著者
齋藤 俊行 林田 秀明 川崎 浩二 前田 隆浩
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

五島市で実施した健診受診者のうち「40歳以上で10本以上の歯を有する」1053人を対象に分析し、歯周ポケットの深さの平均値と頸動脈の血管の厚み(IMT)、全身の動脈の硬さを示す心臓足首血管指数(CAVI)の関連をみた。その結果、歯周ポケット深さの平均値が1mm増えると、IMTが0.02mm厚くなり、動脈壁が肥厚するリスクが43%増加、さらにCAVIは0.13増加し、CAVIの異常値(8以上)を示すリスクが32%増加していた。また、血中の活性酸素は、歯周病細菌の特にPg菌の血清抗体価と正の相関を示し、活性酸素値の高い者ほど歯周病が悪化しており、酸化ストレスと歯周病の関連性が認められた。
著者
佐々木 けいし 柴田 尚 伊藤 隆介 羽子田 龍也 閔 鎭京
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

廃校等を芸術文化的施設として活用している事例を、全国46、海外2箇所訪問調査すると同時に、HPやFaceBookを活用して情報収集した。最終報告で全国94施設をリスト化し、うち北海道内19施設、北海道外5施設、海外2施設を具体的に紹介した。この数を基に、廃校の芸術文化的活用の割合は、全国で1.2%、北海道では3.5%であるという結論を導き出した。加えて「廃校・旧校舎アートフォーラム」を2回開催し、廃校の新たな文化施設としての側面の検証及び、近未来の日本型のアートスペースの在り方や運営法、可能性について検討した。
著者
秋谷 直矩
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、加齢に伴うコミュニケーション障害に対する援助実践を分析する。そこでは、相互行為の構造の解明を目的とする。高齢者介護施設でのケアワーク場面をビデオ撮影し、そこで得られた映像データを対象に、エスノメソドロジーの観点から分析を行なった。また、比較として、視覚障害者の歩行訓練場面の調査・分析も並行して行い、高齢者介護のケアワークの固有性についても検討を行なった。分析では、高齢者の「能力を推し量る」という探索的行為に注目した。結果として、それは「能力の回復または現状維持の可能性」の理解可能性に指向して組み立てられ、その結果に基づいて、援助行為が「フォローアップ」として組織されていた。
著者
岡田 益吉 小柳津 広志 田中 雄二郎 武田 裕 家 泰弘 及川 昭文
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

科学研究費補助金は,その発足以来,大学等の研究機関における学術研究を,基礎研究から試験的研究まで幅広く支援してきている。また,分野も文学,歴史,法学などの人文・社会科学から理学,工学,医学などの自然科学までのすべての専門分野にまたがっており,今や日本の学術研究を支える基盤的経費として位置付けることができる。近年,学術活動を支える研究環境の整備,とりわけ,学術研究の振興の要となる科研費の拡充が緊急の課題となっており,これに伴い学術審議会等から科研費の配分審査体制の一層の改善・充実が求められている。これらを受けて研究種目の改編や分科・細目表の改正等が行われてきているが,科研費における学術研究の進展に寄与するためには,科研費による学術研究の実態を分析しその動向等について詳細な基礎データの整備・収集・分析を行うことが必要である。このため,平成5年度は下記のとおり調査研究を行った。(1)科研費の審査員に対するアンケート調査科研費の一般研究等の審査は書面による第一段審査と合議による第二段審査の二段審査制により行われているが,平成5年度の審査に携わった第一段審査員及び第二段審査員並びに平成6年度の審査に携わった第二段審査員に対して,配分審査方法と実際に審査を行った際の問題点等について,アンケート調査を行った。(2)各大学の研究者に対するヒアリング調査メンバーが手分けをして,大学等の研究者から,科研費における学術研究の実態,科研費に関する要望,本研究課題で検討中の配分審査方法の改善案等に対する意見等について,ヒアリング調査を行った。(3)アンケート調査・ヒアリング調査の集計・分析2年間のアンケート調査・ヒアリング調査等の結果を集計・分析し,研究成果報告書を取りまとめた。
著者
花岡 和則 渡邉 大介 北本 武郎
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

