著者
佐賀 朝 松井 洋子 小野沢 あかね 人見 佐知子 横山 百合子 吉田 伸之 金 富子 吉田 ゆり子 塚田 孝 神田 由築 浅野 秀剛 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 本康 宏史 齊藤 俊江 松田 有紀子 屋久 健二 吉元 加奈美 武林 弘恵 ボツマン ダニエル
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本近世~近代における国内各地や植民地の遊廓の調査を進め、遊廓の開発や社会=空間構造を分析するとともに、一次史料を用いて、遊女屋・貸座敷の経営内部における女性たちへの抑圧と搾取の構造の解明も進めた。その結果、近世後期以降の遊廓の大衆化と全国的普及の過程で女性たちに対する搾取が強化される一方、明治維新に伴う公娼制度の改革を経て、女性たちが多様な手段を用いて搾取や暴力に直接・間接に抵抗し、それが遊廓社会の変容を促していくことも明らかになってきた。継続的な現地調査や研究会と研究者のネットワーク化、「遊廓・遊所研究データベース」の充実により、新しい遊廓研究が現れてきた点も重要な成果である。
著者
伴 信太郎 西城 卓也
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は慢性疲労症候群(以下CFS)患者に対して、『漢方治療と認知行動療法を融合した集学的な治療戦略を確立』するための研究である。漢方治療に関しては、CFS患者29人を対象に、「証」の推移と治療効果を検討した。初診時の主証は、虚証群13人、実証群16人で、虚証群の罹病期間は、実証群に比して長い傾向を示した。治療開始後3ヶ月間に、証の変化により処方を変更した者は、虚証群62%、実証群56%で、両群間に有意差はなかった。治療6ヶ月後のPSスコアは、両群とも初診時に比して有意に低い値を呈したが、両群間に有意差はなかった。しかし、治療6ヶ月後のPSスコアが治療目標の2以下になった者の割合は実証群で高い傾向を示した。治療の有効性は、虚証群77%、実証群75%で両群間に差は認めなかった。CFS患者の証は多様であり、弁証論治に基づいた漢方治療が有用であること、また、経過中に証が変化する場合も多く随証応変に基づく治療が必要であること、そして、初診時に実証を呈する者の方が、比較的短期間での漢方治療効果が期待できることが示唆された。「慢性疲労症候群のための認知行動療法」に関してはCFS患者13名(中断患者3名含む)を対象として検討した。結果、CFS患者は、「認知的特徴」、「行動的特徴」、「認知・行動意識化の程度」という3次元の軸によってタイプ分けできる可能性が示唆された。また、タイプに応じた認知行動療法は、CFS症状維持のメカニズムに対する患者の理解を促し統制感を高めていることも示された。これらの結果は、患者のタイプに応じた技法を選択適用するといった認知行動療法の弾力的実践と個別的適応の重要性を示唆していると考えられた。
著者
園山 繁樹 下山 真衣 濱口 佳和 松下 浩之 江口 めぐみ 酒井 貴庸 関口 雄一 奥村 真衣子 趙 成河
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究1「幼・小・中学校への質問紙調査」を平成28年度に実施し、結果の概要を平成29年9月開催の日本特殊教育学会第55回大会において発表した。結果の詳細については学術雑誌に投稿中である。選択性緘黙児の在籍率と学校での困難状況を明らかにした。研究2「選択性緘黙児童生徒の事例研究」を平成28年度に引き続き、研究代表者と研究分担者が教育相談室において実施し、2つの事例研究(中学1年、及び幼稚園年少)が「筑波大学発達臨床心理学研究」第29巻に掲載された。他の1事例研究(小学1年)については、日本特殊教育学会第55回大会において発表した。3事例とも刺激フェイディング法を中核としつつ、各事例の状態に応じて支援方法を工夫することで、一定の効果がもたらされた。研究3「選択性緘黙経験者に対する質問紙調査・面接調査」を実施し、データを収集し、現在分析中である。また関係する調査研究の結果をまとめ、「障害科学研究」第42巻に掲載された。研究4「先進的実践・研究の実地調査のまとめ」については、平成28年度に実施したカナダ・McMaster大学への訪問調査の結果をまとめ、「山梨障害児教育学研究紀要」第12号に掲載された。年長者に対する認知行動療法による支援、並びに、広範な地域における専門的支援の在り方をまとめた。その他、有病率に関する内外の先行研究をレビューし、「障害科学研究」第42巻に掲載された。先行研究における有病率は0.02~1.89%の範囲にあった。また、大学生における選択性緘黙への認識に関する調査を行い、「立正大学臨床心理学研究」第16巻に掲載された。
著者
市川 浩 梶 雅範 小林 俊哉 小林 俊哉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「科学アカデミー」の実践機関としての,現代にいたるまでの存続は,ロシア・ソヴィエト科学発展のもっとも特徴的な枠組みのひとつとなっている.本研究において,われわれは科学アカデミーを存続させた歴史的諸要因の解明につとめた.最近,さまざまな文書館で公開された,かつての機密資料の研究のおかげで,科学史の分野においても,伝統的なロシア/ソヴィエト社会にたいする伝統的な全体主義モデルはより多元主義的な見方に取って代わられつつある.3年間の活発な研究活動を通じてえられた研究成果は,さまざまな歴史的瞬間において権力に対抗してしめされた科学者のイニシァティヴや主体性を確認するものとなり,結果として,上述した,われわれが現在目撃しているロシア/ソヴィエト科学史研究における重要な変化を補強するものとなっている.
