著者
山口 晴保 中島 智子 内田 成香 松本 美江 甘利 雅邦 池田 将樹 山口 智晴 高玉 真光
出版者
社会福祉法人 認知症介護研究・研修東京センター
雑誌
認知症ケア研究誌 (ISSN:24334995)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-10, 2017 (Released:2018-11-06)
参考文献数
17

【目的】適切な医療を提供するため、認知症疾患医療センター外来受診者のBPSDの特性 をNeuropsychiatric inventory (NPI)を用いて検討した。 【方法】対象はMCI群16例と認知症群163例の計179例(80.2±6.9歳)。NPIと認知機能 (HDS-R)や年齢、病型との関係や各質問項目の出現頻度などを検討した。 【結果】MCI群ではNPI 13.3±20.6点、認知症群ではNPI 22.7±22.8点で、MCI群が低かっ た(有意差無し)。介護負担(distress)を表すNPI-DはMCI群10.5±10.9点、認知症群 10.1±9.8点で同等だった。病型別ではDLB群20例がADD群75例よりも有意に高かった (p=0.005)。相関を調べると、全体ではNPIがHDS-Rと有意な負の相関を示した(r=0.188, p=0.021)。認知症群では、NPI-DがHDS-Rと有意な負の相関を示した(r=-0.212, p=0.037)。NPIとNPI-Dは高い相関を示した(r=0.800, p<0.001)。出現頻度が高い項目 は無関心57.5%、興奮54.2%、易刺激性44.7%、不安39.7%、妄想36.9%の順であった。平 均点が高い項目は、興奮3.51、無関心3.12、易刺激性3.0、妄想2.63の順だった。NPI-Dを NPIで割って負担率を検討すると、興奮(0.6)や妄想(0.56)が負担になりやすく、多幸 (0.12)や無関心(0.3)は負担になりにくかった。 【考察】BPSDはMCIの段階からみられ、進行とともにBPSDが強まり、介護負担が増大 する傾向が示された。興奮や妄想は介護者の負担になりやすく、認知症疾患医療センター ではこれらのBPSDへの適切な対応を用意する必要がある。
著者
石原 吉明 渡邊 誠一郎 田中 智 山口 智宏 三浦 昭 山本 幸生 平田 成 諸田 智克 坂谷 尚哉 北里 宏平 松本 晃治 薮田 ひかる はやぶさ2LSS データ解析検討チーム はやぶさ2LSS データ作成チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.139-143, 2017

<p>「はやぶさ2」は,C 型小惑星リュウグウ(Ryugu)にランデブーし,母船からのリモートセンシング観測及び小型着陸機によるその場観測を行うとともに,最大3 回の表面物質サンプリングを行うこととなっている.サンプリング地点には,リュウグウそのものや母天体,さらには太陽系形成時の惑星集積過程と物質進化について,最大の情報を得られる場所を選定する必要があるが,選定のために必要となる情報はランデブー後取得されるリモートセンシング観測の結果を待たねばならない.そのため,限られた時間の中で小惑星の特徴を把握し,安全性と科学価値の評価(Landing Site Selection, LSS)を行う手順を確立しておくことは必須である.本稿では,はやぶさ2 プロジェクトが来年に迫ったLSS 本番に向けて実施したLSS 訓練について概説する.</p>
著者
松永 玄 山口 智史 宮本 沙季 鈴木 研 近藤 国嗣 大高 洋平
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.106-111, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
12

【目的】本研究は,脳卒中者において,リハビリテーション特化型の通所リハビリテーション(以下,デイケア)の終了理由を利用期間別に調査し,デイケアの役割や利用の在り方を検討することを目的とした。【方法】脳卒中者114 名のデイケア終了理由を改善,死亡,入所,拒否,入院,その他に分類し,利用期間別に検討した。【結果】終了理由は,改善が24 名,死亡が16 名,入所が15 名,拒否が14 名,入院が9 名の順であった。その他は36 名であった。利用期間別でもっとも多い終了理由では,1 年未満では拒否,1 年以上2 年未満では死亡,2 年以上3 年未満および3 年以上4 年未満では改善と入所,4 年以上5 年未満では拒否,5 年以上では改善であった。【結論】終了理由は利用期間により異なることから,リハビリテーション特化型デイケアの役割が,脳卒中後の心身状態や生活環境の変化に関連して変化することが示唆された。サービス提供にはこの点に配慮が必要である。
著者
山口 智実 古城 直道 樋口 誠宏 島田 尚一 松森 昇 尾倉 秀一 小田 廣和
出版者
社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 = Journal of the Japan Society of Grinding Engineers (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.557-561, 2010-09-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

