虚血後低体温とで比較した。(3)成猫に低温人工髄液を脳室脳槽灌流し、脳冷却の程度と脳内温度較差を測定した。また、臨床使用目的にて脳温測定用センサーを組み込んだ脳室脳槽灌流用ドレナージチューブを作成した。【結果】(1)低体温により海馬CA1領域の遅発性神経細胞死は抑制されるが、これに先立ち(i)同部の蛋白合成能の回復が促進される。(ii)ストレス蛋白発現が抑制される一方で、即初期遺伝子c-Junが正常より強く発現する。c-Fosの発現は変化しない。以上より、低体温は虚血ストレスそれ自体を減弱する一方で、蛋白代謝を早期に回復させ、細胞の生存に影響を及ぼす即初期遺伝子の発現を促す。(2)(i)虚血中低体温はdopamineの放出を抑制する一方、adenosineの放出には影響しないが再灌流時のadenosineの減少は抑制する。(ii)虚血後低体温はadenosineの代謝を抑制して細胞外液中の濃度を高く保つが、dopamine代謝には影響しない。(3)低温人工髄液灌流により成猫において脳深部に2〜3℃の冷却効果が見られたが、皮質ではその冷却効果は少ない。脳血流量は一過性に減少するがその後回復し、血圧や血液ガスには影響はない。脳温測定用センサーを組み込み、かつ従来のものと材質・外径に差がない脳室脳槽灌流用ドレナージチューブが完成した。【総括】以上より(3)の脳虚血に対する局所低体温療法は(1)(2)の補助治療法を組み合わせることで臨床応用が更に期待できる。
著者
森野 真理 堀内 史朗
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

岡山県英田郡西粟倉村において、現在の小規模林家の森林管理の状況と管理にかかわる問題について調べた。中には篤林家もいるが、近い将来管理放棄は一層進むことが示唆された。その背景には、これまで指摘されてきた経済的な問題だけでなく、立地特性や自然災害への脆弱性など複合的な要因があった。将来の担い手としては、血縁者の可能性は極めて低かった。受け容れには問題もあるが、Iターン者やボランティアなどのよそ者が管理の担い手として期待される。
著者
向後 麻里 斉藤 有深 柏原 由佳 小市 佳代子 市川 幾重 堀地 直也 今井 俊道 足立 満 村山 純一郎 木内 祐二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.973-981, 2004-12-01
被引用文献数
1 2

日本における肺癌罹患者数は増加傾向にあり, 男性では悪性腫瘍の中で死亡原因の1位となっている. 非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer:NSCLC)は早期診断, 早期切除が原則となってくるが, 進行性肺癌や小細胞肺癌(small-cell lung cancer:SCLC)に対しては外科的切除の適応は少なく, 強力な化学療法や放射線療法が実施されるものの, 5年生存率は1%未満である. 近年, 肺癌の化学療法は, cisplatin(CDDP)と他剤との併用療法が主流でありSCLCではetoposide(VP-16), irinotecan hydrochloride(CPT-11), NSCLCではvinorelbin tartarate(VNR), gemcitabin hydrochloride(GEM)などと併用されている. こうした併用化学療法を安全かつ効率的に実施するためのクリニカル, パス(パス)を用いることは有用と考えられるが, 国内ではいまだ十分には活用されていない. パスとは, 病棟でのチーム医療の「質」と「効率」を同時に保障するために考え出されたマネージメントツールであり, パス導入により, 医療の標準化, チーム医療の推進, 情報の共有などの効果が期待される.
著者
堀内 佐智雄
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

