著者
後藤 昭 村井 敏邦 三島 聡 石塚 伸一 村井 敏邦 葛野 尋之 水谷 規男 福井 厚 土井 政和 前田 朗 佐々木 光明
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

(1)全国の刑事施設および更生保護関連機関等に関する実態調査およびデータベース作成:統一的な調査を実施するため、「施設調査票」を作成し、全国的に施設参観を実施した。その他、元矯正施設職員、施設関係での訴訟を提起している当事者、弁護士等から、日本または海外の矯正施設の現状や新たな立法動向等についての聴き取りを行った。これらの調査から、刑事施設が現在抱えている最大の問題は過剰収容であり、それによって、施設運営も保安的観点が重視され、処遇面がおろそかにされるおそれがある等の状況が把握された。日本の刑罰システムに関する総合的なデータベース作成については、国内外のインターネット上で提供されている情報を利用しやすい形態にまとめた。その他、海外については、NGOの発行した年次活動報告書、欧州人権裁判所の重要判例関する資料を収集した。日本については、近代監獄改革関連事項に関する年表を2001年度分まで完成させた。(2)現行制度および運用に関する評価・分析、ならびに「対案の」提示:かつて本研究会が、拘禁二法案への対案として作成した『刑事拘禁法要綱案』(1996年)につき、改訂作業を行った(「改訂・刑事拘禁法要綱案」)。改訂に際しては、近年、日本においてもNGO活動が盛んとなりつつあることや、行政機関の情報公開に対する意識が高まっていること等、新しい社会の動向にも注目した。主な改訂のポイントは、施設内処遇に市民が協力するという形態を積極的に採用したこと、施設処遇に対する第三者機関としての市民の監視を充実させたことにある。刑事施設の抱える問題点に対する一つの回答でもあり、施設だけで処遇を担うのではなく、一般社会と連携しながら、また一般社会に対しアカウンタビリティを果たしながら施設を運営していくべきであるとの方向性を示したものである。改訂作業に加え、改訂要綱案に基づく施設運営の実現可能性についても検討を行った。そのために、数名の被収容者を想定し、入所時から出所時までのシミュレーションを作成した。(3)研究成果の公表およびシンポジウムの開催:以上の研究成果を広く公表するために、研究会のホームページを立ち挙げた。2002年3月9日には、法政大学において、「21世紀の刑事施設-グローバル・スタンダードと市民参加」と題するシンポジウムを開催した。
著者
吉野 悦雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

EU6ヵ国におけるポーランドとリトアニアからの移民の出国動機ならびにEUの対応のアンケート調査研究。調査国は,独,仏,英,アイルランド,スペイン,デンマークであった。161人の移民労働者と平均50分のインタビューをおこない,その結果を統計的に分析した。特に移民の第一動機が高収入であるとの従来の欧米での通説に対して,男女の愛と夫婦の絆が移民の第一動機であることが明らかになったことが最大の成果である。
著者
三澤 真美恵 貴志 俊彦 佐藤 卓己 孫 安石 川島 真 小林 聡明
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究では東アジアの複数の地域(日本、中国、香港、台湾、シンポール、韓国、北朝鮮)および複数の視聴覚メディア(テレビ、映画、レコード、ラジオ)を対象に、地域間・メディア間の相互連関性を検討した。各年度に行われた国際ワークショップや国際シンポジウムを通じ、国内外の研究者が多様なディシプリンを持ち寄ったことで、東アジアに固有の相互連関の具体的様態についても明らかにすることができた。本研究の成果は論文集として公刊される予定である。
著者
樋口 重和 北村 真吾
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究では、光の強度、波長、照射方法がヒトの生理心理反応に及ぼす影響を調べると同時に、夜勤時の光によるメラトニン抑制を軽減する方法について検証した。その結果、以下のことがわかった。1)網膜の鼻側は耳側に比べて光刺激に対する瞳孔の縮瞳量が大きいが、メラトニン抑制に関しては違いがなかった。2)青色光は赤色光に比べて、瞳孔の縮瞳量および後頭部の総ヘモグロビン濃度の増加量が有意に大きかった。3)夜勤時の光によるメラトニン抑制を防ぐ方法として赤色バイザーキャツプの着用または仮眠が有効であった。
著者
泉池 敬司 羽鳥 理 真次 康夫 古谷 正 高木 啓行 林 実樹広
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

