著者
阿部 直美
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
no.5, pp.89-94, 2006-01

子ども達が主体性を失いつつあるといわれる昨今、日々の保育の中での保育者の言葉がけひとつひとつが大きな役割を担っていると考えられる。本論文では様々な場面での保育者の言葉がけを四段階に仮定した。事例を挙げ、具体的な言葉を取り上げながら、各段階における保育者の言葉がけによって変化する「保育者の思い」と「子どもの思い」を比較検討した。結果、子どもの主体性を育むための保育者の言葉がけのあり方について一考察を得た。
著者
北村 明彦 阿部 巧 藤原 佳典 新開 省二 清野 諭 谷口 優 横山 友里 天野 秀紀 西 真理子 野藤 悠 成田 美紀 池内 朋子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.134-145, 2020

<p><b>目的</b> 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施が進められる中,生活習慣病やフレイル関連の各因子が地域在住高齢者の自立喪失に及ぼす影響の強さ(ハザード比)と大きさ(寄与危険度割合)を明らかにする。</p><p><b>方法</b> 群馬県草津町において,2002~11年の高齢者健診を受診した65歳以上の男女計1,214人(男性520人,女性694人)を対象とし,平均8.1年(最大13.4年)追跡した。自立喪失は,介護保険情報による要介護発生または要介護発生前の死亡と定義した。生活習慣病因子として,高血圧,糖尿病,肥満,腎機能低下,喫煙,脳卒中・心臓病・がんの既往等を,機能的健康の関連因子として,フレイル区分,低体重,貧血,低アルブミン血症,認知機能低下を採り上げた。フレイル区分は,phenotypeモデルの5つの構成要素(体重減少,疲弊,活動量低下,歩行速度低値,握力低値)のうち3項目以上該当をフレイル,1~2項目該当をプレフレイルと定義した。Cox比例ハザードモデルを用いた回帰分析により,各要因保有群における自立喪失発生の多変量調整ハザード比(HR),集団寄与危険度割合(PAF)を算出した。</p><p><b>結果</b> 自立喪失発生者数は475人(要介護発生372人,要介護発生前死亡103人)であった。対象者全体でみると,自立喪失の多変量調整HRはフレイル,プレフレイル,認知機能低下,脳卒中既往,喫煙において1.3~2.2倍と有意に高値を示した。自立喪失のPAFは,プレフレイルが19%,フレイルが12%と他の要因に比し高率であった。男性では自立喪失のPAFは,プレフレイルが19%と最も大きく,次いで喫煙が11%であり,女性では,フレイル,プレフレイルがともに18%,腎機能低下が11%であった。前期高齢者では,フレイル,プレフレイルの他に脳卒中既往,貧血,低アルブミン,認知機能低下,喫煙,糖尿病における自立喪失の多変量調整HRが有意に高く,自立喪失のPAFは,プレフレイルが18%,フレイルが13%,喫煙が11%であった。</p><p><b>結論</b> 高齢者健診の受診者を対象とした検討の結果,自立喪失に寄与する割合が最も大きい要因はフレイル,プレフレイルであった。前期高齢期からフレイル予防,ならびに生活習慣病の予防・改善を図ることが集団全体の自立喪失の低減に寄与すると考えられた。</p>
著者
織田 弥生 髙野 ルリ子 阿部 恒之 菊地 賢一
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.579-589, 2015 (Released:2015-02-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

We developed the 33-item Emotion and Arousal Checklist (EACL), which consisted of five subscales to assess emotions (Fear, Anger, Sadness, Disgust, and Happiness) and four subscales to assess arousal (Energetic arousal +, Energetic arousal −, Tense arousal +, and Tense arousal −). This checklist was developed to assess psychological state, both at a given moment and during the past week. In Study 1, confirmatory factor analyses identified nine subscales, whose internal consistency was indicated by their reliability. In Study 2, the EACL’s validity was demonstrated by its correlation with the State-Trait Anxiety Inventory, Multiple Mood Scale, General Arousal Checklist, Japanese UWIST Mood Adjective Checklist, and Profile of Mood States. In Study 3, changes caused by tasks that involved either reading emotion-inducing articles or performing a calculation indicated the validity of the EACL for measuring psychological state at a given moment. Further, the test-retest reliability of the EACL for assessing psychological state during the past week was confirmed. These studies confirmed the reliability and the validity of the EACL.
著者
阿部 武尊
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.15-25, 2016 (Released:2017-06-08)