まず,これまで開発した酸一塩基型有機強誘電体について焦電特性を評価するため,焦電流測定法を用いた自発分極の温度変化を計測した。その結果,最大4-6μCcm^<-2>もの大きな自発分極が得られていることを見出した。特に,重水素化ヨーダニル酸(D_2ia)と5,5'-ジメチルー2,2'-ビピリジン(55DMBP)との一価陽子移動塩においては,室温で大きな自発分極をもちかつ,焦電係数について,典型的な焦電実用材であるTGS(硫酸グリシン)に匹敵する性能(400μCm^<-2>K^<-1>)を示すことも見出した。有機強誘電体フェナジン-クロラニル酸/プロマニル酸の中性共晶については,中性子回折による構造解析を完成させ,水素原子核(プロトン)の精密な分布状態の解析を行った。その結果,この物質ではプロトンが酸から塩基に向けて変位するという構造変化に基づき強誘電性が発現していることを明らかにし,論文発表を行った。また,酸-塩基多成分型有機強誘電体の新材料の開発を本年も継続して取り組んだ。室温で強誘電性を示す新たな材料として,テトラピリジルピラジンとブロマニル酸との塩を見出した。この塩では,これまでの酸一塩基系で見られた一次元水素結合鎖ではなく,酸分子の二量体内のプロトン移動と塩基分子の分子内プロトン移動の二種類の動的過程を経て自発分極が誘起されているという新たな強誘電発現機構を明らかにした。本成果については論文投稿準備中である。特に本年度は,課題ゐ最終年度として,これまでの成果について,従来の有機強誘電体と比較総括することに重点を置き,その主な成果として,国内雑誌上の解説としてまとめたほか,Nature Materials誌のReview Articleとして投稿し,近日中の掲載が決定した。
著者
赤堀 侃司 藤谷 哲 松田 岳士 中山 実 加藤 浩 福本 徹 加藤 浩 福本 徹
出版者
白鴎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、教員や研究者が場所、時間、専門分野などの制約を越えて教育実践知を可視化・共有し、再構築できる"場"としての電子ネットワーク基盤を開発し、実践的評価を通してその有効性を検証することであった。具体的には次のような研究課題に取り組んだ。(1)教育実践知の可視化・共有を支援する電子ネットワーク基盤の要件や支援方法に関する調査・分析。(2)場所・時間・専門分野などの制約を超えて参加者の結びつきを促進するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の開発。(3)教育実践知を自動的に可視化し、関連知識を結びつけて強化する機能の開発。実践評価の結果、分散した実践知の共有には、知識の自動的な可視化と、関連する分散知を集合知へ変化させることが有効であることを明らかにし、本研究課題で開発したネットワーク基盤が、さらなる知の再構成、創造を促進する可能性を示した。
著者
近藤 哲 蜂須賀 喜多男 山口 晃弘 堀 明洋 広瀬 省吾 深田 伸二 宮地 正彦 碓氷 章彦 渡辺 英世 石橋 宏之 加藤 純爾 神田 裕 松下 昌裕 中野 哲 武田 功 小沢 洋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.11, pp.1987-1995, 1984-11-01
被引用文献数
23

原発性十二指腸癌7切除例を対象として臨床的検討を行った. 5例は UGI, 内視鏡, 生検の3者で診断可能であったが, 2例は膵癌の十二指腸浸潤との鑑別が困難であった. しかし US と CT で膵癌を否定しえた. 血管造影では4例中2例が十二指腸原発と確認しえた. さらに切除可能性, 根治性を推定するのに有用であった. リンパ節転移は全例に認められ, 非治癒切除4例中3例の非治癒因子, 治癒切除後再発2例中1例の再発因子となっていたした. したがって, 乳頭上部癌では膵頭部癌第1群リンパ節郭清をともなう膵頭十二指腸切除を原則とし, 乳頭下部癌では腸間膜根部リンパ節をより徹底郭清し状況によっては血管合併切除再建が必要と思われた.
著者
松井 洋 中村 真 堀内 勝夫 石井 隆之
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.51-70, 2006-03-15

