著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2016-IS-138, no.7, pp.1-8, 2016-11-26

動物園における業務は,動物の飼育や,来園者向けサービス等,日々変化する状況への対応が求められる非定型的な業務が大半である.京都市動物園では,これらの業務の記録を,自由形式のテキストを中心とした 「飼育日誌」 としてシステムに蓄積し,検索可能としている.しかし,記録者の主観や日々の課題意識の変化等により質にばらつきが生じやすいため,このような自由形式の記録は,日常の業務報告としては十分であっても,飼育知識として事後に活用することが困難である等といった課題がある.本研究は,著者らがこれまでに開発した,飼育日誌管理システムで,これらの課題を解決することを目的としている.その方策を検討するため,著者らは,2014 年度に京都市動物園で作成された飼育日誌を対象として,主題や,その時系列的な変化等について分析を行った.本稿では,この分析について説明し,課題解決に向けた検討を行う.
著者
間瀬 由紀 荒武 幸代 渡邊 伸彦 小林 則子 増田 康子 杉野 裕子 田口 多恵 田中 優司 田中 生雅
出版者
愛知教育大学保健環境センター
雑誌
Iris health : the bulletin of Center for Campus Health and Environment, Aichi University of Education (ISSN:13472801)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.13-16, 2014

大学生の自己健康管理を促すきっかけを作るため、ルームスプレー作りを通してアロマテラピー体験を行う健康講座を2012年度より本学の保健環境センターで開催した(全9回)。第7回までは女性の参加者が大多数だった。2014年度は男子学生の参加を促すために男性限定で健康講座を開催した。1回目の開催では男子学生の参加が無かったが、2回目では男子学生の参加があり講座は好評を得られ終了した。今後も募集方法や開催日時、内容等を検討して、参加できる学生が増えるように工夫していく必要がある
著者
鈴木 克美 西 源二郎 田中 彰 久保田 正
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

駿河湾産の深海性軟骨魚類のうち、生物学的に最も貴重とされるカゲラザメ目のラブカの生態に関する知見を得ることを研究の主目的とした。1984年1月〜1988年12月に、湾内で操業されているサクラエビ中層曳網等の深海漁業を利用し、沼津から焼津にかけての沿岸水深60〜450mから、242個体(雌116個体、雄126個体)を得た。全体の90%の標本が水深200m以浅で得られた。雌の全長125.6〜181.0cm、体重3670〜17370g;雄の全長117.8〜155.9cm、体重2780〜6360gであった。成体70個体の水槽飼育において最長飼育日数は7日間であった。長期間飼育のためには、網にかかってから輸送終了までの体の損傷防止が必須と考えらた。一方、低比重の肝臓の浮力が水槽内での遊泳を著しく妨害げている様子が見られたので、タロウザメで再加圧試験を行ったところ、常圧から45気圧に加圧して17分後に、水面直下に浮く状態から中層付近への移動が見られた。食性調査に用いた139個体(雌77個体、雄62個体)の胃内容物は、イカ類23例、魚類4例、同定不能な飼料残査の見出された1例であった。一方、空胃率が73.4%と高く、他の大型中深層性魚類と同じく、ラブカが慢性的飢餓状態にあるもおとみなされた。生物学的最小形は雄全長約110cm以下、雌全長約140〜150cmで、特定の繁殖期は認めにくい。卵巣卵は径80〜90mm、卵重230〜250gで排卵され、卵殻腺内で受精し、卵殻に包まれ子宮内で発生する。胎仔は全長約80mmで卵殻から出て子宮内で育ち、全長約550mmで出生する。雌2個体から取り出した受精卵を、自然海水を満たした小水槽内でしいくし、水温8.3〜15.5°Cにおける最長生存期間は134日で、胚体は最初の全長約29mmから全長69.4mmに成長した。
著者
仲田 かおり 清水 雅俊 島 尚司 田中 将貴 堀 啓一郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1110-1114, 2006
被引用文献数
5

