著者
横瀬 久芳 小林 哲夫 長岡 信治
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

琉球弧北部のトカラ列島における火山活動の実態解明を目的に,ドレッジを用いた海底調査を実施した。海底より回収された火山岩類は,海面下にも第四紀火山活動が広く分布していることを示す。特に,海底カルデラ地形の近傍では,現地性流紋岩質軽石が確認でき,トカラ列島における巨大海底カルデラの存在を強く示唆する。火山岩類の地球化学的特徴から,北部琉球弧の火山活動や鉱床形成過程は,沈み込むフィリピン海プレートの形状によって支配されている事が判明した。
著者
吹田 浩 伊藤 淳志 西形 達明 西浦 忠輝 沢田 正昭 仲 政明 渡邊 智山 安室 喜弘
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

古代エジプトの遺跡で典型的な石造文化財であるマスタバ墓の保存状況、劣化の現状、エジプトの管理当局の保全対策をサッカラのイドゥートを事例にエジプト学、建築工学、地盤工学、保存科学、文化財修復技術の観点から、総合的に研究を行い、問題点を整理した。その際、3次元の精密な記録を作成し、情報リテラシーの観点から使いやすいデータベースの技術を開発した。エジプト革命(2011年1月末)後の政情不安のために、現地での調査ができずに、研究が遅れざるを得なかったが、代替のデータを使用するなど、可能な限り当初の目的達成をはかり、データベースの開発を達成した。今後は、各種のデータを入力し、活用していくことになる。
著者
大角 欣矢 花岡 千春 塚原 康子 片山 杜秀 土田 英三郎 橋本 久美子 信時 裕子 石田 桜子 大河内 文恵 三枝 まり 須藤 まりな 中津川 侑紗 仲辻 真帆 吉田 学史
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

近代日本の洋楽作曲家第一世代を代表する作曲家の一人、信時潔(1887~1965)に関する音楽学的な研究基盤を確立するため、以下の各項目を実施した。①全作品オリジナル資料の調査とデータベース化、②全作品の主要資料のデジタル画像化、③信時旧蔵出版譜・音楽関係図書目録の作成、④作品の放送記録調査(1925~1955年のJOAKによる信時作品の全放送記録)、⑤作品研究(特に《Variationen(越天楽)》と《海道東征》を中心に)、⑥明治後期における「国楽」創成を巡る言説研究、⑦伝記関係資料調査。このうち、①から⑤までの成果は、著作権保護期間内の画像を除き原則としてウェブにて公開の予定。
著者
玉蟲 敏子 相澤 正彦 大久保 純一 田島 達也 並木 誠士 黒田 泰三 五十嵐 公一 井田 太郎 成澤 勝嗣 野口 剛 畑 靖紀 吉田 恵理
出版者
武蔵野美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

朝岡興禎編『古画備考』原本(1850-51年成立、東京藝術大学附属図書館)に集成された書画に関する視覚・文字情報の分析によって初めて、自身の見聞や親しい人脈から提供された第一次情報に基づく出身の江戸狩野家、同時代の関東や江戸の諸派は詳細である一方、上方については一部の出版物に頼り、浮世絵も最新の成果が盛り込まれていないなどの偏向性が確認され、朝岡の鷹揚なアカデミズムの視点から、近代における美術史学成立直前の都市・江戸で開花した書画趣味の実態、価値観、情報の伝達経路を浮上させることに成功した。
著者
野田 昌吾 畑山 敏夫 神谷 章生 小沢 弘明 堀江 孝司 安野 正明 野田 葉 木下 ちがや
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究は、1960年代の異議申し立ての噴出=「1968年」について日欧米比較を行ったものである。近年「文化革命」としての性格が過度に強調される「1968年」であるが、本研究は、「1968年」は各国における政治的社会的近代化のあり方と冷戦的秩序のあり方の問題性を告発することにより、各国の戦後秩序の再編の大きな契機となったばかりでなく、冷戦的な国際秩序の再編を促す一つの要因ともなったことを確認し、その「文化革命」性の一面的強調の問題性を明らかにした。
著者
加藤 聖文 黒沢 文貴 松田 利彦 麻田 雅文 カタソノワ エリーナ バルターノフ ワシリー キム セルゲイ ムミノフ シェルゾッド フセヴォロドフ ウラジーミル
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

