著者
小林 克 堀内 秀樹 岩下 哲典 金田 明美 小川 保
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.337-348, 2008 (Released:2018-01-31)

オランダ各都市・アユタヤ・ゼーランディア・平戸・長崎(出島)から出土した資料をサンプリングし,胎土分析を行った。この結果,黄色レンガは,オランダ地域からアジア各地にもたらされた可能性が高いこと。平戸・長崎(出島)出土の赤色レンガの多くは台南地域からもたらされた可能性が高いことが明らかになった。更に日本の瓦と同質のレンガが平戸と出島から確認され,日本人によりレンガが生産されていたと考えられる。オランダ式桟瓦も,タイ・アユタヤのオランダ人居住地と,インドネシア・バンテン遺跡からも発掘されていた。アユタヤで確認されたオランダ式桟瓦については,アムステルダム出土桟瓦との比較を行ったが,明確な差異は確認出来なかった。
著者
寺谷内 泰 五十嵐 豊 生天目 かおる 平野 瞳子 溝渕 大騎 中江 竜太 横堀 將司
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.202-206, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
7

抗melanoma differentiation-associated gene (MDA) 5抗体陽性皮膚筋炎は, 予後不良な急速進行性の間質性肺炎を高頻度に合併する。今回, 当施設で経験した2例を報告する。症例1 : 44歳, 男性。呼吸苦を自覚し救急要請した。検査の結果, 重症肺炎と診断し, 人工呼吸器および体外循環管理を開始した。その後, 抗体陽性の判定を受けステロイド, シクロホスファミドによる加療を行ったが, 救命には至らなかった。症例2 : 68歳, 女性。倦怠感を自覚して近医を受診し, 肺炎像があったため入院した。その後, 呼吸不全が増悪し人工呼吸器管理を開始した。抗体陽性の判定を受け, ステロイド, シクロホスファミド, タクロリムスによる加療を行ったが救命には至らなかった。重症呼吸不全で新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を疑うような画像所見を呈する症例では本疾患も鑑別疾患としてあげられる。
著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016-07-20 (Released:2017-01-24)
参考文献数
17

ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。
著者
堀野 敬 高森 啓史 馬場 秀夫
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.132-138, 2012 (Released:2012-05-15)
参考文献数
44

喫煙は膵癌発症の危険因子であるばかりではなく周術期合併症の危険因子でもある.しかしながら,膵癌手術の周術期に喫煙が及ぼす影響はほとんど報告されていない.膵癌手術症例96例を対象に喫煙の周術期に及ぼす影響をretrospectiveに解析した.本解析では,喫煙は手術部位感染(創部)の有意な危険因子であったが,循環器・脳血管・呼吸器術後合併症,入院期間および予後には影響を及ぼさなかった.この結果をもとに喫煙が膵癌手術周術期に与える影響を消化器外科領域における喫煙と周術期合併症の観点から概説した.
著者
堀 原一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.165-168, 1998-06-25 (Released:2011-08-11)

明治以来わが国の大学に残っている遺物ともいうべき講座制が, ことに医科大学・医学部で今もって幅をきかせている. 教授は講座という一城の主として学問の自由独立を楯にエゴを死守しようとしているのではないか. 講座の壁が教育の改善, 学問の交流と進歩を, また人事の流動を阻害しているのではないか. 教授は講座のためにあるのならまだしも, 講座は教授のためにあるとのはき違えもあるようだ. 講座を守る責任という美名と裏腹の教授のタコ壺意識, その変革が求められている.今, 講座の改廃・再編や教員の再配置は可能であり, 学生や患者, そして学問のためにも必要なのである.
著者
熊本 友香 久末 伸一 安田 弥子 井手 久満 知名 俊幸 井上 正浩 斉藤 恵介 磯谷 周治 山口 雷蔵 武藤 智 堀江 重郎
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.160-165, 2013 (Released:2013-11-18)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

今回,我々は加齢男性性腺機能低下症候群患者(late onset hypogonadism : LOH)に対する補中益気湯の有効性について検討した。帝京大学付属病院泌尿器科メンズヘルス外来を受診し,Aging Male Symptoms(AMS)scale が27点以上で,テストステロン補充療法を施行していない47例に補中益気湯エキス7.5g/日を8週間投与した。投与前および投与8週間後のAMS と各種ホルモン値,各種サイトカインについて検討した。47例中31例で評価が可能であり,補中益気湯8週間の投与によって遊離テストステロンは有意な上昇を示し,ACTH とコルチゾールは有意に低下した。補中益気湯投与後の自覚症状は各種質問紙で変化なかった。本検討により補中益気湯はLOH 症候群患者のホルモン値に影響を与えることが証明された。今後,長期間投与による症状変化の検討を要するものと考えられた。
著者
岩本 晃明 柳瀬 敏彦 高 栄哲 堀江 均 馬場 克幸 並木 幹夫 名和田 新
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.751-760, 2004-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
28
被引用文献数
22 24

