著者
天野 恒雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.242-257, 1968-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
太田 博孝 福島 峰子 真木 正博
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.525-529, 1989-05-01
被引用文献数
4

排卵障害に有効な漢方薬における卵巣直接作用のうち, とくにアロマターゼへの影響をラット卵胞を用いて検討した。卵胞はPMSG処理未熟雌ラットから分離した。また卵胞のアロマターゼ活性を阻害する目的で4-hydroxy-4-androstene-3, 17-dione (4-OHA ; 10^<-5>M) を用いた。各卵胞は培養液中で種への濃度 (10〜500μg) の当帰芍薬散, 桂枝茯苓丸, 温経湯, あるいはその生薬成分を加え, 24時間器官培養した。培養液中に4-OHA (10^<-5>M) を添加すると培養液中estradiol (E_2) 分泌量は対照群の38% (p<0.05) まで低下した。同時に上記漢方薬を添加すると, 100, 500μgの量でいずれもE_2分泌を有意に増加させた。このE_2分泌刺激作用がこれら漢方薬の構成生薬のいずれの作用によるかを知るため, シャクヤク, センキュウ, トウキ, ボタンビ, ケイヒにつき検討した。その結果シャクヤクのみがE_2分泌刺激作用を示した。シャクヤクはこれら3種の薬剤に共通に含まれる唯一の生薬であることを考えるときわめて典味深い。
著者
奥村 幸彦 金内 健 岡崎 健
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.702, pp.702-710, 2005-02-25
被引用文献数
1

The coal-pyrolysis experiment under elevated pressure conditions using a pressurized ther-mobalance has been carried out to clarify the mechanisms and the processes at conditions changing from normal pressure to higher pressure (10.6 ata) and from slow (0.1 K/s) to rapid heating rate (20 K/s). Simultaneously, a new pyrolysis model which can describe a pressure effect on the evolution behavior has been developed based on the FLASHCHAIN^[○!R] model including a quantitative estimation of the volatilized gases and released tar vapor. From the experiment, the tar vapor formation is suppressed and the yields of CH_4 gas shows increasing behavior at higher pressure conditions. Because the mole fraction of tar vapor decreased with the increase of the pressure by Raoult's law, and the recombination reactions of remaining metaplast (precursor of tar) within the coal are activated, resulting in more chars and more gas yields (CH_4, CO_2). At rapid heating rate conditions, the conversion from the metaplast to the volatile matter would be more active, because the reaction temperature range for thermal pyrolysis shifts to higher range with increase of heating rate. It was found that the rapid heating rate affects the molecular structure of the coal substantially.
著者
柄谷 友香 ピヤタムロンチャイ チャリダー
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
no.9, pp.167-176, 2007-11
参考文献数
25
被引用文献数
2

This paper provides the agenda for a future action plan for tourism industry based on the recovery process in southern Thailand from the Indian Ocean Tsunami for two years. We grasp the recovery process using the time-series number of tourists from foreign countries and have interview to owners and managers of tourism-related business like hotels about their own responses. As a result, we propose the six items, for example, some loan programs for reconstruction, a compensation system to foreign laborers, baseless and harmful rumors and countermeasures to them, etc.
著者
久保 純哉 井上 富雄 三瀬 敏朗 新屋敷 泰史 橋本 正明 片峯 恵一 鵜林 尚靖 中谷 多哉子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.326, pp.1-6, 2008-11-20

組込みソフトウェアの開発においては,システムの障害などを処理する非正常系が,開発規模の約7割を占めている.筆者らが既に提案している組込みソフトウェアの非正常系分析手法において,HAZOP(Hazard and Operability Study)のガイドワードは重要な役割を持っている.しかし,ガイドワードの体系は,未整理である.そこで,本稿は,要求された品質とその品質を実現するための機能の関係を示すQFD(Quality Function Deployment)と,ガイドワードの関係を考察する.
著者
岡崎 健伍 中村 勲 磯村 雅夫
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.47-54, 2006

