著者
高田 肇
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

施設作物を加害するアブラムシ類の生物的防除素材として、アブラムシ寄生性ツヤコバチ科の在来寄生バチの利用を検討した。わが国では4種のツヤコバチが、ワタアブラムシとモモアカアブラムシ(以下それぞれワタ、モモアカと略記)に寄生することを確認した。主要種はAphelinus gossypiiとAphelinus sp.B(nr.varipes)である。長日(15L-9D)における雌の平均発育期間は、A.gossypiiでは18℃で21.9日、25℃で12.3日、Aphelinus sp.Bでは18℃で23.3日、25℃で13.7日であった。長日18℃におけるA.gossypiiの平均産卵数は57、寄主体液摂取数は11、長日25℃におけるAphelinus sp.Bの平均産卵数は48、寄主体液摂取数は24であった。A.gossypiiはワタに対する適性は高いが、モモアカに対する適性は低い。Aphelinus sp.Bはワタ、モモアカのいずれに対しても適性が高い。さらに、大量増殖用の寄主として好適なマメにも適性が高い。Aphelinus sp.Bは北海道と京都個体群は長日型の休眠性をもつが、沖縄個体群はもたない。マミ-形成後の休眠幼虫を5℃で4週間保存する場合、生存率は順化処理を行った区(86%)のほうが、行わなかった区(39-63%)より高かった。Aphelinus sp.Bでは、大部分の蛹がマミ-内で頭部をマミ-の後方に、腹面をマミ-の背面に向けていた。成虫の羽化脱出率はマミ-の背面よりも腹面を張り付けたときのほうが高かった。A.gossypiiのLD50は、成虫施用よりマミ-施用のほうがマラソンでは16倍、ピリミカーブでは38倍、フェンバレレートでは6倍大きかった。これら3種殺虫剤の中では、本種に対する影響力はピリミカーブが最も小さいと考えられる。
著者
登喜 和江 高田 早苗 蓬莱 節子 和田 恵美子 山居 輝美 前川 泰子 山下 裕紀 仁平 雅子 柴田 しおり
出版者
大阪府立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

脳卒中後遺症としてのしびれや痛みの実態および対処の様相を明らかにすることを目的に面接法と質問紙法による調査を行った。脳卒中後遺症としてのしびれや痛みは,(1)約7割に発症している。(2)約5割の人々が四六時中しびれや痛みを感じている。(3)約7割の人々が生活に支障を感じながらも何とか生活している。(4)最大の強さを100とした場合,約1割の人々が80以上と感じている。(5)個々の参加者によって多様に表現される一方,表現しがたいとする人も少なくない。(6)明確に区別されにくく,人によってはしびれが強くなると痛みに近い感覚として体験される。(7)気象の変化等による深部や内部のしびれ・痛みとして知覚される場合と雨風が直接当たることで誘発される皮膚表面のしびれ・痛みといった一見相反する感覚を併せ持つ。(8)眠ると感じない,他に意識が向いている時は忘れている,しびれ・痛みに意識が集中すると強く感じられる等の特徴が見出された。しびれや痛みの受けとめは,「強さ」「罹病期間」「医療者や身近な人々の対応」に影響を受けていた。治療効果については,様々な医学的治療や民間療法が用いられていたが,「温泉」「マッサージ」「温湿布」などの身体侵襲が少なく心地よさを感じる療法に効果があったとしていた。また,しびれや痛みは,それ自体として知覚されるだけでなく<感覚の不確かさ><温冷感覚の変化><感覚の違和感>といった特異な感覚を伴っている。さらに,この痛み・しびれは,脳卒中者の生活に多様な影響をもたらしており,参加者は<しびれ・痛みそのものへの対応><身体との折り合い><道具世界との協調><周囲との付き合い><自分自身と向き合う>といった対処で生活を維持しようと努めていた。
著者
小森 万希子 高田 勝美 中田 智子 塩谷 雅子 田口 晶子 鈴木 英弘 菅原 基晃
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.180-180, 1994-02-25