(目的) 日本人成人男子の血清総テストステロン (総T) および遊離テストステロン (遊離T) の基準値を設定すること.(対象と方法) 健常に日常生活を営んでいる年齢20歳から77歳の男性1,143例を対象とした. 採血時間は総Tおよび遊離T共に日内リズムを認めたことから高値で比較的安定に推移する午前中に実施し, 分離した血清検体は測定まで-20℃保存した.(結果) 総Tの基準値は加齢の影響が小さかったことから全データを一括して2.01~7.50ng/mL (平均±2SD) と設定した. 一方遊離Tは加齢の影響を強く認めたことから10歳毎の年齢階層別に群別して, その基準値 (平均値±2SD) を求めた. 20歳代は85~27.9pg/mL, 30歳代は7.6~23.1pg/mL, 40歳代は7.7~21.6pg/mL, 50歳代は6.9~18.4pg/mL, 60歳代は54~16.7pg/mL, 70歳代は4.5~13.8pg/mLと設定した.(結論) 日本人成人男子の総Tおよび遊離Tの基準値を設定した. また, 遊離Tについては, 基準値とは別に20~39歳の若年成人平均 (YAM: Young Adult Mean) 値を求め, このYAM値の80% (124pg/mL) および70%値 (10.9pg/mL) を, 男性ホルモン補充療法の参考適用値として提示した.
著者
堀田 耕平 髙橋 秀徳 本田 裕也 剣持 拓未
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.83-89, 2023-06-30 (Released:2023-07-27)
参考文献数
21

Leveling surveys were conducted in Jigokudani valley, Tateyama volcano, since 2015. Subsidence was revealed to have started in 2017‒2018 when a new crater was formed at southwestern area of Jigokudani. Subsidence kept until 2020. During the one-year period from September 2020 to September 2021, ground of Jigokudani was revealed to have re-uplifted. We applied five types of deformation sources (Mogi-type spherical, finite spherical, penny-shaped, rectangular tensile fault and prolate spheroid sources) to the detected deformation. Using the grid search method and the weighted least squares method, we searched the optimal combination of the parameters of each model. Based on the c-AIC value, the penny-shaped deformation source was the best model among them. A penny-shaped inflation source with a radius of 375 m was located including southeastern area of Jigokudani valley where violent fumarole activities have been continued. Its depth was 50 m from the surface. The pressure change in the source of +0.8 MPa yields its volume change of +4800 m3. Inflation of the gas chamber beneath Jigokudani valley might have started due to increase in accumulation of volcanic gas/fluid or decrease in fumarolic activity.
著者
山元 良 藤島 清太郎 上野 浩一 宮木 大 栗原 智宏 堀 進悟 相川 直樹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.390-396, 2009-07-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

塩素ガスへ暴露すると上気道粘膜の刺激症状や急性肺損傷acute lung injury(ALI)などの呼吸器系障害が生じるが,ALI発症までには数時間以上を要するという報告が散見されている。今回我々は,塩素ガス吸入後に遅発性のALIを発症した 2 症例を経験したので報告し,ALI発症までの時間と症状出現から増悪までに要する時間について検討した。症例 1 は26歳の女性で,自殺目的で 3 種類の洗剤を混合し,発生した塩素ガスを吸入した。来院時無症状であったが,受傷10時間後に低酸素血症が出現し,胸部X線撮影・胸部CTで両側肺の浸潤影が出現した。ALIの診断でsivelestat sodium hydrateを投与し,受傷 6 日目に軽快退院した。症例 2 は64歳の男性で,塩素含有化学物質を誤って混合し,発生した塩素ガスを吸入した。来院時より上気道症状や低酸素血症を認めたが,受傷35時間後に病態が増悪し,胸部CTでのスリガラス状陰影の出現を認め,ALIと診断した。ステロイドを経口投与し,PaO2/FIO2 ratioは改善した。本 2 症例の経過と,塩素ガス暴露による症例報告や動物実験の報告から検討すると,症状の出現までに10時間程度の時間を要し,受傷後48時間程度で病態が最も増悪することが予測された。以上より,塩素ガスに暴露した患者では,来院時無症状であったとしても10時間程度の経過観察を行い,有症状の患者に対しては48時間程度の慎重な経過観察が必要と考えられた。
著者
音部 雄平 平木 幸治 堀田 千晴 井澤 和大 櫻田 勉 柴垣 有吾 木村 健二郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.401-407, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
26
被引用文献数
6

