著者
加藤 光裕 米谷 民明 大川 祐司 菊川 芳夫 風間 洋一 奥田 拓也
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

加藤は、前年度までの研究を発展させ、massless高階スピンモードをもつ拡張された弦の場の理論を、Ramondセクターを持つ場合に拡げ、超対称性を一つ持つ場合の自由作用を構成した。米谷は、M理論の非摂動的定式化に向けてMatrix 理論の11次元時空共変性が明白な新しい定式化を提唱した。関連して南部力学のハミルトン・ヤコビ形式を提唱した。いずれも数十年来の未解決課題を前進させる成果である。風間は、N=4超対称ヤン・ミルズ理論のSU(2)セクターの3点関数に対して、モノドロミー関係式を用いることにより弱結合領域と強結合領域を同様の原理で扱う新しい方法を開発した。これにより強結合領域での解析性の理解を確立し、3点関数の完全な結果を得ることに成功した。大川は、Erler, 竹嵜氏との共同研究で、フェルミオンを記述する Ramond セクターを含み、A∞構造を持つ開いた超弦の場の理論の作用の構成に成功し、平成27年度に国友氏との共同研究で構成した作用と等価であることを示した。奥田は、2次元理論のdisorder型局所的演算子(vortex 演算子)の複数の定義と、0次元場と2次元場の結合による演算子の関係を発見し、それに基づいて演算子がなす環の基本関係式を導いた。菊川は、複素-有効作用をもつ格子模型の数値シミュレーション法について、フェルミオン行列式のゼロ点を境界にもつ複数のLefschetz thimbleの経路積分への寄与を有効的に取り組む手法の検証と開発に取り組んだ。
著者
水野 直樹 藤永 壮 宮本 正明 河 かおる 松田 利彦 LEE Sung Yup 庵逧 由香 洪 宗郁 金 慶南
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

日中戦争・アジア太平洋戦争期の植民地朝鮮の政治や社会・文化を理解するために必要な資料を国内外の図書館・文書館で調査・収集し、そのうち重要と認められる資料を選んでWEB上の資料集を作成した。これらのほとんどは、文書資料として残されているだけで、印刷されることがなかったため、一般市民のみならず研究者も閲覧・利用に不便をきたしていたものである。WEB上の資料集は、今後の歴史研究に利用でき、また広く歴史認識の共有にも役立つものとなっている。また植民地期とその直後に朝鮮に在住していた日本人の回想記・手記類についても、目次・著者略歴などのデータを整理してWEB上で提供することとした。
著者
成 元哲 牛島 佳代 松谷 満 阪口 祐介 永幡 幸司 守山 正樹 高木 竜輔 田中 美加
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

本研究の目的は、原発事故が福島県中通りに居住する親子の生活と健康にどのような影響を与えているのかを明らかにし、必要な支援策を検討することにある。そのために、参与観察、聞き取り調査、調査票調査を通じで、原発事故後、中通り9市町村に暮らす親子は急激な生活変化を経験しており、それに適応できない母親は精神健康の低下を経験しており、それが子どもの問題行動につながっていることを明らかにした。親子への支援策は、経済的負担感と補償をめぐる不公平感を軽減し、放射能への対処をめぐる認識のずれを軽減する。また、保養・避難を選択できる環境にし、福島での子育て不安、健康不安を軽減することが必要である。
著者
今村 展隆 小熊 信夫
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