本研究の目的は日本の「子ども」の特徴について比較文化の視点から検討することであり,特に非行と非行を抑制する要因について明らかにすることである。そのため非行許容性と恥意識,道徳意識の関係について検討する。この目的のため,日本とトルコの中学・高校生1488人を対象に調査を行った。調査結果は,日本の中高生はトルコの中高生と比較して,道徳意識が低く,非行的行為に対して許容的という傾向があった。非行許容性,虞犯許容性,犯罪許容性については,日本の中学女子は男子より許容的であった。道徳意識は,日本よりトルコ,高校生より中学生,男子より女子が高いと言うという傾向があった恥意識について,自律的恥意識と他律的恥意識は,概ねトルコが日本より高く,男子より女子,高校生より中学生が高い傾向があった。しかし,他者同調的恥意識は,男子より女子,高校生より中学生が高いという傾向は前2者と同様だが,他の恥意識とは異なり,トルコより日本が高かった。非行許容性を従属変数とした重回帰分析の結果は,日本の生徒では非行許容性は他律的恥意識によって説明され,また,他律的恥意識が強いほど非行を許容しないと考えられ,そして,道徳意識が強いほど非行を許容しないという関係である。しかし,トルコの中高生の非行許容性は道徳意識によって説明され,恥の意識とは関係が無いということが言える。これらのことより,非行許容性の背景となる個人の態度には文化差があると考えられる。そして,トルコの中高生では,恥の意識より,良い悪いという道徳意識が非行的行為と関係が深いと言える。他方,日本の中高生では,良い悪いという判断より,他者を意識した「恥」の意識がより重要である。しかし,日本の中高生は,他者同調的恥意識は強いが,非行許容性と関係の深い他律的恥意識はトルコに比べて弱いという問題が明らかとなった。
著者
江藤 宏美 堀内 成子 中山 和弘 西原 京子 堀内 成子 中山 和弘 西原 京子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

生後2週目から3か月の乳児の夜間の母児同室下における睡眠覚醒状態の特徴を明らかにするための録画・分析システムの開発を行い、国際的な睡眠研究者とのネットワークによるプラットホームを構築することを目的とした。その結果、録画システムは、非侵襲で、夜間の暗い環境状況下で安定した画像収録ができるような赤外線LED照明と超高感度モノクロカメラを実装した機械ができた。分析システムは、画像差分の算出をベースに自動判定アルゴリズムを作成した。情報共有プラットホームとして、研究者間で情報共有を行うインフラとして、大容量かつ高信頼性のサーバー構築を行った。システムの評価をした結果、自動判定アルゴリズムで乳児の睡眠状態をビデオ画像からロバストに自動判定できる可能性を確認した。
著者
渡邉 俊樹 石田 尚臣 堀江 良一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、T細胞性リンパ腫を腫瘍化機構・細胞増殖機構に基づいて区分することから、その増殖の基盤となる特徴的シグナル伝達異常に基づいた分類を確立し、診断と治療方針確定の基礎を明らかにするとともに、新たな分子標的療法開発の理論的基盤を提供することを目指した。(1)TCRシグナル伝達系の活性化状態についてシグナル伝達系の下流で中心的な役割を果たすNF-kBの恒常的な活性化のメカニズムの解析と、細胞増殖におけるその機能的意義について、NIKの過剰発現がNF-kBの活性化に関与していることを明らかにした。更に、特異的阻害剤であるDHMEQを用いて解析し、リンパ系悪性腫瘍の増殖にNF-kB活性化が重要性で有ること、DHMEQによるNF-kB活性の阻害が、抗がん剤の作用を増強すること、抗がん剤に対する薬剤耐性克服に有効である可能性があるとの結果を得た。ATLにおけるゲノム異常解析から、これまで120を超えるの候補標的遺伝子のリストを得て個々の分子の機能解析を進めている。発現プロファイル解析から、ATL細胞では、膜構造と細胞骨格をつなぎシグナル伝達と細胞運動性制御に関与するEzrinが過剰に発現していることを明らかにし、その過剰発現が腫瘍細胞の運動性亢進に関与していることを示した。(2)臨床材料を用いた解析:ATL170例の検体で、SNP arrayを用いてゲノムコピー数異常を網羅的に明らかにした。ゲノム異常に基づくATLの分類の可能性を検討している。また、発現解析からATLで過剰発現を示す8個の遺伝子からなるRT-PCRアレイの系を確立してその測定値から「ATL型発現スコア」を定義し、ATL細胞の特異的検出と、ATL発症予測への応用を検討中である。
著者
指宿 信 佐藤 達哉 渕野 貴生 堀田 秀吾 藤田 政博
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

