著者
杉本 和弘 大佐古 紀雄 田中 正弘 鳥居 朋子 林 隆之 福留 東土 高森 智嗣 川那部 隆司 高 益民
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究は、各国の大学質保証における機関レベルの内部質保証システムの構造と機能を国際比較の観点から考察し、我が国の大学が内部質保証システムをいかに再構築し効果的運用すべきかを明らかにするため、(1)先行研究の整理・分析、(2)国内外の大学・質保証機関への訪問調査、(3)教育マネジメントに関する国際セミナーの開催を行った。その結果、大学の内部質保証システムを構築し機能させるために、全学レベルで学位プログラムを中心としたデータに基づく教育開発・教育改善が一体的に機能した質保証システムの整備を進め、さらに学内外にそのプロセスが明示されるようにすることの重要性が明らかとなった。
著者
竹原 幸生 江藤 剛治 鈴木 直弥 高野 保英 森 信人 水谷 夏樹 THORODDSEN Sigurdur T.
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

大気-海洋間の気体輸送現象に対するホワイトキャップの影響を明らかにするため,3台の高速ビデオカメラを用いた画像計測法により,風波界面近傍の流れ場計測技術を開発し,ホワイトキャップが生じている近傍の流れ場を明らかにした.さらに,気流と風波発達の関係も画像計測により明らかにした.また,砕波により生じた気泡の特性を画像計測により明らかにした.さらに,全球規模での大気-海洋間の気体輸送に対する砕波の影響も現地計測データや衛星データを用いて評価した.
著者
出口 康夫 藤川 直也 大森 仁 大西 琢朗
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

ジャイナ教思想・清弁(ヴァーヴィベーカ)の否定概念・三論思想・天台思想・道元の哲学・京都学派(西田幾多郎・西谷啓治)の哲学を対象とする分析アジア哲学的分析を進めるとともに、真矛盾主義とパラコンシスタント論理をより強化・洗練する作業に取り組んだ。また研究成果を発信する英語ホームページの構築や、国際研究ネットワークを更に展開する試みも行なった。具体的には、研究代表者・出口と分担者・大森による清弁の否定概念を現代論理学の非古典的否定概念を用いて分析する国際ワークショップ招待発表(5月)と国際会議発表(8月)を行なった。また出口は海外研究協力者・Graham Priest, Jay Garfield, Robert Sharf との共著研究を引き続き進め、四者による共著の三論思想・天台思想・西田の後期哲学に関する諸チャプターの執筆を進めるとともに、天台思想に関する英文論文を公刊した。この共同研究の一環として、12月中旬にカリフォルニア大学バークレー校で共同討議を行なった。研究分担者・大西はジャイナ教の論理に対する現代論理的分析、藤川は西田・西谷の哲学に対する現代形而上学的分析を試み、その成果を国際会議で発表した(8月)。研究代表者が研究代表を兼務する『課題設定による先導的人文学』「道元の思想圏:分析アジア哲学的アプローチ」プロジェクトが2月から開始されたことに伴い、同プロジェクトとの共催で道元思想の研究にも取り組み、3月に二回にわたる国際読書会と講演会一回を開催した。真矛盾主義とパラコンシスタント論理の研究の一環として、二回にわたって国際ワープショップを開催するとともに(10月・2月)、F.Berto 教授(アムステルダム)・Z.Weber教授(オタゴ)・M.Carrara 教授(パドヴァ)・D.Szmuc氏 (ブエノスアイレス) らを招き共同討議を行なった。
著者
根岸 一美 渡辺 裕 武石 みどり 桑原 和美 井手口 彰典 坂本 秀子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