我々は、ウクライナのすべての州から診断依頼を受けた過去6年間(1995〜2001年)に、5,483名の患者(成人2,199名、子供3,284名)を調査した。中でもチェルノブイリ原子力発電所の事故当時、7.5〜25cGyの放射能を浴びたチェルノブイリ除染作業者のうち、144名に血液学的疾患が認められた。我々はまた、モノクローナル抗体を用いた,形態、細胞化学,免疫細胞化学および免疫型質解析によって、90名の患者に血液学的悪性疾患を認めた。その内訳は、急性リンパ性白血病4名、B細胞型の慢性リンパ性白血病(B-CLL)16名、B細胞性リンパ腫2名、多発性骨髄腫12名、その他の非ホジキン悪性リンパ腫7名、Sezary症候群2名、願粒リンパ球性白血病6名、急性骨髄性白血病15名、慢性骨髄性白血病8名、真性赤血球増加症1名、本態性血小板血症3名、および骨髄異形成症候群9名であった。血液学的悪性腫瘍患者の平均年齢は57.1±1.3歳で、男女別では男性のほうが多かった(84名;93.3%)。悪性でない血液疾患が8名(再生不良性貧血、溶血性貧血、突発性血小板減少性紫斑病)に、また、骨髄の転移性癌が5名に認められた。造血機構の持続的障害(リンパ球増加症、好中球増加症、造血細胞の異形成変化)は、26名の患者で検出された。この患者グループについては、根本的な病因の性質を明らかにするため、最新の分子遺伝子解析法を用いてさらに詳しく調査する必要がある。6名の除染作業者については、明白な血液学的障害は認められなかった。血液学的悪性腫瘍の発生率は、血液以外の悪性腫瘍発生率および被爆しなかった患者の悪性腫瘍発生率と比較して高率である。我々の研究室で調査したチェルノブイリ除染作業者の集団では、造血組織およびリンパ系組織の主要な悪性疾患の形態をすべて登録し、その中では、慢性リンパ性白血病(19%)を含む慢性リンパ増殖性疾患が優位に多かった(57.4%)。慢性リンパ性白血病は、最近になるまで放射線に関連する白血病であるとは認識されていなかったため、この事実は特に重要である。こうした見解は原爆被爆者生存者の白血病発生率に関するデータに完全に基づいたものであった。一方、日本では古典的なB-CLLは珍しい形態の白血病であり、全白血病の5%に満たない。米国およびヨーロッパでは、B-CLLは成人で最も優勢な白血病形態のひとつである。除染作業者のうち16名のB-CLL患者に関する我々のデータと、Research Center of Radiation Medicineの血液診断所でB-CLL患者36名を観察したKlimenko教授のデータは、電離放射線への曝露はB-CLLのリスクを増加させないという一般に受け入れられた見解に疑問を投げているように考える。こうした一般的見解が優勢になると、除染作業者やウクライナおよびベラルーシの汚染地域に住む住民の間で、B-CLLの発生率が増加していることに関する疫学的データを無視する決定的要因になりかねないと考える。
著者
賞雅 寛而 石丸 隆 元田 慎一 波津久 達也 古谷 正裕
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

