著者
神庭 重信 鬼塚 俊明 加藤 隆弘 本村 啓介 三浦 智史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

うつ病の神経炎症仮説に基づき、動物実験としては、グラム陰性菌内毒素をマウスに投与して、行動および脳内の組織化学的変化について研究した。広範囲に及ぶミクログリアの一過性の活性化は見られたが、それを通じたアストログリア、オリゴデンドログリアへの影響は検出できなかった。ミクログリア活性化阻害物質であるミノサイクリンの投与は、内毒素投与の有無にかかわらず、抑うつ様行動を惹起した。培養細胞系では、ヒト末梢血中の単球から、ミクログリア様細胞を誘導することに成功し、気分障害罹患者を対象とする画像研究でも、拡散テンソル画像を集積した。これらの研究を通じ、うつ病と神経炎症の関連についてさらに知見を深めた。
著者
内藤 航 岡 敏弘 小野 恭子
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

個人線量計とG空間技術(GIS/GPS)を活用した被ばく線量の実態把握のために取得したデータに基づき、福島の避難解除地域における帰還後の個人被ばく線量(生活様式を考慮したもの)を推定した。その結果、政府の推定と同じ仮定で計算した場合、実際の被ばく線量は政府の推定の1/4程度になると推定された。これまでに取得したデータに基づき検討したパラメータを用いた外部被ばく線量推定ツールのWeb版のプロトタイプを完成させた。ノルウェーや英国、ベラルーシ等におけるチェルノブイリ事故後のリスク対策(基準値設定等)について比較検討を行い、基準値の背後にある原理や導出、さらには施行の状況は国により大きくことなることが確認できた。震災後に悪化したとされる慢性疾患の一つである糖尿病および精神的ストレスのリスクの大きさを,放射線被ばくと比較するための手法開発を行った。震災前後におけるリスクの変化量を,損失余命や本研究で開発した損失幸福余命という尺度で表すことができた.原発事故後に研究者や行政,団体等によって実施された放射線リスクへの対応やリスクコミュニケーションに関する論文や報告書等を収集し,内容,開始時期,地域について分析した。楢葉町の除染について、費用と線量低減とから、余命1年延長費用(CPLYS)を計算した。帰還から30年間の被曝による損失余命が除染によってどれだけ減るかを計算した結果、55人・年と算出された。他方、除染廃棄物の中間貯蔵施設への運搬と中間貯蔵の費用を含まない費用が572億4000万円と推定され、CPLYSは10億円となった。住宅地だけの費用は122億8000万円で、その部分だけのCPLYSは2.3億円である。これらはチェルノブイリの除染の費用効果についての文献で上限と言われている値の18~77倍であった。
著者
河合 靖 佐野 愛子 小林 由子 飯田 真紀 横山 吉樹 河合 剛 山田 智久 杉江 聡子 三ツ木 真実
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究は、東アジア圏の国際的な人口流動性が高まり、欧州のような複言語主義的多層言語環境が出現するという予想のもとに、多言語社会香港の言語教育政策、日本人子女教育、第二言語教育、使用言語の言語学的考察、香港と日本の学生による言語交換などを通して、日本が多層言語環境化する際の課題に示唆を得ることを目的としている。香港の言語教育政策は、学校群に分けて英語、広東語を教育言語としてどの割合で用いるか差をつけてきている(バンドシステム)が、その変遷の実態については不明な点が多い。今回、各年齢層の香港在住者にインタビューを実施することで、これまで報告資料による伝え聞きであった状況を徐々に脱却できる可能性が見えてきた。また、日本人コミュニティへの聞き取り等をもとに、香港では教育の選択肢が豊富で、また、香港の人々が複数言語能力を身に付けることに貪欲な様子が見えてきた。あわせて、香港の日本語学習者が日本のポップカルチャーに対する興味を学習の強い動機づけにしていることや、日本語と広東語の終助詞に相似的特徴が見られるなど、日本と香港をつなぐ興味深い事実を考察できた。さらに、香港と日本の大学生が言語交換学習を行うことで、第二言語不安の解消や積極的な言語活動への参加が促進される可能性が示唆された。この2年間に、英国のEU離脱、米国・仏国大統領選などで、言語・文化の多様化に対する反動的な動きが世界的に顕在化してきているとされる。科学技術の発達にともない、人口移動と異文化・異言語の交流が加速度的に進む時代である。人類がアフリカ大陸から拡散する過程で、異なる言語集団と交流する必要性が生まれたはずである。多層言語環境は、太古の人類が直面した進化上の問題であって、そこには種としての人類の発展や人間社会理解の鍵が含まれていると思われる。この研究が、そうした視点で言語と人類の関係をとらえる発端になることを願う。
著者
橋本 伸也 野村 真理 小森 宏美 吉岡 潤 福田 宏 姉川 雄大 梶 さやか
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