転がり軸受面の性能向上を目的として開発した,セリア (CeO<SUB>2</SUB>) 砥粒とcBN砥粒を混合しビトリファイボンドで結合したメカノケミカル超砥粒砥石の設計システムの開発に着手した.本論文では,その初期段階として,砥石の作用面形状や強度を左右する砥石の構造モデルの構築を行った.先に通常砥石の構造モデルに適用した拡散律速凝集アルゴリズムおよび砂山崩落アルゴリズムに基づく砥石の凝集/焼成モデルをベースにして,本砥石の構造特性を考慮し,新たに"セリアクラスタ凝集アルゴリズム"と"砥粒脱落判定アルゴリズム"を開発・適用することで,本メカノケミカル超砥粒砥石の構造モデルを確立した.本モデルと実砥石におけるセリアおよびcBN砥粒の分布に関するフラクタル次元解析を行った結果,非常によく一致し,本モデルの有効性を確認した.
著者
山口 智子 高橋 いく
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】米は主食として日本人の食生活の中心となる食材であるが、食生活の変化により米の消費量は減少している。その一方、ご飯をよりおいしく食べたいという消費者も増えており、量より質を求める傾向がみられる。近年、昔ながらのかまどで炊いたご飯に注目が集まっており、蒸しかまどが新たに開発されている。そこで本研究では、卓上型蒸しかまどで炊飯した米飯の特性について明らかにすることを目的とした。<br>【方法】平成25年度魚沼産コシヒカリを家庭用ハンディ精米機で精米して用いた。洗米後、米重量の1.2、1.3、1.4倍となるように加水し、30分間浸漬した後、ミニ蒸しかまど 1.5合炊き(小田製陶所)で炊飯した。炊飯時の温度変化を測定するとともに、米飯の水分含有率およびテンシプレッサー TTP-50BXⅡ(タケトモ電機)による物性の測定、官能評価を行った。比較対照として、加水量1.4倍で調製後、電気炊飯器にて炊飯した米飯を用いた。<br>【結果】蒸しかまどと炊飯器では炊飯時の温度上昇に大きな違いがみられ、蒸しかまどでの炊飯は約3分後から15分後にかけて徐々に温度が上昇するのに対し、炊飯器では2段階の温度上昇期がみられた。蒸しかまどで炊いた米飯の水分含有率は56.8%~60.6%、炊飯器で炊いた米飯は59.2%であった。蒸しかまどの米飯の物性を比較した場合、硬さ、こしともに加水量の多い方が値が低かった。付着性は加水量が多い方が値が高く、蒸しかまど1.2に対して1.3と1.4に有意差がみられた。粘りには有意差はみられなかった。炊飯器と蒸しかまど1.4を比べると、炊飯器の方が柔らかく、こしがあり、付着性が低いことがわかった。官能評価においては蒸しかまど1.4に比べて炊飯器で炊いた米飯が有意に好まれた。
著者
辻野 元大 古城 直道 山口 智実 廣岡 大祐 松田 茂敬 岩佐 康弘 寺内 俊太郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00161-17-00161, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
18

