著者
柏崎 隼
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、細胞を物理的に二分する細胞質分裂のメカニズムについて、in vivoライブイメージングとin vitro再構成系の両方を駆使して包括的かつ詳細に明らかにすることを目的とする。平成29年度は分裂酵母のゴーストを用いた収縮環の収縮機構について、これまで成功している収縮環の単離に焦点を絞り、収縮環の構成因子や微細構造の解析を行った。効率的に収縮環を単離するため、単離方法を改良した。臨界点乾燥法や急速凍結レプリカ法による微細構造解析を進めている。グリッド付のカバーグラスを用いることで、蛍光顕微鏡で観察した場所を電子顕微鏡でも観察する光学-電子相関顕微鏡法による単離収縮環の観察について検討した。また、収縮環中のミオシン分子の配向を超解像顕微鏡により明らかにするため、光活性型の蛍光タンパク質を用い、配向がわかるように遺伝子工学的に改変したミオシンを発現する分裂酵母株を作製し、超解像顕微鏡観察を行った。細胞質分裂において、隔壁形成に重要な役割を担う細胞内小胞輸送に関わる因子の変異株についての解析も行った。この変異株では細胞形態に異常がみられるが、エンドサイトーシスやエキソサイトーシス関連因子の局在を調べたところ、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路に異常がみられることがわかった。細胞質分裂にも異常がみられるが、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路と細胞質分裂の関係についてさらに解析を進めている。
著者
四方田 千恵 白水 紀子 赤松 美和子
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

「台湾文学における日本表象の相互性について―日本・韓国・中国文学を視野に入れて―」というテーマのもと、台湾から楊智景(中正大学)、黄美娥(台湾大学)などの気鋭の研究者を迎え、3年間で3回の国際ワークショップを行った。さらには日本統治時代を舞台とした甘耀明の大作『鬼殺』の翻訳を刊行し、甘耀明を迎えての国際シンポジウムも行い、研究成果を社会に還元した。その他、7回の国際学会を含む国内外の学会で合計13回の報告を行うなど研究成果を積極的に公開した。
著者
黒木 貴一 磯 望 後藤 健介 宗 建郎 黒田 圭介
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、国内の都市河川の御笠川、大分川、大淀川、白川を対象とし、地形図、空中写真、衛星データなどの時空間地理情報をGISで用いて、それらの氾濫原の土地条件とその変化を明らかにした。また過去に災害が生じた場所の土地条件も検討した。この結果、氾濫原に対し時空間地理情報を用いる解析では、堤外の土地条件の分布とその変化の特徴から、都市域の自然災害の量的・質的評価ができることが示された。またこれら解析方法は、海岸平野及び海外の氾濫原にも応用できることを確認した。
著者
齊藤 隆志
出版者
東日本国際大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的はスポーツイベント経営を成功させるマーケティング要因を明らかにすることである。平成12年度では、いくつかの要因なかでもプロダクト要因が重要であり、そのプロダクトの質の向上を戦略的に目指していくプロデュースが最も重要な戦略であることが理論的に導かれた。スポーツプロデュース論において、人々のスポーツとの関わりは、本人が主体的に価値創造していく人間的成長の過程と考えられ、その手法は地域内で自発的発信される情報をコントロールすることであることがわかった。13年度はプロデュース論をさらに深め、スポーツに対し受動的な関わりと捉えられがちな、みるスポーツにおいても人々が主体的な関わりを目指したプロデュース論を展開し実証することをねらった。加えて成功しているプロスポーツチームの経営が地域密着を目指していることに着目し、地域住民がみるスポーツとしてプロスポーツを観戦する場合を念頭に置いて考察した。結果、観戦者は、スポーツ観戦を通じて、JリーグやIOCといったスポーツ組織が考えるスポーツ価値とは別に、観戦によって独自の意味解釈をし、主体的に彼らなりに価値づけていることがわかった。しかもそれは、社会的に認められる善良な価値ばかりでなく、大衆的価値である場合が多い。それは日常生活とつながりのある自分なりの解釈を行うということであり、自分なりの価値を見いだすことで主体性の感覚や自尊心を確立していると理解できる。一方、マーケターが経営活動を正当化するために主張するマーケター側の価値(Jリーグ百年構想やオリンピック運動)と、観戦者が主体的に意味解釈する価値とのギャップ構造を説明し、政治的にどのように施策を考えればよいかを議論しなければならなくなった。この関わりを促すためのプロデュースとは、地域内の情報流通を促し、その情報の質を上げるためのサポートに主眼を置かれるべきだと結論づけられる。
著者
渡辺 秀樹 大森 文子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英語の動物名で人間比喩義を持つものを類ごとに全て収集・リスト化し、イヌ科、ネコ、鳥類、昆虫の人間比喩用法、代表的詩人の動物名使用の特徴について研究論文を発表した。本研究では動物名の縁語も含めて人間比喩用法における動物名の類義・対義のグループや複雑な構造性を明らかにしたが、このメタファーの構造性の提示が本研究の成果であり学界でも注目された。その成果は既に日本英語学会全国大会シンポジウム「これからのコロケーション研究」の講師として口頭発表し、今後『英語動物名メタファーの構造と歴史』(仮題)という学術書に記す。
著者
細谷 孝博
出版者
星薬科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