We have developed an optical simulation method to predict the performance of heterojunction with intrinsic thin layer (HIT) solar cells. In this simulation, the energies of reflected and absorbed light in each layer are calculated using the wave equations of electromagnetic waves. The HIT solar cells have combined structures with thin and thick layers. Therefore, we have developed a simulation technique, in which interference effects occur only in thin layers and average intensity is considered in thick layers. The simulation predicts the amount of absorbed light in each layer of the HIT solar cells. The results show that TiO_2, antireflective (AR) layers enhance the current density by about 1.3mA/cm^2, and that one of the problems of HIT solar cells is the optical absorption in p, i and n-type amorphous silicon (a-Si) layers. In accordance with the simulation results, we have developed wide-gap hydrogenated a-Si by reactive sputtering using Ar-H_2 mixture gases. The simulation predicted that the current density of HIT solar cells can be improved by 1.5mA/cm^2 using the developed a-Si, compared with using the conventional wide-gap a-Si.
著者
米野 史健 中林 一樹
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.626, pp.833-838, 2008-04-30
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

This study aims to examine the scheme for restoration of condominiums damaged by the Earthquake of 1999 in Taiwan. An outline of damages for housing, support measures for reconstruction and repair of condominiums, the application situation of support measures, and the progress of reconstruction projects are surveyed and discussed. The results are shown as follows: (1) the government attached improtance to restoration of condominiums, various support measures are enforced and expanded in stages; (2) the semipublic foundation played the importance roles in supports, especially temporary loan for owners who participate in project and purchase of ownership from nonparticipants by the foundation are effective; (3) despite these wide and sufficient supports, an progress of reconstruction projects is very slow and there still remains many condominiums without being rebuilt seven years after the earthquake.
著者
鈴木 貴之
出版者
南山大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、現代の自然科学的世界観のもとで価値や規範にかんする実践はどのように変化するかという問題を、神経科学を具体例として考察することにある。本年度の研究では、前年度の研究成果をふまえ、神経科学の発展が司法制度に与える影響について考察を進めた。具体的には、論文「神経科学と刑罰」としてまとめた前年度の研究成果をもとに、この問題についてさらに考察を進め、神経科学の発展は現在の刑事司法制度に根本的な変化をもたらす可能性があり、さらには、自由や責任をめぐる常識的な世界観を揺るがす可能性もあるということを明らかにした。これらの研究成果は、2007年10月に南山大学社会倫理研究所で行った講演「脳科学と社会-司法制度への影響を例として」、2007年11月に日本倫理学会で行われたワークショップ「脳神経科学の倫理-ニューロエシックスの展開」における提題「脳神経科学と司法制度」として発表された。後者の内容は朝日新聞2007年12月14日29面でも紹介された。これらの成果は、信原幸弘編『脳神経倫理学の展望(仮)』(勁草書房、近刊)に収録の論文「脳神経科学と司法制度」として公刊予定である。また、本年度には、本研究の成果をもとに、南山大学における共通教育科目「モダンの系譜(科学の諸相)」で「脳科学と現代社会」と題した講義を行った。これは、大学学部レベルの授業で神経倫理学を紹介する日本で初めての試みと思われる。
著者
高橋 誠 海津 正倫 田中 重好 島田 弦 伊賀 聖屋 川崎 浩司 伊賀 聖屋 室井 研二
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

2004年スマトラ地震(インド洋大津波)の最大被災地、インドネシアのアチェ地域と中部ジャワ地震の被災地、ジョグジャカルタ地域を事例に、被災からの長期復興プロセス、特に生業・経済復興と災害文化の定着に焦点を置き、空間の改編から再生、普通の人々の被災経験、組織およびネットワークの再編の相互作用という視点からコミュニティベースの災害復興メカニズムを探ることによって、様々な社会-空間のスケールで機能する災害後復興ガバナンスの中にコミュニティを位置づける多層的復興モデルを導出するとともに、フォーマルな災害対応にインフォーマルな分権的アプローチを組み込む条件を指摘した。
著者
神山 孝吉 紀本 岳志 江角 周一 中山 英一郎 渡辺 興亜
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.30-40, 1994-03
被引用文献数
2

