著者
大竹 二雄 天川 裕史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アユ、ビワマス、ウナギを主要な研究対象に耳石のSr安定同位体比(^<87> Sr/^<86> Sr)や酸素安定同位体比(δ^<13> O)を用いて産卵場所を含む回遊履歴を明らかにした。耳石^<87> Sr/^<86> Srからアユの母川回帰性がないことを示し、ビワマスには母川回帰性があるもののその性質は弱く、母川近隣河川に遡上する傾向が強いことを明らかにした。耳石^<87> Sr/^<86> Srに基づいて、ウナギ産卵海域で採捕された親ウナギの成長場所の推定を行い、一部のウナギが日本列島太平洋岸の河川、汽水域で育ったことを示した。また、シラスウナギの耳石中心部分のδ13Oから卵の分布が水温26. 0℃、水深150-170mであることを明らかにした。この結果は2009年、2011年の学術研究船白鳳丸によるウナギ卵の採集に大きく貢献した。
著者
鈴木 慶子 三浦 和尚
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

急速かつ確実に「手書き離れ=PC依存」が進行している。手書き離れによる影響は「漢字が書けない」という現象を引き起こしていることに止まらない。学生は「読み」の力をも低下させている。同一問題を黙読して解答した群と視写して解答した群では総合点で視写群が高得点となった。視写することは、正確な「読み」に導く契機となる。 一方で、学生は、PC依存を自覚している。構想を練る時、全体と細部との関係を整合する時、及び立ち止まって自分の考えを吟味する時、PCでは不都合であると。同時に、下書き及び書き直しという概念が消失しつつある。両者の繰り返しによって鍛えられてきた、正確に「書く力」が危機的状況にある。
著者
小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.838-844, 1999-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

脳血管障害を引き起こす凝固系異常には先天性と後天性がある.先天性ではアンチトロンビンIIIやプロテインC, S欠損症によるものが多く,分娩や手術などを契機に上矢状静脈洞血栓症や脳梗塞をきたす.後天性では抗リン脂質抗体症候群,播種性血管内凝固症候群(非細菌性血栓性心内膜炎), Gaisböck症候群が重要である.また,近年,脳梗塞の危険因子として高ホモシステイン血症が注目されている.
著者
荒木 厚 福島 豊 松本 光弘 佐古 伊康 北 徹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.111-115, 1990-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

先天性代謝異常症のホモシスチン尿症では, 若年性に動脈硬化, および脳梗塞をきたしやすい。また, 血中ホモシステインの蓄積は, 動脈硬化を惹起するという仮説が提唱されている.ホモシステインの成人における脳梗塞発症に対する関与の可能性を検討する目的で, 慢性期脳梗塞患者42例の血漿総ホモシステイン濃度を測定し, 年齢, 性, および高血圧をマッチさせた対照84例と比較した.両群間のBody mass index, 空腹時血糖値, 血清コレステロール, 中性脂肪, クレアチニン, 尿酸濃度, および喫煙者の割合には, 有意差がなかった.血漿総ホモシステイン濃度 (nmol/ml) は, 脳梗塞群13.2±5.8, 対照群8.5±3.7であり, 脳梗塞群が対照群に比して有意に高かった (p<0.000001).以上の成績は, ホモシステイン仮説を支持し, 血漿ホモシステインの高値が, 脳梗塞の独立な危険因子の一つとなりうることを示唆する。
著者
丸 猶丸 一戸 健司 斉藤 臨 平林 忠
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.96-101, 1968-04-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
8

