著者
ウム セレイビラ 長谷川 まどか 加藤 茂夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.34, pp.45-48, 2008-07-31

本稿では,クメール(カンボジア)の文字認識について提案する.クメール語は表音文字であり,単語は母音と子音から構成される.クメール文字は縦と横のストロークが多いという特徴があり,また母音と子音の配置に特有の規則がある.本研究ではこれらの特徴を利用して,携帯電話で撮影したクメールの文字画像を認識し,クメール語-日本語の翻訳支援システムの構築を目的としている.この支援システムにおいては,例えば,日本人がカンボジアを旅行する際,分からないカンボジア語を携帯電話で撮影し,サーバに送信することで,その単語の意味を日本語で旅行者に返信される.
著者
長谷川 仁彦
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.616, pp.616_145-616_164, 2012-03-31 (Released:2013-08-02)
参考文献数
11

保険法・保険約款で免責とされる「自殺」は,被保険者が故意に自己の生命を断ち死亡の結果を生ぜしめる行為であり,死亡者の自由な意思決定に基づきその者の身体動作により死亡の結果を来たすべきときを指すとされる。一方,精神病その他の精神障碍中または心身喪失中の行為による自殺は「自由な意思決定能力」を欠いたものであり免責事由には該当しないとするのが通説・判例である。近時,自殺者のうち概ね1/3に当たる約1万人が精神疾患を原因によるものとされ,それらを原因とする自殺が全て意思決定能力を喪失ないし減弱したうえでの自殺とはいえない。しかし,精神疾患の一つであるうつ病によって行為選択能力が相当制限されたうえでの自殺は「自由な意思決定」を欠いていることになるので,免責となる「自殺」にはあたらないと考えられる。
著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF EDUCATIONAL SOCIOLOGY
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.259-280, 2014

本研究の目的は,大学図書館の図書資料費に関して,大学間の格差の実態とその推移を明らかにすることである。資料の電子化という地殻変動のなかで,大学間の格差はどう変容してきたのか。図書館研究と高等教育研究はいずれもこの問題を等閑視してきただけに,格差の全体像を丁寧に検証することが求められる。 とくに高等教育の資源格差は,各大学の機能の相異として是認されうるため,本研究では4つの視点──大学間の不均等度,大学階層間の開き,時間軸上の変化(縦断的視点),大学本体との比較(横断的視点)──を用いて多角的に分析をおこなう。分析には『日本の図書館』の個票データを用いた。国立大学法人化以降(2004-2011年度)の図書費,雑誌費,電子ジャーナル費に関して,「大学間格差」(個別大学間の不均等度)を算出し,さらに「大学階層間格差」(群間の開き)を明らかにした。<BR> 主な知見は次のとおりである。第一に,電子ジャーナル費では大学間の不均等度は縮小しているものの,階層間格差はむしろ拡がっている。これまで電子ジャーナルの購読では階層間格差は小さくなると考えられてきただけに,重要な知見である。第二に,雑誌費では大学間の不均等度が高くなり,さらに階層間格差が拡大するという,深刻な事態が生じている。「電子化」の背後で進むこれら図書資料費の「格差化」にいかに向き合うかが,大学図書館の今後の課題である。
著者
田崎 勇一 長谷川 晶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.91, pp.55-60, 2006-08-18
被引用文献数
1

バネとダンパーさまざまな機構に用いられている.バーチャル世界では,生物の体の柔軟性の表現や,キャラクタの動作生成のためのPD制御など,多くの目的でバネ・ダンパモデルが用いられている.バネダンパモデルは,伸びと速度の差に比例した力を加えることで実現できるが,離散時間での前進積分による誤差のため,バネ・ダンパ係数とシミュレーションの時間刻みを上手く選ばないと系が発散してしまう.本研究では,抗力,摩擦力,関節の拘束条件に、後退積分によるバネ・ダンパの式加えてLCPに定式化し,繰り返し法によって解くことで,高速に安定なシミュレーションを行う.Springs and dampers are used in various mechanisms. In addition, spring and damper moedls are used for many purpose such as representation of flexibleness of bodies of creatures and plants, and PD-control for character motion generation.Spring and damper models can be implemented by adding forces which are proportional to the expansions and the differences of velocities. However, systems diverge without careful turning of spring and damper coefficient and time-steps, because of errors from time discretization and explicit integration. We propose a fast and stable simulation method, which formulates all constraints as LCP by adding equations of spring damper models in implicit integration as constraints besides constraints for normal forces, friction forces and joints and solves LCP with an iterative method.
著者
長谷川 元洋
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.29-32, 2013-01

