著者
坂口 竜己 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1060-1067, 1995-08-20
被引用文献数
35 8

従来の人物顔表情認識では, 静止画像の複雑な処理が必要であった.これに対し, 静止画像内の特徴と, 時系列の特徴を統合して認識率を向上させる検討を行った.画像内特徴には, 雑音や撮影環境に比較的ロバストな周波数特性として, ウェーブレット変換により得られる帯域内平均電力を用いている.時系列処理には, 信号系列を時間的変化の特徴によってカテゴリー分類する際に有用な隠れマルコフモデル(HMM)を採用し, 学習による認識を行っている.また特徴量の量子化には, 表情のように認識対象カテゴリー間の類似度が高い場合に, 有効なカテゴリー別VQとカテゴリー外コードワード選択追加によるコードブックの作成を提案する.これにより, 特定被験者の4表情の認識実験では, 平均93.7%の正答率が得られた.
著者
岩田 直也
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

今年度(2010年度)の主な研究成果は、8月に東京で開催された「国際プラトン学会」にて口頭発表を行った、プラトン『国家』第五巻末の議論での「対象」の意味の再検討である。プラトンは、ここでの議論において、「知識」と「思わく」を「能力」と定義し、そのそれぞれに「あるもの」と「ありかつあらぬもの」という異なる「対象」を振り分け、両者の心的状態を明確に区別した。しかしながら、多くの解釈者たちは、この「あるもの」と「ありかつあらぬもの」をそれぞれ「真実在」(イデア)と「感覚物」と伝統的にみなしてきた。その考えに従うならば、プラトンによるこの区別は「私たちが知りうるのはイデアのみで、自分たちの身の回りの世界については何も知りえない」といういわゆる「二世界説」に帰着する他はない。しかしながら、この「二世界説」は、われわれ現代の認識論的立場から到底受け入れられないばかりでなく、プラトン自身の他の対話篇、さらには『国家』における彼の哲人王のプログラム自体とも重大な齪齬をきたすため、それがプラトンの真意であったかどうかは慎重に判断する必要がある。私は今回の発表で、この「二世界説」問題に取り組む多くの論者の中でも、とりわけ影響力のあるファインとゴンザレスの解釈を詳細に分析し、両者の見解もまた伝統的解釈と同様に「対象」を「外延的」に捉えているために、問題解決に向けて不十分であることを指摘した。対して、私自身は「能力」の「対象」をその「仕事」と決して切り離すことができない「内包的対象」と捉えることで「二世界説」問題を根本的に解決することを試みた。この見解は、学会のProceedingsの形式で紙媒体としてすでに発表されている。なお、口頭発表での議論を踏まえた正式な論文は、本学会のSelected Papersに投稿し、現在はその査読結果を待っているところである。
著者
Dorji Louisa
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.32, pp.122-132, 2004-03

The Kingdom of Bhutan, situated in the Eastern Himalayas and sandwiched between India and China, is relatively isolated and little-known internationally. It is visited by no more than 7,000 foreign tourists per year. A landlocked country with a mountainous terrain and a basic infrastructure, it has, nevertheless, undergone considerable development since the 1960s. The most significant developments in terms of infrastructure have been the building of two main roads to connect the main towns on an east-west axis and a north-south axis, the ongoing extension of the electricity supply to towns across the country and the provision of telephone connections nationwide. In terms of social and cultural developments, a modern, English-medium education system was introduced in the late 1950s and employment was provided for the graduates from this system in the growing bureaucracy. In recent years, efforts have been made to develop a private sector in order to create new employment opportunities for the growing number of educated youths. Modernization has brought little physical change to everyday life in the countryside. Subsistence farming is still the norm, modern machinery is almost completely absent and a cash economy is still in a rudimentary stage of development outside the towns. In the towns and the countryside alike,people are still guided by the moral wisdom and psychological support of the Buddhist monks, who hold a revered position in society. Traditional life is, therefore, still very much in evidence. However, nowhere is left completely untouched by the developments that have been taking place inside and outside the country. This article is based upon my own observations and interviews with people during the many times I have spent in Bhutan since 1993. It gives a very general overview of how tradi-tional and modern aspects of life are blended in contemporary Bhutanese society. It considers aspects of life and traditions that have scarcely changed in centuries as well as examining areas where modern developments clash with traditional ways of life and create issues that will need to be addressed into the future. The article also discusses the kind of policies a modern, developing nation implements in order to strengthen a sense of national identity based on traditional culture and values.
著者
森 博之
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-203, 2008-03-29
参考文献数
1
被引用文献数
2
著者
森 博之
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.757-759, 2007-08-31
被引用文献数
3
著者
吉原 利忠
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

