著者
吉村 寿人
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.602-640, 1976-03

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
小郷 克敏 井本 岳秋 野見山 俊一 澤田 芳男
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.73-80, 1978-06

運動性タンパク尿の発生要因を追究するため,大学陸上競技部に所属する,19歳から21歳までの4名の選手の10マイルロードレース前後における尿中諸物質の排出変動ならびに尿中タンパクの組成を酵素(LAPおよびγ_-GTP)活性の変動としてとらえ,つぎのような結論を得た。1)運動中および回復初期では尿中Creat,尿酸,尿素窒素の排出は減少し,この時期で腎のクリアランスの低下がみられる。ゴール後60分以上経過するとこれらの物質の排出は走前レベルに回復している。2)尿pH値は走直後尿から上昇し走後30〜60分尿では全員pH7を越えpH8以下のアルカリ性を呈し,老後の90〜120分尿以後でようやく走前レベルに回復している。3)上記1)に示した各物質の排出の減少している時期でタンパクは非常に多量排出され,60〜90分尿以後では漸減するが走前レベルよりはるかに高い排出量を示している。4)尿中タンパクのA/G比は安静時では低いが,回復初期では1以上の高値を示し,回復後期では低下している。5)LAPおよびγ_-GTP活性もタンパク排出の多い時期で高活性を示し,回復時間が進むにつれ漸減している。LAPは走後120〜150分尿では,走前レベルに近くなっているが,γ_-GTPはかなり高活性のまま推移し,運動性尿タンパクに組成の違いがあらわれている。6)運動性尿タンパクには腎の透過性増大による血漿成分の漏出による部分だけではなく,腎組織由来のものも存在するようである。
著者
伊藤 一秀 八木 久晴 山口 一 西川 和男 林 徹夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.134, pp.21-29, 2008-05-05
被引用文献数
2

本研究は、気中に放出された負イオンならびに正イオンの移流・拡散性状、固体壁面に対する沈着現象、正負イオンの再結合現象等の物理化学現象に着目し、その工学的モデリングと支配パラメータの推定を行うと共に、実空間に適用可能なイオン濃度分布の予測法を開発することに主眼がある。本報(第1報)ではCFDをベースとしたイオン濃度予測モデルの概要を示すと共に、特に、イオンの不均一密度分布に起因する体積力の程度、壁面沈着モデル、再結合モデルといった各モデルの適用が負イオンの濃度分布予測結果に与える影響に関して、2次元居室モデルを対象として検討した結果を報告する。
著者
奥山 治美 市川 祐子 藤井 陽一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

炎症性疾患はアレルギー症、多種の癌の他、多くの難治性疾患を含み、わが国では過去半世紀の間に発症率が著増している。これらの発症、病態の進展に持続性炎症が重要な因子となっている。本研究では、摂取油脂のリノール酸(n-6)系/α-リノレン酸(n-3)系の比を下げることによって脂質性炎症メディエーターの産生を抑え、これら炎症性疾患が予防できる可能性を基礎的、臨床的に評価した。【アレルギー過敏症の体質改善】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油が、この比の高い紅花油に比べ脂質性炎症メディエーター産生を低下させることを明らかにした。臨床的にはアトピー性患者(76名)を対象に、n-6/n-3比を低くする食物を推奨した。2年追跡時で皮膚炎症状が著しく改善し、血清脂質のn-6/n-3比の低下に伴う好酸球の減少が認められた。約半数が3年まで受診したが喘息併発者が多く、n-6/n-3比と好酸球数が元に戻る傾向が認められたが、皮膚炎症状は改善したままであった(共同研究)。【腫瘍再発予防】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油がこの比の高い紅花油に比べ、大腸癌、乳癌、腎臓癌などの化学発癌を抑えること、腹水肝癌の肺転移を抑えることを明らかにしていた。UVB照射で誘発した皮膚癌に対し、紫蘇油は良く抑えたが魚油は紅花油と同様、抑制効果を示さなかった。魚油と紫蘇油の差は、炎症性メディエーター産生能の差では説明できずまた皮脂量でも説明できなかった。臨床的に大腸腫瘍再発予防介入試験を継続中である。ポリープ切除者の中で癌になっていない人を対象に、総脂質摂取を減らす対照群と総脂質の摂取低下とともにn-6/n-3の低下を勧める介入群につき、ポリープの再発率を評価した。各群約20名の中間段階(2年時)では、対照群の再発率が40%、介入群が8%であったが、この段階では結論的ではなかった。より多くの人数について観察する必要があるが、介入による有害作用は認められなかった(共同研究継続中)。
著者
根井 仁三郎
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.852-860, 1971-10-25

