著者
高橋 弘 山内 克典
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.チョウセンゴミシ雌花、雄花ともに約1週間の寿命を保ち、柱頭もその間receptiveのように見えた。双翅類と鞘翅類の多種多様な昆虫が有効なポリネーターであるとともに、アザミウマも重要なポリネーターであった。これらのことから、この種はジェネラリスト型の受粉様式を持つと言える。自家和合性があることが分かった。2.マツブサ雄花は1日の寿命、雌花は開花2日目の夕方までに花被片を落下させる。主要なポリネーターはタマバエ(種は未同定)であった。マツブサは雄花の雄蕊群と花被片、及び雌花の花被片をタマバエの産卵場所として提供する共生関係にある。開花期間は2週間以内で、一度に多数の花を咲かせた。タマバエは開花期間中、世代が変わるように見えなかった。3.サネカズラ雄花は1日の寿命、雌花は開花2日目の夕方までに花被片を落下させ、主要なポリネーターはタマバエ(種は未同定)であり、雄花の雄蕊群と花被片、及び雌花の花被片をタマバエの産卵場所として提供する共生関係にある、という点でマツブサと同様に受粉様式をもっていた。しかし、タマバエの種類は明らかに異なる。開花期間は2ケ月に及び、少しずつ花を咲かせた。また、開花初期は雄花のみが開き、雌花は1週間以上後に咲き始めた。タマバエは約10日で世代交代をするので、開花期間中数世代が出現すると思われる。4.シキミ花は両性で、10〜20日間寿命があり、初めの1/4〜1/5の期間が雌性期、残りが雄性期であった。鞘翅類と双翅類の多種多様な昆虫が主要なポリネーターで、膜翅類の昆虫も受粉に貢献すると思われる。従って、これはジェネラリスト型の受粉様式を持つと言える。自家和合性があることが分かった。
著者
中村 譲 山形 洋一 高岡 宏行 高橋 正和 OCHOA A. J. Onofre MOLINA Pedro A. 高橋 弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.51-58, 1981
被引用文献数
3

国際協力事業団のグアテマラ共和国におけるオンコセルカ症の研究と防除プロジェクトは1976年から5年計画として開始された。その昆虫学部門は, エスクイントラ県サンビセンテパカヤ郡のパイロット地区の北部を流れるラバデロス川流域において最初のブユ駆除をおこなった。対象種はSimulium ochraceumとし, テメフォス10%固型剤を水量0.5l/secあたり2g投入することを2週ごとに繰り返した。作業は1979年3月下旬より開始され, 同年5月末までの結果につき報告した。同川には支流が21本あり, 支流上流部で水量0.1l/sec以上の流れのすべての水源と, 途中で2倍以上に水量が増加する点とを殺虫剤投入点としたところ, 5月末現在で投入点は57カ所となった。投入薬量は合計242gであった。作業量は2人1組で乾季で1日半であった。殺虫剤投入前に19支流調査して11支流にS. ochraceum幼虫が存在したが, 2回目の殺虫剤投入後には21支流中4支流のみで同種幼虫が見いだされた。幼虫定期観察のための2カ所の定点においては, 10分間採集法でも人工基物(シリコンチューブ)法でも1∿5週後に幼虫はゼロになった。成虫は, 殺虫剤投入2∿4週間前に人囮3時間採集法で286∿403個体採集されたが, 徐々に減少し, 5月かには6個体になった。テメフォス固型剤は, ブユ幼虫に対する高い有効性とともに作製, 保存, 運搬, 投入などの点から野外での実際の散布計画でも有望と思われる。
著者
森山 学 高橋 弘一 中山 悠
出版者
八代工業高等専門学校
雑誌
八代高専紀要 (ISSN:0911761X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.41-48, 2006-03-01