1. ヤマドリの産卵数は平均19.8 (5~40) ケ, 産卵期間は55.7 (10~97) 日で可成りの個体差がみられ, その最盛期は4月中旬~5月中旬と思われた。また年令の点では, 3, 4才のものが優れていた。2. 人工授精による受精率は84.3%, ふ化率 (対受精卵) は84.0%と良好な結果が得られた。3. 精液の採取可能期間は3月上旬~6月上旬までで3月中旬~4月中旬が最も結果がよく, その採取量は平均0.025 (0.005~0.1)ml, 一般に3, 4才の種禽から多量の精液が得られた。4. 上記の3点から, ヤマドリの繁殖適令期は3, 4才と思われ, またその繁殖最盛期に♀, ♂によって約1ケ月間の幅があるので, これらの調整がヤマドリの増殖をより有効ならしめる要因であると推察した。5. 一般に♀雛の発生は♂雛よりも多く, この傾向は受精率の高い場合により明瞭に現われていた。また産卵順位と雛の性比との間にも何等かの関係があるように思われた。6. 雛の成育には, 4週令頃より♀, ♂による差異が認められ, この頃が雛の♀, ♂分離飼育の適期と推察した。以上は, 過去5年間に亘る人工授精によるヤマドリの繁殖成績を考察したものであるが, 不備の点が多いので, 今後なお追試によって解明したい。
著者
蜂須賀 正氏
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.13, no.62, pp.40-43, 1953-08-25 (Released:2009-02-26)

In Japan the wild hybrid between the two indigenous pheasants Phasianus (versicolor group) and Syrmaticus soemmerringii is exceedingly scarce. Gives five authentic records. Some specimens show the plumage of Phasianus slightly more while others have more Syrmaticus pattern. They were all taken in the northern part of Honshu. Mr. K. Kobayashi's specimen taken in January, 1951 is the only one existing among collections in Japan.
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.75-78, 1972-06-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2 6

越後山系の飯豊山の北側と,朝日岳の東側,すなわち山形県側の山麓地帯で,1968年12月から,1971年2月までの3猟期(12月1日から翌年2月15日まで)内に捕獲したテン51個体の,胃の内容物を調査した。その結果,胃の内容物は,鳥類が3種類,哺乳類が3種類,および植物の漿果が2種類であった。胃の内容物で,多くみられたのは,ヤマドリとトウホクノウサギであり,それぞれ,全体の25%と35%の個体にみられ,その重量は,それぞれ,47%と30%であった。植物では,カキの実が,より多く,全体の11%の個体にみられ,その重量は,全体の8%であった。なお,テンの生息密度は,農林省の狩猟統計書の捕獲数から,漸時減少の傾向がみられる。
著者
風間 辰夫
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-22, 2014 (Released:2015-08-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

キジ科の種間雑種作出はあくまでも,狩猟,観光行政の面からの作業であり,科学的な視点での知見が乏しいのが現状である.日本では,鶏,矮鶏,軍鶏等の改良種は古くから行われてきたが,キジ類についてはほとんど例がない.そこで本稿では,暗中模索の状態で実施した交配実験結果を基に,その繁殖成績と交雑種の外観を記す事を目的とする.かけ合わせた種の組み合わせ20ペアは,すべてケージ内において自然繁殖で行った.その結果,量産可能な品種としては,コウライキジ雄×オナガキジ雌,キジ雄×キンケイ雌,キジ雄×コウライキジ雌(この逆交配も可)の4種の交配種が妥当であると考えられた.これらのうち,作出された雄の成鳥は交雑種であることの判別が外観より容易に行えるが,雌の場合は野外での判別は不可能であると考えられた.また作出には高度な技術を要するために,経済的な面から社会一般に容認されるものでないと思われた.過去の放鳥や交雑の影響により,放鳥猟区近隣等でキジ科の識別が困難となる可能性もありうる.本稿はその識別の一助となりうるであろう.
著者
丸 猶丸 一戸 健司 石島 芳郎 佐久間 勇次 佐々木 実
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.83-87, 1966-04-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

従来実施が困難とされていたヤマドリ, ニッポンキジに人工授精を応用し, 次のような結果を得た。1. ヤマドリでは受精率90.1%, 対受精卵孵化率85.3%, 対入卵孵化率67.5%であった。2. キジの場合は受精率77.5%, 対受精卵孵化率87.1%, 対入卵孵化率67.5%であった。3. 週1回のマツサージ法による精液の採取量は, ヤマドリ, キジの何れにおいても0.02ml内外で, 採取直後の精子の活力は90%であつた。4. 繁殖期における産卵数は, ヤマドリ19個 (11~40個), キジ27個 (18, 35個) であった。5. 孵化に要する日数は, ヤマドリは24.5日, キジでは23.2日であった。以上の結果から, ヤマドリ, ニツポンキジの人工授精による繁殖が可能であることが立証された。
著者
小笠原 〓
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.351-362, 1968-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4