1921年(大正10年)に宝塚少女歌劇において上演された新舞踊『春から秋へ』について、楳茂都陸平による舞踊譜の解読と原田潤による楽譜の演奏解釈を行い、この作品の復元上演を実現した。この活動を通じて、1)『春から秋へ』が舞踊的にも音楽的にも西洋の前衛性を備えた斬新な作品であったことを明らかにし、2)舞踊学、演劇学、音楽学、文化史学といった多様な視点からの宝塚歌劇研究の一つのモデルを提示することに成功した。
著者
藤原 聖子 奥山 史亮 江川 純一 久保田 浩 木村 敏明 宮嶋 俊一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本研究は、(a)1990年代までの宗教現象学の成果とその突然の消滅の原因、さらに(b)日本を含む各国で宗教現象学がどのように受容されたかを解明することを全体の目的とする。初年度である28年度は、国内の宗教現象学世代に対して聞き取り調査を行うとともに、関連文献を収集、整理した。また、海外の研究者と現地で行う調査計画を具体的に詰めることができた。聞き取りを行うことができたのは、華園聰麿氏(東北大学)、澤井義次氏(東北大学・天理大学)、土屋博氏(北海道大学)、小田淑子氏(京都大学・東京大学・シカゴ大学)、金井新二氏(東京大学)、永見勇氏(シカゴ大学・立教大学)、棚次正和氏(京都大学・筑波大学)、長谷正當氏(京都大学)、氣多雅子氏(京都大学)に対してである。宗教現象学の国内での受容の状況、自身の宗教現象学観が聞き取りの内容の中心となった。また、2017年に刊行100年を迎える『聖なるもの』の著者、ルドルフ・オットー(宗教現象学者の草分けとされる)の研究が国内でどう受容されたかについても聞くことができた。後者の情報は、日本でのオットー受容に関する英文論文を執筆する際に用いた。聞き取り調査と同時に、どのようなデータベースが役立つかについて検討を重ねた上で、博士課程の院生の協力を得て、国内の関連文献のデータベースを作成し、必要なものを収集した。海外に関しては、宗教現象学者の詳細な一覧を作成した。海外については、ヨーロッパ宗教学会のヘルシンキ大会に合わせて、フィンランド宗教学者による宗教現象学の受容について、Veikko Anttonen氏とTeuvo Laitila氏から聞き取りを行った。さらに、スウェーデン宗教学会会長のDavid Thurfjell氏と現地調査方法、論文集の刊行について計画を進めた。
著者
繁富 香織 岩瀬 英治 尾上 弘晃
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究では、微細加工技術と細胞折紙工学の折り畳み技術を利用して、細胞の足場となるマイクロプレートを作製し、細胞を培養した後に折紙のように折り畳むことにより、効率的に細胞の3次元立体構造を形成する手法と細胞形状を能動的かつ立体的に変化させることができるマイクロアクティブ折紙デバイスの作製を行う。プレートに磁性体を埋め込み外部から磁場をかけることで、細胞を折り畳むタイミングを制御し、従来困難であった細胞培養過程での能動的な細胞の形状変化を可能にする。これにより細胞の立体的な形状変化と細胞の機能発現や分化に及ぼす影響を解析・解明可能になる。H27年度では、磁性体入りプレートの作製と培養用のインキュベーターに入る小型の制御装置の作製を行った。さらに、マイクロプレート上に脂肪細胞より脱分化した幹細胞を培養し、細胞の牽引力によりプレートが折り畳まれ、折り畳まれていないマイクロプレート基板に比べ、骨により分化していることがわかった。
著者
奈良岡 聰智 小林 和幸 笹部 剛史 萩原 淳 小宮 京 大石 眞 赤坂 幸一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

①両院事務局所蔵資料の分析:昨年度に引き続き、衆議院本会議の議事進行および列国議会同盟に関係する資料群の調査・分析を進めた。また、衆議院事務局国際部OBへのインタビュー記録を取りまとめ、刊行する準備を進めた。②私文書の調査・整理・出版:研究計画に従って、「議会政治」の運営に携わった政治家や議会官僚などの私文書の調査・整理を進めた。本年度は、このうち最重要史料と目される「河井弥八日記 戦後篇2(昭和23-26年)」(信山社)を刊行した。本日記には、初期参議院内部の状況が詳細に記されており、今後、日本国憲法施行当初の「議会政治」再編について考える上で必須の資料として活用されることが見込まれる。③スイスにおける調査の実施:列国議会同盟事務局アーカイブズにおいて、各種資料の調査を行った。④定例研究会の開催:2016年7月に、衆議院事務局において本年度の第1回研究会を開催した。奈良岡聰智(京都大学、代表者)がイギリスの政党アーカイブズについて、大石眞(京都大学、分担者)が衆議院事務局所蔵資料について、伊東かおり(九州大学、協力者)が列国議会同盟関係史料について報告を行い、議会関係資料の保存・公開のあり方について活発な議論を行った。2016年12月に、九州大学で第2回研究会を開催した。小林和幸(青山学院大学、分担者)が「花房文書」について、西山由理花(京都大学)が「政党政治と地域性の変容」について、官田光史(九州大学)が昭和12年の「政治博覧会」について報告を行った。また、「麻生家文書」(九州大学所蔵)の調査も実施した。2017年3月には、河井弥八記念館でシンポジウムを開催した。以下の講演と活発な意見交換が行われた。森山優(静岡県立大学)「河井弥八と戦時体制」、川崎政司(参議院法制局、協力者)「戦後立法の軌跡と国会」、内藤一成(宮内庁書陵部、協力者)「河井弥八と水利事業」。
著者
横瀬 久芳 小林 哲夫 長岡 信治
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

