著者
小枝 壮太
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ボリビア原産のトウガラシNo.3341は果実に辛味成分カプサイシノイドをまったく蓄積せず,その原因は既知の情報では説明できない.本研究では辛味品種Habaneroと既知の遺伝子変異により辛味を呈さない非辛味品種としてNo.2,No.80,NMCA30036を供試した.これら品種の交雑後代を調査したところ,No.3341は単一の劣性遺伝子により辛味を呈さず,新規因子が関与していることを明らかにした.また,Comtの変異が原因である可能性についても棄却した.そこで,Rad-seq解析を行ったところ,No.3341の非辛味性に強く連鎖するマーカーを作成することに成功した.
著者
大槻 勤 関本 俊 沖 雄一 高宮 幸一 篠原 厚 末木 啓介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

炉内に残留する放射性微粒子の挙動を推測するため、炉内に存在する放射性物質を含む様々な物質を材料として放射性微粒子が生成し成長する過程を解明することが本研究の目的である。そのため、まずは福島第一原子力発電所周辺の土壌中に存在する放射性微粒子の性状分析を行い、その元素組成等の化学的性質の調査を行った。ここでは複数の核種を含む放射性エアロゾルの成長・輸送機構の解明により炉内に残留する放射性微粒子の挙動を推測するため、土壌の観察・分析や人工放射性エアロゾルの発生実験を行った。環境中に放出された放射性微粒子の性状を調べるため、まずイメージングプレート等を用いて土壌中の微粒子探索を行った。また、核分裂生成物を含む人工放射性エアロゾルの成長・輸送の模擬実験を行った。まず、環境中に放出された放射性微粒子の性状を調べるため、イメージングプレートを用いて土壌中の微粒子探索を行い、採取されたType Bと推測される放射性微粒子に対し、SEM/EDX(Thermo Fisher Scientific社製Phenom ProX Desktop SEM)を用いた外観観察と粒子表面の元素分析を行った。粒子本体を構成する主要な元素は酸素、ケイ素、ナトリウムであり、少量のカルシウム、アルミニウム、マグネシウムなどを含むことが明らかとなった。人工放射性エアロゾルの発生実験では中性子照射したウラン試料から放出されたFPのうち、I-131,0Te-132,Ba-140(La-140)等を含んだ放射性エアロゾルが生成し、ポリカーボネート製フィルターまで輸送されて捕集されたことがわかった。この結果から、人工の放射性エアロゾルを用いて、放射性微粒子を形成する模擬実験が可能であることが示唆された。
著者
廣部 祥子
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、従来の注射投与型ワクチンと比較して高い有効性を発揮しうる経皮ワクチンの免疫誘導機構の解明を目指した。独自に開発した2種類の経皮ワクチンデバイス(ハイドロゲルパッチと皮膚内溶解型マイクロニードル)を用いた経皮ワクチンと注射投与(皮下および皮内)における免疫応答を比較検討した。その結果、皮膚を標的とした経皮ワクチンでは、皮膚組織内での遺伝子発現変化、所属リンパ節内での細胞ポピュレーション変化やT・B細胞の活性化など、注射投与ワクチンとは異なる反応が生じていることが判明し、これらの反応の違いが経皮ワクチンの優れた抗体産生誘導能に寄与していることが示唆された。
著者
内田 青蔵 安野 彰 須崎 文代 渕上 貴由樹 清 直樹
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、今後の住まいの在り方を考える一助として、持家志向の定着の様相を、戦前期に持家志向を中流層全般にまで拡大化させたことで知られる日本電話建物株式会社の事業や広報媒体である雑誌『朗』を通して明らかにすることを目的とした。その結果、日本電話建物株式会社の採用した住宅無尽の方法は、借家の家賃並みの金額で持家を得る方法として定着し、一気に中流層以下の人々の持家の可能性を高めたこと、また、持家を得た人々の多くは借家への不満はあったものの持家に対する明快な理念はほとんど持ち合わせておらず、持家を所有することそのものに意味を見出していたこと、が明らかとなった。
著者
平松 祐司 北村 豊 長谷川 雄一 堀米 仁志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

