著者
松澤 孝紀 武尾 実 井出 哲 飯尾 能久 伊藤 久男 今西 和俊 堀内 茂木
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.75-88, 2003-06-02 (Released:2010-03-11)
参考文献数
21
被引用文献数
3

We estimated S-wave attenuation (QS-1) in a wide frequency range between 4Hz and 60Hz using the twofold spectral ratio [Matsuzawa et al. (1989)] in the western Nagano region, Japan, where the 1984 Naganoken-Seibu earthquake (M6.8) occurred and the seismicity is still active. In the region, there are 49 seismic stations in a range of around 10km in diameter and station separation is several kilometers. In this analysis, 156 shallow (depth <10km) events (0.9≤MW≤2.6) are used. We can effectively reduce the errors of the estimation by using a number of ray paths. We also determined the focal mechanisms of these events and corrected the waveform amplitudes using them. The direct S-wave portions of the seismograms are relatively small in a high frequency range (above 60Hz) at surface stations compared to the lower frequency waves, and contaminated by P-coda waves. Thus, to estimate QS-1 value, we used only the waves whose S/N ratios are greater than 2, where the noise levels are calculated for the time windows just before S-wave arrivals. Obtained QS-1 values show strong frequency dependence below 10Hz, but weak above 10Hz. These values are slightly larger than the ones estimated by Yoshimoto et al. (1998) from the coda-normalization method. This difference is probably owing to the fracture area of the 1984 Naganoken-Seibu earthquake that has strong attenuation.
著者
牛久保 美津子 近藤 浩子 塚越 徳子 菊地 沙織 上山 真美 恩幣 宏美 堀越 政孝 常盤 洋子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3

目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.
著者
堀口 至 目片 雄土 三村 陽一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.559-564, 2014-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

広島県は全国有数の牡蠣の産地であるが、その一方で大量の牡蠣殻が発生するという問題も抱えている。本研究では、細骨材の一部を破砕した牡蠣殻で置換した牡蠣殻コンクリート(Oy-Con)について試験を行い、その基礎特性に及ぼす牡蠣殻細骨材の影響について検討を行った。試験結果より、牡蠣殻細骨材置換率の増加に伴い、Oy-Con中の塩化物イオン含有量は比例的に増加した。また、牡蠣殻細骨材をコンクリート中に混入することにより、ブリーディングは少なくなり凝結時間は早まる傾向を示した。Oy-Conの圧縮強度などの強度特性は材齢の経過に伴い増加するが、いずれの材齢においても置換率の増加に伴い強度特性は低下する傾向を示した。
著者
平井 松午 鳴海 邦匡 藤田 裕嗣 礒永 和貴 渡邊 秀一 田中 耕市 出田 和久 山村 亜希 小田 匡保 土平 博 天野 太郎 上杉 和央 南出 眞助 川口 洋 堀 健彦 小野寺 淳 塚本 章宏 渡辺 理絵 阿部 俊夫 角屋 由美子 永井 博 渡部 浩二 野積 正吉 額田 雅裕 宮崎 良美 来見田 博基 大矢 幸雄 根津 寿夫 平井 義人 岡村 一幸 富田 紘次 安里 進 崎原 恭子 長谷川 奨悟
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

本研究では、城下町絵図や居住者である侍・町人の歴史資料をもとに、近世城下町のGIS図を作成し、城下町の土地利用や居住者の変化を分析した。研究対象としたのは米沢、水戸、新発田、徳島、松江、佐賀など日本の約10ヵ所の城下町である。その結果、侍屋敷や町屋地区の居住者を個別に確定し地図化することで、居住者の異動や土地利用の変化を把握することが可能となった。その点で、GISを用いた本研究は城下町研究に新たな研究手法を提示することができた。
著者
宮 淳 前田 肇 堀 原一
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.1953-1958, 1985

大動脈弁閉鎖不全(AR)に起因した左心不全に対する緊急的かつ短期的な治療を目的として, (1) 経末梢動脈的に挿入・抜去が可能で, (2) 良好な固定性を有し, (3) 駆動装置の不要な新形式のカテーテル式傘型人工大動脈弁(CAV)を作製し, 実験的にARに起因した急性左心不全犬にてその左心補助効果を検討した. ARの作成によって拡張期および平均大動脈圧はそれぞれ42.0, 30.3mmHg低下, 平均左心房圧は8.7mmHg上昇し, 心拍出量は46.4%減少した. このARに対し, CAVを挿入, 作用させると拡張期および平均大動脈圧はそれぞれ22.9, 16.2mmHg上昇, 平均左心房圧は3.1mmHg低下し, 心拍出量は50.9%増大した. CAVによるAR治療の試みは過去にも行なわれていたが本CAVはその構造上バルブ部の良好な血流中心への固定性によって逆流防止作用が確実なこと, 冠状動脈入口部閉塞の危険性のない点が特徴であり, 重症ARの術前・術中の心負荷の軽減, 術前突然死の予防等に使用しうると考えられた.
著者
塩見 友樹 堀 弘樹 上本 啓太 杉山 阿聖 宮尾 克
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.17-20, 2011-03-08
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,立体映像技術において,よく問題視されるのは立体視による疲労や立体酔い等の悪影響である.その原因に水晶体調節反応と輻輳運動の乖離がよく挙げられるが,我々は先行研究で,乖離は確認されないと述べてきた.しかし同時に計測できず,その立証が不十分であった.今回我々は調節と輻輳を同時計測する方法を開発し,実物体を見ている際の計測により計測方法の妥当性について,2D,3D映像注視時では乖離について検討した.その結果,実物体における計測では調節,輻輳ともに焦点距離は良く実物体までの距離と一致しており,この計測方法で正確に計測できることが分かった.また2D,3D映像注視時の計測では乖離が起きていないことが分かった.
著者
堀越 功
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.451, pp.56-60, 2005-12-01