症例は73歳,男性.急性舌腫脹による咽頭腔の閉塞で呼吸困難をきたし救急搬送された.ただちに経鼻エアウェイ挿入で気道確保のうえ,同チューブから酸素投与がなされた.内視鏡検査では鼻咽腔および喉頭には浮腫がおよんでいないことが確認された.舌腫脹は強力ネオミノファーゲンCとマレイン酸クロルフェニラミンの投与により,しだいに軽快して約5時間後には会話可能となった.発症10時間後に施行されたMRI検査では,咽頭腔を塞ぐように舌が腫脹していたが舌内に膿瘍や出血は認められなかった.上記の投薬を続けることにより舌腫脹は4日後には完全消失した.急性舌腫脹の原因は,66歳時から80カ月間投与されていたアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬リシノプリルによる血管浮腫と考えられた.また,発症時の検査で腎機能障害が増悪しており,感冒に対して前日まで内服していた消炎鎮痛剤が原因と考えられ,さらに,リシノプリルの尿中排泄低下により血中濃度上昇を助長したものと考えられた.わが国におけるACE阻害薬が原因の血管浮腫は比較的稀であり,とくに舌腫脹の報告は本例を含めて計11例に過ぎない.しかしながら,死亡例も報告されており,気道確保を含めた適切な対応が重要である.また,ACE阻害薬内服者に顔面や口唇の浮腫や舌の違和感などの訴えがあれば,ただちに投与は中止されるべきである.
著者
加藤 泰介 阿部 佑一 那波 宏之 木南 凌 廣川 祥子 田中 稔 水野 誠 Kato Taisuke Abe Yuichi Nawa Hiroyuki Kominami Ryo Hirokawa Shoko Tanaka Minoru Mizuno Makoto
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.683-690, 2010-12

ニューレグリン-1 (Neuregulin-1: NRG1) は統合失調症の感受性遺伝子として報告された神経栄養因子である. これまでに様々なNRG1遺伝子の遺伝子改変マウスが作られ, 統合失調症モデル動物としての評価が行われてきた. NRG1は細胞移動・軸策誘導・ミエリン形成等の中枢神経系発達を制御する機能を担っている. また, NRG1は末梢神経系においても栄養因子として働き, 内耳蛸牛神経細胞の生存に関わっている. そして, NRG1と受容体であるErbBシグナルの異常は聴力の低下を引き起こすことが知られている. 従って, NRG1シグナルの障害は異常な神経発達を引き起こすと考えられる. 遺伝的要因に加えて胎児の低酸素障害などの環境因子も統合朱謂症のリスク因子と考えられており, これらはNRG1の発現異常も誘導する. よって遺伝的背景・環境要因は共に異常なNRG1シグナルを引き起こすことによって, 神経発達障害という統合失調症の原因仮説に結びつくことが予想される. 今回私は, 神経発達段階での過剰NRG1シグナルと統合失調症発症リスクとの関係を検討した. 新生仔マウスに対して組換えNRG1ペプチドを投与した後, 認知行動解析による評価を行った. プレパルスインヒビション (prepulse inhibition: PPI) は不必要な情報を取り除く知覚フィルター機能を評価するものであり, 統合失調症で低下が報告されている. 動物モデルを用いたPPIの測定は音驚愕反応を用いて行われ, NRG1遺伝子改変マウスにも障害が報告されている. しかしながら, これまでの遺伝子改変マウスは全身性変異でありながら聴覚機能を調べられた例はない. そこで私はNRG1投与マウスの認知機能に加えて聴覚機能の解析も同時に行った. 認知行動解析の結果, NRG1投与マウスは劇的なPPIの低下と, 音条件付け学習の低下を示した. 加えて, 統合失調症の陰性症状を反映すると考えられている社会性行動にも障害が見られた. しかしながら聴性脳幹反応を用いた聴覚機能解析の結果, このマウスには重度の聴力異常があることが分かった. この結果はこれまでに報告されてきたNRG1ミュータントマウスのPPIの低下には聴覚系への影響が関わっているという重要な懸念を示唆するものである. だが, 聴覚系が関与しない社会性行動試験の結果は遺伝子改変マウスの異常形質を再現するものであり, 神経発達段階でNRG1シグナルの異常がこの疾患に何らかの関わり持っている可能性を示している.
著者
田中 一広 玉城 一 大久保 宏貴 赤嶺 良幸 大城 義竹 屋良 哲也 外間 浩 仲宗根 朝洋 金谷 文則
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.562-565, 2007-09-25
被引用文献数
1 1