調査は1965年11月から,1966年1月までに,キジ,ヤマドリの生態分布及び食性を明らかにするために仙台市周辺及び,秋田県北秋田郡田代町周辺で行なった。冬期,キジ,ヤマドリの生息場所及び生息範囲は,対照的であるが,その分布はかなりオーバラップしている。すなわち,仙台市周辺では,キジの生息範囲はかなり広いが,ヤマドリは主に山地に限られ,一方田代町周辺ではヤマドリの分布範囲が広く,キジは主に米代川沿に多く分布し,さらに,キジの個体数は,仙台市周辺の方が,田代町周辺より多いように思われる。捕獲した鳥は,キジが仙台市周辺で12個体,田代町周辺で2個体,岩手県で1個体で,計15個体,一方ヤマドリは,仙台市周辺で4個体,田代町周辺で1個体の計5個体で,それぞれについての食性調査を行なった。食餌物の全般的配分では,キジでは植物質が全体の99.6%,動物質が0.4%,一方,ヤマドリでは,植物質が全体の99.8%,動物質が0.2%と,両種とも,そのほとんどが植物質であった。さらに,植物質では,キジで37種,ヤマドリで20種が同定できた。仙台市周辺のものでは,キジ,ヤマドリともに,植物の種実が多く,それぞれの77.4%,75.1%を占めていた。田代町のものでは,キジで全体の91.2%が種実であった。植物の種実を,木本類,草木類,つた類と大別すると,仙台市周辺では,キジ(GP),ヤマドリ(CP)では,それぞれ,草木類で,42.2%(GP),44.5%(CP),木本類が,10.4%(GP),12.4%(CP),さらに,つた類では,43.3%(GP),43.1%(CP),となり,草本類及びつた類の種実が多かった。また植物質を科別にみると,キジでは,マメ科,イネ科,ブドウ科,タデ科の種実及びヤマノイモ(ムカゴ)が多く,一方ヤマドリではマメ科,タデ科,ヒユ科,ミズキの種実及びシダ類葉片が多かった。動物質は,きわめて少なく,わずかに5種類にすぎなかった。
著者
鈴木 一馨
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.69-98, 1998-03
著者
小栢 進也 建内 宏重 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A2Se2029, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】筋が収縮すると関節は回転力を生み出し、筋力として発揮される。昨年我々は数学的モデルを用いて股関節の関節角度変化によるモーメントアームの変化を報告し、筋の発揮トルクが関節角度により大きく異なる可能性を示した。筋の発揮トルクはモーメントアームだけでなく、筋線維長や筋断面積などに影響を受けるとされており、本研究では股関節屈曲角度変化に伴う股関節周囲筋の屈伸トルクを数学的モデルにより検討した。【方法】股関節運動に作用する15筋を対象とし、股関節は円運動を行うとした。モーメントアームおよび筋・腱の線維長はKlein Horsmannらの筋の起始停止位置から算出した。大殿筋下部線維、大腿筋膜張筋は、起始から停止までを直線的に走行するのではなく、途中で骨や軟部組織に引っかかる走行変換点を考慮したモデルを用いた。なお、腸腰筋はGrosse らが提唱したwrapping surfaceの手法を用いた。この方法は走行変換点の骨表面を円筒状の形状ととらえて計算する方法で、筋は起始部から円筒に向かい、その周囲を回って走行を変え、停止に向かうとする。また、生理学的断面積・羽状角・筋や腱の至適長はBlemkerら、筋の長さ張力曲線はMaganarisらの報告を用いた。なお、本研究では関節運動によって、モーメントアームと筋線維長は変化するとし、生理学的断面積、羽状角は関節運動によって変化しないものとした。解剖学的肢位での起始・停止の位置から、股関節の角度に応じた起始の座標を算出した。