東中欧諸国・ロシアで深刻の度を増している第二次世界大戦と社会主義時代の歴史と記憶をめぐる政治化と紛争化について、現地調査や国際研究集会の開催などを通じて、実相解明を進めた。6回の国内研究会の開催、個別研究論文の執筆に加えて、2014年度にはエストニアのタリン大学で夏季ワークショップを開催して成果をproceedingsとして公開するとともに、2015年には関西学院大学で国際会議を開催して、東アジアの歴史認識紛争との対比により問題構造の多元的把握に努めた。研究代表者の単著(既刊)や雑誌特集号に加えて、2017年中に国際的な論集と研究分担者らの執筆した共著書2点の刊行が決まっている。
著者
池内 恵 御厨 貴 牧原 出 宮城 大蔵 鈴木 均 小宮 京
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究課題では、国家間の公式の制度の枠内で行われる交渉だけでなく、民間を含めた人的つながりに多くを依存する国際的な非公式の協議ネットワークを通じて行われるアジェンダ・セッティングや利益・不利益配分に特に注目してきた。特に資源エネルギーと通貨の問題を対象に、日本の経済外交において、国際的な非公式の協議ネットワークにいかなる形で参加してきたのか、中東や東南アジアの地域研究と、日本政治史のオーラル・ヒストリーの手法を共に用いて解明を進めてきた。地域研究者と日本政治史・行政学研究者が協力し、非公式協議をめぐる国際行政学の開拓につなげることが研究の目的である。非公式の協議ネットワークの実質的な重要性は、一部のジャーナリズムの報道で漠然と知られておりながら、秘匿性の高い対象の性質上から資料の制約が多々あり、学術的に体系的な形で取り組まれたことはほとんどなかった。そのため、本研究課題の推進に際しては、オーラル・ヒストリーの採取や、過去の秘蔵資料・音声テープ・私的メモなどの発掘に傾注してきた。それらの新資料を報告書として印刷し、適切な大学・研究所図書館等に順次所蔵して、今後の研究の基礎資料を構築することが、現在までに本研究課題の遂行を通じて行ってきた主な成果である。第3年次は「日本経済外交史プロジェクト オーラル資料編別冊」として、『尾崎三雄日記‐アフガニスタン編‐』(アジア経済研究所)を刊行し、本プロジェクトでの通算の資料集刊行は4冊目となった。
著者
松木 邦裕 大山 泰宏 立木 康介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