比較的まれな特発性一過性大腿骨頭萎縮症の3例を経験したので報告する.【症例1】44歳男性.2週間前ジョギング後より左股関節痛出現,MRIより特発性一過性大腿骨頭萎縮症(以下TOH)と診断された.免荷とし外来にて経過観察していったところ6週後から疼痛は消失,3カ月後のMRIでは異常信号は認められなかった.【症例2】35歳女性.妊娠30週ころより右股関節痛出現,出産後当科外来受診した.MRIにてTOHの診断に至り現在免荷にて外来通院中である.【症例3】32歳男性.1カ月前より右股関節に荷重時疼痛認められ,近医にて加療を受けていたが,症状改善せず当科紹介受診した.可動時痛は認められなかった.MRIによりTOHの診断に至り,外来にて経過観察中である.
著者
江藤 敏治 弘野 修一 永田 賢治 加藤 順也 堀 剛 井戸 章雄 林 克裕 坪内 博仁 小野寺 誠 阿部 弘一 宮坂 昭生 川上 格 佐藤 彰宏 坂下 佳子 岩井 正勝 遠藤 龍人 滝川 康裕 鈴木 一幸 佐藤 俊一 鈴木 千衣子 内田 耕一 弘中 孝治 萱野 幸三 増原 昌明 坂井 田功 沖田 極 関山 和彦 井上 和明 与芝 真 半田 宏一 樋口 大介 井上 和明 関山 和彦 与芝 真 松原 寛 道堯浩 二郎 山内 雄介 井内 英人 長谷 部昌 山本 和寿 井上 愛 堀池 典生 恩地 森一 中西 崇 東俊 宏 狩山 和也 山野 智子 辻 孝夫 川口 光彦 糸島 達也 品川 克至 乾 あやの 小松 陽樹 松本 浩 茂木 陽 宮川 芳宏 藤沢 知雄 上本 伸二 猪股 裕紀洋 田中 紘一 平松 活志 橋本 悦子 谷合 麻紀子 野口 三四朗 長谷 川潔 林 直諒 次田 正 高崎 健 中島 一朗 渕之上 昌平 古川 博之 岸田 明博 大村 孝志 松下 通明 藤堂 省 藤田 美悧 清水 道夫 橋倉 泰彦 三田 篤義 窪田 達也 三輪 史郎 池上 俊彦 寺田 克 宮川 眞一 川崎 誠治 君川 正昭 渕之上 昌平 春口 洋昭 唐仁原 全 中島 一朗 阿岸 鉄三 白髪 宏司 伊藤 克己 高崎 健 橋本 悦子 林 直諒 田中 紘一 上本 伸二 猪股 裕紀洋 阿曽沼 克弘 江川 裕人 藤田 士朗 木内 哲也 林道 廣 田中 紘一 石井 邦英 古賀 郁利子 神代 龍吉 草場 信秀 佐田 通夫 坂本 照夫 加来 信雄 森岡 千恵 菊池 英亮 松尾 英城 中谷 吉宏 豊川 泰勲 富永 謙太郎 山尾 純一 福井 博 福田 邦明 安部井 誠人 遠藤 憲一 本橋 歩 正田 純一 松崎 靖司 田中 直見 古坂 明弘 高橋 正明 平本 淳 白浜 圭吾 永山 和男 田中 照二 Yusufu Youlutuz 松井 淳 持田 智 藤原 研司 小畑 達郎 中島 千種 岡山 昌弘 大野 研而 宮下 智之 田村 明彦 絵野 沢伸 鈴木 盛一 雨宮 浩 青木 達哉 小柳 泰久 山際 健太郎 川原田 嘉文 八木 真太郎 飯田 拓 横井 一 垣内 雅彦 足立 幸彦 飯田 拓 田端 正己 町支 秀樹 横井 一 川原 田嘉文 東口 高志 今井 俊積
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-198, 1999
著者
田中 俊明
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日文研叢書 (ISSN:13466585)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.417-436, 2008-12-26
著者
田中 利佳 一柳 達幸 角田 和代 Rika TANAKA Tatsuyuki ICHIYANAGI Kazuyo KAKUTA 鈴鹿大学 鈴鹿大学 鈴鹿大学 Suzuka Universitiy Suzuka Universitiy Suzuka Universitiy
出版者
鈴鹿大学
雑誌
鈴鹿大学紀要Campana = Suzuka University journal (ISSN:21896984)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.79-92, 2016-03-10