筋ジストロフィー等の難治性筋疾患の治療法を考える上で、筋再生の分子機構を理解する事は非常に重要であるにも関わらず、筋再生の分子メカニズムについては、不明な点が多く残されている。我々は、ホメオボックス型転写因子Lbx1およびNotch受容体の1つであるNotch3が、筋再生を担う幹細胞であるサテライト(筋衛星)細胞で発現していることを発見し、これらの遺伝子が筋再生に重要な機能をもつことを明らかにしてきた。本研究は、これらの遺伝子の作用機構と生理機能をノックアウトマウスを用いて明らかにしたものである。本研究の結果を基盤に新しい視点から筋再生・筋発生のメカニズムを解明し、幹細胞治療への応用の可能性を探ることが可能になった。
著者
藤井 靖彦 鬼塚 初喜 野村 雅夫 冨安 博 岡本 眞實
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

昨年度の研究結果に基づき、本年度の主要な研究タ-ゲットを次のように設定した。1.ガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数を実測する。2.高速陰イオン交換樹脂を充填した、分離装置を使用してUー232,Uー233の濃縮挙動を解析し、他のウラン同位体と比較する。3.100℃以上での化学交換ウラン濃縮実験を行い、同位体分離係数の温度依存性を検討する。本年の研究結果は上記番号と対応し、次の通りである。1.EDTA、りんご酸を錯形成剤とするガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、20m及び14mの長距離展開により、Gdー156,Gdー157,Gdー158のGdー160に対する同位体分離係数を決定した。EDTA系ではこの値が3.9×10^<-5>,4.0×10^<-5>,2.5×10^<-5>(上記同位体に対し)の値であった。2.U(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を90m/日の速度で約200m展開し、Uー232,Uー233,Uー234,Uー235の濃縮挙動を実験的に検討した。その結果、奇数のUー233はUー235と同じ方向の異常性示し、Uー232は他の偶数核種と同じ正常性を示した。この事から同位体効果の偶・奇数依存性が確認され、核スピンが関与することが明らかとなった。3.87℃と160℃でU(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数が温度に依存しない結果を得た。これも従来の理論を覆す事実である。
著者
奥山 剛 藤田 晋輔 林 和男 鈴木 滋彦 大谷 諄 岡野 健
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

