著者
赤松 泰次 北原 桂 白川 晴章 市川 真也 長屋 匡信 須藤 貴森 武田 龍太郎 竹中 一弘 太田 浩良 宮林 秀晴 田中 榮司
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.805-812, 2009-04-25

要旨 当科で診断した胃MALTリンパ腫98例の内視鏡所見を検討した.胃MALTリンパ腫の内視鏡所見は,早期胃癌(IIc)類似型,胃炎類似型,隆起型の3群に大別できた.早期胃癌類似型と早期胃癌の鑑別のポイントは① 正常粘膜との境界が不明瞭,② 蚕食像がないか,あってもごく一部,③ 陥凹内に粘膜模様が観察される,④ 病変が多発することが多い,の4点であった.胃炎類似型はさらに,びらん・潰瘍型,色調変化型,顆粒・結節型に細分類され,びらん性胃炎,急性胃粘膜病変,消化性潰瘍,萎縮性胃炎,鳥肌状胃炎などとの鑑別が必要である.一方,隆起型は,表面にびらんや潰瘍を伴い,形状も不整であることから間葉系腫瘍との鑑別は容易であるが,IIa型早期胃癌や形質細胞腫との鑑別が問題となる.早期胃癌類似型は胃炎類似型に比べて,壁深達度がSM以深の症例が多く(p<0.01),Helicobacter pylori感染を認めない症例の割合が高かった(p<0.01).
著者
森 公高
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.24, pp.17-25, 2014-03-31 (Released:2017-06-08)

経済社会のグローバリゼーションは既に始まっており,我が国の公認会計士はその対応が求められている。将来的には,会計士資格の相互承認により我が国企業の海外進出に伴う海外での監査・会計業務が拡大するとともに,海外の会計士が我が国に参入することも想定される。経済の重要なインフラである会計や監査の質の維持,公認会計士,会計事務所,監査事務所の国際競争力の強化が求められることになる。このような状況の下,我が国の会計・監査制度,公認会計士制度等の現状を踏まえ,グローバリゼーションによる影響を考察し,今後の経済社会における,これらの制度に対する期待を分析し,公認会計士等の果たすべき役割,会計プロフェッションの育成の在り方,さらに,我が国における公認会計士の行う税務業務の国際標準の在り方について検討を行った。
著者
小森 長生
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, 1997-03-15
著者
金森 晃 土信田 文隆 町田 充 高田 哲秀 中嶋 真一 神 康之 守屋 達美 的場 清和 藤田 芳邦 矢島 義忠
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.147-150, 2000-02-28 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10

49歳, 男. 罹病歴17年の重症の糖尿病性トリオパシーを合併した2型糖尿病. 足のしびれ感を癒す目的で両足趾および足蹠部に市販温湿布薬を貼付して車の運転を長時間行った. その後, 貼付部に水疱を形成し, 感染を併発して両足壊疽をきたした. 高血糖是正, 抗生物質投与, 免荷, デブリードマンなどの保存的治療により右足壊疽は治癒したが, 左V趾は中足骨切断術を余儀なくされた. 用いられた温湿布薬にはカプサイシンと同様の作用をもつノニル酸ワニリルアミドが比較的高濃度に含有されている. 本症例では温湿布薬が的確に使用されなかったために, ノニル酸ワニリルアミドによる接触皮膚炎が惹起され, さらに糖尿病性神経障害が存在するために皮膚刺激症状の認知が遅れ水疱形成をきたしたと考えられた, カプサイシンは糖尿病性表在性疼痛に対する治療効果が認められているが, 使用法を誤まると足皮膚潰瘍などの糖尿病性足病変の誘因になる可能性があり注意を要する.
著者
溝上 慎一 森 朋子 紺田 広明 河井 亨 三保 紀裕 本田 周二 山田 嘉徳
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.151-162, 2016-12-01