琉球弧北部のトカラ列島における火山活動の実態解明を目的に,ドレッジを用いた海底調査を実施した。海底より回収された火山岩類は,海面下にも第四紀火山活動が広く分布していることを示す。特に,海底カルデラ地形の近傍では,現地性流紋岩質軽石が確認でき,トカラ列島における巨大海底カルデラの存在を強く示唆する。火山岩類の地球化学的特徴から,北部琉球弧の火山活動や鉱床形成過程は,沈み込むフィリピン海プレートの形状によって支配されている事が判明した。
著者
吹田 浩 伊藤 淳志 西形 達明 西浦 忠輝 沢田 正昭 仲 政明 渡邊 智山 安室 喜弘
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

古代エジプトの遺跡で典型的な石造文化財であるマスタバ墓の保存状況、劣化の現状、エジプトの管理当局の保全対策をサッカラのイドゥートを事例にエジプト学、建築工学、地盤工学、保存科学、文化財修復技術の観点から、総合的に研究を行い、問題点を整理した。その際、3次元の精密な記録を作成し、情報リテラシーの観点から使いやすいデータベースの技術を開発した。エジプト革命(2011年1月末)後の政情不安のために、現地での調査ができずに、研究が遅れざるを得なかったが、代替のデータを使用するなど、可能な限り当初の目的達成をはかり、データベースの開発を達成した。今後は、各種のデータを入力し、活用していくことになる。
著者
大角 欣矢 花岡 千春 塚原 康子 片山 杜秀 土田 英三郎 橋本 久美子 信時 裕子 石田 桜子 大河内 文恵 三枝 まり 須藤 まりな 中津川 侑紗 仲辻 真帆 吉田 学史
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

近代日本の洋楽作曲家第一世代を代表する作曲家の一人、信時潔(1887~1965)に関する音楽学的な研究基盤を確立するため、以下の各項目を実施した。①全作品オリジナル資料の調査とデータベース化、②全作品の主要資料のデジタル画像化、③信時旧蔵出版譜・音楽関係図書目録の作成、④作品の放送記録調査(1925~1955年のJOAKによる信時作品の全放送記録)、⑤作品研究(特に《Variationen(越天楽)》と《海道東征》を中心に)、⑥明治後期における「国楽」創成を巡る言説研究、⑦伝記関係資料調査。このうち、①から⑤までの成果は、著作権保護期間内の画像を除き原則としてウェブにて公開の予定。
著者
玉蟲 敏子 相澤 正彦 大久保 純一 田島 達也 並木 誠士 黒田 泰三 五十嵐 公一 井田 太郎 成澤 勝嗣 野口 剛 畑 靖紀 吉田 恵理
出版者
武蔵野美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

朝岡興禎編『古画備考』原本(1850-51年成立、東京藝術大学附属図書館)に集成された書画に関する視覚・文字情報の分析によって初めて、自身の見聞や親しい人脈から提供された第一次情報に基づく出身の江戸狩野家、同時代の関東や江戸の諸派は詳細である一方、上方については一部の出版物に頼り、浮世絵も最新の成果が盛り込まれていないなどの偏向性が確認され、朝岡の鷹揚なアカデミズムの視点から、近代における美術史学成立直前の都市・江戸で開花した書画趣味の実態、価値観、情報の伝達経路を浮上させることに成功した。
著者
野田 昌吾 畑山 敏夫 神谷 章生 小沢 弘明 堀江 孝司 安野 正明 野田 葉 木下 ちがや
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究は、1960年代の異議申し立ての噴出=「1968年」について日欧米比較を行ったものである。近年「文化革命」としての性格が過度に強調される「1968年」であるが、本研究は、「1968年」は各国における政治的社会的近代化のあり方と冷戦的秩序のあり方の問題性を告発することにより、各国の戦後秩序の再編の大きな契機となったばかりでなく、冷戦的な国際秩序の再編を促す一つの要因ともなったことを確認し、その「文化革命」性の一面的強調の問題性を明らかにした。
著者
加藤 聖文 黒沢 文貴 松田 利彦 麻田 雅文 カタソノワ エリーナ バルターノフ ワシリー キム セルゲイ ムミノフ シェルゾッド フセヴォロドフ ウラジーミル
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