取調べの録画におけるカメラ・アングルがもたらす偏見や、自白調書の三次元グラフィック・ツールによる表示、公判前報道が引き起こすバイアス、評議室における裁判員・裁判官の言語コミュニケーション等について、それらの適正化に向けた法学・心理学・言語学・情報工学等の技術や知見を組み合わせた"学融的"アプローチの有効性を検証できた。
著者
大原 興太郎 秋津 元輝 ビラス サロケ 田中 耕司 堀尾 尚志 タムロン プレンプリディ 法貴 誠 PREMPRIDI Thamrong SALOKHE Vilas M. ピラス サロケ
出版者
三重大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

本年度の研究はシンドシナ半島の国々の本来自足的・生態系保持的な在来農法がどのような形で存在しているか、また技術移転など外からのインパクトがどのような技術的、経済的、社会文化的影響と問題をもたらしたかを、適性技術、土地・水利用、在来農法(焼畑農業を含む)の生態学的特徴、農法展開のための普及組織の実態と問題点、近代化の進展による農作業の変化、伝統的農民の行動様式等の側面から明らかにしようとした。本年度の現地調査はヴェトナム社会主義共和国のメコンデルタ農業について、カント-大学の全面的な協力を得て包括的な概況調査を行うとともに、ラオスにおいてはメンバー各人の問題意識にしたがって個々に再調査を行った。以下、明らかになった事柄を摘記する。1)ベトナムの経済は1986年のドイモイ政策以来対外解放政策と市場経済を導入し、さまざまな規制を緩めてきた。その結果1986〜91年のGDPの平均成長率が5.2%、サービス部門の成長率は9.9%にも上った。農業部門では新土地政策、世帯別独立経済、農民の長期土地使用と土地の相続権及び取引権の授与(1988)、生産活動と売買の請負制は農業に劇的な変化と高成長をもたらした。2)農業基盤については道路などの整備がまだ不十分であるが、フランス植民地時代からの水路開発の結果、水運が発達している。そのため道路がないところでも、船による脱穀や籾摺の請負が発達しており、トラクターの移動も船で行っている地域がある。3)ベトナムの米生産1991年1940万トンの53%を占めるメコンデルタはメコン川の豊富な水量に恵まれ、近年二期作の面積が約70%(*)に拡大した。この稲作の発展には1988年に設立されたカント-大学のメコンデルタ農法研究開発センターが大きな役割を果たしている。4)メコンデルタの農法は地域の自然条件等によってバラエティにとんでおり、一般的なDONG XUN(冬春稲)+HETHU(夏秋稲)の二期作、DONG XUN(冬春稲)+HETHU(夏秋稲)+THU DONG(秋冬稲)の三期作、HETHU+LUA MOA、LUA NOI(浮稲)の一期作、LUA MOA(浮稲)+淡水エビ、HETHU+エビ、HETHU+サトウキビ、DONG XUN+HETHU+野菜等々の多くの組み合わせがみられる。5)また、播種なしい移植についても、乾田直播、湛水直播、催芽種直播、不耕起直播、混播、田植等が土地条件や営農条件によって使い分けられている。6)旧南ベトムでは比較的うまく存続しているのが珍しいDONG CAT国営農場では、肥料の購入、水利、耕耘などは国が管理し、あとの農作業は農民に任せている。興味深いのは国営農場内に森林が植林されており、酸性土壌に強いメラロイカが植えられ、とくに火災の管理などに工夫がされていることである。7)メコンデルタ農業発展の障害は農業基盤の整備の不十分性、資本の欠乏、農産物および生産資材の価格の不安定があげられる。8)ラオスにおいては1975年以前にアメリカにならった普及組織があったが、革命とともに無くなり、ようやく1991年になって農業普及庁が設立され、普及組織が再び整えられつつある。9)2代目長官ブリアップ氏は次のような普及目標を上げている。技術移転、農民への技術援助、他の省庁との調整、農民のニーズの把握、作物の病虫害防除、作付改良への理解、農業機械の管理、家政への参加等である。10)現在の普及上の問題点はまず第一に普及員の質の向上であり、第二に普及組織の確立、第三に予算の不足、第四に情報とりわけ市場情報の確保があげられる。とくに普及関係の予算は少なく、現在国際機関との共同事業もないが、農民が肥料や種子、さらには機械や農業雇用のための金を借りるための農業振興銀行(Agricultural Promotion Bank)が1993年に設立された。これには普及員の承認がいることになっている。借入金の利子は8〜12%であり、一般銀行のよりは数%低くなっている。11)ラオス北部の米作はなお焼畑が主体をなしているが、政府の森林伐採の禁止により、農民は新たな土地を確保できず、焼畑のロ-テーションが以前の10年前後から3〜4年と短くなって来ている。
著者
堀内 隆彦 富永 昌二
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,HDRからLDRへの適切なトーンマッピング手法の開発によって,LDRデバイスでの映像表現の限界の解決を行った.このとき,視覚の明暗順応および色順応特性を考慮する方法を考案した.また,主観評価と測色値との関係を考察し,適切な評価規範を検討した.さらに,ディジタルハーフトーニングの技術をディスプレイデバイスへ展開することによって,低明度部分の階調が粗くなるという問題点の解決に取り組んだ.
著者
池邨 清美 中野 茂 堀内 ゆかり KAZUKO Behrens
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ビデオ育児支援法(Video-feedback Intervention to promote Positive Parentingand Sensitive Discipline: VIPP-SD)のわが国での適応可能性を実証することを目的として行われ、親子で遊んだり、日常活動を行っている場面の母親に対するビデオフィードバックが、親子関係改善の介入効果をもつための条件を明らかにした。
著者
長浜 克志 山田 拓己 一柳 暢孝 酒井 康之 鎌田 成芳 福田 博志 谷沢 晶子 渡辺 徹 斉藤 博 堀内 晋 町田 竜也
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2002-01

