著者
東 潮
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

3世紀代の、『三国志』東夷伝諸国、5世紀代の『宋書』倭国伝諸国、3~7世紀代の中国・韓国朝鮮・日本古代の墓制(王陵・壁画墓)の比較研究によって、東アジア古代の王権をめぐる国際環境をあきらかにしえた。東アジア諸地域の諸国・諸民族はさまざまな政治的・経済的な国際関係、国際交流のなかで歴史的に発展してきたことを具体的に追求しえた。
著者
李 潔 作間 逸雄
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

国際基準SNAによって定義されるGDP統計は作成国の既存統計に全面的に依存し、各国が異なる推計方法を確立しているのが現状である。本研究は日中両国のSNAの導入経緯や統計制度、既存統計の相違を整理し、GDP統計の作成方法を考察した。また、帰属家賃の推計方法や実際の統計値を考察し、持ち家率が8割以上の今日でも中国の推計方法は本質的に変更していないことを問題点として提起した。さらに中国実質GDP推計に主に使用されるシングルデフレーション法のバイアスの問題について独自の考察を行った。本研究は中国を含め、発展途上国及びMPS体系からSNA体系への移行国のGDP統計の解明に一助になることを期待したい。
著者
斉藤 英俊 河合 幸一郎 長澤 和也
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、釣餌輸入にともなうヒッチハイカー種(非意図的輸入種)および寄生種の日本国内への侵入状況を調査した。1)ヒッチハイカー種および寄生種の出現リストの作成 小売店における調査の結果、スジエビ類にチョウセンブナを含む外来種や寄生性等脚類エビノコバンが混入していることを確認した。2)ヒッチハイカー種および寄生種の野外への侵入状況の解明 広島県瀬野川において、チュウゴクスジエビは3~7月に抱卵しており、繁殖していることが判明した。また、本種は、福岡県や神奈川県を含む7県で生息が確認された。さらに、東京都の河川においてスジエビ類に寄生するエビノコバンを確認し、その寄生生態を調べた。
著者
一ノ瀬 充行
出版者
島根医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

補体成分C5aはマクロファージにおいて走化性の亢進、スーパーオキサイド産生、IL-1・TNF放出促進作用等が知られている。チオグリコレート刺激により誘導した腹腔マクロファージにC5aを微少投与したところtonicとphasicの2種の外向き電流を生ずることが見出された。両成分とも逆転電位は外液K濃度に依存して変化した。KチャネルブロッカーであるキニジンとTEAにより抑制された。intermediate型のCA^<2+>依存性K^+チャネルブロッカーのキャリブドトキシンはphasic相のみ抑制した。外液Ca^<2+>を除去するとphasic成分は消失したがtonic成分は存続した。以上の結果よりC5aによる活性化に伴いCa^<2+>依存性と非依存性の二種のK^+チャネルが活性化されことが明らかとなった。神経修飾物質と考えられているニューロメジンCがマクロファージ貪食能を亢進したり、LPSの作用を増強することが知られており、神経系から免疫系への介在物質として作用することが考えられている。電気生理学的に検討したところ、ニューロメジンCにより外向き電流を生じた。しかし、その関連ペプチドであるニューロメジンB、ボンベシンやサブスタンスPで顕著な作用が認められなかった。外液K^+、C1^-依存性を調べたところ、K^+濃度変化にのみ逆転電位が変化した。TEA、キニジンにより弱いながら抑制されたが、アパミンやキャリブドトキシンによっては抑制されなかった。外液Ca^<2+>を除去したところ、完全に消失した。以上の結果、ニューロメジンCによって生ずるK^+電流はC5aによって生ずる二種のK^+チャネルとも異なるK^+チャネルを活性化することが明らかとなった。以上、二つの活性化物質の研究よりマクロファージ活性化過程において、K^+チャネルが活性化されることが電気生理学的に明らかとなった。
著者
清水 孝一 下岡 聡行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,市販の低周波電界治療器レベルの高電界を想定したELF高電界刺激による免疫調節の可能性を探ることを目的とし,基礎検討としてマクロファージの貪食能に対して及ぼすELF電気刺激の効果をin vitro実験で検討した.その結果,以下の成果が得られた.1.in vitro直接通電実験による実験パラメータの検討マウス腹腔マクロファージに通電したときの貪食能の変化を調べた.貪食の対象は蛍光ラテックスビーズとした.通電条件として,通電電流密度を10-100μA/cm^2,周波数を10-100Hz,通電時間を10sec-1hの間で変化させ,通電していないsham群の結果と比較した.何れの場合も通電した場合は明らかに貪食量は減少していたが,通電条件の差による明らかな違いはみられかった.2.in vitro変位電流実験系の開発体外からの電界刺激を想定し,変位電流によりマクロファージを刺激するための実験用セルを設計,製作した.電圧源として市販の低周波電界治療器のものを流用し,数10μA/cm^2の電流密度で刺激可能であった.3.in vitro変位電流通電実験による検討上記の実験系で,マウス腹腔マクロファージに変位電流刺激を印加したときの貪食能の変化を調べた.通電条件として,周波数を50Hz,通電電流密度を35μA/cm^2,通電時間を30分または1時間とした.フローサイトメトリーで貪食量を計測,評価した結果.通電によって貪食陽注のマクロファージの割合が減少すること,特に多量に貪食したマクロファージの割合が減少することが示された.本研究により,市販の低周波電界治療器レベルのELF電界がマクロファージの貪食能を抑制するの可能性が示された.マクロファージの貪食能の変化は,抗原提示を通じて免疫応答全体に影響を与える可能があると考えられ,高電界による免疫応答抑制の可能性があることが示唆された.
著者
山本 一博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