「ビタミンKを含まない納豆風味食品」の開発試験を実施した。発酵納豆から粘性物質を溶出し、この水溶液に紫外線照射を加えてビタミンKの分解および納豆菌の殺滅を図った。これを粉末化したものを別途蒸煮した大豆に還元し、納豆風味の煮大豆を得た。1)納豆粘性物質中のビタミンKの分解特性の解明、2)納豆粘性物質中の納豆菌の熱死滅特性の解明、3)納豆粘性物質の乾燥特性の解明のための評価を実施し、紫外線照射や加熱操作の適用性の向上、粘性物質の保存性や加工性の向上、および高い次元での納豆風味の再現を目指した。
著者
吉村 征浩
出版者
神戸学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

近年、腸内細菌叢が産生した短鎖脂肪酸(SCFA)が宿主の健康状態に非常に重要な役割を担うことが明らかとなっている。SCFAのうち、酢酸を摂取すると生活習慣病の予防に役立つことが示されており、そのような酢酸の機能性は、酢酸代謝および受容体を介したシグナル伝達により発揮されると考えられている。本研究では、酢酸摂取が宿主の腸内細菌叢構成に与える影響を明らかにすることを目的とした。酢酸をSDラットに摂取させると、腸内細菌叢構成が明確に変化することが細菌の16SrRNAのPCR-DGGE法による解析で明らかとなり、メタゲノム解析によって、ある種の乳酸菌が酢酸摂取によって有意に増加することが分かった。
著者
多賀 厳太郎 佐治 量哉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

新生児期には膨大な微生物に遭遇するが、腸内細菌との共生は生存や健康のための必須な条件であること、さらには、脳の発達に腸内細菌が重要な役割を果たしている可能性が指摘されている。しかし、ヒトの乳児の発達過程において、脳と腸内細菌の相互作用の実態について不明な点が多い。本研究では、(1) 睡眠中の乳児の脳の自発活動と代謝の動的連関を明らかにする。(2) 乳児における脳と腸の活動・代謝のクロストーク(脳腸相関)を調べる。(3) 乳児の腸内細菌叢を分析し、それらの個体差が脳腸相関や脳の機能的ネットワークの発達に及ぼす影響を調べる。これらより、乳児期初期において、脳が腸内細菌と共発達する原理を追求する。
著者
吾妻 健 ウォン Z. ブレーラー D. ロー C.T. イトイ I. ウパタム S. 杉山 広 田口 尚弘 平井 啓久 川中 正憲 波部 重久 平田 瑞城 BLAIR David LO Chin-tson ITHOI Init UPATHAM Suchart WANG Zaihua
出版者
帯広畜産大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

