著者
山田 和彦 永田 靖典 高橋 裕介 莊司 泰弘
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究の目的は、膜面構造を有する宇宙機の低軌道上での挙動をISSから放出する超小型衛星(EGG)を利用して実測し、その結果を参照データとして、事前&事後解析を実施し、膜面衛星の運動特性、ダイナミクス、軌道崩壊現象を明らかにすることである。H27年度はEGG衛星本体の開発に連動して、それに搭載するEGG衛星の運動挙動を把握するための姿勢センサ群の選定、開発を行った。姿勢センサ群として、3軸加速度、3軸角速度、3軸地磁場を測定できる姿勢センサユニット(AD16488)を選定し、それに加え、小型の太陽電池を利用した光センサやイオン検出器である小型ファラデーカップを独自に開発した。これらのセンサのデータを効率よく取得するために、EGG衛星のデータ収集系について改良を行った。また、外乱に対するEGG衛星の挙動を測定するために、姿勢外乱源として基板型の磁気トルカを開発した。この磁気トルカは、軌道上では、外乱源として使用するだけでなく、衛星の姿勢制御も試みる予定である。H27年度の活動で、これらのセンサを組み込んだEGG衛星自体は、ほぼ完成した。完成までの残作業としては、各種動作確認試験であり、姿勢センサ群については、EGG衛星に搭載した状態での校正を行う予定である。事前&事後の挙動解析のための数値シミュレーションツールに関して、膜面運動解析と希薄気体解析を合わせた解析手法を構築、実施し、軌道上での衛星挙動の事前予測を行うためのツールの準備を進めた。
著者
浅見 泰司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1997-04-01)

本研究の目的は、不動産鑑定士の行う画地の鑑定評価の中で形状評価の部分をニューラルネットワークなどを用いて予測式を構築し,形状評価構造を求め,また画地評価の部分的なシステムの構築を行うというものである。最終年度である本年度では、前年度に得られた画地評価システムのプロットタイプをもとに、東京都世田谷区の詳細な地価データによって評価関数の精緻化作業を行ない、精度の高いシステムのあり方を求めた。具体的には、2つの重要な成果を出した。一つは、世田谷区の画地形状、立地条件、周辺環境などの詳細データをもとに、それらの評価値を適切に組み合わせた精度の高いヘドニック地価評価関数を推定した。これにより、今までは困難であった敷地細分化の外部経済効果や公園の設置効果などミクロな住環境の費用・便益を貨幣単位で評価できるようになった。特に、緑地の効果と土地利用混合の効果は、評価画地の規模に応じて異なり、面積の大きな画地については、(敷地外)緑地効果は小さく、周辺土地利用混合効果は大きくプラスにきくことか判明した。本モデルは、地区計画レベルでの都市計画・権利調整支援システムとして用いることができ、今後適切な街区の適切な画地割問題にも応用できる。もう一つの成果としては、鑑定評価における特に類似地選定の適切なあり方を明らかにした。適切に類似地を選択することによって、単純なヘドニック回帰式よりも精度の高い地価推定が可能となることを示し、鑑定評価で行われてきた取引事例比較法の妥当性を実証するとともに、類似地選定に際して、どのような要素に着目して選択をしぽるぺきかを定量的に求めた。分析の結果、最寄駅距離、都心乗車時間、角地や袋地などの画地形状の条件を特に合わせるよう配慮すぺきことが示された。
著者
荒川 隆史 木村 勝彦 山田 昌久 赤羽 正春 吉川 昌伸 吉川 純子 高田 秀樹 大野 淳也 布尾 和史 向井 裕知 門口 実代 益子 貴義 千代 剛史 市村 真実 猪狩 俊哉 沼田 早織 根本 麻衣
出版者
(財)新潟県文化振興財団(歴史博物館)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

縄文時代においてクリは重要な食べ物のひとつであり、建物の柱にも多数利用されていた。しかし、クリの木を切ると実は採れなくなってしまう。縄文人はこのバランスをとるためクリとどのようにつき合っていたのか? この謎を解き明かすため、縄文時代のクリ材の加工技術や年輪の特徴を調べるとともに、現代におけるクリ林の利用方法や年輪・花粉などの基礎的データを収集した。これらをもとに縄文時代のクリ利用システムを研究するものである。
著者
佐藤 幹代 高橋 奈津子 濱 雄亮 城丸 瑞恵 本間 真理
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