The purpose of this study is to clarify the process of labor negotiation by Japan Professional Baseball Players Association in order to capture the change of the status of the players, who are the important persons concerned in the professional baseball world. This article focuses the period from 1985, when the Japan Professional Baseball Players Association (JPBPA) was established to 1993, when a free agent (FA) system was introduced. Recognized as a labor union by the Labor Relations Commission, the JPBPA obtained their legal right that they could negotiate with the Nippon Professional Baseball organization (NPB). As a result, the JPBPA succeeded in the improvement of the working conditions as they had wished since its foundation. In addition, JPBPA managed to reach the introduction of the FA system, which permits the freedom of the transfer of the player. However, due to the interest of each baseball clubs the players as combatant could not involve in decision making directly. As a result, the introduced FA system was different from the system that the JPBPA required in 1991, and limited players could exercise the right. However, the introduction of the FA system could be regarded as an epoch-making, in that it enables the players to negotiate with the baseball clubs equally viewpoint with the NPB by the freedom of the transfer of players being permitted. Furthermore, we should pay attention to having gained such rights by the JPBPA under the condition which the NPB seems to lead the process of the negotiation.
著者
竹中 理恵 伊東 尚美 安 邦子 加藤 久美子 峯田 祐次 阿部 菜穂子 岩谷 さゆり 秋野 良子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.71, 2006

<b><緒言></b>当病棟では、せん妄症状の患者に対し、チューブ類の自己抜去や転倒を防ぐために、やむを得ず睡眠剤の投与や抑制を行い危険行動を抑えているのが現状であった。そこで、アロマテラピーの導入で、せん妄症状の患者に対しても少ない症例ではあるが改善が見られたためここに報告する。<BR><b><方法></b><BR>1.対象 夜間せん妄症状が見られた当病棟入院患者で、今回の研究を行うことに家族の了承を得た患者3名<BR>2.方法<BR>1)開始時期<BR> 三瓶氏らのアセスメント表を参考に、せん妄スケール表(以下スケール表とする)を作成し2段階に該当した時点でアロマテラピーを開始する。<BR>2)アロマテラピーの施行方法<BR> 精油をコットンに垂らし枕元に置く。<BR> (1)開始時:リラックス効果のあるラベンダーを使用<BR> (2)開始4時間後から起床時:鎮静効果と催眠作用のあるカモミールを使用<BR> (3)開始が0時以降の場合は2種類を混合し使用<BR>3.データ収集方法<BR> スケールの点数からアロマテラピー使用後のせん妄症状の変化を比較する。<BR>4.倫理的配慮<BR> 同意書に、知る権利・医療における自己決定権・害を与えないこと・プライバシーの保護について記載し、家族に対して説明する。<BR><b><結果></b>スケール点数を比較したところ、全ての症例において開始4時間後に点数の下降が見られた。(資料1参照)また、開始時間に関係なく全員が6時から9時の間に覚醒した。<BR><b><考察></b>環境の変化に不安、チューブ類や安静などによる拘束感、苦痛からくる不眠や疲労に関連し、せん妄症状が出現した患者3名に施行した。アロマテラピー使用後、3名とも「いい臭いがする」「落ち着く」と言い入眠につながった。吉田は「香りの刺激は嗅覚によって感覚されるが、その神経ルートは他の感覚以上に情動脳系に直結している。」<sup>1)</SUP>と述べている。このことから、ラベンダー・カモミールの香りはリラックス効果が高く、ストレスに由来する各種障害に有効と言われているように、鎮痛・安眠効果が得られ入眠を促すことができたと考えられる。<BR> また、使用開始時間に関係なく全員が6時から9時の間に覚醒し「すっきり眠れた」と話された。深夜問わず睡眠剤を使用した場合その効果が日中まで遷延するが、アロマテラピーのもたらす効果で自然な入眠が得られ、崩れた入眠パターンを取り戻す機会になったと考える。<BR><結論>せん妄患者にもアロマテラピーは、自然な入眠を促すことができ、睡眠パターンを取り戻す介入方法として効果が期待できる。<BR><b><引用文献></b><BR>1)吉田倫幸:香りとリラクセーション,現代のエスプリ,P58,1993<BR><b><参考文献></b><BR>1)三瓶智美:クリティカルケアで不穏せん妄をどうアセスメントするか,看護技術,vol 51 No1,2005<BR>
著者
江頭 和道 阿部 和彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.3-7, 1990-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
8