研究実施前から把握されていたロシア国防省中央公文書館(CAMO)が所蔵する関東軍文書のすべての画像データを入手し、目録を作成した。また、研究成果の一部として、ロシア側研究者らを招いて2017年2月24日に法政大学において国際会議「第二次世界大戦史研究(ソ連における外国人捕虜問題)」を開催し、60名以上の参加を得た。しかし、今回収集した関東軍文書は1990年代のロシア混乱期に明らかになった文書と異同があることが明らかになった。今回収集した文書の公開に加え、これらの未確認文書の調査に関しては、ロシア側と交渉を行ったが、研究期間内に解決することができず、現在も協議が継続中である。
著者
池上 高志 高橋 宏和
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

ロボットと神経回路の間のフィードバックループ系を設計する。培養された神経回路、あるいは、人工神経回路を使ってロボットの運動行為を制御し、ロボットがセンサーを通じて得た環境からの情報を神経回路にフィードバックする。この刺激と行動のくりかえしの閉回路の動作を調べて、1)神経回路の成長を情報のネットワークの変遷で特徴つけ、2)閉鎖回路をつくることで、ネットワークはある構造をつくることと、3)そのパターンの成長は「神経回路は外から刺激されるのを避ける原理」が働いていること、を発見した。
著者
徳山 孝子 打田 素之 木谷 吉克 笹崎 綾野 中村 茂
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は、両国関係者によるコミュニケーションの具体的経緯と男子服意匠の導入経過を明らかにすることで、我が国の洋装文化形成の最も初期の段階に果たした日仏間の交流の実態と意義を解明することを目的とする。今年度は、徳川昭武の購入した領収書(東京大学史料編纂所蔵、民部大輔)の発見から日仏間の交流が明らかになった。1867年4月26日に徳川昭武(民部大輔)一行が日本人として訪れ,洋服を購入した。1か月後の5月26日には、民部大輔用達申渡書が交わされた。商用名刺には、創作した葵紋に刀や剣、日章旗のマーク「FOURNISSEURS BREVETES DE SAI LE PRINCE MIMBOU TAYO-DONO」が記された。男子服の普及・発達は,発祥経路の一つに洋裁店「エス・ブーシェ」の存在が多大であったことが明らかとなった。1882年3月28日エス・ブーシェ会社は解散した。幕末期から明治初期において洋裁店「エス・ブーシェ」と日本人の交流は、男子服史において歴史的に重要な位置を占めた。次に明治5年に着用した明治天皇の軍服に装飾している金モールに着目した。金モール刺繍を日本で製織するようになったきっかけ、製織技術の伝来、製織し始めた人物を明らかにした。中野要蔵は、東京・日本橋区呉服町で「中野屋」という名で洋織物商を営んでいた。最初は、慶応時代に輸入業を始め、外国武官、外交官が来朝した際に、はじめて金モールが何であるかを知ったとされている。1872年の服装制定により、モールが肩章などに多用されることとなった。当初は輸入品で間に合わせていたが不便であったため、機械を購入して金モールを製造し始めたことがわかった。明治12年製造に着手して以来、各地で需要が高まり、東洋派遣米国海軍からの注文、特約店に命ぜられ、宮内省の御用達にもなった。
著者
内藤 晶 西村 勝之 川村 出
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

