著者
大屋 賢司 福士 秀人 奥田 秀子 原崎 多代
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

主要な人獣共通感染症の原因となるChlamydia psittaciの、細胞内増殖性と多様な宿主域に関して、Pmpの多様性を通じて明らかにすることを目的とし以下の成果を得た。1)Pmpファミリーの比較ゲノミクス:クラミジア種間だけでなく、株間でも、pmpの多様性が確認された。2)Pmpファミリー発現プロファイル解析:恒常的に発現しているPmpファミリー分子の他、PmpG11のように感染中期以降に発現するファミリー分子が明らかとなった。3) C. psittaci特異的なPmpの機能解析:PmpG11について、病態形成にへの関与は不明であったものの、診断用抗原としての有用性を明らかにした。
著者
岡田 典弘
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

我々は、これまでに白サケの全DNAを鋳型としたときに転写される6SのサイズのRNAをコードしている反復配列をクローニングし、塩基配列を決定することにより、白サケのゲノムの数%を占め、RNAポリメラーゼ【III】により転写される反復配列は、リジンのtRNAを起原として進化して来たことを示して来た。サケ科の他の種族のゲノム中の反復配列が何を起原として進化して来たのかを調べる目的で、サクラマスの全ゲノムよりライブラリーを作成し、サクラマスの全DNAを転写したときに生成するRNAをプローブとして、サクラマスのポル【III】ISINEの遺伝子のクローニングを行い、2つの遺伝子の塩基配列の決定を行った。遺伝子の5'側の配列はやはり、リジンのtRNAと相同性が高いことが明らかになった。しかしその相同性は白サケのリジンtRNAとの相同性よりはるかに少なく、又、白サケのtRNA相同領域とサクラマスのtRNA相同領域のホモロジーも少ないことが明らかになった。このことは、白サケとサクラマスの反復配列が、それぞれ共にリジンtRNAを起原としておりながら、独立にそれぞれの反復配列を形成して来たことを示している。今後、他の属のサケ科の魚類のゲノム構成を分析し、一般にすべてのサケ科の魚類がリジンtRNAを起原としておりながら、それぞれが独立に遺伝子を構成して来たか否かについて検討を加える予定である。
著者
後藤 昭雄 荒木 浩 米田 真理子 梶浦 晋 落合 俊典 赤尾 栄慶 金水 敏 近本 謙介 宇都宮 啓吾 海野 圭介 仁木 夏実
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、大阪府河内長野市にある真言宗寺院金剛寺所蔵の聖教の全体的調査である。そのために聖教全部の略目録の作成と貴重典籍についての詳細な調査研究を二つの柱として作業を行った。その結果として、なお整理調査が行われていなかった第21函から第55函までの聖教について略目録の作成を行い、報告書に公表した。これによって、金剛寺所蔵聖教のおおよそについては目録化がなされたことになる。貴重典籍については、刊本および音楽資料については全体的調査を行い、そのうちの重要資料は学術的位置づけを行った。精査を行った典籍の主なものは『全経大意』『百願修持観』『明句肝要』『清水寺縁起』『無名仏教摘句集』などである。これらについては論文と併せて影印あるいは翻刻によって全体の内容を報告書に公表した。
著者
森 良次
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

18世紀後半以降の西ヨーロッパで進行した継続的人口増加を背景に、バーデン、ビュルテンベルクでは農村の中小産業経営の窮乏化がすすみ、前三月革命期の深刻な社会問題をなしていた。工場制工業からの競争圧力(時計産業においては「アメリカの脅威」)は、こうした事態をさらに悪化させ、これが両政府による産業振興政策発動の契機となった。産業振興政策は、中小産業経営を保全するために、新技術の導入や職業技術教育を通じてその経営的上昇を促そうとするものであった。
著者
元兼 正浩 佐々木 正徳 楊 川 田中 光晴 大竹 晋吾 雪丸 武彦 山下 顕史 李 〓輝 波多江 俊介 金子 研太 畑中 大路 清水 良彦 呉 会利 前田 晴男 李 恵敬
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我が国においても校長の養成システムには高い関心が寄せられるようになった。だが、校長人事研究は十分に進展しておらず、実務レベルでも行政が大学の諸資源を活用せずにシステム改革の方向を模索している状況にある。したがって、「大学と教育委員会の協働による校長人事・養成システム」をすすめている諸外国(たとえば大韓民国)の事例に学ぶとともに、日本でのシステム構築に資するような校長人事を実証するための研究方法について考察した。
著者
飯倉 道雄 吉岡 亨 樺澤 康夫
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