アジアに於ける日本住血吸虫類には、日本住血吸虫、メコン住血吸虫、マレー住血吸虫の3種が知られているが、具体的な相互の類縁関係については、未だ不明である。本研究では、これら3種の系統類縁関係を調べるため、1)ミトコンドリアDNAの塩基配列、2)染色体のC-バンドパターン、3)中間宿主貝の核型、4)中間宿主貝の感受性、5)終宿主の感受性、及び6)終宿主における肉芽腫形成反応、について分析実験を行なった。1)ミトコンドリアDNAの塩基配列:本研究ではチトクロームCオキシダーゼサブユニットI(COI)領域のPCR増幅を試みた。各サンプルはTEバッファーでホモジナイズし、フェノール/クロロフォルムで2回、クロロフォルムで1回、処理した後、エタノール沈殿により、DNAを回収した。回収したDNAはテンプレートとして、PCRを行なった。プライマーは、5'- TTT TTT GGG CAT CCT GAG GTT T -3'及び5'- TAA AGA AAG AAC ATA ATG AAA AT -3'である。PCRの条件は、95℃ 1分、50℃ 1分、72℃ 3分、30サイクルである。得られた増幅断片はTAベクターにクローニングして、ABIのオートシーケンサー(373A)を用いて塩基配列を調べた。ホモロジー検索及び系統樹作成はClustalV(近隣接合法)とPaup(最大節約法)を用いて行なった。その結果、2つの異なる方法とも同じ結論に達した。即ちマレー住血吸虫は日本住血吸虫よりは、メコン住血吸虫に近く、メコン住血吸虫とクラスターを形成することが分かった。比較のために用いたアフリカ産のマンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫は一つのクラスターを形成し、アジア産の日本住血吸虫類から隔たっていることが分かった。2)染色体のC-バンドパターン:日本住血吸虫、メコン住血吸虫、マレー住血吸虫のC-バンド分析を行ったところ、日本産の日本住血吸虫では、W染色体長腕のC-バンド内だけに真性染色体質の挿入が認められたが、メコン住血吸虫及びマレー住血吸虫では、両腕のC-バンド内に真性染色体質の挿入が認められた。さらにC-バンドの量はメコン住血吸虫及びマレー住血吸虫において日本住血吸虫より増加していることが観察された。このことから、メコン住血吸虫とマレー住血吸虫がより近縁であると推定され、ミトコンドリアDNAの結果と一致した。3)中間の宿主貝の核型と感受性:これは、宿主-寄生虫関係の進化と寄生虫自身の種分化との関係を明らかにするために行われた。まず、宿主貝の染色体について核型分析を行ったところ、a)マレー住血吸虫の第一中間宿主貝Robertsiella gismaniでは2n=34で性染色体はXY型であるが、Y染色体は、点状であること、b)メコン住血吸虫の第一中間宿主貝Neotricula apertaでは2n=34であるが、Y染色体は存在せずXO型であること、c)日本住血吸虫の第一中間宿主貝Oncomelania nosophora(ミヤイリガイ)では、2n=34で、性染色体はまだ未分化であること、等が明らかになった。4)中間宿主貝への感受性:日本産の日本住血吸虫とマレー住血吸虫をOncomelania nosophora(ミヤイリガイ)、O.minima(ナタネミズツボ)、Bythinella nipponica(ミジンニナ)の3種の貝に感染させたところ、両住血吸虫ともOncomelania nosophora(ミヤイリガイ)に感染し、セルカリアまで発育することが明らかとなった。4)終宿主の感受性:メコン住血吸虫及びマレー住血吸虫のセルカリアをマウス(ddY)、ハムスター(シリアン)、スナネズミ(MGS)の3種の終宿主への感染実験を行なったところ、すべてにおいて感染が成立することが分かった。15EA07:終宿主における肉芽腫形成反応:日本住血吸虫、メコン住血吸虫、マレー住血吸虫のセルカリアをマウスとラットに感染させ、肉芽腫形成反応の程度を比較した。まず、マウスでは3種住血吸虫とも著明な細胞反応を示したが、3種に差は認められなかった。しかし、ラットでは各々異なる程度の反応を認めた。即ち、肉芽腫形成反応はメコン住血吸虫で最も弱く、マレー住血吸虫で、最も強い反応を示した。一方、肝内虫体に対する細胞反応は虫卵に対する反応と逆にメコン住血吸虫で最も強く、マレー住血吸虫で、最も弱い反応を示した。このことから、宿主細胞の認識は虫体と虫卵で大きく異なることが分かった。
著者
岩崎 義則
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

第九代平戸藩主松浦静山の随筆「甲子夜話」(全278巻)について、東洋文庫本『甲子夜話』(全20冊)を底本とした全文のテキスト入力データをもとに、ネットワークサーバ上に全文検索システムを構築し公開した(http://yosi-iwa.sakura.ne.jp/programs/essay/contents)。あわせて、『甲子夜話』執筆にあたり、重要な情報源となった平戸藩楽歳堂文庫とその蔵書目録について調査研究を行い、蔵書目録の作成・伝来過程を明らかにした。
著者
本郷 一美 石黒 直隆 鵜沢 和宏 遠藤 秀紀 姉崎 智子 茂原 信生 米田 穣 覚張 隆史 高橋 遼平 朱 有田 VU The Long
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本への家畜ブタ導入を判定する基礎資料として、現生および遺跡出土のイノシシ属の計測データを蓄積し、日本列島の南北におけるイノシシのサイズ変異の程度を明らかにした。また、東南アジア、琉球列島産の在来種ブタとイノシシおよび遺跡出土のイノシシ属のmtDNA分析を行った。日本在来馬の体格の変遷を探り、大陸のウマと比較するため、現生および中部~東北地方の古代、中世および近世の遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集した。
著者
田阪 茂樹 松原 正也 佐々木 嘉三
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