Pokemon(POK erythroid myeloid ontogenic factor;LRF,FBI1,ZBTB7A)は、転写抑制因子で、肺がん細胞における過剰発現が、発がんまたはがんの維持に関与していること報告された。このPokemonによるシグナル伝達を阻害することが、がん治療薬につながると考えられており、本研究では、天然資源よりシグナル伝達阻害剤を得るための評価系の構築、天然資源のスクリーニングを行なった。本期間において、細胞を用いた評価系の構築とスクリーニングが終了した。
著者
土屋 紀子 後藤 勝正
出版者
豊橋創造大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

地域健康女性の尿失禁は、わが国においてほぼ30%前後の発症率からの改善策必至で尿失禁予防の効果的セルフケアの探究を尿失禁者35(平均年齢63.6歳)に運動手法評価で実施した結果:ダンベルとJOBA選択者に禁制効果を得た。質的研究手法では、尿失禁の開放感と仲間との連帯感、それとヘルスプロモーションの具体的学習コーチングによりセルフケアの向上にむすびついたことが抽出された。
著者
内海 敦子 JUKES Anthony LESTARI Sri Budi PAAT Hendrik
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

最終的な遂行後の文章私の研究題目は「インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化」で、平成23年度から平成26年度の四年間にわたって以下の三つの活動を行った。第一に会話やナラティブ・スピーチなどの自然言語、及び芸能や儀式など文化活動の映像・音声データを採集しアーカイブ化することで、同時に申請者の研究成果を英語で出版する。第二に現地および他国の研究者と共同でそれらの言語の記述を進め、大量のデータを活かした言語の多様な側面の分析を行うこと。第三に民族語からインドネシア語マナド方言への言語シフトと言語態度に関する社会言語学的調査を行うことである。
著者
中井 宏
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

自動車運転技能については、経験が長いはずの高齢ドライバーほど不安全な運転を行っていることが明らかとなった。40歳代から運転技能の低下傾向が示され、高齢ドライバーの交通事故防止には、中年期からの対策が必要と言える。また民間バス会社の事故記録を分析したところ、経験年数が3年以内の乗務員が全体の事故の約40%を占めることから、経験の短い乗務員に対する対策が重要であることが示された。船舶操船者の技能については、乗船中の感情傾向を自己理解のための教材と、ストレッサーに対するコーピング例を示したリストを作成した。
著者
朴 美貞
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

「朝鮮博覧会(1929)」を契機に日本国内における「文化住宅」の朝鮮への受容と展開、京城の都市計画を中心に異文化統合に至る「植民地都市」の特質を解明した。植民地研究における非文字資料に関する史料的価値を見出し、コレクターや研究者を中心とする共同研究会を主宰した。これによりコレクターと研究者の間の乖離を把握し、相互の協力体制を整えながら非文字資料に関する評価と活用に関する将来的・総合的視点について調査・検討を行った。
著者
木村 宏恒 大坪 滋 長田 博 北村 友人 伊東 早苗 新海 尚子 内田 綾子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、「開発途上国における貧困対応総合政策の学際的研究」と題し、これまでの経済学中心の国際開発研究の世界を止揚し、開発政治学、開発社会学、教育と開発といった諸側面から総合的に国際開発にアプローチした。貧困削減を例にとって、真に学際の名に値する途上国貧困対応の総合政策を明らかにすることを通じて、開発学の学際的構築についての展望を示すことをめざした。3年目には、締めの国際シンポジウムも行い、国際開発研究科の紀要で特集を組んだ。結論として、現在の国際開発の綱領的文書になっている国連2000年決議「21世紀開発目標(MDGS)は、貧困・基礎教育・基礎保健といった社会開発中心の構成になっているが、構造的に貧困を減らし、その目標を達成する要因は、第一義的に経済成長であり、第二にその経済成長の枠組みをつくるのは政府の役割(ガバナンス)である。政府の対応能力が欠けると経済成長はできない。また、経済成長が第一と設定される故に、貧困削減の切り札のように言われる貧困層への小規模金融は、その重要性を認識しつつも、中小企業振興政策や農業開発政策一般より重要性は低いと位置付けられなければならない。教育投資はもちろん重要であるが、それによって生み出された人材が、経済成長の中で適所に配置されなければ、改革前の共産国(中国、ベトナム)やスリランカ、インドのケララ州のように「高い人間開発と低い経済成長」と特徴づけられることになる。教育立国は、政府の役割に支えられた経済成長の中で生きてくるという点を確認した。
著者
今内 覚 大橋 和彦 村田 史郎 田島 誉士
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