昨今、携帯電話などのモバイル機器が広く普及している。携帯電話にはメールの機能があり、携帯電話型の文字入力装置で文章を書くのが巧みな携帯電話ユーザも多い。そこで、コンピュータへの文字入力装置として、携帯電話型文字入力装置の利用の可能性について調査し、携帯電話型文字入力装置の文字入力練習システムを開発した。コンピュータへの携帯電話型文字入力装置の適用性について検討したので報告する。
著者
竹屋 元裕 坂下 直実 菰原 義弘 藤原 章雄
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

クラスAスカベンジャー受容体(SR-A,CD204)欠損マクロファージ(Mφ)を用いた検討で、SR-AはTLR4のLPSとの結合を競合的に阻害し、M2 Mφの抗炎症性機能の一翼を担うことを明らかにした。急性冠症候群では、血中単球にSR-Aが誘導され診断マーカーとなり得ることがわかった。ヒト腫瘍組織の検討では、CD163陽性M2 Mφの浸潤度と膠細胞腫や卵巣癌の悪性度に相関がみられ、M2 Mφと腫瘍細胞がSTAT3を介して相互作用を示すことを明らかにした。天然化合物のcorosolic acidはMφのM2分化を抑制し、MφのM2機能を抑制することで治療効果を示す可能性が示唆された。
著者
杉本 陽子
出版者
飯塚市立飯塚小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

1.研究目的:通常の学級に在籍する漢字の読み書きに困難のある児童に対して,個々のつまずきに応じて継続的な支援を行うために,一斉指導の中で展開できる新出漢字の指導法を研究開発する。2.研究方法:小学校1年生で学習する新出漢字の指導を効果的に進める「指導プログラム」と指導に活用する「支援教具」を作成し,これらを活用して在籍校及び協力校で実践を行った。対象児童の学習の様子や漢字の定着度,他の児童への効果を明らかにして指導プログラムや支援教具の有効性,活用のしやすさを検証した。3.研究成果:『指導プログラム』には,読みの先行学習,ゲーム感覚で楽しく学習に取り組む活動や体全体を使って漢字を表現する活動,スモールステップのプリント学習などが含まれている。支援教具は,『イラスト付き漢字カード』『漢字カードゲーム』『漢字のにんにん体操』『大型筆順パネル』など11種類を開発活用した。その結果,漢字を覚えることが難しかった児童は,漢字クイズやゲームに夢中になりながら漢字を繰り返し見て聞いて声に出して読むうちに,読みを確かにしていくことができた。また,イラスト付きカードの絵と文字を一緒にして覚えると記憶がスムーズで,「漢字が読めるよ。わかるよ。」と嬉しそうに言って,進んで読みの練習をするようになった。書くことが苦手な児童は,漢字のにんにん体操で書き順を確かめ,体操の歌を唱えながら体で覚える方法がお気に入りの学習になった。忍者になりきって「にんにん体操,よこぼう。」と大きな声を出して学習に参加していた。読みについては対象児全員がそれぞれの目標を達成できた。書きについては,正確に覚えていない文字がある児童もいるが,どの子も全く書けない漢字はなかった。担任からは,「指導の順番や方法が提案されていたので対象児に見通しを持って支援を行うことができた」「学習面で厳しい子どもにとっても無理なく漢字を覚えることができ自信につながった」などの感想があった。年度末の定着度テストでは,研究参加校(193名)の誤答率は読み2%書き4%に対して,他校(219名)は読み4%書き7%であった。読み書き全てにおいて研究参加校の正答率が高かったことからも,指導方法や指導の順序を具体的に示した指導プログラムとその際に活用した支援教具は有効であったと考える。4.今後課題:開発した支援プログラムや支援教具は,一斉指導でより活用しやすくなるよう改良すると共に,機会を捉えて本研究の成果を発表し,多くの教師との意見交換を行いたい。
著者
小野 薫 泉屋 周一 秦泉寺 雅夫 松下 大介 石川 剛郎 山口 佳三 高倉 樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