本基盤研究では、船舶及び海洋構造物を対象とした防食、特にSUS304ステンレス材料のすきま腐食の防止に必要な放射線誘起表面活性(RISA)のメカニズムの解明、すきま腐食に対する適切な皮膜の基礎開発及び、人工海水中のRISAの効果の確認を行い、以下の結果を得た。1)試験片に小型密封放射線源^<60>Coを密着させ、その裏面から照射されるγ線を利用した実験により、ステンレス鋼の不動態皮膜をより強固にすることで局部腐食の発生を抑制し、RISA防食法が放射線照射施設外においても応用できることがわかった。2)放射化試験片自らが発するγ線を利用した実験により、中・強放射化試験片では安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることがわかった。3)腐食電位の卑化は密封放射線源の有無に対応しており、微弱放射線環境においてもRISA効果によりすきま腐食の抑制効果が得られる。4)SUS304鋼の腐食電位をカソード防食電位まで卑化させずとも、不動態皮膜を保持し、すきま腐食を防止することを確認した。5)放射化試験片自らが発する放射線を利用した実験により、66μGy/h以上の照射積算線量で安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることを確認した。6)試験片の照射積算線量を変化させた場合、その積算線量の増加により防食効果が増大することを確認した。これまで防食亜鉛や防食塗料などの鉄鋼構造物腐食防止法の多くはいずれも海外先進国によって開発されており、船舶・海洋構造物の腐食制御技術は国外技術に依存しているが、この新しい船舶・海洋構造物の腐食制御方法は、エネルギー環境技術として、我が国の技術水準を向上させ世界に貢献する重要な手段になると期待される。
著者
北本 朝展 西村 陽子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本年度はデジタル史料批判について、以下の3つの視点から研究を進めた。(1) デジタル史料批判の基盤構築:デジタル史料批判プラットフォーム(Digital Criticism Platform)の構築に向けて、2つの点からシステムに改良を加えた。第一に、写真と景観をマッチングする「メモリーグラフ」モバイルアプリについては、アプリを再設計して機能を大幅に向上させたバージョンをリリースするとともに、データ管理のための認証機能にGoogle Firebaseを導入した。第二に、データ蓄積を担うリポジトリに関しては、基盤となるソフトウェアDSpaceにも同じくGoogle Firebaseを認証機能として導入することで、モバイルアプリとの通信に同一の認証機能が利用できるようにした。そして、デジタル史料批判の理論的な枠組みについても、1件の招待論文にまとめて発表した。(2) デジタル史料批判の実践:シルクロード探検隊の中でも特にドイツ隊と英国隊が調査した史料に焦点を合わせ、シルクロード地域の遺跡照合に関する研究を進めた。そしてその成果を、1件の招待論文および1件の国際会議にまとめて発表した。(3) デジタル史料批判の拡大:提案する方法論の有効性を検証しより一般化するためには、様々なデータを対象に方法論の有効性と限界を検証しなければならない。そこで今年度は、華北交通写真のアーカイブを対象にデータの基礎的な整備を行った。華北交通とは第二次大戦前後に華北地方で交通事業を展開した企業であるが、この企業が残した数万枚の古写真を鉄道路線図と対応付けて解釈するという時空間的な写真の解釈に取り組み、その成果を華北交通写真に関するミュージアム展覧会に出展した。以上、デジタル史料批判プラットフォームというインフラストラクチャーの整備と、その上に今後の載せていく研究データの整備という、2つの側面から研究を並行して推進した。
著者
小池 健一 上松 一永 上條 岳彦 蓑手 悟一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

小児がんの発症率、原発部位、病理組織像、転移などの臨床所見に関する調査を行い、チェルノブイリ原発事故後に発症した小児がんの生物学的特性を明らかにするため、本研究を行った。1989年から2004年までに238名の小児の骨腫瘍患者が発生した。男児113名、女児125名(男女比1:1.1)であった。年代別発生数をみると、甲状腺がんのような明らかな増加傾向はみられなかった。ベラルーシ共和国の中で、ゴメリ州、モギリョフ州、ブレスト州を汚染州、ミンスク州、グロズヌイ州、ビテフスク州を非汚染州とし、骨腫瘍の臨床所見を比較した。汚染州における男女比は1:1.1で、非汚染州は1:1.57であり、有意差はみられなかった。次に発症年齢を比較した。9歳以下の小児の比率は汚染州では、102例中34例(33.3%)であったのに対して、非汚染州では、136例中29例(21.3%)であり、汚染州において有意に年少児の割合が高かった(p=0.0377)。骨腫瘍の種類は、両群とも骨肉腫とユーイング肉腫が80%以上を占めた。TNM分類で腫瘍の進展度を比較した。両群ともほとんどの例は隣接臓器に浸潤していた。遠隔転移のみられた例は、汚染州では22.5%で、非汚染州では26.5%と同等であった。11例の骨腫瘍内の^<90>Srを液体シンチレーションカウンターを用いて測定したところ、陰性コントロールに比べ、5例が高値を示した。以前の調査で、ゴメリ州立病院に入院した小児の急性リンパ性白血病患児の臨床的特徴として、ビテフスク州立病院に入院した対照患者に比べ、2歳以下の幼若児の比率が高いこと、LDHが500IU/L以上を示す患者の頻度が高いことが明らかとなった。小児期、特に2歳くらいまでの白血病発症は胎児期に始まることが報告されていること、ゴメリ州での放射能被曝は胎児期から始まる低線量の長期間にわたる体内被曝様式をとっていることから、幼若発症例が多い要因として、出生前からの母体内被曝が重要な因子となっている可能性が考えられた。今回の骨腫瘍の調査結果でも白血病と同様な傾向を示したことは注目に値する。現在、がん抑制遺伝子などの遺伝子解析を行っている。
著者
樋口 雄彦 宮地 正人 熊澤 恵里子 遠藤 潤 樋口 雄彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

