著者
酒井 宏昌 富田 康敬
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.801-803, 2005-12

56歳男性.患者は右背部痛および発熱を主訴に近医を受診,腹部CTで右水腎症を指摘され,著者らの施設へ紹介となった.既往歴として,27歳時より慢性腎不全に対する血液透析中であった.受診時,著明な水腎症を認め,手術の適応と判断したが患者の同意が得られず,経過観察を行ったところ,約3ヵ月後に右背部痛が増強し,今度は入院となった.入院時,膿腎症が後腹膜へ広範に波及し,敗血症性ショック,DICを合併した状態であり,メシル酸ガベキサート,ドパミン,抗生剤投与を開始し,エンドトキシン吸着療法を行った後,後腹膜膿瘍ドレナージ術を施行した.術後,ドレーンからの排膿が持続したため,最終的に右腎摘除術を行うに至ったが,術後経過は良好であった
著者
酒井 恵 内田 誠一 岩村 雅一 大町 真一郎 黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.491, pp.1-6, 2008-02-14

文書画像の回転(スキュー)を補正するため,事例ベース傾き補正法を提案している.事例を用いることにより,文書の直進性を仮定せずに回転角を推定できる.また,事例として回転変量と不変量を用いることにより効率的に回転角を推定できる.変量と不変量はどのようなものでも良いが,前回の報告で用いていた不変量はノイズに弱いという問題があった.そこで本報告では,回転角推定の精度向上を目的として,不変量の多次元化について述べる.計算機内実験において文書画像55サンプルを用いて,簡単な傾き推定実験を行ったところ,48サンプルにおいて誤差1度以下,全てのサンプルにおいて誤差2度以下という精度を得た.また,スキャナ取得画像に対しても評価実験を行った所,目視ではあるが入力10画像中9画像に対して正しく補正できた.
著者
酒井 英樹
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

照明光源に含まれるわずかな紫外線で励起され,停電後にりん光を発する蓄光材を使った蓄光式誘導標識の発光輝度を向上させる方法を検討した。その結果,視認性確保のために設置されている夜間照明からの漏れ光などによって,弱いながらも常に(停電直前まで)励起状態を保つことが,夜間停電時の発光輝度を高める方法として有効であり,また,照明に用いる光源としては,色温度の高い蛍光灯が適していることを明らかにした。
著者
〓 瑩 小野 創 酒井 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.138, pp.29-34, 2007-07-07

英語など主要部前置型言語を用いて統語的プライミング効果(Syntactic Priming; SP)を検討した先行研究では,活性化伝搬に基づいた説明モデルが提案されている.本研究は,文完成課題を用いて日本語受動文の産出におけるSPを実験的に検証することを通して,主要部後置型言語においても同モデルの適用が可能であることを確認した.さらに、主要部後置型言語の処理における予測メカニズムという観点から,日本語における文産出メカニズムに対して結果がどのような含意を持つか検討した.
著者
酒井 治郎 林 兵磨
出版者
羽衣国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、近年、わが国で問題となっているNPO(非営利組織)と、それに伴う会計問題を対象に検討を行ってきた。これまでNPOに係る事件の背景には、NPO会計の不備がその原因の一つとなっていると考えられる。そこで、本研究はNPOの会計問題を解決し、これからのNPOの発展にも寄与することを意図している。まず、統一化の可能性を、アメリカの会計学者であるWiliiam.J.Vatterが提唱した理論から模索した。彼の理論には、企業のことを「私的な人格を否定した資金そのもの」とあるという認識であったが、この彼の見解を基盤にして、それを一部修正することによって、今日のNPO会計の問題解決および営利企業会計とNPO会計との統一化の可能性も見だせることを提案したのである。ところで、最近わが国では、既存のNPO法人(とりわけ公益法人)の非効率な経営実態など、様々な問題点が指摘されているところである。こうした問題点を改善するために、公益法人会計の中にも営利企業会計の考え方を導入しようとして、公益法人の会計基準も改訂作業が進められているところである。本来、企業会計は、資本主義社会における営利企業の発展に伴って確立されてきたものであり、また「一期間における費用と収益との適切な対応」させることを根幹においている。この考え方を公益法人会計にも適用することは、公益法人の管理者に対し、経営資源の有効的活用、効率的経営の実施を意識づけるのに役立つと期待されているのである。つまり、企業会計は営利企業のみならず、公益法人等NPOにとってもまた有用であるとする見解が台頭してきたのである。ただし、単純に既存の公益法人会計に企業会計方式を導入することはできない。株主が存在しない公益法人の「資本」概念をいかに確立するかという点があげられる。ちなみに、日本の公益法人会計改革において、前例として参考にしたアメリカ会計では、この課題に直面して、結局のところ株主の存在という点だけを必要以上に重視してしまい、NPO会計改革が不十分なものに終わってしまった。そこで、われわれの研究では、アメリカの失敗のケースも踏まえ、株主という存在も、組織体への資源提供者の一つの種類にすぎないと捉えることによって、公益法人にも営利企業における資本に相当するものの存在を認め得ることと提案したのである。こうしたわれわれの提案は、公益法人会計と営利企業会計との統一化を前進に寄与するものと考えている。さらに、わが国のNPO会計における具体的問題点の一つとして、学校法人会計もとりあげた。この中でとりわけ、学校法人会計の計算体系が、企業会計のそれとは大きく異なり、この学校法人会計の計算システムでは、固定資産の不必要な取得を誘発する等の問題点を指摘し、こうした点からも前述の公益法人会計のみならず、全てのNPO会計において、企業会計と統一した枠組みの中で捉えることの必要性を指摘したのである。
著者
石川 大介 酒井 哲也 関 洋平 栗山 和子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1109070033, (Released:2011-09-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
著者
野田 利弘 浅岡 顕 中野 正樹 中井 健太郎 澤田 義博 大塚 悟 小高 猛司 高稲 敏浩 山田 正太郎 白石 岳 竹内 秀克 河井 正 田代 むつみ 酒井 崇之 河村 精一 福武 毅芳 濁川 直寛 野中 俊宏
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