量子場の非局所相関の構造と曲がった時空に現れる熱的現象の関係をより深く理解するための研究と、それをより一般の系へ拡張する研究を進め成果を得た。初めに、量子場の非局所相関のより深い理解に関しては、量子情報理論の技術を応用した観点からの研究を進め、多検出器を導入した理論模型の研究を行なった。リンドラー時空において一定加速運動する多検出器模型を導入し、量子場と相互作用する多検出器系に4次元においても揺動散逸関係の一般化であるcorrelation-propagation-relation(相関伝播関係)が成立することを示した。この成果は、リンドラー時空から見た時の平衡状態で成立するエネルギーの流れに関する関係を示すものである。この関係が慣性系から見た時に非局所相関に起因する量子放射とどのように関係するかは今後の課題である。研究成果はPhysics Letter Bに掲載された。また、量子場の非局所相関の構造をより一般の系に拡張する研究に関しては、スカラー場の場合と同様にスピノル場のミンコフスキー真空を左右2つのリンドラー時空で構成される状態で記述するための研究を共同研究者と進めた。一般的な2次元リンドラー時空のディラック場を量子化しミンコフスキー真空をリンドラー状態のエンタングル状態として記述できることを4次元の場合に対して拡張する研究を行っている。カスナー時空とリンドラー時空の量子場を関係づけることによって、ミンコフスキー時空全体を部分的座標上に構成する場の状態を用いて、ミンコフスキー真空の非局所相関の構造を統一的に明らかにする研究成果として発表する予定である。また、カスナー時空とリンドラー時空ににおいて重力波であるテンソルモードの解析解をRegge Wheelerゲージのもとで発見した。
著者
尾田 十八 山崎 光悦 坂本 二郎 北山 哲士 酒井 忍 金井 亮 李 鵬 李 鵬
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,自然・生態系と調和した新しい材料,構造,機器,システム等の創生法を,生物に学ぶことによって確立することを目的としている.その方法は多様な生物の中で,特異性を有する生物にまず注目する.本研究では動物の例として繰返し衝撃負荷に耐える「キツツキ」を,植物の例としては,軽量であるが不燃性を示す「桐材」に注目した.そしてこれらの特性がどのようなメカニズムによって生じているのかを,主として力学的視点より明らかにした.これらの結果と,代表者らがすでに行って来ている竹や卵殻の構造・組織分析結果を含め,新しい構造設計および材料設計法の基本原理を提示した.
著者
井上 明芳
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

森敦文学について、代表作「われ逝くもののごとく」を中心に自筆資料を翻刻し、生成過程を明るみにした。同時に、本作品の舞台である山形県庄内地方の現地調査を行い、現地というリアリティから小説作品としてのフィクションを見出した。その際、現地の風習や方言などもあわせて調査し、作品の註釈とした。これにより、「われ逝くもののごとく」を庄内地方の文化資源として位置づけることができるとともに、本作品の読解を地理的に、註釈的に行うことを可能にしている。また、作品舞台の地図を描くこともできたが、それは単に文学マップを作るのではなく、森敦の文学理論「意味の変容」に基づくことであり、森敦文学の理論的構築を示し得た。
著者
浜辺 隆二
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