神岡鉱山内「茂住」と,福井県「和泉」は,地震にともなう地下水の変化が観測される可能性があり,本科学研究経費で施設整備した観測地点である。岐阜県における地下水中ラドン観測地点はこれらを合わせて,全体で20箇所の観測点となる。平成10年4月から平成11年9月の観測期間において,岐阜県及びその周辺地域の,岐阜県神岡町「割石温泉」,福井県和泉村「平成の湯」,岐阜県養老町の3つの観測地点で,地震に伴う地下水の湯量・泉温・ラドン濃度の変動の観測データを捉えることができた。平成10年8月7日14時頃から長野・岐阜県境で群発地震が発生した。「割石温泉」観測点で,この群発地震の起こる約8時間前に泉温が約1.0℃低下し,湯量も約3週間前から毎分59から55.6lまで減少した。この観測結果は,降雨の影響ではないかと検討したが,群発地震の前兆現象である可能性が高いと結論される。引き続いて,群発地震で最大のマグニチュード5.4の地震が8月16日3時31分に岐阜県飛騨地方で発生した。この地震発生に伴って,湯量が毎分57から79lに急増し,泉温が1.5℃上昇した。ラドン濃度は地震前の減少傾向から,地震後に増加し始めた。また,地震の前後での湯量データの潮汐解析結果から,地震の前後で潮汐成分の位相と振幅に変化がある事が判明した。これは地殻の体積歪みの変化を意味するものである。割石温泉におけるこれらの観測結果は,過去20年間の湯量観測の結果を確認するとともに,今後の地震予知につながる貴重な観測データであると評価される。
著者
岡部 貴美子 亘 悠哉 飯島 勇人 大澤 剛士 坂本 佳子 前田 健 五箇 公一
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

見えないウイルスが接近する脅威を、可視化することを目的とする。そのためにマダニが媒介するSFTS等をモデルとし、野生動物の個体群と移動分散、マダニの分散への貢献、マダニの増殖にかかる生物・非生物学的要因、個体群の空間スケールを明らかにし、セル・オートマトンモデルによる予測、フィールド調査による検証、細胞レベルの病理試験等を駆使して精度の高い動物リレーモデルを開発する。これにより、マダニと病原体が野生動物にリレーのバトンのように受け渡され、途上の環境変化によってリレーの方向等に変化が生じ、感染症の溢出・拡大が起こるという仮説を検証し、感染拡大メカニズム解明とそれに基づく対策手法開発に資する。
著者
志内 一興
出版者
武蔵野音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

「古代ギリシア・ローマ世界における呪詛行為の持つ社会的効用についての基礎研究」と題して研究を進めた。古代ギリシア・ローマ社会におけるコミュニティ内の緊張の緩和、及び紛争解決の方法理解には、従来は法に基づく「公的・合理的」な解決策の図式が重視されてきた。しかし多数発見されている「呪詛文書」は、公的なレベルに浮かび上がることの稀な、「私的・非合理的」緊張関係の緩和方法が、古代社会において重要な働きをしていたことを示唆していたからである。三年にわたる研究の結果、古代社会における紛争解決を、これまでとは違った視点から理解するための、あらたな視点の基礎を築くことができたものと思う。
著者
寺井 勝 地引 利昭 小穴 慎二 浜田 洋通 山本 重則
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

川崎病は乳幼児に発症する原因不明の血管炎である。当該研究者は,血中の単球遊走活性化因子MCP-1が急性期に血中に増加し,組織においても発現が増強していることを見出した。川崎病の治療薬であるガンマグロブリンは,MCP-1の生理活性を抑制することが判明した。またMCP-1をコードする遺伝子の転写開始部位から2518塩基上流のアデニン(A)とグアニン(G)のSingle nucleotide polymorphismとin vitroでの単核球によるMCP-1産生の関連をみたところ,G allele carrierが統計学的有意差をもってMCP-1を大量に産生することが判った。さらに急性期川崎病患者では,G allele carrierがAA homozygousよりも血中MCP-1を大量に産生することが判明した。同時に,日本人はG alleleを高率に有する民族であることを初めて明かにした。以上より,川崎病血管炎では,単球遊走活性化因子MCP-1が血管炎初期において炎症現揚の免疫担当細胞の遊走・活性化に重要な役割を果たしていること。さらに,日本人は外的な刺激に対してこのMCP-1を産生しやすい人種的特徴をもっていることが判明した。日本人に川崎病が多いことの背景になりうるかどうか,今後も更に検討が必要である。
著者
多田隈 理一郎
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生活空間の様々な物体に動力伝達機能を持たせ、荷物の搬送や要介護者の移動などにおいて人を補助することを目標として、直交する2方向に歯車構造を持つ全方向駆動歯車を中核とする様々な機械要素技術を創成し、その機構の小型化・高効率化を進め、従来技術では動力を付加できなかった小さい物体や狭い空間にも駆動機能を持たせた。具体的には、自動車のドアミラーに収納可能な、正およびゼロの曲率を有する「J型」の全方向駆動歯車を製作し、サイドミラーを収納形態から開いた通常の形態まで、滑らかに駆動した。また、全方向に物体を搬送できるロボット型のテーブルを、ゼロの曲率を有する平面型の全方向駆動歯車を用いて2種類製作した。
著者
和田 洋一郎 桂 真理 石崎 梓 秋光 信佳 ウィロックス ラルフ
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、甲状腺がんなどに見られるBRAF V600E点変異を効率的に検出する方法を開発し、放射線被ばくによる変異メカニズムを研究しようとした。デジタルPCRシステムを駆使することで、10万個に1個の変異を検出することができた。放射線照射またはアリストロキア酸添加をおこなったHCT116細胞で変異が少数検出されたが、刺激を与えない場合にも検出されるケースがあり、これらの放射線照射やアリストロキア酸がBRAF V600E変異の誘因であるとは断定できなかった。今後放射線等の影響による遺伝子変異の検出にあたっては、特定の部位をさらに高効率で検出する手法の開発を優先すべきであると考えた。
著者
廣瀬 丈洋
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