symplectic 構造は、古典力学における Hamilton の運動方程式の定式化などで重要な幾何構造である。近年は、symplectic 構造そのものの幾何学的研究が進展し、ミラー対称性の数学的研究と相俟って多くの研究者が関心を持つ対象となっている。研究代表者は、symplectic 幾何学で特に重要な Floer 理論とその応用の研究を続けている。今研究計画においては、Floer 理論をトーリック多様体とその Lagrange トーラスファイバーに対して、具体的な研究をし、いくつもの興味ある結果を得た。
著者
飯尾 俊二 筒井 広明 嶋田 隆一 畠山 昭一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

展開図では平行四辺形の簡易ヘリカルコイルのプラズマ位置安定化作用を、円形断面小型トカマク装置で確かめた。3次元の自由境界平衡計算で、トロイダル磁場コイルとトーラス片側だけのヘリカルコイルの構成であってもMHD平衡が取れ、コイル電流が一定でプラズマ電流が半減しても水平位置はほとんど変化しないことを見出した。縦長断面トカマク装置で簡易ヘリカルコイルによる受動的位置制御を実証するために製作した小型トカマク装置のトロイダル磁場コイルは、導体をエッジ巻きにしてトーラス外側のみの支持構造とした。誘導電動機を用いたフライホイール電源をベクトル制御してトロイダル磁場を1秒以上ほぼ一定に励磁できるようにした。
著者
酒井 治己 高橋 洋 松浦 啓一 西田 睦 山野上 祐介 土井 啓行
出版者
独立行政法人水産大学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ミトコンドリアDNA全塩基配列に基づき、フグ目の硬骨魚種中での系統類縁関係,フグ目内系統類縁関係,及びトラフグ属内系統類縁関係を明らかにした。さらに,AFLP解析によりトラフグ属主要9種の雑種解析を行なった。トラフグとカラスフグを除く各種は明瞭に識別でき、さらに複数マーカーによって雑種の判別も可能で、解析したほとんどの雑種個体(47個体中46個体)が雑種第一代であった。種判別の可能なAFLPマーカーに基づき、それを特異的に増幅するプライマー開発に向けて研究を継続中である。
著者
増山 豊 深澤 塔一 桜井 晃
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

我が国を代表する弁才型帆船の帆走性能を明らかにする一環として、帆船として特に重要と考えられる上手回し操船が可能であったかという点に焦点をあてて研究を行った。まず、大阪市が復元建造し筆者らが海上帆走実験を行った菱垣廻船"浪華丸"を具体的な対象として、定常帆走性能を求めるとともに、下手回し操縦運動シミュレーションを行う手法を確立した。このため、船体に関しては曳航水槽試験を行うとともに、帆に関しては風洞試験を行った。なお帆の性能に関しては、空力実験船「風神」を用いた実船レベルの海上試験と数値計算も実施した。また明治後期からは弁才型船に伸子帆が取り付けられた「合いの子船」も多く運用されたため、伸子帆の性能についても実験を行った。なお、伸子帆の性能に関してはこれまで公表されたものはなく、本研究によって初めて明らかとなったものである。浪華丸の定常帆走性能の計算結果と下手回し操縦運動シミュレーション結果は、同船の海上帆走実験データと比較され、よく一致することが確認された。一方、上手回し操船は浪華丸の海上実験でも実施されていない。このため、このような弁才船が上手回し操船が可能であったかについては、上記で精度が確認されたシミュレーション手法を用いて判断することにした。その結果、弁才型の船に弁才帆を組み合わせた場合は、残念ながら上手回しはできなかったものと考えざるを得ないものとなった。一方、弁才型の船に伸子帆を組み合わせた、いわゆる「合いの子船」とした場合は十分に上手回しが可能であることがわかった。このことは、船型的には弁才型の船が上手回しを行うことが可能であることを示しており、風上方向への切り上がり角が70°であることを含めて、江戸時代に完成された船としては、当時の西洋型帆船と比較しても遜色のない性能を有していたことが明らかになった。
著者
矢持 秀起 御崎 洋二 藤原 秀紀 森田 靖 大塚 晃弘 前里 光彦 中野 義明 白旗 崇
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