研究実施前から把握されていたロシア国防省中央公文書館(CAMO)が所蔵する関東軍文書のすべての画像データを入手し、目録を作成した。また、研究成果の一部として、ロシア側研究者らを招いて2017年2月24日に法政大学において国際会議「第二次世界大戦史研究(ソ連における外国人捕虜問題)」を開催し、60名以上の参加を得た。しかし、今回収集した関東軍文書は1990年代のロシア混乱期に明らかになった文書と異同があることが明らかになった。今回収集した文書の公開に加え、これらの未確認文書の調査に関しては、ロシア側と交渉を行ったが、研究期間内に解決することができず、現在も協議が継続中である。
著者
池上 高志 高橋 宏和
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

ロボットと神経回路の間のフィードバックループ系を設計する。培養された神経回路、あるいは、人工神経回路を使ってロボットの運動行為を制御し、ロボットがセンサーを通じて得た環境からの情報を神経回路にフィードバックする。この刺激と行動のくりかえしの閉回路の動作を調べて、1)神経回路の成長を情報のネットワークの変遷で特徴つけ、2)閉鎖回路をつくることで、ネットワークはある構造をつくることと、3)そのパターンの成長は「神経回路は外から刺激されるのを避ける原理」が働いていること、を発見した。
著者
徳山 孝子 打田 素之 木谷 吉克 笹崎 綾野 中村 茂
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は、両国関係者によるコミュニケーションの具体的経緯と男子服意匠の導入経過を明らかにすることで、我が国の洋装文化形成の最も初期の段階に果たした日仏間の交流の実態と意義を解明することを目的とする。今年度は、徳川昭武の購入した領収書(東京大学史料編纂所蔵、民部大輔)の発見から日仏間の交流が明らかになった。1867年4月26日に徳川昭武(民部大輔)一行が日本人として訪れ,洋服を購入した。1か月後の5月26日には、民部大輔用達申渡書が交わされた。商用名刺には、創作した葵紋に刀や剣、日章旗のマーク「FOURNISSEURS BREVETES DE SAI LE PRINCE MIMBOU TAYO-DONO」が記された。男子服の普及・発達は,発祥経路の一つに洋裁店「エス・ブーシェ」の存在が多大であったことが明らかとなった。1882年3月28日エス・ブーシェ会社は解散した。幕末期から明治初期において洋裁店「エス・ブーシェ」と日本人の交流は、男子服史において歴史的に重要な位置を占めた。次に明治5年に着用した明治天皇の軍服に装飾している金モールに着目した。金モール刺繍を日本で製織するようになったきっかけ、製織技術の伝来、製織し始めた人物を明らかにした。中野要蔵は、東京・日本橋区呉服町で「中野屋」という名で洋織物商を営んでいた。最初は、慶応時代に輸入業を始め、外国武官、外交官が来朝した際に、はじめて金モールが何であるかを知ったとされている。1872年の服装制定により、モールが肩章などに多用されることとなった。当初は輸入品で間に合わせていたが不便であったため、機械を購入して金モールを製造し始めたことがわかった。明治12年製造に着手して以来、各地で需要が高まり、東洋派遣米国海軍からの注文、特約店に命ぜられ、宮内省の御用達にもなった。
著者
内藤 晶 西村 勝之 川村 出
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

カルシトニンはアルツハイマー病に見られるアミロイド繊維を形成するアミロイド形成タンパク質と認識されている。このカルシトニンの線維形成現象を解明するため、固体高分解能NMRの手法を用いて線維形成と反応速度、線維の二次構造決定を行い、線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。さらに、細胞内の条件に近づけるため、脂質二分子膜の存在下で起こる線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。ヒトカルシトニンに関して、繊維成長の経時変化からこの線維形成は線維核形成と線維伸長の2段階自己触媒反応機構により形成することが判明した。この線維形成機構で生じる中間体は球状の形状をもち、線維に転移することが電子顕微鏡により観測された。ヒトカルシトニンのF16L, F19L変異体については繊維伸長速度が遅くなったので、芳香族アミノ酸であるPhe-16, Phe-19が線維成長に重要な役割をしていることが判明した。アミロイド線維形成阻害物質について検討したところ、電荷をもつアミノ酸は繊維核形成阻害効果のあることが判明した。またポリフェノールのクノクミンを加えると繊維がまったく形成されなかったので、大きな阻害効果のあることが判明した。グルカゴンについては脂質二分子膜の存在下で線維形成を行ったところ、水溶液中で形成する線維はN-端側とC-端側がβ-sheet構造を形成するのに対し、脂質二分子膜存在下ではN-端はα-helixを形成したままであることが分かった。また、脂質二分子膜存在下では水溶液中に比べて核形成速度は速くなり、線維成長速度は遅くなることが分かった。グルカゴンは脂質膜に結合して濃縮されるので、線維核形成は速くなると考察できる。