熱気球の運航は、気象の変化に大きく影響を受ける。そのためパイロットは、安全な運航を行うための気象に関する知識と変化を予測する力が必要である。気象の変化をより正確に予測するために必要な知識は、天気図の解読、雲の特徴、地形特有の気象変化などである。さらにパイロットは、見えるもの、感じるもの全てから気象の情報を得る姿勢を持ち、気象の変化を正確に予測するトレーニングを続けることが重要である。不特定多数のゲストを搭乗させる係留は、ロープで地上に固定されていること、活動する時間帯が日中であること、活動が長時間に及ぶことから、自由飛行以上に気象の変化に影響を受ける。したがって、パイロットは、係留を安全に行うために「係留の中止を決定する基準」を持つ必要があり、その基準は、次の1~5であると考えられる。1.風速4m/sec またはパイロット技能の許容範囲を超えているとき2.インフレ時に球皮が暴れクルーが振り回されるとき3.クルーが地上で熱気球を静止させることが不可能なとき4.サーマルの発生もしくは強い上昇気流が発生したとき5.積乱雲の急激な発達が確認されたとき
著者
田中 秀幸 角 保志 松本 吉央
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-147, no.3, pp.1-5, 2012-06-15

AR マーカは手軽に使える AR ツールとして有用であるが,正面付近から観測したときの姿勢精度が悪いという問題がある.我々は新しい原理に基づく AR マーカを開発し,この問題を解決した.本マーカは,レンチキュラーレンズまたはマイクロレンズアレイを用い,視線角度に応じて変化するモアレパターンを生成する.これを画像解析することで高精度 (画像上で 50 ピクセル程度あれば誤差 1 deg 未満) かつ安定した姿勢推定が可能である.
著者
小磯 健吾 森 威久 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.109-126, 2000-02-15
被引用文献数
2

本論文では仮想空間メディアというものを情報探索のための媒体として提案し,この概念を実現するのに必要なアルゴリズム等について述べる.仮想空間メディアとは実空間の特徴を継承し,仮想空間ならではの特徴も併せ持った情報探索を支援するための媒体として位置付けている.我々は検索目的が曖昧なユーザの情報探索支援を行うために,実データのブラウジング,複数サンプル選択による質問の自動形成,並びに試行錯誤型の質問形成を仮想空間を効果的に用いることによって行うことを提案する.仮想空間メディアを用いた情報探索では,ユーザは検索対象のオブジェクト自身をブラウジングでき,サンプルを複数選択することによって質問を自動的につくることができる.興味の揺らぎを想定した論理和型質問が選択されたサンプルに基づいてつくられるため,ユーザは意識せずにブラウジングを続けることができる.検索結果は内容に基づき分類され動的に自動生成される仮想空間内に空間的に呈示されるため,ユーザはそれらのオブジェクトをブラウジングして再びサンプル選択することにより,質問を段階的に洗練することができる.仮想空間内にオブジェクトを空間配置し,効果的にブラウジングするために,オブジェクトを表示すると同時にその属性情報も呈示している.ユーザはオブジェクトを観察する際,周囲のものと比較しながら見ているものと考えられるが,ウォークスルーによって変わる視野内のオブジェクトに応じて動的な属性情報呈示を行うための制御アルゴリズムも考案している.アルゴリズムの検証のため,プロトタイプの実装についても触れることにする.In this paper, we propose Virtual-Space Media as media for supporting information retrieval and discuss several algorithms necessary for their realization. We think of Virtual-Space Media as media inheriting some of the characteristics of real space and making use of dynamic nature of virtual space at the same time. In order to help users who do not know how to formulate queries to find the information they need, we propose a method of information retrieval based on browsing of actual data, query formulation by multiple sample selection, and try-and-error type incremental query refinement making effective use of virtual spaces. Using Virtual-Space Media, users can spatially browse the data and automatically formulate queries by multiple sample selection. Our algorithm for determining disjunctive queries enables the users to keep on browsing and selection samples without caring about the changes in their interests. Query results are calssifind and spatially presented to the users in dynamically generated virtual spaces so they can browse them and make sample selections again in order to refine their queries. We present the attribute information of objects as well as the objects themselves so the users can browse and obtain information more effectively. When one watches an object, one compares it with other objects visible in one's view. We also propose an algorithm for controlling the presentation of attribute information such that users can see the differences among the objets which come to their view. Therefore the information the users see changes as they walk through the virtual space viewing different objects. We also describe some of our implementations in order to evaluate our algorithm.
著者
中村 哲 岩坂 英巳 根來 秀樹 サクリアニ サクティ 戸田 智基 Neubig Graham 田中 宏季
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