今年度は、昨年度に引き続き対象者募集を行い、インタビューデータの収集を継続した。メディア(全国版新聞・地方版新聞)および、認定特定非営利団体(NPO)健康と病いの語りディペックス・ジャパン(以後、DIPEx-Japan)のホームページへ掲載、研究会や関連学会で「研究協力へのお願い」冊子を配布し想定人数を超えた協力者を募ることができた。現在まで「慢性の痛みを持つ人」22名(原因:腰痛、リウマチ、線維筋痛症、三叉神経痛、頭痛、性別:男性5名 女性17名、平均年齢55.3歳、平均疼痛期間14.4年)、「慢性の痛みを持つ人の家族」5名(性別:男性1名 女性4名、平均年齢52.8歳)の映像と音声によるインタビュー収録と、全症例の逐語録作成が終了している。そのうち、対象者に逐語録を郵送し、削除箇所の確認をし、データベースとして22名分の映像もしくは音声データ使用の承諾を得ている。そのほかの逐語録データは送付準備中もしくは、対象者による内容の確認が進行中である。インタビューデータの分析は、インタビュー調査者5名により、質的分析ソフトMAX-QDAを用いデータコーディングを行い、その後インタビュー項目の追加など検討を進めながら行っている。研究者間の調整は、インタビュー対象者の確認およびデータ分析、情報交換を目的とし計7回の会議開催および、1回/月開催されるDIPEx-Japanの会議で定期的に実施した。そのほか、年間を通しメールや電話を用い、研究者同士で頻回な連絡・調整を行い研究の推進を図った。研究分担者(本間)、連携研究者(森田、瀬戸山)、研究協力者(別府、佐藤(佐久間)、射場)らとDIPEx International(http://www.dipexinternational.org/)に参加し、他国の先行研究や、本研究におけるデータベースの活用に関する有用な情報収集ができた。
著者
並木 禎尚 北本 仁孝
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

従来の簡易診断法の最小検出限界を低減できる超高感度・迅速な磁気バイオセンサチップを開発した。その実現のための要素技術は次の3点に集約され、これらの達成が本申請研究の目的である。1) 一次抗体被覆ナノ粒子・抗原複合体の磁気濃縮(微小空間での磁気分離による、希薄検体からの抗原抗体複合体の高効率捕捉)と、二次抗体によるシグナル増幅。2) マイクロ流路内のブラウン運動活性化と層流による抗原抗体反応の活性化。3) 高い交流磁界応答を示す磁性粒子プローブ、高感度センシング、磁性粒子-免疫複合体の物理的捕捉、トンネル磁気抵抗効果型磁気センサーと駆動回路技術から構成)。・本成果により、新型インフルエンザの超早期診断率の大幅な向上が見込まれる。迅速・適切な対応が可能になるため、重症化・蔓延の防止に大きく貢献する。急増している新型インフルエンザは、従来型よりも致死率が高く、本申請は緊急性の高いテーマである。・日本が世界をリードするナノテクノロジーを応用するため、日本の強みを活かせる。・手のひらにのるサイズのハードディスクドライブのように小型化が可能で簡便なツールとなりうる。量産技術がある程度確立しているので、使い捨てと考えても余りコストがかからない。・他疾患の診断にも応用できるため、大きな波及効果が期待できる。本年度は、抗原抗体反応を迅速・鋭敏に検出できる磁気バイオセンサチップを完成させ、特許出願、論文投稿、学会発表を行っている。
著者
藤木 卓 森田 裕介 寺嶋 浩介 柳生 大輔 竹田 仰 相原 玲二 近堂 徹
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究では,原爆への科学技術的認識を育てることを意図したVR(Virtual Reality)技術を活用した学習環境を構築し,それを用いた遠隔授業実践を行うことを目的として研究を行った。その結果,携帯端末との連携を図るVR学習環境及び,それを遠隔地から操作するとともにテレビ会議映像の立体視伝送を行う環境を開発することができた。そして,これらの環境を用いた授業実践を行い効果を確認するとともに,今後の課題を把握することができた。
著者
溝上 智惠子 清水 一彦 歳森 敦 池内 淳 石井 啓豊 逸村 裕 植松 貞夫 宇陀 則彦 永田 治樹 長谷川 秀彦 石井 夏生利 呑海 沙織 孫 誌衒 松林 麻実子 原 淳之 井上 拓 佐藤 翔
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は、大学教育の実質化を進展させるための学習支援サービスの1つとして、大学生の主体的学習を促進させる実空間「ラーニング・コモンズ」 (Learning Commons)に着目し、その現状と課題を明らかにした。1990 年代に、北米地域から導入・整備が始まったラーニング・コモンズは、現在各国の高等教育改革や大学図書館の状況を反映して、多様な形態で展開しつつあること、学習成果の視点からの評価はいずれの国でもまだ不十分な段階にあることが明らかになった。
著者
河村 善也 吉川 周作 阿部 祥人 古瀬 清秀 樽野 博幸 金 昌柱 高 星 張 穎奇 張 鈞翔 松浦 秀治 中川 良平 河村 愛
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