最近の木造住宅は、省エネルギ-と、室内環境制御装置の導入によって、ますます気密化が進んでいる。一方、室内には無機材料が多用されるようになっている。このような住宅は将来増加の一途をたどることは明らかな状況である。住宅内のラドンの問題は、北欧やカナダ・アメリカでは大きな問題としてとりあげられているが、日本では、ここ5〜6年の間に、放射線安全工学の分野でとりあげられるようになったばかりである。放射線、特に低レベルの放射線に対する人間の健康への影響は不明な点が多いが、複合的な環境汚染が進むなか、木造住宅内のラドン濃度を低くおさえるための基礎的な調査が必要と考え、本総合研究を組識した。二年間にわたり、北海道から鹿児島まで12名の研究者に協力をいただき合計28の建物のラドン濃度を通年測定した。結果を要約すれば以下のとおり。1).全体としてみると、木造住宅はRC造住宅よりラドン濃度は低い。RC造住宅の新築のものに特に高いレベルのものがみられた。2).木造住宅では、床下及び地下室の濃度が高く300Bq/m^3を越える場合がある。そして、1階、2階と上階へいくに従って低くなる。このことから、木造住宅の最大のラドン発生源は床下地面であり、それは居室へと拡散していく。3).床下ラドン濃度は、一般に冬に低く、高温多湿となる夏期に高い。4).床下ラドン濃度は、床下地面の防湿施工によって低下する。5).床下換気口の適切な配置は床下ラドン濃度を低下させる。6).室内の空気が滞溜する押入れなどでは高いラドン濃度を示す。特にRC建物では1200Bq/m^3を越える場所がみられた。以上から、無機建材が用いられ換気が少なくなれば室内ラドン濃度が上昇することが明らかで、将来の日本の住宅もラドン対策が必要。
著者
荒井 浩道
出版者
駒澤大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は、認知症高齢者をかかえた家族を支援するソーシャルワークの技法として、ナラティヴ・アプローチの有効性を検証したことである。本研究ではアウトリーチによる家族支援における面接場面と、社会資源としての認知症家族会のミーティング場面の2点に着目し、ナラティヴ・アプローチによる支援の可能性を検討した。ソーシャルワークの技法としてナラティヴ・アプローチを位置づけることで、地域社会における総合的かつ包括的な実践モデルとなることが示唆された。
著者
細木 俊宏 高橋 邦明 村山 賢一 細木 俊宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高齢化社会のモデルとして豪雪・過疎地である中郷村を選び、松之山町で成功した自殺予防介入方法を異なる地域で用いることによって、有効な自殺予防介入を検証した。平成13年(平成12年度)から3回にわたって、対象者である60歳以上の中郷村村民全員(1684〜1688人)に新潟大学方式自己記入式うつ病尺度(SDS)を配布し、SDSを回収した。回収されたSDS点数をもとに、うつ状態や自殺の危険性を評価するためにDCRによる診断面接を行なった。2年目からは積極的な介入を行なうため、自責感、焦躁感、希死念慮の有無が自殺の危険性と関連している質問項目として5つを選び、診察対象者を絞り込んだ。対象者を精神科医師が診断面接し、うつ状態や自殺の危険性を評価し、自殺予防介入方法としてその妥当性を検討した。また啓蒙活動としてうつ病について講演をおこなった。平成12年度〜14年度の3年間で8名が自殺したが、7名のSDS点数は60点未満であり、診断対象から外れていた。また1名は絞込み項目で点数が低いことから診察対象から除外された。そのためSDSの総得点、絞り込むための項日は自殺既遂者を特徴づけるものとはいえなかった。しかし自殺既遂者によるアンケート結果から、自分が社会や家族にとって必要とされるか、仕事を気楽にできるか、充実した人生であるか、頭はすっきりしているか、息苦しいか、動悸がないか、などへの回答が自殺既遂者と非既遂者で異なる傾向があった。現時点まで介入前後における中郷村の自殺率の変化は認められない。啓蒙活動の継続や地元スタッフ参加協力による共同活動を通して、地域における自殺予防介入の重要性とその必要性についてある程度の理解が得られた。しかしうつ病の早期発見、早期治療から自殺を予防していくためには今回用いた手法の限界、絞込みや訪問診察などの介入方法、評価方法に改善すべき点があると考えられた。
著者
長江 亮
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、2003年に行われた障害者雇用施策の罰則措置である企業名公表の前後で、民間企業の障害者雇用率と雇用障害者数がどのように変化したのかを分析した。その結果、割当雇用制度の基で障害者雇用が難しいと考えられる製造大企業で障害者雇用率の上昇が観察されたが、その他には変化が見られなかった。また、障害者の雇用者数には減少傾向が観察された。従って、日本の障害者雇用施策は円滑に機能していないことが明らかになった。
著者
長谷見 雄二 山田 常圭 金森 道 李 海峰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、環境共生建築のひとつの手法として注目されているアトリウム型建築とダブルスキン型建築について、自然換気と煙制御を両立させる技術的可能性を検討した。環境共生や省エネルギーの要求などから、自然換気の活用への期待が高まっているが、火災安全の視点からは、このように自然換気を促進するための開放的な空間構成は、火災時には、煙の流動拡大を引き起こし、全館に人命危険を及ぼすおそれが大きいため、特殊な例を除いてはなかなか普及していない。この実状は、自然換気システムは、今後、必要性を増すと考えられるにも関わらず、それに適した煙制御計画手法が未整備なままであることが、その適用を特殊な条件に限定し、普及や技術的展開を阻んでいることを浮き彫りにするものである。そこで、本研究は、自然換気と煙流動が同一の流体力学的原理-煙突効果に支配されることに注目し、新たな視点から、ソーラーチムニーによる自然換気システムをほぼそのまま煙制御システムとして利用する設計概念を提示して、その有効性・妥当性を模型実験と数値計算により実証した。本システムでは自然換気のシステムを煙制御に対しても用いることになるので、火災時にも機械の力を頼らずに自然換気システムのポリシーを一貫にしたうえ、設備・しくみが煙制御のためだけのものでない分、コスト的に有利になるものという二次的な効用も得られると考えられる。意匠・空間計画に対しては、排煙設備や遮煙シャッターなどが軽減・省略できるという観点では、本システムは有利なものであるといえる。本研究の成果に基づいて、現在の一般的なアトリウム型建築・ダブルスキン型建築に著しい改変を及ぼすことなく、火災安全性能を確保できるため、今後、自然換気を活用した環境共生・省エネルギーと火災安全性の両立を実現させる建築を普及させていくことが期待される。
著者
亀山 統一
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