著者
増原 善之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ラオス国フアパン県およびサワンナケート県内の16郡42村において村の歴史や土地の伝承等を採録するとともに、フランス植民地時代以前の地方文書および地方行政に関わる物品(文書筒、印章)について現地調査を行った。成果発表として、2010年12月、ラオス国立大学においてワークショップを開催するとともに、2011年3月、本研究により収集されたデータおよび上記ワークショップの発表原稿からなる報告書を刊行した。
著者
木村 真三 三浦 善憲 クマール サフー・サラタ 遠藤 暁
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、経済的・政治的理由からチェルノブイリ汚染地域に取り残された住民の健康影響を調査するため環境放射能調査、食事調査、罹患率調査を行った。その結果、事故当時、土壌汚染レベルから空間線量率は350μSv/h~5μSv/hと推定された。内部被ばくの汚染ルートは、牛乳、キノコ、ベリー類であり、僅かではあるがパンも汚染源のひとつであった。また、これらの地域では汚染度の違いにより、汚染が高いほど妊婦の貧血が有意に上昇していることが確認された。
著者
釜野 さおり 小山 泰代 千年 よしみ 布施 香奈 石田 仁 岩本 健良 藤井 ひろみ 山内 昌和
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

性的指向と性自認に関しての学術的に信頼性のある情報が必要だが、日本では量的データに基づく知見の蓄積が乏しい。本研究では調査で性的指向と性自認のあり方(シスジェンダーかトランスジェンダーか)を捉える設問をフォーカス・グループ等を経て考案し、SOGI設問と、働き方、経済状況、心身の健康、自殺念慮、ジェンダー、家族、SOGI施策についての意識、いじめ被害や見聞き経験等を含む調査票を用いて、2019年に大阪市の住基台帳から無作為抽出した15000人を対象に郵送調査を実施し、4285人から回答を得た。学歴、収入、心身の健康等のSOGI別分析の結果を発表し、無作為抽出調査にSOGIを含める意義を示した。
著者
宮崎 雅人 倉地 真太郎 古市 将人 安藤 道人
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は戦前の日本を対象とした都市財政研究の限界を踏まえ、歴史的にも貴重な都市歳入歳出決算書(市政専門図書館所有)のデータを用い、中小都市も射程に入れた戦前日本の地方財政の全体像はどのようなものであったかを明らかにしようという試みである。具体的には、都市決算データを用いた記述統計分析によって六大都市以外の都市の特徴を明らかにするだけでなく、デジタル化した資料を元に都市パネルデータを構築した上で、戦前日本におけるいくつかの重要な制度の導入・変更や政策実施の財政的な影響や、社会に与えたインパクトを記述統計分析と計量経済学的分析によって明らかにする。
著者
石川 卓 黒崎 将広 鈴木 一人 石井 由梨佳 彦谷 貴子 ワックスマン マシュー 徳地 秀士 彦谷 貴子 リー トマス 那須 仁 クー ジュリアン アダムス マイケル スクーヴィル ライアン
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、国際法規範がはたして日米同盟の実施運用そしてさらなる強化を支える「共通言語」ないし「共通のロジック」たり得るのかを検討することを目的としたものである。日米豪の専門家集団による3年にわたる検討と意見交換の結果、両国ともに日米同盟の柱となる国際法上の武力行使と自衛権の概念および枠組みを極めて重要なものとして位置づけつつも、国際法および国内法上の武力の意味、ならびに自衛権行使の発動条件および当該行使にかかる行政府(首相・大統領)と立法府(国会・議会)の権限関係といった様々なレベルで大きな違いが存在することが明らかとなった。