交付期間内の研究の目的は、HBS(ホームバスシステム)情報ネットワークに関する以下の内容である。(1) 7層適合性試験法を完成させ3層と7層の試験法をISDNを介した遠隔試験システムに発展させる。(2) ホームバスを利用したマルチメディア伝送実験を行い、将来のマルチメディアバスとしての有効性を検証する。(3) 新たな無線HBS方式を提案する。[目的(1)について]7層の適合性試験システムを改善し、ほぼ完成した。また、HBS-ISDN間のゲートウエイを開発し、ISDNを介した3層と7層の遠隔適合性試験システムとしてほぼ完成した(達成度90%程度)。これらの研究成果は、平成11年4月中にIEEE学会へ論文として投稿する予定である。[目的(2)について]新たな画像圧縮法を提案し、MPEG1と比較しその有効性を検証した。HBSは低速(64kbps)なので高速なIEEE1394(400Mbps)を考慮したインターネット(TCP/IP)とのゲートウエイを開発した(完成度70%)。[目的(3)について]本研究は、まずISDN及びインターネットを介したホームネットワークとして実現し、その後無線化することである。ISDNとインターネットのゲートウエイの開発は完了したが無線化(PHS)までは至らなかった(完成度50%)。今後はIEEE1394による高速ホームネットワークを構築し、ディジタルビデオカメラ等を接続し、インターネットやCATV網を介して動画像データや在宅診療ケア項目データを伝送し、遠隔ホームヘルスケアシステムとして開発する予定である。平成10年度と11年度の研究成果は、論文2編、国際会議3編、研究会3編、学会発表6編として発表した。また、遠隔HBS適合性試験法をまとめ、査読論文として電気学会(5月28締切)およびIEEE学会に投稿準備中である。
著者
渡辺 賢治 辨野 義己 山本 雅浩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

漢方薬の腸内細菌に及ぼす影響について明らかにするとともに、アレルギー発症抑制が腸内細菌の変化を介して可能であるかどうかを検討した。まず漢方薬が腸内細菌叢に対してどのような影響を与えるかを検討した。従来の培養法では細かい腸内細菌の変化を捉えることが不可能であったが、腸内細菌のDNAを制限酵素で切断して塩基長を解析するT-RFLP法を用いて解析した。その結果、漢方薬では処方ごとに腸内細菌をある一定の方向に変化させることが分かった。腸管遺伝子発現と腸内細菌との関連を調べたところ、抗生剤(シプロフロキサシン)投与にて腸内細菌が変化し、ヒートショックプロテインの発現が低下した。このヒートショックプロテインの発現は漢方薬十全大補湯にても変化し、腸内細菌の変化を伴っていた。腸内細菌のない無菌マウスではこの遺伝子発現の変化は観察されず、ヒートショックプロテインの変化には腸内細菌の存在が不可欠であることが示唆された。次に抗生剤投与モデルでアレルギーを発症しやすくなるかどうかについて検討した。まずは免疫寛容の系を確立するために予備実験を行い、卵白アルブミン10mgの単回投与にて免疫寛容の誘導できることが分かった。このモデルを用いて抗生剤(セフジトレンピポキシル、アモキシシリン、カナマイシン)を投与し、免疫寛容が誘導できないかどうかを検討した。カナマイシン投与にて少し卵白アルブミン特異的IgEの上昇が見られたものの、基本的に免疫寛容は抗生剤投与により破綻しなかった。しかしながら経口的免疫寛容を誘導しなかった群において、逆に卵白アルブミン特異的IgEの上昇が抑制されており、抗生剤投与にて何らかの免疫系の破綻を来たしていることが分かった。
著者
関沢 清久 手塚 光彦 福島 健泰
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ヒスタミンN-メチルトランスフェラーゼ(HMT)活性がモルモット及び人において、鼻粘膜を含む気道全体に存在することを生化学的、遺伝子学的手法で明らかにし、その産生細胞が粘膜上皮と血管内皮に存在することをHMTmRNAを染色して同定した。HMT阻害剤により、人気道におけるヒスタミンに対する収縮反応が増強され、又モルモット気道においてヒスタミン及び抗原-抗体反応による気道収縮や毛細血管透過性亢進が増強され、気道におけるヒスタミンの分解が主にHMTで行こなわれていることが示された。モルモットで、センダイウイルスを経鼻的に投与し、ウイルス感染をおこすと、気道上皮の脱落と共にヒスタミン吸入による気道収縮反応が増強された。ウイルス感染モルモットでは、気道のHMT活性が正常の半分以下に低下し、HMT阻害剤による増強反応がみられないことより、以前から人で観察されていた。ウイルス感染後の気道過敏性亢進は、気道上皮傷害に伴うHMT活性の低下による可能性が示唆された。以上より、HMTが鼻アレルギー及び気管支喘息の病態と深く関係していることが示された。私達は以上の基礎的検討を基に、人の腎臓からRNAを抽出し、cDNAのライブラリーを作成し、ラットcDNAプローベを用いて、人HMT遺伝子をクローニングした。これより、リコンビナントHMTの作成が可能になり、気管支喘息及び鼻アレルギーの治療に応用し得ると共に、人の鼻及び気道でIn situハイブリダイゼーション法によるHMT産生細胞の精細な検討が可能となった。
著者
星野 洪郎 清水 宣明 大上 厚志 藤木 博太 田中 淳
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