東アジアのうち,北海道を除く日本本土では後期更新世~完新世に多くの種類の哺乳類が絶滅しているが,その絶滅期はMIS 3 からMIS 2 にかけてで,大型種だけでなく小型種も絶滅している.絶滅は短期間に急激に起こったのではなく,比較的長い期間に徐々に進行したようである.この地域ではずっと森林が維持され,環境変化が穏やかで,人類の影響もさほど強くなかったことが,そのようなパターンをもたらしたと考えられる.琉球列島では島ごとに絶滅のパターンが異なり,ここでは人類が絶滅に深くかかわっていると推定される.中国東北部では,ヨーロッパでのパターンに似た絶滅が起こったが,中国中・南部では絶滅はそれより限定されたものであったようである.台湾や韓国では,まだ研究が十分ではない.
著者
松橋 通生
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

生物細胞が音波信号を発して同種又は異種の細胞がこれに応答すること、また多くの天然物質が赤外線等の電磁波の断続波を受けて音波を発すると、そのある周波数の音波が細胞によって受信され、細胞の増殖を促進又は抑制するように働くことを明らかにした。このような現象ははじめ細菌細胞で見出されたが、高等動植物にも存在することが分かった。本研究は以下の数項目の現象究明よりなる。1.枯草菌菌体からの音波シグナルの検出。光音響スペクトロメトリに用いるカプラーと超高感度マイクロフォン-アンプ系を転用して約50mgの枯草菌湿菌体より発する音波を捕らえ、フーリエ解析によってそのスペクトルを検出したところ、9kHzを基音とする倍音を頂点に、ややなだらかな数個のピークと、他に共鳴と思われる少数個のシャープなピークを得た。2.枯草菌と近縁のBacillus carboniphilusを音波信号の受信者とし、関数発生機に接続したスピーカより種々の周波数の単一・連続な音波・超音波を与えた時、同様に9kHzを基音とする倍音を中心にした周波数帯の音波・超音波が最もよく同菌の増殖を促進した。3.大腸菌を受信者としたときは数百ヘルツ以下の低周波帯の音波が同菌の増殖を抑制した。4.生きている細胞ばかりでなく木材、コルクや土、砂、鉱物、一部の金属等が赤外線等の断続波を受けてこれを音波に変え、B.carboniphilusやその他の類縁の細菌の増殖を促進する事を見出した。5.枯草菌、大腸菌、B.carboniphilusより音波応答に関する変異株を分離して解析した。6.めだかの受精卵の孵化を細菌、酵母、グラファイト、スピーカからの音波が抑制又は促進する事を見出し、この音波に感受性の一定の時期のあることを明らかにした。
著者
日野林 俊彦 赤井 誠生 金澤 忠博 大西 賢治 山田 一憲 清水 真由子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