Some school buildings of a circular type are demolished at present. A purpose of this study is to historically position a circular type of school building which spread in showa 30's. This paper clarifies reasons why the type spread and declined. Specially the theory is developed about an architect Kanao Sakamoto who advocated the type on paper. The reasons why it spread are as follows. 1. It became feasible to construct it legally, economically and technologically. 2. The theory of Mr. Sakamoto met the needs of the times. 3. He designed many buildings of the type. 4. The type was acknowledged as one of the current against a standardized plan of school building. The reasons why it declined are as follows. 1. The type designed by other architects were criticized. 2. The type designed by Mr. Sakamoto became another standardized plan. 3. The newer stream, which laid stress on activity and life of children, became the main.
著者
柿本 陽平 大前 佑斗 豊谷 純 原 一之 高橋 弘毅
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.77-89, 2023-07-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

2021年9月現在,COVID-19が世界的に流行し日本の外食産業においては,店舗の営業形態が強く制限されている.多くの飲食店はガイドラインに従った感染予防対策を講じており,特に顧客同士の物理的距離が保てるような座席表を作成する,という手法がよく見られると思われる.しかし感染リスクを削減する座席割当は,店内の混雑状況により常に同一とは限らない.そこで本研究は,店舗運営者が感染リスクを単一のパラメータθにより定量的に調整することができる座席割当モデルを提案する.パラメータθは店舗内の空間全体に対する感染リスクの閾値となる.提案したモデルを仮想の飲食店に適用した結果,店舗の収益損失を減らしつつ感染リスクの削減効果が期待できること,単一のパラメータにより感染リスクと収益を調整できることが確認された.
著者
上野 耕平 里見 知昭 高橋 弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00251, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

軟弱な災害発生土を被災地から搬出する際に,高吸水性ポリマーを添加して流動性を低減させる手法が注目されている.搬出された災害発生土は改良され地盤材料に再利用されることが望ましいが,内包される高吸水性ポリマーの吸水膨張が改良土の耐久性に及ぼす影響は明らかにされていない.本研究では,塩化鉄との反応によって高吸水性ポリマーの吸水膨張を抑制する手法を検証した.さらに,既存の軟弱土固化処理技術である「繊維質固化処理土工法」により得られた改良土を用いて乾湿繰返し試験を実施した結果,内包される高吸水性ポリマーの吸水膨張により改良土の耐久性が低下すること,また,塩化鉄の作用により高吸水性ポリマーの吸水膨張が抑制され,改良土の耐久性の低下を抑制できることを明らかにした.
著者
高橋 弘 由利 和也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

うつ病は、様々な症状が複雑に絡み合っている病気であり、病態を正確に捉えることが困難である。また、うつ病は、慢性ストレスにより神経の可塑的変化(シナプス減少など)を引き起こし、通常の神経回路と異なる可能性がある。そこで、本研究は、慢性的に敗北させたうつ病モデルマウスを用い、各うつ症状がどの様な神経活動により起こるかを明らかにする。また、ストレスによる神経可塑的変化が、グリア型グルタミン酸トランスポーター減少を介して、グルタミン酸過剰により引き起こされるかを明らかにする。これらの成果は、新しいうつ病の発症機序を実証し、うつ病の病態解明・診断・治療に貢献する。
著者
半貫 敏夫 高橋 弘樹 石鍋 雄一郎 佐野 雅史 平山 善吉 Toshio Hannuki Hiroki Takahashi Yuichiro Ishinabe Masashi Sano Zenkichi Hirayama
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2A, pp.490-503, 2002-09

南極昭和基地で約29年間使われてきた居住棟の主要構造部品、屋根、壁、床の各木質パネルの耐久性を評価するための曲げ強度試験を行った。その結果外気に接するパネルの構成材に部分的劣化が認められ、それが構造強度に影響していることが確かめられた。パネルの強度は総体的に落ちているとはいえ、設計強度はまだ十分に維持しており、南極で安全に使用できる構造性能を保っていることが確かめられた。 実験結果を整理すると、南極のような極限環境にある木質サンドイッチパネルの耐久性設計では、表面合板の保全が構造上最も重要な課題であることが分かった。
著者
清水 肇 高橋 弘治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.835-840, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

