著者
池田 義雅 高村 正人 箱山 智之 大竹 淑恵 熊谷 正芳 鈴木 裕士
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
pp.TETSU-2017-080, (Released:2018-02-05)
参考文献数
17
被引用文献数
8

Neutron engineering diffraction is a powerful technique which provides the information of the micro structure of steels in bulk-average, while X-ray diffraction or Electron backscatter diffraction can provide information only from the surface layer. However, such measurement using neutron diffraction is typically performed in a large facility such as a reactor and a synchrotron, while a compact neutron source has never been used for this purpose. Authors have recently developed a neutron diffractometer installed in Riken Accelerator driven compact Neutron Source (RANS) and succeeded in the measurement of texture evolution of a steel sheet. In this study, we made an attempt to measure the volume fraction of retained austenite by RANS. Background noise was carefully eliminated in order to detect as many diffraction peaks as possible with low flux neutrons. The volume fraction was estimated by Rietveld analysis. The accuracy of the measurement result was discussed by comparing with those obtained by a large neutron facility (J-PARC TAKUMI). The volume fraction obtained by RANS with reasonable measurement time, i.e. 30-300 min, showed only 1-2% discrepancies with those obtained in J-PARC. These comparisons suggest that neutron diffraction by RANS is capable of quantitative analysis of the volume fraction of crystal phases, showing the possibility of practical use of an in-house compact neutron source in the industry.
著者
鈴木 祐丞
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.647-671, 2014-12-30

本稿では、ウィトゲンシュタインの『哲学宗教日記』における、彼のキェルケゴールへの関係を考察する。同書から知られるのは、要約すれば、キェルケゴールが『キリスト教の修練』を通じて描き出した宗教哲学を、ウィトゲンシュタインが、実際にキェルケゴールのその著作を手引きとして、一歩一歩辿ったということである。キェルケゴールは、『修練』において、人間は、「キリストとの同時性」という状況に身を置き、「躓き」の可能性に直面し、それを実存的に乗り越えることによってこそ、信仰を得ることができると考える。また、彼は、そのような理想的な信仰の要求を前に、自らの不完全さを認識することで、人間は罪の赦しを体感できると考えている。自らに根深く巣食う虚栄心や臆病さを罪として認識するようになったウィトゲンシュタィンは、救いをキリスト教に求め、キェルケゴールの『修練』に手を伸ばす。彼は、そこで、まさにキェルケゴールが『修練』において意図した仕方で、罪の赦しにリアリティを見出したものと考えられるのである。
著者
鈴木 誠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.107-110, 2011-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

フィンランドで大学に進学する場合は,まず日本の大学入試センター試験に該当するフィンランド大学入学資格試験(Matriculation Examination)に合格しなければならない。その後一定期間の兵役を体験し,一定の学資を貯めた後各大学が行う個別試験を経て,希望する大学に入学する。大学の学費は無償であり,医・教育学部の人気は高い。試験科目は多岐に渡り,高等学校で履修すべき到達度を測定する卒業試験の意味合いも兼ねている。心理学や哲学など日本の大学入試センター試験には見られないものも多い。特に語学については3科目必修となる。これは,フィンランドが国家戦略として目指す多言語活用能力(plurilingualism)育成に基づくものである。試験時間は,基本的には1教科当たり6時間にも及び,受験者に考えさせる論述問題がほとんどである。これらのことは,フィンランドがどのような人材を育成しようとしているかを明確に示すと同時に,日本の大学入試に対して多くの知見を提供するものである。
著者
仲西 宏介 鈴木 奈央 米田 雅裕 山田 潤一 廣藤 卓雄
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.293-300, 2014 (Released:2014-09-01)
参考文献数
20

目的: 口臭の主成分である揮発性硫黄化合物は, 口腔内に棲息する嫌気性菌が歯垢や舌苔などに含まれる含硫アミノ酸を分解することによって発生する. 本研究では, 口臭除去を効能・効果とする口腔咽喉薬に注目し, それらの摂取が口臭および口腔内環境に与える影響について, 臨床的に客観評価することを目的とした.  材料と方法: セチルピリジニウム塩化物水和物 (CPC), グリチルリチン酸二カリウム, キキョウエキスの3種の有効成分を配合したトローチ剤 (ローズウィンド, シオノギ製薬), CPCのみを配合したトローチ剤 (プロテクトドロップ, 常盤薬品工業), 有効成分を配合しない清涼菓子 (フリスク, クラシエホールディングス), 水による洗口について比較検討した. インフォームドコンセントが得られた大学生ボランティア82名 (男58名, 女24名, 平均年齢25.2±2.2歳) に対し, 非盲検ランダム化比較試験を実施した. 被験者を無作為にローズウィンド, プロテクトドロップ, フリスク, 水による洗口のいずれかに割り当て, 摂取あるいは洗口前後に, 口臭レベル, 刺激唾液量, 唾液pH, 唾液緩衝能, 舌の保湿度を測定した. 口臭測定前にメチオニン水溶液で洗口し, 誘発した揮発性硫黄化合物の濃度が1.9 log ppb (80 ppb) 以上の場合を解析対象とした.  結果: 解析対象者の条件を満たした被験者は57名 (ローズウィンド群15名, プロテクトドロップ群14名, フリスク群14名, 水洗口群14名) であった. トローチ剤および清涼菓子はいずれも優れた口臭抑制効果を示し, 摂取前後に統計学的有意差がみられた. 特にトローチ剤では, 口臭がないとみなすレベルまで改善が認められた. 唾液検査の結果は, ローズウィンドで唾液pHが, プロテクトドロップで唾液緩衝能が, フリスクで刺激唾液量が, 摂取により有意に増加した. 舌の保湿度については, 統計学的有意差はなかったが, ローズウィンドのみ摂取後に増加した.  結論: 今回検討したトローチ剤は, 優れた口臭抑制効果を示した. また, トローチ剤および清涼菓子の摂取は, 口腔の機能を活性化することが示唆された.
著者
鈴木 昌子
出版者
学校法人 山野学苑 山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.39-50, 1997