自殺の季節変動に影響を及ぼす気象学的要因の一つとして日照時間に注目し, 自殺の季節変動の程度を表わす「季節変動量」との相関を調べた.対象資料は1950-57年の北海道の自殺統計である.寒冷期 (11, 12, 1, 2月) の自殺が年間全自殺に占める割合と自殺の季節変動量との間に有意の負の相関 (r=-0.90, p<0.01) , また, 前者と寒冷期の日照時間との間に正の関係 (r=0.42, N.S.) , そして寒冷期の日照時間と自殺の季節変動量との間に有意の負の相関 (r=-0.68, p<0.1) を認めた.寒冷期の日照時間の増加が, 元来は少ない同時期の自殺を増加させ, その結果自殺の季節変動量が減少すると解釈される.気温については自殺の季節変動量との相関を認めなかった.著者らの一連の研究結果と合わせて自殺の季節変動を考察し, 季節変動パターンの年代推移, 経済発展や夏と冬の日照時間との関係などについて言及した.
著者
阿部 涼介 鈴木 茂哉
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2020-DPS-185, no.11, pp.1-8, 2020-12-14

Ethereumは,P2P ネットワーク上で改ざん困難な台帳を信頼する第三者なく形成するシステムであるブロックチェーン上でプログラムを実行できるプラットフォームである.Ethereum 上に構築されたアプリケーションの操作に要する時間は,そのアプリケーションが実用に耐えうるか判断するための重要な要素である.先行研究では,限られたネットワーク参加者を想定したブロックチェーン自体の性能を検証が行われているが,Ethereum のような開かれたネットワーク上での伝播遅延を考慮した検証,およびアプリケーションの実行時間の定式化には至っていない.本研究では,Ethereum の動作を精査し,その上に構築されるアプリケーションの実行に要する時間の定式化を試みる.定式化された実行時間を検証するために,遅延をエミュレーションしたプライベートなネットワーク,試験環境であるテストネットワーク上で実験を行った.実験の結果,一定以上の伝播遅延が発生する時に遅延以上のオーバヘッドが存在することが示唆された.本研究の成果を基にさらなる高精度な定式化を行うことで,Ethereum 上に構築されるアプリケーションの実行時間を想定し,実用に耐えうるか事前に検証可能となることが期待される.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
岩本 哲也 倉田 陽介 阿部 博
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.33-40, 2020-11-26

高速大容量通信システムにおける品質指標の 1 つとして,ネットワーク遅延を計測することは重要である.これまでに Round-Trip Time を用いた単純な測定手法や専用の遅延測定プロトコルを用いた測定手法が提案されているが,これらは正確な片方向遅延を測定するという観点で技術面やコスト面で課題を抱えている.本研究では安価な簡易 GPS モジュールを用いた測定システムと,NTP プロトコルを利用したネットワークの遅延測定手法を提案する.高価な専用機器を用いずに汎用ネットワークにおける片方向遅延を実測することで,ネットワーク測定手法としての有効性を確認・評価する.
著者
阿部 邦子
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.43-56, 2020

この小論では、江戸後期『解体新書』の木版附図の下絵を任された秋田蘭画の絵師小田野直武による「扉絵」及び一部の図の引用元本とされるアントワープで出版された1568年版ワルエルダ『解剖書』、また当時の舶載書として唯一確認されている、秋田藩医稲見家伝来のワルエルダ『解剖書』本との関連を、同時期の関係文献を通して探り、書誌学、図像学の視点から、謎の解明にせまる。
著者
阿部 浩之
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.64-76, 2010-07-20 (Released:2017-04-25)