琉球列島のマングローブの重要な構成樹種の主要病害であるメヒルギ枝枯病の病徴進展・蔓延に影響する要因を明らかにするため、初期病徴形成すなわちシュート壊死に着目し、病徴形成の季節変化、関与する菌類、激害林の水分環境について検討した。本病激害林である沖縄島北部の汀間川メヒルギ林では、初期病徴形成は調査期間を通じて観察されたが、春から初夏に多発し、健全なシュートは1-2年以内にほぼ全てが損傷を受けた。同時期には、西表島の微害林でもメヒルギのシュート端の損傷が春〜初夏に促進されたが、シュート壊死〜枝枯の病徴への移行は少なく、両者の比較により本病の流行には春〜初夏の誘因の関与が大きいことが示唆された。汀間川河川水の水質の定常変化に異常値は見られなかった。また、穿孔・食害性の鱗翅目昆虫の影響は、激害林では一般に大きかったが、発病・進展に必須の誘因ではなかった。これに対して、マングローブの塩分濃度は満潮の冠水時には樹体上部と下部で大きく異なり、罹病木の部位により塩分ストレスの負荷に相違があることがわかった。また、激害林分である名護市真喜屋大川メヒルギ林では、病患部組織から多様な菌類が分離され、その一部は接種試験で病原性を示した。一部の菌株は、本病病原の強病原性菌株に匹敵する病原性を示した。本病病原Cryphonectria likiuensis自身やこれら病原性を示す菌がシュート壊死を引き起こし、これを引き金にして本病が進展することが推測された。したがって、今後、これら菌類の初期病徴形成への関与を明らかにすれぱ、メヒルギ枝枯病の初期病徴の実験室的な病徴再現が容易となり、本病の激害化を促進する因子の特定につながるものと考えられた。
著者
西 真弓 坂本 浩隆
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