カルシトニンはアルツハイマー病に見られるアミロイド繊維を形成するアミロイド形成タンパク質と認識されている。このカルシトニンの線維形成現象を解明するため、固体高分解能NMRの手法を用いて線維形成と反応速度、線維の二次構造決定を行い、線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。さらに、細胞内の条件に近づけるため、脂質二分子膜の存在下で起こる線維形成の分子機構を明らかにする研究を行った。ヒトカルシトニンに関して、繊維成長の経時変化からこの線維形成は線維核形成と線維伸長の2段階自己触媒反応機構により形成することが判明した。この線維形成機構で生じる中間体は球状の形状をもち、線維に転移することが電子顕微鏡により観測された。ヒトカルシトニンのF16L, F19L変異体については繊維伸長速度が遅くなったので、芳香族アミノ酸であるPhe-16, Phe-19が線維成長に重要な役割をしていることが判明した。アミロイド線維形成阻害物質について検討したところ、電荷をもつアミノ酸は繊維核形成阻害効果のあることが判明した。またポリフェノールのクノクミンを加えると繊維がまったく形成されなかったので、大きな阻害効果のあることが判明した。グルカゴンについては脂質二分子膜の存在下で線維形成を行ったところ、水溶液中で形成する線維はN-端側とC-端側がβ-sheet構造を形成するのに対し、脂質二分子膜存在下ではN-端はα-helixを形成したままであることが分かった。また、脂質二分子膜存在下では水溶液中に比べて核形成速度は速くなり、線維成長速度は遅くなることが分かった。グルカゴンは脂質膜に結合して濃縮されるので、線維核形成は速くなると考察できる。
著者
谷川原 祐介 西 弘二 西牟田 章戸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

抗がん剤の効果にみられる個人差はがん治療における大きな課題のひとつである。本研究は、タンパク質を介する応答を分析するプロテオーム解析と細胞内代謝を介する応答を分析するメタボローム解析という最新手法を用いて、癌に対する化学療法薬の作用機序と耐性メカニズムの解明を目的とした。薬理作用と耐性に関与する細胞内応答解析によって、抗がん剤反応性の個人差(有効または無効)を予測しうるバイオマーカー分子を複数見出し、個別化投薬へ展開するための基礎的知見を得た。
著者
高田 京比子 三成 美保 小浜 正子 田端 泰子 栗原 麻子 山辺 規子 長志 珠絵 河村 貞枝 福長 進 森 紀子 山本 秀行 京楽 真帆子 持田 ひろみ
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

アメリカ文学におけるますキュリニティー研究の成果を摂取しながら、日本史・東洋史、西洋史における母 - 息子関係の比較研究を行った。2006年度に3回、2007年度に5回、2008年度に1回の研究会と合宿発表会を持ち、それぞれの研究成果を発表して討論を行った。2008年には「家長権をめぐる<母>機能の比較史」というタイトルで比較家族史学会に於いてミニシンポジウムを行った。
著者
佐々木 葉 羽藤 英二 岡田 智秀 佐々木 邦明 平野 勝也 山田 圭二郎 星野 裕司 山口 敬太 出村 嘉史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

本研究では 景観計画およびまちづくりの理念を構築するための理論的研究として、①固定的視点からの景観把握モデルに代わる広域を捉える地域景観把握モデルの可能性を示し、②欧州風景条約から本研究の理念の位置づけを確認した。理念を実現する方法論として、③シーン景観、④移動景観、⑤生活景それぞれの視点で地域景観を記述する手法を考究した。理念実現化の運用方策として、⑥地域景観の保全から捉えた地域ガバナンス、⑦地域景観を活用した地域連携方策、⑧地域景観の価値の継承方策を調査した。以上を含めた本研究の成果は2014年1月23日に土木学会ワンデイセミナー「地域景観まちづくりの理論と実践を探る」において公表された。
著者
大藤 修
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

戦前には全国第2位の巨大地主であった宮城県桃生郡河南町前谷地(現宮城県石巻市河南町前谷地)の齋藤家には、江戸時代から現代に至るまでの文書・書籍・雑誌・新聞などが伝来し、その数は100万点を超えると予想される膨大なものであり、2003年に東北大学附属図書館に寄贈された。本研究では、アーカイブズ学的研究を踏まえてそれを整理し目録を作成して閲覧利用に供しうるようにした。目録は図書館のホームページでも公開する。
著者
根本 彰 石井 啓豊 吉田 右子 原 秀成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

