著者
橋本 智也
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE)
巻号頁・発行日
vol.2015-CLE-15, no.1, pp.1-5, 2015-01-24

大学には,質を伴った学修時間の増加・確保と,改善を組織的に継続させる内部質保証の体制整備が求められおり,その実現のためにはデータに基づく検証システム (institutional research;IR) の確立が有効とされる.しかし,その具体的な分析方法,組織的な取り組み方については,研究の蓄積が十分ではない.そこで,本研究では,学生の学修時間を質・量ともに向上させるための組織的な取り組みを行った.具体的には,学生の学修時間と成績・意欲の関係について分析を行い,その結果を学内で共有した.さらに改善のための取り組みを進めている.その具体的な分析方法と実施体制を報告し,取り組み内容が一定の条件の下,他大学でも応用可能であることを示す.
著者
中野猛 下垣徹 橋本拓也 渡邉卓也
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.130-138, 2014-04-15

本稿では,オンライン機械学習を実現するためのミドルウェアであるJubatusのユースケースとして,不動産賃貸物件を題材とし,利用者の嗜好を反映させながら絞り込みを行い最終的に物件を推薦するサービスを開発した.このサービスでは物件の属性情報を基にMDS(多次元尺度構成法)を用いて探索空間を構築する.利用者の操作に応じ,その空間上で二分探索を基本的発想とする幾何的絞り込み,およびJubatusの分類器を利用した絞り込みを行い,探索空間を狭めていく.さらに3次のBスプラインによるcurve fittingを行い,絞り込みの収束点を予測した上で,利用者の嗜好に合致する物件一覧を提示する.
著者
山本 景子 橋本 光平 倉本 到 辻野 嘉宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.45, pp.211-216, 2012-05-15

創造的な活動において,制作者は対象に集中して作業を行っているため,その後の活動において有用な情報を付与する機会を失っている.そのため,自身の制作物に対してPVR(Post-Valued Recall)の問題が発生する.この問題を解決するために再発見(re-finding)に効果的なインタフェースを構築する必要があるが,創作の作業自体を妨害しないよう,活動プロセスにおける情報を充実させる必要がある.個人的活動の記録である日記においても,作成時に自身の感情をデータとして付与できれば,後の振り返り時に有用であるが,意図的にそれを行うことは感情の性質から困難である.そこで本稿では,日記作成時のキーボードの打鍵間隔時間から感情を推定する手法を提案する.感情ごとの打鍵情報の特徴を評価した結果,悲しみ・怒り・喜び・諦めの4感情のうち悲しみの感情を約7割の精度で推定することが可能であることがわかった.
著者
橋本 梓
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.69-82, 2004

The purpose in this study is to reconsider the relationship between Alberto Giacometti and Georges Bataille. This relationship was first noticed by Rosalind Krauss. In her study, she claimed that Giacometti's work has horizontality, and this responds to Bataille's "Bas Materialisme" which is an idea established in Documents. However, I think her argument is not complete because she undervalued another important character of Giacometti's work. That is violence, which means exactly death. Violence is also an important moment for "Bas Matreialisme" which is intended to collapse the philosophical hierarchy. According to Bataille's later works, this violence is banned ("interdit") in our daily life, but since we are attracted by it, it must be transgressed. Bataille claims the importance of death by showing "sacrifice" in which executor kills living thing or destroys non-living thing. In Giacometti's surrealist work, we can find some motives of murder or destruction. Those works represent the moment before the execution of murder or destruction. This Giacometti's work's special structure causes an impulse to destroy. In other words, it demands that the spectator should play the role of executor of "sacrifice". For example, in Fleur en danger, the spectator may want to cut the string which is pulling the wood bar, and that will cause the white thing ( it may symbolizes flower) to be destructed. The work provokes the spectator to confront the idea of death, both killing and being killed. Viewing Giacometti's work as "sacrifice" can be a false-experience of death.
著者
橋本 是浩 土田 秀雄 赤澤 寿一 新井 文子 乾 東雄 加藤 章三 坂本 宏和 下出 心 疋田 直樹 山本 景一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.61-80, 2005-09-30

本研究は,数学学習での「文字」の習熟の実態について,中学生・高校生・大学生を対象として,予備調査を行った。予備調査の調査結果の部分的な分析から中学生・高校生の文字に対する未成熟なイメージの実態を明らかにするとともに,それらの結果から 仮説(I):生徒は,文字の表す「数」を固定的に捉えている 仮説(II):生徒は,文字のイメージを自然数的に捉えているの2つの仮説が導出できたことを報告する。
著者
橋本 学
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.521-530, 1996-03-12 (Released:2010-03-11)
参考文献数
23
被引用文献数
2 3