著者
林嵜 和彦 児島 明 山ノ内 裕子 中島 葉子 山本 晃輔
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日系ブラジル人のトランスマイグラントとしての側面に着目しながら、日本で教育を受けた経験のあるブラジル人青年のライフストーリを収集し、進路状況、文化的志向やアイデンティティ、被教育経験をあきらかにしようとした。そして、日本におけるブラジル人学校や、そのほかの日本の学校の機能、支援の在り方等を考察している。その結果、おおくの若者が、日本での被教育経験や生活経験をうまく活用しながら、ブラジルにおいて再チャレンジをはたす姿が見出された。また文化的な貢献として刷新された日本の文化や習慣が旧来の日系社会文化と混成される様子も観察された。
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
山中 茂樹 北原 糸子 田並 尚恵 森 康俊
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、今後30年以内に発生するだろうといわれる首都直下地震において発生する膨大な避難者たちの行動を予測するとともに、その対応策を考えるのが目的であった。ところが、2011年3月11日、東日本大震災が発生。加えて東京電力福島第1原発の事故で福島県民を中心に多くの強制避難・自主避難が生じた。そこで、同時進行している事象の実態把握と解析も進めた。3年間の成果として、住民票を移さずに避難した人達の在留登録制度の新設や避難元自治体と避難先自治体が避難住民の名簿を共有する避難者台帳の整備、広域避難者の支援に充てるファンドの創設など多くの政策・制度を提案した。
著者
幸福 輝
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

欧米の版画室での実地調査に基づき、レンブラントがどのような作品において、どのような目的で和紙を使用したのかを明らかにした。また、17世紀から20世紀までのレンブラント版画関連文献で、レンブラントの和紙作品がどのような評価を受けてきたのかを明らかにした。
著者
高嶋 博 松浦 英治
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、未知の感染症(慢性脳炎)の疾患概念の確立と病原菌の同定を試みた。40-70歳代の進行性認知症4例に特殊な慢性脳脊髄炎を認め、Grocott染色陽性の病原体を確認した。病原体を含む領域に絞り、レーザーマイクロダイセクターを用いて組織を取り出した。その菌を含む組織からDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて、2症例について遺伝子配列を決定した。DNAを種別に分類した結果をもとに検索した結果、検索した2例において全く同じ種の菌を同定し、古細菌に属するHalobacterium属であった。世界で初めての古細菌によるヒト疾患の存在が確認された。
著者
桂井 麻里衣 大向 一輝 梶原 智之
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の目的は,ビッグデータ化の進む学術情報から研究内容の特徴軸をデータドリブンに発見し,個々の研究者の専門興味を多元的に表現する技術を構築することである.具体的には,大規模論文集合に高度な意味解析を導入し,研究者の多様な活動情報を埋め込める深層潜在空間を構築する.これにより,研究活動情報に対し固定次元ベクトルを出力するモデルScholar2Vecを確立する.