今春のライブドアによるニッポン放送の買収騒動,そして楽天による東京放送(TBS)の統合提案。メディアの主役であるテレビ局が大きく揺さぶられている。 「相次ぐ騒動で,テレビ局は確実に変わった」と関係者は口をそろえる。周囲の印象だけではない。あるテレビ局の社員はこうも打ち明ける。「ライブドア騒動によって,自らのテレビ屋としてのDNAに改めて気が付かせられた」。
著者
堀松 哲夫 佐々木 邦彦 浜口 雅春
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.220-227, 2011-12-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ITS情報通信システム推進会議の運転支援通信システム専門委員会において筆者らが長年にわたって検討してきた三つの周波数帯の電波を用いたシステムについて,その現状と将来展望を述べる.運転支援に有効な見通し外通信を実現するため,地上波テレビジョン放送のディジタル化の後に利用可能になる700MHz帯の電波を用いた通信システム実現に向けた技術検討や実験解析を通して実験用ガイドラインを作成し,これを様々な実証実験に供した.これらの実験により本ガイドラインの妥当性を検証したが,引き続きこれを国の標準規格にすべく技術を精査している.一方,5.8GHz帯の車々間通信については,国内のETC/DSRC (Electronic Toll Collection/Dedicated Short Range Communications) で用いられている周波数帯をなお一層活用することを目的に技術検討や実験解析を実施してきた.ここでも実験用ガイドラインを基に様々な実証を行い,実現可能性を示した.更に,未利用周波数資源開発が世界的に活発となっている中,日本でも79GHz帯のミリ波の電波を用いたレーダの開発と標準化検討を進めた.これらいずれの電波メディアも,これからの社会において道路交通の安全を第一に,利便・安心を含めた社会基盤を構築するものと期待される.
著者
赤堀峯吉, 赤堀菊子 著
出版者
神田書房
巻号頁・発行日
1914
著者
早田 幸政 林 透 堀井 祐介 前田 早苗 望月 太郎 島本 英樹 工藤 潤
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本調査研究は、ASEANの急速な経済発展を背景に、活発化している国境を越えた大学間の教育交流や学生・職業人等による人的移動におけるASEAN地域を包括した高等教育質保証の役割を解明することにあった。今回の調査では、国設の大学評価機関である「マレーシア質保証機構(MQA)」の高等教育質保証システムの概要や特質を把握することができた。MQAの中心的役割は、高等教育質保証の基盤であり国の質保証基準に対して基本的視点を提示する「マレーシア資格枠組(MQF)」を運用することにあった。こうした国レベルの高等教育質保証の仕組みを訪問調査、書面調査の双方の手法を用いて把握しその意義の分析に取り組んだ。また、マレーシアにおいて教育研究面で高い評価を得ている「マレーシア国民大学」、「テイラーズ大学」への訪問調査も実施した。これらの調査を通じて、上記MQAによる外部評価に合格するために各大学がどのような対応をしているか、について十分な知見を得ることができた。具体的には、これら大学は、自身の大学の質保証を行うために、独自の「内部質保証」システムを構築し、「ラーニング・アウトカム」の測定・評価を軸に同システムを効果的に運用していることが明らかとなった。このことは、次年度以降のASEAN諸国の高等教育質保証の実態調査を行う際にも大きく役立つ成果であった。
著者
亀谷 富夫 森田 達志 田中 功 越田 英夫 五十嵐 豊 堀上 健幸 永井 忠之 加藤 正義
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.41-44, 1994

症例は56歳の男性。1975年頃よりアルコール依存症 (酒1升/日) 有り。1978年より糖尿病を指摘され, 1985年よりインスリン治療を受けたがHbA<SUB>1c</SUB>は9.2~12.8%とコントロール不良であった。1990年11月までに6回の低血糖昏睡をおこした。内因性インスリン分泌は著明に低下し, 糖尿病3徴を認めた。はっきりとした歩行障害, 痴呆, 尿失禁は認めなかったが, 頭部CTスキャンとMRIでは脳萎縮を伴わない著明な脳室拡大を認めた。しかし脳脊髄圧は正常であった。RI cisternographyにて48時間後にも脳室内停留を認めたことより, 特発性正常圧水頭症と診断された。本邦での報告例はなく, 低血糖と正常圧水頭症との関連性を示唆する興味深い症例と思われた。
著者
堀井 俊宏
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.413-415, 2007-11-30 (Released:2008-10-31)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
著者
東岸 任弘 石井 健 堀井 俊宏
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.37-45, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
12

熱帯熱マラリアは熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し,抜本的な対策としてマラリアワクチンの開発に期待が寄せられているが,いまだ著効を示すワクチン実用化の目処はたっていない.本稿では,世界で実施されてきたマラリアワクチン開発のレヴューとともに,筆者らが発見したマラリア原虫のアキレス腱と考えられるSERA5抗原から開発したSE36マラリアワクチン臨床開発の現状を報告する.また,最近筆者らが見いだした防御エピトープと自然免疫アジュバントの一つであるCpGを組み合わせることにより,より抗原性を改良した第二世代SE36マラリアワクチンの展望について述べる.