アジア地域でのHIV-1感染症の特殊性をタイのチェンマイ大学を共同研究の拠点として解析を行なった。タイには既に60万人の感染者がおり、その内2万人は子供である。HIV感染児では、大人より病気の進行が早く、治療効果の判定や薬剤の副作用の判定が早くできることがある。チェンマイ近郊には、HIVに感染した孤児を世話している国営の施設があり、経過観察や治療は、もっぱら国立病院やチェンマイ大学で行っている。文橡者の定期的な検査とその病態の関連をウイルス学的に解析してきた。このようにHIV感染小児の病態を解析しやすい体制を整えることができた。抗酸化物質にヒトのがんの発症を抑制する働きがあることが、多くの疫学的論文で報告されている。一方酸化ストレスやTNFαが、HIV-1感染症などの慢性感染症でウイルスを活性化させ、病気の進行を促進すると考えられている。抗酸化作用を持ち、TNFαを阻害する緑茶抽出物やアスタキサンチンなどの抗酸化剤は、HIV-1感染症の進行を抑える可能性が考えられる。これらについて介入的疫学研究を行う準備をしている。我々は、HIV-1感染の新しいコレセプターとして新しいコレセプターを同定し解析した。日本人感染者、タイの感染児の抹消血を用い、経時的に解析し、新しいコレセプターの臨床的、疫学的の意義を明らかにした。すなわち、HIV-1感染の新しいコレセプターとして、D6,CCR9b, XCR1およびFML1を同定し、解析を始めた。D6は、日本人血友病患者由来のsubtypeBのdual-tropic HIV-1、FML1はタイ、ベトナム由来のsubtypeAEおよびCのウイルスで利用した。これまでの研究期間の間に、タイの規則が厳しくなり、タイ人の試料は,許可なしには持ち出せず、国外持ち出しの手続きに長時間かかるようになった。緑茶抽出物をHIV感染者に投与するには、チェンマイ大学の倫理委員会に書類を提出しなければならないが、審査を受けるのに非常に時間がかかることが明らかとなった。現在手続きを進めている。
著者
岡部 卓 室田 信一 久保 美紀 西村 貴直 新保 美香 安藤 藍 三宅 雄大 杉野 昭博 金子 充 堅田 香緒里 圷 洋一 布川 日佐史 和気 純子 小林 理 乾 彰夫 長沼 葉月
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、貧困・低所得者対策である生活保護・生活困窮者自立支援・関連施策による方策(制度・政策およびソーシャルワーク)が「包摂型社会」構築にどのように寄与しているかを理論的・実証的研究を通じて検証し、今後とりうる方策を検討することである。以上の研究目的設定のもと、本年度は、フィリピン・マニラでの海外調査の実施である。欧米モデルとは異なるフィリピンでの貧困対策・社会的包摂の取組みの実際を検討するべく、St. Mary’s College Quezon CityのImelda Macaraig教授にインタビューした。また、海外での学会参加及び報告を行った。具体的には、福祉レジームと若者の移行に関する研究報告(Welfare Regime and Young people’s Transition to Adulthood: A Frame-work for Five Countties’ Comparasion)をJournal of Youth Studies Conference(オーストラリア、ニューカッスル)で実施した。その他、支援者へのインタビュー調査を次年度以降の本調査に向けてのプレ調査として、貧困、障がい、女性関連の施設職員(支援者)へのインタビュー調査を実施した。フィリピン調査、学会報告は、研究成果として報告書にまとめた。
著者
廣瀬 圭
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,スキー・ターンの運動を明らかにするための解析法の開発と実際の雪面を滑走するスキーヤーによる計測実験を行い,これまで示されていなかった新しい運動情報を示した.計測システムは,慣性センサ・地磁気センサを搭載した運動計測システムとGPSレシーバを搭載した滑走軌跡計測システムを開発し,得られた計測情報からスキーヤーの関節角度,滑走速度を推定する方法を構築した.計測実験は,カービングターンとスキッディングターンについて行い,運動解析を行うことによりターンの違いによる運動の違いを定量的に示した.
著者
佐々木 一彰 大谷 信盛 中條 辰哉
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