自動ソーシャルスキルトレーナと題して,ソーシャルスキルトレーニング(SST)の過程を人間と対話エージェントの会話によって自動化する研究を進めてきた。これまでに開発したシステムは、自閉スペクトラム症での効果測定をしていなかったという問題があった。最終的な実験的評価として、自動ソーシャルスキルトレーナを使用し、10 名の自閉スペクトラム症者における訓練の効果を調査した。50 分間のシステムを使用した訓練実験により、有意に話のスキルが向上していることを示し、自動ソーシャルスキルトレーニングが有効であることを示してきた。これからも希望者がいつでもどこでも手軽に使用できる SST を目指していく。
著者
田中 賢二
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
no.143, pp.1-11, 2010
被引用文献数
1

スイス―ドイツ語圏ベルン邦―の前期中等教育段階における科学教育の現状を,いわば学校教育法,同施行規則,学習指導要領などから,初等教育段階との対比に注目し,明らかにした。科学教育はともに筆頭教科である自然―人間―共同社会の中の科目理科で行われている。初等教育段階とは違って,前期中等教育段階では教科内に総合をも設定し,テーマと科目や総合との対応,また,科目毎の授業時間数,総合と裁量の為に使われるべき授業時間の割合を示している。前期中等教育段階の科学教育における目標は,初等科学教育と比べると,認識と知識の習得が重要になってきており,広がりと深化を示している。内容の関連性への配慮要請,拘束性は,前期中等教育段階の科学教育の方が大きく,弱い。また,内容の連続性は,両段階で共通の唯一のテーマでさえ,考慮されているとはいい難く,教員に託されていることは大きいといえる。
著者
余田 成男 林 祥介 伊賀 啓太 石岡 圭一 田中 博 冨川 喜弘 中野 英之 前島 康光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.405-412, 2006-05-31
被引用文献数
1