2011年3月の福島第一原発の事故により,約900PBq(国際原子力指標尺度評価によって換算)の放射性物質が大気中に放出されたと推定されている(東京電力株式会社2012)。この放射性物質は,人体へ直接的に影響するのに加え,農業,畜産業,漁業を通した食品にまでその影響が拡大している。事故の起きた福島県は約70%が森林に覆われており,林産物をはじめ,森林生態系に住む各種の野生生物への放射性物質の影響が懸念されている。森林生態系では,落葉層及び土壌には高濃度の放射性物質が蓄積している事が明らかになり(農林水産省平成23年12月27日プレスリリース),落葉属及び土壌中にすむ菌食,デトリタス食(落葉落枝,腐植などを摂食する),土壌食の生物やそれを捕食するほ乳動物などへの影響が重要視される。本稿では,チェルノブイリ原発事故時における放射性物質の土壌動物への影響の知見を概観し,2011年8月よりはじめた,福島原発事故の森林に生息するミミズへの影響に関しての調査内容について報告する。
著者
山本 哲也 長谷川 香子 小野田 誠 田中 啓一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.6, pp.905-911, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 7

Iguratimod (IGU), a disease-modifying antirheumatic drug launched in September 2012, has been reported to carry a risk of severe hemorrhages through a suspected interaction with warfarin (WF) in the all-case surveillance and early postmarketing-phase vigilance. To elucidate possible mechanisms of adverse interaction between IGU and WF, we analyzed the effects of IGU on the pharmacodynamics and pharmacokinetics of WF in rats. IGU was orally administered to male Wistar rats once daily for 5 d at 10 or 30 mg/kg in combination with WF at an oral dose of 0.25 mg/kg. Coadministration of IGU 30 mg/kg enhanced the anticoagulant activity of WF; prolonged blood coagulation time (prothrombin time and activated partial thromboplastin time) and decreased levels of vitamin K (VK)-dependent blood coagulation factors (II, VII, IX, and X) were observed. On the other hand, the pharmacokinetic parameters of WF including maximum plasma concentration (Cmax) and area under the plasma concentration-time curve from 0 to 24 h (AUC0-24 h) were not affected by the combination with IGU. IGU alone did not change blood coagulation time at doses up to 100 mg/kg, while VK-dependent blood coagulation factors decreased slightly at 30 and 100 mg/kg. These results suggest that the pharmacodynamic effect of IGU on VK-dependent blood coagulation factors is involved in the mechanism of drug-drug interaction of IGU with WF.
著者
渡邊 純一郎 藤田 真理奈 矢野 和男 金坂 秀雄 長谷川 智之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1470-1479, 2013-04-15