本研究では、(1)戦前から戦中にかけてのアメリカの文化外交政策に着目し、(2)アメリカ図書館協会(ALA)やロックフェラー財団が占領政策の背後でいろいろな働きかけをしていたこと、(3)アメリカ図書館学がこの時期に制度化され社会的に一定の位置づけを獲得していたこと、の3点を新しい視点として、在米の資料の発掘をしながら、占領期の図書館政策についての新しい研究領域の開拓を行ったものである。まず、3年間で、イリノイ大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学、メリーランド大学、国立公文書館、議会図書館などにおいて資料調査を行い、多数の未紹介の1次資料を発掘し、コピーして持ち帰った。これらの資料のうちかなりの部分を整理して、目録化して報告書に掲載することができた。これらの資料分析の結果、わが国の戦後の図書館政策がアメリカ政府の戦中/戦後の国際的な文化戦略の影響下にあったGHQ/SCAPの教育文化政策に位置づけられることが明らかになった。米国の戦時体制において連邦政府情報一元化政策がとられるなかで、図書館界においても全米的なプログラムが重視された。その延長で戦後の国際的な教育文化戦略においてユネスコがつくられるが、それにも図書館関係者が深く関与する。こうした国際情勢のなかで、陸軍省とアメリカ図書館協会が背後からバックアップしながら、GHQ/SCAPの図書館政策が展開されようとしていた。しかしながら、冷戦体制の顕現化、教育文化の再編より経済的な復興を重視する政策により、制度的な改革は中途半端なものに終わったということができる
著者
景井 充 大谷 いづみ 中井 美樹 天田 城介 崎山 治男 出口 剛司 中里 裕美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

長きにわたって日本社会の基盤であり続けてきた、日本独特の<社会的なるもの>が、1990年代後半に始まった新自由主義的な社会変革によって、急速に喪われつつある。このことを、社会階層やライフスタイルの変化、「心理主義」の広範な浸透、ケアの個人化、生命倫理に関わる言説の変化に着目して、理論的および実証的に明らかにした。また、そうした状況を踏まえて、今後新たな社会的連帯を再構築するための基本的方向性を検討した。
著者
福井 勝則 大久保 誠介 羽柴 公博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

AM帯域に混在する電磁波の観測を行い, 地震発生の1ヶ月前から電磁ノイズが増加し始め, 10日前にピークに達し, その後低下し(空白期間といえる部分が存在), 地震に至るという例が多数見られることを示した. 岩石破壊試験を実施した結果, 電磁ノイズなどの予兆現象が地震のかなり前にピークを迎えることは解釈が難しく, 破壊の集中あるいは水の移動により, 空白期間が発生した可能性が高いことを示した.
著者
榎本 美香 寺岡 丈博 坊農 真弓 傳 康晴 細馬 宏通 高梨 克也
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

平成27年度の研究実績は概ね次のようにまとめられる.1. 祭りの支度場面ビデオデータの収録と整備を行い ,2. 共同体〈心体知〉学習の相互行為分析として(1) 〈知〉の学習: 祭具の名称や用法などの共有知識が形成されていく過程の分析 (2) 〈体〉の学習: 他者との同調が必要な協働活動技法が体得されていく過程の分析 (3) 〈心〉の学習: 物事や人を意味づけるエートスが組成されていく過程の分析を行った.1. 祭りの支度場面として,道祖神祭りに関するものはブルーシート洗い(6/7),御神体伐採(7/12), ぼや出し(9/27), 道祖神場設営(1/10~12), 御神木里曳き(1/13), 社殿組み(1/14), 道祖神祭り(1/15)等を収録した.湯澤神社祭礼に関するものはしめ縄作り(5/4), 獅子舞・猿田彦・六歌仙の神楽舞の稽古場面(8/3~5, 15, 25~28),灯籠等の祭具準備場面(9/6,7),湯澤神社祭礼(9/8),神輿巡行(9/9)等を収録した.これらのデータは時間ごとに複数台のカメラ情報を合成し,活動場面ごとに分類整備した.2. 共同体〈心体知〉の学習の相互行為分析として以下の分析を行った.(1)〈知〉の学習:縄結びの名称を見習いたちがメモ・絵・写真をとる部分と、見習いどうしの練習で同じ名称を使用することを通じて習得されていくことを分析した.(2)〈体〉の学習:掛け声や唄や囃子にあわせて、「せーの」「よいしょ」という掛け声や合いの手に併せた木の運搬・操作、胴突唄に合わせた御神木立てが何回か同じ作業を繰り返す中で学習されていくことを分析した.(3)〈心〉の学習: 縄結びやテント造営などに手間取る人々が居れば,手の空いている者が駆けつけて助けるといった実践を通じて,他者への気配りや活動への参加姿勢が獲得されていくことを分析した.