東京女子医科大学学会第297回例会 平成6年2月17日 東京女子医科大学 弥生記念講堂
著者
遠藤 正浩 高田 佳木 高月 清宣 吉村 雅裕 坪田 紀明 指方 輝正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.191-195, 1999-04-20
被引用文献数
1

極めてまれな縦隔原発の平滑筋肉腫を経験したので,画像所見を中心に報告する.症例は69歳の女性で,労作時呼吸困難と胸部異常陰影を主訴に来院した.胸部X線写真で縦隔影の拡大と右胸水が指摘された.CTとMRIでは,中から後縦隔に中央部がくびれた雪だるま状の圧排性進展の腫瘍を認め,腫瘍内部は不規則に造影され,間葉系の悪性腫瘍,特に悪性神経鞘腫や平滑筋肉腫などを疑った.画像上圧排性発育が主体で,全摘除の可能性が高いこと,さらに呼吸困難が急速に進行しているなどの理由から手術を施行した.腫瘍はほぼ完全に摘出でき,術後は患者の呼吸器症状は完全に消失した.病理学的には,免疫組織化学や電顕的観察の結果より平滑筋肉腫と診断した.
著者
多田 幸生 長嶋 達也 高田 昌紀
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.58, no.551, pp.1115-1121, 1992-07-25
被引用文献数
2

The brain consists of brain tissue, blood and extracellular fluid. We can thus consider that brain tissue has multi-phasic properties. There is a very important interrelation between the tissue and the fluid. Thus, we consider that the respective factors on brain neurosurgery, the distribution of brain tissue pressure and extracellular fluid flow are very important, and we cannot neglect those factors closely related to metabolism of the brain tissue. This study constructs a two-dimensional consolidation model of the brain using the finite element method (FEM) and simulates the flow and distribution of cerebrospinal fluid (CSF). The two dominant equations on the consolidation theory are approximated numerically in time by the finite difference method and in space by the FEM. The results obtained by computer simulation regarding brain edema using the FEM are compared with the pathological observation with regrad to the flux distribution and flow direction of CSF, and we conclude that they are much the same as those from the view point of the pathological and clinical surgery. We furthermore propose that we should take the boundary conditions of pressure of the subarchanoid space and ventricle into consideration in the simulation of brain edema.
著者
橋本 遼 高田 善規 新熊 亮一 田仲 理恵 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.40, pp.81-86, 2010-05-13
被引用文献数
1