We calculate static stress changes for the fault model derived from geodetic data before and after the magnitude=7.2 Kobe earthquake of January 17, 1995 in order to examine the possible correlation between changes in seismicity in the surrounding regions and stress changes.The Coulomb failure function (CFF) for right lateral slip on NE-SW or nearly E-W trending vertical faults may increase in the north of the Arima-Takatsuki Tectonic Line, where the activation of seismicity is observed. CFF for left lateral slip on NW-SE trending vertical faults may also increase around the Yamasaki fault, northwest of Kobe, which is consistent with the activation of seismicity there. In the northern Kinki district, where seismicity became a little bit lower, CFF is predicted to decrease. CFF may change a little in the Wakayama region, where significant seismicity changes are not observed.The Kobe earthquake may have loaded the Arima-Takatsuki Tectonic Line, segments of the Median Tectonic Line in Wakayama and Tokushima and westward dipping thrusts in the Osaka plane. Therefore we should carefully monitor the crustal activity around these tectonic lines.
著者
川崎 弘作 雲財 寛 中村 大輝 中嶋 亮太 橋本 日向
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.85-90, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
14

本研究では,生命領域における探究の特徴を踏まえた学習指導が知的謙虚さの育成に有効か否かを明らかにすることを目的とした.このために,小学校第6学年「植物のからだのはたらき」において授業実践を行った.その結果,量的分析から,知的謙虚さ得点の平均値が実践後に向上していたと判断できる結果が得られなかった.このため,生命領域における探究の特徴を踏まえた学習指導が知的謙虚さの育成に有効であるとはいえないと判断した.その一方で,本研究の成果と先行研究の知見を比較することを通して,知的謙虚さの育成に関する新たな視点として,「自身の考えが誤っている可能性を常に疑い続ける学習」が有効であるという示唆を得ることができた.
著者
橋本 裕子
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.33-40, 2017-12-25 (Released:2019-04-19)
参考文献数
9

線維筋痛症患者を理解するのは難しいと言われることが多々あるが,その原因の一つは,医療現場では時間がないこと,もう一点は,医療者と患者の立場,目指すものの違いであろう.患者は一刻も早く「この痛みから解放されたい」「今度こそこの医師に分かって欲しい」と強く思っている.「治るのか,一生治らないのか」「特効薬はないのか」「誰なら治せるのか」などの性急な相談がたくさんある.患者の気持ちとしては当然だろう.耐え難い痛みと不安,早く職場に復帰しなければ失職する,長期間医療費を負担する困難,家族に対する遠慮.発症に至る経緯,話したいライフストーリーが積もり積もっている.これを紐解くにはかなりの時間と聞き出す側のゆとりが必要である.治療には長期間かかるが,じっくり取り組む環境をまず作らなければならない.患者が現実に直面する困難や不安,治りたいと苦悩する気持ちを日頃の電話相談から紹介したい.
著者
橋本 知幸
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.113-115, 2013-11-15 (Released:2019-04-10)
参考文献数
8

吸血源の周囲にディートを残留処理した時の,トコジラミの吸血阻止効果を室内試験により評価した.供試虫としては,殺虫剤感受性系統(帝京大系)とピレスロイド抵抗性系統(千葉系)を用いた.その結果,対照区における2日間の平均吸血率は,帝京大系と千葉系がそれぞれ,58.6%と86.8%を示した.一方,処理区ではディートの薬量が増加するほど吸血率は低くなった.処理区の10 g/m2では,帝京大系と千葉系の2日間の平均吸血率がそれぞれ,2.1%と17.7%にとどまり,一定の吸血阻止効果を発揮した.本研究の結果から,ディートの肌以外の面への残留処理によって,トコジラミの吸血行動を防ぐ可能性が示唆された.
著者
橋本 文章 春山 道子 山下 登喜雄 磯 敏明
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.126-133, 1989-09-15 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
4 2

The effect of the alkyl chain length of fatty acid soaps (C12-C18) and the other type of surfactants using for cleansing foams on adsorption on skin and on selective cleaning ability have been studied. It has been also examined whether there is any relationship between the adsorption volume of the surfactants, selective cleaning ability and skin condition.Squalene and cholesterol were used as indicator of the selective cleaning. The selective cleaning ability of the surfactants has been obtained from the wash-off ratio of cholesterol/squalene +cholesterol. Potassium palmitate and potassium stearate indicated to have higher wash-off ratio than other surfactants and had the selective cleaning ability. Besides these surfactants did not adsorb on skin. Moreover in an users' test of cleansing foams, the skin condition applied the sample including palmitic acid and stearic acid was better than that of another sample.In conclusion, it has been suggested that the surfactants which do not adsorb on skin and have selective cleaning ability maintain the skin condition to be good.
著者
大西 献 大西 典子 藤田 淳 原 浩二 橋本 達矢
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.816-824, 2014 (Released:2014-12-15)
参考文献数
23
被引用文献数
4

In Fukushima Daiichi nuclear power plant in which the accident occurred by the East Japan Earthquake in 2011, in order to avoid radioactive exposure of workers, many robots are used. However, it seems that the nuclear peculiarity and the singularity of Fukushima obstruct ordinary robot technicians' entry. In order to make these barriers low, we explain how the nuclear power plant company is designing the robot, and argue also about the difficulty of mechatronics.
著者
遠藤 正英 橋本 将志 篠原 志保 児玉 春生 猪野 嘉一
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.50-52, 2016-01-01 (Released:2017-01-18)
参考文献数
6