脂質膜,細胞内の酸素濃度を明らかにするためにレシオ法に基づいたプローブ分子を設計・合成した。合成したプローブ分子の発光は溶液,脂質膜中において酸素感受性の低いクマリン343の蛍光と酸素感受性の高いイリジウム錯体のりん光を示した。これらのプローブ分子のレシオ比(りん光強度/蛍光強度)は酸素濃度が減少するにつれて増加した。また,プローブ分子を培養細胞の培地に添加して蛍光顕微鏡で観察したところ,細胞から蛍光とりん光が観測され,細胞内酸素濃度計測のために有用な分子であることが明らかとなった。
著者
長岡 千賀 小森 政嗣
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.24-38, 2009 (Released:2010-06-11)
参考文献数
31
被引用文献数
3

The present research brings insight into listener's responses in psychotherapeutic counseling and advice sessions, as well as temporal changes in these responses. Four 50-minute counseling sessions were analyzed, of which two were negatively evaluated and two were positively evaluated (high evaluation counseling). In addition, two 50-minute ordinary advice sessions between two high school teachers and the clients from the high evaluation group were analyzed. All sessions represented role-playing. Three judges labeled the listeners' utterances into (a) utterances starting with an answer to the speaker's questions, (b) utterances starting with back-channels, (c) utterances starting with laughter, and (d) others. The results indicated that (a) and (c) are rather rare in counseling, and (b) occurs at a higher rate in counseling, as compared to advise sessions. Further, the occurrence of (b) and (d) in the two high evaluation counseling cases showed a similar time-series pattern, and this pattern corresponded to the time-series pattern of body movement synchrony. This pattern suggested a temporal structure in counseling sessions, that involves processes of counselor's understanding of the client and the client's changes.
著者
桑原 直巳
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

西欧における初等・中等学校の成立に際しては近代、カトリック修道会、特にイエズス会などを初めとする活動修道会(教育修道会)の役割は決定的であった。本研究では、従来我が国ではあまり顧みられなかった修道会の設立による初等・中等学校における教育活動およびその基盤としての修道霊性について、その倫理学的・倫理思想史的な意味を明らかにし、世俗的な「公教育」における道徳・倫理教育およびその理念との比較研究を行った。
著者
知念 宏司
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究においては、研究代表者が以前から関係している「剰余位数分布問題」において成果が得られた。これは、整数 a (2 以上で完全 h 乗数ではない)を固定し、素数 p に対して a の mod p での位数 D_a(p) の分布を調べる、より具体的には、D_a(p) を k で割ると l 余るような素数 p の自然密度を調べる問題である。この問題の拡張として、平方剰余の条件を付加した場合 (Chinen-Tamura, 2012)、および、mod p のかわりに mod pq とした場合 (Murata-Chinen, 2013) について成果が得られた。
著者
橋本 浩二 知念 正 佐藤 純 柴田 義孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.337-346, 1998-02-15
被引用文献数
10