古代の女子の髪形には,垂髪,頭上一髻,頭上二髻,四ツ割,雑等がある。頭上一髻と四ツ割は,当時唐の女性が結っていた烏蛮髻(うばんけい)である。平安初期の神仏混同の影響を受けて神功皇后女神像が造像された。この像を通して当時の髪形を考察してみたい。高髻は吉祥天女図及び諸仏像に結われているが,樹下美人の四ツ割,頭上一髻は,髪の長さによって変形した髪形であり,神功皇后像の髪形もこの系統である。樹下美人図の髪形も,女神像に結われ垂髪へと変化して行くのである。960年の内裏の火災は,こうした髪形から,やがて国風の風俗が生みだされる契機となったのである。
著者
今中 哲二 川野 徳幸 竹峰 誠一郎 進藤 眞人 鈴木 真奈美 真下 俊樹 平林 今日子 高橋 博子 振津 かつみ 木村 真三 七沢 潔 玉山 ともよ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

代表者の今中は以前よりチェルノブイリ原発事故の調査を行ってきた。福島原発事故の長期的問題を考えるため、広島・長崎原爆被害やセミパラチンスク核実験被害の調査を行っている川野徳幸、マーシャル諸島での核実験被害調査を行っている竹峰誠一郎らとともに、原子力開発がはじまって以来世界中で発生した様々な核災害の後始末について調査を行った。核災害は、放射線被曝や放射能汚染といった問題にとどまらず、社会的に幅広い被害をもたらしており、その多くは災害が起きてから50年以上たっても解決されないことが示された。得られた成果は2017年11月12日に東京で開催した報告会で発表し、12編の報告を含むレポートにまとめた。
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦 Yasuichi Nakayama Yoshiaki Nakano Hiroyasu Kakuda Yasushi Kuno Mitsugu Suzuki Tsutomu Wada Masami Hagiya Katsuhiko Kakehi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌.教育とコンピュータ = IPSJ transactions. TCE
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.41-51, 2017-06-14 (Released:2017-06-14)

高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.情報科では,臨時免許状や免許外教科担任が他の教科に比べて突出して多用されていることが明らかになった.本論文では,その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育の取り組みについて述べる.
著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
鈴木 健司
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.172-145, 2013-03-15

「宮沢賢治文学における地学的想像力」というテーマのもと、「文学部紀要」を中心に十一本ほどの論文を継続的に書き、単行本『宮沢賢治文学における地学的想像力―〈心象〉と〈現実〉の谷をわたる―』(蒼丘書林、二〇一一年)として上梓した。しかしその後、新たに書き足したいテーマがあらわれ、調査、研究を続けてきた。それがまとまったので、「補遺二題」として発表することにした。第一章は、〈種山ヶ原〉に関し、賢治の岩石認識に異なりがあることを明らかにした上で、それが、〈種山ヶ原〉の体験時期の異なりや、その体験で受けたイメージと深い関連があることを指摘し、そのことが賢治文学の想像力の展開を考える切り口になるのではないか、という主旨である。第二章は、賢治テクストにあっても実在しない〈鬼越山〉を取り上げ、これまで、〈鬼古里山〉を想定していた先行研究に対し、〈燧堀山〉こそが〈鬼越山〉に当たるのではないか、という新見解を提示し、立証する。
著者
白井 暁彦 鈴木 百合彩
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.452-457, 2015-09-18