H^∞のイデアル構造とその上の作用素の研究が目的で、代表者は次の結果を得た。1)H^∞の極大イデアル空間の自明点の集合に関するはスアレスの問題の解決。2)素イデアルに関するゴルキンとモルチイーニの問題の解決。極小のκ-hullに関するゴルキンとモルチイーニの問題の解決。極大イデアルの共通部分で表せるイデアルの十分条件を与えた。3)互いに特異な測度の特異性、および測度の絶対連続性が極大イデアル空間に表現できることを示しH^∞+Cでの割算問題に応用した。4)表現測度の台が極大となるための十分条件を与えた。この証明の方法は応用範囲が広いことがゴルキン、モルチイーニ氏との共同研究で分かった。また可算性の研究の1つとして、QC-level集合、非解析集合を研究した。5)合成作用素の空間の本質ノルムによる連結成分を決定した。6)中路、瀬戸氏とトーラス上の逆シフト不変部分空間の研究を行ない、自然に得られる作用素が可換になるときの部分空間を決定した。7)Yang氏とはトーラス上で、逆シフト作用素が縮小的な部分空間を決定した。研究分担者の古谷氏は長氏とlog-hyponormal作用素を研究し、Riemann-Hilbert問題に1つの解を与えた。またω-hyponrmal作用素のkernelに関するAluthge-Wangの問題の解答を与えた。真次氏はn次元空間の単位球上の関数空間の研究を行い、荷重バーグマン・プリバロフ空間に対して、Yamashita-Stoll型の特徴付け及び等距離写像の決定を行った。羽鳥氏は可換Banach環上の環準同形写像の表現定理を与え、環準同形写像が線形写像となるための十分条件を与えた。高木氏は関数環上の荷重合成作用素の次の性質を明らかにした。1.閉値域 2.本質ノルム 3.Hyers-Ulam stability定数。
著者
浜渦 辰二 中村 剛 山本 大誠 福井 栄二郎 中河 豊 前野 竜太郎 高橋 照子 備酒 伸彦 竹之内 裕文 竹内 さをり
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

医療,看護,リハビリ,介護,福祉,保育,教育まで広がる「北欧ケア」を,哲学・死生学・文化人類学といったこれまでこの分野にあまり関わって来なかった研究者も参加して学際的に,しかも,実地・現場の調査により現場の人たちと研究者の人たちとの議論も踏まえて研究を行い,医療と福祉をつなぐ「ケア学」の広まり,生活中心の「在宅ケア」の広まり,「連帯/共生」の思想が根づいていること,などが浮かび上がってきた。
著者
小松 美彦 大谷 いづみ 香川 知晶 竹田 扇 田中 智彦 土井 健司 廣野 喜幸 爪田 一寿 森本 直子 天野 陽子 田中 丹史 花岡 龍毅 的射場 瑞樹 皆吉 淳平
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

米国で誕生し日本に導入されたバイオエシックスの特性を検討した。すなわち、文明論、歴史、メタ科学、経済批判、生権力の視点が稀薄ないしは欠落していることを剔抉し、日本の生命倫理の改革の方向性を検討した。成果は共著『メタバイオエシックスの構築へ--生命倫理を問いなおす』(NTT出版、2010)にまとめた。また、バイオエシックスが導入された1970~80年代の日本の科学・思想・宗教・政治状況を、文献輪読やオーラルヒストリー調査などを通じて考察した。以上は、国内外の研究にあって初の試みであり、書評やシンポジウムなどで高く評価された。
著者
柳澤 悠 井上 貴子 杉本 良男 杉本 星子 粟屋 利江 井上 貴子 杉本 良男 杉本 星子 粟屋 利江
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究は、耐久消費財の浸透など消費パターンの変化が、インド農村の下層階層においても生じていること、変化は単なる物的な消費財の面に限らず、教育、宗教活動などに広がっていること、消費の変化は階層関係など社会関係の変容や下層階層の自立化によって促進されていること、またその変動は1950-60年代から徐々に生じていると推定されること、農村消費の変化が産業へ影響を及ぼしていることなどを、明らかにした。
著者
日比谷 孟俊 内田 保廣 佐藤 悟 嶋津 恵子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