2011 年 2 月に日本全国より 45,830 人の女子児童・生徒の初潮に関わる資料を収集した。プロビット法による日本女性の平均初潮年齢は 12 歳 2.3 ヵ月 (12.189 歳)で、現在 12 歳 2.0ヵ月前後で、第二次世界大戦後二度目の停滞傾向が持続していると考えられる。初潮年齢は、睡眠や朝食習慣のような健康習慣と連動していると見られる。平均初潮年齢の地域差は、初潮年齢が各個人の発達指標であるとともに、進化的指標でもあり、さらには国内における社会・経済的格差や健康格差を反映している可能性がある。
著者
西岡 昭博 池田 進 小山 清人 高橋 辰宏 藤井 恵子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

(1)米粉の品種や粉砕時の熱履歴の違う米粉のレオロジー特性アミロース含量の異なる品種が異なる米粉を用意し、糊化特性の違いやパン生地にした際のレオロジー特性の違いを明らかにした。これにより品種間の違いとパン生地のレオロジー特性との相関を系統的に明らかに出来た。次に、米粉の粉砕時に熱履歴が澱粉結晶やレオロジー特性に与える影響を明らかに出来た。この米粉は常温でも糊化することで知られるアルファ粉にはない特徴もあることを明らかにした。これを米生地にブレンドすることで、生地粘度をコントロールすることで、製パンに最適な粘度を探ることが可能であることを突き止めた。(2)種々の米粉のレオロジー特性と製パン性(1)で得られた種々の米粉のレオロジー特性の実験結果を受け、これから得られる米粉生地の製パン性を検討した。一般の米粉に12%のα化米粉をブレンドすることで、パン生地のレオロジー特性をコントロールした。これにより均一な発泡セルを有する米粉100%による製パンに成功した。(3)米粉100%による製パンメカニズムの一般化グルテン成分を含有しない米粉などで製パンを行うには、発酵時と焼成時の粘度をそれぞれ制御する必要がある。具体的には、発酵時の生地粘度はイーストによる一次発酵時のセルの均一性に大きく影響する。さらに、オーブン中で一次発酵後のパン生地を焼成する際は、糊化に伴う生地全体の粘度上昇が重要になる。生地の粘度上昇が鈍い場合、二次発酵によりセルが破泡してしまう。一方、オーブン中で加熱されたパン生地が糊化により急激に粘度上昇することで、一次発酵時の形成された均一な気泡が保持され良質な製パンが可能となる。これを一般化し、図示し、まとめとした。
著者
井奈波 良一 鷲野 嘉映 高田 晴子 岩田 弘敏 森岡 郁晴 宮下 和久
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1999-03-15)

埋蔵文化財発掘調査機関における労働安全衛生管理の実態と発掘作業の労働負担を明らかに、その対策を検討することを目的に、本研究を行った。都道府県教育委員会関連の発掘調査機関においては、「救急蘇生の講習会を開催している」および「定期健康診断を実施している」機関は25%以下であった。労働災害発生件数に関連する要因として、「独自に雇用している発掘作業員数が多いこと」および「安全衛生に関する規定がないこと」が抽出された。夏期に発掘現場の作業環境測定を行った結果、WBGT(湿球黒球温度指標)は中等度の労働強度における許容基準を超えている時間帯があった。鼓膜温は、発掘作業中上昇し、休憩によって下降するパターンを示した。体温の最大値は、午後の第1回目の休憩前に記録された。冬期に作業者の血圧等を経時的に測定した結果、収縮期血圧の最大値は発掘作業開始時点に記録された。これは主として発掘現場における寒冷曝露の結果と考えられる。ダブルプロダクトは、発掘作業中上昇し、休憩時に低下するパターンを示した。冬期における作業者に自覚症状を調査した結果、発掘作業中に防寒靴を使用する者の自覚症状の有症率は、使用しない者よりいくつかの項目について有意に低率であった。しかし、「足の冷え」については両者の間で有意差がなかった。これらの結果から、冬期の発掘作業を快適に行うための方策のひとつとして防寒靴の使用が勧められる。寒冷紗の効果をみるため模擬発掘現場で炎天下と寒冷紗のWBGTを測定した結果、寒冷紗下では乾球温度、湿球温度、黒球温度が低く、その結果、寒冷紗下のWBGTは炎天下より低くなっていた。したがって、夏期の発掘現場における寒冷紗の使用は、夏期の埋蔵文化財発掘作業を快適に行うための方策のひとつとして効果があることがわかった。しかし、寒冷紗下の風通しを悪くすると効果が低下することも明らかになった。
著者
内田 雅之 吉田 朋広 増田 弘毅 深澤 正彰
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