日本の精神力動的心理療法のトレーニングの質を高めるための具体的な方策を検討すべく,米国,ドイツ,イギリス,フランスの力動的心理療法家養成のシステムおよびその実態に関して,養成に関わる人物の招聘やシンポジウム,および研究者による現地の訪問での参与観察や資料の収集を行ない,日本におけるトレーニングの問題点を明らかにした。とりわけ日本では,スーパービジョンや実地研修の不足,事例を見立てる上での構造の不在が指摘された。そして,日本の文化的文脈等を自覚化しつつ,その改善の方向を具体的に討議し,より適切な訓練のモデルを構想した。また,見立て,臨床像記述の方法論等を検討し,実際の訓練に適用した。
著者
仙石 愼太郎 AVILA Alfonso 末松 千尋
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究課題は、学際・融合を盛り込んだ大型公的助成プログラム事例の観測に基づく実証研究を旨とし、日本及び欧州において国際的に実施する。学際・融合の業績サイドの科学計量学的評価アプローチとしては、引用-被引用関係に加え、共著関係や閲覧回数等のより即時性の高い指標の導入を試みた。学際・融合の広がりに関しては、所与の分野分類に基づく従前の規範的手法に加え、共引用構造分析や書誌結合分析による事実記述的な手法論、また、人材育成・教育成果等の非文献計量指標も考慮に入れた。学際・融合の活動サイドの経営組織論的評価アプローチとしては、コミュニケーション・インタラクション等を含むトランザクションに着目した測定手法1を援用した。即ち、学際・融合の研究開発の推進プロセスや鍵となる活動単位を特定し、観測軸・指標を設定し実測し活動実態を整理して把握する。更に、観測結果を分野・機関・中心的研究者・研究プロジェクト間で比較・検証することで、学際・融合研究開発の影響要因や行動類型を描出した。平成26年度の研究実績としては、学際・融合研究開発の業績・活動の観測手法を確立した。詳細は下記の通りである。1.業績評価の視点として、中心研究者等の主体(actor)、論文発表・特許出願等の成果(outcome)、人材育成・教育等の成果(people)を規定し、測定指標として整理した。2.活動評価の視点として、中心研究者等の主体(actor)、研究資金・設備、マテリアル等の投入資源(resource)、交流機会(opportunity)を規定し、測定指標として整理した。3.上記フレームワーク・指標に基づきパイロット観測を実施し、観測・測定面の実効性を検証する。必要に応じ、対照の観測事例を設置した。
著者
下河辺 美知子 巽 孝之 舌津 智之 日比野 啓
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

本研究はモンロー・ドクトリンの文化的・政治的意味を検証してきた。モンロー大統領の言葉は歴史を通して行為遂行的効果を発揮し、西半球・東半球という概念を喚起した。この洞察は19世紀アメリカの政治的無意識への理解を深め、20世紀ポストコロニアル研究へ有効な視座を与え、球体として地球を見直す新たな視点につながり21世紀の世界情勢分析のための有効な概念であることが証明された。研究成果は、国内海外の学会発表(61件)、論文(41件)著書(31件)として発表されており、2014年3月にはシンポジウムを行った。テロと核を抱える21世紀世界における惑星的共存への提言として成果物出版計画が現在進行中である。
著者
澤田 誠 小野 健治 今井 文博
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

ミクログリアが血液脳関門を崩壊させること無く脳に浸潤できることを見いだし、この性質を模倣することができるペプチド分子を単離することに成功した。この分子と薬物、タンパク、遺伝子、人工担体などを結合して脳を標的化した薬物送達を目指した開発を行った。まず培養血液脳関門モデルを構築して対象とする化合物やタンパク質などが脳移行するかどうかをin vitroで判定することができるようになった。次にリコンビナントタンパクを脳移行型に改変するベクターを作成し、アザミグリーンを発現させて脳移行性が付与されたことを証明した。また、化学修飾により酵素や化学物質に標的化ペプチドを結合させ脳移行型に改変するシステムを検討し、高分子量の酵素(HEX)や抗体分子を血液脳関門透過型に改変することに成功した。さらに、この分子を特殊なナノ粒子と結合することによって神経細胞にだけ目的物を導入することも可能となった。脳移行性の個体レベルの評価としてペプチドのポジトロン標識体を合成しPETによる脳移行性を測定した結果、ペプチド単体でも水溶性のペプチドではこれまでに無い高率の移行を示すことができ、さらに脳移行性の無い化合物(NMDAアンタゴニスト)を結合することによって脳移行型に改変することができた。このときの脳移行性は1.34%であった。以上のように化合物やタンパク質、人工単体の脳移行型改変が可能となったので、今後実用化に向けた開発を行っていく。
著者
眞溪 歩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は,注意・不注意,意識・無意識に関する事象関連電位/磁界(ERP/ERF)計測を行うことを目的としていた.そこで,本研究を,目的を直接的に追求するための認知行動実験と,認知行動実験時のERP/ERFを計測・解析する手法の両面から構成した.計測解析手法では,脳領野間の方向付き位相共振を定量化する解析法を確立し, IEEE Tr BME誌に論文発表した.これらを用いた注意・不注意,意識・無意識が介在するERP/ERF解析では,無意識下での認知行動モデルの生成とそれが律動成分の位相共振によって実現視されていることを示唆する結果を得た.
著者
碓田 智子 西岡 陽子 岩間 香 谷 直樹 増井 正哉 中嶋 節子
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