圧縮法を用いたビデオデータはフレームごとにそのデータ量が異なる.ビデオデータをユーザに提供するクライアント/サーバシステムにおいて,圧縮したビデオデータを使用する場合,その実時間性を保証し,フレームレートを一定に保つためには可変ビットレート転送を行う必要がある.また,クライアント/サーバおよびネットワークの負荷変動により発生するパケット紛失は,画質の劣化やフレームレートの低下を引き起こす.本論文では,可変ビットレート転送としてGoP一括転送方式とフレーム転送方式の2つの方式を提案する.また,負荷変動によりパケットが紛失した場合でもビデオサービスの実時間性を保証するために,パケット間隔制御法とフレームレート制御法を提案する.パケット間隔制御は,動的にパケットを調整することでパケット紛失率を抑制する.フレームレート制御は,クライアント側の実効フレームレートをサーバ側にフィードバックし,必要なら送信フレームを間引くことでフレームレートを調整する.我々は,これらの転送方式と制御法を導入したパケット オーディオ・ビデオシステム(PAVS)のプロトタイプを構築し,性能評価を行った.結果,これらの転送方式と制御法の有効性が確認できたので報告する.In client/server system where compressed video data are transmissed from video server to userclient over highspeed network,variable bit rate transmission method is required to maintain the video frame rate constant because the amount of data of each video frame varies from time to time.On the other hand,video quality and frame rate degrade when packet loss occured when CPU loads on the client/server or the network traffic increases.In this paper,two variable bit rate transmission methods: Group of Picture transmission and frame transmission methods are newly introduced.We also introduce both a packet rate control method to reduce the packet loss controlling the inter-packet time interval and a frame rate control method to maintain the frame rate constant by controlling the transmitted frame rate on the server based on the feedback signal with set frame rate from the client.We implemented a prototyped Packet Audio/video System (PAVS) to evaluate performance of the packet rate control and Frame rate control functions.Through this performance evaluation of PAVS,we could justify the usefulness of our suggested control methods.
著者
若田 宣雄 里吉 営二郎 木下 真男 高沢 靖紀
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1399-1404, 1975

症例: 19才女子,会社員. 17才頃,ソフトボールの試合中,休んでいたら右上下肢の脱力が出現,約1日で回復したが,その後,運動後休息中によく脱力発作が起きるようになり,また,スイカを食べて少ししても起きるようになつた.父親も同じようにスイカを食べると脱力発作が生じるという.入院時,四肢近位筋のごく軽度の脱力と,わずかな叩打後筋不随意収縮を認めた. KCI5g経口投与により,血清カリウムは最高7.5mEq/<i>l</i>に達し,腰がふちつき,歩行困難となつた.また, 30分間,自転車をこいだのち休息していると,血清カリウムは3.7から4.7までしか上昇しなかつたが,やはり脱力発作が出現した.一方,ブドウ糖およびインスリン負荷試験では,血清カリウムは4.7から3.6まで変化したが,脱力発作は見られなかつた. acetazolamide 1g/日連続投与でも麻痺は起こらず,これらの結果から,家族性高カリウム血性四肢麻痺と診断した.しかし,麻痺は高カリウム血の時にのみ起きるとは限らず,過去にも,正カリウム血性として報告されたものが,のちに高カリウム血性として再報告されたこともあり,両者の区別は必ずしも本質的ではないと考えた.また, acetazolamideに対する態度などから,低カリウム性のものとも一部には共通点を有する面もあり,血清カリウム濃度の相違からのみ,周期性四肢麻痺の発現機序を論じることは正しくないのではないかと考えた.
著者
三島 好雄 北郷 邦昭 伊藤 雅史 仁瓶 善郎 西 直人
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