浮世絵の開板時期を特定することは困難な場合が多い. 描き込まれた様々な描画対象ならびに文字などの属性情報をコンピュータに取り込み,『吉原細見』にある遊女の在任期間と比較することにより,江戸後期に溪斎英泉が画いた花魁を主題とする 21シリーズ,218 枚の美人画について開板時期を特定することに成功した.同じ図柄で妓楼と遊女の名前を変えただけの異板が存在する場合があるが,遊女の紋に注目することにより,初版と後版との関係を明確にできる.
著者
山本 政儀 白石 久二雄 星 正治 ZHMADILOV Z.
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

旧ソ連の核実験場セミパラチンスク周辺の住民被曝の特徴は、外部被曝(30-250cSv:1949-1992年間の民住民の総被爆線量)に加えてかなりの内部被曝(40-300cSv)を受けていることである。この内部被曝線量は、数学的モデルで推定されたもので検証が必須である。現在唯一、検証が可能と思われるのは、人体組織の骨中^<90>Sr測定以外ないのではないかと考えている。2001年から、内部被曝線量評価の一環として、核実験場周辺で亡くなられた方々の骨試料を提供していただき骨中のU, Pu,^<90>Srの測定を開始してきた。核実験場近傍の集落で被曝し亡くなられた方の人体試料について出来るだけ多くの試料を収集しデーターの蓄積を計ることが最重要である。本研究において、クルチャトフ研究所及びセミパラチンスク市内の大学病院との連携で、人骨試料(主に脊椎)約100試料を収集し分析した。Nこれまでに採取した試料を用いてPu, Uの逐次分析法を開発し、これまでに約50試料の分析を実施した。Pu-239,240及びU-238濃度は、灰化試料1g当たり0.005-0.23Bq/g,0.09-0.49mBq/gの範囲であった。分析した試料の大部分は、セミパラチンスク市内が多く、これらの値はこれまでに報告されているデーターとくらべて同レベルであった。しかし、核実験場近傍の試料で高い値を持つケースもいくつか見いだされた。Sr-90については0.05-0.13mBq/g-ashの値が検出された。↑標準人(70kg)、平均Pu-239,240濃度0.03mBq/g-ashを用いて50年間に受ける実効線量当量を試算すると、全て吸入摂取の場合には、12.3(難溶性Pu)〜42.7(可溶性Pu)μSv,全て経口摂取の場合に13.5-28.6μSvとなる。→現在、核実験場近傍の集落、モスチーク、ドロン、ズナーメンカ、サルジャールで長年住んでいて亡くなられた方の人体組織を分析しており、さらにデータの蓄積を積み重ねている。↓最終的に、実際のSr-90データとモデルから予想されるデータとの比較を行い、モデルの妥当性を検討する。モデルとの合致が得られない時には、その原因を解析し、新たなモデルを提示する。
著者
木村 昭郎 兵頭 英出夫
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