カジノを核とするIR(統合型リゾート)は経済的効果を生み出すものと期待されているが同時に社会的コストをも生み出すものという懸念もいだかれている。本研究においてはその経済的効果と社会的コストについて当該IRの誘致を試みようとしている各地方の状況、各地方におけるIRのコンソーシアムの組成なども考慮して経済的効果と社会的コストについて客観的なデータに基づき検証し、問題点を明らかにすることとする。
著者
宮本 基杖 立花 敏
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

木造住宅市場における消費者満足度と情報の関係について、住宅購入者と住宅供給者へのアン ケート調査(札幌市、つくば市)をもとに検討した結果、消費者が住宅に関する情報を十分に 持つことが、満足のいく住宅づくりにつながることを明らかにした。さらに、住宅購入におい て消費者が直面する情報の問題として、(1)限られた情報収集方法、(2)情報源の多くが住宅供 給者、(3)中立・客観的な情報の不足を指摘した。住宅市場の情報の問題を解消することが、住 宅満足度を向上させ住宅市場を活性化させる可能性を示した。
著者
菱田 邦男 HOANG TRONG SO HOANG T. S.
出版者
愛知学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

現代ベトナムの上座仏教における尼僧たちの存在形態について研究をした。ベトナムの上座仏教は、1939年にカンボジアで修行したベトナムの僧侶によってベトナムの南部にあるサイゴン市(現在ホー・チ・ミン市)に伝えられた。今回参考文献に基づき、現地の諸寺院を訪れ、聞き取り調査を実施し、次のことを明らかにした。現在ベトナムの上座仏教の活動地域は、中部のフェ市と南部のホー・チ・ミン市とその周辺に限られ、上座仏教の尼僧たちの存在もこの二つの地域に見られる。今回の調査で尼僧の人数が150人であることは明白に判った。フェ市における上座仏教の尼僧たち(8人)の修行道場は一箇所に集中し、在家信者として僧侶たちと一緒に修行をしているので、尼僧という名称は認められなかったようであり、「女修」と呼ばれるようになった。生活の面については、尼僧たちは殆ど自給自足であり、その宗派の信者からの布施は滅多にないようである。こうして生活の面で大変厳しい状態なので、初心者の弟子を受け入れることもできなくなるのは当然のことである。しかも、フェ市における上座仏教の尼僧たちは、大乗仏教の尼僧たちとの交流を全く進めていないので完全に孤立の状態にある。修行の面に関しては、尼僧たちは八戒しか伝授されていないので、女性の修行者の形態とみなされている。彼女たちは日常2回の坐禅と読経に専念するが、毎月2回八戒を再び伝授されることを僧侶の教団に求める。フェ市の尼僧と違って南部における上座仏教の尼僧たち(142人)は、特殊な形態を持って更に発展して盛んな様相を見せる。この地方の尼僧たちは5箇寺に集まって修行して入るが、特に福山禅院と宝隆寺における尼僧の場合は、フェ市の尼僧と同じように自給自足であるが、独特の修行法を持っている。修行の専門道場としての福山禅院では、尼僧たちは毎日殆どの時間を坐禅と経行で過ごすので、読経の時間は日課に見られない。そして彼女たちが毎日八戒の伝授を僧侶たちに懇請することは、フェ市の尼僧と違うところである。今回の調査で一番驚くことは、この禅院の修行に参加しているのは上座仏教の尼僧ばかりではなく、ベトナム大乗や「乞士派」の尼僧の姿が見かけられたことである。この三つの宗派の尼僧が一緒に修行することは、ベトナムでは絶対に考えられなかったことであり、戒律上や生活の面や宗教の違う点などというような様々な問題を乗り越えて一つの場所で生活しながら修行することは有り得なかった。このような交流は大変素晴らしいと実感した。宝隆寺における尼僧たちは、学習と修行との両面に重視している。特に注目すべきことは、その住職が尼僧たちに比丘尼の戒律を受戒させたい意向を持っていることである。実際にタイとスリランカに派遣されて受戒をした尼僧はいた。タイ・スリランカ・ミャンマーなどのような上座仏教の国々では、比丘尼の形を公的に認められていないので、これは深刻な問題になっている。尼僧の教団が発展できるか、社会的に活動ができるか、大乗仏教の尼僧教団と交流ができるか、比丘尼の戒律を受戒させることができるかどうかという諸問題には、ベトナム上座仏教の教団に大きな責任がある。
著者
原 久美子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