1.平田篤胤関係資料の整理・目録作成これまで総合的な調査がなされたことがない平田篤胤関係資料(東京都渋谷区代々木・平田神社に伝来し、本研究期間中に一部を除き国立歴史民俗博物館に譲渡された)について、すべてを調査・整理し、目録を完成させた。2.重要史料の翻刻・刊行平田篤胤関係資料のうち、今後の研究において基礎的史料として位置づけられる日記(文化13年〜明治4年)や明治初年の両親宛延胤書簡などについて翻刻作業を行い、それを『国立歴史民俗博物館研究報告』第122集、第128集に掲載した。また、日記に次ぐ重要度を持つ金銭出納簿についても翻刻・刊行準備を進めた。3.国立歴史民俗博物館での資料公開国立歴史民俗博物館では、特別企画「明治維新と平田国学」(平成16年)やフォーラムを開催し、展示・図録・講演会といった形で一般への普及・啓蒙をはかるとともに、同館所蔵に帰した資料のマイクロ撮影を進め、研究者に対する閲覧利用に供することとした。4.周辺資料の調査長野県・岐阜県・秋田県・千葉県など、主要な平田門人が存在した地域を調査し、門人側に残された関係資料の所在情報について収集を行った。また、国立歴史民俗博物館に寄託された幕臣出身の国学者・神道家秋山光條関係資料の調査・整理も実施した。
著者
本田 由紀 濱中 義隆 中村 高康 小山 治 上西 充子 二宮 祐 香川 めい 小澤 昌之 堤 孝晃 河野 志穂 豊永 耕平 河原 秀行 西舘 洋介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

本研究は、人文社会科学系大学教育の分野別の職業的レリバンスを把握することを目的とし、①大学3年時点から卒業後2年目までのパネル調査、②25~34歳の社会人を対象とする質問紙調査、③大学生・卒業生・大学教員を対象とするインタビュー調査を実施した。その結果、主に以下の知見が得られた。(1)人文社会科学系の大学教育の内容・方法には分野別に違いが大きく、教育の双方向性・職業との関連性の双方について教育学・社会学は相対的に水準が高いが、経済学・法学等の社会科学は前者の、哲学・歴史学等の人文科学は後者の、それぞれ水準が相対的に低い。(2)大学教育の内容・方法は卒業後の職業スキルに影響を及ぼしている。
著者
大場 裕一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18 (Released:2013-05-15)

ホタルルシフェリンが、1分子のハイドロキノン(またはベンゾキノン)と2分子のL-システインから生合成されること実験により初めて明らかにした。また、毒性のあるハイドロキノンはそのままの形ではホタル体内には存在せず、そのかわりグルコースが付加したアルブチンの存在が認められた。このことはホタルが体内でハイドロキノンとシステインからルシフェリンを生合成していることを示している。
著者
護山 真也 小野 基 稲見 正浩 師 茂樹
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