セミパラチンスクの被曝者様式は、慢性の外部及び内部被曝であり、広島の被爆様式とはまったく異なっていることから、MDS、白血病など血液腫瘍の発生様式も異なっている可能性がある。我々は、原爆被爆者ではMDS発症のリスクが高いことを明らかにしている。さらに遺伝子レベルでは、造血幹細胞の増殖分化に重要な役割を果たしている転写因子AML1遺伝子の点突然変異をハイリスクMDSに高率に見出し、かつ変異は放射線誘発及び化学療法による二次性MDSでは、本遺伝子内のラントドメインに集中していた。またAML1変異に協調的に作用すると考えられる受容体チロシンキナーゼ-RASシグナル伝達経路の遺伝子変異を約40%の症例で同定した。そこで、MDSと白血病の遺伝子レベルにおける原爆被爆者との比較を行い、被爆様式の違いによる異同を明らかにしようと試みた。最近5年間に収集したMDS・白血病36症例のうち、大気圏核実験が実施された1949〜1963年に被曝を受けたと考えられる例は8例であった。次にAML1遺伝子変異を検索した36例のうち、2例に変異を見出した。1例目は被曝時年令14〜28才、診断時年令68才、Semipalatinsk在住のロシア人女性のMDS/AMLで、変異をラントドメイン(R177Q)に認めた。2例目は被曝時年令0才、診断時年令36才、Abay在住のカザフ人男性の好酸球増多を伴うMDS/AMLで、変異をラントドメイン(P176R)に認めた。これらの例では、造血幹細胞にAML1変異による血球分化の異常と、RAS経路などの変異による増殖シグナルの異常(亢進)が付与されることにより、MDS/AMLが発症したものと考えられる。2例と少数例ではあるが、AML1ラントドメインに変異を見出したことから、セミパラチンスクの被曝においても原爆被爆と同様な遺伝子変異を誘発し、MDS/AMLの発症をもたらすことが推測された。
著者
佐々 浩司 林 泰一 村田 文絵 益子 渉 橋口 浩之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

竜巻発生環境を再現する実験装置を確立し、メソサイクロン高度に依存して竜巻発生状況が異なることや竜巻の詳細構造を示した。この知見は竜巻予測精度向上に寄与すると期待される。また、レーダー観測により竜巻発生件数の多い高知県において積乱雲中の渦の8割が土佐湾海上で発生することと、福岡竜巻の事例についてメソサイクロンと竜巻渦との関係を示した。モデル解析においては非スーパーセル竜巻事例の発達過程を示した。
著者
佐藤 孝和 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

ペアリングに基づく楕円暗号に特有の解読法としてペアリング反転を解く方法が知られている。本研究ではヴェイユペアリングの反転写像の明示公式を与えた。この式は密な有理式であり、このペアリング反転公式をそのまま計算してしまう方法に対してはペアリングに基づく楕円暗号は安全であることが示された。また、ペアリングに基づく暗号に適する超楕円暗号をペアリングに基づく暗号に適さないある種の楕円暗号から構成する方法を開発した。
著者
高井 正成 西村 剛 米田 穣 鈴木 淳 江木 直子 近藤 信太郎 内藤 宗孝 名取 真人 姉崎 智子 三枝 春生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

ミャンマー中新世末~前期更新世の地層から、複数のオナガザル科化石を発見し、さらに共産する動物相の解析を進めてミャンマーの新生代後半の哺乳動物相の変遷を明らかにした。また東ユーラシア各地(中国南部の広西壮族自治区、台湾南部の左鎮、シベリア南部のトランスバイカル地域、中央アジアのタジキスタンなど)の新生代後半の地層から見つかっていた霊長類化石の再検討を行い、その系統的位置に関する議論を行った。
著者
岡田 知子 後藤 隆太郎 重村 力 石丸 紀興 河野 泰治
出版者
西日本工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