脳卒中片麻痺患者において,長下肢装具の使用は重要である.しかし,種々の理由により長下肢装具の処方を躊躇することがある.そこで,短下肢装具へ容易に変更可能な長下肢装具があれば,用途に応じた使用が可能になると考え本装具を作製した.本装具を症例に使用したところ,訓練中は長下肢装具と日常生活は短下肢装具での使い分けが可能となり,日常生活が車椅子で自立した.また,麻痺の状態に応じて長下肢装具,短下肢装具の使い分けも可能だったため,カットダウンがスムーズに行え,短下肢装具での退院が可能となった.
著者
横山 拓真 橋本 千絵 古市 剛史
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第36回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2020 (Released:2021-04-23)

ボノボは類人猿の中で唯一、メス中心社会を築いている。メスの社会的順位はオスと同等またはそれ以上であり、社会的交渉や性的交渉、遊動の主導権はメスが握ると言われ、このようなメスの特徴が平和的な社会を維持するのに重要だとされている。またボノボは、交尾を繁殖目的だけではなく、食物分配のために行うなど、社会的機能を含むことがあり、メス同士では「ホカホカ」と呼ばれる特徴的な社会的・性的交渉が観察される。さらに、ボノボのメスには「ニセ発情」と呼ばれる、排卵を伴わずに性皮を腫脹させる特徴的な生理状態がある。チンパンジーと比較すると、ボノボは社会構造、社会的・性的交渉、メスの生理状態において大きく異なる特徴を持つ。 これまでの遺伝的研究では、ボノボの子どもの50%以上はアルファオスの子どもであるため、高順位オスは効率的に交尾を独占しているだろうと言われていた。一方で、行動観察からは、ボノボは常に複数のメスが同時に性皮を腫脹させているため、高順位オスは交尾を独占できないだろうとも言われていた。また、「ホカホカ」は社会的緊張の緩和や順位誇示など、複合的な機能があると考えられてきた。しかし、ボノボの社会的・性的交渉をメスの生理状態と行動学の見地から分析した研究は少ない。 本研究では、コンゴ民共和国ルオー学術保護区にて、ボノボの交尾と「ホカホカ」における相手選択の傾向と、メスの生理状態との関連を分析した。その結果、高順位オスは相手のメスの生理状態に関わらず、独占的に交尾をしている傾向が見られた。また、「ホカホカ」では、高順位メスが誘いかけることが多く、他の調査地で見られるような、マウントポジションを取ることによる順位誇示は行われていないことが明らかになった。
著者
橋本 三嗣
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.41-50, 2001-06-30 (Released:2018-05-08)

本稿の目的は大学1年生と3年生の論理的思考力を調査し,その様相を明らかにすることである。そのために国立大学の大学1年生と3年生に対して調査を行い,調査対象者を専攻,学年,性別という3つの観点から分け,また調査結果を推論の型・問題の内容という視点から分析・考察した。そして中学校3年生の調査結果と比較した。その結果,次のことが明らかになった。(1)同じ学年で比較した場合,大学で数学を専攻している大学生は大学で数学を専攻していない大学生よりも調査得点が有意に高い。(2)大学で数学を専攻している大学生の集団に限り, 3年生が1年生より調査得点が有意に高い。(3)専攻別の大学生の集団の中には,女性が男性よりも調査得点が有意に高いものもある。(4)推論の型については,逆型と裏型の問題の正答率が低く,問題の内容については,日常的,仮想的な事柄の下での問題の正答率が低い。(5)調査結果に関して大学生を中学校3年生と比較した場合,大学生は中学校3年生より数学的な事柄の下での問題の正答率が高い。これらより,今回の調査で点数化した論理的思考力は,特に大学の数学を学ぶことで飛躍的に伸びると推測される。
著者
神内 謙至 橋本 善隆 新美 美貴子 山下 亜希 山内 光子 四井 真由美 西田 なほみ 山崎 徹 早川 太朗 中山 英夫 槻本 康人 並河 孝 笹田 侑子 前林 佳朗 高橋 正洋 磯野 元秀
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.256-263, 2014-04-30 (Released:2014-05-19)
参考文献数
9

50歳女性.平成4年に糖尿病を指摘され平成16年より当院にて加療中.低血糖で救急搬送された既往あり.インスリン治療で血糖コントロール不良,また低血糖も起こすため,平成23年2月教育入院となった.入院中,血糖正常であるものの低血糖症状のためパニックになることがあった.翌日のスケジュールを説明しても当日になると忘れる,糖尿病教室でテキストを忘れる,と言う出来事があった.そのため,注意欠如/多動性障害(ADHD)を疑い本人の同意の上で滋賀医科大学精神神経科に紹介しADHDの診断となった.抽象的な情報を処理する能力は低く,簡潔で具体的な手本を示し,時間的余裕が必要な症例であると判断された.全成人の4.7 %の有病率とされるADHDであるが,今のところADHDと糖尿病の合併にかかわる報告は極めて少ない.血糖コントロールが極めて悪化することが考えられ,適切な治療方法が必要である.