組織の生産性をいかにして向上させるかということは,リーダやマネージャにとって大きな関心事である.しかしながら,生産性向上に向けたこれまでの施策は,マネージャの経験や勘など定性的な評価に基づくものが主であった.我々は,ウェアラブルセンサを用いて物理的な人間行動を長期的に計測し,身体的な動きの度合いである活発度や対面コミュニケーションと生産性との関係を定量的に評価した.アウトバウンド型コールセンタにおいて受注率に影響を与える要因を調べた結果,休憩中の職場の活発度と受注率が相関することが分かった.両者の因果関係を明らかにするために少人数のチームごとに休憩時間を合わせる施策を行った結果,休憩中の対面コミュニケーションに起因するチームの活発度が生産性に影響することが分かった.本研究の結果は,センサにより職場の活発度を定量的に計測しマネジメントすることにより,生産性を向上させられる可能性を示唆する.
著者
牧 輝弥 小林 史尚 柿川 真紀子 鈴木 振二 當房 豊 山田 丸 松木 篤 洪 天祥 長谷川 浩 岩坂 泰信
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-42, 2010-03-20 (Released:2010-03-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The microbial communities transported by Asian desert dust (KOSA) events have attracted much attention as bioaerosols, because the transported microorganisms are thought to influence the downwind ecosystems in Japan. In particular, halotolerant bacteria which are known to be tolerant to atmospheric environmental stresses were investigated for clarifying the long-range transport of microorganisms by KOSA. Bioaerosol samples were collected at high altitudes within the KOSA source area (Dunhuang City, China) and the KOSA arrival area (Suzu City, Japan). The microorganisms in bioaerosol samples grew in media containing up to 15 % NaCl, suggesting that bacteria tolerant to high salinities would remain viable in the atmosphere. The PCR-DGGE (Denaturing gradient gel electrophoresis) analysis using 16S rRNA genes sequences revealed that the halobacterial communities in bioaerosol samples belonged to the members of the genera Bacillus and Staphylococcus and that some bacterial species belonging to Bacillus subtilis group were similar among the samples of both cities. Moreover, some sequences of B. subtilis group were found to be identical for the species collected at high altitudes and on the ground surfaces. This suggests that active mixing of the boundary layer transports viable halotolerant bacteria up to the free atmosphere at the KOSA source area, while down to the ground surface at the KOSA arrival areas.
著者
長谷川 均
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1786号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2003/3/24 ; 早大学位記番号:新3588
著者
長谷川 浩之 笠置 剛 岡林 繁 和氣 典二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.J286-J291, 2015 (Released:2015-09-25)
参考文献数
14

前景のオブジェクト上に直接表示像を表示する自動車用AR表示装置は,他の自動車用表示装置と比べて非常に優れた認識応答性を示すことが明らかになっている.AR表示装置の優位性は,視線移動量,視距離調節量,前景エリアと表示装置のエリアの画角差による照合負荷が関わっているとされている.しかしながら,先行研究では,それら要因が詳細に解析できないため,どの条件がどの程度認識応答性に影響を及ぼすかが明確に示されておらず,さらに実際の自動車環境を想定した視野範囲におけるAR表示装置の優位性も検証されていない.本研究では,視野範囲や俯角,視距離の設定など,より詳細に解析するための条件を整えてAR表示装置を比較評価し,視覚情報受容のモデルを考察した.
著者
大野 久雄 鈴木 修 韮澤 浩 吉崎 正憲 長谷川 直之 田中 芳男 村松 良夫 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.197-222, 1994-04-25
被引用文献数
13

太平洋高気圧の北辺に位置する岡山地方で1991年6月27日午後発生した雷雨嵐は同地方に激しい雨や雷および強い突風をもたらせた。中でも岡山市の北東部で発生した突風は特に強く、単体では51m/sの風に耐えられるコンクリート製電柱18本を倒壊させた。この研究は、電柱の倒壊をもたらせた突風の原因を調べるために始められた。利用可能なすべてのデータが集められ、解析された。データ源は、通常レーダー、気象庁のシステム、密に展開された自治体の大気汚染監視用風向風速計、民間航空機、テレビ局のビデオ画像、被害調査結果等と多岐にわたった。これらを複合利用してメソ解析を行った結果、少なくとも4つのダウンバースト(マイクロバーストとマクロバーストの両方)の発生が明らかになった。電柱を倒壊させたのはそのうちの1つで、雷を伴っていた。当時大気成層は、湿マイクロバーストを発生させるのに適したもので、Atkins and Wakimoto(1991)が報告した米国北アラバマの事例と類似していた。また、ダウンバースト発生の潜在的危険性が太平洋高気圧の北辺にあるとの指摘がなされた。
著者
榎 裕美 杉山 みち子 井澤 幸子 廣瀬 貴久 長谷川 潤 井口 昭久 葛谷 雅文
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.547-553, 2014-11-25 (Released:2015-02-26)
参考文献数
24
被引用文献数
6