復興計画策定にあたり、以下の3点に配慮するべきであることが明らかになった。(1)被災者の自立(自力での住宅再建と生業再建。そのための支援が必要である。)(2)地域社会の持続(地域コミュニティを大切にした復興を図ると共に、コミュニティ形成に深くかかわってきた生活空間構造を反映した計画)(3)伝統文化の継承(時間をかけて築いてきた街並みや景観、風景、信仰、祭り、暮らしのあり方などの価値を再認識し評価し継承する。)
著者
齋藤 努 藤尾 慎一郎 土生田 純之 亀田 修一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究課題の目的は、古代の朝鮮半島と日本の青銅器を対象とし、鉛同位体比分析と元素組成分析によって原料産地を系統的に調べて、中国~朝鮮半島~日本における技術とモノの動き、製錬開始時期について考察を行うことである。日本側は古墳時代後期-古代初め頃までの古墳や遺跡の出土資料が、韓国側は国立中央博物館と釜山大學校博物館の所蔵資料が主な対象である。朝鮮半島出土資料は、韓国での発掘成果報告書刊行にあわせて分析を行い、データの蓄積を図った。
著者
名和 範人 鈴木 貴 小川 知之 石毛 和弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

名和と石毛が運営メンバーに名を連ねる『語ろう「数理解析」』(http://www.gifu-u.ac.jp/~tisiwata/seminar/ma_seminar.html)を通して,様々な分野の研究者との議論の場を設ける事ができた。この活動などを通して、研究分担者各員は、各々の研究分野で成果をあげ、様々な研究集会など、複数の講演機会や海外への渡航機会も得て、情報交換がより密になされるようになった。名和は、擬共型不変な非線形シュレディンガー方程式の爆発解に対して、その爆発速度と漸近挙動との間の関係性について、ひとつの結果を得る事ができた。これにより、次のステップとして、本格的にネルソン過程と呼ばれる解の背後にある確率過程と爆発速度との関係の追求に移る事ができる。また、微分型非線形シュレディンガー方程式の爆発解に対しても、漸近形に対しては、部分的に同様の結果を得た。さらに、これまでに開発した技術が、超伝導の理論に現れるような、非線形シュレディンガー方程式系の解析にも有効である事を見抜き、古典場ではあるが、クーパー対の生成とも言うべき性質を解が持ち得る事を示した。石毛は、拡散係数が大きな半線形熱方程式の爆発解の爆発集合や漸近形に関する結果や、球の外部領域における線形熱方程式の解の最大点挙動および解の微分の無限遠方での減衰評価を得た。鈴木は、自己双対ゲージ模型におけるある種の自己組織化現象や,走化性方程式系の爆発問題に関して興味深い結果を得た。小川は、自発的パターン形成のモデルである、スイフト=ホッヘンバーグ方程式や,ある電気化学系のモデル方程式などの解に現れる時空パターンについて,力学系や分岐理論を用いた解析を行った。これらの解析の一部は、すでにシュレディンガー方程式の解の解析と精神を同じくしている部分もあり、今後のさらなる共振的な発展が期待される。
著者
飯塚 正人 黒木 英充 近藤 信彰 中田 考 山岸 智子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

1998年2月に「ユダヤ人と十字軍に対するジハードのための国際イスラーム戦線」が結成されて以来、いわゆる「イスラム原理主義過激派」のジハード(聖戦)は新たな段階に入った。そこでは、これまでイスラーム諸国の政府を最大の敵と見て、これに対する武装闘争を展開してきたこれら過激派が、反政府武装闘争を否定するウサーマ・ビンラーディンのもとに結集し、彼の指揮するアルカーイダとともに、反イスラエル・反米武装闘争を優先する組織へと移行する現象が見られたのである。本研究の主な目的は、結果として「9,11」米国同時多発テロを引き起こすことになるこうした変化がなぜ起こったのか、また対外武装闘争を実践しようとする諸組織の実態はいかなるものか、を地域横断的に分析することにあった。このため、各年度の重点地域を中央アジア、中東、東南アジア、南アジアに設定し、それぞれの地域におけるジハード理論の変容と実践を現地調査するとともに、必要に応じて毎年各地で継続的な定点観測も行っている。その結果、当初設定した課題には、(1)諸国政府による苛酷な弾圧の結果、「イスラム原理主義過激派」にとって反政府武装闘争の継続が著しく困難になったこと、(2)パレスチナやイラクに代表されるムスリム同胞へのイスラエルや米国の攻撃・殺戮が看過できないレベルに達したと判断されたこと、という回答が得られた。またこの調査では、特に「9.11」以降欧米や中東のムスリムの間で論じられ、強く意識もされてきた"ISLAMOPHOBIA"(地球規模でのムスリムに対する差別・迫害)現象がアフガニスタン戦争、イラク戦争を経て東南アジアや南アジアのムスリムにもまた深刻な問題として意識されるようになっており、こうした差別・迫害に対する抵抗手段として、ウサーマ・ビンラーディン型のジハードを支持、参入する傾向がますます強くなりつつある事実も明らかになっている。
著者
石井 昇 松田 均 中山 伸一 鎌江 伊三夫 中村 雅彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