Diamond cutting tools show severe wear in turning of steels. In previous paper, it was shown that carbides on ferrite phase, which were precipitated by carburization, suppressed the diamond tool wear. In this paper, detailed distribution of constituents of the carbides was analyzed by EDS (energy-dispersive X-ray spectroscopy). In addition, characteristics of each carbide such as occupancy, diameter, and degree of circularity were measured. Results indicate that those characteristics of the carbides influence suppression of the tool wear.
著者
山口 智子 向井 志乃 魚谷 茂雄 大谷 壽一 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.331-338, 2002 (Released:2003-02-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Phenytoin (PHT) exhibits nonlinear pharmacokinetics in the therapeutic range. Therefore a slight increase in dose may lead to considerable elevation of the serum PHT level. Although its bioavailability is dependent on the formulation, bioequivalence is considered to be preserved between the three major formulations, of tablet, 97% fine granules, and 10% powder. However, we experienced many cases of increases serum PHT concentration after changes in formulation from 97% fine granules to 97/4% hospital-made fine granules, and from the latter to 10% powder. Retrospective analysis revealed that these alterations were accompanied by 55% and 16% increases in the serum concentration-to-dose ratio of PHT, respectively. We investigated the factors of this increase by analyzing the weight of remaining powder in a package and the PHT content of each formulation. Each package of PHT formulation prepared with 97% fine granules and 10% powder was unsealed, and the contents were weighed to calculate the rate of recovery. The rate of ingestion was estimated by correcting the rate of recovery by PHT strength (i. e., 1.0 for 10% powder and 0.97 for fine granules). The rates of recovery and ingestion for 10% powder were 13% and 16% higher than those for 97% fine granules, respectively (p<0.01). In conclusion, Changing the PHT formulation from 97% fine granules to 10% powder may lead to a considerable increase in the serum PHT concentration and possibly induce PHT toxicity.
著者
倉山 太一 渡部 杏奈 高本 みなみ 重田 奈実 長谷川 裕貴 山口 智史 小宮 全 吉田 奈津子 清水 栄司 影原 彰人 須賀 晴彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.929-933, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
23

〔目的〕通所リハにおける在宅脳卒中患者を対象としたCI療法の効果について検討した。〔対象〕当院通所リハを利用の片側上肢機能不全を有する脳卒中患者で適応基準を満たした6名であった。〔方法〕非麻痺側上肢の運動制限を行いながら,麻痺側上肢の集中的な課題遂行型介入を1日5時間,2週連続(平日の10日間)で実施した。評価項目は,Wolf motor function test(WMFT),Motor activity log(MAL),Fugl-Meyer assessment scale(FM)とし,CI療法の実施前後,3ヶ月,6ヶ月後に実施した。〔結果〕WFMTのtimeおよびMALにおいて,介入前後で,有意な改善を認めた。また,評価が可能であったすべての症例で,3ヶ月後,6ヶ月後においても介入効果が持続していた。〔結語〕通所リハにおいて,一般的な手法に従ったCI療法実施は可能であり,上肢の機能改善および実用性が向上することが示唆された。
著者
山口 智子 松澤 良江 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.247, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 米粉パンはもちもち感やしっとり感があり、米の甘みが感じられ、腹持ちが良いなどの特徴を有している。しかし、小麦パンと比較すると水分含有率が高いため、硬化の進行が早く、作りたての食感を保つことは難しい。そこで本研究では、米粉パンの製造の際にトレハロースを添加することで、保存中に水分含有率と食感が保持できるかどうかを検討することを目的とした。方法 米粉パンの材料として、米粉・食塩・上白糖・オリーブオイル・ドライイースト・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:SFE-4000、信越化学工業(株))・トレハロース・温湯を用い、180℃で焼成した。その後、ピュアパックに入れ25℃で5日間保存した。そして、保存1、2、3、5日目の試料について、水分含量を常圧乾燥法で、テクスチャー(硬さ、凝集性、付着性)を(株)山電製 卓上型物性測定器TPU-2S(B)を用いて測定した。また、トレハロースを添加した米粉パンと添加していない米粉パンについて、7段階評点法による官能評価を行なった。結果 トレハロースを添加した米粉パンは、保存日数が経過しても水分含有率の低下が少なかった。また、テクスチャーの変化を調べたところ、硬さと付着性の変化は少なく、硬化の進行が抑制される傾向がみられた。しかし、市販の小麦パンに比べるとテクスチャーの変化は大きく、柔らかな食感を保持することはできなかった。官能評価では、トレハロースを添加した米粉パンは添加していない米粉パンよりもきめの細かさやもちもち感、しっとり感などの食感が良いと評価され、総合評価でも有意に良く、好まれることが明らかになった。
著者
サントソ マルタ 山口 智子 的場 輝佳 髙村 仁知
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.202-213, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
30