目的:本研究の目的は,神奈川県および愛知県において構築したコホート(the KANAGAWA-AICHI Disabled Elderly Cohort(KAIDEC))の横断研究として,在宅療養高齢者の栄養障害の要因を明らかにすることである.対象および方法:対象は,KAIDEC Studyに登録された居宅介護支援事業所の居宅サービス利用者1,142名(男性460名 女性682名 年齢81.2±8.7歳)である.登録時の調査は,要介護度等の基本情報,低栄養評価(Mini Nutritional Assessment short form:MNA®-SF)および摂食・嚥下障害(Dysphagia Severity Scale:DSS)の状況等の調査を実施した.慢性疾患については,疾患別に分類し,さらに併存症の指標であるCharlson Comorbidity Indexを用いて点数化を行った.MNA®-SFの3群間の比較は,χ二乗検定および一元配置分散分析を行い,栄養障害の要因分析は,MNA®-SFを二分変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.結果:MNA®-SFによる低栄養のスクリーニング結果は,栄養状態が「良好」と評価されたのは全体の27.8%,「低栄養のリスクあり」は55.4%,「低栄養」は16.7%であった.二項ロジスティック回帰分析(「低栄養」とそれ以外の二項)の多変量解析の結果,低栄養と関連する有意な因子は,ADLが低い,過去3カ月以内の入院歴がある,摂食・嚥下機能の低下,認知機能低下の因子であった.また,訪問診療および訪問介護の利用との関連も認められた.結論:居宅療養高齢者の低栄養は,ADL,入院歴,認知機能,摂食・嚥下機能との関連が強く認められた.
著者
中井 滋 鈴木 一之 政金 生人 和田 篤志 伊丹 儀友 尾形 聡 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 庄司 哲雄 谷口 正智 土田 健司 中元 秀友 西 慎一 西 裕志 橋本 整司 長谷川 毅 花房 規男 濱野 高行 藤井 直彦 丸林 誠二 守田 治 山縣 邦弘 若井 建志 渡邊 有三 井関 邦敏 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-31, 2003-01-28
被引用文献数
34 5

2008年末の統計調査は全国の4,124施設を対象に実施され,4,081施設(99.0%)から回答を回収した.2008年末のわが国の透析人口は283,421人であり,昨年末に比べて8,179名(3.0%)の増加であった.人口100万人あたりの患者数は2,220人である.2007年末から2008年末までの1年間の粗死亡率は9.8%であった.透析導入症例の平均年齢は67.2歳,透析人口全体の平均年齢は65.3歳であった.透析導入症例の原疾患ごとのパーセンテージでは,糖尿病性腎症が43.3%,慢性糸球体腎炎は22.8%であった.2008年に透析液細菌数測定を行った施設の52.0%において透析液細菌数測定のための透析液サンプル量は10 mL以上確保されていた.施設血液透析患者の治療条件では,全体の95.4%は週3回治療を受けており,1回治療時間の平均は3.92(±0.53;s.d.以下略)時間であった.血流量の平均値は197(±31)mL/分,透析液流量の平均値は487(±33)mL/分であった.ダイアライザではpolysulfone(PS)膜使用患者が50.7%と最も多く,膜面積平均は1.63(±0.35)m<SUP>2</SUP>であった.ダイアライザ機能分類ではIV型ダイアライザを使用している患者が80.3%と最も多かった.体外循環を用いた血液浄化療法を施行されている患者の治療前各種電解質濃度平均値は以下のようであった;血清ナトリウム濃度138.8(±3.3)mEq/L,血清カリウム濃度4.96(±0.81)mEq/L,血清クロール濃度102.1(±3.1)mEq/L,pH 7.35(±0.05),HCO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度20.7(±3.0)mEq/L.施設血液透析患者のバスキュラーアクセス種類では,自己血管動静脈瘻が89.7%,人工血管動静脈瘻は7.1%を占めていた.2007年1年間のHCV抗体陽性化率は1.04%であり,透析歴20年以上の患者のHCV抗体陽性化率は極めて高かった.また,透析前血清クレアチニン濃度,血清アルブミン濃度,血清総コレステロール濃度,かつまたは,body mass indexが低い患者でHCV抗体陽性化リスクは高かった.