インド仏教論理学研究と東アジア仏教論理学(因明学)の最新の成果を統合しながら,仏教論理学研究の新しい方法論の構築を目指す本研究では,昨年度に続き,合同研究会を中心として,以下の実績を達成した。1. 8月29-30日に信州大学で開催された第3回因明科研研究会には,中国・台湾における因明学研究の第一人者である林鎮圀(Lin Chen-kuo,国立政治大学),湯銘鈞(Tang Mingjun,復旦大学)の両名を招待し,『如実論』英訳研究,『正理門論』漢文校訂研究の最新の成果が示された。また,室屋安孝氏から『正理門論』の日本古写経に関する研究報告を受けた。また,小野・師(分担研究者)が中心となり,『集量論注』他からの『正理門論』「過類」段の梵語原典の復元作業と翻訳研究,沙門宗の注釈に基づく解読研究を実施し,「無異相似」までの検討を終えた。2. 3月23日に稲見(分担研究者)の運営により,東京学芸大学で開催された第4回因明科研研究会では,ウィーン大学にて室屋安孝・渡辺俊和両氏と研究打ち合わせを行った小野が中心となり,『正理門論』「過類」段の科段についての新解釈が提示された。また,師から沙門宗の注釈文献から回収される定賓の科段についての報告がなされ,合わせて,「可得相似」まで解読研究が進められた。この研究会には,程氏をはじめ複数の中国人研究者の参加があり,研究会の活性化が進んだ。3. 上記とは別に,各研究者は個別に因明学関連の研究を進め,その成果を日本印度学仏教学会(9月3-4日,東京大学)・国際シンポジウム(12月10-11日,復旦大学)などで発表した。4. 護山は,『因明入正理論疏』における四相違の箇所に関する解読研究の成果を論文として公刊した。また,稲見は,仏教論理学における論証式の形式の歴史的変遷について,インド・中国・日本の文献を解読しながら,再検討した。
著者
加藤 良平 近藤 哲夫 中澤 匡男 大石 直輝
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

20歳以下の若年甲状腺乳頭癌 (P-PTC) 81例と21歳以上の成人甲状腺乳頭癌 (A-PTC) 83例について、臨床病理学的に比較検討するとともに、BRAFV600E突然変異とTERT promoter突然変異を解析した。その結果、P-PTCはA-PTCよりも、腫瘍径が大きく、リンパ節転移率が高いことがわかった。一方、BRAFV600E突然変異率は、P-PTCは37%で、A-PTCの82%よりも低く、TERT promoter突然変異はA-PTCでは13%が陽性を示したが、P-PTCでは全例陰性となった。以上より、若年甲状腺癌はその臨床像とともに遺伝子背景も成人とは異なることが示唆された。
著者
岡田 克彦 羽室 行信 加藤 直樹
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

本研究では、ニュースデータ、ブログデータ、SNSなどのソーシャルデータを大規模に収集し、それらがどの銘柄について語っているものなのかを自然言語処理の諸技術を用いてデータベース化した。この結果、全上場企業約3600社それぞれについて、ニュースおよびソーシャルメディアの情報を紐付けていることになる。次に、市場に流れるコメントやニュースについて、ポジティブな文脈で語られているのか、あるいはネガティブなのかについて、評価表現辞書を作成することでスコアリングした。こうして作成した指標をセンチメント指数として時系列で捉え、金融市場における様々なアノマリー現象と、センチメント指数との関連性を明らかにした。
著者
清田 勝 井上 伸一 山田 雅彦
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

本研究では子供達が自動車とすれ違ったり追い越されたりするときに、どの程度危険を感じるかを行動学的および生理学的に評価する手法の開発を試みた。その結果、自動車とすれ違う歩行者の危険回避行動調査と心拍実験から、30km/hの制限速度は歩行者にとって安全ではなく、20km/h程度に抑制する必要があることが明らかになった。この結果を踏まえて、通過交通の削減と走行速度の抑制を目的とした二つの安全対策を検討した。一つは対象地区(佐賀市日新・新栄地区)のほとんどの道路に20km/h速度規制を掛けるとともに、速度抑制デバイスの一種である高さ8cmのハンプを設置する対策である。二つ目は、対象地区への4箇所の流入部に通学時間帯(7:00-8:30)に限って指定方向外進行禁止(進入規制)を掛ける対策である。前者は主に車の走行速度を低減させるための対策であり、後者は通過交通を排除するための対策である。これらの安全対策がどの程度対象地区の交通環境の改善に有効であるかを検証するために社会実験を実施した。その結果、高さ8cmのハンプは車の走行速度を6.5〜20km/h減速させる効果があることが分った。特に、高速の車を排除するのに有効である。しかしながら、通過交通の排除にはほとんど機能しなかった。また、指定方向外進行禁止が掛かった流入部では流入交通量が激減し、対象道路の交通環境は改善されたが、他の道路では迂回した自動車の増加によってかえって環境が悪化する事態を招いた。指定方向外進行禁止は部分的には通過交通の進入を抑えることが可能であるが、経路を変更して進入して来る車を防止することはできないことが明らかになった。児童はもちろんのこと、地区住民や保護者もハンプの継続を強く要望していたにもかかわらず、騒音や振動の被害に悩まされている沿道住民の強い反対で22基のハンプのうち14基が撤去された。騒音や振動の問題を解決しない限り、本格実施に結びつけるのは難しい。騒音・振動が発生しにくいハンプの開発や狭さくなどの他の速度抑制デバイスとの組み合わせを検討する必要がある。
著者
安冨 歩 若林 正丈 金 早雪 松重 充浩 深尾 葉子 長崎 暢子 長崎 暢子 福井 康太 若林 正丈 金 早雪 鄭 雅英 三谷 博 北田 暁大 深尾 葉子 久末 亮一 本條 晴一郎 與那覇 潤 千葉 泉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

