著者
大倉 力 朴 善姫 西岡 輝美 入江 正和
出版者
一般社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.492-500, 2009-08-01
被引用文献数
6 2

The performance of a near-infrared (NIR) spectrometer that evaluates fatty acid composition in samples depends on the NIR spectroscopic features of the samples. When you develop a NIR instrument, you have to be aware how the NIR spectra of the samples behave. In some cases, you don't need a high SN ratio or high stability. In other cases, no matter how stable the system is, you can't get meaningful data. It is wasteful to develop a highly stable instrument in this case. You should research the NIR characteristics of the samples before starting designing to avoid waste and to get a proper design. We examined the pork fat spectra before starting designing and were able to get satisfactory result. The process and aspects of measuring fatty acid composition by NIR spectroscopy are described.
著者
藤田 弘夫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.199-221, 2005-03

特集都市・公共・身体の歴史社会学-都市社会学誕生100年記念-B編 身体と公共の歴史社会学論文第一節. 人間の夢と科学・技術第二節. 人類の発展と地球環境第三節. 人類の進歩と社会の進化第四節. 生命への挑戦と豊かな生活第五節. 科学・技術と未来の神話While man realized the dream, he found out (lack) continuously and made a new dream. Man's dream is restricted and spreads that there is nothing. Man's greatest dream is release from the "death" which cannot be escaped as long as man is a living thing. Therefore, religion is securing a life in the next world, and established mighty power among people. However, man is going to live a present life the comfortable thing. And man has developed science and technology. Science and technology changed to God and have realized people's dream. However, development of science or technology does not have the use most important for anyone. The merits and demerits of science or technology are complicated. Man has realized various desires by picturing a dream to oneself. People's dream not only leads parents, a friend, and books, but now, it is transmitted through electronic media, such as television, a telephone, and a personal computer. The business by realization of a dream is acting [ man-like ] as man. Man can see various dreams also from not only the encounter with other human beings but one copy of mail, or one-sheet public lottery. Now, in the rich country, the birthrate is falling rapidly. Is this world such the pleasant world that it is difficult to induce for it and a child whether it is the world which does not deserve living? On the other hand, the poor country shows the high birthrate, it is going to tell man's importance-or is the child born in order to escape poverty? In advanced nations, while injuring health by overweight by delicious food, eating disorders, such as anorexia, have spread. However, in the developing country, health is injured by a poor meal and too much labor.
著者
今井 佐恵子
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.17-24, 2002-03-15

戦後わが国では食生活の欧米化が進んできた。しかし, 高エネルギー, 高脂肪の食生活は生活習慣病を引き起こし健康長寿に結びつかないことが明らかとなり, 食の欧米化に歯止めをかける必要に迫られている。この論文では明治時代に生活様式の洋風化の風潮のなか副食を充実させた日本食を陸軍の兵食基準に定めた森鴎外と, 衣食住すべてにおいて欧米化を推進すべしと主張した福澤諭吉の食生活論を比較検討した。森鴎外は食糧を自給することの重要性を訴えたが, 福澤諭吉は米をはじめとする食糧も外国から輸入すればよいとした。しかしながら, 2人に共通していたのは誰もが新しい情報を得ることができ, 実験により証明することのできる西洋科学を日本に導入することであった。

2 0 0 0 OA 日本の木船

著者
立川春重 著
出版者
フタバ書院成光館
巻号頁・発行日
1944
著者
河村 貴弘 土肥 浩 石塚 満
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1296-1304, 1995-10-20
被引用文献数
5

魚のモデリングには, NURBS(Non-Uniform Rational B-Spline)を用いている.このことによって, 魚の形状データは簡素化され, タラのような紡錘型の魚であれば, 8×4程度の制御点で滑らかな魚の形状(片面)が生成される.魚のひねりは, NURBSの制御点をグループ化した制御点群を固有の数学関数で動かすことにより実現しており, 体長が変化しないように逆運動学の考え方を適用している.ひねりは自然ひねり, 左ひねり, 右ひねりの3種類を基本とし, ひねりの振幅やピッチはパラメータで調節できる.魚のグローバルな動きは, 直進, 左ターン, 右ターンの3種類を基本とし, ひねりと同期させることで自在な魚の動きを実時間で表示できるようになっている.また, 乱数を利用したメンタルモデルに基づいて, 魚の自律性を実現している.群れに関しては, 魚特有の側線器官を考慮し, 近接した魚どうしが速度と間隔を調整するという規則に基づいてシミュレートしている.
著者
成田 爽子 牧野 美里
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100262-48100262, 2013