増加する牛白血病ウイルス(BLV)による地方病牛白血病は、現在、日本の畜産生産上深刻な問題となっている。本研究ではBLVに新規感染した牛の感染源と媒介昆虫対策による感染阻止効果について検討した。新規感染した牛のBLV遺伝子(env遺伝子)を解析した結果、BLV陽性牛群内でリンパ球増多症を呈するウイルス量が多い牛の遺伝子と一致し、BLVの感染伝播においてハイリスク要因であることが示唆された。一方、吸血昆虫対策を実施した結果、新規感染は認められなかった。このことから、高ウイルス保有牛は感染源になりやすいこと、および昆虫対策は感染伝播阻止に有効であることが示された。
著者
山口 扶弥 藤野 成美 梯 正之
出版者
広島都市学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

出産後5日~6ヶ月に母親のうつ状態を縦断的に調査し,産後支援のあり方を検討する.研究協力が得られた産婦人科に通院中の妊婦に無記名自記式質問紙調査を実施.調査項目は母親の抑うつ傾向,生活上の困難,必要な支援等とした.分析方法は日本語版EPDSを用い,従属変数をうつ傾向有無,独立変数は各質問項目とするロジスティック回帰分析を行った.配布数170名,有効回答は101名(回収率59.4%).うつ傾向の者は,産後2週間で20.8%,5日で19.8%と多かった.産後5日は母親自身の気持ちや体調が影響しているが,産後14日は生活環境,子どもを世話する上での悩み等に変化し,初産婦はうつ傾向になりやすかった.
著者
中込 四郎 江田 香織 小谷 克彦 浅野 友之
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、アスリートの現実適応(パフォーマンス向上)と個性化(心理的成長)との関係性について明らかにすることを目的に、次の下位研究課題を設定して取り組まれた。(1)内界探索型メンタルトレーニングプログラムの有効性、(2)アスリートの自己形成における「対話的競技体験」の持つ意味の検討、(3)「コツ」獲得に伴う内的変容。これらの検討課題から、アスリートの現実適応と個性化との間には共時的関係性が認められることが明らかとなった。
著者
木本 喜美子 千葉 悦子 宮下 さおり 勝俣 達也 高橋 準 中澤 高志 萩原 久美子 野依 智子 早川 紀代
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、地方圏における女性労働史の実態調査による事例研究から、戦後日本の<女性労働と家族>の史的再構成への視座を得ることをめざしている。方法的関心は、近代家族論と階級・階層論を女性労働史に接合することにおかれる。具体的には、大手機業場を擁した福井県勝山市の織物産業における女性労働者に焦点をおき、その生活史の考察が中心となる。すでに調査を終えている零細機業場の集積地帯、福島県川俣町の事例も比較検討の対象として取り上げる。以上を通じて、主婦化が進展したとされる高度成長期に、結婚・出産後も継続的に就業する女性のライフコースが成立していたこと、およびその家族的諸条件および地域的特性を明らかにした。
著者
榎本 美香 岡本 雅史 串田 秀也 山川 百合子 松嶋 健 高梨 克也 松岡 恵子 小谷 泉
出版者
東京工科大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、統合失調症や高次脳機能障害という病名が与えられた人々(the Communication Handicapped; CH)が個々に持つ社会的・個人的属性や会話の個々の構成物(発話や身振り)の相互作用が作り出すコミュニケーションシステムにおいて、コミュニケーションギャップが検出され、排除/吸収されていく過程のメカニズムを解明した。
著者
西村 純 伝 承啓 杭 恒栄 山上 隆正 矢島 信之 広沢 春任 HENG-RONG Hang CHENG-QI Fu
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