情報発信者が人々に情報を受信させるための手法として,人をノード,友人関係のつながりをリンクとしたソーシャルグラフを経路とするクチコミ情報伝播が注目されている.クチコミ情報伝播では,人に必要な情報や信頼できる情報が届きやすいことが報告されている.しかし,人の送信行動に関わる心理的負担(コスト)が問題となり,情報の伝播が止まったり,情報の広がりが遅くなることがある.この問題を解決するために,送信行動に伴うコストを補償するためのインセンティブ報酬付与が提案されている.本稿では,送信者に対して付与する報酬に条件を与え,受信者が情報に対して反応行動を起こしたときのみ報酬付与を行う方式を提案する.この方式は,支払う報酬の総和を増やすことなく,受信者の反応行動を促進させることができる.これを示すために行った社会実験について報告する.
著者
加藤 泰史 青山 治城 入江 幸男 大橋 容一郎 篠澤 和久 直江 清隆 舟場 保之 別所 良美 松井 佳子 松田 純 宮島 光志 村松 聡 山内 廣隆 山田 秀 高田 純 RIESSLAND Andreas
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究の研究成果としては、(1)現代価値論の観点から「尊厳」概念を絶対的価値として基礎づけることの可能性と重要性が明らかになったこと、(2)ドイツの「人間の尊厳」理解として義務論的なハーバマスにせよ(人間の尊厳/人間の生命の尊厳)、功利主義的なビルンバッハーにしても(規範的に強い意味での尊厳/規範的に弱い意味での尊厳)、「尊厳」概念は二重構造を持っており、それが一般的に妥当性を持つとして広く受け入れられていること、しかしまた同時に(3)ドイツの「尊厳」理解において身体性を重視する議論が新たに提示され始めており、この点で従来のパラダイムが転換する可能性があること、それに対して(4)日本の「尊厳」概念史がほとんど研究されていないことが判明し、本研究でも研究の一環としてそれに取り組み、一定程度明らかになったが、その根柢には「生命の尊厳」という理解が成立しており、それはきわめて密接に身体性と関連していて、この点で(3)の論点と哲学的に関連づけることが可能であり今後の重要な哲学的課題になること、(5)「人間の尊厳」概念から「人権」概念を基礎づけることの重要性が明らかになったこと、(6)近代ヨーロッパの「尊厳」概念成立に際してヨーロッパの外部からの影響が考えられうることなどを指摘できる。これらの研究成果は、まずは『ドイツ応用倫理学研究』に掲載して公表したが(第2号まで公刊済み)、第一年度の平成19年度以降各年度に開催されたワークショップやシンポジウムの研究発表をもとにして論文集を編纂して差しあたりドイツで公刊予定(たとえば、その内のひとつとして、Gerhard Schonrich/Yasushi Kato (Hgg.), Wurde als Wert, mentis Verlagが編集作業中である)である。そして、これらの論文集の翻訳は日本でも刊行を予定している。また、特に(4)に関しては、加藤/松井がこの研究プロジェクトを代表してドイツのビーレフェルト大学で開催されたワークショップ「尊厳-経験的・文化的・規範的次元」において「Bioethics in modern Japan: The case for “Dignity of life"」というテーマで研究発表した。さらに研究成果の一部は最終年度の平成22年度の終わりにNHK文化センター名古屋教室の協力を得て市民講座「現代倫理・「人間の尊厳」を考える」で江湖に還元することもできた。
著者
縣 秀彦 宇山 陽子 CHABAY Ilan DOUGHERTY James 篠原 秀雄 奥野 光 大朝 摂子 郷 智子 中川 律子 高田 裕行 室井 恭子 藤田 登起子 野口 さゆみ 青木 真紀子 鴈野 重之 臼田 功美子 (佐藤 功美子)
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

従来の博物館、科学館等における様々な科学コミュニケーション・シーンにおいての「物語る」ことの役割を分析し、科学ナラトロジー(物語り学)について考察した。主な成果として、国立天文台構内に三鷹市「星と森と絵本の家」を平成21年7月開館予定。絵本の家での有効なラナティブの活用として「星の語り部」の活動を提案した。また、市民に科学を物語る場として、平成20年11月より三鷹駅前に「星と風のサロン」を開設し定点観察を継続している。
著者
石畝 史 飯田 英侃 馬 曉航 矢野 泰弘 藤田 博己 高田 伸弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.141-145, 1994
被引用文献数
8 10

中・西日本で採集した未寄生および野鼠寄生のシュルツェマダニ, ヤマトマダニ, タヌキマダニおよびキチマダニから, またスミスネズミおよびアカネズミからもBorrelia株を分離した。SDS-PAGEによれば, これらはB. burgdorferi B31株と蛋白組成が多少とも異なり, 便宜的にはシュルツェマダニ由来のIp typeおよびその四つの異型(variant), ヤマトマダニ由来のIo type(全国均一), そしてタヌキマダニ由来のIt typeの7型に分けられた。このうち, Io typeとスミスネズミの親和性が強く示唆されたが, 少なくとも本地域では, Borreliaの各typeはマダニと野鼠の寄生関係の中でその伝播経路が多岐にわたる可能性が推測された。
著者
谷口 剛 伊藤公人 五十嵐 学 村上 悌治 高田 礼人 原口 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.135, pp.185-192, 2006-12-22