今年度は,(i) 非エルゴード的拡散型過程モデルのハイブリッド型推定法の開発,(ii) レヴィ過程で駆動される確率微分方程式モデルにおける二段階推定の構築,(iii) ボラティリティの縮小推定,について研究を行った.(i)については,昨年度に開発したエルゴード的拡散過程のハイブリッド・マルチ・ステップ(HMS)推測法を非エルゴード的拡散型過程に応用する研究を行った.HMS法とは,規格化した擬似尤度関数による初期ベイズ推定量を用いてスコア法を必要回数実行した統計手法であり,前年度の研究成果からエルゴード的拡散過程のパラメータ推定に有効であることが知られている.本研究では,非エルゴード的拡散型過程のボラティリティパラメータを推定するために,オイラー・丸山近似に基づく擬似尤度関数による初期ベイズ推定量を用いてHMS推定量を導出し,それが漸近混合正規性およびモーメントの収束性を有することを証明した.また,数値実験によって,初期推定量の収束率に応じて,HMS推定量の漸近挙動が変化するという知見を得た.(ii)については,一般のレヴィ過程駆動型確率微分方程式モデルについて,二段階推定手法を構築し,漸近同時分布を導出した.また,局所安定型モデルに関する非正規型疑似尤度解析についてこれまで得た結果の技術的な改良を行い,ノイズの変動指数がコーシー以上ウィーナー過程未満の場合に統一的な正則条件の下で推定量の漸近混合正規性が得られることを示した.特に局所安定型レヴィ過程の場合に尤度比の局所漸近正規性を導出し,提案推定量が漸近有効であることを証明した.(iii)の縮小推定は,実現ボラティリティ統計量に1より小さい定数を乗じて縮小し,高次の有効性を改善するものである.前年度までに得られたブラウン運動モデルに対する結果を,非整数ブラウン運動やブラウン型半定常過程で駆動されるモデルへ拡張する研究を行った.
著者
大西 直樹 岩切 正一郎 生駒 夏美 佐野 好則 クリステワ ツベタナ 小玉 クリスティーヌ サイモンズ クリストファー 松田 隆美 荒井 直 本山 哲人
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

文学研究と文学教育のあり方を、ことに教養学部の領域で扱うことの問題点と可能性とを国際比較し、今後の展望を探る目的で、イギリス、アメリカ、フランスの主要な大学における経験豊かな文学担当の研究者と直接に長時間の面談による情報集種をおこない、それを日本での現状にどのように反映できるか検討した。
著者
山崎 伸二 飯島 義雄 塚本 定三 塚本 定三 OUNDO Joseph O. NAIR Gopinath B. FARUQUE Shah M. RAMAMURTHY Thandavarayan
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

インド、ケニアでの主要な下痢原因菌と考えられる下痢原性大腸菌とコレラ菌について解析した。下痢症患者便をマッコンキー寒天培地で培養し得られたコロニーからボイルテンプレートを作製しReal-time PCRで下痢原性大腸菌の病原因子を網羅的に解析した。インドでは、ipaH遺伝子陽性菌(腸管組織侵入性大腸菌)が最も陽性率が高く、次にeaeA遺伝子陽性菌(腸管病原性大腸菌)の順であったが、ケニアではelt遺伝子陽性菌(腸管毒素原生大腸菌)の陽性率が最も高く、次にaagR遺伝子陽性菌(腸管凝集性大腸菌)であった。我が国で陽性率の高いcdt遺伝子陽性大腸菌がインドやケニアではあまり検出されなかった。一方、コレラ菌に関しては、バングラデシュで見つかったハイブリッド型O1コレラ菌(エルトールバリアント)はインドでは1990年に既に分離されており1995年以降分離されたO1コレラ菌は全てハイブリッド型(エルトールバリアント)であることが明らかとなった。ケニアでのコレラの流行で分離されたコレラ菌もエルトールバリアントであり、エルトールバリアントがアフリカ、ケニアでも広く流行に関わっていることが明らかとなった。
著者
青木 多寿子 橋ヶ谷 佳正 宮崎 宏志 山田 剛史 新 茂之 川合 紀宗 井邑 智哉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