日本の重要な社会資本は,沖積平野や海上埋立人工地盤といった地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されている.本研究では,特に沿岸域に立地する社会基盤施設を対象に,長周期成分を含み継続時間が数分にも及ぶ海溝型巨大地震が発生した際の耐震性再評価と耐震強化技術の再検討を実施した.既往の被害予測手法は地震時安定性評価に主眼が置かれ,地震後の長期継続する地盤変状を予測することはできない.「地盤に何が起こるかを教えてくれる」本解析技術による評価を既往手法と並行して実施することで,予測精度の向上とともに,被害の見落としを防ぐ役割を果たすことを示した.
著者
酒井 寿郎 川村 猛
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

エピゲノム修飾酵素であるJMJD1A、SETDB1、および活性未同定のSET蛋白の抗原となるタンパクを昆虫細胞Sf9および大腸菌から精製し、免疫を開始した。また全長のタンパクを精製し、in vitroにおけるアッセイを開始した。活性未同定のSET蛋白はmesenchymal stem cellで発現させFLAGタグで免疫沈降を行い、これをヒストンメチル化アッセイに供し、活性を新規に同定することができたため、どのヒストンテールにメチル化を入れるか、質量分析器で解析することとした。さらに、このSET蛋白の発現量が骨分化に関与するという知見を得て、トランスクリプトームを細かい時間分解能で解析することとした。本研究は現在、基盤S (課題番号22229009) にて継続進行中である。
著者
酒井 由紀子
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.65, pp.1-35, 2011

原著論文【目的】本研究の目的は, 健康医学情報を伝える日本語テキストのリーダビリティの改善と評価の一連の手続きにおいて, 包括的な改善方法と評価方法を記述的に確認し, 今後の研究課題を明らかにすることにある。【方法】医師が執筆した, 慢性化膿性中耳炎の一般市民向けの日本語説明テキスト1件を取り上げ, 改善と評価の実験を行った。最初に, リーダビリティに影響するとされる構文, 語彙, テキスト構造のすべての要素について, 方法を変えて改善したテキストを2種類用意し, オリジナルテキストと合わせテキスト分析を行った。次に, 大学生91名にこれら3種類のテキストのいずれかを割り当て, Webテストを行った。テストでは, 読みやすさの指標としてテキストを読む所要時間を計測した。内容理解のしやすさの指標として, 選択肢問題の回答と, 「読みにくい点・わかりにくい点」の具体的な指摘を求めた。【結果】構文的要素を改善し, 語彙的改善として医学・医療用語に解説をかっこで補記し, テキスト構造を簡易な方法で改善したテキストAは, 内容理解テストの平均スコアはオリジナルテキストより高かったが, 読みの所要時間は長かった。構文的要素を改善し, 医学・医療用語を一般的な用語や表現に置き換え, テキスト構造を入念に改善したテキストBは, 読みの所要時間は短縮されたが, 内容理解テストの平均スコアはオリジナルテキストと変わらなかった。また, 本人に罹患経験があると所要時間が有意に短かった。これらの結果から, 1)構文的改善は読みやすい印象を与えるが, 他の要素の改善と対立が生じることがある, 2)医学・医療用語の改善は自然な置き換えや文中での説明の補足が望ましい, 3)テキスト構造は, 今回の改善・評価方法では問題が多くその効果は明らかではない, 4)読み手としての人の特性を考慮した評価が必要である, 5)内容理解を正確に測定する選択肢問題の作成に課題があることが確認された。
著者
酒井 正彦 坂部 俊樹
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、プログラムの解読・改ざんが大変困難なプログラム言語であるMalbolgeを、ソフトウェア保護の目的に利用できるようにすることである。最も大きな問題点である、該当の言語でのプログラム作成の困難性を克服するため、Malbolgeのチューリング完全性を示し、Malbolgeプログラム作成手法の大枠を確立した。
著者
相原 威 酒井 裕 藤井 聡 塚田 稔
出版者
玉川大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