AGUは毎年何件かの特定のテーマについて50〜100人規模のチャップマン会議を各地で開催している.今回,Robinson(Univ. Illinois)と余田(京都大学)がコンビーナーとなり,2006年1月9〜12日,ジョージア州サバンナで「地球流体中のジェットと環状構造」に関するチャップマン会議を,KAGI21,NSFとの共催で開催した(第1図に会議のポスター[figure]).Allison(NASA/GISS),Baldwin(NWRA),林(北海道大学),Haynes(Univ. Cambridge),Huang(LDEO),Rhines(Univ. Washington),Thompson(Colorado State Univ.),Vallis(Princeton Univ.)の8氏をプログラム委員に招いて,2年以上をかけて準備してきた会議である.日米をはじめ13か国から70余名の参加者があり,(A)大気中のジェット,(B)海洋中のジェット,(C)大気の環状変動,(D)惑星大気のジェットと環状流,(E)地球流体力学的にみたジェット,の5つの広範だが関連深い話題について,レビュー講演(6件),招待講演(22件),および,ポスター発表(40余件)を行った.レビュー講演は,各分野で主導的な役割を果たしてきたMcIntyre(Univ. Cambridge),Lee(Pennsylvania State Univ.),Marshall(MIT),Wallace(Univ. Washington),Allison,Rhinesの6氏にお願いした.この会議のハイライトの1つは,太平洋域の高分解能数値シミュレーション(Nakano and Hasumi,2005)で予言的に見出され,観測データで発見された海洋中の多重東西ジェット構造である.木星型惑星に見られる多重の環状流との類似性や,回転球面上の2次元乱流中におけるジェット形成メカニズムとの関連など,幅広い分野の研究者を巻き込んで熱い議論がなされた.また,傾圧擾乱による対流圏界面亜熱帯ジェットの維持過程が南極周極流のそれと力学的に相似な現象と認識しうる(基本場の傾圧性が南北加熱差によって維持されるか,海面での摩擦応力によって維持されるか,の違いはあるが)という話題も,地球流体力学的普遍性を具体的に示す好例であった.さらに,周極ジェット気流の時間変動が特徴的に環状パターンを示すという認識が,環状"mode"であるかどうかは措いても,天候の延長予報や今世紀中の気候変化予測などにも役立ちうる可能性が指摘され,実用的応用的な興味も喚起した.この機会に,KAGI21で開発した地球流体力学計算機実験集(Yoden et al., 2005)のCDを参加者全員に配布した.これは,地球流体力学の基本的な数値実験演習問題をパソコンでインタラクティブに実行し,計算結果のアニメーションを見ることができるソフトウェアである.会議終了後すでにいくつかの好意的な反応を得ており,希望者には無償で配布中である.サバンナは米国南部の観光小都市であり,会場となったホテルの近くにも昼食・夕食をみんなで食べられるレストランが多くあった.気のあった仲間同士で出かけてゆっくりと科学的な議論を続けたり,また,それぞれの近況情報を交わしたりできた.最終日のパーティーでは,McIntyre氏が飛び入りでPV song(ビートルズの"Let It Be"の替え歌)を歌い,皆の喝采を浴びた.英国あたりでは, IPVといっていた頃から歌われてきた替え歌のようである.今回の会議後,林氏が火付け役,McIntyre氏が先導役(掻き混ぜ係?)となって歌詞に関するメールのやり取りが続いた.原作のHall(CNRS),Thuburn(Univ. Exeter),さらにはHoskins(Univ. Reading),Wallace,Palmer(ECMWF),Emanuel(MIT)氏らビッグネームも加わって盛り上がり,その統一版が完成した.第2図[figure]に歌詞を掲載するので,PVファンは味わっていただきたい.http://www.lthe.hmg.inpg.fr/~hall/pvsong/pvsong.shtmlには,Hall氏の演奏もある.次節以降は,プログラム委員の林氏,および,参加者有志(アイウエオ順)の報告である.
著者
田中 素香
出版者
The European Union Studies Association-Japan
雑誌
日本EU学会年報 (ISSN:18843123)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.32, pp.29-52, 2012
被引用文献数
2

In 1985 the European Commission produced its White Paper to the European Council setting out its programme for the completion of the internal or single market in the European Community by the end of 1992. This programme consisted of some 300 legislative measures needed to guarantee the free movement of goods, persons, services and capital within the Community. The economic integration was truly the most advanced in the world and epoch-making in the history of the European Community/Union. The European Council agreed to the programme and decided to revise the EEC Treaty by the Single European Act, which came into force in July 1987.<br>Before the market integration, the Community economy stagnated for more than five years due to lacking competitiveness vis-à-vis the United States and Japan. The single market integration stimulated international oligopolistic competition within the Community and beyond. The economic growth of the Community rose to more than 3% for three years from 1988 on. The economic structure of the Community was renewed and became much more competitive than before.<br>The single market became a fundamental driving force of the monetary union with the EMS. In the 21<sup>st</sup> century, it contained Central and Eastern European countries, developing the pan-European production networks.<br>After the world economic crisis, when the demand-side stimulation of the economic growth in the European Union has been narrowly limited, the re-launch of the single market will be an effective measure to revitalize the economy. On the basis of the Monti Report of 2010, the Union is going towards the introduction of the European Market Act, which will be agreed until the end of 2012 according to today's plan of the European Commission.<br>The first single market integration, which was combined with the name of Jacques Delores, had a strategy to move oligopolistic giant companies of the Community. The second generation of the single market integration gives weight to socio-political legitimacy of the single market and seems to move consumers, workers or people of peripheral regions who could not realize benefits of the single market. At the same time, it aims to extract economic benefits from digital information technologies or other recent technical innovations. The single market is about credibility for market players including consumers etc. on the basis of hard competence and the Community method. If done properly, it can turn into a lever for higher growth in the EU following the crisis.