小口径血管手術後の長期開存率は極めて不良であり,本研究では臨床応用可能な小口径人工血管の作製と,閉塞原因としての仮性内膜肥厚などの出現機転の解明を目的として実験的臨床的に検討した.試作した人工血管は優れた抗血栓性を示す2-methacryl-oxyethyl phosphoryl-choline(MPC)ポリマーとsegmented polyur ethane(SPU)の混合溶液を直径2mmのDacr on人工血管に吸着させて作製し,長径2cmのMPC人工血管を,micr osur ger yによって家兎頚動脈に移植した.対象としてSPUのみを吸着させた人工血管を作製して,同様に移植した.コントール人工血管の内腔は移植90分で既に赤色血栓が形成され,全例3日以内に閉塞した.一方,MPC人工血管では,移植5日後の内腔面には血栓形成は認められず,移植1週後には内腔全体は薄いフィブリン様の膜で被われ,移植2ヶ月後には新生内膜の形成が認められ,直径2mmと極小口径であるにもかかわらず,移植後早期の開存率は良好であった.本人工血管は,仮性内膜のanchoringを改善することにより,臨床応用への可能性が示唆された.一方,閉塞原因としての仮性内膜肥厚は動脈壁に対する損傷の治癒過程であり,抗PDGF作用を有する薬剤の投与で抑制されたこと,異なるePTFE人工血管で内膜肥厚度に相違が見られるなど,薬剤投与とグラフト構造の改良により,遠隔成績の向上が示唆された.臨床例では晩期閉塞例の検討から,新たな閉塞機序として仮性内膜剥離が問題となる点が示唆された.本研究の課題は世界的にも活発な研究が進められており,今後,更に検討を要するものと考えられる.
著者
古田 好治
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.37-49, 1999-02-10

2次元での線図形の特徴を解析するために, 線図形を長さ一定のベクトルに分解し, フーリエ変換による方法で周波数スペクトルとの対応を調べ, またウェーブレットによる方法でウェーブレット成分との対応を調べた。さらにフーリエ変換による方法, ウェーブレットによる方法を比較し, おのおのの変換方法の特徴を検討した。
著者
平出 隆俊 小澤 浩之 斉藤 茂 柴田 恭典
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