沖縄の戦争遺跡の実態と可能性の検討を通じて、歴史的環境における「負の遺産」がいかなる可能性を有しているかについて考察した。戦争遺跡には軍事遺跡、戦闘・戦災遺跡、戦時遺跡の三種に区分できるが、日本本土に比べて戦闘・戦争遺跡の占める割合が高いことが沖縄の特徴である。沖縄の戦争遺跡における複合的な意味、あるいは地域における様々な文化遺産との関係で、戦争遺跡は戦争で喪失したものを想起させ、戦後復興の過程を想起させる役割を持てる可能性がある。
著者
中駄 邦博 高田 尚幸 高橋 弘昌
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.176-182, 2012 (Released:2013-03-31)
参考文献数
37
被引用文献数
2

本稿では核医学検査とCTを中心に,副甲状腺機能亢進症の画像診断の最近の動向について述べる。MIBI SPECTとCTの融合画像は各々のmodalityの限界を相補って,腫大副甲状腺の局在を正確に示すことができるので,手術成績の向上に貢献することが期待される。
著者
真貝 寿明 鳥居 隆 島野 顕継 高橋 弘毅 伊藤 洋介 西口 敏司
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

アインシュタインが一般相対性理論で予言した重力波は,100年の時を経て実際に観測できる技術が確立した.2019年末からは日本のKAGRAプロジェクトも実観測に入ることから,重力波観測は,物理学から天文学へと学問の域を広げていく.本研究では,未知の重力波を捉える方法開発・効率のよい波源天体のパラメータ推定法の開発を行うとともに,分散型コンピューティングを利用して科学のアウトリーチ活動も推進する.
著者
池田 友和 大脇 渉 高橋 弘太
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-109, no.2, pp.1-6, 2015-10-31

スマートミキサーは,複数の入力信号を時間周波数平面に展開し,平面上の局所領域において非線形な混合処理を行うことで,使用者の優先させたい音を目立たせた混合出力を得ることのできる新しい音信号混合法である.従来のスマートミキサーは,音声と BGM の混合を対象とした局所的な処理であり,楽音同士の混合については検討されていなかった.本研究では,楽音同士の混合を対象として,スペクトルの全体構造に基づいた処理を行い,協和性理論を規範とし,調和の取れた混合出力を得るミキシング手法を提案する.提案手法でのミキシング結果を聴取実験と不協和度によって評価し,楽音同士の混合における,スペクトルの全体構造に基づいた処理の不協和感の緩和への有効性を確認した.その結果,440Hz 以下の半音音程の不協和な定常音について,不協和感の緩和効果があることが確認できた.
著者
鈴木 庸夫 高橋 弘志 梅津 和夫
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

現在、突然死の死因のうち半数強が心臓疾患によるものであり、その中でも半数以上は冠動脈硬化症による虚血性心疾患である。そこで、平成7年度から3年間に、主としてイヌを用いて虚血性心疾患のモデルを作成し、致死的不整脈の発生機構と超早期心筋梗塞の証明法を見出す目的で本研究を行った。平成7年度及び8年度では、イヌの虚血性心疾患のモデルを用いた実験で心室細動は冠動脈結紮後15〜30分の間で最も誘発され易くなり、その後は徐々に誘発され難くなることが明らかになった。またルクソールファストブルー染色法の改良法では、虚血後15〜30分位のものでも虚血部位の収縮帯が証明され、この方法を用いると心筋梗塞後15〜30分でもその証明が可能で、突然死の心筋梗塞の診断に有用であることが判明した。これらのことをふまえて、平成9年度は突然死の解剖例で死因が明確にされなかった、いわゆる原因不明の突然死の例で、ルクソールファストブルー染色法の改良法を用いて組織染色を行ったところ、そのうちのほとんどで死因が虚血性心疾患であることが明らかにされた。
著者
山内 忠平 高橋 弘 安藤 昭弘 今石 延子 野村 達次
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.31-38, 1967-04-30 (Released:2010-12-09)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