「魂」という学問で取り扱うことを忌避されてきた概念に、正当な地位を与えることができた。それは人間の創発を支える暗黙の次元に属する身体の作動であり、本来的に解明しえぬ(する必要のない) ものである。学問はそれを喜びをもって受け入れ、尊重し、その作動を抑圧するものを解明し、除去する役割を果たせばよい。そのような学問は、抽象的空間で展開する論理や実証ではなく、「私」自身を含む具体的な歴史的時空のなかで展開される合理的思考である。このような生きるための思考を通じた「私」の成長のみが、学問的客観性を保証する。この観点に立つことで我々は、日本とその周辺諸国におけるポスト・コロニアル状況の打破のためには、人々の魂の叫び声に耳を傾け、それを苦しませている「悪魔」を如何に打破するか、という方向で考えるべきであることを理解した。謝罪も反論も、魂に響くものでなければ、意味がなく、逆に魂に響くものであれば、戦争と直接の関係がなくても構わない。たとえば四川大地震において日本の救助隊が「老百姓」の母子の遺体に捧げた黙祷や、「なでしこジャパン」がブーイングを繰り返す観衆に対して掲げた「ARIGATO 謝謝 CHINA」という横断幕などが、その例である。我々の協力者の大野のり子氏は、山西省の三光作戦の村に三年にわたって住み込み、老人のお葬式用の写真を撮ってあげる代わりに、当時の話の聞き取りをさせてもらうという活動を行い、それをまとめて『記憶にであう--中国黄土高原 紅棗(なつめ) がみのる村から』(未来社) という書物を出版したが、このような研究こそが、真に意味のある歴史学であるということになる。
著者
関沢 まゆみ 新谷 尚紀 関沢 まゆみ 新谷 尚紀 トーマス Pギル
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

フランスではA. V.ジェネップの『フランス民俗学』(1949)に記述のある「五月の木」や「五月の女王」等の伝統行事の現在の伝承実態を追跡する調査を継続し、伝承が途絶えた例と維持されている例とが確認された。伝承維持の事例がプロヴァンス地方をはじめ計4カ所で確認され、その存否の背景に一定のリーダー的人物の関与が考察された。また伝承維持の力学の中に民俗信仰と聖人信仰との習合が認められた。一方、イギリス南西部においては現在も盛んに五月の木馬祭が行われており、観光化の促進という聖俗混淆の動態が英仏間で対比的にとらえられた。
著者
細江 達郎 青木 慎一郎 細越 久美子 糸田 尚史 小野 澤章子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

青森県下北半島出身者(昭和39年中卒者)の職業的社会化過程に関する追跡調査の一環として、現住地面接調査(有効面接数47)・質問紙調査(有効回答数125)を実施した。その結果、老年期移行期は都市周辺地域居住型と出身地域回帰型に分けられ、後者は対象者の50歳台時点での予測(40%以上)とは異なり少数であった。前者は、都市周辺地域社会内で生活基盤を形成してきたものが多く、再適応が比較的安定している一方で、都市不安定就労を継続し出身地域とも交流に欠ける者も少なくない
著者
上原 真人 吉井 秀夫 森下 章司 阪口 英毅
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