【はじめに、目的】厚生労働省の平成22 年の国民生活基礎調査によると、12 歳以上の者(入院者は除く)について、日常生活での悩みやストレスの有無別構成割合をみると「ある」46.5%となっている。運動とストレスの関係について論文検索をしたところ、運動によりストレス軽減効果が得られるとしている文献が多数みられた。その評価指標として、主観的指標を用いているものが多く、客観的指標を用いているものは比較的少なかった。そこで、今回の研究では運動によりストレスの改善ができるかどうかを客観的に評価することを目的とした。【方法】健常男子学生16 名(年齢:21.5 ± 2.27 歳、身長:175.13 ± 3.93cm、体重:68.69 ± 9.41kg) を対象とした。主観的指標として日本語版Profile of Mood States短縮版(以下POMS短縮版)、客観的指標として心拍変動周波数成分(LF/HF:交感神経活動指標、HF:副交感神経活動指標)の2 分間の平均と唾液アミラーゼ活性を用いた。対象者はPOLAR社製スポーツ心拍計RS800<sub>CX</sub>(以下:心拍計)を装着し、安静閉眼座位にて10 分間の休憩を取った。自転車エルゴメーターにて20 分間の運動と1 分間のクールダウンを行い、運動前後で、上記の評価を行った。尚、運動強度は、50%HRmax、50 回/分を目安として快適に運動を続けることができる負荷量を事前に決定した(52.5 ± 14.76W)。周波数解析は付属のソフトを用いて行い、統計処理にはStatcel3 を用い、対応のあるt検定(抑うつ−落ち込み、怒り−敵意、唾液アミラーゼ活性、LF/HF)及びWillcoxon符号付順位和検定(緊張−不安、活気、疲労、混乱、HF)により行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】全ての被験者には事前に本研究の目的や方法、参加への同意・撤回の自由、プライバシー保護の徹底について説明を行い、書面にて同意を得た。【結果】POMS短縮版の各項目において運動前後で有意差は見られなかったが、緊張−不安(前43.44±9.68点、後40.69±7.28点)、抑うつ−落ち込み(前45.44 ± 8.55 点、後44.19 ± 7.84 点)、怒り−敵意(前41.88 ± 7.85 点、後40.5 ± 5.92 点)、混乱(前46.19 ± 5.39 点、後44.31 ± 4.67 点)の項目のT得点の減少が見られ、活気(前42.06 ± 14.27 点、後44.50 ± 14.42 点)の項目でT得点の上昇が見られた。唾液アミラーゼ活性(前40.88 ± 41.97KU/L、後20.25 ± 24.06 KU/L)においても、運動前後で有意差は見られなかったが、数値の減少が見られた。つまり、これらの項目ではストレスを改善する傾向がみられた。また、有意差は見られなかったが、POMS短縮版の疲労(前44.88 ± 10.36 点、後47.56 ± 9.99 点)の項目のT得点が増加した。副交感神経の指標であるHF成分(前447.99 ± 429.42ms <sup>2 </sup>、後195.53 ± 184.97ms <sup>2 </sup>)において有意に減少し、交感神経の指標であるLF/HF(前570.14 ± 1248.07、後499.84 ± 317.05)は、ほぼ変化はなかった。【考察】本研究では、運動によりストレスの改善ができるかどうかを客観的に評価することを目的として実験を行った。「リラクセーション状態=ストレスのない状態」と解釈され、心身のリラクセーションの評価法については未だに十分に整理されているとは言い難いとされており、ストレスの評価法についても同様であると考えられる。本研究においても、主観的評価や唾液アミラーゼ活性ではストレス改善傾向を示しているが、有意差は見られていない。また、副交感神経の指標であるHFの減少に関しても、運動によって副交感神経活動が減少することは既に示されている。今回は運動直後のHFを解析したためにHFが有意に低下したと考えられ、それ以降のHFの推移を追っていくことが重要だったのではないかと思われる。また、50 〜80%HRの運動によってストレス軽減効果が得られるとされているが、乳酸性作業閾値以上の運動によりストレスホルモンである副腎皮質刺激ホルモンが亢進し、交感神経系が亢進すると言われているため、低負荷の運動でもストレス軽減効果が見られるか等、運動強度についても再検討する必要があると考えられる。これらのことから、客観的にストレスを評価できたとは言い難いが、運動強度や評価指標、評価を行うタイミング等の実験方法を再検討することで、ストレスを客観的に評価することができる可能性があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】現代ではストレスを抱える人が多く、運動療法を行うことによって身体的な障害のみでなく精神的なストレスを改善することができるならば、QOLの向上につながると考える。そのためには、運動とストレスの関連を把握し、ストレスを評価する指標が必要であり、本研究はその一助となると思われる。更に、運動強度や評価指標など、実験方法を再検討することで、患者への臨床応用も可能となると考えるため、理学療法学研究として意義があると思われる。
著者
赤嶺 淳 長津 一史 安田 章人 落合 雪野 浜本 篤史 岩井 雪乃
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ゾウ類や鯨類など環境保護運動のシンボルとして表象(エコ・アイコン化)された特定の稀少生物と、そうした野生生物が生息する生態空間(生態資源)を資源としてツーリズム振興をはかろうとする人びとの動態を、①東南アジアとアフリカ、日本でのフィールドワークにもとづき批判的に検証し、②エコ・アイコン化された野生生物のみならず、そうした生物群を利用してきた人びとの生活様式・生活文化の保全を目的に、観光振興の可能性を展望した。本研究が目指すmulti-sited approachの実践例として、ラオスにおいて野生生物の利用者と(調査者をふくむ)多様な利害関係者間の対話を創出し、研究成果の社会還元をおこなった。
著者
川尻 稔
出版者
The Japanese Society of Fisheries Science
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.166-172, 1949