低温 (10℃) , 常温 (25℃) , および高温 (35℃) 環境に暴露したICR-JCLマウスを用いて, Pentobar-bital, Adrenalin, Acetylcholineの致死作用に対する環境温度の影響について検索した。また, 各温度下で上述の薬物を投与したときの心電図, 心拍数, 呼吸数, 血圧, および体温の経時的変化を観察した。1.Pentobarbita1の作用は低温下でもっとも強く現われ, 常温, 高温の順で弱くなった。Pentobarbital50mg/kg以上の投与により, 心拍数と呼吸数が減少し, 血圧と体温は下降した。これらの変化は低温下で強く, 投与後約45分で死亡した。高温下の変化は軽度であった。2.Adrenalineの作用は低温下で強く, 高温, 常温の順に弱くなった。Adrenalin6mg/kgの投与により心拍数の減少, 呼吸数と血圧の―過性の増加, 体温の下降が認められた。この変化は高温下では急激に起こり, 投与後10~15分で死亡した。3.Acetylcholineの作用は高温下で強く, 低温, 常温の順に弱くなった。Acetylcholine140mg/kgの投与により不整脈が発現し, 心拍数と血圧は一過性に減少した。呼吸数と体温は漸減した。この変化は高温下で強く現われ, そのまゝ死亡した。低温下では一時減少してから, 少しく回復し, 以後徐々に減少した。4.以上の結果は, 低温もしくは高温に暴露された動物の生理機能の変化と, 薬物投与による生体の反応とが同時に作用していると考えられ, 実験に当って, 一定の環境温度に設定することの重要性を示唆した。
著者
小寺 祐貴 横尾 慶紀 矢部 勇人 小橋 沙也香 田中 康正 山田 玄 高橋 弘毅
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.301-305, 2016-07-25 (Released:2016-08-06)
参考文献数
15

背景.先天性食道閉鎖症は多くに気管食道瘻を合併する.多くは新生児期に手術療法を行うが,小児期に食道気管瘻が再開通することがある.症例.35歳女性.新生児期にGross C型先天性食道閉鎖症の手術を受けた.しかし,高校生の頃から肺炎を繰り返すようになった.近医で気管支拡張症と診断されていたが,肺炎を反復するために当科に精査入院となった.胸部X線では左下肺野に浸潤影を認め,胸部CTでは左下葉に限局する囊胞状の気管支拡張症と内腔の液面形成を認めた.また周囲には肺炎像も伴っていた.気管支鏡では気管膜様部に瘻孔を認めたため,気管食道瘻の再発を疑い上部消化管の精査を行った.上部消化管内視鏡では上部食道の前壁に瘻孔を認め,食道造影検査では造影剤が食道瘻孔を通じて気管から左下葉気管支へ流入する所見を認めた.以上から気管食道瘻の再開通と診断し,食道瘻孔部直接縫合閉鎖術を行った.気管支拡張症は長期間の感染の反復により形成されたと考えた.結論.先天性食道閉鎖症の手術歴のある患者が呼吸器感染症を繰り返す場合は,気管食道瘻の再開通の可能性がある.
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
高橋 弘毅 黒木 由夫 白鳥 正典 千葉 弘文 工藤 和実 黒沼 幸治
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は急性肺障害でのToll様受容体(TLRs)の役割を明確にし、肺コレクチン、SP-Aによる抑制効果を臨床薬に応用する基盤的研究である。ブレオマイシン(BLM)投与SP-A ノックアウトマウスは野生型よりも死亡率が高く、肺内炎症性サイトカイン産生が増強された。BLM刺激でラット肺胞マクロファージから炎症性サイトカインが誘導され、SP-A添加で有意に抑制された。sTLR2遺伝子導入HEK293細胞では、BLM刺激でNF-kBが誘導された。BLMはsTLR2と直接結合し、それはSP-Aで阻害された。以上より、BLM誘導シグナルはTLR2依存性で、肺コレクチンはその阻害効果をもつことが示された。