π電子共役系の電子機能性を引出すため、共役系の形状や大きさ、組込むヘテロ原子の種類と位置、更には共役系外の置換基を自在に設計し、実際に多様な電子状態を持つ物質を合成した。環境変化や外部刺激に対する応答を検討し、パルス光照射に超高速に応答する分子性導体の電子状態と結晶構造の変化過程を0.1ピコ秒単位で計測するなど、基礎科学の新展開を促進する成果が得られた。さらに、実用電子材料の動作原理を与える成果も得られた。
著者
矢田 勉
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

今年度は東京大学史料編纂所に所蔵される古文書影写本のうち、青方文書・阿蘇文書・市河文書・留守文書について調査した。また京都府立総合資料館には二度、のべ六日調査に赴き、東寺百合文書を中心に調査を行った。その他写真等の公刊されている文書についても若干の調査を行い、それにより平安時代から室町時代末期にかけての平仮名文書一二七通について釈文及び仮名字体表を作成し、またその一部を写真撮影することができた。それにより得られたデータを総合することで、平安時代から室町時代末にかけて、頻用の平仮名字体がどう変化してきたか、また平仮名体系の持つ字種のバリエーションの総体がどう変化してきたかについてアウトラインを明らかにするに至っている。今後、中世文書の更に広汎な調査(殊に東大寺文書、他地方の文書)と近世文書の調査を行い、また今回の研究で明らかになりつつある平仮名字体変遷史を書記史の原理という観点からどう位置づけるかの考察を加えることが課題である。また、今回の研究の過程で、前近代日本の文字教育に大きな役割を果たした平仮名書いろは歌に見える平仮名字体が中世平仮名文書の平仮名字体体系と密接な関係にあること、また平仮名書記について、平安時代と鎌倉時代の間には踊り字の用法を指標として大きな転換期があること、そしてその転換が異体がなの使い分けの発生の原因となった事が分かった。それぞれ今年度、論文として発表したものである。
著者
桜井 国俊 宇井 純 山門 健一
出版者
沖縄大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究年度中の重要な社会情勢の変化として、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が平成16年11月1日から完全施行されたことが上げられる。沖縄は食文化として豚肉を多食し、県下の養豚頭数は他県に比し人口比で3倍近くの25万頭あまり有り、養豚排水の適正処理は、環境保全の観点からも、地域産業と食文化の保護の観点からも重要なテーマである。しかしながら、現在、養豚排水浄化処理施設に対する補助事業は、曝気槽への流入汚水濃度を20〜30倍の水で希釈してBOD1,200ppm程度にして浄化処理をすることを認可条件として指導されている。この指導に従えば、毎日4万トンの希釈水が養豚排水処理のために必要となるが、水資源に乏しい沖縄島では、このような排水処理は持続可能とは言いがたい。そこで今年度は、県下の畜産農家とも連携しながら、研究分担者の宇井純が設計した大里村の金城農産の無希釈の酸化溝方式排水処理施設の他畜産農家への適用可能性を検証する実証研究を展開した。まず、酸化溝方式排水処理の実施設のパフォーマンスについて検討を行った。検討したのは、沖縄大学酸化溝水質分析結果、大里村金城農産酸化溝水質分析結果、滝沢ハム(株)酸化溝水質分析結果である。次いで、金城農産等の事例を踏まえ、無希釈による畜産排水処理施設を補助対象事業とするよう沖縄県当局と協議し、認可を得た。宇井純が平成15年度に執筆刊行した「沖縄型・回分式酸化溝のすすめ-自然循環型の畜舎排水処理システム」を使用した無希釈の畜産排水処理法の畜産農家への普及活動、平成15年度に研究代表者の桜井国俊が、太平洋の島嶼国家の水資源・排水処理管理などのあり方を論じて発表した「それはもちますか?-我々はいかなる開発をめざすのか?-」を沖縄に即して詳細に検討する作業を行った。
著者
橘木 修志
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