エンタテイメントシステムにおける再現可能な実験や客観的な評価手法の確立は,本分野を科学研 究として発展させるために重要な研究である.本発表では特に,複数のエンタテイメントシステムにおけ る「おもしろさ」を物理的・客観的に測定するため,自然な体験環境で行うパブリックテストを成立させ るための同意書および実験運用方法,ガイドラインを提案する.
著者
箕輪 はるか 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 上杉 正樹 遠藤 暁 奥村 真吾 小野 貴大 小野崎 晴佳 勝見 尚也 神田 晃充 グエン タットタン 久保 謙哉 金野 俊太郎 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 髙橋 賢臣 竹中 聡汰 張 子見 中井 泉 中村 駿介 南部 明弘 西山 雄大 西山 純平 福田 大輔 藤井 健悟 藤田 将史 宮澤 直希 村野井 友 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 山守 航平 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【はじめに】日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として本研究プロジェクトを実施した。2016年6月から9月にかけて、のべ9日間176名により、帰還困難区域を中心とする福島第一原子力発電所近傍105箇所において、空間線量率の測定および土壌の採取を行った。プロジェクトの概要については別の講演にて報告するが、本講演では福島県双葉郡大熊町・双葉町の土壌中の放射性セシウム134Csおよび137Csのインベントリ、土壌深部への移行、134Cs/137Cs濃度比、また空間線量率との相関についての評価を報告する。【試料と測定】2016年6・7月に福島県双葉郡大熊町・双葉町の帰還困難区域内で未除染の公共施設36地点から深さ5 cm表層土壌を各地点5試料ずつ採取した。試料は深さ0-2.5 cmと2.5-5 cmの二つに分割し、乾燥処理後U8容器に充填し、Ge半導体検出器を用いてγ線スペクトルを測定し、放射性物質を定量した。【結果と考察】137Csのインベントリを航空機による空間線量率の地図に重ねたプロットを図1に示す。最大濃度はインベントリで137Csが68400kBq/m2、比放射能で1180kBq/kg・dryであった。インベントリは空間線量率との明確な相関がみられた。深部土壌(深さ2.5-5.0 cm)放射能/浅部土壌(深さ0-2.5 cm)放射能の比はおおむね1以下で表層の値の高い試料が多かったが、試料ごとの差が大きかった。また原子力発電所より北北西方向に134Cs/137Cs濃度比が0.87-0.93と明確に低い値を持つ地点が存在した。
著者
岡田 裕美 渡辺 賢治 鈴木 幸男 鈴木 邦彦 伊藤 剛 村主 明彦 倉持 茂 土本 寛二 石野 尚吾 花輪 壽彦
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.57-65, 1999-07-20
参考文献数
19
被引用文献数
5 4

症例は60歳男性で平成9年6月3日腹部不快感を主訴に北里研究所東洋医学総合研究所を受診した。半夏瀉心湯の投与により腹部症状は軽減したが, 半夏瀉心湯の服用は6月より8月まで継続した。同年8月3日より悪寒, 発熱, 倦怠感が出現した。肝機能障害を指摘されたため, 半夏瀉心湯を中止し小柴胡湯を投与した。14日当院漢方科入院となり, 抗生剤, 強力ミノファーゲンCにて経過観察した。入院時の胸部レントゲンにて左上肺野にスリガラス状陰影を認めたため, 小柴胡湯を中止した。肝機能障害は改善したが, 呼吸困難が顕著となり, 捻髪音を聴取するようになった。胸部レントゲン, 胸部CTにて間質性変化を確認し, 9月5日よりPSLの投与を開始した。経過は良好で症状, 画像所見, 検査所見とも改善を認めた。DLSTは小柴胡湯, 柴胡, 黄苓で陽性だった。当初小柴胡湯による間質性肺炎を疑ったが, 小柴胡湯投与前の他院での胸部レントゲン写真でも左上肺野のスリガラス上陰影を認めたため, 本例は半夏瀉心湯が主でさらに小柴胡湯の投与により薬剤性の肝障害ならびに間質性肺炎を発症したものと考えられた。
著者
中島 佐和子 水戸部 一孝 鈴木 雅史 吉村 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.472, pp.25-29, 2012-03-02
参考文献数
8

日常生活を豊かにし文化的な活動を行う上で,映画やテレビの存在は欠かせない.しかし,加速する超高齢社会を背景に様々な身体特性を有する人々(聴覚障害や視覚障害等)が増加する中で,これらの人々の日常生活を豊かにする手段の一つである映像コンテンツを鑑賞できるシステムは充分に整備されているとはいえない.本研究では,聴覚障害者対応の映画字幕の現状課題と可能性を把握するために,聴覚障害者,映画製作者,字幕制作者及び一般鑑賞者を対象としたヒヤリング及びアンケート調査を実施した.その結果,聴覚障害者が必要とする字幕の程度については,セリフ字幕,環境音や効果音を説明する字幕,音楽を説明する字幕のそれぞれにおいて異なる尺度でありことが分かった.また,一般鑑賞者(健聴者)を対象とした調査からは,映画音声の聞き取りにくさなどの観点から,聴覚障害を有しない方々に対しても字幕が役に立つ可能性が示唆された.
著者
橋本 毅彦 岡本 拓司 廣野 喜幸 鈴木 淳 梶 雅範 鈴木 晃仁 柿原 泰 金 凡性 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

事故や災害の発生を防止したり緩和したりするために、様々な安全基準や規約が設けられている。本研究では、そのような各種の事故災害への対応と基準規約の制定に関して、航空・電力・防火・治水・保険・化学・医薬・医療などの工業医療分野において取り上げ、その歴史的過程を分析しようとした。産業社会を支えるそのような巨大な技術システムの基準・規約の全体を取り上げることはできないが、その顕著な側面やよく知られていないが重要な事例などを明らかにした。