全国の町並み保存地区等でみられるイベント型の屏風祭りとひな祭りを主対象に現地調査を積み重ね、町家や町並みの空間利用とまちづくりとの関わりについて検討を行った結果、以下の研究成果が得られた。1)イベント型の屏風祭りは、伝統的祭礼に由来するものである。屏風は町家の座敷に展示されることが多く、見物人はふだん見ることができない町家内部の居住空間を訪問し、住民と交流を深める機会を得やすい。曳山祭礼とは別の日程で開催、曳山祭礼と同日に行うが祭礼行事としての色彩はないもの、曳山祭礼の一環として実施する場合を比較すると、伝統的な曳山祭礼とは切り離して行われる方が、まちづくり活動としての色彩が強い。2)全国約120カ所でひなまつりイベントが行われ、とくに平成10年以降、歴史的ストックを活用した町並み回遊型のタイプが急増している。行政の手に寄らず、雛祭り実行委員会など、住民主体の組織によって開催されているものが半数近くを占める。ひな祭りイベントは、手作り雛や小物の雛人形でも参加でき、店先や玄関先、住宅の外部空間での展示も可能である手軽さが、住民が参加しやすい点である。3)まちづくりとしてのひな祭りや屏風祭りは観光資源として有用で町の活性化に寄与していることは勿論であるが、日常的な居住の場である町家や町並みが、外部からの来訪者にとっては魅力的なものであること、同時に貴重な歴史遺産であることを地域住民自身に意識させる機会になっている点で評価できる。
著者
福間 良明 杉本 淑彦 山登 義明 上杉 和央 吉村 和真 山口 誠
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究では、戦後の大衆的なメディアに焦点を当てながら、大衆文化にあらわれる戦争体験の継承と断絶の変容について、考察してきた。具体的には、個々の大衆メディア(映画,テレビ,マンガ,戦跡・資料館)における「戦争体験」を比較対照し、そこにおける戦争理解やその社会背景について考察した。なお、そのうえでは、沖縄、広島、長崎、グアム(大宮島)など、戦場ごとの描写の相違にも注意を払った。
著者
山本 直彦 田中 麻里 牧 紀男
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

本研究は、インド洋大津波後のバンダアチェ市内外に建設された再定住地を対象とした。まず、全住戸への質問紙調査を行い、被災前の住宅所有状況などを把握した。次に範囲を絞って悉皆調査を行い、再定住地入居後の生活について聞き取りを行った。以上から生活再建を、①仕事の再建(仕事があること)、②コミュニティ形成が進むこと、③住宅に住み続けられることを視点として、市内と市外の再定住地を比較した。市外の再定住地入居者は、市内の再定住地入居者より、いずれの生活再建状態も厳しく、今後の定住・転出動向は、インフォーマルセクターの仕事へ従事か否か、仕事場へ通勤可能か否かで分かれる可能性があることを指摘した。
著者
横山 潤 福田 達哉
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究では、アーバスキュラー菌に依存する菌寄生植物を対象に、菌根菌との対応関係,栄養摂取様式に関連した菌根菌との対応関係の変化、および炭素源移動に関連する生理的機能を明らかにして、植物の従属栄養性の進化を総合的に解析することを目的とした。菌寄生植物とリンドウ科植物の菌根菌の分子同定を行なった結果、Glomus Group A系統に属する菌が菌根を形成していることが明らかになった。これらの菌類は周辺植物、特にハナヤスリ科植物から高頻度に検出された。菌寄生植物やリンドウ科植物から得られた菌根菌の炭水化物トランスポータ遺伝子には、栄養摂取様式と関連する変異は見つからなかったが、発現量が栄養摂取様式と関連している可能性が示唆された。
著者
佐藤 和夫 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 山田 綾 小玉 亮子 重松 克也
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