著者
森田 健 津村 有紀 若村 智子 福田 裕美
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、健康で快適な生活を確立する上で重要な食事内容と受光履歴の関係を、メラトニン分泌リズムを代表とするサーカディアンリズム及び睡眠への影響の観点から明らかにすることを目的とした。33名の男子大学生被験者を、高・低トリプトファン朝食と日中の高・低照度光環境を組み合わせた4グループに分け、それぞれの条件下で5日間過ごした場合の、メラトニン挙動と睡眠評価を比較した。高トリプトファン食の朝食と高照度光環境は、夜間のメラトニン分泌挙動に大きく影響し、分泌量の増加又は分泌位相の前進が示唆された。この事は、サーカディアンリズムを是正し、睡眠障害を始めとする健康問題の解決につながる可能性を示すものである。
著者
秋葉 澄伯 山田 裕司 床次 眞司 新倉 礼子 川畑 政治
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.鹿児島県内11市の死亡率を比較解析したところ、1980年代に桜島火山からの降灰量が著しく高かった垂水市で、女性の肺がん死亡率が最も高かった。2.活動性火山である桜島、霧島山に隣接した居住地域である鹿児島市、霧島町、垂水市の屋外におけるラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は3Bq/m^3、霧島町は5Bq/m^3であった、これは国内平均濃度5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。しかし、垂水市内においては異例の高濃度事象(50Bq/m^3)を頻回に計測した。さらに、気象データを観測し、気象に関わる各種の変数がラドンとその子孫核種濃度に与える影響を検討した。その結果、ラドンとその子孫核種濃度と二酸化硫黄あるいは浮遊粒子状物質濃度との間には相関が見られなかったが、降灰量との間には相関が見られた。3.呼吸器疾患を持たない集団である一般対象家屋の屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は14.6Bq/m^3、牧園町は14.5Bq/m^3、垂水市は平均11(最低値5最高値24)Bq/m^3であった、これは国内平均濃度15.5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。4.肺がん、慢性呼吸器疾患等を対象に質問票調査並びに家屋での屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、家屋内の平均ラドン濃度は約10.8Bq/m^3と有意差は見られなかった。しかし、ある肺がん患者の家屋でラドン濃度が43Bq/m^3、その子孫核種濃度が90Bq/m^3と高い濃度を計測した。これらの放射能濃度を年間実効線量当量に換算すると約10mSvとなり、国際放射線防護委員会が勧告している一般公衆に対する年限度の1mSvに比べて非常に高い値となった。
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 高橋 博子 林 衛 中原 聖乃 中尾 麻伊香 市川 浩 布川 弘
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究について、その形成と展開を歴史的に解明するとともに、それらが国際機関等の場でどのように評価され、防護基準の策定にいかにいかされたのかの経緯を解明することを目的とし、広島・長崎の原爆被害者に対する調査研究からチェルノブイリや福島の原発事故による影響まで、科学史を軸に据えつつ、歴史と現状の両面から、学際的に研究を進めてきた。他のグループとの共催のものも含め、学会等でのシンポジウムや公開の国際ワークショップを含めた複数の研究会合等を企画・開催し、研究成果の発表を行なうことができた。
著者
香川 靖雄 小松 文夫 金子 嘉徳 川端 輝江 渡邊 早苗 佐久間 充 工藤 秀機 金子 嘉徳 川端 輝江 渡辺 早苗 佐久間 充 工藤 秀機
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

モンゴル人は日本人に比べ平均寿命が男女とも15 年以上短い。その理由を知るためにモンゴル人の健康調査を行った。モンゴル人は食生活に偏りがあり、肉食が主で野菜や果物は少なく、酸化ストレスが高く、老化の訪れが早かった。彼らの短寿命を解決するにはこれらの改善が重要であり、日本人の老化を考える上でモンゴル人の食生活と高い酸化ストレス度は重要な警鐘と思われた。
著者
野口 晴子 田中 隆一 川村 顕 牛島 光一 別所 俊一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,2015年を「子どもの貧困対策元年」として,現場でのさまざまな取り組みが行われている足立区との協働の下,(1)足立区教育委員会・学力定着対策室・学力定着推進課によって,平成21~29年度に足立区の公立小・中学校に通学していた児童生徒全員を対象とした学力・体力・就学支援等に関する情報をパネルデータ化すること;(2)当該データに基づき,足立区における学力向上を目的とする多様な支援策の効果,並びに,教員の固定効果に対する実証分析を行うこと;(3)就学支援の状況から,子どもの人的資本の蓄積過程に対する,家計の経済状況の影響を定量的に詳らかにする.当該自治体において,首長や行政担当者,子どもの人的資本の蓄積の場である家庭や学校等とのネットワークを構築し,本研究が得た実証的知見の実行可能性について現場での検証を行うことであった.本研究により,足立区教育委員会が保有する子どもに関する様々な情報を統合し,異時点間での推移を観察・追跡することが可能な,2009-2018年における延べ約50万人のlongitudinal/panel dataを構築した.結果,就学援助状況と学力や肥満,及び,学力と体力や生活習慣との間には相関があること,学校や教師の学力に対する寄与度にはばらつきがあること,小学生基礎学習教室などによる早期の介入が学力向上につながること,さらには,小学校から中学校への進級に際し成績上位20%の児童の約30%強が区外の私立中学校へ進学すること,などが明らかにされた.こうした成果は,2018年9月学習院大学で開催された日本経済学会2018年度秋季大学特別セッション「東京都足立区公立小中学校全児童のパネルデータを用いた分析」をはじめとする国内外のセミナーやワークショップにおいて報告された.また,本成果は,政策に資するエビデンスとして議会等の政策決定の場でも議論された.