よい行為の習慣形成を目指す品格教育(character education)は,小中連携の9年一貫で,学校・家庭・地域で連携して子どもの規範意識を育む生徒指導体制の確立を可能にする。本研究では,米国の品格教育優秀校の視察を通して,品格教育の実践に関わる具体的な手立てだけでなく,単なる徳の提示にとどまらない品格教育の本質について論考した。加えて,小中学校へのアンケート調査で,品格の構成要素を示した。さらに,品格教育は,1,2年くらいで成果が出るような教育でなく,5,6年目かかること,また特に中学生で大きな成果が見られることを示した。
著者
宮田 Susanne 伊藤 恵子 大伴 潔 白井 英俊 杉浦 正利 平川 眞規子 MACWHINNEY Brian OSHIMA-TAKANE Yuriko SHIRAI Yasuhiro 村木 恭子 西澤 弘行 辰巳 朝子 椿田 ジェシカ
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

1歳から5歳までの日本語を獲得する子どもの縦断発話データに基づき発達指標DSSJ(Developmental Sentence Scoring for Japanese)を開発し、この日本語の発達指標を84人の子どもの横断データ(2歳~5歳)にあてはめ、標準化に向けて調整を行った.DSSJはWWW上のCHILDES国際発話データベースの解析プログラムCLANの一部として一般公開されている.
著者
中村 俊哉 中村 幸 倉元 直樹 中島 義実
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

アジアの7つの地域(インドネシア(ジャワ地区・バリ島)、インド(ベンガル地区)、中国(北部として遼寧省大連、南部として雲南省昆明)、日本(福岡、沖縄))において文化の違いによる死生観・ターミナル・ケア観の差異と変容の実態調査を行い、お盆の現象、死者や祖先との対話などの死生観尺度を作成し、共同体、宗教、移動、死別うつ状態等との関連を見た。インタビュー法から、お盆がインドではナブラトレ、モハラヤタルポン、バリ島ではウリヤン、ガルンガンとして存在すること、葬送の多様性、シンクレティズムの存在、シャーマンの機能などについての知見を得た。質問紙調査からは、ジャカルタ、インドでは神を中心に祈り、対話するのに対し、日本、中国では死者の魂自体へ直接祈り、対話、報告すること、バリ島では両方が機能していることが明らかになった。お盆は日本、バリ島で多かった。これら空想的対話と変容シャーマニズムが関連した。委任シャーマニズムはシャーマンを受容している文化(バリ、ベンガル、沖縄)でのみ高かった。委任シャーマニズムとお盆は時代により、また移動によって縮小していることが示された。死への態度尺度でも文化、宗教により違いが出た。死者、祖先との対話も、神との対話も、用いすぎる人には死別うつ状態が高く出たが、不健康とは必ずしも関連しなかった。死者に死への心の準備があると、残された人のうつ状態は軽くなっていた。告知については、日本、中国では希望が高かったが、ジャカルタ、インドでは低く、死の準備については文化によって大きな違いが出た。高齢社会を迎える中、死生観、死への向き合いのプロセスの多様性を提示できた。近代化以降、日本では死は自然ではなくなってしまった。今後、より老人の位置づけが低いアメリカや、その影響を受けつつある東京において死生観、ターミナル観の調査が必要であろう。
著者
林部 敬吉 阿部 圭一 辻 敬一郎 雨宮 正彦 ヴァレリ ウイルキンソン 松王 政浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