パンギノキ (Pangium edule Reinw.) は,東南アジアおよび南太平洋諸島の熱帯植物であり,現地では,その種子から高含量のシアン化合物を取り除いた後に食される。パンギノキの種子はそのまま植物性食素材として消費するほか,穴埋め発酵により,特徴的なセイボリーなフレーバーを付け加えた香辛料として消費される。発酵した種子はクルワックと呼ばれる。これまでに,種子が高レベルの抗酸化活性および抗酸化成分を有することが報告されている。本研究では,パンギノキ種子における抗酸化活性および抗酸化成分の分布,ならびに穴埋め発酵および加熱調理の影響について,1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) 法,酸素ラジカル吸収能 (ORAC) 法,全フェノール量,アスコルビン酸量,ビタミンE量,脂肪酸組成を測定した。さらに,穴埋め発酵がパンギノキ種子の物性に及ぼす影響についても解析した。種子に含まれる抗酸化活性および抗酸化成分は,DPPHラジカル捕捉活性を指標とした場合,主に水系画分に存在したが,ORACを指標とした場合,水系,油系の両方に存在した。水系,油系の主な活性成分はそれぞれフェノール化合物およびγ-トコトリエノールであった。穴埋め発酵により,水系および油系の抗酸化活性は有意に増加したが,これはメイラード反応生成物によるものと思われる。同様に,加熱調理過程においても両方の画分で抗酸化活性が増加した。
著者
山口 智之 片岡 直己 冨田 雅史 坂本 一喜 新保 雅也 牧本 伸一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.1722-1726, 2012 (Released:2013-01-25)
参考文献数
11

症例は55歳,女性.慢性関節リウマチに対しインフリキシマブの投与を受けていた.全身倦怠感と採血上の貧血の進行を認め,下部消化管内視鏡検査を受けたところ,回腸末端の潰瘍性病変を認め,生検の結果腸結核の診断となった.胸部CT検査では全肺野に小粒状陰影を認め粟粒結核と診断され,喀痰TB-PCR陽性,塗末で抗酸菌陽性であり,腸結核,粟粒結核の診断となり結核専門病院へ紹介入院となった.このころから腹痛と頻回の下痢を認めていた.結核専門病院を退院後,腹痛が増強したため受診し,CT検査上回盲部の狭窄像と回腸直腸瘻を認めたため外科紹介となった.回盲部切除術と直腸瘻孔部の縫合閉鎖を行った.術後は正常便となり特に合併症なく17日目に退院となった.インフリキシマブが結核発症の危険因子であるのは周知の事実であるが,腸瘻を形成する症例は極めて稀であるので文献的考察を加え報告する.
著者
友枝 謙二 三村 昌泰 山口 智彦 川口 正美 田端 正久 儀我 美一 NAKAKI Tatsuyuki 今井 仁司
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、過渡状態での解析に耐えうる理論的信頼性をもった実験及び数値計算法の確立という目的に沿って下記の現象i)〜iii)を中心に扱ってきた。i)反応拡散系に現れる空間パターンの変化ii)粘性流体でのヴィスコスフィンガリング現象iii)蒸発過程での浸透領域の変化その結果、これらの現象を中心にして多岐にわたる新しい界面現象が発見され、本目的を達成することができた。すなわち過渡状態の現象に接近できる信頼性の高い実験方法および数値解析法の開発が可能になり、多くの界面現象のダイナミクスの解明がなされた。同時に数値解析としては今後取り組むべき重要な問題点も提起された。主な成果は以下の通りである。1)反応拡散系の数値計算法については、TCD(Threshold Competition Dynamics)法でシミュレートする方法を開発した。これによって、多次元での位相的に複雑な界面挙動を高精度に且つ容易に再現することができた。また有限要素法による気泡上昇問題の解析ではその泡の併合現象の再現が可能となった。2)成長する結晶表面の動きの数理モデル化では反応拡散の他に輪送効果を導入することによって、これまでにない新しい様々な解析結果が得られた。3)ヴィスコスフィンガリング現象を再現するHele-Shawセル中を上昇する泡において、箒星の形状の伴流が実験で発見された。どのように数値シミュレーションで再現するかが今後の課題である。4)マルチスケール有限要素解析を用いて多結晶集合組織内での界面ダイナミクスを正確且つ高速に数値解析を行うことができた。5)空間2次元での蒸発過程に現れる浸透領域の分離・融合・再分離過程を再現する計算法とそのような現象を引き起こす初期分布関数の陽的表現を得ることができた。更に、その分離・融合を反復繰り返すための初期分布も決定することができた。
著者
山田 誠二 山口 智浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.289-297, 2005
参考文献数
16
被引用文献数
4 1