脳内の外界モデル形成には, 外界からのボトムアップ(感覚)情報だけでなく, 注意や情動などによる広範囲調節系と呼ばれる内因性の情報も融合する必要がある。 海馬や皮質などの神経回路への調節系の信号は, 集中時などに内在性アセチルコリン(Ach)として放出され, 記憶に関与するとの報告がある。 そこで、本研究はボトムアップ入力の統合に対するAChによる修飾を細胞およびネットワークレベルの実験により検証を行った
著者
吹田 信之 野口 潤次郎 酒井 良 戸田 暢茂 佐藤 宏樹
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究においては, まず低次元の複素多様体リーマン面上の解析写像についていくつかの結果を得た. まず自己等角写像に関して, 種数5の閉リーマン面の自己等角写像群が完全に決定された(栗林-木村). 次に解析写像の個数を評価する問題は, 平面n重連結について境界保存の写像の個数の限界((n-2)24n-6)を得た. (Jenkuis-吹田). この限界は閉リーマン面に関するHoward-Sommesによって得られた限界よりもよい値である. 今後の問題としてはこれを閉リーマン面の場合に拡張することが残っている.次に, 面積有限な解析写像については, 写像のH2ノルムを像面積で評価する問題がある. 小林-吹田はHpノルムを評価するためのよい等式を得た. この結果は次元の高い空間領域でのノルム函数を像面積(体積)で評価する問題に一般化され, 酒井によって満足すべき評価式が得られた. またこの結果はブラウン運動にも応用されている. 有界写像に関する有界函数族については, 林により函数環の構造, 林-中井による分離性の問題などが研究された. 又村井は実解析的な方法で解析容量の研究を行った. 解析写像に関する特異性の除去可能性については, 円板内に含まれる容量零の閉集合が, 双曲的な閉リーマン面への解析写像に関して除去可能であること(西野の定理)の双曲的幾何を使った簡明な証明が鈴木により得られた. この定理は高次元への一般化の可能性を含んでいる. また野口により双曲的幾何学と値分布理論を結びつける方法を使って, ピカールの定理の一般化や, そのモジュライ問題へ応用及びディオファニタス幾何の研究が行われた. また値分布理論を使った極の曲面のガウス写像の除外方向の問題が解決された(藤本). 値分布理論は微分方程式へも応用され(戸田)また偏微分方程式の定めるモノドロシー表現の構造からその一意化類域が明らかにされた(佐々木, 吉田).
著者
酒井 啓子
出版者
東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター
雑誌
アメリカ太平洋研究 (ISSN:13462989)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.28-35, 2008-03

特集1 : 反米 : その歴史と構造Special Topics I : Anti-Americanism : History and Structure
著者
夏目 長門 酒井 映子 山中 克己 大塚 隆信 千田 彰 中垣 晴男 小島 卓 服部 正巳 前田 初彦 森田 一三 井上 誠 吉田 和加
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル国において3年間に5回にわたり調査を行うとともにモンゴル人スタッフに通年依頼して調査を行った。その結果、(1)モンゴル人口唇口蓋裂発現率は、0.07%であった。(日本人口唇口蓋裂0.2%)(2) 961名の妊婦の母体環境調査を行った。(3)モンゴル人の口唇口蓋裂遺伝子レポジトリーでは、1, 999名の試料を入手できた。
著者
一井 太郎 張 成年 望岡 典隆 酒井 光夫 吉村 拓 山田 陽巳 本多 仁
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

胃内容物の検討にはそのホスト生物の種判別も重要であることからDNAを用いた重要水産動物稚仔の種同定についても継続した。イカ類の種判別に基づいた研究成果を利用し、系群及びイカ類の資源変動やイカ類を利用する魚類資源の動態についての研究を行った。また、まぐろ類については新規核遺伝子マーカーを用いた系統類縁関係についても検討した.イカ類幼生、ウナギ類幼生及びイセエビ類幼生について胃内容物ゲノム解析を継続するとともに、結果の取り纏めを行った。イカ類(アカイカ)とウナギ類(ウナギ、ハモ、アナゴ)については真菌類と微細真核生物に一致するDNAが多く検出されるとともに、ホスト自体の変異型も多く検出されたが、餌生物由来と考えられるDNA分子は検出できなかった。イセエビ科(Palinuridae)、セミエビ科(Scyllaridae)幼生からも同様な生物群とホスト変異型が検出されたが、尾索動物や刺胞動物といったゼラチナスプランクトンのDNAが共通して検出され、これらが餌生物として利用されていることが示された。イセエビ(Panulius japonicus)の近縁種であるカノコイセエビ(Panulirus longipes bispinosus)と大西洋の種(Panulirus echinatus)は秋季に採集された標本であり、これらのゼラチナスプランクトンが検出されたが、春季に採集されたイセエビからはこれらの生物が検出されず、硬骨魚類のDNAが検出された。この違いが季節や海域、あるいは種によるものかどうかは今後の検討課題である。