雪氷試料の化学的解析方法を, 現場運用環境を考慮しつつ検討した。現地で雪氷試料の化学的情報に接することができれば, 現場環境に応じてサンプリング間隔などを調整でき, 現場での研究活動に大いに貢献する。イオン交換性濾紙の利用は, 現場での雪氷試料の全ベータ放射能強度測定のための前処理方法の省力化・持ち帰り試料量の削減などに有効である。またイオンクロマトグラフィーを利用し, 微少量の試料で多種イオン(F^-, (CH_3COO)^-, (HCOO)^-, (CH_3SO_3)^-, (SO_4)^<2->, (C_2O_4)^<2->, (NO_3)^-)を分析する小型イオン分析システムを検討し, その機器構成と分析条件について議論した。さらに硝酸イオンの簡易測定システムについて問題点と有効性を考察した。このような方法を随時改良して行くことによって現場と同期した迅速な解析体制が確立可能である。
著者
境野 直樹
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

当初は近世英国都市喜劇群のコンテクストを補強する目的で開始された研究であったが、中世宗教劇にみられる神と人との契約、信仰の問題を離れ、人間相互の契約に潜む暴力的収奪の構図の来歴をさぐるうちに、「犯罪者」「秩序の攪乱者」がバラッド、パンフレットに繰り返し表象されつつも「外部からの侵入者」「他者」の記号を纏わされることで、巧みに共同体共通の敵として排除される構図が骨太に浮上してきた。そこでPedlers Frenchと呼ばれる犯罪者の隠語や、罪状に応じた犯罪者の呼称を記したパンフレットの夥しい再版の経緯をたどりつつ、そうしたローカルで些末なはずの出版物がやがてホリンシェッドの『年代記』を構成するにいたる過程に犯罪者を他者として排除する力の介在を、またバラッドがその性格上、古い世界の宗教的モラルに依拠しつつもスキャンダラスな同時代の出来事を記述することで、倫理観に生ずる揺らぎ、さらには演劇におけるpedlerがrite of misruleの司祭として、あるいはwise foolの系譜に連なる登場人物として機能するさまに、時代の動揺とバランスを模索する状況を確認した。さらに、諺を累積することで成立している物語詩が、バラッド同様その性格上古いモラルに収斂するかに見えて、新しい社会の価値観に揺れるさまをも確認することができた。本研究の鍵となる記号Pedlerは、本来物々交換の媒介者として古い経済体制を、そしてface to faceの人間関係の媒介者であったはずだ。そのpedlerが巨大な、それゆえ顔の見えない資本主義という怪物の棲む近世の大都会と出会うとき、彼が出会うのは、一斉に神に顔を向けるエヴリマンではありえない。そこには互いに反目し収奪しあう近代の人間たちの世界が待ち受けているのであり、そのすべての汚辱と悪を、外部からの攪乱者のレッテルとともに、彼は背負わされるのである。
著者
下郡 信宏 坪井 創吾
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1951-1959, 2010-09-15