I Studyed on the influence of the population density of Killie-fish (<i>Oryzias latipes</i> T & S) upon the number of spawn eggs, hatching-rate, and consequentry upon the reproduction. In the present study these fishes were cultured a pail (1 ?? and -1 ?? ) 1, 2 and 4 pairs respectively in 3 glass bowls (diameter 30cm, depth 15cm) filled with 7 L. of water, and were given food daily into each groups at the ratio of 1, 2, 4, and the rearing water of each bowl were changed 2-3 times in a week at the same ratio as above. Their spawned eggs were counts 3-4 times every day, and transfered into each 3 glass bottles (capacity 200cc) which filled water at the above ratio also, and disinfected by 0.5% of formalin solution every 4-5 days, and the fry which hatch out were counted every day. These experiments were carryed on two times in the same way.<br> Putting these results together, the number of eggs spawned one female a day decreases, so, accordingly, the number of eggs spawned one female decreases, and besides the hatch-rate have a tendency of depresses, in proportion to the population density of the fishes increases, and by the accumlation of these factors the rate of reproduction of the fish decreases.<br> Satisfied the equation <i>y=ax<sup>b</sup></i>, where <i>y</i> represents the number of eggs spawned per i female a day, or hatching-rate, <i>x</i> density of population, <i>a</i> and <i>b</i> are the characteristic constants.

2 0 0 0 OA 四体千字文

著者
巻菱潭 書
出版者
榊原友吉
巻号頁・発行日
vol.1冊, 1889
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会総会発表論文集 第58回総会発表論文集 (ISSN:21895538)
巻号頁・発行日
pp.480-567, 2016 (Released:2017-02-01)

2016年10月9日(日) 13:30 〜 15:30ポスター発表 PE01 - PE88 第58回総会HP PE01 - PE64 https://confit.atlas.jp/guide/event/edupsych2016/session/PE1/category PE65 - PE88 https://confit.atlas.jp/guide/event/edupsych2016/session/PE2/category
著者
酒井 啓子 松永 泰行 石戸 光 五十嵐 誠一 末近 浩太 山尾 大 高垣 美智子 落合 雄彦 鈴木 絢女 帯谷 知可
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-06-30