脳内コルチコステロイド受容体にはグルココルチコイド受容体(GR)とミネラルコルチコイド受容体(MR)の2種類が存在し、いずれもホルモン誘導性の転写制御因子であり、低分子脂溶性ホルモンのコルチコステロイドとの結合により活性化され、細胞質から核へ速やかに移行し、脳内で発生、分化、ストレス応答など多彩な作用を発揮することが知られている。また共通のリガンドであるコルチコステロイドに対して、MRはGRよりもおよそ10倍親和性が高いことも知られており、この親和性の差を反映して恒常状態ではMRが主として活性化されるのに対し、ストレス状況下などコルチコステロイドの分泌が増加した状態ではMRに加えてGRも活性化されると考えられている。しかしながら、ストレスやサーカデイアンリズムなどに伴いダイナミックに変動するホルモン環境に対し、これら2つの受容体がいかにして神経細胞の突起、細胞質から核へ移行し、標的遺伝子の転写を調節するのか、という生物学にとって極めて基本的かつ重要な問題が未だ明確にされていないのが現状である。本研究では、これら受容体が核局在化シグナル(nuclear localization signal ; NLS)を有することから、このNLSを認識する輸送因子であるインポーチンαおよびβに着目した。平成17年度は、海馬培養神経細胞にCFP-GRあるいはCFP-MRとYFP-インポーチンαの種々のサブタイプを共発現させ、コルチコステロイドを投与した際に受容体とインポーチンαが同時に核内へ輸送されるかを、live cell imagingの手法を用いて解析した。その結果サブタイプにより、核輸送に違いがあることが明らかになった。平成18年度は、GRとインポーチンα1あるいはα3は結合するが、これら複合体は樹状突起から細胞体、核の方には輸送されない、という2点に必要な部位の決定を行い、ミュータントを作成した。現在、受容体とインポーチンαとの複合体を核へ輸送するモーター分子を探索する実験が進行中である。
著者
塩野 清治 升本 眞二 八尾 昭
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は,地下構造を探求する地質学的原理の定式化を通じて,地質調査データにもとづいて3次元地質構造を推定する計算機処理システムを具体化することである。地質学の原理に関する理論面での研究では,地層の分布域,地層・化石・地質年代の関係,地層の対比・区分など地質学の基礎概念が集合,関数,関係,同値関係,順序関係,ブール代数など離散数学の初歩的概念で表現できることを示した。また,地質学の基本原理である「地層累重の法則」に対して数学表現を与え,この法則が地層の形成順序や層序区分の基礎であることの理論的根拠を明らかにした。これは地層学的対象の計算機処理の原理を提示するとともに,「地質学の数学的基礎」という従来にない新しい研究分野への展望を与える重要な成果である。また,堆積作用と侵食作用で形成される地質構造に対する数学モデルにもとづいて,地層の分布域と体積面や侵食面に相当する曲面との間に成り立つ論理的関係(論理モデル)を一般表現する方法を導いた。論理モデルとの曲面の具体的形状が与えて地層の分布域が確定するという立場から,地質調査データから地質図を作成する過程を一連の数学的手続きとして形式表現した。これは地質図の計算機処理に対する理論的基礎を与えるものである。計算機処理の面では、露頭での観察データを入力して3次元地質構造を出力するアルゴリズムを研究した。処理システムは空間情報の入力・管理・解析・モデリングの標準基盤として多くの分野で実用されているGIS上で開発した。処理システムの有効性は既存の平面地質図を入力データとして、3次元地質構造を推定することによって検証した。2次元の空間情報を対象としたGIS上で3次元の地質構造を処理できる道を開いたことは3次元GISの発展や地質情報の活用を促進する上で重要な意義を持つ。
著者
是澤 範三 毛利 正守 蜂矢 真郷 山口 真輝
出版者
京都精華大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

日本統治時代、台湾に多くの日本古典籍が渡った。その中でも、国立台湾大学(旧台北帝国大学)には『日本書紀』の多くの貴重な写本がある。本研究では、国立台湾大学における『日本書紀』の収蔵状況について調査し、特に貴重な三本を選び出版する。第一弾として圓威本『日本書紀』が2012年に台湾大学図書館より出版される。
著者
小林 達明 野村 昌史 佐々 英徳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