擬人化エージェントと人間との間に効果的なコミュニケーションを実現するためには, 双方が相手の表情から相手の感情, 負荷状態などの内部状態(マインド)を同定し, 相手のマインドに沿った行動をとることが重要である.しかし, 人間と擬人化エージェントが互いに相手の表情からマインドを同定することは, 一般に困難である.なぜならユーザはエージェントの表情の解釈において, 個人差, 文化的差異などをもつため, すべてのユーザにとってマインドを容易に推定できる表情をもったエージェントを設計することは難しいからである.本論文では, 人間と擬人化エージェントがマインドマッピングをお互いに学習して相互適応を実現する枠組みを提案する.マインドマッピングとは, 人間や擬人化エージェントの表情からマインドへの写像である.人間とエージェントは, 相互読心ゲームと呼ばれるゲームを行うことにより, 相手のマインドマッピングを学習していき, 相互適応が実現される.この相互適応において, エージェントは, 観測された人間の顔画像を事例とした事例に基づく学習により, マインドマッピングを学習し人間に適応する.一方, 人間側は自由に学習をしてエージェントに適応する.PCとCCDカメラを用いてこの枠組みを実装し, 我々の枠組みで実際にマインドマッピングの相互適応が実現されることを実験的に示す.また, マインドマッピングの相互適応を高速化するヒューリスティックスを提案する.
著者
増山 英則 嶋田 寛子 木下 次子 田尻 貞雄 今村 昌耕 高瀬 昭 江原 直 瀬倉 敬 宮下 脩 許 栄宏 中島 丈夫 山口 智道 徳地 清六
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.301-312, 1993
被引用文献数
2

We studied 130 cases of pulmonary tuberculosis in foreigners residing in Japan to obtain the results as follows;<BR>1. Of the cases of pulmonary tuberculosis in foreigners who are registered and receiving treatment in Japan, 20.3% were treated at three dispensaries of the Japan Anti-tuberculosis Association in Tokyo.<BR>2. The nationality of the cases treated was China in more than half of them, followed by the Republic of Korea.<BR>3. The number of days taken from entry into Japan to the start of treatment was about 11.4 months; 0.9% of the total number of cases examined by chest radiophotography required medical treatment.<BR>4. Their living conditions in Japan according to questionnairing are: 56.2% have jobs in Japan; working hour, 4.99±1.19 hours a day; 64.4% take night work; 57.6% work in food/drink service industry; living space is 12.5 m<SUP>2</SUP>; 52.4% share the same house with other persons, living together with 1.6 persons.<BR>5. As for the type of illness at the start of treatment, GAKKAI classification type III accounted for 90% and spread 1 83.8%. GAKKAI classification type II accounted for 10%, consisting of many relatively mild cases.<BR>6. The defaulter rate was high at 40.8%. The reason for defaulting was broken down to discontinuation on his own 68%, repatriation 15 % and side-effects 19%. The time to default was average 3.2±3.1 months after the start of treatment. They defaulted 1.2±0.4 times on the average.<BR>7. To reduce the defaulter rate to the minimum in treating the foreigners residing in Japan, the following may be needed.<BR>a. To give guidance on the regimen including the need of treatment and iisk associated with discontinuation of treatment at the first visit.<BR>b. Measures to reduce the amount to be born by the individual in the medical expenses.<BR>c. Preparation of a pamphlet for therapeutic guidance in foreign languages.