脊椎動物の網膜には、視細胞として、錐体と桿体が存在する。錐体は明るいところでの、桿体は暗いところでの視覚を司っている。錐体は、明るい光環境下でも、光刺激?に対して的確に応答をすることができる。我々は、本研究で、(1)錐体において、光受容タンパク質がリン酸化により不活性化される反応が強く調節されていることを明らかにした。また、(2)錐体では、リン酸化された光受容タンパク質が迅速に脱リン酸化される仕組みがあることを見出した。これらの機構は、錐体が明るいところで働き続けられる仕組みとして働いていると考えられる。
著者
高木 俊暢
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

「あかり」衛星による連続体な近-中間赤外線による測光観測結果を用いることにより、多環芳香族炭化水素(PAH)による特徴的な放射特性を捉えられることを示した。つまり、「あかり」衛星では、PAH放射が強い銀河を、分光せずとも、測光観測のみで同定することができる。この特徴を活かし、私たちは、PAH放射の強い銀河を同定する方法を確立した。この方法では、7および11μm、または、9および15μmで定義される色で、非常に赤くなる天体に注目する。この色は、フラックス比で8倍に相当し、活動銀河核やその他PAH以外の放射特性では再現できない色である。つまり、これら赤外線で明るいPAH銀河は、AGNではなく、純粋に爆発的な星生成活動によって明るくなっている天体と考えられる。近傍では、赤外線光度が10^<12>太陽光度を超える超光度赤外線銀河は、全赤外線光度に比べて、PAH放射が弱く、AGNの全光度への寄与、または、PAH放射のダストによる吸収があると考えられる。一方、「あかり」で見つかった赤方偏移1付近のPAH銀河は。超光度赤外線銀河でありながら.PAH放射が強く、中間赤外線でのスペクトル特性は、純粋なより小規模な爆発的星生成銀河のそれと矛盾しないことを示した。
著者
小川 光
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、政府間の情報の完全性を仮定しない場合にどのような問題が生じるかを明らかにすると同時に、ゲーム論等を用いることによって社会的に最適な状態に導くようなメカニズムをデザインすることを目的にしている。主たる研究成果は以下のようにまとめられる。Principal-Agentモデルを用いた『Allocation of authority under central grants』では、公共事業のタイプを決定する権限を二階層の政府間で配分する際に、公共事業への資金拠出インセンティブが重要な役割を果たすことから、事業への投資インセンティブを高めるために、資金調達費用に劣る下位層政府(地方政府)に事業タイプの決定権限を委譲することが最適解となる可能性があることを明らかにした。公共事業のタイプを内生的に選択する状況を扱った上記の分析を発展させて、『Grants structure when the type of public project is endogenous』では、地方政府の資金調達力が上がるとともに、中央政府は地方政府にとって優先順位が高い事業を選択すること、また、matching grantsからblock grantsへの補助金の給付方法のシフトを図るべきであることが明らかになった。中央政府から地方政府への権限委譲に加えて、さらに、地方政府から民間部門への事業内容の一部委譲を行う際の問題点として、コストの戦略的引き上げが行われる可能性を『Public monopoly,mixed oligopoly,and productive efficiency』において明らかにしている。これらの研究成果は、European Accounting Association Annual Congress(アテネ大学)や数理・理論経済学セミナー(九州大学)においても報告されている。
著者
水谷 幸正 藤堂 俊英 渡辺 千寿子 場知賀 礼文 藤本 浄彦 小西 輝夫 田宮 仁
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