Today, as the market economy progresses, fields such as family care, nursing care, medical care, and childcare are transacted as interpersonal service labor in the market, and wage laborers are becoming increasingly in charge of such services. With regards to this trend, the concept of emotional labor was proposed by Hochschild as something that expresses a feature of interpersonal service labor in contemporary capitalism. Emotional labor aims to create an appropriate mental state in the targeted people (Hochschild). In interpersonal service labor, emotional labor is used for smoothly performing the work concerned, and it is often an essential factor. Emotional labor can be discussed as a series of labor processes consisting of three phases: (1) the emotion of the laborers toward customers; (2) acting as a visible expression of emotion; and (3) the emotion of customers that receive the service concerned. In discussions that focus on emotion, emotion management has often been considered a skill in emotional labor, and it is necessary to pay more attention to (2) acting as a visible expression of emotion. In a wide sense of general labor, emotional labor is performed in the form of nursing care or the like as part of household work. When it becomes associated with commodity economy, interpersonal service takes the form of article of commerce, and it may be provided in the form of selfemployment (for example practicing psychiatrist and psychological counselor), or it may be provided as wage-labor. Even in the same wage labor, there are qualitative differences between emotional labor in standardized customer service that is regulated by a manual, as is represented by fast food restaurant service (type A) and emotional labor by nursing/care personnel or the like (type B). In type B, it is difficult to complete service just by combining surface acting; instead it requires deep acting, unlike type A. In emotional labor by nursing/care personnel or the like (type B), it is necessary to consider the situation in which laborers and customers face each other in the form of multiple laborers versus multiple customers; and group-to-group, instead of one-to-one or individual-to-individual. Since Hochschild's proposal, emotional labor, which has tended to be discussed from the viewpoint of individual-to-individual, needs to be reevaluated from the viewpoint of group-to-group, with capitalistic labor organizations in mind. In emotional labor performed by a labor organization, acting becomes rather theatrical; or in other words, emotional labor is performed cooperatively. While taking a theatrical structure, emotional labor progresses qualitatively. Discussions on emotional labor are considered to have abundant possibilities to elucidate what kinds of features are possessed by labor power that is a commodity closely related to character, and how labor power commodities are formed and function in capitalism.

2 0 0 0 OA 駿国雑志

著者
阿部正信 編
出版者
吉見書店
巻号頁・発行日
vol.8冊, 1912
著者
樋口 輝美 石川 由美子 山崎 俊男 水野 真理 大川 恵里奈 瀬戸口 晴美 柳沢 順子 中島 詩織 安藤 英之 及川 治 井下 篤司 阿部 雅紀 上野 高浩 相馬 正義
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.119-127, 2014 (Released:2014-03-06)
参考文献数
30
被引用文献数
3

【目的】透析患者におけるレボカルニチンの腎性貧血に及ぼす効果を検討する.【対象】当院にて維持透析施行中の患者192名のうち,選択基準を満たした対象患者153名に対し内服希望のアンケートを実施し,内服希望患者群113名(内服群)と内服希望のない患者群40名(非内服群)とした.【方法】今回の臨床試験においては,内服希望患者による介入試験であり,非ランダム化比較試験である.内服群はレボカルニチンを20mg/kg/日(最大用量1,200mg/日)を投与した.Erythropoiesis stimulating agents(ESAs)はrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)とDarbepoetinα(DA)を使用しているため,rHuEPOとDAの比を200:1としrHuEPOの換算量とし,週あたりのESAs使用量,ESAs治療反応性の指標としてerythropoiesis resistance index(ERI)をESA doses/kg/g/dL/週として算出した.【結果】対象患者の患者背景は,内服群で,非内服群に比し有意に男性患者が多く,原疾患は糖尿病性腎症が多く,有意にクレアチニン,尿酸,アルブミンとTIBCの高値を認めたが,その他両群間で有意な差は認めなかった.1)内服群,非内服群とも試験開始前から6か月まで目標Hbに達し,両群間で有意な差は認めなかった.2)内服群のESAs使用量は6か月目に有意な低値を認め,非内服群に比し,6か月目で有意な低値を認めた.3)内服群でESAs doses/kg/dL/週は6か月目で有意な低値を認め,非内服群に比し,開始3,6か月で有意な差を認めた.【結論】レボカルニチンは透析患者の腎性貧血におけるESAs使用量の低下と,ESAsへの反応性を改善させることが示唆された.
著者
星野 光男 藤田 尚昌 阿部 弘樹 古賀 寛尚
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

代数幾何学におけるセール双対の理論をネター多元環の場合に拡張し、この概念を用いて、ネター多元環のゴレンシュタイン性の特徴付けを与え、かつ、ゴレンシュタイン多元環上の与えられた傾斜鎖複体に対して、その準同型多元環がまたゴレンシュタイン多元環になるための必要十分条件を与えた。ここで、ネター多元環とは可換ネター環上の多元環で加群として有限生成のものを指し、ゴレンシュタイン多元環とは可換ゴレンシュタイン環上のネター多元環で導来圏における基礎環上の双対が射影的生成素を移動したものと同型になるものを指す。
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
阿部 真也 松本 忍 小林 彦登 斎藤 太寿 宮下 博幸 高野 照子 堺 直子 柴田 壮一 厚田 幸一郎
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.75-81, 2012 (Released:2012-09-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2