平成5年度は、平成4年度にまとめた『歯の健康に関するアンケート』から得られた、1.咬合ならびに顎機能異常の出現状況の精度を検討するため毎年実施している矯正専門医による歯科検診の『咬合異常の頻度』との比較検討を行った.その結果、高校3年次男子においては歯科検診:22%、アンケートによる自己申告性:26.5%とほぼ同程度の割合であった.従って、本アンケート調査結果は信頼性の高いものと判断できた.このことから次に2.スポーツ活動時に生じた歯・顎・顔面部外傷による咬合・顎機能異常の出現との関連を調査した.その結果、スポーツ外傷は男子:13.8%、女子:0%であった.男子のスポーツ外傷のうち外傷が原因となりその後、咬合・顎機能に異常を訴えたものは男子:41.7%であった.以上のことから活発な顎・顔面部の成長発育期における学童のスポーツ活動に対しては、安全性に対する歯科医学的に検討されるべき点が示唆される.1、2の調査結果をもとにスポーツ活動時における顎機能を調査するため、平成5年度は中学1年生から高等3年生までの6学年に『咬合圧シート』を配布し回収した.現在本資料を解析中である.このことによりスポーツ活動を積極的に行っているものとそうでないものの差異、ならびに各種スポーツ活動に特有に見られる顎機能を調査中である.
著者
重本 隆一 篠原 良章
出版者
生理学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)方法の確立本研究ではまず、同側の神経線維の作るシナプスのみを調べるために、腹側海馬交連(VHC)をあらかじめ切断したマウスを作製した。このような動物から用意されたCA1領野のスライスから電気生理学的記録を行うとともに、シナプス蛋白質を精製しNMDA受容体の反応やサブユニットの定量を行った。また同様の動物から電子顕微鏡用の超薄切片を作成し定量的金標識法により個々のシナプスでのNMDA受容体の定量を行った。(2)グルタミン酸受容体の左右非対称性我々は既にNMDA受容体サブユニットNR2Bの左右のシナプスにおける局在の違いについて、postembedding法で解析し、錐体細胞のシナプス特異的に非対称性が存在し、介在神経細胞のシナプスは対称的であることを明らかにしていた(Wu et al., J Neurosci., 2005)。本研究ではシナプス全体としての左右差を明らかにするために、まずはシナプスに局在する蛋白質のうち量的な非対称性があるものを検索した結果、AMPA型グルタミン酸受容体GluR1サブユニットにNR2Bとは反対方向の左右非対称性がある事を定量的なWestern blotで明らかにした(Shinohara et al., PNAS, 2008)。その他のグルタミン酸受容体サブユニットには左右非対称性は認められなかった。(3)個々のシナプスにおけるNR2BとGluR1密度の逆相関当部門では、定量的な免疫電子顕微鏡法として凍結割断レプリカ免疫標識法の開発を進めている。すでにAMPA受容体については1チャネルを1つの金粒子で検出できる事を示しており(Tanaka et al., J Neurosci., 2005; Masugi-Tokita et al., J Neurosci., 2007)、NMDA受容体についても定量的な解析を進めた結果、NR2BとGluR1ではシナプスにおける密度に明確な逆相関が存在する事を明らかにした(Shinohara et al., PNAS, 2008)。(4)シナプス形態の左右非対称性また、我々は錐体細胞がシナプスを形成するスパインの構造自体に対応するシナプス間で大きな左右差が存在することを発見した(Shinohara et al., PNAS, 2008)。右側より入力を受けるシナプスの方が左側より入力を受けるシナプスよりも大きなスパインとシナプス面積を持っており、perforated synapseやmushroom型スパインの頻度が有意に高い。(5)その他のシナプス蛋白質の総量の左右非対称性NR2BとGluR1以外で、CA1によく発現しているイオノトロピック型グルタミン酸受容体、すなわちNR1, NR2A, GluR2, GluR3については、シナプス密度に左右非対称性は存在しないものの、これらの量はシナプス面積に比例していることが明らかになり、右側より入力を受けるシナプスの方が面積が大きい事を反映して、総量としてはこれらのシナプスでより多く発現していることが明らかになった。これはほとんどのPSD蛋白質にシナプスに含まれる総量としての非対称性が存在する事を示唆している。同様の理由により、NR2Bに関しては総量としての左右非対称性は打ち消されていることが明らかになった。逆にGluR1の非対称性は強調されており総量で2倍以上の差があった。(6)シナプス左右非対称性の生理的意義上記のようなグルタミン酸受容体やシナプス形態の左右非対称性の生理的意義を調べるためにマウス脳を左右で分断し、右の海馬を主に使うマウスと左の海馬を主に使うマウスの間で空間学習能を調べたところ、右は正常と差がなかったが左では障害が認められた。この結果はマウスでもヒトと同じように空間学習機能は右脳優位であることを示している。これは、右海馬シナプスに長期増強現象の結果増大するGluR1が密度が高いことと一致する結果である。
著者
勝部 章人
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.A53-A64, 2003

アメリカ・ポピュラー・ミュージックのルーツを一般的によく言われる南部の黒人音楽であるブルースやゴスペルなどではなく、それとは別のカリブのフォーク・ミュージックへと辿る。1950年代、カリプソというカリブの音楽のブームがアメリカで巻き起こり、それがアメリカのポピュラー・ミュージックに大きな影響を及ぼす。しかしそれ以前にこの地域の音楽がすでに何らかの形で影響を与えていたのではないかを探るためにカリブ海の島の中から英語圏のジャマイカ、バハマとキューバを取りあげ、ニュー・オーリンズという他の町とは異なった当時の国際都市を通してどのようにアメリカへ影響を与えたかを考える。アメリカ・ポピュラー音楽の持つ屈託のない明るさという側面を作り上げた1つの要素はカリブの黒人のフォーク・ミュージックに由来し、その側面への影響力は南部よりこちらの方が大きかったことを議論する。