日中横断大洋気球実験は、宇宙科学研究所と中国科学院との共同気球実験として昭和61年度より3か年計画で始まり、昭和63年度が最終年度であった。昭和61年度は2機のテスト飛翔実験を行った。昭和62年度は、銀河赤外線の観測および成層圏一酸化窒素の観測を目的の科学観測気球を2機放球した。昭和63年度は、日中共同気球実験の最終年度であり、当初日本側2機、中国側2機の計4機の気球実験が計画され、赤外線の観測、銀河X線の観測、宇宙一次電子の観測および恒星赤外スペクトル観測が行われた。上記の前者3機の気球は、正常に飛翔し、所期の目的を達する事ができたが、恒星赤外スペクトル観測気球は高度24.7kmで突然降下し始めたため、指令電波を送信し、観測器を内之浦町の山中に緩降下させた。昭和61年度から合計7機の気球が東シナ海上空を横断し、中国本土まで飛翔することに成功した。平成元年度は、過去3年間に収得した飛翔デ-タおよび観測デ-タの解析および検討の年度とし、日中両国でそれぞれ独立に解析し、その結果を持ち寄り検討会を開き総合的に評価し、今後の日中両国の気球実験の発展に寄与することを目的とした。また、3年間の気球飛翔実験の実施に際しての会計・契約・機材輸出入上の問題も含めて実験全体のまとめを図ることを目的とした。日本側より矢島教授および松本契約課長が中国を訪問し、3年間に実施した日中大洋横断気球飛翔実験で得られたデ-タの解析とまとめ、および中国側が実施した観測器の回収・輸送作業の実情調査を行う、日中共同気球実験の成果を明確にするとともに、更に飛翔デ-タおよび観測デ-タの詳細な復調および解析検討が必要であることを明かにした。また、今後本プロジェクトを発展させ、日本側観測器を中国で放球・回収する国際共同研究の可能性を併せて検討した。中国側より上記検討の結果、上海天文台の伝助教授、空間科学応用技術中心研究所の〓高級工程師、紫金山天文台の杭助教授および劉高級工程師が来日した。伝助教授および劉高級工程師は収得した銀河赤外線観測デ-タの解析を宇宙科学研究所の大型計算機を用い詳細な解析を行った。その結果、土星の観測デ-タを基に銀河中心の赤外線による構造を明かにした。杭助教授は独自で開発し気球に塔載した高圧Xe比例計数管で得られた白鳥座Xー1結果と気球に相乗りした大阪市立大学の無機シンチレ-タ検出器の結果とを詳細に検討し、白鳥座Xー1から発生する硬X線のエネルギ-スペクトルおよび時間変動を明かにした。〓高級工程師は3年間の飛翔デ-タの復調・解析を行い、中国製気球基本搭載機器であるテレメ-タ、コマンド、PCM装置およびラジオブイの性能および日本製搭載機器との比較検討を行った。また、今後の気球基本搭載機器の改良および改善について総合的に討論を行った。
著者
辻 吉祥
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、〈近代〉日本における最も包括的なイデオロギーである「社会進化論」「優生思想」と、その文学に与えた影響、相互浸透関係を明るみに出すことを眼目とする。国際的視野でその実証資料を収集する一方、明治・大正期の解放思想・文学が、今日の発想からは死角となる形で自然史的思考の侵蝕を受けており、文学的〈近代〉における「社会」性が今日からする定義とは異なること、その経緯の重要な諸点を明確にすることができた。
著者
馬 立秋
出版者
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

先行研究では両下肢にがん細胞を移植した担癌マウスを用いて、炭素イオン線の局所照射によって遠隔に存在する照射されていない腫瘍からの転移の抑制が認められた。本現象の一般性を確認するため、癌腫またはマウス系統を変えて同様な実験を行い、転移抑制が認められた。しかし、両下肢にがん細胞を移植した担癌ヌードマウスの片足のみに炭素イオン線照射を行ったが、遠隔腫瘍由来の転移の抑制は認められず、本現象が免疫応答を介したことが明らかになった。また、光子線も炭素イオン線ともに、照射による遠隔腫瘍からの転移抑制が認められた。この結果より、炭素イオン線以外の放射線でも照射による遠隔腫瘍からの転移の抑制が誘導される。
著者
梶原 理絵
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

背面開放端座位時に覚醒度へ働きかける効果的な手掌への刺激についての検証を行った。その結果、安静仰臥位から背面開放端座位に姿勢を変化する時に、他力的に手掌へ刺激を与えることは、脳への刺激として有効であることが明らかとなった。また、タオルを握るという行為は、指示に従うという課題を課せられることにより、覚醒度が上昇し、安らぎ感をも得られることが分かった。さらに、捏ねる作業に課題が大きくなると交感神経活動が活発になり、気分も活性した状態になることが分かった。これらのことから、意識回復に効果があるといわれている背面開放端座位ケアに加えて手掌への刺激を行うことは効果的であると示唆された。