男女共同参画社会を形成するにあたって不可欠な課題と言うべき男性の社会化と暴力性の問題を、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国の研究と施策について、比較研究調査した上で、日本における男性の暴力予防のために必要な研究を行い、その可能性を学校教育から社会教育にまで広めて調査した。その上で、先進諸国における男性の暴力性の関する原理的問題を解明した。
著者
小田 清 小坂 直人 松田 光一 武市 靖 大西 有二 山田 定市 千葉 卓
出版者
北海学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

北海道・有珠山は平成12年3月31日、23年ぶりに噴火した。事前避難活動が徹底していため、人的被害は皆無であったが、道路や水道等のライフラインや住宅地、工場や病院等は大きな被害を受けた。また、地域経済の活動中心地であった洞爺湖温泉街は、「危険地域」という風評被害的なものもあって観光客が激減し、地域経済にとって大きな痛手となっている。その後、噴火活動は沈静化し、大部分の地域では平常さを取り戻しつつある。しかし、3年有余が経過した現在、復興に向けて、各種の公共事業が展開しつつあるが、新たなハザードマップの作成や土地利用計画、観光産業の不振による経済生活の不安定さと有効な手段の欠如、教育施設や福祉施設の移転等による不便さなど、新たな問題が山積している。本研究では、平成13年度に引き続き、(1)経済・産業の復興視点、(2)地域社会・生活・教育の復興視点、(3)復興に伴うインフラ整備と地方財政問題視点、(4)復興に伴う行政・法的諸問題の視点から、総合的な地域復興計画を探ることを目的とし、地域実態調査と補足調査を実施してきた。その結果、ほぼ、上記の4つの視点からの研究成果が得られた。すなわち、(1)の視点からは、現実に経済活動を行っている地域を「危険地域」として非居住地にすることの根強い地域住民からの反対と法的規制の困難さ、(2)医療・福祉・教育施設の移転に伴う諸問題と避難住民・生徒のケア問題の存在、(3)インフラ整備と財政負担問題、国庫補助の引き上げ問題、(4)災害復興に関する行政対応と義援金配分問題の存在などである。その結果、20〜30年周期で予想される再噴火に対応しての防災マニュアルづくりの難しさが浮き彫りになってきている。行政の防災対応と生活している地域住民との折り合いをどうつけるのか、地域経済の再興をどのように実現するのか、これらに関しては、さらに詳細な地域実態調査・研究が必要であると考えている。
著者
山本 政儀 星 正治 遠藤 暁 今中 哲二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

旧ソ連核実験場周辺住民の長期低線量率・低線量放射線被曝の健康・リスク評価を行うための基礎研究として、被曝を受けた周辺集落住民の出来るだけ正確な被曝線量を評価することを目的とした。この目的達成のために、最も大きな被害を被ったドロン村を中心に、南の集落、サルジャール村、カラウル村できめ細かな土壌サンプリングを行い、放射性雲の通過したセンター軸の位置,幅、さらに降下量を明らかにし,被曝線量を推定した。
著者
圓川 隆夫 鈴木 定省 フランク ビョーン
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は、現在多くの企業が目標としているCS(顧客満足度)について、世界ではじめて同一尺度による先進国、新興国からなる8つの国・地域での15の製品・サービスを対象としたCSを含むCS関連指標のデータベースを構築し、CS関連指標の国の文化、そして経済状況の影響と、CS関連指標間の因果メカニズムの違いを実証的に検証したものであり、グローバル化したマーケティングや品質設計に多くの示唆を与えるものである。