唾液腺マッサージの唾液分泌機能への効果を明らかにすることを目的に, 若年者と高齢者を対象とし, 唾液腺マッサージ直後の効果(短期効果)を調べ, 高齢者を対象に, 長期間, 唾液腺マッサージを行うことの効果(長期効果)について検討を行った。その結果, 若年者, 高齢者ともに短期効果が示唆され, 特に, 安静時唾液量の少ない者に有効であった。また, 高齢者においての長期間の唾液腺マッサージは, 安静時唾液量の維持および口渇感の改善に有効であった。2年間の研究により, 若年者, 高齢者に対する唾液腺マッサージによる唾液腺機能の賦活が示唆され, 唾液腺マッサージが口腔健康維持に役立つ可能性が示された。
著者
赤木 泰文 数乗 有 藤田 英明 小笠原 悟司
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成6年3月,名古屋市科学館と近くの高層ビルの地下電気室で相次いで発生したリアクトルの爆発事故は,「6.6kV配電系統から流入した高調波電流が原因」との調査結果が報告されている。このような高調波障害は,電力用半導体素子を使用したパワーエレクトロニクス機器の増加に伴って発生件数も年々増加し,現代社会の新たな"公害"として早期対応が迫られている。資源エネルギー庁は,平成6年9月30日付けで「高調波抑制ガイドライン」を電力・家電業界に通達し,高調波障害の解決に向けて大きく前進した。欧米においてもIEC555-1000(欧州)やIEEE519-1992(米国)などの高調波規制が施行されている。交流モータの可変速ドライブシステムや無停電電源(UPS)は,AC/DC電力変換器を必要とする。しかし,電源高調波規制に対応した従来の大容量AC/DC電力変換システムでは,1)スイッチング損失が増加する,2)高調波対策機器の価格が高い,3)良好な高調波抑制効果が得られない,などの問題点がある。本研究は,電源高調波規制に対応した大容量・高効率AC/DC電力変換システムの開発を目的とし,三相ダイオード整流回路と直列形アクティブフィルタを一体化した主回路構成と制御法に特長がある。本研究の成果は,以下のように要約することができる。1.直列形アクティブフィルタの制御法を開発し,その有効性をディジタルシミュレーションにより確認した。特に,制御系の遅延がアクティブフィルタの安定性に及ぼす影響について検討し,遅延の影響の少ない新しい制御法を提案した。2.直列形アクティブフィルタ(2kVA)を設計・製作し,ダイオード整流回路(20kVA)と一体化して,新しい制御法の有効性と高調波抑制効果を実験により確認した。3.スイッチングリプルを抑制するフィルタを設計・製作し,その有効性を実験によって確認した。2000年6月に,これらの研究成果をまとめた論文をIEEE/PESCで発表する予定である。
著者
根来 誠司 武尾 正弘 加藤 太一郎 竹原 一起 藤井 翼
出版者
兵庫県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

国内外でポリマーの再資源化やモノマーのバイオ生産が重要視されている。Arthrobacter sp. KI72株はナイロンオリゴマー分解酵素NylA/NylB/NylCにより、6-アミノヘキサン酸(Ahx)オリゴマーをAhxまで分解する。Ahxはアミノトランスフェラーゼ(NylD)によりアジピン酸セミアルデヒドに変換され、その後、デヒドロゲナーゼ(NylE)によりアジピン酸へと代謝されること、ⅱ)NylDについては2種、NylEについては20種の類似遺伝子が認められること、ⅲ)NylD1,NylE1を共役させた反応系により、Ahxは約90%の変換率でアジピン酸へ変換されることを明らかにした。