Hautmann型膀胱再建術中,癌死・他因死・追跡不能を除く20例(男16例・女4例,29~73歳)を対象に,術後の回腸新膀胱の蓄尿・排尿状態を尿流動態検査(UDS)とアンケート調査により解析した.排尿回数は夜間に2回以上起床し排尿している例が19例中8例と高率であった.また,尿失禁は19例中昼間2例,就寝後12例にみられたが昼間は尿パッド平均2枚,夜間は1枚で対処可能であった.排尿時間は18例中9例が1分以内に排尿を終えたが3例では3分以上を要した.排尿状態については18例中満足8例,不満3例であった.USDを施行できたのは11例で観察期間は平均34.2±21.9ヵ月であった.残尿量は27.8±28.2ml,新膀胱最大容量は395.2±96.8mlで膀胱内圧は充分に低値であった.排尿時,外尿道括約筋筋電図で明らかな電位増強を11例中10例と高率に認めたWe analyzed the functional and urodynamic characteristics in 19 patients with ileal neobladder by the Hautmann procedure. A questionnaire survey by mail was performed for functional information of neobladder. Seventeen of the 19 patients (89.5%) could voluntarily void via the urethra and the others needed clean intermittent self catheterization (CIC) because of their significant residual volume. Eight of the 19 patients (42.1%) micturated at least two times at night. Two of the 19 patients (10.5%) were incontinent in the day time and 12 (63.2%) in the night time. They needed 2 pads in the day time and one pad at night on average. Eight out of 18 patients (44.4%) were satisfied with their micturition state. A urodynamic study showed the neobladder to be a low-pressure reservoir with a mean capacity of 395.2 +/- 96.8 ml. The mean residual volume of the patients without CIC was 27.8 +/- 28.2 ml. In 10 out of 11 patients high frequency and high amplitude spikes were seen by the perineal electromyogram in the voiding phase.