【研究目的】日常診療、研究等に多忙な医療従事者や医学生等に対して、その職種やレベル別に応じた適切な教育効果が期待されるコンピューターシミュレーションを用いた災害医学、災害医療の教育システムの開発を目指したもので、特に自己学習が可能なゲーム感覚で学習が継続できるプログラムを作成する。【研究実施計画】平成12年度は地震時の災害医療における国内外の関連資料の収集・分析と、コンピューターへのデータ収録、さらに地震災害の初動期災害医療対応のシナリオ作成に必要な画像の収録・編集等を行った。平成13年度は、災害発生初期における医療対応での問題点等の抽出を行い、災害医療の実際等に基づいたシナリオ作成と災害発生後の状況を疑似体験できる災害現場を仮想空間にてシミュレーションできる3次元モデルプログラムの開発をコンピューターシミュレーションソフト開発会社等との協力のもとに着手した。平成14年度は、コンピューターソフト関連の技術者等の協力を得てコンピューターグラフィック化を含めたシナリオ作成と災害発生現場を擬似体験できる災害現場の3次元仮想空間でのシミュレーションモデル作成を行った。【本研究によって得られた新たな研究等の成果】地震災害想定モデル作成の複雑さと困難さに直面し、本研究期間内において地震災害想定シミュレーションシナリオ作成の完成に到達することは出来なかったが、コンピューターシミュレーションソフト開発会社の協力が得て、災害想定モデルのシナリオ作成の第一段階として、工場爆発想定の3次元の災害現場の仮想空間モデルを作成し、この仮想空間モデルを活用した災害現場でのトリアージ訓練シミュレーション教育システムのプロトタイプを作成中で、本年4月に完成した。今後地震災害想定モデルの作成に向けての研究を継続する予定である。
著者
布川 日佐史
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

ドイツにおける最低生活保障制度は、「活性化」をキーワードに、2005年1月に大きく改革された。すなわち、就労可能な人の「活性化」のための「求職者に対する基礎保障(社会法典II)」が新設され、就労不能な人への「社会扶助(社会法典XII)」との二本立てに再編されたのである。これまで失業保険受給期間を過ぎた要扶助失業者の生活保障をしてきた「失業扶助」は廃止された。また、最後のセーフティネットである「社会扶助」から、就労可能な受給者及びその世帯員が切り出された。本研究は、ドイツ各地の関連機関や研究者へのヒアリングをもとに、2003年度は「求職者に対する基礎保障法案」が準備され、2003年12月に連邦議会で採択される過程を明らかにした。2004年度においては新制度制度導入を目前に控えた準備状況を、また、2005年度には新制度の実施状況を明らかにした。とりわけドイツにおける制度改革においてポイントとなった、就労可能な要扶助者に対する最低生活保障の給付要件、自立支援プログラムの内容、実施体制、自治体財源保障、ケースマネジメント、就労インセンティブと忌避者への制裁など、受給者の活性化に関わる点に焦点を当て、検討を深めた。これらの点は、日本の生活保護における自立支援プログラムの実施に伴う課題と共通する論点である。ドイツにおける政策展開と比較対照することによって、日本の生活保護制度における自立支援施策に関わる論点を豊富にでき、生活保護に関する政策提言の内容を充実させることができた。