本研究では、アクティブラーニング(AL)の効果検証において大きな課題の一つとなっている、アクティブラーニングそれ自体の質を測定する「アクティブラーニング(外化)尺度(AL(外化)尺度)」を開発した。研究1 では、作成された12 項目を因子分析し、最終的には、第1 因子の12 項目から成る「AL」(一般因子)とAL に寄与する外化3 項目だけの「AL 外化」(グループ変数)の2 因子からなるBifactor モデルによって解を見いだした。確認的因子分析をおこなった結果も、Bifactor モデルがもっとも適合度が高く、妥当なモデルだと判断された。研究2 では、異なるサンプルに研究1 の結果を適用し、同様の因子構造、確認的因子分析、信頼性を確認し、そのうえで外部変数として学習向上、能力向上、成績との相関関係を検討した。妥当な相関関係があると認められた。The purpose of this study is to develop the "Active Learning (Externalization) Scale" that measures the quality of active learning—a task central to testing the effects of active learning. In Study 1, the factors were analyzed against 12 active-learning items, and we finally found out, in the Bifactor model, the first general factor, "AL" consisting of 12 items and the second group factor consisting of 3 items, "AL-externalization" that contributed to AL. That Bifactor model is ultimately identified as a more viable model, more suitable by the Confirmatory Factor Analyses (CFA). In Study 2, these findings were further confirmed by using different samples: we also identified valid correlations when using learning and competency or achievement as the outer variables.
著者
若原 妙子 石川 芳治 服部 恭也 森山 希美 臼井 里佳 岩﨑 紀子 船木 健
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.128, 2017

<p>降雨量は自然環境を評価するための基本データであり、水資源量の把握や土砂災害予測の指標として欠かせない。地上で直接降雨を観測する雨量計は、無風で上空が開けた平地に設置することが理想とされる。しかし実際の雨量観測値には、地形や風、雨量計の受雨面積など様々な影響が加味されている。本研究では東京都大島町(伊豆大島)の草地斜面に通常の転倒マス型雨量計、受雨面積が転倒マス型雨量計の約40倍である雨量検定装置および風向風速計を設置し、降雨、風および受雨面積が降雨捕捉に与える影響を調査した。その結果、降雨イベント毎の雨量は、雨量検定装置のほうが雨量計より約6-8割多かった。降雨量15-80mmの中程度の降雨イベントでは、風速が強まると雨量計の降雨捕捉率は低下した。平均風速5m以上では、雨量計の降雨捕捉率は約5割まで低下した。また、大きな降雨イベントで雨量捕捉率は低下した。強雨・強風下で計測された雨量には捕捉損失が多く含まれると考えた。降雨と風速は関係するため、今後は短い時間分解能で捕捉率を解析するとともに、斜面向きと風向の影響を解析する。</p>
著者
土田 孝 森脇 武夫 田中 健路 中井 真司
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.53-68, 2016
被引用文献数
6

2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,107か所の土石流と59か所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者75名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本災害は急激な気象の変化により線状降水帯が形成されて,特定の範囲に時間80mmを超える猛烈な雨が突然降り出して2時間以上継続することにより発生した。本報告は雨量を用いた土砂災害の危険度評価手法が本災害をもたらした雨量についてどのように適用されたかを検討し,今後改善すべき点について考察を行った。
著者
森 幹男 槇本 由希 荻原 慎洋 谷口 秀次 高橋 謙三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.448, pp.71-75, 2004-11-12
参考文献数
11
被引用文献数
2

骨導音声を電気信号に変換する骨伝導マイクロホンはハンズフリーで,ヘッドセット型マイクロホンと比較して周囲騒音の影響も受けにくい.このため,ウェアラブルコンピュータの入力装置としての利用が期待できる.本研究では,日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声の対数パワースペクトルの差を特徴量として用いて話者識別実験を行い,雑音耐性を含めた詳細な検討を行った.その結果,気導音声のみを用いた場合と比べ雑音耐性が高いことが明らかとなった.また,骨導音声の歪み率を特徴量として用い,歌声に対して裏声判別を行った結果,表声-裏声換声点の検出が可能であり,この歪み率を話者識別の特徴量として用いることによって話者識別率の向上が期待できることが明らかとなった.
著者
森岡督行著
出版者
晶文社
巻号頁・発行日
2014
著者
藤森 隆郎
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.435-441, 1977-12-25 (Released:2008-12-18)
参考文献数
20

米国カリフォルニア州北部の太平洋沿岸のセソペルセコイア(Sequoiasempervirens)の成熱した天然林を調査し,幹の現存量と林分構造を解析したoその構造は複層をなし,センペルセコイアがすべてめ階層で優占していた。他の木本種は常緑広葉樹が主で,中層の下部と下層に出現した。上層木の平均樹高は87.6mで,幹の総材積と乾重:量はそれぞれ1e, 817m3/haと3,461ton/haであった。地上1.7mにおける幹の断面積合計は338m2/ha,幹の現存量密度.(林分の幹の乾重/上溜木の平均樹高と林分面積の積)は3.95kg/m3であった。上記の成熟林のそばにある47年生のセソペルセコイアの2次林を測定し,その上層木の平均樹高ほ45.8m,地上1.3mの幹の断面積合計は152m2/haという値を得た。
著者
小森 めぐみ
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.191-213, 2016