本研究は、古墳とその副葬品の検討を通して、古墳時代前期における対外交渉の具体的な様相とその歴史的意義を明らかにすることを目的とした。具体的には、中国や朝鮮半島と関係が深い副葬品が発掘され、古墳時代前期を代表する前方後円墳として知られている、大阪府茨木市所在の紫金山古墳を主たる研究対象としてとりあげることにした。まず、紫金山古墳の墳丘規模と構造を明らかにするために、墳丘の測量調査と発掘調査をおこなった。その結果、墳丘の全長は約110mであり、前方部と後円部はそれぞれ2つの平坦面と3つの斜面からなり、斜面には葺石が葺かれていたことが明らかになった。また、出土した埴輪の検討によって、紫金山古墳の築造時期が古墳時代前期中葉でも新しい段階に当たると推定することができた。さらに、北側くびれ部から出土した翼形の鰭がつく円筒埴輪は、大阪府松岳山古墳で出土した鰭付楕円筒埴輪と形状が類似しており、古墳時代前期における地域間関係を明らかにするための新たな手がかりを提供した。次に、1947年に発掘調査された、後円部竪穴式石槨から出土した遺物の整理作業をおこなった。まず、全ての遺物の実測と写真撮影をおこない、出土遺物の全容を明らかにした。次に、出土鉄製品に付着した有機物の材質、竪穴式石槨内の赤色顔料の成分、出土石製品石材の産地について、自然科学的な分析・検討をおこなった。さらに、鉄鎌・甲冑・又鍬・銅鏡・筒形銅器・腕輪形石製品・貝輪についての考察を進め、当時の対外交渉や地域間関係の様相を明らかにするための新たな知見をえた。本研究により、紫金山古墳が、古墳時代前期の対外交渉を考古学的に研究する上で重要な古墳であることを明らかにすることができた。今回の研究成果は、日本の古墳時代研究のみならず、同時代の東アジア世界各地における考古学的研究に、少なからず寄与することができるであろう。
著者
森岡 清志 安河内 恵子 江上 渉 金子 勇 浅川 達人 久保田 滋
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

1.本研究の目的は,年賀状をデータベースとして事例調査を実施し,拡大パーソナルネットワーク(親しい人びとだけでなく知人とのネットワークを含むもの)を捉えること,また標本調査を実施し,親しい人びとのみに限定されたネットワークの内部構造を捉えることの二つである。平成11年度〜平成12年度にかけて事例調査と標本調査を実施し,その成果を報告書にまとめている。2.事例調査は,3地点でそれぞれ異なる研究課題のもとに実施された。三鷹市では,コミュニティ・センター運営委員を対象者として,地域社会への関与の様相と拡大パーソナルネットワークとの連関を捉えることに,福岡市では,中央区と西区の高齢者を対象者としてライフコースに伴う拡大パーソナルネットワークの変容過程を捉えることに課題がおかれ,かなりの達成をみた。徳島市では住民運動のリーダーを対象者として署名集めの資源としてのネットワークの動員過程を明らかにすることとし,多くの興味深い知見をえることができた。3.平成11年度に実施したプリテストの結果から,回答者の挙げる親しい人5名の相互関係を問う質問項目において,個別面接調査と郵送調査とで,回答の精度に差がみられないことが明らかとなった。そこで平成12年度は,東京都市区全域から8市区をランダムに抽出し,対象者総計2000名に対する郵送調査を実施した。8市区は,文京区・品川区・大田区・世田谷区・八王子市・青梅市・東村山市・多摩市であり,各市区の人口比にしたがって2000名を配分した。有効回収票は656票(回収率33.2%)であった。データクリーング後,集計解析を実施し,ネットワーク構造を規定する要因群の析出,地位達成とネットワーク構造との関連などをテーマとして報告書を作成した。報告書のI部はこの成果が,II部は事例調査の成果が載せられている。