心理学的視点と教育工学的視点から、日本伝統工芸技能の修得過程の分析、外国の技能研修制度と修得過程の分析および両者の修得過程における異文化間比較、さらに暗黙知である技能の修得を促進するわざことばの調査を通して、伝統工芸技能修得の認知的なプロセスの特徴を明らかにし、この認知的モデルに依拠した効果的な技能修得の方法と支援について提案することを目指した。陶磁器、指物、筆、硯、染色、和紙、漆器、織物など主に伝統工芸産地指定を受けた親方と弟子に対しての面接と取材調査、ドイツのマイスター制度とデュアル制度の現地調査、浜松の楽器製造産業における技能の継承についての取材調査、さらにすべての伝統工芸産地指定約220箇所の伝統工芸士に対して、「わざことば」のアンケート調査を実施した。伝統工芸士に対する取材調査では、実際の工程でのもの作りをビデオおよび3次元ビデオに録画すると共に、主要な「わざ」の手指の型を3次元カメラで取得した。企業については、工芸技能の世代間継承の方法、実態について調査した。これらの調査と分析の結果、次のことを明らかにできた。(1)「わざ」の伝承は、一種の徒弟方式である「師弟相伝」で行われる。技能伝承の基本は、技能の熟練者(親方)の模範を継承者(弟子)が観察・模倣するにあり、また継承者の技能習得を助けるものとして「わざことば」が存在する。技能伝承を効果的にするには、伝承者と継承者との間に信頼にもとつく人間的な紐帯が形成されることが大切である。2)日本の徒弟制度とドイツのマスター制度を比較すると、日本のそれの良い点は、極めて優れた技能保持者を生み出せるのに対して、ドイツのそれは、一定の技能水準をもつ技能者を育てることができることにある。徒弟制度の悪い点は、技能の修得過程が明文化されていないことで、教え方が親方の独善的なものに陥りやすい。デュアル制度の短所は、名人といわれるような技能の伝承が行われにくく、獲得した技能が一代限りで終わる点である。(3)企業における「わざ」の伝承でも、「師弟相伝」方式が採用され、技能の熟練者と継承者が相互信頼に基づき相互啓発しながら行われる。この場合、弟子の技能習得を助けるものとして「伝承メモ」(熟練者)と「継承ノート」(継承者)を介在させることが重要である。(4)「わざことば」は、技能の枢要な事項を比喩的あるいは示唆的に表現したもので、それ自体が技能の内容を余すところなく記述したものではないが、しかし技能上達のヒントともなるべきものである。
著者
門司 和彦 青柳 潔 片峰 茂 嶋田 雅曉 竹本 泰一郎
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

アフリカにおいて近年猛威を奮うHIV/AIDS感染を小学生、中学生、高校生レベルで予防するためには、彼らの性に対する知識・態度・行動を知ると同時に、学校保健の枠組みの中で実質的・具体的な教育メッセージを送る必要がある。小学校でのドロップアウト率の高さを考えると小学校3-5年生ぐらいにエイズ教育を実施する必要がある。しかし、性に対するそれぞれの社会に扱いはデリケートであり、エイズ教育はそのままでは受け入れられない。一方、住血吸虫感染は、アフリカの農村部の多くの地域で慢性的に流行し、小学生が中心的な感染者である。特にビルハルツ住血吸虫症は血尿を主症状とするために、小学生が身近な関心を持つ疾患である。しかも、治療薬が存在し、本人が川との接触を避け、また川での排尿をしなければ、本人も感染を逃れ、また地域全体の感染も抑えることが可能である。ビルハルツ住血吸虫症は生殖器から出血するため性病と混同されることもあるが、そのサービス(治療)と健康教育は地域からも受け入れられている。本プロジェクトではこれまでのビルハルツ住血吸虫対策の健康教育とエイズ・性行動に関する知識・態度・行動研究と健康教育を連携させてその行動変容を見ようとしたものである。調査上の制約から住血吸虫症対策は主にケニアの小学生で実施し、性行動はタンザニアの高校生での調査が中心となった。いずれも知識は高いが行動変容にはなお時間がかかることがわかった。例えばコンドーム使用は増加しているが、感染危険が高いと考えられる相手の場合の方が使用頻度が低くなっていた。また、教育介入による行動変容は効果があがるまでに時間がかかり、その評価方法を明確にする必要性が浮かび上がった(715字)