次に、起始停止から筋の走行がわかるため、各筋のモーメントアームを求めた。このモーメントアームと筋の走行から、単位モーメント(筋が1N発揮した時の関節モーメント)を算出した。さらに筋の長さ張力曲線から想定される固有筋力、生理学的断面積、羽状角の正弦と単位モーメントとの積から各筋が発揮できる屈伸トルクを算出した。【説明と同意】本研究は数学的モデルを用いており、人を対象とした研究ではない。【結果】腸腰筋は26.3Nm(伸転20°)、23.7Nm(屈曲0°)、23.6Nm(屈曲30°)、26.1Nm(屈曲60°)の屈曲トルクを有し、伸展域と深い屈曲位で高い値を示した。一方、大腿直筋は10.5Nm(伸転20°)、18.4Nm(屈曲0°)、23.6Nm(屈曲30°)、28.1Nm(屈曲60°)であり、50°付近で最も高い屈曲トルクを有した。伸転筋に関してはハムストリングス全体で、11.2Nm(伸転20°)、42.0Nm(屈曲0°)、70.6Nm(屈曲30°)、74.2Nm(屈曲60°)と、伸展域では伸展トルクは小さいが、屈曲域になると急激にトルクは大きくなる。一方、大殿筋は20.9Nm(伸転20°)、29.3Nm(屈曲0°)、35.4Nm(屈曲30°)、29.0Nm(屈曲60°)と、ハムストリングスと比較して伸展域では大きな伸展トルクを発揮するが、屈曲位では半分以下のトルクしか持たない。また、内転筋は伸展域で屈筋、屈曲域で伸筋になる筋が多かった。【考察】腸腰筋は伸展するとモーメントアームが減少して屈曲トルクが弱くなると考えられるが、wrapping surfaceの手法を用いるとモーメントアームは増加し、筋も伸張されるため、強い発揮トルクを発生できることが判明した。一方、深い屈曲位では腸腰筋が腸骨から離れて走行変換点を持たなくなり、モーメントアームの増加により発揮トルクが増加すると考えられる。腸腰筋は走行変換点を持つことで二峰性の筋力発揮特性を持つ。これに対し、大腿直筋は主にモーメントアームが屈曲50°付近でモーメントアームが増加し、強いトルクを発揮すると思われる。また、ハムストリングは坐骨結節、大殿筋は腸骨や仙骨など骨盤上部から起始する。このため、浅い屈曲位から骨盤を後傾(股伸展)すると坐骨結節は前方へ、大殿筋起始部は後方へと移動する。よってハムストリングはモーメントアームが低下し、伸展位では大殿筋の出力が相対的に強くなると思われる。一方、内転筋群は恥骨や坐骨など骨盤の下部から起始し、大腿骨に対しほぼ平行に走行して停止部に向かう。よって、解剖学的肢位では矢状面上の作用は小さいが、骨盤を前傾(股屈曲)すると起始部は後方に移動し、筋のモーメントアームは屈曲から伸展へと変わるため、筋の作用が変化する。特に大内転筋は断面積が大きく、強い伸展トルクを発揮できると思われる。【理学療法研究としての意義】解剖学的肢位とは異なる肢位での筋の発揮トルクを検討することは、筋力評価や動作分析に有用な情報を与える。特定の関節肢位で筋力が低下している場合、どの筋がその肢位で最も発揮トルクに貢献するかがわかれば、機能が低下している筋の特定ができる。また、内転筋のように、前額面上の運動を行う際に矢状面上の作用を伴う場合、内転筋の中でもどの筋が過剰に働いているのかを検討することも可能である。このように本研究で行った数学的モデルによる筋の発揮トルク分析は、理学療法士にとって重要な筋の運動学的知見を提供するものと考える。
著者
小林 和幸 コバヤシ カズユキ Kobayashi Kazuyuki
出版者
駒沢史学会
雑誌
駒澤史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.309-324, 2005-02
著者
石渡 正倫 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.95, no.436, pp.73-78, 1995-12-15