インフルエンザウイルスにおける抗原変異の規則性を発見するために,アミノ酸残基の共変異を解析する共変異とは,タンパク質を構成するアミノ酸残基のうち〆複数の位置のアミノ酸が共に置換する現象である.従来からアミノ酸残基の共変異を解析する手法がいくつか提案されていたが,それらの手法では進化の過程における分岐や時間的関係が考慮されていなかったそこで,これらの問題を解決するために,進化系統解析によって得られる系統樹を利用する手法を提案する.過去40年間のH3N2亜型インフルエンザウイルスのHAタンパク質を対象とし,共変異の検出を行い,その結果を示す,また,共変異は時代と共に変化するため,共変異の変化を検出するための手法を提案する.The influenza viruses undergo antigenic drift to escape from antibody-mediated immune pressure. In order to predict possible structural changes of their molecules in future, it is important to analyze the patterns of amino acid substitutions in the past. In this paper, we present a new method to extract the sets of residue positions which were involved in correlated mutations. We also discuss a method to detect changes of correlation among co-evolving residues.
著者
高田 清式
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

院内感染の理解を深めることを目的に研修医における処置時の手袋着用状況と白衣の汚染状況を調査した。当大学病院での研修医に焦点をあて、感染教育により向上するかどうかを年次的に検討した。手袋着用率が平成20年度の59.6%に比べ、平成22年度は63.8%であり、白衣のMRSA汚染も平成20年度に2例検出されたが以後は検出されなかった。感染対策の実践において感染教育にて年次的に幾分の改善傾向が示されたと考える。
著者
岡元 智一郎 高田 雅介 黒木 雄一郎
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

21世紀の安全・安心・快適な社会の構築のために、従来の科学技術の限界を突破し得るナノテクノロジーの展開が注目されている。その鍵となるのは、高品質ナノ結晶の合成にある。本研究では、金属やセラミックスを通電加熱することにより、その表面や近接する基板上に良質なナノ結晶が成長する現象に関して、その結晶成長機構を解明し、高品質のナノスケール構造体を精度良く効率的に且つ大量に合成するためのナノ結晶合成技術の確立に向けた研究を行った。
著者
高田 春比古 根本 英二 中村 雅典 遠藤 康男
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

報告者らはこれまでに、i)歯周病関連細菌のLPS,口腔レンサ球菌ならびにCandida albicansより調製した細胞壁画分を、細菌細胞壁ペプチドグリカンの要構造に当たる合成ムラミルジペプチド(MDP)を前投与したマウスに静脈注射すると、アナフィラキシー様ショック反応を惹起すること、ii)LPSによるショック反応の背景には血小板の末梢血から肺等への急激な移行と、臓器での凝集・崩壊、それに続発する急性の組織破壊が起こっており、MDPはこのような血小板反応を増強すること、iii)さらに、一連の反応の成立には、補体が必須であることを明らかにしてきた。本研究の当初の計画では、マンナンを主要構成多糖とするC.albicansの細胞壁がmannose-binding lectin(MBL)と結合して、所謂レクチン経路を介する補体活性化を起こす結果、血小板崩壊に続発するアナフィラキシー様反応が起こるとの作業仮説の実証を目指していた。しかし、研究の途上で、マンノースホモポリマー(MHP)を保有するKlebsiella O3(KO3)のLPSに極めて強力なショック誘導作用を認めたので、先ず、MHP保有LPSを供試する実験を実施した。即ち、横地高志教授(愛知医大)より、KO3の他、E.coli O8とO9(いずれもMHPよりなるO多糖を保有)さらに、O8およびO9合成酵素をコードする遺伝子をE.coli K12(O多糖欠くR変異株)に導入して得た遺伝子組替えLPSの分与を受けて、MHP保有LPSが例外無く強力なショック反応と血小板反応を惹起すること、さらに、松下操博士(福島医大)の協力を得て、MHP保有LPSはヒトMBLと結合して、血清中のC4を捉えて、補体系を活性化することを証明した。
著者
高田 春比古 根本 英二 中村 雅典 遠藤 康男
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