Objective: In the intensive care unit (ICU), drugs are administered in sequence as the conditions of the patient change rapidly, and there are often cases where many injections are administered simultaneously.  For this reason, it is important to quickly select the appropriate administration route.  In this study, we prepared a quick reference table for incompatibilities of frequently used and highly important injections in the ICU (referred to as the “quick reference table”) that will enable selection of the appropriate administration route, and we investigated the status of use and usefulness of this quick reference table.Methods: The drugs included in the quick reference table were extracted from prescription records from May to October 2009, and these were finalized by discussions with the nurses in the ICU.  Three reference materials were used: Manual on the Supervision of Injection Preparation (3rd Edition), Data Search on Injection Incompatibilities 2009, and MICROMEDEX®.  The survey was conducted with all 12 nurses in the ICU after 4 months of distributing the quick reference table.Results: The quick reference table included 57 pharmaceutical items, and compatibility was classified into 10 categories.  The quick reference table was prepared as one A3 page for convenience.  The retrieval rate of the survey was 100%.  The average number of years of practical experience as a nurse was 12.2 years, and 11 out of 12 nurses used the quick reference table.  Of the 11 nurses who used the table, 6 answered that it was “very useful,” while 4 answered that it was “useful.”  All 11 nurses who used the quick reference table answered that they “consulted the pharmacists less frequently.”Conclusion: Satisfactory evaluations were obtained with regard to the details included in the quick reference table, and the table was estimated to be highly useful and important even for ICU nurses with many years of experience.  Furthermore, it was suggested that the quick reference table was also useful in reducing the workloads of the pharmacists.
著者
朝倉 俊成 清野 弘明 野崎 征支郎 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.423-427, 2001-05-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1

糖尿病患者が外食時にインスリン自己注射を行うことに関して, 飲食店はどのように捕らえているのかを調べるために太田西ノ内病院から半径約5km以内に位置する飲食店150店舗を対象にアンケート調査を実施した. 回収は89件 (59. 3%) であった. その結果, 料理の提供時間は最短で7. 1±9. 5分 (M±SD), 最長は20. 1±15. 0分であった. インスリン注射を患者自身が行なっていることは68. 5%が知っており, 店内でインスリン注射を見たことがあるとの回答は15.7%であった. 料理の量や提供時間などの客からの要望に対しては80%以上が対応できると答えた. また75. 0%がインスリン注射についての情報を知りたいと答えていた. インスリン療法に関する情報提供などを通じ, 患者のインスリン注射の環境改善に薬剤師が貢献できると考えた
著者
壽 和夫 齋藤 寿広 町田 裕 佐藤 義彦 阿部 和幸 栗原 昭夫 緒方 達志 寺井 理治 西端 豊英 小園 照雄 福田 博之 木原 武士 鈴木 勝征
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.1, pp.11-21, 2002 (Released:2011-03-05)

1. ‘あきづき’は1985年に果樹試験場(現 果樹研究所)において‘162-29’に‘幸水’を交雑して育成した実生から選抜したやや晩生の赤ナシ品種である。1993年に一次選抜し,1994年からナシ第6回系統適応性検定試験に‘ナシ筑波47号’として供試した。その結果、1998年8月21日付けで‘あきづき’と命名され、なし農林19号として登録、公表された。また、2001年10月18日付けで種苗法に基づき第9401号として品種登録された。2. 樹勢はやや強く、短果枝、えき花芽ともに着生はやや少ない。開花期は‘幸水’とほぼ同時期で、‘筑水’とは交雑不和合であるが他の主要品種とは和合性である。‘豊水’と‘新高’の間に成熟し、病虫害に対しては通常の防除で対応できる。3. 果実は扁円形で平均果重が500g程度と‘豊水’より大きいが‘新高’よりは小さい。果肉は軟らかく、甘味は‘豊水’程度で酸味が僅かにあり、食味は良好である。芯腐れ、みつ症などの生理障害の発生は少ない。有てい果が多数混在する。