【目的】保存期CKD 患者は腎機能低下に伴い筋力も低下しているが,健常者と比較しどの程度低下しているかは明らかでない。保存期CKD 患者の筋力年齢予測比を明らかにする。【方法】保存期CKD 患者291 例を対象に筋力(握力,膝伸展筋力)を測定し,健常者平均値から筋力年齢予測比を算出した。さらに男女別,年代別の筋力値の比較を行った。【結果】CKD ステージG3a,3b,4,5 の順に,握力年齢予測比は84.4%,85.5%,78.6%,72.3%,膝伸展筋力年齢予測比は104.6%,95.9%,88.3%,84.2% であった。男女別,年代別の筋力値は,高齢女性で低下が顕著であった。【結論】CKD ステージG4,5 の保存期CKD 患者において,握力は健常者平均値の70 ~80%,膝伸展筋力は85 ~90% 程度の低下を示す可能性が示唆された。
著者
岡村 尚昌 津田 彰 矢島 潤平 堀内 聡 松石 豊次郎
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-40, 2010 (Released:2014-07-03)
参考文献数
28

大学生の睡眠時間と心身の健康との関連性を明らかにするために、GHQ-28による主観的評定と精神神経免疫学的(PNI)反応[3-methoxy-4-hydroxyphenylglychol(MHPG)含有量、免疫グロブリン(Ig)A抗体産生量]を用いた客観的評価から、睡眠時間の長さによって、心身のストレスの自覚とノルアドレナリン神経系と免疫系の活性がどのように異なるのか検討した。研究参加の同意が得られた健康な大学生205名(男性110名、女性95名、年齢18.6±1.0)を対象に睡眠時間を調査し、最適睡眠時間群(AS:Adequate Sleep)(6〜8時間睡眠)を35名、短時間睡眠群(SS: short sleep)(5時間以下の睡眠)33名と長時間睡眠群(LS: long sleep)(9時間以上の睡眠)28名をそれぞれ抽出した。講義時に、集団一斉法にてGHQ-28への記入を求め、PNI反応を測定するために唾液の採取を行った.LS群のGHQ-28得点は、「社会的活動障害」および「うつ傾向」下位尺度でAS群とSS群に比較して有意に高値であった。一方、SS群はASに比較して「身体症状」下位尺度得点が有意に高かった。SS群の唾液中free-MHPGは、AS群と異ならなかったが、LS群に比較して有意に高く、s-IgAは有意に低かった。ロジスティック回帰分析の結果は、中等度以上の「身体的症状」、「社会的活動障害」と「うつ傾向」症状が短時間もしくは長時間睡眠と有意に関連していることを明らかにした。以上の知見から、6〜8時間睡眠が最も心身の健康と関連していることが示された。また、睡眠時間いかんによって唾液を指標にして得られたPNI反応が異なったことは、今後、大学生のストレス関連疾患の予防や健康増進活動のために、睡眠の重要性を示す客観的証拠となると考える。
著者
坂本 彬 中川 致之 杉山 弘成 堀江 秀樹
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.94, pp.45-55, 2002-12-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

1. 煎茶の標準的な入れ方に近い湯温50℃,60℃,70℃,90℃(遊離アミノ酸類は90℃を除く),浸出時間は1煎目が60秒,2煎目,3煎目が10秒間の条件で,主要カテキン類4種,カフェイン,主要遊離アミノ酸類6種がどのように溶出するかを調べた。(1)カテキン類,カフェインは,ともに温度の上昇に伴って溶出量が増加した。カテキン類のうちで遊離型カテキン類は比較的溶出しやすく,エステル型カテキン類は溶出が遅かった。90℃3煎目で前者が90%以上溶出されたのに対し,後者は50%台であった。カフェインは遊離型カテキン類に近い溶出性を示した。(2)アミノ酸類はきわめて溶出されやすく,50~70℃の1煎目で半分近く溶出し,3煎目には,ほとんど100%溶出した。ただし, アルギニンは他のアミノ酸より溶出が遅い傾向にあった。2. 温度を変える入れ方,すなわち1煎目を5℃,10分,2煎目を50℃,1分,3煎目を95℃1分の条件で主要カテキン類4種,カフェイン,主要遊離アミノ酸類6種,ペクチン,カリウム,マグネシウム,カルシウム,リン酸がどのように溶出するかを調べた。(1)遊離型カテキン類は冷水でも比較的溶出しやすく,3煎目までで80~90%が溶出した。一方,エステル型カテキン類は低温では溶出されにくく,熱湯を用いた3煎目で急激に溶出したが,それでも50%程度であった。カフェインは低温でも1煎目で36%程度溶出し,熱湯を用いた3煎目までで84%に達した。(2)アミノ酸類は冷水でもよく溶出したが,アルギニンは他のアミノ酸類より溶出が遅かった。1煎目に冷水を使用する条件でも,アルギニンを除いて2煎目で70~80%が溶出した。(3)ペクチンは溶出しやすく,いずれの形態のものも煎を重ねるに従って段階的に溶出が減少した。(4)カリウムは溶出されやすく,3煎でほとんどが溶出した。マグネシウム,リン酸は煎を重ねるに従って溶出が減少した。ただし,カルシウムは1煎から3煎まで同程度の溶出量であり,溶出割合も3煎までで4%に満たなかった。(5)1煎液の濃厚な甘味,旨味にはアミノ酸類の濃度が高く,ペクチンを多く含むことが,また3煎液の強い苦味にはエステル型カテキン類の濃度の高いことが寄与していると推察される。
著者
佐藤 和紀 三井 一希 手塚 和佳奈 若月 陸央 高橋 純 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.353-364, 2021-12-20 (Released:2022-03-18)
参考文献数
24
被引用文献数
2

GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備され,1人1台の端末を活用している学級へのICT 活用に関する児童と教師への調査から,導入初期の児童によるICT 活用と教師の指導の特徴を検討した.その結果,児童は1人1台の情報端末を日々の活動の中で,さまざまなアプリケーションを組み合わせて活用しながらクラウド上でコミュニケーションを取っていたこと,教師は学校内の情報端末の活用については指導できるが,家庭学習については自治体のルールや情報モラルの観点から指導できていないことが特徴として挙げられた.
著者
那須 高志 小林 渓紳 大堀 正明
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.40-44, 2023 (Released:2023-09-01)
参考文献数
18

【はじめに】大腿骨近位部骨折の術後患者における歩行自立度を予測する因子と,そのカットオフ値を調査することとした。【対象および方法】大腿骨近位部骨折を受傷し,手術を施行された40名において術後14日目の歩行が自立した群としなかった群で比較した。また歩行自立度を目的変数とし,年齢と荷重率と荷重時痛を説明変数とし,ロジスティック回帰分析を実施した。さらに影響を与えている説明変数に関してはROC曲線からカットオフ値を算出した。【結果】非自立群は自立群に比し荷重率が低く,荷重時痛が高かった。また術後14日の歩行自立度に影響を与えているものは荷重率で,そのカットオフ値は72.3%であった。AUCは0.86であった。【考察】荷重率は歩行自立度に影響を与えており,その予測能は高かった。以上のことから,術後7日目の荷重率を測定することで,術後14日目の歩行自立度を予測できる可能性が考えられた。
著者
堀口 剛
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.191-209, 2012-01-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
36

This paper is a study of the history of media, and focuses "man-on-the-street" interviews as a form of public opinion. More specifically, we discuss the radio program, Street Interviews (Gaito Rokuon), along with discourses regarding the program, in order to demonstrate how the interviews broadcast on this program were disseminated as messages representing public opinion. The radio broadcaster created the program with the aim of capturing public opinion by using "man-on-the-street" interviews. The process through which these interviews were circulated among the public was strongly affected by the following two circumstances : First of all, the views broadcast on Street Interviews were circulated not only through radio, but also through various interrelated media, including newspapers and magazines, and came to be regarded through this process as messages representing public opinion. Secondly, Street Interviews, which intended to use "man-on-the-street" interviews that represented public opinion, was faced with various problems and criticisms. These problems, with which mass media programs using such interviews street voices continue to be confronted to this day, were already important issues during the time of Street Interviews. This study emphasizes the need to analyze the process through which "man-on-the-street" interviews are disseminated as typical examples of public opinion from the perspective of media history, focusing on Street Interviews as a starting point. Our analysis will eventually make it possible to reveal the role of the "man on the street" in the post-war history of public opinion.
著者
小谷 俊雄 堀田 哲也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2512-2517, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
18

難治性の膠原病の診療においては,ステロイドに加え各種免疫抑制薬を併用した強力な免疫抑制療法が行われる.しかし,強力な免疫抑制による日和見感染症などの副作用の問題があり,安全かつ有効性の高い治療法が望まれる.γグロブリン大量静注療法(high dose intravenous immunoglobulin:IVIG)は,貪食能の抑制,補体系の抑制,自己抗体の制御,炎症性サイトカインの抑制などの薬理作用を有することから,近年様々な膠原病に試みられ,その有効性が報告されている.