先に申請者らは、歯周病に深く係わるとされるPorphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia等の黒色色素産生菌(BPB)のリポ多糖(LPS)をマウスに静脈注射すると、通常のLPSでは報告のない全身アナフィラキシー様反応を惹起する事を見出した。さらに、この反応の背景には血小板の末梢血から肺・肝等への急激な移行と、臓器での凝集・崩壊、それに続発する急性の組織破壊が起こる事を明らかにした。これらの反応の機序解明を目指して、補体系との係わりに焦点を絞って研究した。研究にあたっては、アナフィラキシー様反応惹起能が強いKlebsiella 03(K03)のLPS(愛知医大・横地高志教授より分与を受けた)を主として供試した。その結果、1.先天的に補体因子C5を欠くDBA/2マウスやAKRマウスではアナフィラキシー様反応や血小板の崩壊が起こらない。2.C5抑制剤K-75 COOHを予め投与されたマウスやコブラ毒素を投与して補体を枯渇させたマウスでも、アナフィラキシー様反応や血小板崩壊が起こらない。3.補体活性化作用が弱いKO3変異株のLPSでは、血小板の一過性の肺・肝への移行はみられるが、やがて血液に戻り、アナフィラキシー様反応も認められない。これらの知見はLPSによって惹起される血小板-アナフィラキシー様反応には補体活性化が必須がであることを示唆している。報告者は、K03 LPSの0多糖部のマンノースホモポリマー(MHP)がレクチン経路(近年解明された第3の補体活性化経路)を介して補体を強力に活性化して、集積した血小板を崩壊させ、アナフィラキシー様反応を惹起するとの作業仮説を立てた。実際、4.Esherichia coli 0111:B4にMHP合成遺伝子を導入した変異株のLPS(横地教授より分与)では、親株のLPSに認められない強力な血小板反応とアナフィラキシー様反応惹起作用が認められた。今後、歯周局所でもBPB LPSによって、同様の機序による急性炎症が惹起されている可能性を探究する予定である。
著者
高田 雄京 奥野 攻 越後 成志 菊地 聖史 高橋 正敏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

静磁場による骨の成長誘導の可能性を調べるため、耐食性に極めて優れた無着磁および着磁白金鉄磁石合金(Pt-59.75at%Fe-0.75at%Nb)をウィスターラットの両側脛骨にそれぞれ1〜12週埋入し、骨親和性と静磁場刺激による骨誘導を光学顕微鏡とX線分析顕微鏡を用いて評価した。同時にコントロールとして、骨および生体親和性の高いチタンおよび生体用ステンレス鋼(SUS316L)においても同様の実験を行い、それぞれの骨成長を比較検討した。その結果、静磁場の有無に関わらず白金鉄磁石合金表面に形成する新生骨のCa/Pは、チタンや生体用ステンレス鋼と同等であり、皮質骨との有意差はなかった。また、4週以降では、いずれも埋入金属全域を新生骨が覆い、白金鉄磁石合金に形成した新生骨は、静磁場の有無に関わらず微細領域においても皮質骨と同等のCaとPの分布を示し、十分に成熟した骨であることが明らかとなった。これらのことから、白金鉄磁石合金に形成する新生骨の成熟度、形成形態、形成量は静磁場の有無に依存せず、いずれもチタンに準じ、生体用ステンレス鋼よりも優れていることが明らかとなった。特に、白金鉄磁石合金において、静磁場の有無に関わらず生体為害性が全く現れなかったことから、生体内で利用できる磁性材料としての可能性が非常に高いことが示唆された。しかし、白金鉄磁石合金の形状が小さく局所的で強力な静磁場が得にくいことや、ウィスターラットの骨代謝が速いことから、本研究課題の期間内では静磁場による骨の成長速度の相違を明瞭に見出すことができなかった。今後の課題として、局所的で強力な静磁場を付与できる磁石とラットよりも骨代謝の遅い動物を用い、静磁場刺激による骨の成長誘導を試みる必要があると考えられる。
著者
高田 彰二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