総括班はグローバル関係学を新学術領域として確立することを目的とし、分担者や公募研究者、領域外の若手研究者にグローバル関係学の視座を理解しその分析枠組みをもとに研究を展開するよう推進することに力点をおいて活動を行っている。H29年度には、領域代表の酒井、計画研究A01代表の松永、計画研究B02分担者の久保が全体研究会や国内の研究シンポジウムなどでそれぞれがグローバル関係学の試論を報告、各界からコメントを受けて学理のブラッシュアップに努めた。そこでは1)グローバル関係学が、関係/関係性に焦点を絞り、その関係/関係性の静態的・固定的特徴を見るのではなく、なんらかの出来事や変化、表出する現象をとりあげ、そこで交錯するさまざまな関係性を分析すること、2)グローバル関係学がとらえる関係が単なる主体と主体の間の単線的/一方方向的関係ではなく、さまざまな側面で複合的・複層的な関係性を分析すること、を共通合意とすることが確認された。それを踏まえて9月以降、領域内の分担者に対して、いかなる出来事を観察対象とするか、主体間の単線的ではない関係性をいかに解明するか、そしていかなる分析手法を用いてそれを行うかを課題として、個別の研究を進めるよう促した。多様な関係性が交錯する出来事にはさまざまな事例が考えられるが、その一つに難民問題がある。計画研究ごとに閉じられた研究ではなく領域として横断的研究を推進するため、計画研究横断プロジェクトとして移民難民研究プロジェクトを立ち上げた。また、総括班主導で確立したグローバル関係学の学理を国際的にも発信していくため、国際活動支援班と協働しながら、海外での国際会議を積極的に実施している。H29年度はシンガポール国立大学中東研究所と共催で同大学にて国際シンポGlobal Refugee Crisesを実施、グローバル関係学の骨子を提示して海外の研究者への発信とした。
著者
濱中 新吾 高岡 豊 山尾 大
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度は山尾大を中心にイラク南部(中央政府支配地域)の世論調査を行った。バクダード大学に協力を求めて個別訪問による質問紙調査を行い、イラク政府および各政党や主要政治家への支持態度、公共政策の評価、諸外国による政治介入の影響、過激思想を含む政治イデオロギーや思想潮流に対する共感の程度、越境移動の経験や希望などを政治的態度、社会的志向性の情報を聴取した。バクダード大学との折衝は山尾が責任をもって行った。平成29年度のイラク調査は前回(平成23 年)のフォローアップの意味合いを持つ。前回の調査結果との比較によってイラク国民世論の変化や政権支持および政党支持態度の変容状況を定量的に分析することが可能になった。イラクも2003 年の戦争後、治安が維持できず不安定な民主主義体制の下で統治が行われている。現状の急激な変革を求める過激な組織「イラクとシャームのイスラーム国」が勢力を拡大し、2014年には「イスラーム国」と改名してシリア及びイラク国内に支配領域を確立したが、2017年以降その勢力は衰退した。それゆえイラクもイスラーム主義政治思想の調査対象地として適している。政治思想の拡散状況については髙岡(研究分担者)が中心に研究を実施し、浜中と共同で思想分布・拡散状況の計量分析を行って成果を国内学会や研究会等で報告する。研究成果については前年度の国際会議報告ペーパー等が国際査読誌にアクセプトされ、出版されている。また邦語による研究書の出版も行われた。年度途中ながら、研究成果の公表は十分行われているものと考えられる。
著者
青山 弘之 末近 浩太 錦田 愛子 山尾 大 髙岡 豊 浜中 新吾 高橋 理枝 溝渕 正季
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は「アラブの春」が中東地域にもたらした混乱に着目し、そのなかで台頭を遂げた非国家主体と、「弱い国家」となった各国の主要な政治主体が織りなす政治構造の実態を解明することを目的とした。具体的には、東アラブ地域諸国の政治の動静に焦点を当て、既存の国家枠組みのなかで政治を主導してきた軍、治安機関、政党・政治組織、NGOなどと非国家主体の関係、そしてその関係が政治や社会の安定性に及ぼす影響を明らかにした。
著者
山中 仁寛 中易 秀敏 三好 哲也 前田 多章
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.72, no.719, pp.2248-2256, 2006-07-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3

A new method is proposed to measure the useful field of view (UFOV) when one can recognize the objects by visual task. Since the distance from fixation point to target mark is the strength of stimuli, the psychometric curve is utilized for UFOV by the statistical estimation by Probit and Staircase methods. An approximation by ellipse is also applied to represent the contour of the UFOV. The proposed method enables one to estimate the threshold of recognition with probability that means the UFOV with the detection probability. Therefore, it is proposed in this paper to determine the threshold in any direction from fixation point of the UFOV with visual task by psychometric curve. The availabilities of the proposed method are examined for accuracy and efficiency by the experiments.
著者
渡辺 ミチ 田村 照子 志村 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.204-209, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

高齢者衣服設計のための温熱生理学的基礎資料を得ようと, 64~80歳の有職女子5名, 対照群として20~25歳の女子学生5名を被験者として実験を行った. 23, 29, 33℃の3段階の温度条件を設定し, 夏季および冬季のおのおのおの午前に実施し, 次のような結果を得た.1) 高齢者の身体躯幹部皮膚温は, 青年老に比べて低温を示し, 四肢部皮膚温は, 寒冷環境での低下度, 暑熱環境での上昇度がいずれも小さい. これは, 高齢者の末梢部血管調節反応の機能低下を示すものと考えられる.2) 熱流量は, 低温の23℃において手部・足部ともに高齢者が有意に大きく, 高温の33℃においては高齢者の手部熱流量が有意に小さく, 皮膚温の結果とよく一致した.3) 高齢者の血圧は, 青年に比べて高い傾向にある. また, 環境の急速な変化に対して大きい血圧変動を示す. 4) 高齢者の脈拍数は, 青年に比べて有意に低い.以上, 高齢者の体温調節機能の低下が認められ, 衣服によりその躯幹部および四肢部の保護が必要であること, また, 急激な環境変化を身体に伝えないよう留意する必要のあることが明らかとなった.