<p>Quantitative studies and process models of narrative persuasion published since 2000 were reviewed in order to identify influences of narratives on readers' attitudes that result from changes in thinking and affect. Firstly, characteristics of narrative persuasion research were briefly introduced by summarizing definitions of narratives and attitudes, and by illustrating typical methodologies of narrative persuasion research. Secondly, theories on the process of narrative persuasion and narrative experiences were reviewed. These models were then integrated and the process of narrative persuasion was categorized into thinking and affective routes, and each process was explained with reference to supportive studies. It was suggested that the affective route currently has stronger empirical support than the thinking route. Finally, topics for future research were suggested, which include closely examining each process, improving methodologies, and comprehensively investigating relationships between narrative persuasions and narrative experiences.</p>
著者
八代田 千鶴 森元 萌弥 中須 真史 岡本 宏之 鈴木 正嗣
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林におけるシカによる被害防止のためには、捕獲による個体数管理も重要である。そこで本研究では、植栽地での捕獲実施によるシカの出没状況への影響を検討した。三重県多気郡大台町内のパッチディフェンスを設置した広葉樹植栽地(3.2ha)において調査を実施した。2012年度(以下、12年)および2013年度(以下、13年)の2年間実施し、両年とも調査期間は11月~4月とした。植栽地内に設置した自動撮影カメラを用いてシカの出没状況を記録し、12月および2月に2週間ずつ給餌を行った。捕獲は12年のみ実施し、給餌期間中に誘引狙撃法により3回実施した。また、植栽地内および周辺の林内に固定コドラートを設置し、1カ月あたりの平均糞粒数(個/m<sup>2</sup>)を測定した。シカの出没頻度は、給餌期間中に増加したことから、給餌によりシカの出没を誘導できることが確認できた。12年の捕獲では、合計8頭のシカを捕獲した。実施前の平均糞粒数は、林内では0.5個以下であったが、植栽地内では約7.5個と多かった。実施後における植栽地内の平均糞粒数は実施前の半分に減少し13年も同水準であったことから、捕獲により植栽地内へのシカの出没頻度を減少させる一定の効果があると考えられた。
著者
今井 亮太 大住 倫弘 平川 善之 中野 英樹 福本 貴彦 森岡 周
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-7, 2015-02-20 (Released:2017-06-09)

【目的】術後急性期の痛みおよび運動に対する不安や破局的思考は,その後の痛みの慢性化や機能障害に負の影響を及ぼす。本研究は,術後急性期からの腱振動刺激による運動錯覚の惹起を起こす臨床介入が痛みの感覚的および情動的側面,ならびに関節可動域の改善に効果を示すか検証することを目的とした。【方法】対象は,橈骨遠位端骨折術後患者14名とし,腱振動刺激による運動錯覚群(7名)とコントロール群(7名)に割りつけて準ランダム化比較試験を実施した。課題前後に,安静時痛,運動時痛,Pain Catastrophizing Scale, Hospital Anxiety and Depression Scale,関節可動域を評価した。介入期間は,術後翌日より7日間,評価期間は,術後1日目,7日目,1ヵ月後,2ヵ月後とした。【結果】反復測定2元配置分散分析の結果,VAS(安静時痛,運動時痛),関節可動域(掌屈,背屈,回外,回内),PCS(反芻),HADS(不安)の項目で期間要因の主効果および交互作用を認めた(p<0.05)。期間要因では,両群ともに術後1日目と比較し,7日目,1ヵ月後,2ヵ月後に有意差を認めた(p<0.05)。【結論】術後翌日から,腱振動刺激を用いて運動錯覚を惹起させることで,痛みの程度,関節可動域,痛みの情動的側面の改善につながることが明らかにされた。また,痛みの慢性化を防ぐことができる可能性を示唆した。
著者
中里 和弘 塩崎 麻里子 平井 啓 森田 達也 多田羅 竜平 市原 香織 佐藤 眞一 清水 恵 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-271, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.
著者
後藤 恵 梶 龍兒 森垣 龍馬
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

大脳基底核回路の中核的役割を演じる線条体にはストリオソームとマトリックスと呼ばれる2つの機能分画が存在する。研究期間内に、ジストニア症状を呈する遺伝子改変動物モデルまたヒト疾患モデルではドパミンD1受容体シグナルの低下がストリオソームに選択的に存在することを見出した。さらに、ジストニアを主症状とする線条体変性疾患ではストリオソーム優位の神経細胞脱落がみられるが、このコンパートメント特異性病変の形成にニューロペプチドYやPSD-95 などの神経保護因子の発現が関与していることを示した。これらの所見はジストニアの発現機序として私が提唱する“ストリオソーム仮説”と符号するものである。