リガンド結合に伴って大きく構造変化するアロステリック蛋白質のレアな大振幅ゆらぎについて、全原子モデルと粗視化モデルを併合したマルチスケールシミュレーションによって研究した。まず、リガンド非結合のアポ状態と結合したホロ状態の立体構造が既知のアロステリック蛋白質71個について、両構造におけるアミノ酸対相互作用を、全原子モデルにより計算した。その結果、両構造で保存されたアミノ酸対相互作用は、強いものから弱いものまで普遍則に従う指数分布をするのに対して、片方の構造でだけ見出されるアミノ酸対相互作用は、ほぼすべて弱いものでり、明確に異なる分布をもつことを発見した。この規則は対象とした41蛋白質すべてにおいて成立していた。次に、全原子モデルによるアミノ酸対相互作用エネルギーを用いて、これに比例するエネルギーをもつ粗視化モデルを構築した。さらに、この比例係数およびほかのパラメータは、23個のテスト蛋白質について、全原子モデルで計算したゆらぎと粗視化モデルで計算したゆらぎをマッチさせることによって求めた。このようにして得られたモデル、原子相互作用に基づく粗視化モデル(AICGモデル)のテストとして、天然状態での平均ゆらぎ、アロステリック蛋白質の構造変化方向を計算したところ、従来の粗視化モデルに比べてかなり優れた予測能力をもつことが分かった。ACIGモデルを用いて、アデニル酸キナーゼの大振幅ゆらぎを調べたところ、ホロ状態にいる蛋白質が10^<-6>程度の確率でアポ状態に近い(RMSD3.5A程度)にまでゆらぐことが明らかとなった。大振幅なゆらぎは、調和的なモデルでは記述できない。さらに、原子相互作用に基づかない従来の粗視化モデルでは、AICGに比べて、大きすぎるエネルギー障壁をもつことを示した。
著者
高田 将志 相馬 秀廣 豊田 新 竹村 恵二 横山 祐典
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

琵琶湖1400mボーリングコア試料のESR信号強度は、周期的な環境変化の影響を受けてきた可能性がある。またESR・TL信号特性から、約90万年前の堆積層は、それより上位の試料に比べ、コア掘削地点北~東~南方に分布する基盤岩類や野洲川掃流物質の影響を強く受けていたように見える。当該試料の^<10>Be濃度もかなり異なる値を示し、これは、堆積物供給源の浸食・堆積環境が時系列的にかなり変化してきたことを示唆する。
著者
後藤 清豪 高田 秀志
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-151, no.41, pp.1-8, 2010-11-05

現状のウェブでは検索エンジンや推薦アルゴリズムの発達により,求める情報を容易に得ることが可能である.しかし,明確に求めているわけではないが,与えられれば好奇心が刺激されるような情報である「意外な情報」を得る手段として確立されたものはない.一方で,日常生活においては,人との交流や会話などから「意外な情報」を偶然得られることがある.そこで本研究では,ソーシャルメディアにおいて,意外な情報の提供者になり得る人物を推薦する手法を考える.その一つとして,ソーシャルメディア上のユーザの行動から,被推薦者にとって意外な情報の提供者となり得る人物を推薦する手法を提案する.また,本手法をTwitterを対象として実装し,推薦した人物が被推薦者にとって意外な情報の提供者になり得るかどうかを,他の人物推薦システムと比較して検証する.