柏市こんぶくろ池湿地に自生するズミ集団の保全のために、個体の開花・結実状況、実生の更新状況、アロザイム遺伝子構造、自家不和合性対立遺伝子構造、花の形態変異を調べた。その結果、こんぶくろ池ズミ集団の結実率は低く、実生の更新状況は不良だったが、アロザイム遺伝子多様度、自家不和合性遺伝子多様度とも高く、遺伝的劣化は見られなかった。同湿地の再生目標を明らかにするために江戸期以来の絵地図・絵図の変遷を検討し、周辺はクヌギを主とする立木密度の低い林だったことがわかった。
著者
杉原 厚吉 小柳 義夫 山本 博資 室田 一雄 今井 浩 杉原 正顯 村重 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,従来から開発されつつある分野ごとの個別のロバスト計算技術を横断的に整理し,分野の境界を超える共通で普遍的なロバスト計算のためのアルゴリズム設計パラダイムを構築することであった.この目的のために,本研究参加者がそれぞれの手法を持ち寄り,交流をくり返す中で,五つの設計原理を抽出することができた.その第一は,「計算対象の背後に存在する構造不変性の利用」で,位相構造の優先による幾何不整合の防止,物理法則を継承する数値解法,因果律に反しない計算順序の選択などの技術を含む.第二の原理は,「対象世界の拡大による計算の安定化」で,図形を超図形へ拡張することによるミンコフスキー演算の安定化,離散対象の連続緩和による整数計画法の高効率化,記号摂動による例外解消などの技術を含む.第三の原理は,「対象世界を制限することによる計算の安定化」で,連続関数の格子点への制限による計算の安定化,実数計算を整数計算へ制限することによる幾何計算の無誤差化,などの技術を含む.第四の原理は,「不確定性のモデル化による計算の安定化」で,物理パラメータを値から領域へ置き換えることによる制御安定化,値を区間に置き換えることによる特異積分方程式の解法などの技術を含む.第五の原理は,「仮定の排除による汎用性の確保」で,発生確率に関する仮定を排除することによるユニバーサル符号技術や異常検出技術などを含む.さらに,抽出した原理を指針に用いて,新しいロバスト計算技術も開発できた.その中には,第一の原理に基づいて,対象の背景構造をディジタル画像近似を介して統一的に抽出して利用する「ディジタル位相優先法」,第二の原理に基づいて,望みの例外のみを選択的に解消することによって摂動の副作用を防ぐことのできる「超摂動」などの技術がある.これらの活動を通してロバスト計算技術を新しく生み出すことのできるパラダイムが構築できた.
著者
増田 良介 大内 茂人 稲葉 毅
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、手の不自由な障害者がいつでもどこでも好きなものを、なじみ深い箸を使って食べることができる食事介助ロボットを開発した。このロボットは、水平多関節型で先端部に箸操作機構をもち、コンピュータ画面に表示された食べ物を指定すると、箸で自動的に口元まで持っていくシステム構成となっている。箸の閉じ位置と把持力を計測し制御することにより、多様な食べ物をハンドリングすることができるようになった。
著者
島田 忠人
出版者
独協医科大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

(研究目的)ヒト胃粘膜におけるヘリコバクター・ピロリ(Hp)感染は、慢性胃炎、消化性潰瘍のみならず胃発がんとも関連すると考えられている。本研究ではHp除菌前後の胃粘膜における発がんと関連した諸因子の変化について検討することを目的としており、今年度はその予備的検討を行った。(方法と結果)Hp除菌判定法に関する検討:除菌治療後の判定にHpのureAをターゲットとしたPCR法を併用し、治療1カ月後の時点で通常の方法でHp陰性と判断された症例の中にもPCR法ではHp陽性と判断される症例が少なくないことが明かとなった。これらの症例の少なくとも一部が臨床的にHp感染の再燃を来すものと考えられた。医原性Hp感染に関する検討:内視鏡を介する医原的なHp感染の可能性を検討するため内視鏡検査前にHp陰性であった症例を経過観察し、内視鏡検査後自覚症状的にも、また血清学的にもHp感染が起こっていないことを確認した。Hpサイトトキシン遺伝子の解析:Hpの菌体側の病原因子として重要なサイトトキシン遺伝子vacAの多型性についてPCR-RFLP法で解析し、各臨床分離株の間で著しい多様性があることが明かとなった。胃粘膜におけるケモカイン発現の解析:Hp感染胃粘膜における炎症反応の解析のため、胃粘膜でのケモカインの発現をRT-PCR法などで検討した。IL-8などのCXC型ケモカインだけでなく、MCP-1、RANTESなどのCC型ケモカインも高頻度に発現していることが明かとなった。(考案)本研究によってHp除菌治療評価に関する有用な情報が得られ、また胃内視鏡検査に伴うHp感染の危険性はほとんどないことが確認された。また、Hpの菌体側因子、Hp感染胃粘膜における慢性炎症病態の解析も進んできたので、これらの情報をもとに、実際に慢性胃炎でHp除菌を希望する患者の胃粘膜における諸因子の治療前後における変化についての検討に着手している。