手書き筆跡をもとにした個人同定を目的として,筆跡の個人特徴量にハフ変換により得られる3種のパラメータ,すなわちρ,θ,および累積値を用いる筆者同一性判定法を提案する。筆跡データとして,1)本人による筆跡,2)筆跡提示なし代筆,3)筆跡提示あり代筆の3種類を使用,個人特徴量の抽出と筆者同一性判定実験を行った。個人特徴量から筆者判定のための基準特徴量を抽出して判定閾値を設定,5回実施した実験の平均判定率は,1)に対して93.2%という結果が得られた。また3)での平均判定率は76.4%であり,2)に関しては,何れの実験でも100%という良好な判定結果が得られ,個人特徴量,およびこれを利用した筆者同一性の判定法としての有効性が確認できた。
著者
水科 晴樹 村田 直史 阪本 清美 金子 寛彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J92-A, no.10, pp.677-689, 2009-10-01

機器使用時におけるユーザの心理的ストレスを客観的に評価することは,人間に優しいヒューマンマシンインタフェースを設計する上で重要である.しかし,従来提案されている心拍・脳波・皮膚電位等の生体信号をストレスの指標とする場合,電極の装着等の煩わしさが生じる.その点において,非接触で計測可能な瞳孔径は優れた指標になり得ると考えられる.また指標の汎用性を考慮すると,幅広い年齢層のユーザに適用可能なことが重要である.本論文ではその基礎的な知見を得るために,若年者と高齢者を対象に,多様な課題の遂行時における瞳孔径を計測し,そのときの心理状態の主観評価との対応を検討した.その結果,本研究で用いた3種類の作業負荷条件下においては,いずれの場合も負荷量の増大とともに瞳孔径変動量が増大した.また,タイムプレッシャーを与えた場合と聴覚刺激の識別難易度を操作した場合においては,心理的ストレスの要因となり得る「不安感」の主観評価と瞳孔径変動量との間に相関が見られた.瞳孔径変動に関しては,定性的には若年者と高齢者でほぼ同様の挙動が観察されたため,心理的ストレス指標として幅広い年齢層に適用できる可能性が示された.
著者
島田 和子
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

抹茶は、5月に製造された新茶(碾茶)を半年以上低温下で熟成保存させ、それを茶臼で微細紛にしたものである。保存しない新茶(碾茶)を用いて製造した抹茶は、抹茶特有の香り、こく味などの風味に欠け、泡立ち性も劣ることが製茶業者では知られている。この研究は、「抹茶特有の風味が生じるためには、なぜ碾茶を熟成保存する必要があるのか」について明らかにすることを主目的とし、以下の結果が得られた。抹茶の官能評価では、碾茶を含気包装で6ヶ月間保存して調製した抹茶は、保存しない碾茶から調製した抹茶より、うま味・甘味があり、渋味・苦味が抑えられ、まろやか感があると判断された。また、窒素充填包装保存よりも含気包装保存の方が、抹茶らしい風味があると判断された。渋味・苦味成分であるカテキン類の抹茶溶出液中の量は、保存期間が長くなるにつれて僅かに減少した。苦味成分のカフェイン、うま味・甘味成分の遊離アミノ酸、甘味成分の遊離糖の各溶出量は保存期間中ほぼ一定であった。抹茶の泡立ち性は含気保存6ヶ月の抹茶が最も泡立ち性が良く、次いで窒素充填保存6ヶ月の抹茶、保存0ヶ月の抹茶の順であった。以上の結果より、碾茶を保存した抹茶の方が抹茶らしい風味であって、総合的においしいと評価が得られたのは、泡立ち性の向上がその一因であると推察した。碾茶を5℃、6ヶ月間保存しても、抹茶中の総ビタミンC及びアスコルビン酸の残存率は80%以上で高かった。クロロフィル及びクロロフィル誘導体含量、クロロフィラーゼ活性も変化がなかた。以上のことから、抹茶の風味生成のための碾茶保存条件では、茶葉の品質は劣化しないことが確認された。また、カテキン類、カフェイン、ペクチンは茶葉採取時期による抹茶の風味の違いに大きく寄与していないことが認められた。