地震活動によって断層から発生した水素が、その水素をエネルギー源にして有機物をつくり出す地下微生物圏を育んでいるという仮説を検証するため、地震時の高速断層すべり運動を再現できる摩擦実験によって地震時に発生する水素量を見積った。その結果、 地震によって含水断層帯で生じうる水素ガス濃度は大変高く(数mmol/kg)、地震断層起源の水素ガスを「えさ」とする地下生態系が存在しうる可能性があることがわかった。
著者
犬飼 佳吾 中村 友哉
出版者
明治学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では行動経済学、実験経済学分野における主要知見について、大学生を対象とする追試に加えて、一般人市民を対象にも同様の追試を行う。同時に、実験報酬単位、実験プラットフォーム(実験室実験やweb実験)の違いという観点からの検証も同時に行い、行動経済学・実験経済学分野の研究知見の頑健性の検証を通じて、同分野の基礎的手法の精査検討を行う。
著者
平田 豊
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

以下の成果が得られ、新たな細胞質雄性不稔制御の可能性を示した.1.雄性不稔ゲノム種のミトコンドリア構造であるorf138およびその周辺にある構造を含めた3分子種の特徴をあきらかにした。これら成果は.国内外の学期で発表され、論文として一部公表されている。2.ミトコンドリアの誘導メカニズムに関して、すでにゲノム間の組換えで生じたのではなく、すでに分化過程で存在していた異種分子種の存在としに量的変動調節変異である点を明らかにし、公表した.3.このミトコンドリアゲノムの量的変動によるゲノム種の変動と雄性不稔発現はキメラ合成だけで起こるのではなく、細胞融合によっても起こることを比較研究から明らかにした.4.この過程で、オグラ型、あるいはオグラ類似の雄性不稔ゲノムに塩基配列多型やマイナーな構造変異が存在することや従ってそれらをあたらな雄性不稔誘導のソースにし得ることを示し、新たな雄性不稔誘導メカニズムの存在する可能性を示した.5.これまで、細胞質雄性不稔がミトコンドリアゲノム構造に寄ること示してきたが、一方で良く知られているクロローシスの発現は葉緑体ゲノム構造と関係があることを示唆し,細胞質ゲノムの全体的な解析とメカニズムや制御の理解が必要なことを明らかにした.6.以上を頼詳細に明らかにするためには、B.rapaにもB.oleraceaにもないオグラあるいは類似の細胞質雄性不稔型細胞質の回復系の導入が必要であり,そのための材料や系の確立が求められる.
著者
海保 邦夫 大庭 雅寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

多細胞動物の台頭期であるエディアカラ紀から多細胞動物の爆発的進化期であるカンブリア紀初期に渡る海洋溶存酸素環境をバイオマーカーのプリスタン/ファイタン比により、stormwavebaseより浅い水深と深い水深に分けて求めた。海洋溶存酸素は、遺伝子からみた多細胞動物の多様化期、大型のエディアカラ生物群の出現、カンブリア紀の多細胞動物の爆発的進化期で増加した。酸素が生物の進化をコントロールした。