英語を母国語としない人が英語で会話を行う際に,音声認識によって自動生成された英語字幕を提示すると,理解度が向上するか実験により調べた.55名の英語能力の異なる被験者に対しTOEICのリスニング試験を,音声認識特有の誤りを含む字幕を提示しながら行った.その結果,TOEICレベルC(470~730点)の被験者に単語正解精度80%以上の字幕を提示した場合に成績が有意に向上した.TOEICレベルCは日本人受験者の約半数が属するレベルであり,単語正解精度80%は現在の音声認識システムを注意して使用すれば達成可能な精度であることから,音声認識によって自動生成された英語字幕でも会話の理解を支援することが十分に可能であることが確認できた.We conducted an experiment to determine whether caption created by automatic speech recognition (ASR) will help non-native English speakers understand English conversation. 55 subjects with different English skill took the TOEIC listening tests while showing caption which includes recognition errors typical to ASR. There was significant difference when captions with accuracy more than 80% was presented to subjects with level C (score 470-730) on the TOIEC proficiency scale. Since about 50% of the Japanese TOEIC examinee fall under level C, and accuracy 80% can be achieved by current ASR technology, we conclude that caption generated by ASR is useful to non-native English speakers to understand English conversation.
著者
首藤 重幸
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

カリフォルニア州に進出した日本企業(牧揚経営)がおこした水質管理法違反の事件を素材にして、次の点を検討した。検討素材とした日本の親会社の基本認識は、子会社を設立する国や州の環境関係法令(本件の場合は、水質管理関係法令)を知らないままに、法律で禁止されている汚染物質を地表に散布し、民事的課徴金と刑事責任を追及されるということのようである。企業の海外進出には多額の投資を必要とし、様々な経営上のリスクが発生することについては十分な研究をして進出するのであろうが、進出場所での日本とは異なる環境法的規制の調査が不十分な場合に、どのような経営責任を追求されることになるかを、この事件は示している。そこから日本企業が海外に進出した際に発生するかも知れない環境汚染をめぐる様々なトラブル(これを環境行政リスクという)に対して、どのように予防的対策を講じるべきかの、日本企業が海外進出するさいの環境行政リスク管理ともいうべきものの必要性と内容が理解されることになる。さらに、上記の諸点の検討と並んで、日本人の役員、アメリカ白人のマネージャー、そしてメキシコ人の現場労働者という組織構成から、これらの間でのコミュニケーションの困難が、それが環境関連法規違反を導いたという事実があり、上記の環境行政リスク管理という観点からは、企業スタッフ間のコミュニケーションという点にも注目せざるを得ない。
著者
内田 千秋
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1 会計監査役の民事責任上のフォートについて会計監査役の一般的な任務(監査・証明)の性質は手段債務として理解されており、「同一の状況にある通常程度に注意力がある会計監査役」と当該会計監査役の行動とが比較されたうえで、フォートが判断される。そこで、本研究期間では、不正の事例と誤謬の事例に分類したうえで(不正の事例は、横領の事例と粉飾決算の事例とに分類される)、会計監査役の民事責任に関する判例の検討・分析を行った。横領の事例においては、法定監査の前提となる内部統制の評価を行ったかどうかを重視する傾向が見られ、隠蔽手段の巧拙、横領額の多寡・頻度がフォートの判断要素とされていることが明らかになった。他方、粉飾決算の事例では、隠蔽手段の稚拙・粉飾決算の期間・会社の経営状態などがフォートの判断要素とされていた。また、判例の全体的な検討により、会計監査役の監査は試査を原則とするも(その内容は職業基準により決定される)不正の何らかの端緒が発見された場合には行うべき試査の程度を高めるべきであると判断されてきたことが明らかになった。このテーマについては、近く「早稲田法学」(早稲田大学紀要)に投稿する予定である。2 会計監査役の民事責任における損害と因果関係について本研究期間ではまた、会計監査役の民事責任における損害・因果関係のうち、対株式取得者(株式譲渡・増資引受による)責任に関する裁判例について検討・分析を行った。特に、会計監査役の法定監査による計算書類の信頼性と、買収者側の買収監査(いわゆるデューディリジャンス)の必要性との関係に焦点をあてており、買収者が買収監査を行わなかった場合には、判例が買収者のフォートを認定し因果関係を否定しまたは損害賠償額の減額を行っていること等が明らかになった。このテーマについても、2007年内の投稿を予定している。