The effects of several physiological conditions on the phenol-oxidizing activity of a strain of Rhodotorula glutinis var. glutinis were studied.1. The maximum rate of phenol oxidation was shown in cells precultured on glucose with vigorous aeration, starved and induced by phenol.2. Of the carbon sources tested in the preculture medium, glucose and xylose resulted in high yields of cells and a high rate of phenol oxidation. The strain was capable of utilizing nitrate. Among the nitrogen sources surveyed in the medium, ammonium nitrate permitted a high rate of phenol oxidation. 3. Starvation for 12 hr was required for the development of a maximal rate of phenol decomposition. The presence of organic nitrogen enhanced the potential for induction, suggesting the repression of induction of phenol oxidation by sugars.4. The optimal pH for induction and phenol oxidation of the pretreated yeast cells was 5.5 and the optimal temperature was 34℃. The development of phenol-oxidizing activity was suppressed at temperatures below 25℃ and at pH levels above 8.5. With a decrease in the concentration of phenol in the induction medium, an increase in the rate of induction of phenol oxidation was observed. The maximal rate of phenol oxidation of the cells was obtained when 500 mg/l of phenol was added to the oxidation medium. The maximum rate of initial oxidation of phenol was observed at a concentration of 200 mg/l.6. The effect of several reagents on phenol oxidation by yeast was investigated. Sodium azide, cyanide, and formaldehyde, at a concentration of 2 mM, exerted 50 % inhibition. Of the chelating agents, o-phenanthroline and 8-hydroxyquinoline, at a concentration of 10 mM, inhibited oxidation of phenol by 72% and 40%, respectively.7. Rapid oxidation of phenol by induced cells was carried out in a jar fermenter. The cells decomposed phenol at concentrations of 2,000 mg/l and 3,000 mg/l in 5.5 hr and 16 hr, respectively. These results suggest a good possibility for the application of the yeast to the treatment of phenol in industrial waste..
著者
前田 英三 三宅 博
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.340-351, 1996-06-05
被引用文献数
1

イネの反足細胞は, 卵細胞から離れ珠心側壁に接して存在する. 多くの裂片をもつ巨大な異常核, 粗面小胞体, 細胞壁内向突起などが, 開花直後のイネ反足細胞内に観察された. 細胞核の裂片は核質の小さな架橋により連結しており, プラスチドやミトコンドリアや粗面小胞体を含む細胞質の一部を取り囲んでいる. 珠心細胞と接する反足細胞の細胞壁には, よく発達した内向突起が見られる. 粗面小胞体の先端が細胞壁内向突起と融合している場合も観察される. 反足細胞付近の珠心細胞は, すでに退化しはじめている. これらの細胞構造及びリボゾームを表面に伴った小胞の行動などから, 珠心細胞から胚嚢内中心細胞へのアポプラスチックな物質輸送に関する反足細胞の役割につき考察した. また, 胚嚢内の物質の移動経路についても, 簡単に述べた.
著者
松阪 崇久
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.90-106, 2018 (Released:2018-12-27)

動物ショーやテレビ番組に出演するチンパンジー・パンくんの映像作品を用いて、パンくんの感情表出についての分析を行った。映像作品でのパンくんは、着衣で二足歩行を行うことが多く、自然なチンパンジーの姿とは大きく異なっていた。テレビ番組用の映像と動物ショーの本番の映像では、それ以外の動物園などでの映像と比べて、チンパンジー本来の姿とのズレが大きく、感情表出に関しては、ポジティブな笑顔や笑いの表出よりも、恐怖・不安・不満といったネガティブな表出が多い傾向があった。とくにテレビ番組では、パンくんに試練を課し、不安やストレスを与えるシーンもしばしば見られた。このようなパンくん自身の感情表出以外に、テロップ、ナレーションや、チンパンジーの音声の追加によって、パンくんの感情を演出または改変する場面もあった。以上の結果を元に、ショーやテレビにチンパンジーが出演することの問題点について議論した。また、動物の福祉を考える上で、笑いや遊びに注目する意義について考察した。
著者
山崎 秀人
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.391-395, 2012-11-05 (Released:2017-06-23)
参考文献数
6

はやぶさプロジェクトは宇宙航空研究開発機構(以下:JAXA)の探査プロジェクトであり,2010年6月13日,はやぶさのカプセルは,豪州南オーストラリア州ウーメラ管理区域(Woomera Prohibited Area:WPA)へ成功裏に帰還した.その後,6月17日,豪州空軍のウーメラ空港から母国である日本へ7年ぶりに帰国を果たした.日本から打上げ,外国へカプセルを着陸させ,回収し,母国へ持ち帰ったプロジェクトは世界初であり,一連の作業には現行の諸制度と調和した上での交渉を要求された.特に豪州は,はやぶさ打上げ後にカプセル帰還に関する国内法を整備した一方,サンプルリターンプロジェクトを初めて体験する我が国は,(当然であるが)現行の法令や諸制度がこのようなプロジェクトを想定していないため,調整に時間を要した.本稿では,はやぶさでの経験をまとめて解説するものである.

1091 0 0 0 OA クマ外傷の4例

著者
加藤 雅康 林 克彦 前田 雅人 安藤 健一 菅 啓治 今井 努 白子 隆志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.229-235, 2011-05-15 (Released:2011-07-23)
参考文献数
15

近年,クマの目撃件数が増加しており,クマが生息する山間部付近の病院ではクマ外傷を診察する機会が増加することが予想される。当院で過去2年間に経験したクマ外傷の4例を報告し,初期治療での注意点について考察する。クマ外傷は頭部顔面領域に多く,顔面軟部組織損傷の治療にあたっては,眼球,鼻涙管,耳下腺管や顔面神経などの損傷を確認し,損傷の部位や程度に応じてそれぞれの専門科と共同で治療を行うことが必要となる。また,細菌感染や破傷風の予防が必要である。当院で経験した4例と文献報告でも,創部の十分な洗浄と抗菌薬治療,破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリンの投与により重篤な感染を生じることはなかった。しかし,頭部顔面の創部と比較して四肢の創部は治癒に時間がかかった。クマ外傷の診療にあたっては,顔面軟部組織損傷と感染症予防に対する知識が重要と考えられた。