医療技術の進歩と高齢化社会の到来によって、より問題化してきた終末看護に、仏教的叡智を体して対応しうる人材を養成することは、その原理的精神を継承する日本仏教の、またそれを教授指導する仏教系学府の今日的使命の一つであるといえる。そうした認識をふまえて本研究は三期七年にわたる「仏教とターミナル・ケアに関する研究」を先行する基礎的理論的研究とし、さらにその成果をもとに平成5年4月より本学専攻科内に本邦で最初の仏教看護コースを開設した。その就学者には看護僧をめざす僧尼ばかりでなく、第一線の看護、社会福祉、社会教育に携わる人々も含まれることになり、仏教精神を体した日本的ターミナルケアの本格的な稼働が如何に待望されているかを知らしめられることになった。今回の一期二年にわたる研究は当該コースにおける教授指導を通してターミナルケア従事者、特に仏教看護僧の養成に当っての教授法やカリキュラムについて多角的、また統合的な検討を加えて行った。その成果は順次、仏教看護コースの教授の中に活かされ、その充実に資するところとなった。仏教看護コースの修学年限は一ヶ年(二年まで可)であるが、欧米では定着している大学院レヴェルでの教育システムの中で専門家を養成して行くことで、日本におけるターミナルケア従事者の裾野を充実したものに広げて行くことが次の課題となった。またそうした構想の実現を通して、日本社会におけるターミナルケア従事者、仏教看護者の受け入れ体制も徐々に整って行くことであろう。尚、先行する「仏教とターミナルケアに関する研究」の三冊の報告書が新たな編集のもとに法蔵館(京都)より出版されることとなった。この公刊により日本におけるターミナルケアに対する理解が一層深まることを期待したい。
著者
鈴木 基之 迫田 章義 藤江 幸一 花木 啓祐 黒田 正和 梶内 俊夫 岡田 光正
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、使用水のリサイクル推進が、異なる局面で招く恐れのある処理設備および資源・エネルギー消費の増大を定量的に解析し、トータルな環境負荷を増大させない効率的な水再利用プロセス像を明らかにするとともに、そのための今後の技術開発の方向に関して提言を行うことを目的としている。水多消費型の主要産業に対してその排水量・排水性状、現状処理方法、処理水質、リサイクル状況およびエネルギー消費などについて調査を実施した。この調査結果に基づいて、排水および処理水の水質、処理方法と所要エネルギーの関係を示し、エネルギー消費の観点から今後のCOD削減、すなわち処理水質向上目標の設定および処理プロセスの選択のための指針を提案した。生活・事務系排水の循環利用状況の調査結果をもとに、各排水処理システムの設計条件と製造コストを検討し、水の処理レベルと再生水の用途、単位操作の組み合わせ方法とエネルギー消費との関係を解析した。中水道用の水処理プロセスに対して二酸化炭素排出量を指標にライフサイクルアセスメントを行い、膜分離方式は設置面積が小さく、処理水質が優れているが、建設時と運用時の環境負荷が大きいことが定量的に明らかになった。雨水利用についても、ある実例についてその業績を詳細に検討し、処理コストとエネルギー消費の解析を行うとともに、大規模建築物における雨水の利用における水のバランスなどを検討した。加えて、最も広く利用されている好気性生物処理法や、今後導入が期待される生物活性炭処理法と膜分離法などについて、その処理対象物質および処理最適濃度・到達できる処理水質・所要エネルギーとコストについて定量的評価を行い、エネルギー効率を向上できる操作条件を示した。さらに、既存の窒素・リン除去技術の適用範囲、処理能力とエネルギー消費特性を明らかにし、最適な窒素・リン除去方式を選択するため基礎データが得られた。